説明

再生装置、再生プログラム、及び再生方法

【課題】トリックプレイに際し、ユーザが再生中のファイルを削除する場合でも、トリックプレイの解除やプレイ対象曲の変更により、ユーザの期待が損なわれることがないようにする。また、ユーザが曲を最後まで聞いた後でその曲を削除するか否かを判断したい場合に便利な手段を提供する。
【解決手段】記録媒体上に記録された削除可能なファイルに基づいて再生を行う再生装置において、トリックプレイで再生中のファイルを削除する旨の指示又はその指示に基づくファイルの削除がなされた場合にそのトリックプレイを継続するか否かの設定を受け入れるトリックプレイ継続設定手段を設ける。また、ファイルの削除を、削除の指示があった時点で行うか、又は該ファイルの再生が終了した時点で行うかの設定を受け入れる削除予約設定手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体上に記録された削除可能なファイルに基づき再生を行う再生装置、再生プログラム、及び再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ハードディスク等に保存されている音声ファイルに基づき楽曲等の再生を行う装置においては、トリックプレイを行うモードを有している。トリックプレイとは、通常の再生とは異なるランダムプレイ、リピートプレイ、スキャンプレイ等の特殊な再生を意味する。
【0003】
これらのトリックプレイにおいて、再生中の音声ファイルが削除されると、その後のトリックプレイに支障を来たす。そこで、従来、トリックプレイ中に当該ファイルがユーザによって削除された場合には、トリックプレイを解除するようにしている。あるいは、この代わりに、トリックプレイ中には当該ファイルが削除できないように、アクセス制限を設けるようにしている。あるいは、トリックプレイ中に当該ファイルを削除しようとすると、警告画面を表示し、当該ファイルを削除すると、トリックプレイが解除される旨の警告を表示するようにしている。
【0004】
具体的には、たとえば、1曲リピートプレイ中にプレイ対象としている音声ファイルが削除されると、リピートプレイを解除するか、又は次の曲を対象としてリピートプレイを継続するようにしている。また、ランダムプレイ中に、プレイ対象としているフォルダ内のいずれかの楽曲の音声ファイルが削除されると、ランダムプレイを解除するようにしている。また、スキャンプレイ中に、スキャン対象としているフォルダ内のいずれかの楽曲の音声ファイルが削除されると、スキャンプレイを解除するようにしている。
【0005】
なお、トリックプレイに関する先行技術としては、たとえば、映像信号の記録を行う際に、順方向可変速度再生及び逆方向可変速度再生用の2種類の符号化データを生成して記録し、各記録データを、それぞれ順方向可変速度再生及び逆方向可変速度再生に使用するようにした技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。また、記憶装置に記憶されているプログラムの通常再生用及び各種トリックプレイ用のデータの切替えに関する技術が特許文献2により開示されている。
【0006】
また、記録媒体に記録されているデジタル映像音声データを再生する際に再生制御情報を作成して記憶手段に記憶し、記録媒体の再生終了後に発せられる任意の再生位置からのデータ再生再開指示により、記憶手段の再生制御情報を検索し、検索した再生制御情報に基づき、記録媒体の任意の再生位置からの再生を再開することができるようにした技術が知られている(たとえば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平5−292458号公報
【特許文献2】特表平11−502988号公報
【特許文献3】特開2002−344900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のように、再生中の音声ファイルが削除されたことに基づいてトリックプレイを解除することは、その後のトリックプレイが行われなくなるので、その後もトリックプレイが継続されるだろうというユーザの期待を裏切ることになる。たとえば、1曲リピートプレイ中に、再生中の音声ファイルが削除された場合に、リピートプレイが解除されたり、リピートプレイの対象曲が次の曲に自動的に変更されたりすると、ユーザの期待が裏切られることになる。
【0008】
また、ランダムプレイやスキャンプレイに際し、再生中の音声ファイルが削除されたことに基づいてプレイを解除すると、プレイ対象となっていたフォルダ内の全曲を聴く機会が、ユーザから奪われることになる。これを避け、プレイを続行させたい場合には、ユーザは削除する曲を一周管理テーブルから除外する操作を行わなければならない。
【0009】
また、一旦、音声ファイルの削除操作を行ってしまうと、そのファイルの曲を最後まで聴くことができなくなるので、最後まで聞いた後で削除するか否かを判断したい場合に、不便であるという問題もある。
