説明

冷却方法及び冷却装置

【課題】冷却方法及び冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却方法は、冷却室3において冷却された気体Xを、送気手段4によって、被冷却物12を収容する処理室1へ送風することによって被冷却物を冷却する方法において、冷却室から処理室へ送風される冷却気体を、処理室の気体導入部と送気手段との間に設けた風量調節手段2によって、処理室へ案内される処理用冷却気体Yと、処理室を通過せずに冷却室に戻るバイパス通路Qへ案内される循環用冷却気体Zとに分割する。冷却装置は、被冷却物を収容することのできる処理室1、気体を冷却することのできる冷却室3、送気手段4、及び処理室へ案内される処理用冷却気体と、処理室を通過せずに冷却室に戻る循環用冷却気体とに分割することのできる風量調節手段2を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却方法及び冷却装置に関する。本発明においては、新規の冷却方式である「バイパス循環方式」を採用することにより、食品などを、例えば冷蔵温度帯に冷却する際に、食品の乾燥や表面硬化などを有効に防止することができ、更に食品などを冷凍する際にも、食品の破壊やドリップの発生などを有効に防止することができる。更に、本発明においては、新規の冷却方式である「置換冷却サイクル」を併用することによって、前記の効果を飛躍的に向上させることができる。
【背景技術】
【0002】
食品類を物流システムに適用させたり、低温貯蔵を行うために、食品類を冷却する技術が利用されている。例えば、加熱調理して調製した食品類(例えば、ご飯やパン類)を室温以下に冷却したり、生鮮食料品(例えば、魚介類や食肉)を冷蔵温度帯や冷凍温度帯へ冷却することが行われており、従来から、冷却装置や冷凍装置が多数提案されている(例えば、特許文献1又は2)。このような冷却は、冷却空気を生成する冷却器、送気用ファン、及び被処理食品類を装入して配置する処理室を、密閉された断熱筐体内に設けた冷却装置(又は冷凍装置)によって実施されている。こうした冷却装置においては、送気用ファンにより送り出された冷却空気が処理室を経て冷却器を通過し、再びファンにより送り出されるという強制循環方式を採用している。すなわち、ファンにより送り出された乾燥冷却空気は、処理室内の食品類を冷却して昇温するとともに食品類中の水分を強制蒸発させて多湿となる。この昇温した多湿空気を冷却器に還流させると、昇温多湿空気内の水分が冷却コイルの表面に着霜する。こうして水分が除去された冷却空気が、再び処理室内に送り込まれ、強制的に循環されている。このような循環が繰り返されて、冷却コイル表面の着霜が進行すると、冷却効率が低下するので、除霜(デフロスト)処理を行う必要があり、この際には、冷却操作を一時的に停止する必要があった。
【0003】
また、一般に、食品類が冷凍する過程では、食品類の温度が低下し、次いで、氷結点(食品類中ではじめて氷結晶が生じる温度)に至ると水溶液部分に氷結晶が生じ、最終的には凍結する。多くの生鮮食品の氷結点は−1℃であり、−5℃で氷結率は約80%に達し、硬度が増加して物理的に凍結した状態になる。冷凍食品の場合は、一般に、−18℃以下の凍結状態まで冷却させるが、従来の凍結方法では、氷結晶生成帯(約−1℃〜約−5℃)を速く通過させることによって、微小氷結晶を均質に生成させ、氷結晶が肥大化しないようにすることが重要とされてきた。これは、氷結晶が大きくなると、食品類の組織に障害を与え、品質低下の原因になるからである。
【0004】
このような従来の冷却方法及び冷却装置には、種々の欠点が存在した。まず第1に、処理室内に吹き込まれる空気は常に乾燥した冷却空気であり、しかも空気流として移動しながら食品類表面と接触するため、食品類の表面に凍結が生じる前に表面から水分が強制蒸発させられ、冷却中に食品類が乾燥してしまう。また、凍結後も乾燥冷気の気流により氷面から水分が昇華によって取り去られてしまう。すなわち、循環空気流が食品類中の水分を抜き取って、冷却コイルの表面に移動凝固させるメカニズムになっている。こうして凍結温度帯にまで冷却された食品類を解凍すると、冷凍以前の風味が損なわれてしまう。
【0005】
従来方法及び従来装置の第2の欠点は、処理室内の食品類を冷却空気流によって冷却するため、冷却空気流が食品類の表面と接触する際に、水分を抜き取りやすいだけでなく、食品類の表面を過度に冷却された状態にし、食品類の中心部との温度差を拡大してしまうことである。表面が過度に冷却されて氷結晶生成帯(約−1℃〜約−5℃)に到達すると、表面部に微小氷結晶が生成する。しかしながら、中心部の温度は依然として高温状態に維持されているので、中心部と表面との温度差が非常に大きくなり、中心部から表面へ大量の熱が伝導され、微小氷結晶を肥大化させる要因となる。食品類の細胞内で氷結晶の肥大化が起きると、細胞が破裂され、食品類が質的に劣化してしまう。
【0006】
第3の欠点は、前記の通り、冷却コイル表面に着霜した霜を定期的に除霜する必要があることである。そのため、ヒーター等の除霜装置を設ける必要がある。更に、除霜処理中には冷却操作が中断されるので、処理室から被冷却物を取り出すことが必要になる場合がある。
【0007】
第4の欠点は、例えば、焼きたてのパンや炊飯直後のご飯のように、水蒸気を多量に発生する高温食品類を急冷することができないことである。その理由は、多量の水蒸気を含む高温食品類を処理室内に配置すると、循環する冷却空気が処理室内で直ちに高温化され、この高温多湿の空気が冷却室内に送られて冷却コイルに接触すると、冷媒(例えば、フロン代替物)が突沸して圧縮器(コンプレッサー)に過負荷を与えることになるので、装置を停止する必要があるからである。従って、高温食品類は大気中で常温付近にまで冷却させた後に、冷却装置に装入し、冷却ないし冷凍処理を行うのが常識となっていた。
【0008】
【特許文献1】特開昭58−136962号公報
【特許文献2】特開2003−148853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、従来技術の前記欠点を一挙に解決することを目標として鋭意研究を重ねた結果、従来の冷却・冷凍技術では採用されていない新規の冷却方式である「バイパス循環方式」を採用し、更に場合により、新規の冷却方式である「置換冷却サイクル」を併用することにより、前記欠点を全て解消することができることを見出した。
従って、本発明の課題は、被処理物(例えば、食品類)を過度に乾燥させず、除霜処理のための加熱を必要とせず、除霜処理の際にも冷却処理の続行が可能であり、微小氷結晶を肥大化させず、更に、水蒸気を多量に発生する高温食品類を直接に処理室内に装入して処理することが可能な新規な冷却方法及び冷却装置、並びに冷凍方法及び冷凍装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題は、本発明により、
冷却室において冷却された気体を、送気手段によって、被冷却物を収容する処理室へ送風することによって前記被冷却物を冷却する方法において、
前記冷却室から前記処理室へ送風される冷却気体を、前記処理室の気体導入部と前記送気手段との間に設けた風量調節手段によって、前記処理室へ案内される処理用冷却気体と、前記処理室を通過せずに前記冷却室に戻るバイパス通路へ案内される循環用冷却気体とに分割することを特徴とする、前記冷却方法によって解決することができる。
