説明

冷却装置

【課題】 発熱体5と冷却器2との間に伝熱シート6を介装した冷却装置において、発熱体5の接触部に凹凸部が存在していても、確実に伝熱を行うと共に、その伝熱性を向上させたもの。
【解決手段】 冷却器2の外面3に波形フィン4の高さ方向一端側をろう付け固定し、その波形フィン4の他端側を発熱体5の平面に接触させる。そして、発熱体5と冷却器2との間に隙間なく伝熱シート6を介装させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコンのバッテリーや各種回路素子等の発熱体を冷却する冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発熱体である回路素子等の電子部品の表面と、放熱部材の表面との間に伝熱シートを介装して互いに接触したものが下記特許文献1として知られている。
また、下記特許文献2には伝熱シートを介して電子部品とヒートシンクとを接続したものが記載されている。このような伝熱シートとして、シリコン系樹脂を含むものが一般に用いられ、その伝熱シートの熱伝達率は2.0W/mK以上であると共に、絶縁破壊電圧が2.0kV以上であるものが広く用いられている。
【0003】
【特許文献1】特開2008−112839号公報
【特許文献2】特開2008−108858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
伝熱シートを介して発熱体と放熱器とを接続したものにおいて、発熱体の表面は必ずしも平坦ではなく、平面度が悪いことがしばしば存在する。その場合伝熱シートと発熱体との間に隙間が生じ、その場合には両者の熱伝達が低下していた。
また、その隙間を埋めるために2mm程度の厚みの伝熱シートを介装すると、比較的厚みが厚いため発熱体と冷却器との熱抵抗が大きくなり、伝熱性を低下させていた。
そこで本発明は、かかる問題点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、内部に冷却液(1) が流通する冷却器(2) を有し、その平坦な外面(3) に波形フィン(4)の高さ方向の一端側がろう付けされ、その波形フィン(4)の高さ方向の他端側が発熱体(5)の平面に接して、発熱体(5)と冷却器(2)の外面との間を隙間なく伝熱シート(6)が介装されたことを特徴とする冷却装置である。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、請求項1において、
前記波形フィン(4)の高さ方向の他端側が発熱体(5)の平面に圧接して、その波形フィン(4)が変形した状態で、発熱体(5)と冷却器(2)の外面との間を隙間なく伝熱シート(6)が介装されたことを特徴とする冷却装置である。
請求項3に記載の本発明は、請求項2において、
前記発熱体(5)は、前記平面に凹凸部が存在するものを対象とする冷却装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の冷却装置は、冷却器2の外面3に一端側がろう付けされた波形フィン4の他端側を発熱体5の平面に接して、発熱体5と冷却器2との外面間に隙間なく伝熱シート6が介装されたから、冷却器2と発熱体5との伝熱性が向上する。即ち、波形フィン4と冷却器2とはろう付けされ、その波形フィン4が発熱体5の平面11に接するので、波形フィン4を介して発熱体5から冷却器2に効率よく熱伝達される。それと共に、波形フィン4と伝熱シート6との間に熱伝導が行われ、その伝熱シート6を介し発熱体5と冷却器2との間に熱伝導が行われる。
【0008】
上記構成において、波形フィン4を発熱体5により圧接して、波形フィン4を変形した状態にした場合には、波形フィン4と発熱体5との接触が確実に行われ、両者間の伝熱性がさらに向上する。
【0009】
上記構成において、発熱体5の平面11が凹凸部を有するものを対象とする場合には、波形フィン4が圧接変形することにより、その凹部または凸部において波形フィン4と発熱体5とが確実に接触し、伝熱性を向上させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
図1は本発明の冷却装置の要部縦断面説明図であり、図2はその冷却器自体の要部縦断面図である。また、図3は同冷却装置の全体を示す説明図である。
この冷却装置は、内部に冷却液1が流通する冷却器2と、冷却器2の表面にろう付け固定された波形フィン4と、その波形フィン4に接触する発熱体5と、発熱体5および冷却器2間の隙間を埋める伝熱シート6とを有する。
【0011】
冷却器2は、偏平に形成され内部にインナーフィン2cを有すると共に、その両端に入口パイプ9,出口パイプ10が突設され、それを介して内部に冷却液1が流通する。即ち、冷却器2は、図1及び図2に示す如く、少なくとも一方が皿状に形成された第1プレート2aと第2プレート2bからなり、内部にインナーフィン2cが介装される。そして、この例では第1プレート2aの外表面に波形フィン4の高さ方向一端側が一体にろう付け固定され、その接触部にろうフィレット7が形成される。
【0012】
波形フィン4の高さ(振幅)は、発熱体5の平面11の凹凸部の状態に応じて設計される。一例として、その高さを1.5〜4mm程とすることができる。波形フィン4は、アルミニューム等の金属製帯状材を曲折したものであり、一例として0.01〜0.05mm程度の板厚のものを用いることができる。また、波形フィン4のフィンピッチは、1〜3mm程とすることができる。
【0013】
このような波形フィン4に伝熱シート6を介して、発熱体5の平面11を接触する。そして、発熱体5と冷却器2との間を図3の如く締結具8を用いて押圧締結する。すると波形フィン4は図1の如く変形し、その高さ方向の他端面が発熱体5の平面11に圧接し、冷却器2の外面3と発熱体5の平面11とは波形フィン4を介して熱的に接続される。それと共に、発熱体5の平面11と冷却器2の外面3との間には、伝熱シート6が隙間なく充填される。そして冷却器2内に冷却液1を流通させ、発熱体5の発熱を波形フィン4及び伝熱シート6を介し冷却液1に伝熱する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の冷却装置の要部縦断面図説明図。
【図2】同冷却装置に用いられる冷却器2の要部縦断面図。
【図3】同冷却装置の全体を示す説明図。
【符号の説明】
【0015】
1 冷却液
2 冷却器
2a 第1プレート
2b 第2プレート
2c インナーフィン
【0016】
3 外面
4 波形フィン
5 発熱体
6 伝熱シート
【0017】
7 ろうフィレット
8 締結具
9 入口パイプ
10 出口パイプ
11 平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷却液(1) が流通する冷却器(2) を有し、その平坦な外面(3) に波形フィン(4)の高さ方向の一端側がろう付けされ、その波形フィン(4)の高さ方向の他端側が発熱体(5)の平面に接して、発熱体(5)と冷却器(2)の外面との間を隙間なく伝熱シート(6)が介装されたことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記波形フィン(4)の高さ方向の他端側が発熱体(5)の平面に圧接して、その波形フィン(4)が変形した状態で、発熱体(5)と冷却器(2)の外面との間を隙間なく伝熱シート(6)が介装されたことを特徴とする冷却装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記発熱体(5)は、前記平面に凹凸部が存在するものを対象とする冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−34364(P2010−34364A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195944(P2008−195944)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000222484)株式会社ティラド (289)
【Fターム(参考)】