説明

冷却システムなどの溶接部、パイプ、容器等を遠隔で調査し処置する方法及び装置

【課題】パイプ溶接部の応力腐食割れを緩和するためにパイプ溶接部(62)の内周(ID)を遠隔でブラッシングするためのツール(10)が開示される。
【解決手段】 ツール(10)は、パイプ(60)の入り口に位置し、溶接位置までパイプ(60)内を移動する。溶接位置に到達すると、ツール(10)は自身を固定し、そして溶接部(62)の内周(ID)に触れるまでブラシを軸方向や(または)放射状に前進させる。ブラシ(52)を徐々にパイプ(60)の軸に沿って指標付ける一方で、ツール(10)はブラシ(52)を溶接部(62)の内周(ID)を環状に動かす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所に関するものであり、より具体的には、加圧水炉プランにおける原子炉冷却材システムの溶接部、パイプや(または)その他の部品における応力腐食割れを軽減するためのツールに関する。
【0002】
加圧水炉プラント(PWR)の原子炉冷却システム(RCS)のパイプ及び/又他の部品における、又は直接的にRCSパイプシステムや(または)他の部品における、ニッケルベース溶接部(例えば合金600タイプ溶接部)は応力腐食割れの影響を受けやすい。このような金属溶接部における一次冷却水による応力腐食割れ(PWSCC)は、原子力業界が直面している重要な課題である。応力腐食割れが度々起こることは、強制的停止または停止の延長、さらなる調査要求、補修及び交換、及び監督機関によるさらなる原子炉調査などが必要となって、原子力産業に膨大な費用負担をかける。PWR原子炉におけるRCSパイプ及び他の部品の劣化を管理することは、原子炉の継続する安全作業及び高い信頼性に対して重要な意味を持つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
PWSCC軽減戦略を適用する目的で、原子炉冷却システムパイプや他の要素のPWSCCの疑わしい領域を調査し評価することは、特に調査が困難で、修復や交換というオプションがコスト的に極めて高い分野では、望ましい。なぜなら、RCSのパイプシステムや他のSCCの影響を受けやすい部品における、ニッケルベース溶接部または疑わしい基板部金属や溶接部金属において、PWSCCを低減することは、RCSパイプシステムや(または)他の部品の修復や(または)交換を遅らせることがあるからである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の代表的な実施形態に従った、原子炉冷却システム又は他のプロセスの適用分野において使用される溶接部、パイプ、容器や(または)他の部品を調査し(若しくは)処置するためのツールは、パイプの内部を軸方向に移動するための第一ユニットと、パイプの内部を軸方向に移動するための第二ユニットと、第一ユニット及び第二ユニットの間を伸びる結合器と、第一ユニットに接続されるエンドエフェクターユニットと、を具備する。第一ユニットは、第一ユニットから放射状に伸長可能な複数の第一脚部を有している。第二ユニットは、第二ユニットから放射状に伸長可能な複数の第二脚部を有している。結合器は前記第二ユニットに軸方向に出入り可能である。エンドエフェクターユニットは、エンドエフェクターを事前に選択される溶接部、パイプ、又は容器位置や(または)他の要素に運搬し操作することが可能である。
【0005】