【0011】
本発明の冷却方法の好ましい態様においては、前記風量調節手段によって、処理用冷却気体と循環用冷却気体とを1:99〜99:1の比率(容量比率)に分割する。
本発明の冷却方法の別の好ましい態様においては、
(1)前記風量調節手段によって前記処理室へ案内される処理用冷却気体の量を増加させることにより、前記処理室内の雰囲気を処理用冷却気体に置換させる置換モードと、
(2)前記風量調節手段によって前記処理室へ案内される処理用冷却気体の量を減少させて前記処理室を非送風条件にし、前記処理用冷却気体の温度が所定温度に上昇するか、もしくは非送風条件下で所定時間が経過するかのいずれか一方の条件を満足するまで、非送風条件下で被冷却物を冷却する冷却モードと
からなる置換冷却サイクルを繰り返して実施する。
本発明の冷却方法の別の好ましい態様においては、前記処理室に収容した高温被冷却物から放出される水蒸気を、前記処理室に設けた水蒸気トラップ手段によって捕捉することを含む。
本発明の冷却方法の別の好ましい態様においては、冷却室において、水と直接に接触させることによって気体を非冷凍温度帯へ冷却し、処理室内の被冷却物を非冷凍温度帯へ冷却するか、あるいは冷却室において、熱交換器と接触させることによって気体を冷却し、処理室内の被冷却物を冷凍温度帯又は非冷凍温度帯へ冷却する。後者の場合、熱交換器内に冷媒又は冷却用液体を通過させる。
【0012】
本発明は、水と直接に接触させることによって気体を非冷凍温度帯へ冷却し、処理室内の被冷却物を非冷凍温度帯へ冷却する前記冷却方法を実施した後、冷却室において、熱交換器と接触させることによって気体を冷却し、処理室内の被冷却物を冷凍温度帯又は非冷凍温度帯へ冷却する前記冷却方法を実施する方法にも関する。
【0013】
本発明は、冷却室において、熱交換器と接触させることによって気体を冷却し、処理室内の被冷却物を冷凍温度帯又は非冷凍温度帯へ冷却する前記冷却方法を実施した後、新しい被冷却物を処理室に導入して、水と直接に接触させることによって気体を非冷凍温度帯へ冷却し、処理室内の被冷却物を非冷凍温度帯へ冷却する前記冷却方法を実施する方法にも関する。また、この方法の好ましい対応においては、先に実施した冷凍温度帯への冷却処理前の際に熱交換器上に着霜した霜を、気体冷却用の水によって除霜する。
【0014】
本発明は、また、
(1)被冷却物を収容することのできる処理室、
(2)気体を冷却することのできる冷却室、
(3)前記冷却室で冷却された気体を前記処理室へ送ることのできる送気手段、及び
(4)前記処理室の気体導入部と前記送気手段との間に設けられ、前記冷却室から前記処理室へ送風される冷却気体を、前記処理室へ案内される処理用冷却気体と、前記処理室を通過せずに前記冷却室に戻るバイパス通路へ案内される循環用冷却気体とに分割することのできる風量調節手段
を有することを特徴とする、冷却装置にも関する。
【0015】
本発明の冷却装置の好ましい態様においては、前記処理室が、その中に収容した高温被冷却物から放出される水蒸気を捕捉することのできる水蒸気トラップ手段を備える。
本発明の冷却装置の別の好ましい態様においては、前記冷却室が、水と直接に接触させることによって気体を冷却することのできる領域と、熱交換器と接触させることによって気体を冷却することのできる領域とを備えている。
本発明の冷却装置の別の好ましい態様においては、前記処理室と前記冷却室とが同じ断熱性ハウジング内に含まれているか、又は別々の断熱性ハウジング内に含まれている
【0016】
本明細書において、「冷凍温度帯」とは、被処理物を凍結させる温度領域、すなわち、0℃以下の温度領域を意味する。具体的には、氷結点(食品類中ではじめて氷結晶が生じる温度)以下の凍結状態を含み、当然、−18℃以下の凍結状態も含む。また、「非冷凍温度帯」とは、被処理物を凍結させない温度領域、すなわち、0℃より高い温度領域を意味し、例えば、常温温度帯、及び冷蔵温度帯が含まれる。なお、「冷却」は、一般的に冷やすこと、例えば、被処理物の温度や冷却に用いる気体(冷却気体)の温度を低下させることを広く意味し、「非冷凍温度帯」への「冷却」及び「冷凍温度帯」への「冷却」の両方を含む。更に、「冷凍温度帯」への「冷却」を単に「冷凍」と称することがあり、本明細書の以下の説明においては、簡便化の目的で「非冷凍温度帯への冷却」を、単に「非冷凍冷却」と称することがある。
【0017】
また、本明細書において、「冷気」(又は、冷却気体)とは、冷却室において冷却された気体(特に、空気)を意味し、「暖気」とは、処理室内で昇温された気体(特に、空気)、例えば、「置換冷却サイクル」の冷却モードにおいて処理室内で昇温された気体を意味する。
更に、本明細書においては、本発明による冷却方法及び冷凍方法、並びに本発明による冷却装置及び冷凍装置を、統括的に、「本発明の冷却システム」と称することがある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)及び冷凍温度帯への冷却(冷凍)のいずれにおいても「バイパス循環方式」が採用され、冷気(冷却気体)の一部が処理室を通過せずに、そのまま冷却室に送り戻され、しかも循環されるので、冷却室から処理室に送風される冷気の中に加湿冷気が常に含まれることになり、処理室での冷却処理による被処理物の乾燥を有効に防止することができる。また、前記バイパス循環回路の形成により、冷気が繰り返し冷却室を通過するので、冷気の温度も充分に降下させることができる。
【0019】
また、本発明において、非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)及び冷凍温度帯への冷却(冷凍)のいずれにおいても、「置換冷却サイクル」を併用すると、非送風条件下で冷却が行われるので、従来の通風下ないし送風下での冷却とは異なり、被冷却物から水分が奪われにくくなり、冷却処理による被処理物(例えば、食品類)の乾燥を防止することができる。同時に、被処理物表面において過度の冷却(冷やし過ぎ)が発生しにくくなるので、被処理物表面と被処理物中心部との温度差が大きくならず、被処理物内で微小氷結晶を肥大化させる要因の1つを解消することができる。
【0020】
更に、本発明によれば、冷凍温度帯への冷却処理(冷凍処理)において冷却コイル表面に着霜した霜を、その冷凍処理に続けて実施する次のバッチに対する非冷凍温度帯への冷却処理(非冷凍冷却処理)において、気体冷却用水によって除霜することができるので、除霜処理のために冷却処理を中断する必要がなくなる。また、除霜処理のための加熱を必要とせず、更に、除霜処理の際に処理室から被処理物を取り出す必要もない。
【0021】
更にまた、本発明の非冷凍温度帯への冷却処理(非冷凍冷却処理)においては、気体冷却用(又は、冷気生成用)として水(冷水)を使用するので、焼きたてのパンや炊飯直後のご飯のように、高温の食品類を直接に処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面に沿って本発明の代表的な態様を説明する
図1は、本発明による冷却において採用する「バイパス循環方式」の原理を模式的に示す説明図である。なお、前記冷却には、非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)及び冷凍温度帯への冷却(冷凍)が含まれる。