【0010】
このような従来技術の問題点に鑑み、本発明の第1の目的は、記録媒体上に記録された削除可能なファイルに基づいて再生を行う際に、トリックプレイに際し、ユーザが再生中のファイルを削除する場合でも、トリックプレイの解除やプレイ対象曲の変更により、ユーザの期待が損なわれることがないようにすることにある。
【0011】
また、本発明の第2の目的は、記録媒体上に記録された削除可能なファイルに基づいて再生を行う際に、ユーザが曲を最後まで聞いた後でその曲を削除するか否かを判断したい場合に便利な手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記第1の目的を達成するため、本発明の再生装置は、記録媒体上に記録された削除可能なファイルに基づいて再生を行う再生装置において、トリックプレイで再生中のファイルを削除する旨の指示又はその指示に基づくファイルの削除がなされた場合にそのトリックプレイを継続するか否かの設定を受け入れるトリックプレイ継続設定手段を具備することを特徴とする。
【0013】
ここで、記録媒体としては、たとえば、ハードディスク、CD−R、CD−RW、DVD+RW/+R、DVD−R/RWが該当する。ファイルとしてはたとえば、WAVE、WMA、MPEG、AVI等の各形式によるファイルが該当する。トリックプレイとしては、たとえば、ランダムプレイ、リピートプレイ、スキャンプレイ、早送り再生、早戻し再生、スロー再生が該当する。
【0014】
従来、トリックプレイで再生中のファイルを削除する旨の指示があった場合には、該ファイルを削除してトリックプレイを解除し、又はトリックプレイが1曲リピート再生であれば次のファイルを用いて自動的に1曲リピート再生を継続するようにしていた。このため、トリックプレイが中断したり、意図しない曲についてリピート再生が行われたりしてユーザの期待が損われるおそれがあった。
【0015】
これに対し、本発明によれば、ユーザはトリックプレイ継続設定手段によって、トリックプレイで再生中のファイルを削除してもトリックプレイを継続するか否かを設定することができるので、期待が損われるのを回避することができる。
【0016】
第2の発明に係る再生装置は、第1発明において、前記ファイルの削除の指示又はその指示に基づくファイルの削除がなされたときに、トリックプレイ継続設定手段による設定内容に基づき、トリックプレイの継続又は解除を行う手段を有することを特徴とする。
【0017】
第3の発明に係る再生装置は、第1又は第2発明において、指示されたファイルの削除を、該ファイルの再生が終了した時点で行う再生終了時削除手段を有することを特徴とする。
【0018】
第4の発明に係る再生装置は、第3発明において、指示されたファイルの削除を、削除の指示があった時点で行うか、又は該ファイルの再生が終了した時点で行うかの設定を受け入れる削除予約設定手段を有することを特徴とする。
【0019】
第5の発明に係る再生装置は、第3又は第4発明において、前記再生が終了した時点でのファイルの削除を実行する前に、本当に削除を実行するか否かの確認の指示を受け入れる手段を有することを特徴とする。
【0020】
第6の発明に係る再生装置は、第4又は第5発明において、トリックプレイで再生中のファイルが変更された場合には、再生が終了した時点でのファイルの削除は行わないことを特徴とする。
【0021】
第7の発明に係る再生装置は、第1〜第6のいずれかの発明において、トリックプレイを継続する旨の設定がなされている場合に、ファイルの削除の指示又は該指示に基づくファイルの削除が行われたとき、削除されたファイル以外のファイルを用いてトリックプレイの継続を行うことを特徴とする。
【0022】
第8の発明に係る再生装置は、第1〜第7のいずれかの発明において、トリックプレイが1曲リピート再生であり、トリックプレイを継続する旨の設定がなされている場合に、ファイルの削除の指示又は該指示に基づくファイルの削除が行われたとき、削除されたファイルの次のファイルを用いてトリックプレイの継続を行うことを特徴とする。
【0023】
第9の発明に係る再生装置は、上述の第2の目的を達成するため、記録媒体上に記録された削除可能なファイルに基づいて再生を行う再生装置において、再生中のファイルを削除する旨の指示がなされたとき、該ファイルの削除を、該ファイルの再生が終了した時点で実行する手段を具備することを特徴とする。
【0024】
第10の発明に係る再生プログラムは、コンピュータを、第1〜第9のいずれかの再生装置を構成する各手段として機能させることを特徴とする。
【0025】
第11の発明に係る再生方法は、上述の第1の目的を達成するため、記録媒体上に記録された削除可能なファイルに基づいて再生を行う再生方法において、トリックプレイで再生中のファイルを削除する旨の指示又はその指示に基づくファイルの削除がなされた場合でもトリックプレイを継続するか否かの設定を受け入れる工程を具備することを特徴とする。
