説明

冷却能力が改良されたガスタービン羽根

【課題】ガスタービンの羽根を冷却するための冷却空気の需要を低減し、タービン効率を高める。
【解決手段】羽根の端壁10と、翼20と、同時に羽根の2つの端壁10,30とを順次冷却するように構成された第1の端壁冷却通路11、翼冷却通路21と第2の端壁冷却通路31の配列によって冷却される、ガスタービンの中空の羽根に関する。この配列は、冷却空気の需要を低減することができ、このことは、タービン効率に有利な効果を与えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ガスタービン羽根、特にガスタービン羽根の冷却構成に関する。
【0002】
この明細書において、順次冷却という用語は、冷却流体を捕捉して付加することなく順次して冷却することを意味し、冷却流体が分割され、さらなる冷却において使用するためにその後再び組み合わされるような構成を含む。
【背景技術】
【0003】
ガスタービンの出力は入口温度に大きく関係するが、ガスタービンをどれだけ高温で運転することができるかは、タービン部材の冶金学的制約、及びこれらの部材の冷却効果によって制限されている。部材を低温に保ち、ひいては出力を最大化するために、部材を冷却するために通常はガスタービンの圧縮機から引き込まれた冷却空気が使用される。しかしながら、この引き込みはガスタービンの効率の直接の損失を意味し、ひいては、例えば冷却空気を最適に利用することによって、引き込みを最小限にすることが好ましい。
【0004】
有効な冷却を行うために、多くの冷却設計が開発されてきた。これらの設計は、通常、冷却増強手段、及びインピンジメント冷却配列を備えたフィルム冷却方式を含む様々な対流冷却設計を使用する。対流冷却配列は、さらに、壁の表面積を増大することによって及び/又は壁の乱流を生ぜしめることによって冷却の有効性を高める特徴である、冷却増強手段も有している。冷却増強手段の例は、羽根の内壁から突出したピン、冷却空気流に対して鈍角に位置決めされたリブ、及び羽根の圧力面と吸込み面壁部との間の間隙を横切って突出したピンの形式の台を含む。
【0005】
冷却装置の一例が、米国特許第7097418号明細書に開示されている。この明細書には、翼インピンジメント式冷却装置が記載されている。欧州特許第1221538号明細書は、翼の複数の空洞内に収容及び区分けされたインピンジメントチューブを利用する翼インピンジメント式冷却システムを有する別の装置を示している。さらに、これらの空洞内で翼弦方向に冷却媒体を案内するために使用される翼弦方向リブが記載されている。
【0006】
これらの解決手段が提供されているにもかかわらず、択一的な設計及び/又は改良された設計によって、冷却媒体の利用を向上させることが依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7097418号明細書
【特許文献2】欧州特許第1221538号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、羽根を冷却するための冷却空気の需要と、この需要がガスタービン効率に与える不都合な影響という問題に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この問題は、独立請求項の主体によって解決される。有利な実施形態が従属請求項に示されている。
【0010】
前記問題は、羽根の端壁と、羽根の翼とを順次して冷却し、それと同時に羽根の2つの端壁を冷却するという考え方を用いることによって解決される。この装置は、冷却空気の需要を20%減少させるように計算されており、この場合、実際の利益は、設計及び運転のファクタに依存する。
【0011】
1つの態様は、第1の端壁を冷却するための冷却空気を受け取るように構成された第1の端壁冷却通路を有する端壁を有する中空のガスタービン羽根を提供する。第1の端壁から半径方向に翼が延びており、この翼は、前縁と後縁との間に翼弦方向に延びた、互いに向き合った圧力面壁部及び吸込み面壁部を有している。翼は、さらに、翼の半径方向端部の間に半径方向に延びておりかつ第1の端壁冷却通路から冷却空気を受け取るように構成された翼冷却通路を有している。羽根は、さらに、第1の端壁とは半径方向反対側の翼端部において第2の端壁を有しており、この第2の端壁は、翼冷却通路から冷却空気を受け取るように構成された第2の端壁冷却通路を有している。典型的なガスタービン羽根は、以下のことの組合せを特徴とすることができる。すなわち、