【0023】
図1(a)及び図1(b)に示すとおり、本発明装置10は、断熱性ハウジング1A内に、処理室1、風量調節手段2、冷却室3、及び送気手段としてのファン4を含む。処理室1は、被冷却物12の搬入用及び搬出用の開閉自在な開口部(図示せず)から、室内11に被冷却物12を装入して配置することができる。冷却室3は、気体導入部から送り込まれる気体(特に、空気)を冷却して、非冷凍冷却の場合には非冷凍温度帯に冷却された気体(冷気)を生成して気体流出部から送出し、冷凍の場合には冷凍温度帯に冷却された気体(冷気)を生成して気体流出部から送出することができる。ファン4は、冷却室3で生成した冷却気体(冷気)を矢印Xの方向、すなわち処理室1の方向へ送り出す送風機能を有する。
【0024】
風量調節手段2は、処理室1の冷却気体(冷気)導入部の前方(ファン4側)に配置され、矢印Yの方向、すなわち処理室1の内部へ送る風量と、矢印Zの方向、すなわち処理室1へは送らずに、バイパス循環回路Qを経由させて冷却室3へ戻す風量とを分配する機能を有する。図1(a)及び図1(b)では、矢印X,Y,Zの幅によって、冷却気体(冷気)の分配の態様を模式的に示している。すなわち、図1(a)に示す態様では、冷却室3の気体流出部から送出される冷却気体(冷気)の全体(矢印X)の内の大部分(矢印Y)が処理室1の内部へ導入され、残りの小部分(矢印Z)がバイパス循環回路Qへ送られる。一方、図1(b)に示す態様では、冷却室3の気体流出部から送出される冷却気体(冷気)の全体(矢印X)の内の大部分(矢印Z)がバイパス循環回路Qへ送られ、残りの小部分(矢印Y)が処理室1の内部へ導入される。
【0025】
処理室1の内部へ送る風量と冷却室3へ戻す風量との分配比率(容量)は、特に限定されず、被処理物12の種類や温度、冷却段階などに応じて適宜調整することができる。例えば、処理室1の内部へ送る風量(Y)と冷却室3へ戻す風量(Z)との分配比率(Y:Z)は、1:99〜99:1や10:90〜90:10のように両者の比率に極端な差異を設けるか、あるいは、両者をほぼ均等(40:60〜60:40)に分配することもできる。更には、冷却処理を実施する過程で分配比率を連続的もしくは断続的に変化させることもできる。
【0026】
本発明において、前記冷却室3で冷却された気体(冷気)の内、処理室1の内部へ導入された冷却気体(冷気)は、被冷却物12から熱を奪って昇温して暖気となり、排出通路Rを経て冷却室3へ送られる。前記冷却室3に送られた暖気は、冷却及び加湿された後に、前記冷却室3の気体流出部から送出され、前記ファン4の作用により処理室1の方向へ送られ、再び、風量調節手段2によって、矢印Yの方向(すなわち処理室1の内部)へ送る風量と、矢印Zの方向(すなわち処理室1へは送らずに、バイパス循環回路Qを経由させて冷却室3)へ戻す風量とに分配される。風量調節手段2としては、例えば、ダンパーや開閉式のルーバー等を用いることができる。なお、風量調節手段2の駆動源としては、例えば、電気モーターやシリンダーでよい。
【0027】
一方、風量調節手段2によって処理室1への進入を遮断された冷却気体(冷気)は、前記風量調節手段2及び前記ファン4の作用によって形成されるバイパス循環回路Qを経て、前記冷却室3の気体導入部から前記冷却室3の内部に戻る。なお、バイパス循環回路Qが容易に形成されやすいように、通路形成部材(図示せず)を断熱性ハウジング1A内に設けることもできる。前記冷却室3に戻った冷気は、処理室1から送られる暖気と共に、再び冷却及び加湿された後に、前記冷却室3の気体流出部から送出され、前記ファン4の作用により処理室1の方向へ送られるが、その一部が風量調節手段2によって処理室1への進入を遮断され、再び、前記バイパス循環回路Qを経て前記冷却室3に戻る。こうして、前記冷却室3から排出される冷却気体(冷気)は、その一部分がバイパス循環回路Qに沿って常に複数回に亘って循環されるので、前記冷却室3から排出される冷却気体(冷気)は、全体として温度が充分に降下すると共に、加湿も進行する。なお、加湿の機構は後述する。
【0028】
次に、本発明による冷却において、場合により併用することのある「置換冷却サイクル」の原理を、図2及び図3に沿って説明する。なお、この場合の冷却にも、非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)及び冷凍温度帯への冷却(冷凍)が含まれる。
「置換冷却サイクル」は、図2に示す置換モードと、図3に示す冷却モードとからなるサイクルであり、本発明においては、このサイクルを順次繰り返して実施することによって、被冷却物の温度を段階的に低下させ、最終的な目標温度帯までの冷却を効果的に行うことができる。置換モードは、図2(a)に示すとおり、被冷却物12が内部に配置されている処理室1へ、冷気Cを矢印Aの方向に沿って大量に導入し、処理室1の室内11の暖気Hの全体を冷気Cと置き換える工程である。その結果、図1(b)に示すとおり、暖気Hが矢印Bに示すとおり、処理室1の室内11から排除され、処理室1の室内11の雰囲気は冷気Cによって置換される。この置換モードにおいては、処理室1へ案内される冷却気体(冷気)の量が比較的大量になるように、処理室1の気体導入部14の外側に設けた風量調節手段2を調整する。
【0029】
続いて、図3に示す冷却モードを行う。この冷却モードでは、処理室1の外側に設けた風量調節手段2を調整して、処理室1内への冷気Cの導入を実質的に遮断する。こうして冷気Cが充填された状態〔図3(a)〕の処理室1の室内11においては、冷気Cが被冷却物12の熱を吸収して昇温し、暖気Hに変化する〔図3(b)〕。本発明の「置換冷却サイクル」における冷却モードは、従来法の通風ないし送風下での冷却とは異なり、非送風条件下で冷却が行われ、対流を意図的に発生させる操作(例えば、攪拌操作)も特には行わないので、処理室1の内部11では自然対流の他には気流が発生しない状態で冷却が行われる。従って、被処理物表面が過度に冷却されることがなく、しかも、被冷却物表面からの水分除去も低減する。
【0030】
前記「バイパス循環方式」において、前記分配比率(Y:Z)、すなわち、処理室1の内部へ送る風量(Y)と冷却室3へ戻す風量(Z)との分配比率(Y:Z)は、被冷却物の種類に応じて変化させることができる。処理室1の内部へ送る風量(Y)を比較的少なくするのが好ましい被冷却物は、蒸散しやすい揮発性成分を含む食品、例えば、香料成分を含む洋菓子類や、酢成分を含む寿司飯類である。これらの被冷却物では、単に冷気を吹き付けるだけでも味や風味が失われるので、前記「バイパス循環方式」と前記「置換冷却サイクル」とを併用するのが特に好ましい。例えば、調理直後から非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)工程では、「置換モード」において、処理室1の内部へ送る風量(Y)と冷却室3へ戻す風量(Z)との分配比率(Y:Z)を、例えば、1:99%〜30:70%(好ましくは、5:95%〜30:70%)とし、更に、「冷却モード」においては、更に処理室1の内部へ送る風量(Y)を減少させて非送風状態で被冷却物の冷却を実施するのが好ましい。
【0031】