本発明の他の実施形態において、原子炉冷却システム又は他のアプリケーションにおいて溶接部、パイプ、容器や(または)他の部品での応力腐食割れを軽減するために使用される溶接部、パイプ、容器や(または)他の部品をブラッシングするためのツールは、パイプ内部を軸方向に移動するためのフロントユニットと、パイプ内部を軸方向に移動するためのリアユニットと、フロントユニット及びリアユニットを結合しその間を伸びる結合器と、フロントユニットに接続されるブラシユニットと、からなる。フロントユニットは、フロントユニットから放射状に伸長可能な複数の第一脚部を有し、リアユニットは、リアユニットから放射状に伸長可能な複数の第二脚部を有する。結合器は、フロントユニットとリアユニットとを互いに遠くへ及び互いに向けて移動するために、リアユニットに軸方向に出入り可能である。ブラシユニットは、接続部の内周にブラシが触れるまでブラシを放射状に前進させること、接続部の内周の周りを環状にブラシを回転させること、及びパイプに沿ってブラシを軸方向に指標付けすること、が可能である。従ってツールは接続部の中に存在するであろう応力腐食割れを軽減する。フロントユニットは、複数の第一脚部をフロントユニットに放射状に出し入れするための複数の第一作動装置を含み、リアユニットは、複数の第二脚部をリアユニットに放射状に出し入れするための複数の第二作動装置を含む。リアユニットは作動装置であり、結合器はリアユニットに出入り可能であり、ブラシユニットは、事前に選択された溶接部、パイプ又は容器位置及び又は他の部品をブラッシングするためのブラシに回転可能に搭載されるブラシヘッドを有する。ブラシヘッドはリバーシブルスクリュードライブに接続されており、溶接部、パイプ又は容器位置や(または)他の部品にブラシヘッドを向けて及びそこから離れた位置に放射状に移動させる。またブラシユニットは、溶接部、パイプ又は容器位置や(または)他の部品にそってブラシを軸方向に指標付けるためのリニア作動装置を含むため、溶接部、パイプ又は容器位置や(または)他の部品の内部の応力腐食割れ又はその内部で他の方法で発生するであろう応力腐食割れを軽減する。
【0006】
本発明の更に代表的な実施形態において、原子炉冷却システム又は他の処理アプリケーションで使用される、溶接部、パイプ、容器を調査や(または)処理するための方法は、ツールを提供する工程を含む。ツールは、パイプ内部を軸方向に移動するためのフロントユニットと、パイプ内部を軸方向に移動するためのリアユニットと、フロントユニット及びリアユニットの間を伸びる結合器と、フロントユニットに回転可能に接続されるエンドエフェクターユニットと、からなる。フロントユニットは、フロントユニットから放射状に伸長可能な複数の第一脚部を有し、リアユニットは、リアユニットから放射状に伸長可能な複数の第二脚部を有する。結合器は、フロントユニットとリアユニットとを互いに遠くへ及び互いに向けて移動するために、リアユニットに軸方向に出入り可能である。エンドエフェクターユニットは、フロントユニットに回転可能に接続されエンドエフェクターを含んでいる。そのエンドエフェクターは、事前に選択された溶接部、パイプ又は容器位置や(または)他の部品を調査や(または)処理する。エンドエフェクターは、事前に選択された溶接部、パイプ又は容器位置や(または)他の部品を含むパイプ又は容器への入り口にツールを配置する。またエンドエフェクターは、事前に選択された溶接部、パイプ又は容器位置や(または)他の部品に対してパイプ又は容器の中にツールを移動させる。またそのエンドエフェクターは、事前に選択された溶接部、パイプ又は容器位置や(または)他の部品の位置への到達に伴い、ツール自体をパイプ又は容器の内部にツールを固定させる。さらにエンドエフェクターは、事前に選択された溶接部、パイプ又は容器位置や(または)他の部品を調査や(または)処理するためにツールにエンドエフェクターを操作させる。この方法は、溶接部に存在するであろう応力腐食割れを軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の溶接軽減ツールの概略図である。
【図2】本発明の溶接軽減ツールの横正面図である。
【図3】本発明の溶接軽減ツールの部分概略図の部分断面図である。
【図4】原子炉のノズルに通じるパイプ内に配置された本発明の溶接軽減ツールの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の溶接軽減ツール10の概略図であり、図2は、本発明の溶接軽減ツール10の横正面図である。
【0009】
