説明

円形状検出装置

【課題】検出対象に含まれる円形状を検出する。
【解決手段】画像情報から抽出したエッジ上に指定した複数の画素を中心としかつエッジの半径と同じ半径の仮想円を求めて当該仮想円を構成する画素について投票パラメータ空間に投票し、又は画像情報から抽出したエッジ上に指定した複数の画素を通る法線についてエッジから当該エッジの半径と同じ長さ位置を端点として求めて当該端点の画素について投票パラメータ空間に投票し、投票数が十分に大きい画素の位置をエッジの中心位置として判定し、補助投票空間の投票数データのうち、最大値投票数データ及び極大値投票数データを抑制空間に取り込んで検出対象円の中心位置を抽出するようにしたことにより、検出対象の円形状を一段と高速度で検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は円形状検出装置に関し、例えば円形粒状物の外径や、孔の内径を検出する場合に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
この種の円形状検出方法として、検出対象を撮像装置によって撮像することにより平面的な画像情報を得、当該画像情報をハフ変換の手法を用いて検出対象物の中心を求めるものが提案されている(特許文献1及び2参照)。
【特許文献1】特開2002−183739公報
【特許文献2】特開2003−65729公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ハフ変換を用いるこの種の従来の形状検出方法においては、ハフ変換処理の際に、大量のデータ処理演算を行う必要があり、当該データ処理量を簡略化できれば、形状検出速度を一段と高速化できると考えられる。
【0004】
例えば固−液二層粒体面輸送を行う場合や、粒子の空間分布に関するデータベースを構築するような場合に、高速度に円球状固体粒子の中心位置を解析できれば、運動している粒子の位置をほぼリアルタイムで追跡するようなこともできるから、有用性の大きい検出手段を得ることができると考えられる。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、検出対象のエッジ画像から効率良く円形状を求めることができるようにした円形状検出装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明においては、円形状を含む検出対象の画像情報S2からエッジ14Aを抽出する手段SP1と、エッジ14A上に指定した複数の画素A(X,Y)、B(X,Y)を中心としかつエッジ14Aの半径rと同じ半径の仮想円15A、15Bを求める手段SP3と、仮想円15A、15Bを構成する画素についてそれぞれ投票パラメータ空間30に投票する手段と、投票パラメータ空間30における画素に対応する投票数のうち、投票累算数が十分大きい画素の位置をエッジ14Aの中心位置と判定する手段SP7とを設けるようにする。
【0007】
また、円形状検出対象を含む画像情報S2からエッジ14Aを抽出する手段SP1と、エッジ14A上に指定した複数の画素を通る法線43A、43Bを求める手段SP11と、エッジ14Aを通る法線43A、43Bについてエッジ14Aから当該エッジ14Aの半径rと同じ長さ位置を端点O(X,Y)とP(X,Y)として求める手段SP13と、端点O(X,Y)とP(X,Y)に対応する画素についてそれぞれ投票パラメータ空間40に投票する手段と、投票パラメータ空間40における画素に対応する投票数のうち、投票累算数が十分大きい画素の位置をエッジ14Aの中心位置と判定する手段SP7とを設けるようにする。
【0008】
さらに、検出対象の画像情報S2から円形状のエッジ14Aを抽出する手段SP1と、エッジ14A上に指定した複数の画素を通る法線43A、43Bを求める手段と、エッジ14Aを通る法線43A、43Bを構成する画素を求める手段SP14と、法線43A、43Bを構成する画素についてそれぞれ投票パラメータ空間41に投票する手段SP4と、投票パラメータ空間41における画素に対応する投票数のうち、投票累算数が十分大きい画素の位置をエッジ14Aの中心位置と判定する手段SP7とを設けるようにする。
【0009】
さらに、投票パラメータ空間30の投票数データを画素ごとに取り込んで補助投票空間SVSを形成する手段SP11と、補助投票空間SVSの投票数データのうち、最大値投票数データDT56及び極大値投票数データDT54を取り込んで抑制空間SSを形成する手段SP11と、抑制空間SSに取り込んだ最大値投票数データDT56及び極大値投票数データDT54からそれぞれ検出対象円の中心位置を抽出する手段SP22とを設けるようにする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像情報から抽出したエッジ上に指定した複数の画素を中心としかつエッジの半径と同じ半径の仮想円を求めて当該仮想円を構成する画素について投票パラメータ空間に投票し、又は画像情報から抽出したエッジ上に指定した複数の画素を通る法線についてエッジから当該エッジの半径と同じ長さ位置を端点として求めて当該端点の画素について投票パラメータ空間に投票し、投票数が最大の画素の位置をエッジの中心位置として判定し、補助投票空間の投票数データのうち、最大値投票数データ及び極大値投票数データを抑制空間に取り込んで検出対象円の中心位置を抽出するようにしたことにより、検出対象の円形状を一段と高速度で検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0012】
(1)第1の実施の形態
図1において、1は全体として円形状検出装置を示し、中央処理ユニット(CPU)2は、バス3を介して入力部4からユーザによって入力される指令信号に基づいてプログラムメモリ5に格納されているプログラムをワークメモリ6を用いて演算処理を実行することにより、図2に示す円形状検出処理手順RT1に従って、円形状を有する粒子の形状及び中心位置をハフ(Hough)変換を用いて検出する。
【0013】
CPU2は円形状検出処理手順RT1に入ると、まずステップSP1において画像情報からエッジを抽出する。
【0014】
この処理は、検出対象として、液体と一緒に流れる固体粒子の映像を、撮像手段11としてのカメラによって撮像し、その映像信号S1を画像処理部12に入力することにより、当該映像内容をXY平面上のドットの明るさによって表す画像データS2を得、これを画像メモリ13に取り込む。
【0015】
画像データS2には、液体中に含まれている円形状の粒子の画像情報としての画像データを含んでおり、CPU2は画像メモリ13に取り込まれた画像データS2をエッジ抽出部21に送って、図3に示すように、粒子14の固体界面における明るさの変化に基づいて粒子14の画像のエッジ14Aの画素位置を表すエッジデータS3を抽出させてエッジデータメモリ22に保存する。
【0016】