前記「バイパス循環方式」において、前記分配比率(Y:Z)、すなわち、処理室1の内部へ送る風量(Y)を比較的多くして処理時間を短縮することが可能な被冷却物は、表面からの水蒸気蒸発が起きにくい食品、例えば、油で調理したサツマ揚げなどである。例えば、サツマ揚げは、調理の際に既に水分がかなり減少しているだけでなく、表面が油で覆われているので、処理室1の内部へ送る風量(Y)と冷却室3へ戻す風量(Z)との分配比率(Y:Z)を、例えば、60:40%〜99:1%(好ましくは、60:40%〜90:10%)として冷却処理を行うことができる。なお、表面からの水蒸気蒸発が起きにくいこのような食品においても、凍結温度付近での処理では、中心部と表面との温度差を拡大させないために、前記「置換冷却サイクル」を併用するのが好ましく、「冷却モード」においては、処理室1の内部へ送る風量(Y)を減少させて非送風状態で被冷却物の冷却を実施するのが好ましい。
【0032】
一方、冷却時に水蒸気を蒸発したり、解凍時にドリップを発生する可能性がある被冷却物、例えば、生鮮魚介類を冷却する際には、処理室1の内部へ送る風量(Y)と冷却室3へ戻す風量(Z)との分配比率(Y:Z)を、例えば、30:70%〜60:40%とすることができる。これらの生鮮魚介類も、凍結温度付近での処理では、中心部と表面との温度差を拡大させないために、前記「置換冷却サイクル」を併用するのが好ましく、「冷却モード」においては、処理室1の内部へ送る風量(Y)を減少させて非送風状態で被冷却物の冷却を実施するのが好ましい。
【0033】
本発明においては、冷却室3で気体を冷却する際に、気体を熱交換器と接触させることによって冷却するか、あるいは気体を水と直接に接触させることによって冷却することができる。気体の冷却用として熱交換器を用いる場合には、冷却コイル中に冷媒(気液の相変化によって冷却を行う)を循環させるか、又は冷却用液体、例えば、ブライン(例えば、塩化カルシウム水溶液や塩化ナトリウム水溶液)や不凍液(例えば、エチレングリコール)を循環させて気体を非冷凍温度帯や冷凍温度帯へ冷却することができる。気体を水と直接に接触させる場合には、例えば、5℃以下の冷水を用いて、気体を非冷凍温度帯へ冷却することができる。
【0034】
最初に、気体を水と直接に接触させることによって冷却する冷却室の態様を説明する。この場合、気体は冷却室において非冷凍温度帯へ冷却されるので、処理室内の被処理物は非冷凍温度帯へ冷却(非冷凍冷却)される。図4は、この態様の冷却室3Aの模式的断面図である。図4に示す非冷凍冷却用の冷却室3Aは、冷却室容器37の内部の上方に送出用ファン31を備え、その送出用ファン31の下方に、上部整流板32A、スプレーノズル33、分散材34、及び下部整流板32Bを順に備えている。この冷却室3Aは、暖気(処理室通過気体)又は冷気(循環気体)の導入部に相当する吸気口35を冷却室容器37の下部に有し、生成した冷却気体の送出部に相当する冷気送出口36を冷却室容器37の頂部に有している。また、冷却室容器37の外側には、冷水を生成する冷水製造器41を備えており、この冷水製造器41によって生成した冷水は、循環ポンプ42により給水管44を経て、冷却室容器37の上部に配置したスプレーノズル33に供給される。
【0035】
前記の冷水製造器41としては、冷凍サイクルの蒸発器(冷却器)を使用することも、あるいは通常のチラーを使うこともできる。冷水の温度は、被冷却物の目標冷却温度によって適宜変更することができ、例えば、水温が+2℃〜+3℃の冷却水を生成することができるものが望ましい。水温が+2℃〜+3℃の冷却水を用いると、冷気を前記のバイパス循環回路で複数回に亘って循環させることにより、+5℃程度の冷気を得ることができる。
【0036】
冷却水が、冷却室容器37の上部に配置されたスプレーノズル33から下方に噴出され、一方、冷却室容器37の下部に設けた吸気口35から導入された気流(例えば、暖気H)が上方に上昇するので、図4に示す非冷凍冷却用の冷却室3Aは、向流型である。なお、非冷凍冷却に用いることのできる冷却室は、気流と冷却水とが同じ方向に平行して流れる並流型であることもでき、あるいは、受取口を冷却室容器の上部に設け、排出口を冷却室容器の下部に設けることもできる。更に、スプレーノズルを冷却室容器の下部や側壁部に配置したり、上部、下部、及び側壁部の複数箇所に配置することもできる。また、気流と冷却水との接触方法も、スプレー型に限定されず、冷却水の流水と気流との接触や、気流を冷却水中にバブリングさせることによって行うこともできる。
【0037】
図4に示す冷却室3Aの吸気口35に到達した暖気(処理室通過気体)及び冷気(循環気体)は、冷却室容器37の頂部に配置された送出用ファン31の吸引力によって、吸気口35から冷却室容器37の内部に進入し、更に下部整流板32Bを経由して上方に向かって流れる。下部整流板32B及び上部整流板32Aは、いずれも、気流の偏流を防止し、気流を整流化することができるものであれば、特に限定されない。整流化された気流は、続いて、分散材34の内部を上方に向かって通過する。一方、分散材34の上方に配置されたスプレーノズル33から噴霧される冷水も分散材34の内部を下方に向かって通過する。分散材34は、前記の両者の通過の際に、例えば、両者の滞留時間を延長させたり、広い接触面積を提供するなどによって両者の接触を促進する構造を有し、水による気流の閉塞を起こさない構造を有している。従って、分散材34を通過する際に、冷却水との接触によって、気体は断熱冷却によって冷却される。こうして冷却された気流は、更に上部整流板32Aを通過する際に整流され、冷却室容器37の頂部に配置された送出用ファン31によって、冷気送出口36から外部へ放出される。
【0038】
一方、前記分散材34を通過した水は、気流との接触によって昇温され、冷却室容器37の底部に設けられた貯水部38に導かれ、水位調整器(例えば、ボールタップ)〔図示せず〕によって制御される循環ポンプ42とドレン46とにより、排水口45から冷水製造器41に循環されるか、あるいは排水槽43に送られる。貯水部38の水位は、オーバーフロー管39によっても調整される。冷水製造器41に循環された水は、冷水製造器41において再び冷却された後、スプレーノズル33に供給される。貯水部38に補給水を供給する必要はないが、循環による水の汚れを防止するために、定期的に給水及び排水を行うことが望ましい。
【0039】
次に、冷却室が、水と直接に接触させることによって気体を冷却することのできる手段(又は領域)と、熱交換器と接触させることによって気体を冷却することのできる手段(又は領域)とを備えている態様(複合型又はハイブリッド型)について説明する。この場合、気体は冷却室において非冷凍温度帯へ冷却されると共に、非冷凍温度帯へも冷却されるので、処理室内の被処理物は、非冷凍温度帯へ冷却(非冷凍冷却)された後、更に冷凍温度帯へ冷却(冷凍)される。図5は、この態様の冷却室3Bの模式的断面図である。図5に示す複合型冷却室3Bは、冷却室容器57の内部の上方に気体吸入用ファン51を備え、その気体吸入用ファン51の下に上部整流板52A、スプレーノズル53、凍結防止ヒーター67a、分散材54、及び下部整流板52Bを順に備えている。この冷却室3Bは、暖気H及び冷気Cの導入部に相当する吸気口55を冷却室容器57の頂部に有し、生成した冷却気体の送出部に相当する冷気送出口56を冷却室容器57の下部に有している。また、前記分散材54の内部には、冷却室容器57の外側に設けた冷凍機71と連絡する冷却コイル72を備えている。なお、冷却コイルを含まない分散材の領域と、冷却コイルとを分割し、主に気体と水とを接触させる領域と、気体と冷却コイルとを接触させる領域とを分けることもできる。