図1から図4に示されるツール10は、上記システムのパイプ溶接部の径内部をブラッシングすることにより原子炉冷却システムのパイプ内の溶接部の応力腐食割れを軽減させる目的で設計されたものである。従って、ツール10は、パイプ溶接部をブラッシングするためにブラシ形状のエンドエフェクターを有している。ツール10はパイプの入り口に通常配置されており、この入り口から、ツール10は、多くの場合は遠隔に位置している所定の溶接部まで移動する。溶接部に到達すると、ツールは自身を固定し、そして溶接部の内周に接触するまでブラシを放射方向に前進させる。その後ツール10は、ブラシをパイプの軸方向にそって徐々にインデックシングしながら、ブラシを溶接部の内周を円管状に掃くことにより、溶接部に存在するであろう応力腐食割れを軽減する。
【0010】
ツール10は、他の機能を実行するために異なるエンドエフェクターと共に使用されてもよいことは注目されるべきである。ツール10を使って放電加工機(EDM)の電極を移動させて、存在するSCC割れ若しくは既存の溶接部不具合を含む他の種類の不具合を掘り出すのに使ってもよい。また、ツールを、光学系、超音波、渦電流等を用いた試験に使用して、例えば、低減された範囲の調査を行ってもよい。また、本ツールをPWR及びBWRに適用して、緩和(ブラッシング)及び調査活動以外に、例えば表面処理及び不具合除去のためのアクセスに用いてもよい。また、本ツールを、化学処理容器のような他の処理アプリケーションのための容器又はパイプ内で使用してもよい。
【0011】
図1から図4に示されるツール10の実施形態を参照すると、ツール10は、パイプ内の溶接部領域まで移動可能となるために、リアユニット14及びフロント軸方向ユニット12の間を伸びる結合器16によって接続されるフロント軸方向移動ユニット12とリア軸方向移動ユニット14とを含む。結合器16の遠心端19は、フロント軸方向移動ユニット12に固定され、一方で結合器16の近位端はリアユニット14の内部に移動可能に配置される。結合器16は、フロント軸方向ユニット12及びリアユニット14を互いに移動させる目的でユニット14から伸び、そしてそこへ引っ込むことができる。この目的のために、リアユニット14は、結合器16をユニット14から伸長し、また、ユニット14に収縮するために、適当な空気圧機械、電磁石そして(または)電気機械配列を内部に必然的に含んでいる。
【0012】
一つの実施形態において、リア軸方向移動ユニット14は、リニア空気圧(又は水圧)作動装置である。この実施形態において、圧縮空気状のエネルギーはリニア運動に変換される。空気圧作動装置は、ピストン、シリンダー及びバルブ(図示せず)を含む。ピストンは、隔膜(図示せず)により覆われている。その隔膜は、空気をシリンダーの上部に維持し、空気圧が隔膜を下方に推し進めることを可能にし、バルブの内部部品に結合されたバルブ軸を順に動かすピストンを底面に移動する。従って、ユニット14の一部であるハウジング15に軸方向に出入り可能になるように、結合器16は作動装置のピストンに取り付けられたピストン棒のようなものである。圧縮空気がピストンをハウジング15内部に動かしたとき、結合器16はハウジング15から伸長される又はハウジング15に収縮されるので、フロント軸方向ユニット12及びリアユニット14は互いに動かされる。
【0013】
その他の実施形態において、リア軸方向移動ユニット14は、ユニット14の一部であるハウジング15に軸方向に出入り可能となるように、作動装置のアーマチャーである結合器16付きのソレノイド作動装置である。この実施形態において、複数の電磁石はハウジング15内部に搭載され、一方で各電磁石から特定の距離に配置される複数の対応する磁石は結合器16の一部に搭載される。ハウジング15の電磁石が駆動されると、結合器16は再び、ハウジング15から伸長されるか又はそこに収縮されるため、フロント軸方向ユニット12及びリアユニット14は互いに動かされる。
【0014】