続いてCPU2はステップSP2において、粒子14のエッジ14Aを構成する画素に基づいて、ハフ変換の手法を用いて粒子14の中心O(X,Y)を含む粒子14の円形状を判定する処理を行う際に用いる、図4に示すような投票パラメータ空間30を投票データメモリ23に準備する。
【0017】
投票パラメータ空間30への投票は、図3に示す原理に基づいて行う。
【0018】
この実施の形態の場合、粒子14のエッジ14Aは円形状(真円ないしその一部が変形した形状を含む)を有し、半径rは既知の値として与えられている。
【0019】
そこで、エッジ14A上の2点A(X,Y)及びB(X,Y)の画素を中心とする半径rの2つの仮想円15A及び15Bを求めると、当該2つの仮想円15A及び15Bは粒子14のエッジ14A内の領域において、中心O(X,Y)の画素位置において交差する関係になる。
【0020】
この関係は、エッジ14Aが真円であれば、エッジ14A上に任意の2点を指定して2つの仮想円を求めた場合にも成り立つ。
【0021】
そこでCPU2は、ステップSP3において、エッジ14A上にすべての画素の点を順次指定し、当該指定した点の画素位置について多数の仮想円15A及び15Bを計算し、続くステップSP4において、当該多数の仮想円15A及び15Bが通るすべての画素について、仮想円15A及び15Bが通った回数を表す累算数をハフ変換結果として投票データメモリ23に準備した投票パラメータ空間30に投票する。
【0022】
投票パラメータ空間30は、図3のXY画像データ平面の画素と対応する投票画素平面30Aを有し、図3においてCPU2が仮想円15A及び15Bを求めたとき当該円が通る画素に対応する投票画素位置に、円が通るごとに1票ずつ投票数を累算して行くようなハフ変換を行う。
【0023】
かかる投票パラメータ空間への投票処理に続いて、CPU2はステップSP5においてエッジ14A上の全部の画素を指定したか否かの判断をし、否定結果が得られたとき、上述のステップSP3に戻って新たに指定した画素を中心として仮想円を計算した後ステップSP4における投票パラメータ空間への投票処理を繰り返す。
【0024】
以下同様にしてCPU2はステップSP5において肯定結果が得られるまでステップSP5−SP3−SP4−SP5のループの処理を繰り返す。
【0025】
やがてステップSP5において肯定結果が得られると、このことは粒子14のエッジ14A上に予定した全部の画素についての仮想円の演算及びその各点における画素についての投票パラメータ空間への投票が終了したことを意味するので、このときCPU2はステップSP6に移って投票パラメータ空間30の投票結果を表示部24(図1)に表示し、これによりユーザが図4に示す投票パラメータ空間30の累算結果を目視確認し得る状態になる。
【0026】
ここで投票パラメータ空間30は、投票画素平面30A上の座標位置にある画素についてその投票数(すなわち累算結果)をZ軸方向に立ち上がる斜視画像を表すような画面を構成しており、これにより仮想円15A及び15Bが通った累算結果が画像データ平面(図3)の画素ごとに立体的に表示できる。
【0027】
図3の実施の形態の場合、エッジ14A上に指定した画素を中心とする半径rの仮想円15A及び15Bは原則としてそのすべてが中心O(X,Y)を通るはずであるから投票パラメータ空間30(図4)において中心O(X,Y)の画素位置において累算数が十分に大きいピーク30Bが生ずることになる。
【0028】
実際には粒子14のエッジ14Aはエッジ抽出部21におけるエッジ抽出処理によって得るものであるので、エッジ14Aを構成する画素は必ずしも真円上にはあらず、真円の外側又は内側にばらついた画素のもある。
【0029】
従って、ピーク30Bは、真円の中心O(X,Y)を中心として、高さが低くなればなるほど太くなるような立体像になるが、仮想円15A及び15Bが真円の中心O(X,Y)を通る確率が最も高いので、ピーク30Bの先端の画素位置が真円の中心O(X,Y)を表していることになる。
【0030】
CPU2は続くステップSP7において図4の投票パラメータ空間30の投票結果に基づいて、検出対象としての粒子14の中心位置O(X,Y)を、投票累算数が十分大きい画素位置として表わす円形状を検出した後、ステップSP8において当該円形状検出処理手順RT1の処理を終了する。
【0031】
以上の構成において、CPU2は撮像手段11及び画像処理部12によって得た画像データS2に基づいてエッジ抽出部21において抽出されたエッジデータS3をステップSP1において得た後、ステップSP2において投票データメモリ23に準備された投票パラメータ空間30を利用して、ステップSP3においてエッジ14A上に順次指定した画素の仮想円が通る位置を投票パラメータ空間30に投票することにより、投票パラメータ空間30上の粒子14の中心位置にピーク30Bを形成することができ、かくして当該ピーク30Bの画素位置を粒子14の中心O(X,Y)として検出することができる。
【0032】
投票パラメータ空間30のピーク30B以外の画素部分の投票結果は、エッジ14A上に順次指定した画素を中心とする半径rの位置情報の累算結果であるので、エッジ14Aの形状についての情報を含んでおり、かくして中心O(X,Y)の投票結果と共に、粒子14の円形状を表している。
【0033】
以上の構成によれば、粒子14の中心O(X,Y)を検出するにつき、粒子14のエッジ14Aに順次指定した画素を中心とする仮想円の通る位置を投票パラメータ空間30に投票する簡易な処理によって求めることができる。
【0034】
このとき必要とされるデータ処理量は十分に小規模化できるので、例えば撮像手段11によって撮像する撮像対象である固−液二層流体であったとしても、粒体と一緒に流れる粒子14の中心位置を時間の経過に従って時々刻々検出することができる。
【0035】
これにより複雑な二層流体の粒子の動きを高速度かつ精度良く検出することができる。
【0036】
(2)第2の実施の形態
図5〜図9は第2の実施の形態を示すもので、この場合円形状検出装置1(図1)のCPU2は図5の円形状検出処理手順RT2を実行する。
【0037】
この場合CPU2は、図2との対応部分に同一符号を付して示すように、図2のステップSP3に代えてステップSP11〜SP14を実行するような処理を行う。
【0038】
すなわち、CPU2は円形状検出処理手順RT2に入ると、ステップSP1においてエッジ抽出部21によって、図6に示すように、粒子14のエッジ14Aを抽出すると共に、ステップSP2において投票データメモリ23に、図7及び図9に示す投票パラメータ空間40及び41を準備する。
【0039】
続いてCPU2はステップSP11に移ってエッジ14A上に順次指定したエッジ画素のグラディエントを求めた後、ステップSP12において半径が既知か否かの判断をする。
【0040】
ここで肯定結果が得られたとき、このことは粒子14の半径rが既知であることを意味し、このときCPU2はステップSP13に移って当該指定したエッジ画素を通る法線の両端位置を求める。