・第1の端壁冷却通路から第2の端壁冷却通路まで延びた翼冷却通路が、第1の端壁を冷却するために使用された冷却空気のみを受け取るための直接結合によって構成されている
・翼が、前縁の領域から後縁まで延びた壁部冷却通路を有しており、この壁部冷却通路が、
前縁領域(A)において、冷却通路からのみ冷却空気を受け取るように、また、
後縁において、壁部冷却通路を通過した冷却空気を排出するように、構成されており、この構成は、壁部冷却通路における冷却空気が、翼を前縁から後縁へ順次的に冷却する
・第2の端壁を冷却するための冷却空気が翼冷却通路からのみ受け取られるように、第2の端壁が、翼冷却通路への直接結合によって構成されている。
【0012】
好適には、羽根は、翼に配置された中空のインピンジメントチューブを有しており、この場合、インピンジメントチューブの中空部が翼冷却通路を形成している。インピンジメントチューブは、好適には、前縁から翼弦中間領域を通って後縁に隣接した領域まで翼弦方向に延びており、圧力面壁部と吸込み面壁部とから間隔を置いて配置されている。インピンジメントチューブと側壁との間の間隔は、1つの態様において、この領域における壁部冷却通路を、圧力面壁部冷却通路と、吸込み面壁部冷却通路とにそれぞれ分割している。さらに、インピンジメントチューブは、前縁と翼弦中間領域との間に延びた前縁領域のインピンジメント冷却だけのために構成されていてよい。
【0013】
別の態様は、圧力面壁部と、吸込み面壁部と、翼弦中間領域における冷却増強手段とを備えた羽根を提供する。好適には、後縁領域に隣接した翼弦中間領域における冷却増強手段は、前縁領域に隣接した冷却増強手段と比較して、向上した冷却増強を提供するように構成されている。これは、1つの態様において、後縁領域に隣接した翼弦中間領域における冷却増強手段のより近い間隔によって達成されてよい。
【0014】
羽根の別の態様は、互いに異なる流れ抵抗を有するように側壁冷却通路の構成を提供している。好適には、その差は、翼弦中間領域の近くにおける壁部冷却通路の使用時相対熱負荷に対しても不均衡である。冷却空気の需要を減じるように示された装置において、吸込み面壁部冷却通路と圧力面壁部冷却通路とに分割された冷却空気流の比は、65:35〜75:25である。1つの態様において、冷却空気に対する相対的な冷却抵抗は、側壁からのインピンジメントチューブの間隔に関連しており、好適には、この間隔は、それぞれの側壁からの、好適にはピンである冷却増強手段の延長量によって規定される。
【0015】
別の態様において、吸込み面壁部冷却通路と、圧力面壁部と冷却通路とは、後縁領域において後縁壁部冷却通路を形成するように合併している。好適には、後縁領域は、冷却空気を翼弦方向に案内するための翼弦方向に延びたリブを有している。
【0016】
本発明の別の態様及び利点は、添付の図面に関連した以下の説明より明らかになるであろう。図面には、例として、発明の実施形態が開示されている。
【0017】
例えば、本開示の実施形態は、添付の図面に関して以下により説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態によるガスタービンの羽根を示す概略図である。
【図2】図1の羽根に適用された実施形態の羽根冷却通路結合を示すブロック図である。
【図3】図1の羽根に適用された実施形態の翼冷却通路結合を示すブロック図である。
【図4】羽根の翼セクションの内部配列を示す、図1におけるII−IIに沿った断面図である。
【図5】翼の壁配列を示す、図4におけるIII−IIIに沿った断面図であり、この場合、インピンジメントチューブは排除されている。
【図6】図1におけるIV−IVに沿った断面図であり、羽根の配列を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の好適な実施形態は、ここで図面に関して説明されるが、図面において同じ参照符号は全体を通じて同じエレメントを示すために使用されている。以下の記載では、説明のために、開示の十分な理解を提供するための多くの特定の細部が示されている。しかしながら、開示内容はこれらの細部を用いることなく実施されてもよいことが明らかである。別の例においては、開示の記載を容易にするために、公知の構造及び装置はブロック図で示されている。