その他の実施形態において、結合器16は、図3に示され且つ後述されるリバーシブルモータ48、ベルトドライブ46、及びスクリュードライブ38配置などのようなリバーシブルモータ、ギアリング、スクリュードライブ配置によって、リア軸方向移動ユニット14のハウジング15内部に軸方向に移動可能に配置されてもよい。
【0015】
フロント軸方向移動ユニット12は、ユニット12に放射状に出入り可能な複数の脚部18Aを有する。好ましくは、ユニット12は三つの放射状に移動可能な脚部18Aを有する。同様に、リア軸方向移動ユニット14は、ユニット14に放射状に出入り可能な複数の脚部18Bを有する。同じく、好ましくはユニット14は三つの放射状に移動可能な脚部18Bを有する。
【0016】
脚部18A及び18Bを放射状に移動するために、フロント軸方向ユニット12及びリアユニット14は、脚部18A及び18Bをユニット12及び14から出し入れするために、必然的に適当な空気圧機械、電磁石や(または)電気機器配列を含む。
【0017】
一つの実施形態において、各フロントユニット脚部18Aは、事実上、動いたときに、対応する脚部18Aがフロント軸方向ユニット12から出入りする、空気圧(又は水圧)リニア作動装置のピストンに取り付けられた棒である。同様に、各リアユニット脚部18Bは、事実上、対応する脚部18Bをリアユニット14から出し入れする役目をする空気圧リニア作動装置内部のピストンに取り付けられた棒である。
【0018】
その他の実施形態において、各フロントユニット脚部18Aは、事実上、対応する脚部18Aをフロント軸方向ユニット12に出し入れする役目をするソレノイド作動装置22Aのアーマチャーである。同様に、リアユニット脚部18Bは、事実上、対応する脚部18Bをリアユニット14に出し入れする役目をするソレノイド作動装置22Bのアーマチャーである。
【0019】
その他の実施形態において、脚部18A及び18Bは、図3に示されるリバーシブルモータ48、ベルトドライブ46、及びスクリュードライブ38配置などのようなリバーシブルモータ、ギアリング、スクリュードライブ配置、を用いて、ユニット12及び14内部へ放射状に軸方向に出し入れ可能であってもよい。
【0020】
各フロントユニット脚部18Aは脚部の遠心端に取り付けられる足部20Aを含む。同様に、各リアユニット脚部18Bは脚部18Bの遠心端に取り付けられる足部20Bを含む。ツール10が移動するパイプ内部の湾曲と容易に一致するように、各足部20A及び20Bは湾曲しているのが望ましい。
【0021】
ツール10が溶接位置に移動する方法は次の通りである。アーマチャー結合器16がリアユニット14から伸長された状態でツール10がパイプの内部に配置された場合、フロント軸方向ユニット12が各ソレノイド作動装置22Aに、各脚部がパイプの内周と結合するまで対応する脚部18Aを伸長させる。この時点で、脚部18Aの足部20Aは、フロント軸方向ユニット12を適切な位置に固定するためにパイプの内周と結合する。一旦フロント軸方向ユニット12が適切な位置に固定されると、リアユニット14は、リアユニット14のハウジング15にリアユニット14の放射状に伸長する脚部20Bを引き出すために、リアユニット14上の各作動装置22Bを駆動させる。リアユニット14は、リアユニット14をフロント軸方向ユニット12に対して引き出すために、アーマチャー結合器16がユニット14のハウジング15に収縮させる。
【0022】
一旦アーマチャー結合器16が完全にリアユニット14のハウジングに収縮されると、リアユニット14はフロント軸方向ユニット12に対向して上方に移動する。この時点で、リアユニット14は各脚部18Bに対応する足部20Bが、ツール10が配置されるパイプの内周と結合するまで、各作動装置22Bがそれらと対応する脚部18Bがユニット14のハウジング15から放射状に外向きに伸ばす。脚部18Bの放射状の伸長は、足部20Bをパイプの内周と結合させるように、リアユニット14を適所に固定する。この時点で、リアユニット14は結合器16をハウジング15から伸ばし、一方で、フロント軸方向ユニット12は、各差動装置22をフロント軸方向ユニット12にハウジング13に対応する足部20Aを収縮する。