説明

再生装置及び再生方法

【課題】角度多重記録方式のホログラフィックメモリにおいては、ホログラムの再生を行う際、参照光の入射角度に対する公差が厳しいため、参照光の入射角度を高精度かつ高速に制御する。
【解決手段】参照光とは偏光方向が異なる光ビームをホログラム記録媒体に照射し、ホログラム記録媒体からの回折光を検出する。検出された回折光に基づいて参照光の照射角度を制御し、制御された参照光を用いてホログラム記録媒体に記録された情報を再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム記録媒体から情報を再生する再生装置及び再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、青紫色半導体レーザを用いたBlu−ray Disc(BD)規格などにより、50GB程度の記録容量を持つ光ディスクが商品化されている。光ストレージ分野では今後、HDD(Hard Disc Drive)と同程度の100GB〜1TB程度の記録容量を持つ大容量の光ディスクへの期待が高まっている。
【0003】
しかしながら、このような大容量を光ディスクで実現するためには、今までの様な短波長化と対物レンズ高NA化による従来の高密度技術のトレンドとは異なった新しいストレージ技術が必要となる。
【0004】
次世代の光ストレージ技術に関する研究が行われる中、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録するホログラム記録技術が注目を集めている。
【0005】
ホログラム記録技術とは、空間光変調器により2次元的に変調されたページデータの情報を有する信号光と、参照光とを記録媒体の内部で重ね合わせ、その時に生じる干渉縞パターンによって記録媒体内に屈折率変調を生じさせることで情報を記録する技術である。
【0006】
また情報の再生時には、記録時に用いた参照光を同じ配置で記録媒体に照射すると、記録媒体中に記録されているホログラムが回折格子のように作用して回折光を生じる。この回折光が記録した信号光と位相情報を含めて同一の光として再生される。
【0007】
再生された信号光は、CMOSやCCDなどの光検出器を用いて2次元的に高速に検出される。このようにホログラム記録では、1つのホログラムで2次元的な情報を同時に記録/再生され、また同じ場所に複数のページデータを重ね書きすることができるため、大容量かつ高速な情報の記録再生に有効である。
【0008】
ホログラム記録技術として、例えば特開2004−272268号公報(特許文献1)がある。本公報には、信号光束をレンズで光情報記録媒体に集光すると同時に、平行光束の参照光を照射して干渉させてホログラムの記録を行い、さらに参照光の光記録媒体への入射角度を変えながら異なるページデータを空間光変調器に表示して多重記録を行う、いわゆる角度多重記録方式が記載されている。
【0009】
例えば特開2001−118253号公報(特許文献2)では、回折光の検出強度が極大値となるように参照光の入射角度を制御する方法が開示されている。その要約には「空間偏光分布によりデータ情報を保持する信号光4を、参照光5によって、偏光方向を記録できる光記録媒体10に、ホログラムとして記録する。読み出し時、光記録媒体10に読出光5を照射して回折光6を読み出し、回折光8Rをモニタ用光検出器43で検出して、その検出強度が極大値または所定値となるように、読出光5の照射角度を制御する。この状態で得られる回折光7のS偏光成分9SおよびP偏光成分9Pを、光検出器アレイ45Sおよび45Pで検出して、データ情報を読み取る。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−272268号公報
【特許文献2】特開2001−118253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、角度多重記録方式においては、ホログラムの再生を行う際、参照光の入射角度に対する公差が厳しい。例えば、記録時の媒体収縮、もしくは、記録時と再生時の温度変化による媒体の収縮または膨張や屈折率変化等の影響により、参照光の適切な角度の条件は、記録時とは必ずしも一致しない。
【0012】
