説明

処理槽における異物除去システム

【課題】処理槽内の処理液に含まれるごく微細な異物を低コストで効率良く除去できる処理槽における異物除去システムを提供する。
【解決手段】異物除去システムは、比重の小さい異物を含む処理液を回収する上中層用回収部と、上中層用回収部からの処理液を濾過液と異物とに分離する第2サイクロン装置23と、第2サイクロン装置23からの濾過液をさらに濾過して処理槽に還流する処理液濾過装置50と、を備える。処理液濾過装置50は、直線管からなる供給配管54を介して第2サイクロン装置23の濾過液排出口23bに連通するハウジング52と、ハウジング52の上面に取り付けられる蓋部材64と、蓋部材64に供給配管54と同軸に着脱自在に取り付けられるブラシ66と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の塗装工程における前処理槽や電着槽等において、槽内の異物を除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のプレス工程、溶接工程では、車体に鉄粉、繊維、溶接シーラ、プレス油等が付着し、これらの異物は後の塗装工程で塗装の障害となる。そのため、塗装工程の初工程である脱脂工程において、脱脂槽、水洗槽で車体を処理液に没入させ前記異物を除去することが行われている。
【0003】
異物の除去方法の従来例としては、特許文献1に記載されているように、浸漬した車体を処理液の対向流に抗して移動させ、超音波および洗浄液の高圧噴射を用いて異物を除去する方法が挙げられる。車体から除去された異物は洗浄槽の底部に設けられた抜き取り口から洗浄液とともに抜き取られ、洗浄液再生装置で洗浄液から異物が分離され、洗浄液は再利用される。
【0004】
また、特許文献2には、塗装前処理装置における回収槽の底部に沈降した異物を液体サイクロンにより、異物が希釈された処理液と異物が濃縮された処理液とに分離し、前者の処理液は回収槽に戻して処理液として再利用し、後者の処理液はさらにコンベア式フィルタによって処理液と異物とに分離する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−162157号公報
【特許文献2】特開平11−47666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
洗浄槽内の洗浄液には比重の異なる雑多な異物が混入し、一部は槽底に沈降するが、残りは中層や上層に浮遊する。例えば、比重の大きな鉄粉について比較的大きなものは槽底に沈降するが、ごく微細な鉄粉は繊維屑などとともに洗浄液内に浮遊した状態となる。したがって、特許文献1の技術によれば、大きな鉄粉等は洗浄液とともに洗浄槽外に取り出すことができるが、ごく小さな鉄粉や繊維屑等の微細な異物については取り出すことが困難となり、車体にこれら微細な異物が付着するおそれがある。特許文献2の技術についても同様であり、微細な異物を含んだ処理液が再び回収槽に戻されて処理液として使用されるため、車体に微細な異物が付着するおそれがある。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するために創作されたものであり、処理槽内の処理液に含まれるごく微細な異物を低コストで効率良く除去できる処理槽における異物除去システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る処理槽における異物除去システムは、ワークが処理液に浸漬した状態で搬送される処理槽に関し、該処理槽の処理液中の異物を除去するシステムであって、処理槽のワーク入槽寄りの一端側でかつ槽高さ中程に形成され、比重の小さい異物を含む処理液を回収する上中層用回収部と、前記上中層用回収部からの処理液を濾過液と異物とに分離し、遠心分離部の軸線上に形成された上部の濾過液排出口から濾過液を排出する上中層用サイクロン装置と、前記上中層用サイクロン装置からの濾過液をさらに濾過して処理槽に還流する処理液濾過装置と、を備え、前記処理液濾過装置は、下面の供給孔には前記上中層用サイクロン装置の濾過液排出口に連通する直線管からなる供給配管が接続され、上部の送出口には濾過液の排出配管が接続されるハウジングと、前記ハウジングの上面に着脱自在に取り付けられる蓋部材と、前記蓋部材に前記供給配管と同軸に着脱自在に取り付けられるブラシと、を備え、前記上中層用サイクロン装置の遠心分離部で発生する旋回流を前記供給配管を通して前記ハウジングの内部まで伝達させ、その旋回流の中央に位置した前記ブラシにより異物を捕集することを特徴とする。
【0009】
処理槽において比較的比重の小さい異物は槽の上中層に浮遊しやすい。したがって、処理槽の一端側でかつ槽高さ中程に上中層用回収部を設けることで比重の小さい微細な異物を効率良く回収できる。そして、本発明は、回収した微細な異物を上中層用サイクロン装置で遠心分離し、その濾過液をさらに処理液濾過装置により濾過して処理槽に還流するため、処理液の濾過効率に優れる。処理液濾過装置内で微細な異物を捕集するにあたっては、上中層用サイクロン装置の遠心分離部で発生する旋回流を利用するため、高価となりやすい複雑な機構や特殊な濾過材を何ら要することなく、異物を低コストで効率良く除去できる。ブラシは蓋部材に着脱自在に取り付けられるため、ブラシのメンテナンス作業も容易となる。
【0010】