【0026】
第12の発明に係る再生方法は、上述の第2の目的を達成するため、記録媒体上に記録された削除可能なファイルに基づいて再生を行う再生方法において、再生中のファイルを削除する旨の指示がなされたとき、該ファイルの削除を、該ファイルの再生が終了した時点で実行する工程を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、トリックプレイで再生中のファイルを削除する場合でも、トリックプレイを支障なく継続させるように設定を行うことができる。また、再生結果を最後まで視聴した後でその再生したファイルを削除するか否かを最終的に判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は本発明の一実施形態に係る再生装置の構成を示すブロック図である。この装置は同図に示すように、装置各部の制御やデータ処理を行うメイン・マイコン1、ハードディスクに記録されている音声データに基づき楽曲の再生を行うとともに、表示用の情報をメイン・マイコン1に受け渡すハードディスク・ディバイス2、ユーザの指示に基づく設定データ等を記憶するための記憶部3、メイン・マイコン1からの指令に基づき、ユーザに提供する情報の表示を行う表示部4、及びユーザがメイン・マイコン1に対し入力操作を行うための入力部5を備える。
【0029】
ハードディスクへ記録される音声データは、MP3やWAVE等の音声ファイルの形式を有する。ユーザによる入力操作には、トリックプレイの開始や解除、音声ファイルの削除等の従来の操作に加え、トリックプレイ継続の設定や削除予約の設定をオン・オフする操作等が含まれる。
【0030】
トリックプレイ継続の設定とは、トリックプレイにおいて再生中の楽曲の音声ファイルが削除される場合でも、トリックプレイを解除することなく継続するか否かの設定を意味する。削除予約の設定とは、トリックプレイにおいて再生中の楽曲の音声ファイルを削除する旨の指示があった場合、その削除を直ちに実行することなく、再生が終了してから行うか否かについての設定を意味する。
【0031】
トリックプレイには、1曲リピートプレイ、ランダムプレイ、スキャンプレイ等が含まれる。表示部4における表示には、トリックプレイの状態や、タイムコード等の再生状態に関する表示が含まれる。記憶部3はRAM等によって構成することができ、その記憶内容には、トリックプレイ継続や削除予約についての設定内容に関する情報が含まれる。
【0032】
図2は、メイン・マイコン1が行う処理の一部(以下、「第1処理」という。)を示すフローチャートである。この第1処理は、トリックプレイを行っている期間中、所定間隔で繰り返される。
【0033】
第1処理を開始すると、まず、ステップ21において、トリックプレイを解除するか否かを判定する。たとえば、ユーザによりトリックプレイを解除する操作やディスクを交換する操作等が行われた場合には、トリックプレイを解除する旨の判定がなされる。トリックプレイを解除する旨の判定を行った場合にはステップ22へ進み、解除しない旨の判定を行った場合にはステップ23へ進む。
【0034】
ステップ22では、トリックプレイを解除して通常の再生モードへ移行し、第1処理を終了する。通常の再生モードに移行すると、今までトリックプレイモードで再生していた曲の次の曲から順次再生されることになる。次の曲としては、たとえば今までトリックプレイにより再生していた曲が存在するフォルダや再生リストのインデックスにおける次の曲が該当する。
【0035】
ステップ23では、演奏曲を削除する操作が行われたか否かを判定する。削除操作が行われなかったと判定した場合は第1処理を終了する。削除操作が行われたと判定した場合にはステップ24へ進み、削除予約の設定がオンとなっているか又はオフとなっているかの判定を行う。削除予約設定がオンであると判定した場合には、再生中の演奏曲(以下、この曲の音声ファイルの名称を「曲A」という。)の音声ファイルを削除することなくステップ25へ進み、削除予約フラグをオンに設定し、「曲A」を記憶して、第1処理を終了する。処理終了後も曲Aの再生は続行される。
【0036】
ステップ24において、削除予約設定がオフであると判定した場合には、ステップ26へ進み、トリックプレイ継続設定がオンとなっているか否かを判定する。トリックプレイ継続設定がオフであると判定した場合は、ステップ27へ進み、曲Aの音声ファイルを削除してトリックプレイを解除するとともに、次の曲から通常の再生を開始し、第1処理を終了する。次の曲としては、たとえば今までトリックプレイにより再生していた曲が存在するフォルダや再生リストのインデックスにおける次の曲が該当する。
【0037】