特許文献2では、光記録媒体に参照光を照射して回折光を読み出し、回折光をモニタ用光検出器で検出して、その検出強度が極大値または所定値となるように、参照光の照射角度を制御している。しかし、特許文献2では、回折光の検出強度が極大値となる点を探すために、事前に参照光の角度を走査して極大値を見つける時間が別途必要であり、その点が高速化に課題となる。
【0013】
そこで、本発明の目的は、適切な参照光の入射角度を高精度かつ高速に検出する事である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記課題を鑑みたものであり、その一例として、参照光と偏光方向が異なる光ビームをホログラム記録媒体に照射し、ホログラム記録媒体からの回折光を検出する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、適切な参照光の入射角度を高精度かつ高速に検出する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ホログラフィックメモリ装置の全体的な構成
【図2】ホログラフィックメモリ装置の光学系の実施例
【図3】ホログラフィックメモリ装置の再生時において、ホログラム記録媒体に光ビームを照射する様子を示す概略図
【図4】制御用光の入射角度と検出光量の関係を示す概略図
【図5】角度多重記録の様子を描写した概略図
【図6】実施例2にかかわるiページ目のページデータ再生時の参照光と制御用光の様子を示す概略図
【図7】実施例2にかかわるiページ目のページデータ再生時の制御用光の入射角度と検出光量の関係を示す概略図
【図8】適切な入射角度の値を検出するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0018】
まず、本実施例における装置の全体的な構成の一例について説明する。図1はホログラフィを利用してデジタル情報を記録および/または再生するホログラフィックメモリ装置の全体的な構成を示したものである。ホログラフィックメモリ装置は、例えば図2に示すような構成の光ピックアップ装置60、ディスクCure光学系80、ディスク回転角度検出用光学系90ならびに回転モータ70を備えており、ホログラム記録媒体100は回転モータ70によって回転可能な構成となっている。
【0019】
光ピックアップ装置60は、参照光と信号光をホログラム記録媒体100に出射してホログラフィを利用してデジタル情報を記録する役割を果たす。
【0020】
この際、記録する情報信号はコントローラ89によって信号生成回路86を介して光ピックアップ装置60内の空間光変調器に送り込まれ、信号光は該空間光変調器によって変調される。
【0021】
ホログラム記録媒体100に記録した情報を再生する場合は、参照光の位相共役光を用いて再生する。ここで位相共役光とは、入力光と同一の波面を保ちながら逆方向に進む光波のことである。該位相共役光によって再生される再生光を光ピックアップ装置60内の撮像素子24によって検出し、信号処理回路85によって信号を再生する。
【0022】
ホログラム記録媒体100に照射する参照光と信号光の照射時間は、光ピックアップ装置60内のシャッタ4の開閉時間をコントローラ89によってシャッタ制御回路87を介して制御することで調整できる。
【0023】
ディスクCure光学系80は、ホログラム記録媒体100のプリキュアおよびポストキュアに用いる光ビームを生成する役割を果たす。ここでプリキュアとは、ホログラム記録媒体100内の所望の位置に情報を記録する際、該所望位置に参照光と信号光を照射する前に予め所定の光ビームを照射する前工程の事である。またポストキュアとは、ホログラム記録媒体100内の所望の位置に情報を記録した後、該所望の位置に追記不可能とするために所定の光ビームを照射する後工程の事である。
【0024】
ディスク回転角度検出用光学系90は、ホログラム記録媒体100の回転角度を検出するために用いられる。ホログラム記録媒体100を所定の回転角度に調整する場合は、ディスク回転角度検出用光学系90によって回転角度に応じた信号を検出し、検出された信号を用いてコントローラ89によってディスク回転モータ制御回路88を介してホログラム記録媒体100の回転角度を制御する事が出来る。
【0025】