【0040】
前記冷凍機71及び前記冷却コイル72は、冷媒を循環させる冷凍サイクルを構成しており、前記冷凍機71は冷凍サイクルの圧縮機(コンプレッサー)に相当し、前記冷却コイル72は冷凍サイクルの蒸発器(エバポレーター)に相当する。また、この冷凍サイクルには、高温用膨張弁73と低温用膨張弁74とを備え、更にそれらを切り換える切換用電磁弁75a,75bを備えている。前記高温用膨張弁73は、非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)を実施する際に使用し、前記低温用膨張弁74は、冷凍温度帯への冷却(冷凍)を実施する際に使用する。なお、前記高温用膨張弁73及び前記低温用膨張弁74の設定温度は、各々の気体の露点近辺までとすることが望ましい。露点より低温にすると、冷却コイル72で気体中の水分の凝縮や凝集が起こり、気体を乾燥させるからである。
【0041】
冷却室容器57の底部には水流出口65が設けられており、冷却室容器57の底部の外側には、その水流出口65に連結して貯水槽58が設けられている。なお、水流出口65と貯水槽58とを連結する管には、凍結防止ヒーター67bを設けることが好ましい。貯水槽58に案内された水は、水位調整器(例えば、ボールタップ)〔図示せず〕によって制御される循環ポンプ62と調整弁66とにより、給水管64を経て、スプレーノズル53に循環供給されるか、あるいは排水槽63に送られる。貯水部58の水位は、オーバーフロー管59によっても調整される。
【0042】
図5に示す冷却室3Bを用いると、1つの装置によって、最初に、比較的に高温の被処理物に対して、水を気体冷却に用いる非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)を実施し、引き続いて、冷媒を気体冷却に用いる冷凍温度帯への冷却(冷凍)を連続的に実施することができる。非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)を実施する段階では、吸気口55に送られた暖気H及び冷気Cが、冷却室容器57の頂部に配置された気体吸入用ファン51の吸引力によって、吸気口55から冷却室容器57の内部に装入され、更に上部整流板52Aを経由して下方に向かって進行する。上部整流板52A及び下部整流板52Bは、いずれも、気流の偏流を防止し、気流を整流化することができるものであれば、特に限定されない。整流化された気流は、続いて、分散材54の内部を下方に向かって通過する。一方、分散材54の上方に配置されたスプレーノズル53から噴霧される水も、噴霧の直後に気流と並流型で接触した後、分散材54の内部を下方に向かって通過する。従って、分散材54は、前記の両者の通過の際に、例えば、両者の滞留時間を延長させたり、広い接触面積を提供するなどによって両者の接触を促進する構造を有し、水による気流の閉塞を起こさない構造を有している限り、特に限定されない。なお、この分散材54が内部に水滴ブリッジを形成すると、冷凍温度帯への冷却(冷凍)を実施する際に、氷結晶ブリッジとなって気流通過を妨害することになるので、分散材54としては、内部に水滴ブリッジを形成しないピッチを有する構造であることが好ましい。同様に、前記上部整流板52A及び前記下部整流板52Bも、内部に水滴ブリッジを形成しないピッチを有する構造であることが好ましい。
【0043】
非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)を実施する際には、前記分散材54の内部に配置してある冷却コイル72を、非冷凍冷却用に膨張させた高温冷媒が通過しており、前記分散材54の内部を通過する気体流及び水を、それぞれ、断熱冷却によって冷却することができる。こうして、冷却コイル72によって水と共に冷却された気体流は、更に下部整流板52Bを通過する際に整流され、冷却室容器57の下部に配置された冷気送出口56から放出される。一方、前記分散材54を通過した水は、下部整流板52Bを通過した後、冷却室容器57の底部の水流出口65から、貯水槽58に送られ、前記の通り、スプレーノズル53に循環供給されるか、あるいは排水槽63に送られる。
【0044】
図5に示す複合型冷却室3Bは、前記の通り並流型であるが、向流型とすることもできる。あるいは、受取口を冷却室容器の下部に設け、冷気送出口を冷却室容器の頂部に設けることもできる。更に、スプレーノズルを冷却室容器の下部や側壁部に配置したり、上部、下部、及び側壁部の複数箇所に配置することもできる。また、気流と冷却水との接触方法も、スプレー型に限定されず、冷却水の流水と気流との接触や、気流を冷却水中にバブリングさせることによって行うこともできる。
【0045】
図5に示す複合型冷却室3Bを用いて、本発明による置換冷却サイクルを繰り返して実施することにより、被冷却物を段階的に常温温度帯又は冷蔵温度帯(特には、冷蔵温度帯)に冷却した後に、同じ複合型冷却室3Bを用いて、冷凍温度帯への冷却(冷凍)を行うことができる。
非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)から冷凍温度帯への冷却(冷凍)に切り換える際には、最初に、スプレーノズル53からの噴霧を停止する。冷却室容器57の内部に残存水が存在する可能性があるときは、気体(特に空気)を強制的に送り込んで、残留水を排除することが好ましい。次に、凍結防止ヒーター67a,67bあるいはその他の箇所に設けた凍結防止ヒーターの電源をオンにし、続いて、切換用電磁弁75a,75bにより、高温用膨張弁73から低温用膨張弁74へ切り換え、前記分散材54の内部に配置してある冷却コイル72に、冷凍用に膨張させた低温冷媒を通過させる。この場合の設定温度として、冷却コイルの温度を、例えば、−30℃〜−40℃とすると、この冷却コイルに接触する暖気(H)及び冷気(C)を、例えば、−25℃〜−35℃の冷却気体(特に空気)にすることができる。
【0046】
図5に示す複合型冷却室3Bにおいては、冷却室容器57に設ける冷却コイル72の内部に、冷媒に代えて、冷却用液体(例えば、ブライン又は不凍液)を循環させることもできる。また、前記貯水槽58の内部に、前記冷凍機71と接続する冷却コイル(図示せず)を設け、貯水槽58に充填されている水の冷却に用いることができる。貯水槽58に設ける冷却コイルにも、冷媒又は冷却用液体を循環させることができる。
【0047】
本発明においては、或る1種類の被冷却物に関して、水との直接接触によって冷却用気体を生成する非冷凍冷却と、冷媒又は冷却用液体を循環させる熱交換器(冷却コイル)との接触によって冷却用気体を生成する冷凍とを連続的に実施することができる。また、このような非冷凍冷却処理と冷凍処理とからなるバッチ工程を次々に連続して行うと、冷凍処理の際に蒸発器に着霜した霜を、次のバッチ工程の非冷凍冷却の際に除霜することができる。
【0048】