ステップ26において、トリックプレイ継続設定がオンであると判定した場合には、ステップ28へ進み、曲Aの音声ファイルを削除して、第1処理を終了する。処理終了後もトリックプレイは続行される。つまり、たとえばトリックプレイが1曲リピート再生である場合は、次の曲について1曲リピート再生が継続される。トリックプレイがランダム再生である場合は、次にランダムに選択された曲が再生されることになる。
【0038】
図3はメイン・マイコン1が行う処理の別の一部(以下、「第2処理」という。)を示すフローチャートである。第2処理も、第1処理とともに、トリックプレイを行っている期間中、所定間隔で繰り返される。
【0039】
第2処理を開始すると、まず、ステップ31において、トリックプレイを解除するか否かを判定する。たとえば、ユーザによりトリックプレイを解除する操作等が行われた場合には、トリックプレイを解除する旨の判定がなされる。トリックプレイを解除しない旨の判定を行った場合にはステップ33へ進む。トリックプレイを解除する旨の判定を行った場合にはステップ32において、トリックプレイを解除し、通常の再生モードへ移行した後、第2処理を終了する。
【0040】
ステップ33では、トラックアップ等の操作によってトリックプレイの対象曲や対象フォルダの変更がなされたか否かを判定する。対象の変更がなされたと判定した場合には、ステップ34において削除予約フラグをオフに設定し、図2のステップ25で行った「曲A」の記憶を破棄して、第2処理を終了する。トリックプレイは対象変更後の曲を用いて継続される。
【0041】
ステップ33において対象の変更がなされなかったと判定した場合にはステップ35に進み、曲Aの再生が終了し、かつ削除予約フラグがオンであるか否かを判定する。判定結果が否定的である場合には第2処理を終了する。トリックプレイはそのまま続行されることになる。判定結果が肯定的である場合には、ステップ36へ進み、削除予約フラグをオフに設定し、「曲A」の記憶を破棄して、ステップ37へ進む。
【0042】
ステップ37では、曲Aを本当に削除してよいか否かの指示を求めるメッセージを表示部4に表示してユーザの指示を受け入れ、指示内容に基づき、曲Aの削除を行うか否かを判定する。この間、次の曲についての再生動作は一時停止する。このように削除の確認を求めるようにしたのは、ユーザは、曲Aを聞き終わった時点では、曲Aを削除する意思がなくなっている可能性もあるからである。
【0043】
ステップ37において曲Aの削除を行わないと判定した場合にはステップ39に進む。ステップ37において曲Aの削除を行うと判定した場合には、ステップ38において曲Aの削除を行い、その後、ステップ39に進む。ステップ39では、トリックプレイ継続設定がオンであるか否かを判定する。設定がオンの場合には第2処理を終了する。
【0044】
この場合、トリックプレイは継続されることになる。つまり、たとえばトリックプレイが1曲リピート再生である場合は、次の曲について1曲リピート再生が継続される。トリックプレイがランダム再生である場合は、次にランダムに選択された曲が再生されることになる。
【0045】
ステップ39において、トリックプレイ継続設定がオフであると判定した場合には、ステップ40においてトリックプレイを解除し、通常の再生モードに移行して、第2処理を終了する。通常の再生モードに移行すると、曲Aの次の曲から再生が開始されることになる。
【0046】
図4はトリックプレイ継続設定及び削除予約設定についての設定画面を示す。同図(a)〜(d)では異なる設定状態にある設定画面が示されている。すなわちトリックプレイ継続設定及び削除予約設定についての設定状態は、同図(a)の画面では双方ともオン、同図(b)の画面ではそれぞれオフ及びオン、同図(c)の画面ではそれぞれオン及びオフ、そして同図(d)の画面では双方ともにオフとなっている。各設定状態において、ハードディスクに格納されているトラック3の楽曲が再生され、トリックプレイとして1曲リピート再生が行われているとすれば、上述の図2及び図3の処理によれば、ユーザによる操作に応じ、再生装置は次のように動作する。
【0047】
すなわち、同図(a)の設定状態の場合、ユーザがトラック3を削除する操作を行うと、削除予約モードがオンであるため、トラック3の削除は、直ちには実行されずに(ステップ23、24、25)、予約された形となり、トラック3の再生終了時に行われることになる(ステップ38)。したがって、ユーザはトラック3の楽曲を最後まで聴くことができる。ただし、ユーザが、1曲リピート再生の対象をトラック3の楽曲から他の曲に変更すると、トラック3の削除予約は無効となり(ステップ33、34)、削除は実行されなくなる。
【0048】
トラック3の再生が終了すると、再生が一時停止され、削除意思を確認するメッセージが表示されるので、ユーザはトラック3の削除の実行又は撤回を指示することができる(ステップ37)。削除の実行又は撤回のいずれの場合でも、トリックプレイ継続モードがオンであるため、次のトラック4について1曲リピート再生が開始されることになる。