光源駆動回路82からは所定の光源駆動電流が光ピックアップ装置60、ディスクCure光学系80、ディスク回転角度検出用光学系90内の光源に供給され、各々の光源からは所定の光量で光ビームを発光することができる。
【0026】
また、光ピックアップ装置60、ディスクCure光学系80は、ホログラム記録媒体100の半径方向に位置をスライドできる機構が設けられており、アクセス制御回路81を介して位置制御がおこなわれる。
【0027】
ところでホログラフィを利用した記録技術は、超高密度な情報を記録可能な技術であるがゆえに、例えばホログラム記録媒体100の傾きや位置ずれに対する許容誤差が極めて小さくなる傾向がある。それゆえ光ピックアップ装置60内に、実施例1や実施例2に示すように参照光の入射角度を制御するための仕組みや、また例えばホログラム記録媒体100の傾きや位置ずれ等、許容誤差が小さいずれ要因のずれ量を検出する機構を設けて、サーボ信号生成回路83にてサーボ制御用の信号を生成し、サーボ制御回路84を介して該ずれ量を補正するためのサーボ機構をホログラフィクメモリ装置内に備える。
【0028】
なお光ピックアップ装置60、ディスクCure光学系80、ディスク回転角度検出用光学系90は、いくつかの光学系構成または全ての光学系構成をひとつに纏めて簡素化しても構わない。
【0029】
図3は本実施例におけるホログラフィックメモリ装置において、情報が記録されたホログラム記録媒体100からページデータを再生する際、ホログラム記録媒体100に照射する光ビームを描写した概略図である。図3に示すように、本実施例ではページデータが記録されたホログラム記録媒体100に参照光200および制御用光300を照射する。ここで、参照光200と制御用光300の偏光方向は互いに直交させている。
【0030】
参照光200と制御用光300の偏光方向は互いに直交しているため、ホログラム記録媒体100から回折される回折光のうち、参照光200によって発生する第1の回折光400の偏光方向と、制御用光300によって発生する第2の回折光600の偏光方向も互いに直交する。よって、例えばホログラム再生像を検出する撮像素子24の手前に偏光ビームスプリッタ10を配置することで、第1の回折光400と第2の回折光600を分離することができる。なお、参照光200と制御用光300が十分に分離できる程度であれば、この2つの光の偏光方向は直交でなくてもよい。
【0031】
本実施例では、ホログラム記録媒体100に対する制御用光300の入射角度φを、参照光200の入射角度とは独立に制御可能としている。再生を行うページデータが記録されているホログラムに対して制御用光300を照射し、制御用光300の入射角度を離散的または連続的に変化させ、ホログラム記録媒体100から回折される回折光600の光量を光検出器50で検出し、図4に示すように検出光量がピーク値となる制御用光300の入射角度φを検出する。ピーク値となる制御用光300の入射角度φの検出方法としては、例えばサンプリングした検出光量の値を所定の関数でカーブフィッティングし、その極値を用いる方法であっても良い。または閾値を設け、検出光量が該閾値を超える時の入射角度を検出する方法でも良い。この場合は、ホログラム記録媒体100に入射する制御用光300の光量を一定に保つことで、検出光量の変動が低減できるので検出精度が向上する。
【0032】
ここでホログラム記録媒体100に複数のページデータが角度多重で記録されている場合は、再生を行うページの隣接ページによる影響を避けるため、前述した入射角度を離散的または連続的に変化させる際の走査範囲の幅を所定の値以下に設定する。例えば記録時において、図5(b)に示すように参照光の入射角度がθで記録されたiページ目のページデータを再生する時は、図5(a)(c)に示すように隣接ページが記録されている入射角度をθi-1とθi+1とした場合、前述した入射角度の走査範囲の幅は、|θi-1−θi+1|よりも小さい幅に設定する。例えばこの様に設定することで、隣接ページによる回折光の強度ピークを検出する可能性を大幅に低減でき、隣接ページによる影響を避けることができる。
【0033】
ホログラム記録媒体100に対して、入射角度φで制御用光300を照射したとき、ホログラム記録媒体100から回折される回折光の強度がピーク値となるので、参照光200の入射角度をφに設定し、撮像素子24にてページデータを再生する。
【0034】