例えば、図5に示す複合型冷却室3Bを用いる場合、非冷凍冷却処理(気体冷却に水を使用)の終了後に、引き続いて冷凍処理(気体冷却に冷媒又は冷却用液体を使用)を実施すると、冷却コイル72の表面が着霜する。しかしながら、前記冷凍処理の完了後に、処理室から冷却処理物を取り出し、次のバッチ処理用の被冷却物を処理室に装入し、切換用電磁弁75a,75bによって低温用膨張弁74から高温用膨張弁73に切り換え、非冷凍冷却処理(気体冷却に水を使用)を開始すると、複合型冷却室3Bのスプレーノズル53から冷却水が供給される。この冷却水は、冷却コイル72の表面と接触して流れるので、冷却コイル72の表面の霜を洗い流すことができる。霜に由来する溶融水も、冷却水と一体となって、冷却室容器57の底部の水流出口65を経由して貯水槽58に送られ、冷却水として循環することになるので、除霜処理に起因する排水工程も不要である。
【0049】
ちなみに、従来法では、非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)を開始する場合でも、冷却効率(主として、冷却時間)を重視して、ほとんどの場合、冷却コイルの温度を最初からマイナスに設定する。例えば、被冷却物の最終品温を−25℃にする場合には、冷却コイルを−35℃以下の温度にする必要があるので、前記被冷却物の最初の温度が+40℃程度の場合でも、冷却コイルの温度を最初から−35℃以下の温度に設定する。この条件下で冷却を開始すると、被冷却物から発生する水蒸気(湯気)や被冷却物内部からの熱により蒸発する水分は、全て冷却コイルの表面に着霜し、冷却用空気も乾燥する。
これに対して、本発明の前記態様においては、非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)で冷却用気体の冷却に水を使用するので、着霜が発生しない。また、冷凍温度帯への冷却(冷凍)では着霜が発生するが、次のバッチ処理において除霜されるので、従来法の欠点が解消される。
【0050】
本発明においては、被冷却物を収容する処理室に水蒸気トラップ手段を設けて、高温の被冷却物から放出される水蒸気を捕捉することができる。
図6は、処理室1の室内11の上部(天井部)に水蒸気トラップ手段5を有する態様を示す模式的部分断面図である。水蒸気トラップ手段5は、冷却チューブ21、ドレンパン22、及び排水管23を含む。冷却チューブ21は、その外側表面にフィンを有し、冷気との接触で冷却された状態を維持することのできる材料からなることができる。また、冷却チューブ21は、内部に冷却用液体(水)を循環させることもできる。処理室1の室内11に設けた載置棚13の上に配置された被冷却物(図示せず)が、例えば、焼きたてのパンや炊飯直後のご飯などの場合には、その被冷却物から水蒸気を多量に含む気体が矢印Eの方向に上昇し、処理室1の室内11の上部(天井部)に設けた冷却チューブ21と接触する。この接触によって水蒸気が冷却チューブ21に結露を形成して除去されるので、乾燥した気体が矢印Fの方向で処理室1の室内11に戻る。一方、冷却チューブ21の表面上に形成された結露は、水滴となってドレンパン22に落下し、排水管23を経て処理室1の外部へ除去される。
【0051】
前記冷却チューブ21の内部を循環させる冷却用液体(特に、水)としては、例えば、非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)において、冷却室内で気体と接触させるための冷却水あるいは気体と接触させた後の水を循環させて併用することができる。
【0052】
なお、前記のような水蒸気トラップ手段を備えていない処理室に、被冷却物として、例えば、焼きたてのパンや炊飯直後のご飯を装入すると、盛んに水蒸気(湯気)を発生して、処理室内の低温部(例えば、特に天井周辺)に結露し、水滴となって被処理物に落下する。このような水滴は、冷却処理後の製品にシミとして残り、商品価値を劣化させる原因にもなる。しかしながら、処理室に前記のような水蒸気トラップ手段を設けることにより、前記のような問題の発生を防止することができる。
【0053】
また、従来法では、非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)においても、前記のとおり、冷却コイルの温度を最初からマイナスに設定し、冷却コイルの内部に冷媒(例えば、フロン代替物)を循環させているため、高温の被冷却物(例えば、焼きたてのパンや炊飯料理直後のご飯)をそのまま処理することができず、例えば、自然放冷によって、被冷却物の温度を40℃〜50℃に降下させてから処理室に装入していた。
【0054】
これに対して、本発明の冷却システムにおいては、冷気の一部分を処理室に送らずに冷却室に戻すバイパス通路を設けて冷気の一部分を循環させ、冷気を複数回に亘って冷水と接触させることにより、冷気の温度を充分に降下させることができるので、高温被冷却物(例えば、焼きたてのパンや炊飯料理直後のご飯)を非冷凍温度帯へ冷却(非冷凍冷却)する場合に、その非冷凍冷却において、冷気生成用の冷水を用いることができ、高温被冷却物をそのまま処理室に装入して冷却処理を開始することができる。また、高温被冷却物を最終的に冷凍温度帯へ冷却(冷凍)する場合でも、本発明による冷凍処理を行う前に、前記非冷凍冷却処理を実施するので、高温被冷却物をそのまま処理室に装入して冷却処理を開始することができる。
【0055】
本発明は、非冷凍温度帯への冷却及び冷凍温度帯への冷却を、冷却室内で熱交換器との接触によって生成した冷却気体を用いて実施することもできる。この場合、冷却室内の熱交換器には、冷媒又は冷却用液体を通過させることができる。本発明においては、冷却室において冷却された気体(冷気)を風量調節手段によって、処理室へ案内される処理用冷却気体と、冷却室に戻す循環用冷却気体とに分割するので、冷却室に戻る気体は、暖気と冷気との混合気体になる。従って、例えば、焼きたてのパンや炊飯直後のご飯のように、水蒸気を多量に発生する高温食品類を最初から処理室に搬入して処理した場合に、処理室から排出される暖気の温度が極端に高くなっても、冷却室に戻るまでに、循環用冷却気体と接触して混合され、混合気体としての温度は充分に低下させることができる。また、循環用冷却気体の比率を高くすることによって、混合気体の温度を充分に低下させることもできる。従って、この態様においても、冷却室内の熱交換器には、ブラインなどの冷却用液体だけでなく、冷媒を循環させることもできる。
【0056】
また、前記のように、非冷凍温度帯への冷却及び冷凍温度帯への冷却を、冷却室内で熱交換器との接触によって生成した冷却気体を用いて実施する態様においては、図6に示す水蒸気トラップ手段5と同様に、処理室内に蓄熱材を設けて、水蒸気を多量に発生する高温食品類(例えば、焼きたてのパンや炊飯直後のご飯)を最初から処理室に搬入して処理することができる。この場合、処理室内に設けた蓄熱材を予め室温以下に冷却しておくと、処理室内に搬入された高温食品類から発生する高温気流と接触して温度を低下させることができ、その際に生成される水滴を、図6に示す水蒸気トラップ手段5と同様に集めて、排除することができる。なお、或る被処理物への冷却処理(すなわち、非冷凍温度帯への冷却処理又は冷凍温度帯への冷却処理)が終了した後に、次の被処理物を搬入する場合には、前のバッチ処理によって蓄熱材も冷却されているので、次の被処理物(高温食品類)から発生する高温気流の温度を有効に降下させることができる。
【0057】