【0041】
ここで図6に示すように、エッジ14Aが真円である場合、エッジ14A上の点A(X,Y)を指定して上述のステップSP11におけるグラディエントの演算をすることにより求めた法線43Aは、エッジ14Aの中心O(X,Y)を通るが、当該指定したA(X,Y)を中心としてエッジ14Aの内側に距離rを取った点(すなわち中心O(X,Y))と、外側に距離rだけ離れた仮想点P(X,Y)を求める。
【0042】
ここでCPU2のグラディエント演算は、エッジ抽出部21においてエッジデータS3を求める際に次式
【0043】
【数1】

【0044】
として得られる。
【0045】
(1)式においてf(x,y)はXY座標(図6)上における画像の明るさの関数であり、u及びuは、それぞれX及びY方向の単位ベクトルである。
【0046】
図6の円形状のエッジ14Aの場合、(1)式のグラディエント∇f(x,y)は、エッジ14Aにおける法線方向のベクトルを表している。
【0047】
そこでステップSP13において用いる法線43Aは、(1)式のグラディエントベクトルを求めることになり、その法線43A上に指定したエッジ画素A(X,Y)から内方向及び外方向に半径rだけ離れた位置が中心O(X,Y)及び仮想点P(X,Y)になる。
【0048】
この両端位置O(X,Y)及びP(X,Y)を求めた後、CPU2はステップSP4に移って当該両端位置について投票パラメータ空間40(図7)への投票を行う。
【0049】
かくして1つの指定したエッジ画素A(X,Y)についての投票パラメータ空間40への投票が済むと、CPU2はステップSP5の判断を経て上述のステップSP11に戻って次に指定したエッジ画素B(X,Y)のグラディエントを求めた後、ステップSP12を通ってステップSP13において当該新たに指定したエッジ画素B(X,Y)を通る法線43Bの両端位置O(X,Y)及びQ(X,Y)を求め、当該両端位置O(X,Y)及びQ(X,Y)についてステップSP4において投票パラメータ空間40に投票を行う。
【0050】
かくしてエッジ14A上に順次指定されるエッジ画素についてステップSP11−SP12−SP13−SP4−SP5−SP11のループについて繰り返し演算をして行くことにより、投票パラメータ空間40にエッジ14A上のすべての点についての法線43B上の両端位置O(X,Y)及びQ(X,Y)が投票パラメータ空間40に投票されることになる。
【0051】
このようにして投票パラメータ空間40に投票された法線43A及び43Bの両端位置の画素は、エッジ14Aが真円である場合内側の点はすべて中心O(X,Y)と一致するのに対して、外側の仮想点P(X,Y)及びQ(X,Y)は互いに重ならないことになる。
【0052】
かくしてCPU2は、ステップSP5においてすべての画素を指定したことを確認すると、ステップSP6において投票パラメータ空間40(図7)の投票結果を表示部24に表示する。
【0053】
この表示結果は図7に示すように、原則として真円のエッジ14A上の点を指定したとき中心O(X,Y)の画素への投票が最多となるのに対して、真円のエッジ14Aからずれた位置を指定する可能性もあるので、投票結果は真円の中心O(X,Y)においてピーク40Bが形成されるのに対して、その周囲に投票画素平面40Aに近づくに従って太くなるような累算結果が得られる。
【0054】
これに対して外側の仮想点P(X,Y)及びQ(X,Y)の画素位置には低い外側投票数40Cが表示されることになる。
【0055】
以上の構成によれば、粒子14の半径rが既知の場合は、エッジ14A上に順次指定される画素について投票パラメータ空間40に投票される画素の数は2つだけであるので、データの処理量がさらに一段と少なくなることにより粒子14の中心位置の検出をさらに一段と高速になし得ることにより、たとえ粒子14が移動しているとしても、高い即時性がこれに追従して検出することができる。
【0056】
これに対して粒子14の半径が未知の場合、CPU2はステップSP12において否定結果を得ることによりステップSP14に移って、図8に示すように、最初にエッジ14A上に指定したエッジ画素D(X,Y)を通る法線44A上のすべての点を求めた後、ステップSP4において当該すべての点について図9に示す投票パラメータ空間41に投票する。
【0057】
以下同様にしてエッジ14A上にその後順次指定した画素E(X,Y)についてステップSP11−SP12−SP14−SP4−SP5−SP11のループの処理を繰り返すことにより、図9に示すような投票パラメータ空間41の投票結果が得られる。
【0058】
この場合図8の法線44A及び44Bの長さは、検出しようとする粒子14のうち最も大きな粒子の直径より長い大きさに選定されており、これにより検出対象を流れるすべての粒子14の中心O(X,Y)位置を検出することができる。
【0059】
これに加えて、中心O(X,Y)の周囲の領域のうち、エッジ14Aの内側の領域において粒子14の明るさ情報に基づいてその円形状についての投票結果が得られると共に、エッジ14Aの外側の領域において粒子14の外側の明るさ情報に基づいて粒子14の円形状についての投票結果が得られる。
【0060】
かくして粒子14の半径が未知の場合においても、投票パラメータ空間41には図9に示すように投票画素平面41A上の中心O(X,Y)の画素位置にピーク41Bの斜視画像を表す投票結果を表示部24に表示することができる。
【0061】
この結果粒子14の半径が未知の場合にも、エッジ14A上に順次指定した画素D(X,Y)及びE(X,Y)を通る法線44A及び44Bが通る画素に対応する投票パラメータ空間41の投票画素平面41Aに単純に投票して行くような処理をするだけの少ないデータ処理量で、粒子14の中心並びに粒子14の円形状を判知し得るエッジ14Aの内側及び外側の明るさ情報を表す投票結果を得ることができる。
【0062】
この結果粒子14の半径が未知な場合であっても高速度に粒子14の円形状を高速度で検出することができる。
【0063】
(3)第3の実施の形態
図11は、第3の実施の形態を示すもので、この場合の円形状検出処理手順RT1Xは、図2について上述した場合と比較して、検出対象である粒子14の半径rが既知であったのに対して、既知ではない場合に適用するものである。
【0064】
図11において、図2との対応部分に同一符号を付して示すと共に図2の場合と比較して処理内容を変更する処理ステップについて添付符号Xを付して示すように、CPU2は画像データS2から粒子14のエッジ14Aを抽出してエッジデータS3を得る(ステップSP1)と共に、投票パラメータ空間30(図13)を準備した後(ステップSP2)、ステップSP3Xに移ってエッジ14A上に指定した画素を中心とする、想定した1つの半径rの仮想円15A及び15B(図12)を計算する。
【0065】
ここで、仮想円15A及び15Bの半径rは、図2の処理の場合には既知の値として特定できるのに対して、図12の場合には、検出すべき粒子14の半径rは既知ではないが、想定できる複数の値を用いる。