図2は再生時において、ホログラフィックメモリ装置内における制御用光300の伝播の様子を描写した概略図である。レーザ光源1を出射した光ビームは、偏光ビームスプリッタ2、コリメートレンズ3、シャッタ4を透過し、偏光方向変換素子5に入射する。偏光方向変換素子5は、所望の光量が偏光ビームスプリッタ6を透過するように、光ビームの偏光状態を変える。偏光ビームスプリッタ6を透過した光ビームは、偏光方向変換素子15によって偏光の方向が変わり、偏光ビームスプリッタ16によって参照光200と制御用光300に分岐する。図2において、偏光方向変換素子15を透過した後、偏光ビームスプリッタ16を透過する光ビームを参照光200とし、偏光方向変換素子15を透過した後、偏光ビームスプリッタ16を反射する光ビームを制御用光300としている。
【0035】
なお、この場合、参照光200の光量は偏光ビームスプリッタ16を透過する前の光量に比べ減少する。参照光は高品位な2次元ページデータの各画素を検出するために用いられるため、大きな強度が必要となる。よって、例えば参照光200と制御用光300の光量の比が9:1または8:2程度となるように分離することが望ましい。また、例えばレーザ光源1を出射した光ビームの光量を記録する際の参照光の光量よりも大きくしてもよい。しかし、本発明はこれらに限定されない。
【0036】
偏光ビームスプリッタ16を反射した制御用光300は、4分の1波長板25とミラー26で構成される反射面によって、進行方向が折り返された後、偏光ビームスプリッタ16を透過する。偏光ビームスプリッタ16を透過した制御用光300は、4分の1波長板27と可変ミラー28で構成される反射面を折り返して、偏光ビームスプリッタ16を反射する。本実施例では、制御用光300の入射角度φを、参照光200の入射角度とは独立に制御可能とするため、可変ミラー28を用いている。本実施例において、可変ミラー28の反射面の角度走査範囲は、制御用光300の入射角度φを所定量だけ走査できれば十分なので、後述するガルバノミラー19の角度走査範囲よりも狭くて構わない。ゆえに可変ミラー28の反射面角度は、例えばピエゾ素子、音響光学スキャナ素子または電気光学スキャナ素子等によって制御することで出来、高速に角度を走査する事ができる。
【0037】
このような光学系構成とすることで、参照光200と制御用光300の偏光方向を直交させる事ができる。互いに偏光方向が直交する参照光200と制御用光300は、ミラー17、ミラー18、ガルバノミラー19、レンズ20、レンズ21を介して、ホログラム記録媒体100に入射する。
【0038】
本実施例では、ホログラム記録媒体100を透過し、4分の1波長板22、ガルバノミラー23を介して、再びホログラム記録媒体100に入射する光の回折光を検出する構成としている。制御用光300の回折光600は、対物レンズ14、リレーレンズ12、空間フィルタ13、偏光ビームスプリッタ10を透過する。
【0039】
空間光変調器11を反射した回折光600が偏光ビームスプリッタ10を反射するように、空間光変調器11は、例えば全ての画素に対してONの設定、つまり全ての画素に対して偏光方向が90度回転する設定となっている。一般に、記録されるページデータにおけるONの画素数は最大でも全画素の50%程度、つまりページデータ内の約半分はOFFのため、記録時において空間光変調器11によって偏光方向が90度回転する光量は約半分程度である。空間光変調器11によって偏光方向が90度回転した光が、偏光ビームスプリッタ10を反射して光検出器50の方へ伝播するため、本実施例では、記録時にONと設定する画素の数に比べて、再生時にONと設定する画素の数の方を多くしている。これにより光利用効率を高くできる。
【0040】
空間光変調器11を反射した回折光600はリレーレンズ9、位相マスク8、リレーレンズ7を透過し、偏光ビームスプリッタ6を反射する。偏光ビームスプリッタ6を反射した回折光600は、偏光方向変換素子5、シャッタ4、コリメートレンズ3を透過し、偏光ビームスプリッタ2を反射する。偏光ビームスプリッタ2を反射した回折光600は光検出器50によって、その光量が検出される。
【0041】