放射状に伸びた足部20Aの各収縮は、フロント軸方向ユニット12をその適所から解除し、そのため結合器16がリアユニット14から外側に伸びる距離に対応する距離にフロント軸方向ユニット12が前向きに伸びることを可能にする。結合器16の動きの終端で、フロント軸方向ユニット12は再度、脚部18Aの対応する各足部20Aがフロント軸方向ユニット12を適所に再度固定するためにパイプの内周と結合するまで、作動装置22Aがフロント軸方向ユニット12のハウジング13から対応する脚部18Aを伸ばす。再度ここで、一旦フロント軸方向ユニット12が適所に固定されると、リアユニット14が解除されるように、リアユニット14は、リアユニット14のハウジング15に作動装置22Bが対応する脚部18Bを収縮する。従って、リアユニット14のハウジング15に結合器16を収縮するように、リアユニット14は駆動される。従って、リアユニット14を固定されたフロント軸方向ユニット12の方向に前進する。この動きは、ツール10が、溶接部がブラッシングされたパイプ内の位置に到達するまで繰り返される。
【0023】
フロント軸方向ユニット12は、結合器16が固定される支持カラー11を含む。支持カラー11はまた、フロント軸方向ユニット12のハウジング13及び同じくハウジング13に搭載される各差動装置22Aの搭載のための構成としての役目を果たす。同様に、リアユニット14は、結合器16が突き出る支持リング19を備えた支持カラー17を含む。リアユニット14の支持カラー17に搭載されるのはユニット14のハウジング15及び各作動装置22であり、ハウジング15にもまた搭載される。
【0024】
フロント軸方向ユニット12の前方に接続されるのはエンドエフェクターユニットであり、それは図1から図4に示される本発明の実施形態のブラシプラットフォームユニット24である。ブラシヘッド26及びブラシヘッド26をパイプ溶接部の内周をブラッシングするための位置に移動させるために使用される複数のモータ及びギアは、ブラシプラットフォームユニット24に搭載される。その他のツールの働きをする本発明のその他の実施形態には、ブラシプラットフォームユニット24は、所望の働きをする所定の位置に異なるツールを移動させることが可能な異なるエンドエフェクターユニットに代替されてもよいことに注目すべきである。
【0025】
図1から図4に示される本発明の実施形態に再度戻ると、ブラシプラットフォーム24は、フロント軸方向ユニット12に固定されるターンテーブル28を介してフロント軸方向ユニット12に取り付けられる。出力ギア30はベアリングによりターンテーブル28に回転可能に搭載される。出力ギア30は、ベアリングによりターンテーブル28に回転可能に搭載され且つフロント軸方向ユニット12のハウジング13に搭載されるドライブギアモータ34により駆動されるドライブギア32により駆動される。ターンテーブル28、出力ギア30、ドライブギア32、及びモータ34の組み合わせは、図2に示されるような、逆回転運動を有する逆回転ドライブ36を構成する。
【0026】
リニア作動装置のような他の配置が使用されてもよいことに注目されるべきだが、パイプの内周に対するブラシヘッド26の放射状の運動は、好ましくは図3に示されるスクリュードライブ38を用いて達成される。スクリュードライブの第一端部40は、ブラシヘッド26が搭載されるプラットフォーム42に取り付けられる。スクリュードライブ44の逆側の端部は、リバーシブルモータ48により駆動されるベルトドライブ46に取り付けられる。リバーシブルモータ48が一方向に回転するにつれ、ベルトドライブ46はスクリュードライブ38を第一方向に回転させるので、ハウジング50内部に上昇し、そしてブラシヘッド26が搭載されるプラットフォーム42を持ち上げる。従って、ハウジング50からパイプの内周に対して放射状に伸びる。反対に、モータ48が逆方向に回転したとき、ベルトドライブ46はスクリュードライブ38をハウジング50に接触するように逆方向に回転させ、従ってブラシヘッド26が搭載されるプラットフォーム42をパイプの内周から放射状に離すために収縮する。
