説明

冷却ファン及び電子機器

【課題】冷却機能と冗長化がより高いレベルで両立された冷却ファンを提供する。
【解決手段】回転軸回りに回転する冷却ファン1は、軸線から離間する方向に突出する係合部23を有し、回転軸に同軸に取り付けられた内軸20と、内軸と同軸に配置され、内軸に対して回転軸回りに相対回転可能な外軸30と、送風面と、係合部と係合する被係合部43とを有し、外軸に回動可能に取り付けられた複数の羽根部材40とを備え、羽根部材は、送風面が外軸の外周面から離間した第1の位置と、第1の位置よりも送風面が外周面に接近した第2の位置との間で回動可能であり、内軸が外軸に対して第1の方向に相対回転するときは、係合部と被係合部とが係合して羽根部材が第1の位置に回動し、内軸が外軸に対して第1の方向と反対の第2の方向に相対回転するときは、係合部と被係合部とが係合して羽根部材が第2の位置に回動することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部装置の冷却に用いる冷却ファン、より詳しくは、回転軸に対して角度可変の羽を備え、冷却機構の冗長化に適した冷却ファン、及びこれを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ装置などの電子機器は、近年では、従来にも増して高性能及び高機能が要求されている。この要求に応えるため、機器の内部のLSI(Large Scale Integrated circuit、大規模集積回路)などの電子部品や高密度実装に伴う全体の発熱により、電子機器の内部はより高温となりやすく、これらの高温となる部材の冷却方法が、機器の品質に影響を与える要因の一つとなっている。
電子機器内部の冷却における品質向上の方法の一つとして、たとえば、複数の冷却回転ファンを直列実装するなど、冷却回転ファンを複数設けて強制空冷を行うことによる冷却機構の冗長化があり、現在の殆どのコンピュータ装置に採用されている。
【0003】
冷却機構の冗長化には、メンテナンス頻度の低減や、装置の使用不能状態の発生を低減する等いくつかのメリットがある。しかし、冗長化についてはまだ解決すべき課題が存在する。
例えば、冗長化の一方法として複数の冷却回転ファンを直列実装した場合、そのうちの1つが異常などにより停止すると、停止した冷却回転ファンの羽が、冗長稼動している他の冷却回転ファンからの冷却風の物理的障害となり、通風抵抗が上昇する。これは、電子機器の冷却性能の低下につながり、冗長化の目的が充分に果たせないことがある。
【0004】
この問題に対して、特許文献1には、回転軸の停止時に送風フィン(羽)が回転軸の円周方向に向かって倒れこむ冷却回転ファンが提案されている。この冷却回転ファンでは、送風フィンは形状記憶性素材で形成され、回転軸の回転時には、当該回転軸の半径方向外方に向かって立ち上がるという。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−144684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の冷却回転ファンでは、フィンを形成する材料の形状記憶性によって送風時と停止時のフィンの形状を切り替えるので、形状の安定性が充分でない場合があり、冷却機能や冗長化についても安定しにくいことがあるという問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、冷却機能と冗長化がより高いレベルで両立された冷却ファンを提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、冷却機能と冷却機構の冗長化とがより高いレベルで両立された電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様である冷却ファンは、所定の回転軸回りに回転する冷却ファンであって、自身の軸線から離間する方向に突出する係合部を有し、前記回転軸と同軸に取り付けられた内軸と、前記内軸と同軸に配置され、前記内軸に対して前記回転軸回りに相対回転可能な筒状の外軸と、送風面と、前記係合部と係合する被係合部とを有し、前記外軸に回動可能に取り付けられた複数の羽根部材とを備え、前記羽根部材は、前記送風面が前記外軸の外周面から離間した第1の位置と、前記第1の位置よりも前記送風面が前記外周面に接近した第2の位置との間で回動可能であり、前記内軸が前記外軸に対して第1の方向に相対回転するときは、前記係合部と前記被係合部とが係合して前記羽根部材が前記第1の位置に回動し、前記内軸が前記外軸に対して前記第1の方向と反対の第2の方向に相対回転するときは、前記係合部と前記被係合部とが係合して前記羽根部材が前記第2の位置に向かって回動することを特徴とする。