【0066】
CPU2は、ステップSP3Xにおいて当該想定した複数の半径rの1つを特定して仮想円15A及び15Bの計算をした後、ステップSP4において、投票パラメータ空間40の投票画素平面30A上の当該計算した仮想円15A及び15Bの画素に投票をする。
【0067】
CPU2は、次のステップSP5X1において、エッジ14A上の全部の画素を指定したか否かを確認し、否定結果が得られたときにはステップSP3Xに戻ってその後全部の画素を指定し終わるまで、ステップSP3X−SP4−SP5X 1−SP3のループの処理を繰り返す。
【0068】
この結果、想定した1つの半径rが、検出しようとする粒子14の半径rより小さければ、図12に示すように、計算した仮想円15AX及び15BXは粒子14の中心O(X,Y)には届かない小さい円を描くことになるので、ステップSP4において投票した投票パラメータ空間30の累積結果は、図13に示すように、投票画素平面30Aの各画素において、際立ったピークをもたない投票結果が得られる。
【0069】
これに対してステップSP3Xにおいて想定した1つの半径rが検出しようとする粒子14の半径rと一致すれば、図14に示すように、エッジ14A上に指定した画素の仮想円15AX及び15BXには粒子14の中心O(X,Y)を通ることになるので、ステップSP4における投票の結果投票パラメータ空間30には、図15に示すように、当該中心O(X,Y)の画素位置に際立って大きいピーク30BXが得られることになる。
【0070】
これに対して、ステップSP3Xにおいて想定した半径rが、検出しようとする粒子14の半径rより大きければ、図16に示すように、仮想円15AX及び15BXが粒子14の中心O(X,Y)を越えた大きい円を計算することになるので、投票パラメータ空間30における投票数には、図17に示すように際立って大きいピークが発生しないことになる。
【0071】
CPU2がステップSP5X1において肯定結果を得ると、このことはステップSP3Xにおいて特定した、想定した1つの半径rについての仮想円の計算及び投票パラメータ空間への投票が終了したことを意味し、このときCPU2は次のステップSP5X2に移って想定するすべての半径rについての処理を尽くしたか否かの判断をし、否定結果が得られたとき、上述のステップSP3Xに戻って新たに残る想定した半径についての投票処理を繰り返す。
【0072】
やがてステップSP5X2において肯定結果が得られると、このことは想定したすべての半径rについての投票パラメータ空間30への投票処理が終了したことを意味し、このときCPU2はステップSP6において投票パラメータ空間への投票結果を表示すると共に、ステップSP7において検出対象の円形状を検出した後、ステップSP8において当該円形状検出処理手順RT1Xを終了する。
【0073】
かくしてCPU2は複数の想定した半径rについての投票パラメータ空間30への投票処理の結果際立ったピーク30BXが生じた想定半径について、これが検出対象の粒子14の半径であることを検出できると共に、当該ピーク30BXの画素位置が検出対象の粒子14の中心位置O(X,Y)であることを検出できる。
【0074】
以上の構成によれば、検出対象となる粒子14の半径が既知ではない場合にも、その半径及び中心位置を確実に検出することができる。
【0075】
(4)第4の実施の形態
図18は第4の実施の形態を示すもので、この場合CPU2は、図5との対応部分に同一符号を付すと共に相違する処理ステップに添付符号Xを付して示すように、粒子14のエッジ14Aについてグラディエント演算をすることにより求めた法線の両端位置(図19)に基づいて投票パラメータ空間40(図20)に対する投票処理を実行する。
【0076】
すなわちCPU2は、円形状検出処理手順RT2Xに入ると、画像データからエッジ14Aを検出する(ステップSP1)と共に、投票パラメータ空間40を準備した後(ステップSP2)、指定したエッジ画素のグラディエントを求める(ステップSP11)。
【0077】
これに続いてCPU2は次のステップSP13Xに移って、半径が未知の粒子14について想定し得る複数の半径rのうちの1つを特定してエッジ14A上の指定した画素を通る法線50Aと共に、50Bの両端点を求める。
【0078】
ここで、CPU2はステップSP13Xにおいて検出すべき粒子14の半径rとして複数の半径rを予め想定し、当該想定した半径rの長さをもつ法線50A及び50Bをエッジ14Aの各画素の位置について求め、次のステップSP4において投票パラメータ空間40に投票する。
【0079】
ここで想定した当該1つの半径rが検出すべき粒子14の半径rよりも短ければ、図19に示すように、粒子14のエッジ14A上の2点A(X,Y)及びB(X,Y)を通る法線50A及び50Bの内側の端点O(X,Y)及びO(X,Y)は粒子14の中心O(X,Y)に届かない状態になるから、投票パラメータ空間40に対する投票数は図20に示すように、粒子14の中心O(X,Y)に対応する画素位置の周囲に累積結果が生ずるだけで際立ったピークを生ずるような状態にはならない。
【0080】
これに対して粒子14の半径rと同じ値の想定半径rを特定すると、図21に示すようにエッジ14A上の画素位置A(X,Y)及びB(X,Y)を通る法線50A及び50Bの内側の端点O(X,Y)及びO(X,Y)は粒子14の中心位置O(X,Y)の位置に重なることになるので投票パラメータ空間40への投票結果が、図22に示すように、粒子14の中心O(X,Y)に対応する画素位置に際立ったピーク40Bが生ずる結果になる。
【0081】
またステップSP13Xにおいて想定した半径の1つrが粒子14の半径rより大きければ、図23に示すように、エッジ14A上の画素位置A(X,Y)及びB(X,Y)を通る法線の内側の端点O(X,Y)及びO(X,Y)は粒子14の中心O(X,Y)を通り過ぎて重なり合わなくなる。
【0082】
このときステップSP4における投票パラメータ空間40の投票結果は、図24に示すように、粒子14の中心O(X,Y)に際立ったピークが生じない状態になる。
【0083】
このようにしてCPU2は、ステップSP13Xにおいて特定した想定半径rについてステップSP4において投票パラメータ空間40に投票した後、ステップSP5X1においてエッジ14A上の全部の画素を指定したか否かの判断をし、否定結果が得られたとき上述のステップSP11に移って新たに指定したエッジ画素について、ステップSP11−SP13X−SP4−SP5X1−SP11のループの処理を繰り返す。
【0084】
やがてステップSP5X1において肯定結果が得られると、CPU2は次のステップSP5X2に移って想定した全ての半径rについての投票パラメータ空間40への投票処理が終了したか否かを判断し、否定結果が得られたとき上述のステップSP11に戻ってステップSP13Xにおいて新たに特定した想定半径について投票パラメータ空間40への投票処理を実行する。