【0027】
ブラシヘッド26は、応力腐食割れを緩和するためにパイプ溶接部と連動しブラッシングするグリットに埋め込まれたナイロンブラシ52を含む。ブラシ52は、リニア作動装置58のアーマチャー56に取り付けられるリバーシブルモータ54により駆動される。リニア作動装置58は、パイプ溶接部をブラッシングするように、ブラシ52をパイプの軸方向に沿って指標付けするために使用される軸方向インデックスを有するブラシヘッド26を提供する。又、ブラシヘッド26に含まれるのはギアリング配置60であって、ブラシ52がパイプの溶接部をブラッシングするブラシ52と関連して上方に傾くこと又は下に向くことを可能にする。
【0028】
ギア、モータ及びドライブの組み合わせはブラシヘッド26に柔軟性を与えるブラシヘッドユニット24の一部である。そしてその組み合わせは、パイプの軸方向に沿って徐々にブラシを指標付ける間、ツール10が溶接部へ到着するとすぐに、溶接部の内周に接触するまでブラシ52を放射状に外向きに前進させ、ブラシを溶接部の内周を環状に動かす。従って溶接部に存在するであろう応力腐食割れを緩和する。
【0029】
図4は、パイプ60内に配置され、溶接部62をブラッシングする目的で遠隔に配置された溶接部62までパイプ内部を移動したツール10の代表例を示す。溶接部62に到達するとすぐに、ツール10はパイプ60の内周に結合するまで、放射状に伸ばした脚部18A及び18Bにより自身をパイプ60の内部に固定する。図4に示されるように、ブラシ52を軸方向に移動するためにソレノイド作動装置58を使用して、パイプ軸方向に沿ってブラシ52を徐々に指標付ける一方で、ツール10はその後、ブラシ52を溶接部62の内周を環状に移動させる。従って、溶接部62の応力腐敗割れを緩和する。
【0030】
ツールの動き及びオンサイト操作は、パイプの外部でオペレータによって保持される制御ユニット内及びツール10内で、一般的にトランシーバを含むよく知られたワイヤレス制御などでコントロールされる。ツールは、電気、空気式、水力及び制御信号を有するケーブルにより制御される。ツール/ブラシの位置は、ツールに搭載されるビデオカメラ(図示せず)により監視される。
【0031】
本発明が、現状考慮される最も実用的かつ好ましい実施形態かということに関連して説明されている一方で、本発明は開示される実施形態に制限されるものではないが、それに反して、添付の特許請求の範囲の精神と領域の範囲内で様々な変更と同等のアレンジを含むことが意図されていることは明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス装置において使用される溶接部、パイプ、容器、他の部品を調査し処置するためのツール(10)であって、
パイプ(60)の内部を軸方向に歩行する第一ユニット(12)であって、この第一ユニット(12)から放射状に伸長する複数の第一脚部(18A)を有する第一ユニット(12)と、
パイプ(60)の内部を軸方向に歩行する第二ユニット(14)であって、この第二ユニット(14)から放射状に伸長する複数の第二脚部(18B)を有する第二ユニット(12)と、
前記第一ユニット(12)とび第二ユニット(14)との間を伸び、前記第二ユニット(14)に軸方向に出入り可能である結合器(16)と、
前記第一ユニット(12)に接続されるエンドエフェクターユニット(24)であって、エンドエフェクター(26)を所定部位(62、60)に運搬可能に構成されたエンドエフェクターユニット(24)、とを具備するツール(10)。
【請求項2】
複数の第一及び第二脚部(18A、18B)の各々は、脚部(18A,18B)の遠心端に取り付けられた足部(20A、20B)を有し、前記足部(20A、20B)は前記パイプ(60)の内周に実質的に一致するように湾曲している、請求項1に記載のツール(10)。
【請求項3】
前記所定部位は、前記プロセス装置の、溶接部(62)またはパイプまたは他の部品であり、