【0009】
本発明の第二の態様である電子機器は、本発明の冷却ファンを複数備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の冷却ファンによれば、冷却機能と冗長化をより高いレベルで両立することができる。
また、本発明の電子機器によれば、冷却機能と冷却機構の冗長化とがより高いレベルで両立された構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の冷却ファンの配置例を示す斜視図である。
【図2】同冷却ファンを分解して示す斜視図である。
【図3】同冷却ファンの外軸を示す平面図である。
【図4】(a)及び(b)は、いずれも同冷却ファンにおける羽根部材と内軸との係合態様を示す図である。
【図5】同冷却ファンの通常運転時における動作を示す図である。
【図6】同冷却ファンの通常運転時における動作を示す図である。
【図7】同冷却ファンの停止時における動作を示す図である。
【図8】同冷却ファンの停止時における動作を示す図である。
【図9】本発明の冷却ファンの効果を概念的に示すグラフである。
【図10】本発明の冷却ファンを電子機器に適用した例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について、図1から図10を参照して説明する。図1は本実施形態の冷却ファン1を示す図である。
冷却ファン1は、所定の回転軸回りに回転することにより送風を行うもので、冷却機能の冗長化に好適に使用できるものである。冗長化に使用される場合は、図1に示すように、複数の冷却ファン1を互いの回転軸が同軸(略同軸を含む)となるように直列配置するのが好ましい。
【0013】
図2は、冷却ファン1を分解して示す斜視図である。冷却ファン1は、回転軸を有するフレーム10と、フレーム10に取り付けられた内軸20と、内軸20と同軸に取り付けられた外軸30と、外軸30に取り付けられた複数の羽根部材40とを備えている。
【0014】
フレーム10は、概ね公知の構成を有し、筒状の枠体11と、枠体11の軸線付近に設けられた駆動部12とを有する。駆動部12は、図示しないモータ等の駆動機構を有し、枠体11の軸線と一致(略一致を含む)する位置に配置された図示しない回転軸を回転させることができる。駆動部12と回転軸とは直接接続されていてもよいし、ギヤや無端ベルト等の伝達部材を介して接続されていてもよい。
【0015】
内軸20は、有底の円筒状に形成された部材であり、外周面21と、中心軸22とを有する。中心軸22は、回転軸と同軸となるように回転軸に接続される。回転軸と中心軸22との接続方法には特に制限はなく、例えば筒状の回転軸に棒状の中心軸22が挿入嵌合されてもよいし、棒状の回転軸が筒状の中心軸に挿入されてもよい。また、中心軸が筒状に形成される場合は、内軸20が略円柱状に形成されてもよい。さらに、その他の方法で回転軸と中心軸22とが接続されてもよい。内軸20は、中心軸22が回転軸に接続されているため、駆動部12が回転軸を回転させると、回転軸回りに回転される。
【0016】
外周面21には、複数の係合部23が中心軸22から離間する方向に突出して形成されている。係合部23は、後述する羽根部材40の被係合部と係合することにより、羽根部材40を回動させる機能と、内軸20と外軸30とを一体に回転させる機能との2つの機能を発揮する。
係合部23の形状は、上述の2つの機能を発揮できる程度に被係合部と係合可能であれば特に制限はない。本実施形態では、係合部23は、中心軸22の延在方向に延びる板状に形成されている。
【0017】
外軸30は、外周面の断面形状が八角形、内周面の断面形状が円形の筒状に形成されている。外軸30は、内軸20を自身の内腔に収容するようにして内軸20に取り付けられる。外軸30は、例えば図示しないベアリング等の機構を介して内軸20と同軸に接続されており、内軸20の係合部22と羽根部材40の被係合部が係合していない状態では、内軸20に対して回転軸回りの両方向に相対回転可能である。
【0018】
図3は、外軸30の平面図である。外軸30の外周面を構成する8つの平面31の各々には、羽根部材40を取り付けるためのヒンジ部32と、被係合部が挿通される貫通孔33が形成されている。なお、図3においては、図面を見やすくするため、1つの平面31についてのみヒンジ部32及び貫通孔33を示し、他の平面31においては省略している。