【0085】
やがてステップSP5X2において肯定結果が得られると、このことは想定したすべての半径についての処理が終了したことを意味し、このときCPU2はステップSP6において投票パラメータ空間の投票結果の表示処理をした後、ステップSP7において測定対象の粒子14の円形状を検出する処理を実行してステップSP8において当該円形状検出処理手順RT2Xの処理を終了する。
【0086】
以上の構成によれば、検出すべき粒子の半径rが未知であるが複数の半径を想定できる場合には、当該想定できる半径rについてそれぞれ投票パラメータ空間40への投票処理をすることにより、際立ったピーク40Bが得られたとき当該ピーク40Bの座標位置を粒子14の中心位置として求めることができる。
【0087】
かくするにつき、投票パラメータ空間への投票処理を、エッジ14A上の座標位置を通る法線50A及び50Bの内側の端点について実行するだけで良いので、処理すべきデータ量を一段と軽減できる。
【0088】
(5)他の実施の形態
(a)上述の図6、図19、図21、図23の実施の形態においては、粒子14のエッジ14Aの外側の画素についても投票パラメータ空間への投票をするようにしたが、これに代え、以下に述べるようにエッジ14Aの外側の画素については投票パラメータ空間への投票を行なわずにエッジ14A内の画素についてのみ投票を行うことにより粒子14の中心位置及びその移動を判知できるようにしても良い。
【0089】
例えば図6において、法線43A及び43B上のエッジ14Aより内側及び外側の点0(X,Y)及びP(X,Y)、Q(X,Y)の画素について投票パラメータ空間への投票を行うのは、撮像手段11(図1)によって検出対象となる粒子についての映像信号S1を得る際に、検出対象に対する照射光源からの照射光を撮像手段11が受光する場合(これを照射撮影と呼ぶ)と、検出対象からの反射光を撮像手段11が受光する場合(これを反射撮影と呼ぶ)との両方に対応するためである。
【0090】
すなわち、照射撮影の場合の映像信号S1における映像は、図38に示すように、粒子14の部分が照射光を遮光することにより暗くなるの対して、粒子14の外側部分は照射光が直接入射するので明るくなる。
【0091】
このとき、(1)式によるグラディエント演算に基づいて得られる法線方向のベクトルV1は、明るさ変化の最大値を示す方向として、粒子14のエッジ14Aから放射状に外側に発散する。
【0092】
これに対して、反射撮影の場合の映像信号S1における映像は、図39に示すように、粒子14の部分が照射光が反射されることにより明るくなるのに対して、粒子14の外側部分は反射光が入射しないので暗くなる。
【0093】
このとき、(1)式によるグラディエント演算に基づいて得られる法線方向のベクトルV1には明るさ変化の最大値を示す方向として、粒子14のエッジ14Aから放射状に内側に収束する。
【0094】
そこで、照射撮影又は反射撮影のいずれの場合においても、粒子14の中心を求めるための投票パラメータ空間への投票を行うために、図6の場合はベクトルV1又はV2に沿う方向の法線43A又は43Bを求めると共に、当該法線上の内側及び外側の点0(X,Y)及びP(X,Y)、Q(X,Y)の画素について、投票パラメータ空間への投票を行うこととしている。
【0095】
かくして上述の図の実施の形態によれば、エッジ14Aより外側の点への投票と共に内側の点への投票ができることにより、当該内側の点への投票結果に基づいて粒子14の中心位置を知ることができる。
【0096】
図19、図21、図23の場合も、同様にして、法線50A、50B上の内側の点0(X,Yc)への投票結果に基づいて粒子14の中心位置を知ることができる。
【0097】
これに対する変形例として、撮像手段11による撮影条件が照射撮影であるか、反射撮影であるかのいずれの場合においても、粒子14のエッジ14Aからの放射線方向のベクトルが粒子14のエッジ14Aから内側に収束するベクトルV2の場合、このベクトルの方向を+方向と規定すると共に、これとは逆に外側に放射するベクトルV1の符号を−方向として規定する。
【0098】
+方向のベクトルV2が得られたときにはその方向の法線上の内側の点の画素について投票パラメータ空間への投票を行うと共に、−方向のベクトルV1の場合はベクトルV1の符号「−」を「+」に付け換える処理をすることにより、ベクトルV1の方向とは逆方向の内側に向うベクトルに変換する。これにより、ベクトルV1に沿う方向の法線上においてエッジ14Aより内側の点の画素に、図40に示すように、内側の画素についての投票パラメータ空間41への投票を行う。
【0099】
以上の構成によれば、投票パラメータ空間41への投票は、照射撮影の場合及び反射撮影の場合のいずれにおいても粒子14のエッジ14Aの内側の点に投票を行うことができることにより、図6、図19、図21、図23の場合と比較して、投票処理手順を一段と簡略化でき、この分粒子14の中心点の検出時間を一段と短縮することができる。
【0100】
このようにすればさらに一段と演算を簡略化することができる。
【0101】
(b)上述の実施の形態においては、投票パラメータ空間に対する投票結果を表示部24において立体表示するようにしたが、これを省略しても良い。
【0102】
(c)上述の実施の形態においては、1つの粒子14が他の粒子と互いに重なり合わない画像データS2が得られた場合の円形状検出処理について述べたが、図10(A)に示すように、粒子14が互いに重なり合った画素14Xを含む画像データS2が得られた場合にも、図10(B)及び(C)示すように、各粒子14の円形状(すなわち中心位置O(X,Y)X及び粒子14Xの界面に関する情報を含む情報)を検出することができる。
【0103】
例えば、図10(A)に示すように、互いに重なり合う粒子14Xを含む画像データS2について、CPU2が、ステップSP1において抽出した図10(B)のエッジ14AXを得た後、図5のステップSP12−SP13−SP14−SP15−SP11−SP12の処理ループで検出処理をすれば、ステップSP4における投票パラメータ空間40(図7)へ投票処理により、図10(C)に示すように、重なり合った各粒子14Xについて、その中心位置O(X,Y)X及び形状を表す投票累算結果が得られる。
【0104】
(d)上述の実施の形態においては、本発明を固−液体二相流を検出対象にした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、フェルール孔の検出や、ボール(例えば散乱しているゴルフボール)や、交通標識の検出など、円形状の検出対象を検出する場合に広く適用し得る。
【0105】
(e)上述の実施の形態においては、抽出されたエッジのすべての画素を画素の位置を指定して中心点を求める処理を行うようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、エッジの延長方向に沿って所定数だけ間の画素を間引いた間隔で指定した画素について、処理を行うようにしても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0106】