前記エンドエフェクター(26)は、
(a)応力腐食割れを軽減するために、前記溶接部(62)、前記パイプまたは前記他の部品をブラッシングする機能と、(b)前記溶接部(62)、前記パイプまたは前記他の部品を検査する機能と、(c)前記溶接部(62)、前記パイプまたは前記他の部品を準備する機能と、(d)前記溶接部(62)、前記パイプまたは前記他の部品から不良を除去する機能と、のうちの一つの機能を実行するツールであることを特徴とする請求項請求項1に記載のツール(10)。
【請求項4】
前記第一ユニット(12)は、前記複数の脚部(18A)を前記第一ユニット(12)に放射状に出入りさせるための複数の第一作動装置 (22A)を有しており、前記第二ユニット(14)は、前記複数の脚部(18B)を前記第二ユニット(14)に放射状に出入りさせるための複数の第二作動装置(22B)を有していることを特徴とする請求項1に記載のツール(10)。
【請求項5】
前記エンドエフェクターユニット(24)は、
前記第一ユニット(12)に固定されたターンテーブル(28)と、前記ターンテーブル(28)上に回転可能に搭載された出力ギア(30)とを介して、前記第一ユニット(12)に取り付けられ、さらに、前記出力ギア(30)に固定されたハウジング(50)を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のツール(10)。
【請求項6】
前記エンドエフェクターユニット(24)は、ドライブギア(32)により可逆的に回転可能であり、
前記ドライブギア(32)は、前記出力ギア(30)に歯合し、且つ前記ドライブギア(32)に結合した第一リバーシブルモータ(34)により駆動される請求項5に記載のツール(10)。
【請求項7】
前記エンドエフェクターユニット(24)は、パイプ溶接部(62)の内周をブラッシングするためのブラシ(52)を含むブラシヘッド(26)を含むブラシユニット(26)であり、
前記ブラシユニット(26)は、
前記ブラシ(52)を前記溶接部(62)の内周に触れるまで放射状に前進させ、
前記ブラシ(52)を前記溶接部(62)の内周を環状に回転させ、そして、
前記ブラシ(52)をパイプ(60)に沿って軸方向にインデックシングさせることが可能であり、よって前記溶接部(62)内の又は他の方法で発生する圧力腐敗割れを緩和する請求項1に記載のツール(10)。
【請求項8】
前記第二ユニット(14)は、ソレノイド作動装置であって、
前記結合器(16)は、前記第二ユニット(14)の一部であるハウジングの内部に軸方向に移動可能に配置されるための前記第二ユニット作動装置のアーマチャー部であることを特徴とする請求項1に記載のツール(10)。
【請求項9】
前記第二ユニット(14)は、空気圧リニア作動装置であり、
前記結合器(16)は前記第二ユニット(14)内部に移動可能に配置されるピストンに取り付けられる棒である、請求項1に記載のツール(10)。
【請求項10】
前記結合器(16)は、前記ハウジング(15)内部に配置され且つ前記結合器(16)に取り付けられるリバーシブルモータ、あるいは、歯合/スクリュー駆動配置により前記ハウジング(15)から伸長又は前記ハウジング(15)へ収縮される、請求項1に記載のツール(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−300446(P2009−300446A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−143834(P2009−143834)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(508177046)ジーイー−ヒタチ・ニュークリア・エナージー・アメリカズ・エルエルシー (101)
【氏名又は名称原語表記】GE−HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
【Fターム(参考)】