【0020】
図1は、本発明の実施形態が適用されることができるガスタービンの羽根1を示している。羽根1は、静翼に羽根1を支持するための第1の端壁10を有している。前縁2及び後縁3を備えた翼20が、第1の端壁10から半径方向RDに延びており、前縁2及び後縁3は、翼弦方向CDで互いに離れている。第1の端壁10から半径方向に離れた第2の端壁30は、翼5の半径方向RDの端部を形成している。
【0021】
図2は、本発明の実施形態を最も単純に示すフローチャートである。この実施形態における冷却装置は、図1の羽根1を有しており、羽根1は、使用時に、まず第1の端壁10を冷却する冷却空気が、引き続き翼20を冷却する部分と、引き続き第2の端壁30を冷却する別の部分とに分割される。第1の端壁10は、選択的に、翼20及び第2の端壁30のように、冷却空気の一部を排出するように構成されていてもよい。
【0022】
図3は、図1に示された翼20の典型的な実施形態を通る冷却空気の順次した流れを詳細に示すフローチャートである。翼20は、第1の端壁10を冷却するためにまず使用される冷却空気によって冷却されるように構成されている。第1の端壁10から、冷却空気はまず前縁領域Aへ流れ、この前縁領域Aは図4に示したように前縁2と翼弦中間領域B−Cの間に延びた領域である。この領域Aは、インピンジメント冷却のために構成されている。次いで、インピンジメント冷却のために使用される冷却空気は、翼10の構成によって、前縁領域Aから、圧力面壁部冷却通路23と、吸込み面壁部冷却通路25とを介して(図4参照)、翼弦中間領域B−Cへ案内され、この翼弦中間領域B−Cにおいて、冷却空気は、図4に示された冷却増強手段に助けられて、翼の壁部22,24の増大した対流冷却を提供する。後縁Cに隣接した翼弦中間領域において、冷却増強手段は、領域Bよりも高められた冷却増強手段として構成されている。この構成は、冷却空気の改善された利用を提供し、冷却空気が前縁Bに隣接した翼弦中間領域を通過するときに冷却空気の加熱、ひいては熱伝達駆動力を保証する。次いで、壁部冷却通路23,25からの冷却空気は、図4に示されているように、後縁領域Dを規定する領域において、後縁3と翼弦中間領域B−Cとの間に配置された1つの後縁壁部冷却通路28に合流及び混合させられる。後縁壁部冷却通路28から、冷却空気は、後縁3を通って羽根1から排出される。
【0023】
図4は、図2及び図3に示された冷却空気流れ装置を得るために構成された特徴を有する翼20の典型的な実施形態を示している。典型的な実施形態において、インピンジメントチューブ5は、中空の翼20内に収容されており、前縁領域A及び翼弦中間領域B−C内へ延びている。これらの領域A−Cにおいて、チューブ5は、チューブ5と、それぞれ圧力面壁部22と吸込み面壁部24との間に、吸込み面壁部冷却通路25と圧力面壁部冷却通路23とを形成している。前縁領域Aにおいて、インピンジメントチューブ5は、冷却空気を翼冷却通路21からインピンジメントチューブ5の壁部を通過させることができる孔(図示せず)を有しており、これにより、インピンジメント(吹付け)によってこの領域Aを冷却する。
【0024】
壁部冷却通路23,25には、冷却効果を高める冷却増強手段が収容されている。冷却増強手段は、図4から図6までに示されたようなピン26、半径方向に整合したリブ、撹拌機、又は、表面領域を増大することによって高められた冷却効果を提供する及び/又は混合を促進するその他の公知の特徴であってよい。
【0025】
領域B−Cにおいて、冷却空気は、翼弦方向CDに後縁3に向かって冷却増強手段を横切って流れるようになっている。冷却空気の温度が上昇すると、冷却媒体と壁部22,24との温度勾配が減じられる。この効果に反作用するために、後縁に隣接した翼弦中間領域Cにおける冷却増強手段は、前縁に隣接した翼弦中間領域Bにおける冷却増強手段よりも、より大きな冷却増強を提供するように高められている。冷却増強手段がピン26である場合、これは、図4及び図5に示されているように、ピンの寸法の減少、ピンの数の増大及び/又はピン26同士のより狭い間隔によって達することができる。冷却増強手段の構成は、別の形式で変更されてもよく、例えば、冷却増強手段の異なる構成、形状及び/又は寸法を有することによって、同様に高められた冷却増強を達することができる。