ヒンジ部32は、平面31の長手方向に延びる2辺にそれぞれ一箇所形成されて一組となっている。一組のヒンジ部32を結ぶ直線L1は、外軸30の軸線に対して角度をなすように傾斜しており、直線L1が羽根部材40の回動軸となる(以降の説明において、直線L1を「回動軸L1」と称することがある。)。
貫通孔33は、直線L1に直交する方向に延びる長孔であり、平面31を貫通して外軸30の内腔に達している。貫通孔33は、直線L1の延在方向に離間して2箇所形成されている。
【0019】
羽根部材40は、図1に示すように平板状の部材であって、表裏2つの送風面41を有し、外軸30外周面の各平面31に1つずつ取り付けられている。したがって、本実施形態では、羽根部材40は8枚設けられている。
【0020】
図4(a)及び図4(b)に示すように、各々の羽根部材40は、ヒンジ部32に取り付けられる軸部42と、貫通孔33に挿通される被係合部43を有する。各羽根部材40は、被係合部43が貫通孔33に挿入されて外軸30の内腔に突出した状態で、軸部42がヒンジ部32に挿入されることにより外軸30に取り付けられている。なお、図4(a)、図4(b)、図5、及び図7では、図を見やすくするために、羽根部材40を一枚だけ示して残りは省略している。
【0021】
外軸30に取り付けられた各羽根部材40は、被係合部43と内軸20の係合部23とが係合することにより、回動軸L1回りに所定の範囲で回動可能である。羽根部材40が回動軸L1回りに回動すると、羽根部材40が取り付けられた平面31と羽根部材40の送風面41とのなす角度が変化し、冷却ファン1全体としての通風抵抗が変化する。
なお、冷却ファン1使用時の羽根部材40の動きについては、後述する冷却ファン1の使用時の動作において詳しく説明する。
【0022】
上記のように構成された本実施形態の冷却ファン1の使用時の動作について説明する。
冷却ファン1の通常運転時には、駆動部12が回転軸を図5に示す第1の方向A1に回転させる。すると、回転軸とともに内軸20が回転軸回りに第1の方向A1に回転する。
【0023】
内軸20が方向A1に回転すると、各係合部23が各羽根部材40の一対の被係合部43のうち、方向A1においてより前方に位置する被係合部43Aに係合する。係合部23は、駆動部12の駆動力によってさらに被係合部43を方向A1に向かって押圧する。その結果、羽根部材40は、回動軸L1回りに回動して、図5及び図6に示すように、軸部42が設けられた端部と反対側の端部が外軸30の平面31から離間するように立ち上がる。これが各羽根部材40の第1の位置である。各羽根部材40が第1の位置にあるときは、冷却ファン1が回転軸回りに回転することによって、送風面41により効率よく送風を行うことができる。各羽根部材40が第1の位置まで回動した後は、内軸20と外軸30とが一体となって第1の方向A1に回転する。
【0024】
図1のように冷却ファン1が2台直列配置されている状態において、例えば一方の冷却ファン1Aが駆動部12のトラブル等により停止した場合、回転軸の回転が停止して内軸20及び外軸30も回転を停止する。
このとき、他方の冷却ファン1Bは、通常運転を継続している。冗長化のために冷却ファンを直列配置する場合、各々の冷却ファンが同一方向に送風(すなわち同一方向に回転)するように配置される。その結果、停止した冷却ファン1Aの羽根部材40は、送風面41に冷却ファン1Bが発生させる風の風圧を受けて、外軸30のみが第1の方向A1に回転する。
【0025】
図7に示すように、外軸30のみが方向A1に回転するとき、内軸20は回転を停止しているので、内軸20は、外軸30に対して、方向A1と反対回りの第2の方向A2に相対回転することになる。その結果、被係合部43Aと係合していた各係合部23は、被係合部43Aから離間し、各羽根部材40におけるもう一方の被係合部43Bに接近して係合する。さらに外軸30が方向A1に回転すると、図7及び図8に示すように、被係合部43Bが係合部23を方向A1に向かって押圧し、羽根部材40は回動軸L1回りに回動して、送風面41が外軸30の平面31に接近するように倒れこむ。これが羽根部材40の第2の位置である。羽根部材40が第2の位置にあるときは、羽根部材40が第1の位置にあるときよりも通風抵抗が小さくなっており、停止していても、冷却ファン1Bの冷却効率を低下させにくい。
【0026】
冷却ファン1が停止した状態において、内軸20は回転しないように固定されてもよいし、回転軸回りに自由に回転するように構成されてもよい。
