説明

冶金プロセスの廃ガス流量を間接的に決定する方法

本発明は、冶金プロセスにおいて廃ガス流量を間接的に決定する方法に関する。この目的のため、標準ガスと廃ガスとの完全な混合が行われるように、すなわち実質的に均質な分布が得られるように、具体的には流れに関してサンプルの採取より十分に先行する時点で、ヘリウムなどの標準ガスを最初に廃ガスに加え、ヘリウムの添加量を考慮しながら、質量分析計による測定によって廃ガスのヘリウムおよび窒素の定量分析を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金プロセスにおける廃ガス流量(廃ガス速度)を間接的に決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃ガスに関する情報、例えば、その経時的な組成および/または量は、冶金プロセスを制御する重要な要素である。
【0003】
PCT/EP2005/006848号には、特にコンバータにおける非接触の廃ガス測定方法が開示されており、廃ガス体積のセグメントがFTIR(フーリエ変換赤外)分光計によって測定される。
【0004】
独国特許出願公開第2839316号明細書に記載された別の方法では、サンプルの質量分析モニタリングが、サンプル中のCO、CO、N、および標準ガスに関して選択されたピークのイオン電流で行われる。標準ガスは、たとえばヘリウムであることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、冶金プロセスにおける廃ガス流量をより正確に示すことのできる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る方法では、標準ガスと廃ガスとの完全な混合が行われるように、すなわち実質的に均質な分布が得られるように、具体的には流れに関してサンプルの採取より十分に先行する時点で、ヘリウムなどの標準ガスを最初に廃ガスに加える。
【0007】
次に、ヘリウムに基づく廃ガス流量の間接的な決定では、ヘリウムの添加量を考慮しながら、質量分析計による測定によって、廃ガス中のヘリウムおよび窒素の定量分析を行う。
【0008】
この2つを合わせることにより、次式によって廃ガス流量を算出することが可能になる。
【数1】

は、算出された廃ガス流量Nm/分である。
HeBは、測定されたヘリウム流量Nm/分である。
は、算出された侵入空気Nm/分である。
Heは、測定された廃ガス中のヘリウム濃度(−)である。
HeAirは、測定された空気中のヘリウム濃度(−)であり、5.2ppmに相当する。
【0009】
侵入空気は次式によって求めることができる。
【数2】

N2S=QN2B+QN2Steel (3)
とHeは、測定された廃ガス中の窒素濃度とヘリウム濃度である。
2AirとHeAirは、空気中の窒素濃度とヘリウム濃度であり、0.78と5.2E−4の値に相当する。
N2Sは、供給源からの窒素の流量Nm/分である。
N2Bは、測定された窒素の流量(プロセスガス)Nm/分である。
N2Steelは、脱ガス生成物として算出された窒素の流量Nm/分である。
【0010】
式(2)および式(3)を式(1)に挿入したとき、廃ガス流量は次の形式にまとめることができる。
【数3】

【0011】
式のマイナス成分は、全体として算出された廃ガスの流量において、特殊鋼処理の場合に液体鋼に吹き込まれる酸素の流量(QN2B)および液体鋼の脱ガスにおける窒素の流量(QN2Steel)の影響を示すものである。
【0012】
通常の状況下では、攪拌ガスまたは不活性ガスとしてアルゴンが用いられて、脱ガス中に生じる窒素の量のみが廃ガス流量の算出精度に関して理論的な重要性を有する。これは全体の廃ガスの流量と比較して非常に少ないため、無視できる。
【0013】
測定装置(質量分析計)によって求められる廃ガス流量Nm3/分は、以下の簡易式で求められる。
【数4】

【0014】
精度±(0.005÷0.007%)で炭素収支を得ることができる、廃ガス中の必要とされる最低ヘリウム濃度の概算は、以下の通りである。
約100×HeAir
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1は、冶金プロセスの制御に適用される上述の測定システムを示し、具体的には、VODプロセスの例である。本発明の理解に必要な部分のみ図に示す。
【0016】
ヘリウムを廃ガス流に注入する。その量は廃ガス圧に応じて調節する。ヘリウム供給源、廃ガス圧力計、およびヘリウム流調整器は、図に示すように配置されている。
【0017】
ヘリウムの添加量に対応する値を測定装置によって得て、それを算出に用いる。
【0018】
次に、廃ガス流からサンプルを採取して、測定ステーションに供給する。
【0019】
次いで、流量QHeB、ガス濃度X%、N処理ガス量QN2Bから上述の式に従い、測定精度が必要とされる場合、N反応ガス量QN2Steelを考慮して、廃ガスの流量Qを求める。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
冶金プロセスにおいて廃ガス流量を間接的に決定する方法であって、標準ガスと廃ガスとの完全な混合が行われるように、すなわち実質的に均質な分布が得られるように、具体的には、ヘリウムなどの標準ガスを最初に廃ガスに加えた後、この廃ガスからサンプルを採取し、ヘリウムの添加量を考慮しながら、質量分析計による測定によって廃ガス中のヘリウムおよび窒素の定量分析を行うことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記流量が、ヘリウムの供給源において調整されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
、CO、CO、N、Ar、He、Hが質量分析によって求められることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
廃ガス流量が次式によって求められることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【数1】


【公表番号】特表2010−538279(P2010−538279A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523266(P2010−523266)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【国際出願番号】PCT/DE2008/001336
【国際公開番号】WO2009/030192
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(500031054)エスエムエス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト (31)
【氏名又は名称原語表記】SMS Siemag AG
【住所又は居所原語表記】Eduard−Schloemann−Strasse 4, D−40237 Duesseldof, Germany
【Fターム(参考)】