【0026】
圧力面壁部冷却通路23及び吸込み面壁部冷却通路25は、好適には、典型的な実施形態において流量が翼の2つの壁部の異なる熱負荷を保証するために冷却空気の異なる流量がそれぞれの通路23,25を通過するように構成されている。図4に示された典型的な実施形態において、翼20は前縁2から後縁3まで順次して冷却され、圧力面及び吸込み面の壁部冷却通路23,25は、翼弦中間領域B−Cにおけるそれぞれの壁部22,24の相対的な熱負荷に関してそれぞれの壁部冷却通路23,25を通る冷却流を不均衡に分配するように構成されている。図4及び図6の典型的な実施形態において、これは、ピンを側壁24からさらに延長させることによって、圧力面壁部冷却通路23の寸法に対して吸込み面壁部冷却通路25の寸法を増大させることによって達せられる。これは、流過する冷却空気の流れ抵抗を減じる効果を有し、吸込み面壁部冷却通路25を通る好適な冷却空気流を生ぜしめる。流れ抵抗の変更は、従来公知の技術であり、典型的な実施形態は、所望の結果を得るための1つの方法である。冷却増強手段の構成の変更を含む、その他の公知の例示されていない代替手段は、同様に、個別に、又は例示された構成に関連して適用されることができる。典型的な実施形態において、吸込み面壁部冷却通路25と圧力面壁部冷却通路23とに分配される結果的な冷却空気は、65:35〜75:25の比を成している。
【0027】
相対的な熱負荷に対して不均衡な壁部冷却通路23,25を通る冷却流を有する結果的な効果は、翼弦中間領域B−Cにおける全体的な冷却効果が減じられ、それぞれの壁部冷却通路23,25からの冷却空気の出口温度が、同じではないということである。これの利点は、後縁領域Dの冷却において実現される。
【0028】
図4に示したように、翼は、壁部冷却通路23,25からの冷却空気が、混合し、組み合わさり、次いで、後縁領域Dを通って延びた1つの後縁壁部冷却通路28に流入するように構成されている。後縁壁部冷却通路28内には、冷却増強手段、例えば、台を形成するように吸込み面壁部24から圧力面壁部22へ延びたピン26が設けられていてよい。図5に示したように、後縁領域Dは、冷却空気を翼弦方向CDに案内するために実質的に翼弦方向に整合したリブ27をも有していてよい。
【0029】
後縁領域Dは、比較的高い応力を受ける領域である。部分的にこの理由から、この領域Dの効果的な冷却を保証することが重要である。これを達するための1つ方法は、この領域における冷却空気流量を増大することである。しかしながら、典型的な実施形態の順次的な冷却装置においては、これは不可能である。択一例として、この問題は、少なくとも部分的に、翼弦中間領域B−Cにおける冷却効果における前記減少によって解決されている。翼弦中間領域B−Cにおける冷却効果が減じられていることにより、後縁領域Dに供給される冷却空気の温度は低下させられ、これにより、冷却空気温度駆動力を増大し、後縁領域Dにおける冷却空気がより多くの熱を除去することを可能にすることによって、冷却空気を補足する必要なくこの領域Dにおける冷却効果を高めることができる。全体的な結果として、図4に示された典型的な実施形態の特徴は、前縁A、翼弦中間B−C、及び後縁Dの領域の熱負荷と相対的な冷却臨界とを平衡させるために、領域特定流量ではなく、冷却効果の調節によって翼20の有効な順次冷却を可能にする。
【0030】
図5は、前縁2から後縁3まで延びた、典型的な実施形態による、吸込み面壁部24の区分を示しており、以下のものを含む壁部の様々な領域が示されている。すなわち、
・滑らかな壁であることによってインピンジメント冷却のために構成された前縁領域A
・ピン26である冷却増強手段を具備する、前縁領域に隣接した翼弦中間領域B
・より小さな高められた冷却増強手段を具備する後縁領域に隣接した翼弦中間領域Cは、より高い分布密度を有しており、領域Bのピン26の数よりも多い
・図4に示されているように吸込み面壁部24と圧力面壁部22との間に延びたピン26の形式の冷却増強手段と、冷却空気流を翼弦方向CDに案内するために実質的に翼弦方向に延びたリブ27とを具備する後縁領域D。
【0031】