本発明装置は、被冷却物を収容することのできる処理室、冷却室、送気手段、及び風量調節手段が1つの断熱性ハウジング内に収容された態様であるか、あるいは、処理室と冷却室とが別々の断熱性ハウジング内に収容されており、送気手段及び風量調節手段が、処理室収容断熱性ハウジング又は冷却室収容断熱性ハウジングに収容された態様であることができる。
【0058】
また、本発明装置は、断熱性ハウジング内において、隔壁によって仕切られた処理ゾーン、冷却ゾーン、及び通気ゾーンを有する態様であることができる。処理ゾーンは、被処理物を収納する領域であり、被処理物の搬入・搬出用の気密性閉鎖可能な開口部を備え、更に場合により、水蒸気トラップ手段を備えていることができる。また、処理ゾーンと通気ゾーンとの間に設ける隔壁は、冷気を受け入れる気体導入部及び暖気を送出する気体流出部を有しており、処理ゾーンと通気ゾーンとを厳密に気密に隔離する構造を有する必要はない。また、冷却ゾーンと通気ゾーンとの間に設ける隔壁は、暖気及び冷気を受け入れる気体導入部、並びに冷気を送出する気体流出部を有しており、冷却ゾーンと通気ゾーンとを厳密に気密に隔離する構造を有する必要はない。
【0059】
冷却ゾーンは、気体導入部から進入する気体を、水と直接に接触させることによって非冷凍温度帯に冷却された気体とするか、あるいは蒸発器と接触させることによって非冷凍温度帯又は冷凍温度帯へ冷却された気体とすることができる。こうして冷却された冷気は、送気手段によって、通気ゾーン内を処理ゾーンに向かって送風される。
【0060】
通気ゾーン内において、冷却ゾーンから処理ゾーンに向かう気流と、逆に、処理ゾーンから冷却ゾーンに向かう気流とが円滑に流れるように、通気ゾーン内に隔壁を設けることができる。この隔壁も、厳密に気密な構造を有する必要はない。
【0061】
本発明における循環工程により冷気Cが加湿される機構を、図2及び図7に沿って説明する。図7は、縦軸の絶対湿度(水蒸気質量/空気質量)と横軸の温度(℃)との関係を示す模式的グラフである。図7において、曲線Sは飽和湿度曲線であり、直線Aは断熱冷却線である。また、twは湿球温度であり、tdは露点である。
【0062】
まず、図2に示す置換モードにおいて、図2(a)に示すように処理室1に進入する冷気Cが、温度「t1」及び絶対湿度「H1」を有するものとすると、冷気Cの状態は図7の交点aで示される。この冷気Cが、図3に示す冷却モードにおいて、被処理物から熱を吸収して昇温し、温度「t2」の暖気Hとなる場合、絶対湿度は事実上変化しないので、図3(b)に示すように温度「t2」及び絶対湿度「H1」を有する暖気Hが処理室1内に形成され、その状態は、図7の交点bに移動する。
【0063】
続いて、温度「t2」及び絶対湿度「H1」を有する暖気Hは、次の置換モードにおいて図2(b)に示すように冷却室3に移動し、冷却室3にて温度「t3」に冷却される。この冷却の際には、後述するように、冷却室3に加湿の水分供給源が存在するので、断熱冷却線Aに沿って加湿され、絶対湿度「H2」となり、図7の交点cに示すように、温度「t3」及び絶対湿度「H2」を有する状態となる。すなわち、温度が低下(t2−t3)すると共に、湿度が上昇(ΔH=H2−H1)する。
【0064】
前記の加湿の供給源は、気体冷却用に水を用いる非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)においては、冷却室容器37のスプレーノズル33から供給される冷水である。また、冷凍温度帯への冷却(冷凍)においては、冷却室容器57の内壁に残留する氷滴である。なお、冷凍温度帯への冷却(冷凍)においては、気体が保有可能な水分量は非常に少なくなる。例えば、+5℃での保有可能水分量(水/乾燥空気)は、5.38×10−3kg/kgであるのに対し、−17℃では、8.17×10−4kg/kgとなり、−39℃では、8.16×10−5kg/kg(=0.08g/kg)となるので、微小な水分が存在するだけで飽和する。この程度の水分供給源としては、非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)において噴霧された水滴が冷却室容器57の壁面に凍結して形成された氷滴で充分である。また、凍結防止ヒーターの近辺では、氷滴からの昇華が起きており、この水分も水分供給源となる。
【0065】
図7の交点cに示す状態の冷気Cを、図2(b)に示すように、バイパス循環回路を経由させて再び冷却室3に戻すと、更に、断熱冷却線Aに沿って加湿及び冷却され、温度「tw」及び絶対湿度「H3」の交点dに徐々に近づくことになる。
【0066】
以上のように、本発明においては、処理室内で暖気Hを形成することが、気体(特に空気)の余熱過程(図7の点aから点bへの移動)に相当することになり、この余熱過程の存在が、冷気を加湿する主要な要因となる。
【0067】
一般に、冷却コイルの表面温度が露点より低いと、気体中の水分が冷却コイルの表面に凝集してしまい、気体を飽和させることが困難になる。従って、気体温度と冷却コイルの表面温度との温度差を2℃〜3℃とするのが理想的であるが、従来法のように、冷却室に暖気を一度だけ通過させるワンパスでは、冷却効率が悪くなるので、一般に、気体温度と冷却コイルの表面温度との温度差を10℃程度にしている。これに対して、本発明においては、処理室での温度上昇幅(予熱温度幅)を2℃〜3℃程度の小さい範囲として、気体温度と冷却コイルの表面温度との温度差を小さくし、ワンパスでは充分に加湿することができないとしても、前記のバイパス循環工程によって、加湿を繰り返すことにより、ほぼ飽和した冷気を得ることができる。更に、循環工程にかかる負荷は、せいぜいファンによる撹拌熱程度であり、循環工程には実質的に負荷がかからないので、前記の効果を充分に得ることができる。
【0068】
なお、前記の循環工程において、図7に示す交点aと交点bとの温度差(t2−t1)や、置換冷却サイクルにおける置換モード及び冷却モードの継続時間などは、被冷却物の冷却の進行程度によって適宜調節することが好ましい。例えば、非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)において、被冷却物を高温温度帯から常温温度帯へ冷却する場合と、被冷却物を常温温度帯から冷蔵温度帯へ冷却する場合とを比較すれば、前者の置換冷却サイクルにおける置換モード及び冷却モードの切り換えを短時間で実施することが好ましい。
【0069】
本発明による冷却の完了、例えば、非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)及び冷凍温度帯への冷却(冷凍)の完了は、被処理物の中心部の温度が、目標冷却温度に到達した時点である。本発明においては、「バイパス循環方式」によって冷気の一部のみが処理室に送られ、更に、「置換冷却サイクル」を併用すると、非送風条件下で冷却を実施するため、被処理物の中心部の温度と表面の温度との温度差が小さい状態で維持される。一方、従来法では、通風状態で冷却するものの、表面のみが過度に冷却されて、中心部との温度差が大きくなるだけである。従って、本発明による冷却は、従来法と比較しても、冷却に要する時間に大差はない。
【0070】
本発明による冷却システムは、任意の被冷却物に適用することができる。冷却処理の対象としては、例えば、各種の食品(例えば、加工食品、又は生鮮食品)、植物(特に、観賞用植物の全体又はその一部分)、飼料、又は人若しくは動物の死体を挙げることができる。