(6)検出対象円の中心位置抽出処理
図2、図5、図11及び図18について上述した円形状検出処理手順RT1、RT2、RT1X及びRT2Xによって投票パラメータ空間において形成されたピークの座標位置は検出対象円の中心点を表しているが、当該中心点は図25に示す中心点抽出処理手順RT5によって抽出される。
【0107】
この実施の形態の場合の円形状検出装置1(図1)は投票データメモリ23に形成される投票パラメータ空間の各座標に対する投票数に含まれる情報を抽出処理する手段として、補助投票空間データメモリ31内に図26に示す補助投票空間SVSを形成すると共に、抑制メモリ32内に図27に示す抑制空間SSを形成する。
【0108】
図26及び図27において、横軸の数字50〜61は投票パラメータ空間の各画素の座標値(XY座標上の平面的な座標値を表わすものとする)を示すと共に、縦軸の数字11〜20は各座標の画素における投票数を示す。
【0109】
中心点抽出処理手順RT5に入ると、CPU2はステップSP11において補助投票空間SVS及び抑制空間SSをそれぞれ補助投票空間データメモリ31及び抑制メモリ32に作成する。
【0110】
ここで補助投票空間SVSの形成時、当該補助投票空間SVSには、投票パラメータ空間30(図4、図13)又は40(図7、図20、図22、図24)の投票画素平面30A又は40Aの各画素位置を示す座標値50〜61の位置に投票された投票数がそのままXY座標に対応する投票数データとして取り込まれている。
【0111】
かくして補助投票空間SVSは、検出対象円の中心位置を含めた円形状を表すデータを数値の大きさとして(図では棒グラフとして)表している。
【0112】
これに対して抑制空間SSは、補助投票空間SVSのうち最大値又は極大値をもつ座標値の投票数だけを補助投票空間SVSから取り込み、その他の座標値における投票数を投票数=0に抑制することにより、検出対象円の中心位置を補助投票空間SVSから抽出するために用意されている。
【0113】
中心点抽出処理手順RT5においてCPU2は、ステップSP11に続くステップSP12において、補助投票空間SVSの投票数データのうち、投票最大値を抑制空間SSに取り込む。
【0114】
この実施の形態の場合、図28に示すように、座標値56の投票数が補助投票空間SVS内の最大値となっており、CPU2はこの最大値投票数データDT56を、図29に示すように、抑制空間SSに取り込む。
【0115】
続いてCPU2は、ステップSP13に移って、この最大値投票数データDT56の周囲において2つ隣の座標位置にある未処理の画素の投票数データを捜す。
【0116】
この処理は、投票結果のうち最大値投票数データDT56が検出対象円の中心位置を表しているのに対して、その周囲に2画素だけ離れた投票数データの状態を確認するための処理であり、当該2画素だけ離れた画素の座標位置に極大値を示す投票数データがあるとすれば、このことは最大値投票数データDT56の座標位置に中心を有する第1の検出対象円に対して、当該極大値を示す座標位置を中心とする第2の検出対象円が重なり合っていることを意味しており、この重なり合った2つの検出対象円を最小1画素を間に挟んではっきりと区別して抽出しようとする。
【0117】
そのためCPU2は、次のステップSP14において、補助投票空間SVSを2つ隣の画素の投票数が1つ隣の画素の投票数より大きいか否かの判断をする。
【0118】
ここで否定結果が得られると、このことは最大値投票数データDT56を中心とする2画素分の広さをもつ座標領域には極大値を形成する投票数データが存在しないことを意味するのに対して、肯定結果が得られれば、このことは僅か1画素分の座標を挟んで極大値が存在することを意味している。
【0119】
図28の実施の形態の場合、座標値56に最大値投票数データDT56があるのに対して、2画素分だけ離れた座標値54に1つの極大値投票数データDT54があるが、他の2画素分だけ離れた座標値58の投票数データDT58は極大値を示していない。
【0120】
そこでCPU2は、ステップSP14において否定結果が得られたときにはステップSP15に移って、図30に示すように、補助投票空間SVSの座標値58の投票数データDT58について、その画素の投票数データDT58を投票数0に置き換える。
【0121】
図30は、投票数を0に置き換えた投票数データを白抜きの棒グラフで表示し、当該置き換えがされていない投票数データを黒塗りの棒グラフで表示する。
【0122】
これに対してステップSP14において肯定結果が得られたとき、CPU2は、ステップSP16に移って座標値54において極大値を示している投票数データDT54を、図31に示すように、極大値投票数データDT54として取り込む。
【0123】
このように最大値投票数データDT56の周囲の2画素分の狭い座標領域において、最大値投票数データDT56とは別に極大値投票数データDT54が1画素だけ離れた位置にあることを、抑制空間SSに取り込むことができる。
【0124】
この実施の形態の場合、ステップSP16において抑制空間SSに極大値投票数データDT54を取り込んだとき、CPU2は上述のステップSP15に移って補助投票空間SVSのうち当該極大値投票数データDT54を0に置き換える処理をする。
【0125】
このステップSP15の処理をした後、CPU2は、ステップSP17に移って最大値投票数データDT56の周囲に2画素分離れた画素の全ての処理が終ったか否かの判断をし、否定結果が得られたとき上述のステップSP13に戻って残った画素についての処理手順を繰り返すのに対して、肯定結果が得られたときステップSP18に移って補助投票空間SVSにおいて最大値及びその1つの隣の画素の投票数データを全て投票数0に置き換える。
【0126】
かくしてCPU2は、図33に示すように最大値投票数データDT56をもつ座標位置56を中心として2画素分の座標領域について、最大値投票数データDT56及び極大値投票数データDT54を取り込むことにより、それ以外の座標位置の投票数データを0とした抑制空間SSを生成すると共に、これに対応して図32に示すように、補助投票空間SVSの最大値投票数データDT56を中心とする周囲2画素分の領域について、最大値投票数データDT56及び極大値投票数データDT54の座標位置と、最大値でも極大値でもない座標位置の投票数データ(図32の場合座標位置55、57及び58の投票数データ)を0に置き換えた状態にする。
【0127】
その後CPU2はステップSP19に移って補助投票空間SVSにおける全ての処理が終わったか否かの判断をする。
【0128】
ここで、否定結果が得られる状態では、例えば図32に示すように、補助投票空間SVSの投票値データが0に置き換えられていない画素がある状態にあることを意味する。
【0129】