ホログラム記録媒体100に入射する制御用光300の入射角度は、可変ミラー28によって、参照光200の入射角度に影響を与えることなく変化させることができるので、可変ミラー28によって制御用光300の入射角度を走査させ、回折光600の光量がピークとなる入射角度を光検出器50の出力値を用いて検出する。
【0042】
一方、参照光200の回折光400は、対物レンズ14、リレーレンズ12を透過し、偏光ビームスプリッタ10を反射して、CCDやCMOS等の撮像素子24にて検出される。この際、ホログラム記録媒体100に入射する参照光200の入射角度は、前述した回折光600の光量がピークとなる制御用光300の入射角度に設定する。
【0043】
本実施例において、光検出器50はCCDやCMOSである必要は無く、例えばBDドライブで用いる光ピックアップが信号検出用に備えるフォトダイオード等を光検出器50として用いることができるため、高速に光量を検出でき、回折光の光量がピーク値となる入射角度を高速に検出できる。ここで、2次元的に画素が配置されたCCDやCMOSなどの撮像素子の応答周波数は、従来の光ディスクシステムであるBDやDVD等で信号を検出するのに用いられる様なフォトダイオードの応答周波数よりも低いため、CCDやCMOSなどの撮像素子は高速化の観点で不利となる。
【0044】
なお光検出器50の設置位置は図4に示した位置に限定されるものではなく、回折光600を検出できる場所であれば、どの位置であっても構わない。例えば、偏光ビームスプリッタを対物レンズ14と偏光ビームスプリッタ10の間に設け、光検出器50が制御用光300を検出できるような構成としてもよい。これにより、制御用光300は空間光変調器11を通過ぜすに済むので、より光利用効率を高くできる。
【0045】
また本実施例では、回折光の光量がピーク値となる入射角度を検出し、その値を参照光の入射角度に設定する。ゆえに本実施例を用いれば、再生品質の低下を回避でき、また高速に適切な入射角度を検出できる。
【0046】
また、本実施例では、制御用光300を出射するために別途レーザー光源を設ける必要がないため装置の小型化またはコストの低減が図れる。
【0047】
また、照射する参照光の波長が少しずれただけで適切な参照光角度がずれるため、参照光200と制御用光300は同一であることが望ましいが、本実施例では、単一のレーザー光源を用いるため制御用光300と参照光200の波長ずれの可能性を低減できる。
【実施例2】
【0048】
本実施例におけるホログラフィックメモリ装置において、回折光600の光量がピークとなる入射角度を光検出器50の出力値を用いて検出するタイミングは、例えば1ページ目、2ページ目、・・・、iページ目、i+1ページ目、・・・とページデータを再生する場合、i+1ページ目のページデータを再生するための参照光200の入射角度を予め求めるために、iページ目のページデータを再生中に検出しても良い。図6を用いて、以下、詳細に述べる。
【0049】
前述したように、ホログラム記録媒体100には、互いに偏光方向が直交した参照光200と制御用光300が入射される。ここで参照光200の入射角度は、予めiページ目のページデータを再生するための入射角度に設定されており、撮像素子24によってiページ目のページデータが再生される。iページ目のページデータを再生中、制御用光300は、i+1ページ目のページデータに対応したホログラムから回折光が発生するような入射角度に設定され、その入射角度は所定の範囲内で走査される。制御用光300の回折光600は光検出器50によって検出され、図7に示すように、回折光強度がピーク値となる入射角度を検出する。この入射角度が、i+1ページ目のページデータを再生するのに適切な入射角度であるので、この様にしてi+1ページ目のページデータを再生するための参照光200の入射角度を予め求める。
【0050】
前述の一連の動作をフローチャートに纏めたものを図8に示す。まずiページ目のページデータを再生するために、参照光200の入射角度をφに設定する。iページ目のページデータの再生を開始し、この再生中に、i+1ページ目のページデータに対応したホログラムに対して制御用光300の入射角度を走査し、回折光の強度がピーク値となる入射角度φ0を検出する。つまり、i+1ページ目のページデータを再生するのに適切な参照光200の入射角度を予め求めておく。iページ目のページデータの再生を終了し、続いて再生するi+1ページ目に対応した参照光の入射角度φi+1として、検出したφに設定する。i+1ページ目のページデータの再生を開始し、この動作が繰り返されることとなる。