内軸が固定されている場合、各羽根部材40が第2の位置に移動したところで、外軸20は停止し、冷却ファン1Bの風圧によって、係合部23と被係合部43Bとが係合した状態が保持される。
一方、内軸20が自由回転可能に構成された場合、方向A1に回転した外軸30は、内軸20を方向A1に押圧する。そして、羽根部材40が第2の位置に保持されつつ、外軸30と内軸20とが一体となって方向A1に回転する。
このような回転を可能にするためには、羽根部材40が第2の位置にあるときに、一対の被係合部43の少なくとも一方が係合部23と係合可能な程度に外軸30の内腔に突出している必要があるが、この場合、停止した冷却ファン1Aの通風抵抗をさらに小さくすることができる。
【0027】
図9は、本発明の冷却ファンの効果を概念的に示すグラフである。縦軸Pは静圧を示し、横軸Qは風量を示している。曲線C1は、羽根部材が固定された従来型ファンがある電子機器に2台直列配置された状態において、うち1台が故障により停止したときの通風抵抗曲線を示す。曲線C2は、本発明の冷却ファン(例えば冷却ファン1)が当該電子機器に2台直列配置された状態において、うち1台が故障により停止したときの通風抵抗曲線を示す。曲線C3は、本発明の冷却ファンが当該電子機器に2台直列配置されて通常運転されているときの通風抵抗曲線を示す。
なお、以下の説明においては、従来型ファンの風量・静圧特性は、本発明の冷却ファンにおいて各羽根部材が第1の位置に保持されて通常運転されているときの風量・静圧特性と同一とする。
【0028】
冷却ファンが2台とも通常運転されている場合、通風抵抗はもっぱら冷却ファンが配置された電子機器に依存し、当該電子機器における内部装置の配置や実装度等によって決定される。この場合の風量は、冷却ファン2台が通常運転されている時の風量・静圧特性を示す曲線G2(図9参照)と曲線C3との交点の横軸座標Q3として示される。
【0029】
2台の冷却ファンのうち一台が停止すると、停止した冷却ファンの通風抵抗が上乗せされるため、通風抵抗曲線の傾きは大きくなり、冷却ファンが従来型である場合は曲線C1のように変化する。また、運転している冷却ファンが1台となるため、風量・静圧特性も曲線G1(図9参照)で示すように変化する。
したがって、従来型冷却ファン2台が配置され、そのうち1台が故障等により停止した時の風量は、曲線G1と曲線C1との交点の横軸座標Q1として示され、上述のQ3よりも大きく低下することがわかる。これは、冗長化自体は達成されているものの、冷却ファンの冗長稼動時における冷却効率が大きく低下することを意味する。
【0030】
一方、本発明の冷却ファンが停止した場合、上述のように羽根部材が第2の位置に向かって回動して通風抵抗が減少されるため、通風抵抗曲線は曲線C1よりも傾きの小さい曲線C2のように変化する。したがって、本発明の冷却ファン2台が配置され、そのうち1台が故障等により停止した時の風量は、曲線G1と曲線C2との交点の横軸座標Q2として示され、上述のQ1の場合よりも冷却効率の低下が抑制される。
【0031】
以上説明したように、本発明の冷却ファンによれば、故障等に停止した場合、直列配置された他の冷却ファンの風圧によって羽根部材が第2の位置に向かって回動し、羽根部材が送風に適した第1の位置にあるときよりも空気抵抗が小さくなり、停止による通風抵抗の増加を抑制する。その結果、冗長化の目的を達成しつつ、停止による冷却効率の大幅な低下を抑え、より高いレベルで冗長化と冷却効率とを両立させることができる。
【0032】
また、本実施形態の冷却ファン1によれば、内軸20に設けられた係合部23と羽根部材40に設けられた被係合部43とが機械的に係合することにより、羽根部材40が第1の位置と第2の位置との間で回動軸L1回りに回動される。したがって、羽根部材の位置の切り替えが確実に行われ、送風機能と通風抵抗の減少とをより確実に両立することができる。
【0033】
さらに、被係合部43は、外軸30に設けられた貫通孔33を通って係合部23と係合しているので、貫通孔33の形状を適宜設定することにより、第1の位置及び第2の位置を容易に設定することができる。
【0034】
図10は、本実施形態の冷却ファン1を電子機器100に適用した例を示す図である。この例では、冗長化のために筒状風洞101の端部開口に2台の冷却ファン1を直列配置し、筒状風洞101内に放熱器103の取り付けられたLSI102が配置されている。これはあくまで一例であり、電子機器に筒状風洞が設けられていなくてもよいし、冷却される部品もLSIに限定されない。また、2台の冷却ファン1は、完全な直列に配置される必要はなく、一方が停止した際に他方の風圧により外軸30が回転可能であれば、配置態様は特に限定されない。