このときCPU2はステップSP20に移って投票数が0に置き換えられずに残った投票数データについて、その最大値を捜す処理をする。
【0130】
ここで上述の処理が終っても、最大値投票数データDT56の周囲2画素分の座標領域以外の領域の投票数データが未だ未処理のまま残っているので、その中には最大値が必ずある。
【0131】
このステップSP20の処理に続いて、CPU2は、ステップSP21に移って当該2画素分の領域外の投票数データから検出された最大値が元の投票空間における投票数データ(すなわち図26の初期の補助投票空間SVSの状態)において隣のピクセルの投票数データの値より大きいか否かの判断をする。
【0132】
ここで否定結果が得られると、このことは未処理の投票数データのうちでは最大値をもつピクセルであっても、補助投票空間SVSの元の投票数データから見ると、極大値を構成していないことを意味している。
【0133】
このときCPU2はステップSP22に移って当該ステップSP20において当該検出された最大値の投票数データを有する座標位置の投票数データを0に置き換えて上述のステップSP19に戻る。
【0134】
このときCPU2は、ステップSP20において、前回ステップSP20において検出された最大値の投票数データを処理済とした(=0に置き換えた)後の補助投票空間SVSについて、残った投票数データについて新たに最大値を捜す処理をする。
【0135】
かくしてCPU2はステップSP20−SP21−SP22−SP19−SP20のループの処理をすることにより、処理されずに残った投票数データについて、順次、最大値となった投票数データが元の補助投票空間SVS内の投票数データ(図26)について隣のピクセルより大きい値になるものを捜す処理をする。
【0136】
このときCPU2は、ステップSP22において当該検出された最大値の投票数データを「0」に置き換えて行くことにより、図35に示すように新たな極大値投票数データの取り込みはせずに、図34に示すように、2画素の領域の外側の画素の投票数データを順次「0」に置き換える処理を続ける。
【0137】
やがてステップSP21において肯定結果が得られると、このことは処理されずに残った上記2画素分の領域外の投票数データの中に、極大値となる投票数データを有する座標位置があることを意味し、このときCPU2は上述のステップSP12に移る。
【0138】
ここで、CPU2は、ステップSP12−SP13−SP14−SP15(又はSP14−SP16−SP15)−SP17−SP18−SP19のループの処理をすることにより、当該極大値となった画素を中心として、図37に示すように、極大値投票数データDT54を抑制空間SSに取り込むと共に、その周囲にある極大値ではない投票数データについては、図36に示すように、補助投票空間SVSにおいて投票数データを0に置き換えるような処理を続ける。
【0139】
この処理は、ステップSP19において肯定結果が得られるまで続けられ、その結果補助投票空間SVSにおいて全ての画素において投票数データが0に置き換えられたとき、CPU2は、ステップSP19において肯定結果が得られることによりステップSP23に移って抑制空間SSに取り込まれた投票数データに基づいて最大値又は極大値となった画素位置(すなわち検出対象円の中心位置データ)を取り出すことによりステップSP24において当該中心点抽出処理手順RT5を終了する。
【0140】
以上の構成において、CPU2は、撮像手段11及び画像処理部12によって得た画像データS2に基づいて検出対象円(粒子の撮像に基づく)についての投票数データを投票データメモリ23の投票パラメータ空間に形成した後、中心点抽出処理手順RT5を実行することにより、投票パラメータ空間に得た全投票数データを各画素ごとに補助投票空間SVSに取り込み、当該補助投票空間SVSの投票数データに基づいて最大値投票数データDT56を抑制空間SSに取り込む(ステップSP12)。
【0141】
その後当該最大値投票数データの画素位置を中心としてその周りにある2画素分の画素領域の投票数データに基づいて極大値を有する画素位置があるか否かを判定し、あった場合ステップSP16において抑制空間SSの対応する位置に極大値投票数データDT54を取り込む。
【0142】
かくしてCPUは最大値投票数データDT56を取り込んだ画素位置と、極大値投票数DT54を取り込んだ画素位置とに、互いに重なり合った検出対象円の中心が存在することを確実に検出することができる。
【0143】
かくするにつき、最大値投票数データDT56と極大値投票数データDT54の座標位置との間に、判断可能な最小な位置ずれ、すなわち1画素分の位置ずれを確実に検出することができる。
【0144】
このように、最大値投票数データDT56を中心としてその周囲の2画素分の画素領域に対する最大値及び極大値の検出処理をすることに加えて、その外側の画素領域について、補助投票空間SVSに形成されている投票数データに基づいて、極大値を呈する画素位置を検出することにより、さらに当該2画素分の領域に外側位置において第3の検出対象円が重った場合にも、その中心位置を確実に検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0145】
測定対象中に存在する円形状を検出する場合に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の第1の実施の形態による円形状検出装置を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態における円形状検出処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図2の処理手順において行なわれる画像データ平面処理の説明に供する略線図である。
【図4】投票パラメータ空間の投票結果を示す略線図である。
【図5】第2の実施の形態における円形検出処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図5の処理手順において半径が既知の場合の画像データ平面処理の説明に供する略線図である。
【図7】半径が既知の場合の投票パラメータ空間を示す略線図である。
【図8】図5の処理手順において半径が未知の場合の画像データ平面処理の説明に供する略線図である。
【図9】半径が未知の場合の投票パラメータ空間の投票結果を示す略線図である。
【図10】(A)、(B)及び(C)は、粒子の画像が重なる場合の処理手順の説明に供する略線図である。
【図11】第3の実施の形態による円形状検出処理手順を示すフローチャートである。
【図12】図11の処理手順において行われる画像データ平面処理(r<r)の説明に供する略線図である。
【図13】図12の場合の投票パラメータ空間(r<r)を示す略線図である。
【図14】図11の処理手順において行われる画像データ平面処理(r=r)の説明に供する略線図である。
【図15】図14の場合の投票パラメータ空間(r=r)の投票結果を示す略線図である。