【0049】
一方、同図(b)の設定の場合、ユーザがトラック3を削除する操作を行うと、削除予約モードがオンであるため、トラック3の削除は、直ちには実行されず(ステップ23、24、25)、予約された形となり、トラック3の再生終了時に行われることになる(ステップ38)。したがって、ユーザはトラック3を最後まで聴くことができる。ただし、ユーザが、1曲リピート再生の対象をトラック3の楽曲から他の曲に変更すると、トラック3の削除予約は無効となり(ステップ33、34)、削除は実行されなくなる。
【0050】
トラック3の再生が終了すると、再生が一時停止され、削除意思を確認するメッセージが表示されるので、ユーザはトラック3の削除の実行又は撤回を指示することができる(ステップ37)。削除の実行又は撤回のいずれの場合でも、トリックプレイ継続モードがオフであるため、1曲リピート再生は解除され、通常再生に移行し、次のトラック4から通常再生が開始されることになる。
【0051】
また、同図(c)の設定の場合には、ユーザがトラック3を削除する操作を行うと、削除予約モードがオフであるため、トラック3の削除は直ちに実行される(ステップ23、24、27、28)。そして、トリックプレイ継続モードがオンであるため、1曲リピート再生は、次のトラック4を対象として継続される(ステップ28)。
【0052】
また、同図(d)の設定の場合には、ユーザがトラック3を削除する操作を行うと、削除予約モードがオフであるため、削除は直ちに実行される(ステップ23、24、27、28)。そして、トリックプレイ継続モードがオフであるため、1曲リピート再生は解除され、通常再生に移行し、次のトラック4からが再生が開始される。
【0053】
ところで、ランダムプレイやスキャンプレイを行う場合には、一度再生した曲については、プレイ対象の全曲について再生が完了するまで、再生対象から除外する、一周管理が行われる。たとえば、プレイ対象のトラックがトラック1〜5の5つあるとすれば、ランダムプレイの場合、トラック番号でみて3→1→5→2→4のように再生され、スキャンプレイの場合には3→4→5→1→2のように再生されるというように、各トラックにつき1回ずつ再生を行い、全対象トラックについて一巡してから、次の一巡についての再生が行われる。
【0054】
図5はランダムプレイ継続及び削除予約ついての設定画面を示す。同図では、ランダムプレイ継続の設定がオン、削除予約の設定がオフとなっている。この場合、ユーザがトラック3を再生してランダムプレイを開始した後、ユーザが聴取中の曲を削除する操作を行うと、削除予約設定がオフであるため、削除は直ちに実行され、トラック4の再生が開始される(ステップ23、24、26、28)。つまり、ランダムプレイ継続設定がオンであるため、トラック4からランダムプレイが継続される。
【0055】
図6はスキャンプレイ継続及び削除予約についての設定画面を示す。同図では、スキャンプレイ継続の設定がオン、削除予約の設定がオフとなっている。この場合、ユーザがトラック3を再生してスキャンプレイを開始した後、ユーザが聴取中の曲を削除する操作を行うと、削除予約設定がオフであるため、削除は直ちに実行され(ステップ23、24、26、28)、トラック4の再生が開始される。つまり、スキャンプレイ継続設定がオンであるため、トラック4からスキャンプレイが継続される。
【0056】
以上の本実施形態によれば、トリックプレイ継続をオン又はオフに設定することによって、トリックプレイモードで再生中の曲を削除する場合にトリックプレイを継続させるか否かを予め決定することができる。
【0057】
また、トリックプレイ継続をオンに設定しておくことにより、聴取中の曲を削除した場合でも、次の曲からトリックプレイが継続されるので、再度トリックプレイの設定を行う手間を省くことができる。
【0058】
また、削除予約をオン又はオフに設定することによって、トリックモードで再生中の曲を削除する場合に、削除を直ちに行うか又はその曲の再生終了後に行うかを予め決定することができる。
【0059】
また、削除予約の設定がオンの場合、削除対象の曲について再生が終了し、削除を実行するときに、削除の意思を再確認するようにしたため、削除する意思を喪失した場合に、削除を中止することができる。
【0060】
なお、本発明は上述実施形態に限定されることなく、適宜変形して実施することができる。たとえば、上述においては、ハードディスクに格納された音声ファイルを対象として再生する場合について述べたが、この代わりに、DVDに記録されているMPEGファイルを対象として再生する場合についても本発明を適用することができる。
【0061】