【0035】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
例えば、上述の実施形態では、内軸が外軸の内部に収容される例を示したが、内軸は外軸内に完全に収容される必要はなく、回転軸の延在方向において、一部が外軸の外に位置するように配置されてもよい。
【0036】
また、外軸の平面数や羽根部材の数は、求められる冷却機能等にもとづいて適宜設定することが可能である。このとき、必ずしもすべての平面に羽根部材が取り付けられなくてもよい。
また、羽根部材の送風面や外軸の外周面の形状は平面に限られず、曲面状に形成されてもよい。
さらに、被係合部及び貫通孔の数も、上記実施形態の2つに限定されるものではなく、1箇所であっても、3箇所以上であってもよい。
【0037】
さらに、羽根部材の回動範囲を規定する第1及び第2の位置は、適宜設定することが可能である。第1及び第2の位置の調節方法としては、上述した貫通孔の形状によるもののほか、被係合部の形状により調節する方法や、羽根部材と外軸とのなす角度が所定の値となった状態で外軸に当接して当該状態を保持するストッパを羽根部材に設けることにより調節する方法も挙げられる。
このとき、第2の位置の設定によっては、羽根部材が第2の位置に回動したときに係合部と被係合部との係合が外れる場合も考えられる。このような場合、羽根部材は常に第2の位置に保持されず、重力や遠心力等により第1の位置に向かってある程度回動するが、その過程において再び係合部と係合し、逐次第2の位置に向かって回動されるので、通風抵抗は一定量減少される。もちろん、羽根部材が第2の位置に回動した状態が保持される方が、通風抵抗の減少効果が安定し、より好ましい。
【0038】
加えて、本発明の冷却ファンは、従来型の冷却ファンと組み合わせて電子機器に搭載されてもよく、この場合は、本発明の冷却ファンが1台だけ電子機器に配置されてもよい。ただし、搭載する冷却ファンをすべて本発明の冷却ファンとするほうが、冗長稼動時の通風抵抗減少効果がより確実となることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
1、1A、1B 冷却ファン
20 内軸
23 係合部
30 外軸
33 貫通孔
40 羽根部材
41 送風面
43、43A、43B 被係合部
100 電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回転軸回りに回転する冷却ファンであって、
自身の軸線から離間する方向に突出する係合部を有し、前記回転軸と同軸に取り付けられた内軸と、
前記内軸と同軸に配置され、前記内軸に対して前記回転軸回りに相対回転可能な筒状の外軸と、
送風面と、前記係合部と係合する被係合部とを有し、前記外軸に回動可能に取り付けられた複数の羽根部材と、
を備え、
前記羽根部材は、前記送風面が前記外軸の外周面から離間した第1の位置と、前記第1の位置よりも前記送風面が前記外周面に接近した第2の位置との間で回動可能であり、
前記内軸が前記外軸に対して第1の方向に相対回転するときは、前記係合部と前記被係合部とが係合して前記羽根部材が前記第1の位置に回動し、前記内軸が前記外軸に対して前記第1の方向と反対の第2の方向に相対回転するときは、前記係合部と前記被係合部とが係合して前記羽根部材が前記第2の位置に向かって回動することを特徴とする冷却ファン。
【請求項2】
前記羽根部材が前記第2の位置まで回動したときに、前記係合部が前記被係合部との係合状態を保持し、前記羽根部材が前記第2の位置に保持されることを特徴とする請求項1に記載の冷却ファン。
【請求項3】
前記外軸は、外周面に貫通孔を有し、前記被係合部は、前記貫通孔を通って前記外軸の内腔側に突出していることを特徴とする請求項1に記載の冷却ファン。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の冷却ファンを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−132825(P2011−132825A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290782(P2009−290782)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】