また、本発明による冷却システムは、処理対象物を冷却する際に利用することができるだけでなく、冷却された状態での保存にも利用することができる。この保存には、常温温度帯での保存、冷蔵温度帯での保存、及び冷凍温度帯での保存が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明による冷却システムは、種々の冷却対象物について、非冷凍温度帯への冷却(非冷凍冷却)及び冷凍温度帯への冷却(冷凍)に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明で利用する「バイパス循環方式」の原理を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明で採用する「置換冷却サイクル」の置換モードの原理を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明で採用する「置換冷却サイクル」の冷却モードの原理を模式的に示す説明図である。
【図4】本発明による非冷凍温度帯への冷却に用いることのできる冷却室の一態様の模式的断面図である。
【図5】本発明による冷凍温度帯への冷却に用いることのできる複合型冷却室の一態様の模式的断面図である。
【図6】処理室室内の上部に水蒸気トラップ手段を有する態様を示す模式的部分断面図である。
【図7】縦軸の絶対湿度(水蒸気質量/空気質量)と横軸の温度(℃)との関係を示す模式的グラフである。
【符号の説明】
【0073】
1・・・処理室;1A・・・断熱性ハウジング;2・・・風量調節手段;
3,3A,3B・・・冷却室;4・・・ファン;5・・・水蒸気トラップ手段;
10・・・本発明装置;11・・・処理室の室内;12・・・被冷却物;
13・・・載置棚;14・・・気体導入部;
21・・・冷却チューブ;22・・・ドレンパン;23・・・排水管;
31・・・送出用ファン;32A,52A・・・上部整流板;
32B,52B・・・下部整流板;
33,53・・・スプレーノズル;34,54・・・分散材;
35,55・・・吸気口;36,56・・・冷気送出口;
37,57・・・冷却室容器;38・・・貯水部;
39,59・・・オーバーフロー管;
41・・・冷水製造器;42,62・・・循環ポンプ;
43,63・・・排水槽;44,64・・・給水管;45・・・排水口;
46・・・調整弁;51・・・気体吸入用ファン;
58・・・貯水槽;65・・・水流出口;66・・・調整弁;
67a,67b・・・凍結防止ヒーター;
71・・・冷凍機;72・・・冷却コイル;73・・・高温用膨張弁;
74・・・低温用膨張弁;75a,75b・・・切換用電磁弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却室において冷却された気体を、送気手段によって、被冷却物を収容する処理室へ送風することによって前記被冷却物を冷却する方法において、
前記冷却室から前記処理室へ送風される冷却気体を、前記処理室の気体導入部と前記送気手段との間に設けた風量調節手段によって、前記処理室へ案内される処理用冷却気体と、前記処理室を通過せずに前記冷却室に戻るバイパス通路へ案内される循環用冷却気体とに分割することを特徴とする、前記冷却方法。
【請求項2】
前記風量調節手段によって、処理用冷却気体と循環用冷却気体とを1:99〜99:1の比率に分割する、請求項1に記載の冷却方法。
【請求項3】
(1)前記風量調節手段によって前記処理室へ案内される処理用冷却気体の量を増加させることにより、前記処理室内の雰囲気を処理用冷却気体に置換させる置換モードと、
(2)前記風量調節手段によって前記処理室へ案内される処理用冷却気体の量を減少させて前記処理室を非送風条件にし、前記処理用冷却気体の温度が所定温度に上昇するか、もしくは非送風条件下で所定時間が経過するかのいずれか一方の条件を満足するまで、非送風条件下で被冷却物を冷却する冷却モードと
からなる置換冷却サイクルを繰り返して実施する、請求項1又は2に記載の冷却方法。
【請求項4】
前記処理室に収容した高温被冷却物から放出される水蒸気を、前記処理室に設けた水蒸気トラップ手段によって捕捉することを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の冷却方法。
【請求項5】
冷却室において、水と直接に接触させることによって気体を非冷凍温度帯へ冷却し、処理室内の被冷却物を非冷凍温度帯へ冷却する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の冷却方法。
【請求項6】
冷却室において、熱交換器と接触させることによって気体を冷却し、処理室内の被冷却物を冷凍温度帯又は非冷凍温度帯へ冷却する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の冷却方法。
【請求項7】
熱交換器内に冷媒又は冷却用液体を通過させる、請求項6に記載の冷却方法。
【請求項8】
請求項5に記載の方法によって処理室内の被冷却物を非冷凍温度帯へ冷却した後に、前記被冷却物を冷凍温度帯へ冷却する、請求項6又は7に記載の冷却方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の方法によって処理室内の被冷却物を冷凍温度帯へ冷却して冷却処理を終了した後に、新しい被冷却物を処理室に導入して、請求項5に記載の非冷凍温度帯への冷却方法を引き続いて実施する、冷却方法。
【請求項10】
先に実施した冷凍温度帯への冷却処理前の際に熱交換器上に着霜した霜を、気体冷却用の水によって除霜する、請求項9に記載の冷却方法。
【請求項11】
(1)被冷却物を収容することのできる処理室、
(2)気体を冷却することのできる冷却室、
(3)前記冷却室で冷却された気体を前記処理室へ送ることのできる送気手段、及び
(4)前記処理室の気体導入部と前記送気手段との間に設けられ、前記冷却室から前記処理室へ送風される冷却気体を、前記処理室へ案内される処理用冷却気体と、前記処理室を通過せずに前記冷却室に戻るバイパス通路へ案内される循環用冷却気体とに分割することのできる風量調節手段
を有することを特徴とする、冷却装置。
【請求項12】
前記処理室が、その中に収容した高温被冷却物から放出される水蒸気を捕捉することのできる水蒸気トラップ手段を備える、請求項11に記載の冷却装置。
【請求項13】
前記冷却室が、水と直接に接触させることによって気体を冷却することのできる領域と、熱交換器と接触させることによって気体を冷却することのできる領域とを備えている、請求項11又は12に記載の冷凍装置。
【請求項14】
前記処理室と前記冷却室とが同じ断熱性ハウジング内に含まれているか、又は別々の断熱性ハウジング内に含まれている、請求項11〜13のいずれか一項に記載の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−82591(P2008−82591A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261671(P2006−261671)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(592193409)
【Fターム(参考)】