また、上述においては、トリックプレイとして、1曲リピートプレイ、ランダムプレイ、スキャンプレイを行う場合について述べたが、この代わりに、早送り再生等の他のトリックプレイを行う場合にも、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係る再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】メイン・マイコン1が行う第1処理を示すフローチャートである。
【図3】メイン・マイコン1が行う第2処理を示すフローチャートである。
【図4】トリックプレイ継続設定及び削除予約設定についての設定画面を示す図である。
【図5】ランダムプレイ継続及び削除予約ついての設定画面を示す図である。
【図6】スキャンプレイ継続及び削除予約についての設定画面を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1:メイン・マイコン、2:ハードディスク・ディバイス、3:記憶部、4:表示部、5:入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に記録された削除可能なファイルに基づいて再生を行う再生装置において、トリックプレイで再生中のファイルを削除する旨の指示又はその指示に基づくファイルの削除がなされた場合にそのトリックプレイを継続するか否かの設定を受け入れるトリックプレイ継続設定手段を具備することを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記ファイルの削除の指示又はその指示に基づくファイルの削除がなされたときに、前記設定に基づき、前記トリックプレイの継続又は解除を行う手段を有することを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
前記ファイルの削除を、該ファイルの再生が終了した時点で行う再生終了時削除手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の再生装置。
【請求項4】
前記ファイルの削除を、削除の指示があった時点で行うか、又は該ファイルの再生が終了した時点で行うかの設定を受け入れる削除予約設定手段を有することを特徴とする請求項3に記載の再生装置。
【請求項5】
前記再生が終了した時点でのファイルの削除を実行する前に、本当に削除を実行するか否かの確認の指示を受け入れる手段を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の再生装置。
【請求項6】
前記トリックプレイで再生中のファイルが変更された場合には、前記再生が終了した時点でのファイルの削除は行わないことを特徴とする請求項4又は5に記載の再生装置。
【請求項7】
前記トリックプレイを継続する旨の設定がなされている場合に、前記ファイルの削除の指示又は該指示に基づくファイルの削除が行われたとき、削除されたファイル以外のファイルを用いてトリックプレイの継続を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の再生装置。
【請求項8】
前記トリックプレイが1曲リピート再生であり、前記トリックプレイを継続する旨の設定がなされている場合に、前記ファイルの削除の指示又は該指示に基づくファイルの削除が行われたとき、削除されたファイルの次のファイルを用いてトリックプレイの継続を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の再生装置。
【請求項9】
記録媒体上に記録された削除可能なファイルに基づいて再生を行う再生装置において、再生中のファイルを削除する旨の指示がなされたとき、該ファイルの削除を、該ファイルの再生が終了した時点で実行する手段を具備することを特徴とする再生装置。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1〜9のいずれかの再生装置を構成する各手段として機能させることを特徴とする再生プログラム。
【請求項11】
記録媒体上に記録された削除可能なファイルに基づいて再生を行う再生方法において、トリックプレイで再生中のファイルを削除する旨の指示又はその指示に基づくファイルの削除がなされた場合でもトリックプレイを継続するか否かの設定を受け入れる工程を具備することを特徴とする再生方法。
【請求項12】
記録媒体上に記録された削除可能なファイルに基づいて再生を行う再生方法において、再生中のファイルを削除する旨の指示がなされたとき、該ファイルの削除を、該ファイルの再生が終了した時点で実行する工程を具備することを特徴とする再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−155769(P2006−155769A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345832(P2004−345832)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】