【0051】
本実施例では、ページデータを再生中に、一つ先のページデータを再生する際に設定する参照光200の入射角度を予め検出することとしたが、本発明は、一つ先のページデータに限定されるわけではなく、二つ先や三つ先など、これから再生する予定のページデータであれば、前述の方法を用いて、再生する際に設定する参照光200の入射角度を予め検出する事ができる。
【0052】
以上本実施例では、ページデータを再生中に、並行して、次に再生するホログラムに対して適切な入射角度の検出を予め行うため、再生品質を高めつつ、転送速度の高速化を実現できる。
【符号の説明】
【0053】
1・・・光源、2・・・偏光ビームスプリッタ、3・・・コリメートレンズ、
4・・・シャッタ、5・・・偏光方向変換素子、
6・・・偏光ビームスプリッタ、7・・・リレーレンズ、8・・・位相マスク
9・・・リレーレンズ、10・・・偏光ビームスプリッタ、
11・・・空間光変調器、12・・・リレーレンズ、13・・・空間フィルタ、
14・・・対物レンズ、15・・・偏光方向変換素子、16・・・偏光ビームスプリッタ、
17・・・ミラー、18・・・ミラー、19・・・ガルバノミラー、20・・・レンズ、
21・・・レンズ、22・・・4分の1波長板、23・・・ガルバノミラー、
24・・・撮像素子、25・・・4分の1波長板、26・・・ミラー、27・・・4分の1波長板、
28・・・可変ミラー、50・・・光検出器、
60・・・光ピックアップ装置、70・・・回転モータ、80・・・ディスクキュア光学系、
81・・・アクセス制御回路、82・・・光源駆動回路、83・・・サーボ信号生成回路、
84・・・サーボ制御回路、85・・・信号処理回路、86・・・信号生成回路、
87・・・シャッタ制御回路、88・・・ディスク回転モータ制御回路、
89・・・コントローラ、90・・・ディスク回転角度検出用光学系、100・・・ホログラム記録媒体、200・・・参照光、300・・・制御用光、
400・・・回折光、600・・・回折光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉パターンがページデータとして記録されているホログラム記録媒体から情報を再生する再生方法であって、
参照光とは偏光方向が異なる光ビームを複数の角度でホログラム記録媒体に照射し、
前記照射による回折光を検出し、
前記検出された回折光に基づいて参照光の照射角度を制御し、
前記制御された参照光を用いてホログラム記録媒体に記録された情報を再生することを特徴とする再生方法。
【請求項2】
請求項1記載の再生方法であって、
前記光ビームは、参照光から分離されることを特徴とする再生方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の再生方法であって、
第1のページデータを再生中に、前記第1のページデータとは異なる第2のページデータに対応する照射角度で前記光ビームをホログラム記録媒体に照射することを特徴とする再生方法。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の再生方法であって、
参照光の入射角度がθで記録されたiページ目のページデータを再生する場合、隣接ページであるi−1ページ目ならびにi+1ページ目を記録した参照光入射角度をそれぞれθi-1とθi+1とすると、前記光ビームの入射角度を変化させる走査範囲の幅は|θi-1−θi+1|よりも小さい幅であることを特徴とする再生方法。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載の再生方法であって、
参照光の照射角度の制御は、第1の入射角走査部でなされ、
前記光ビームの照射角度の制御は、第2の入射角走査部でなされ、
前記第2の入射角走査部の角度走査範囲は、前記第1の入射角走査部の角度走査範囲よりも小さいことを特徴とする再生方法。
【請求項6】
請求項5記載の再生方法であって、
前記第2の入射角走査部の走査速度は、前記第1の入射角走査部の走査速度よりも速いことを特徴とする再生方法。
【請求項7】
請求項5または6記載の再生方法であって、