【図16】図11の処理手順において行われる画像データ平面処理(r>r)の説明に供する略線図である。
【図17】図16の場合の投票パラメータ空間(r>r)の投票結果を示す略線図である。
【図18】第4の実施の形態による円形状検出処理手順を示すフローチャートである。
【図19】図18の処理手順において行われる画像データ平面処理(r<r)の説明に供する略線図てある。
【図20】図19の場合の投票パラメータ空間(r<r)の投票結果を示す略線図である。
【図21】図18の処理において行われる画像データ平面処理(r=r)の説明に供する略線図である。
【図22】図21の場合の投票パラメータ空間(r=r)の投票結果を示す略線図である。
【図23】図18の処理手順において行われる画像データ平面処理(r>r)の説明に供する略線図である。
【図24】図23の場合の投票パラメータ空間(r>r)の投票結果を示す略線図である。
【図25】中心点抽出処理手順を示すフローチャートである。
【図26】補助投票空間を示す略線図である。
【図27】抑制空間SSを示す略線図である。
【図28】最大値投票数データを抽出する際の補助投票空間を示す略線図である。
【図29】最大値投票数データを抽出する際の抑制空間を示す略線図である。
【図30】極大値投票数データを取り込む際の補助投票空間を示す略線図である。
【図31】極大値投票数データを取り込む際の抑制空間を示す略線図である。
【図32】投票数データ20を置き換える処理をした状態の補助投票空間を示す略線図である。
【図33】補助投票空間に0を置き換えた際の抑制空間を示す略線図である。
【図34】最大値投票数の座標を中心とする処理が終了した際の補助投票空間を示す略線図である。
【図35】最大値の座標を中心として座標領域の処理が終了した際の抑制空間を示す略線図である。
【図36】その他の座標領域における極大値投票数データを検出した際の補助投票空間をしめす略線図である。
【図37】その他の座標領域において極大値投票数データを検出した際の抑制空間を示す略線図である。
【図38】照射撮影の場合の法線方向ベクトルの説明に供する略線図である。
【図39】反射撮影の場合の法線方向のベクトルの説明に供する略線図である。
【図40】他の実施の形態における投票パラメータ空間を示す略線図である。
【符号の説明】
【0147】
1……円形状検出装置、2……中央処理ユニット(CPU)、3……バス、4……入力部、5……プログラムメモリ、6……ワークメモリ、11……撮像手段、12……画像処理部、13……画像メモリ、14……粒子、14A……エッジ、15A、15B……仮想円、21……エッジ検出部、22……エッジデータメモリ、23……投票データメモリ、24……表示部、30、40、41、42……投票パラメータ空間、30A、40A、41A……投票XY平面、30B、40B、41B、42B……ピーク、43A、43AX、43B、43BX……法線、31……補助投票空間データメモリ、32……抑制メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形状を含む検出対象の画像情報からエッジを抽出する手段と、
上記エッジ上の画素を中心とし任意半径の仮想円を求める手段と、
上記仮想円を構成する画素についてそれぞれ投票パラメータ空間に投票する手段と、
上記投票パラメータ空間における上記画素に対応する投票数のうち、投票累算数が十分大きい画素の位置を上記エッジの中心位置と判定する手段と
を具えることを特徴とする円形状検出装置。
【請求項2】
円形状を含む検出対象の画像情報からエッジを抽出する手段と、
上記エッジ上の画素を中心としかつ既知の半径と同じ半径の仮想円を求める手段と、
上記仮想円を構成する画素についてそれぞれ投票パラメータ空間に投票する手段と、
上記投票パラメータ空間における上記画素に対応する投票数のうち、投票累算数が十分大きい画素の位置を上記エッジの中心位置と判定する手段と
を具えることを特徴とする円形状検出装置。
【請求項3】
円形状を含む検出対象の画像情報からエッジを抽出する手段と、
上記エッジ上の画素を通る法線を求める手段と、
上記エッジ画素を通る上記法線について任意の半径と同じ長さ位置を端点として求める手段と、
上記法線を構成する画素についてそれぞれ投票パラメータ空間に投票する手段と、
上記投票パラメータ空間における上記画素に対応する投票数のうち、投票累算数が十分大きい画素の位置を上記エッジの中心位置と判定する手段と
を具えることを特徴とする円形状検出装置。
【請求項4】
円形状を含む検出対象の画像情報からエッジを抽出する手段と、
上記エッジ上のすべての画素を通る法線を求める手段と、
上記エッジ画素を通る上記法線について既知の半径と同じ長さ位置を端点として求める手段と、
上記端点に対応する画素についてそれぞれ投票パラメータ空間に投票する手段と、
上記投票パラメータ空間における上記画素に対応する投票数のうち、投票累算数が十分大きい画素の位置を上記エッジの中心位置と判定する手段と
を具えることを特徴とする円形状検出装置。
【請求項5】
投票パラメータ空間の投票数データを画素ごとに取り込んで補助投票空間を形成する手段と、
上記補助投票空間の投票数データのうち、最大値投票数データ及び極大値投票数データを取り込んで抑制空間を形成する手段と、
上記抑制空間に取り込んだ上記最大値投票数データ及び極大値投票数データからそれぞれ検出対象円の中心位置を抽出する手段と
を具えることを特徴とする円形状検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図14】
image rotate

【図16】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図21】
image rotate

【図23】
image rotate

【図25】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図4】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図13】
image rotate

【図15】
image rotate

【図17】
image rotate

【図20】
image rotate

【図22】
image rotate

【図24】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図40】
image rotate


【公開番号】特開2009−9539(P2009−9539A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327375(P2007−327375)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(504196300)国立大学法人東京海洋大学 (83)
【Fターム(参考)】