図1の羽根1の前縁領域Aの半径方向RDの断面図である図6は、羽根1の典型的な順次冷却装置を示している。第1の端壁冷却通路11は、翼冷却通路21が、第1の端壁10を冷却するために使用される冷却空気だけが提供されるように、翼冷却通路21に直接に接続されている。インピンジメントチューブ5の内部空洞によって形成された翼冷却通路21は、前縁領域Aにおける壁部22,24のインピンジメント冷却を可能にする孔を有している。図4に示された、翼弦中間領域B−Cにおけるピン26は、壁部22,24から延びており、壁部22,24からインピンジメントチューブ5を離間させており、前縁領域Aをインピンジメント冷却するために使用される冷却空気が流過することができる、圧力面壁部冷却通路23及び吸込み面壁部冷却通路25を形成している。このように、第1の端壁10と翼20とは順次冷却される。
【0032】
翼冷却通路21は、さらに、第1の端壁10とは半径方向反対側の端部において、第2の端壁冷却通路31に直接に接続されている。この接続は、第1の端壁10と第2の端壁30との順次冷却を可能にする。直接に接続されているとは、この明細書においては、介在物が存在しないことを意味する。
【0033】
図4、図5及び図6に示された特徴と組み合わされた順次冷却のこの配列は、1つの羽根構成において、冷却空気の需要を20%まで減じることが予想されている。しかしながら、実際の冷却空気需要の低減と、典型的な実施形態の適用とは、羽根の設計、羽根を形成する材料、冷却空気の利用可能性、及び羽根の作動条件を含む多くの要因に依存する。
【0034】
この開示は、最も実用的な典型的な実施形態であると考えられるものに関して示されかつ説明されているが、本発明は、発明の精神又は本質的な特徴から逸脱することなく別の特定の形式で具体化されることができることが当業者によって認められるであろう。発明の範囲は、前記説明ではなく添付の請求項によって示されており、意味及び範囲に含まれる全ての変更並びに発明の均等物は本発明の含まれるものとする。
【符号の説明】
【0035】
1 羽根、 2 前縁、 3 後縁、 5 インピンジメントチューブ、 10 第1の端壁、 11 第1の端壁冷却通路、 20 翼、 21 翼冷却通路、 22 圧力面壁部、 23 圧力面壁部冷却通路、 24 吸込み面壁部、 25 吸込み面壁部冷却通路、 26 ピン、 27 リブ、 28 後縁壁部冷却通路、 30 第2の端壁、 31 第2の端壁冷却通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンの中空の羽根(1)において、
第1の端壁(10)が設けられており、該第1の端壁(10)が、該第1の端壁(10)を冷却するための冷却空気を受け取るように構成された第1の端壁冷却通路(11)を有しており、
前記第1の端壁(10)から半径方向に延びた翼(20)が設けられており、該翼(20)が、前縁(2)と後縁(3)との間に翼弦方向(CD)に延びた、互いに向き合った圧力面壁部(22)と吸込み面壁部(24)とを有しており、さらに、前記第1の端壁冷却通路(1)から冷却空気を受け取るように、接続部によって構成された、翼(20)の半径方向端部の間に半径方向に延びた翼冷却通路(21)を有しており、
前記羽根(1)にさらに、翼(20)の、半径方向で第1の端部(10)とは反対側の端部において第2の端壁(30)が設けられており、該第2の端壁(30)が、翼冷却通路(21)と冷却空気が連通するように該翼冷却通路(21)に接続された第2の端壁冷却通路(31)を有しており、
前記ガスタービンの羽根(1)が;
前記冷却通路(21)が、第1の端壁冷却通路(11)から第2の端壁冷却通路(31)まで延びており、第1の端壁(10)を冷却するために使用される冷却空気だけを受け取るための直接接続部によって構成されていること;
前記翼(20)が、前縁の領域(A)から後縁(3)まで延びた壁部冷却通路(23,25,28)を有しており、該壁部冷却通路(23,25,28)が、
前縁の領域(A)において、翼冷却通路(21)からのみ冷却空気を受け取り、かつ
後縁(3)において、該後縁を通って冷却空気を排出するように構成されており、該構成が、前記壁部冷却通路(23,25,28)における冷却空気が前縁(2)から後縁(3)まで翼(20)を順次に冷却するようになっていること;及び