前記第2の入射角走査部は、ピエゾ素子、音響光学スキャナ素子及び電気光学スキャナ素子のいずれか及び反射ミラーにより構成されることを特徴とする再生方法。
【請求項8】
請求項1〜7いずれかに記載の再生方法であって、
前記回折光の検出は、フォトダイオードによりなされることを特徴とする再生方法。
【請求項9】
請求項1〜8いずれかに記載の再生方法であって、
前記検出された回折光の光量に基づいて参照光の照射角度を制御することを特徴とする再生方法。
【請求項10】
請求項1〜9いずれかに記載の再生方法であって、
前記光ビームと参照光の偏光方向は互いに直交することを特徴とする再生方法。
【請求項11】
干渉縞をページデータとしてホログラム記録媒体に記録した情報を再生する再生装置において、
参照光を出射するレーザー光源と、
参照光とは偏光方向が異なる光ビームを生成する光ビーム生成部と、
参照光の入射角度の角度走査範囲を走査する第1の入射角走査部と、
前記光ビームの入射角度の角度走査範囲を走査する第2の入射角走査部と、
ホログラム記録媒体に対して前記第2の入射角走査部によって前記光ビームの入射角度を変化させて前記光ビームを照射することにより、ホログラム記録媒体からの回折光を検出する光検出部と、
を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項12】
請求項11記載の再生装置において、
前記光ビーム生成部は、参照光から分離することにより前記光ビームを生成することを特徴とする再生装置。
【請求項13】
請求項11または12記載の再生装置において、
第1のページデータを再生中に、前記第1のページデータとは異なる第2のページデータに対応する照射角度で前記光ビームをホログラム記録媒体に照射することを特徴とする再生装置。
【請求項14】
請求項11〜13いずれかに記載の再生装置であって、
参照光の入射角度がθで記録されたiページ目のページデータを再生する場合、隣接ページであるi−1ページ目ならびにi+1ページ目を記録した参照光入射角度をそれぞれθi-1とθi+1とすると、前記光ビームの入射角度を変化させる走査範囲の幅は|θi-1−θi+1|よりも小さい幅であることを特徴とする再生装置。
【請求項15】
請求項11〜14いずれかに記載の再生装置において、
前記第2の入射角走査部の角度走査範囲は、前記第1の入射角走査部の角度走査範囲よりも小さいことを特徴とする再生装置。
【請求項16】
請求項11〜15いずれかに記載の再生装置において、
前記第2の入射角走査部は、前記第1の入射角走査部よりも走査速度が速いことを特徴とする再生装置。
【請求項17】
請求項11〜16いずれかに記載の再生装置において、
前記第2の入射角走査部は、ピエゾ素子、音響光学スキャナ素子及び電気光学スキャナ素子のいずれか及び反射ミラーで構成されていることを特徴とする再生装置。
【請求項18】
請求項11〜17いずれかに記載の再生装置において、
前記光検出部は、フォトダイオードであることを特徴とする再生装置。
【請求項19】
請求項11〜18いずれかに記載の再生装置において、
明部と暗部からなる2次元的に変調されたページデータの情報を有する信号光を生成するための2次元的に画素を配列した空間光変調器を、備え、
明部に対応する画素の設定をON、暗部に対応する画素の設定をOFFとした場合、記録のときにONと設定された画素の数に比べて、再生のときにONと設定された画素の数の方が多い事を特徴とする再生装置。
【請求項20】
請求項11〜19いずれかに記載の再生装置において、
前記光ビームと参照光の偏光方向は互いに直交することを特徴とする再生装置。
【請求項21】
請求項11〜20いずれかに記載の再生装置であって、
前記光検出部の光量に基づいて前記第1の入射角走査部を制御する制御部と、を備え、
前記制御された第1の入射角走査部で参照光をホログラム記録媒体に照射し、情報を再生することを特徴とする再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−53943(P2012−53943A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195278(P2010−195278)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】