前記第2の端壁(30)を冷却するための冷却空気が翼冷却通路(21)からのみ受け取られるように、前記第2の端壁冷却通路(31)が、翼冷却通路(1)への直接接続によって構成されていること;
の組合せを特徴とする、ガスタービンの中空の羽根(1)。
【請求項2】
前記翼(20)に配置された中空のインピンジメントチューブ(5)が設けられており、該インピンジメントチューブ(5)の中空部が、翼の冷却通路(21)を形成している、請求項1記載の羽根(1)。
【請求項3】
前記インピンジメントチューブ(5)が、翼弦方向(CD)に、前縁(2)から翼弦中間領域(B−C)を通って、後縁に隣接した領域(D)まで延びており、かつ圧力面壁部(22)及び吸込み面壁部(24)から間隔を置いて配置されており、インピンジメントチューブ(5)と圧力面壁部(22)及び吸込み面壁部(24)との間の空間が、前記各領域における壁部冷却通路(23,25,28)をそれぞれ圧力面壁部冷却通路(23)と吸込み面壁部冷却通路(25)とに分割している、請求項2記載の羽根(1)。
【請求項4】
インピンジメントチューブ(5)が、前縁(2)と翼弦中間領域(B−C)との間に翼弦方向(CD)に延びた前縁領域(A)のインピンジメント冷却のためだけに構成されている、請求項3記載の羽根(1)。
【請求項5】
圧力面壁部冷却通路(23)及び吸込み面壁部冷却通路(25)が、前縁領域(A)をインピンジメント冷却するために使用された冷却空気からのみ冷却空気を受け取るように構成されている、請求項3又は4記載の羽根(1)。
【請求項6】
圧力面壁部(22)と吸込み面壁部(24)とが、翼弦中間領域(B−C)において冷却増強手段を有している、請求項3から5までのいずれか1項記載の羽根(1)。
【請求項7】
後縁に隣接した翼弦中間領域(C)における冷却増強手段が、前縁に隣接した翼弦中間領域(B)における冷却増強手段と比較して、冷却増強能力がより高められているように構成されている、請求項6記載の羽根(1)。
【請求項8】
より高められた冷却増強が、前縁に隣接した翼弦中間領域(B)よりも、後縁に隣接した翼弦中間領域(C)において、冷却増強手段同士の間隔がより狭くなっている結果として提供されている、請求項7記載の羽根(1)。
【請求項9】
壁部冷却通路(23,25)が、相対的に異なる流れ抵抗を提供するように構成されている、請求項8記載の羽根(1)。
【請求項10】
壁部冷却通路(23,25)が、該壁部冷却通路(23,25)の、翼弦中間領域(B−C)の近傍における使用時の相対的な熱負荷に対して不均衡な、相対的な、冷却空気に対する流れ抵抗を提供するように構成されている、請求項9記載の羽根(1)。
【請求項11】
冷却空気に対する相対的な流れ抵抗が、使用時に、冷却空気流が吸込み面壁部冷却通路(25)と圧力面壁部冷却通路(23)とに分割される冷却空気の比が65:35〜75:25であるようになっている、請求項8又は9記載の羽根。
【請求項12】
冷却空気に対する相対的な流れ抵抗が、圧力面壁部(22)及び吸込み面壁部(24)からのインピンジメントチューブ(5)の間隔に関連している、請求項9から11までのいずれか1項記載の羽根(1)。
【請求項13】
請求項12記載の間隔が、圧力面壁部(22)及び吸込み面壁部(24)のそれぞれからの冷却増強手段の延長量によって規定されている、請求項12記載の羽根(1)。
【請求項14】
冷却増強手段が、ピン(26)である、請求項6から13までのいずれか1項記載の羽根(1)。
【請求項15】
吸込み面壁部冷却通路(25)及び圧力面壁部冷却通路(23)が、後縁領域(D)において後縁壁部冷却通路(28)を形成するように、合併している、請求項3から14までのいずれか1項記載の羽根(1)。
【請求項16】
後縁領域(D)が、冷却空気を翼弦方向(CD)に案内するための、翼弦方向(CD)に延びたリブ(27)を有している、請求項3から15までのいずれか1項記載の羽根(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−281316(P2010−281316A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−114284(P2010−114284)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】