また、本発明に係る処理槽における異物除去システムは、処理槽のワーク入槽寄りの一端側でかつ槽底部に形成され、比重の大きい異物を含む処理液を回収する底層用回収部と、前記底層用回収部からの処理液を濾過液と異物とに分離する底層用サイクロン装置と、をさらに備え、前記底層用サイクロン装置から排出された濾過液を、槽高さ中程の位置においてワーク出槽側に向きかつワークに指向するように設けた複数の第2処理液吐出ノズルにより噴射し、前記上中層用サイクロン装置から排出された濾過液を、槽底部においてワーク入槽側に向きかつ槽の底面に指向するように設けた複数の第1処理液吐出ノズルにより噴射することを特徴とする。
【0011】
係る異物除去システムによれば、処理槽内の処理液の流れを、上中層部では第2処理液吐出ノズルからの吐出によりワーク搬送方向、底層部では第1処理液吐出ノズルからの吐出によりワーク搬送方向と逆方向となる循環流にでき、それぞれ槽底部、槽高さ中程に位置する底層用回収部、上中層用回収部により異物を比重別に効率良く集積できる。
【0012】
また、本発明に係る処理槽における異物除去システムは、処理槽のワーク入槽寄りの一端の壁面はその上部壁面が下部壁面よりも奥まって形成され、前記上中層用回収部、底層用回収部はそれぞれ前記上部壁面、下部壁面の各手前領域からなり、前記下部壁面の上端周りに、ワーク出槽側かつ上方に向けて延設する平板状の傾斜板を設け、前記下部壁面に衝突して上方に分散する処理液中の異物のうち、比重の小さい異物は前記傾斜板に沿わせて前記上中層用回収部で回収し、比重の大きい異物は前記傾斜板により遮って前記底層用回収部で回収することを特徴とする。
【0013】
係る異物除去システムによれば、傾斜板が異物を軽いものと重いものとに分けるフィルタ機能を担うこととなり、簡単な構造で異物を比重別に分けて集積できる。
【0014】
また、本発明に係る処理槽における異物除去システムは、前記上中層用サイクロン装置および前記底層用サイクロン装置の内の少なくとも一方を2台以上の並列に設け、該並列に設けた複数のサイクロン装置間で、濾過液の排出タイミングと沈澱液の排出タイミングとを交互に切り換えることにより、処理槽内の処理液を常にいずれかのサイクロン装置により濾過液および沈澱液として取り出すことを特徴とする。
【0015】
係る異物除去システムによれば、処理槽内の処理液が常にいずれかのサイクロン装置により濾過液および沈澱液として取り出されるため、異物除去の稼動効率に優れたシステムとなる。
【0016】
また、本発明に係る処理槽における異物除去システムは、前記上中層用サイクロン装置および前記底層用サイクロン装置から排出された沈澱液が処理液として投入され、内蔵のスクリューコンベア装置により処理液中の異物を圧搾して外部に排出する分離槽と、前記分離槽からの処理液を濾過液と沈澱液とに分離する分離槽用サイクロン装置と、をさらに備え、前記分離槽用サイクロン装置で分離した濾過液、沈澱液をそれぞれ処理槽、分離槽に戻す構成としたことを特徴とする。
【0017】
係る異物除去システムによれば、上中層用サイクロン装置および底層用サイクロン装置から排出された沈澱液を分離槽および分離槽用サイクロン装置を用いてさらに濾過液と異物とに分離し、その濾過液を処理槽に還流するため、処理液のロスが殆どない異物除去システムとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、処理槽内の処理液に含まれるごく微細な異物を低コストで効率良く除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る処理槽における異物除去システムの構成図であり、処理槽である電着槽を側面視にて示す。
【図2】本発明に係る電着槽の平面図である。
【図3】図1におけるA−A断面図である。
【図4】図3におけるB−B断面図である。
【図5】図1におけるF−F断面図である。
【図6】サイクロン装置および処理液濾過装置の側断面図である。
【図7】ブラシの製作方法の一例を示す外観図である。
【図8】図6におけるE−E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
自動車の塗装工場においては、ワークである車体W(図1参照)の脱脂処理または水洗処理等を行う前処理工程、防錆用の電着塗料を電気的に車体Wに塗着させる電着工程が配され、これら各工程においては車体Wを処理槽内の処理液に浸漬させる。本発明に係る処理槽における異物除去システムを、以下では電着工程の電着槽に適用した場合について説明する。
【0021】
図1、図2に示すように、電着槽1の上方には、電着槽1の長手方向に沿って車体Wの搬送コンベア100が設けられている。車体Wは、搬送コンベア100のハンガー101に載置された状態で電着槽1の長手方向一端側から電着槽1内の処理液に浸漬されて長手方向に搬送され、長手方向他端側から引き揚げられて次工程に搬送される。
【0022】
「電着槽1(処理槽)」
電着槽1には、車体入槽寄りの一端側でかつ槽底部に形成され、主に比重の大きい異物を含む処理液を回収する第1ホッパ3(底層用回収部)と、車体入槽寄りの一端側でかつ槽高さ中程に形成され、主に比重の小さい異物を含む処理液を回収する第2ホッパ27(上中層用回収部)と、が形成されている。
【0023】
電着槽1における車体入槽寄りの一端の鉛直な壁面は、その上部壁面1bが下部壁面1cよりも奥まった段差を有する壁面として形成されている。上部壁面1bと下部壁面1cとの間には段差床面1dが形成される。第1ホッパ3は下部壁面1cの手前領域からなり、第2ホッパ27は上部壁面1bの手前領域からなる。具体的には、下部壁面1cの上端周りには、電着槽1の全幅にわたって、車体出槽側かつ上方に向けて延設する平板状の傾斜板3cが設けられており、この傾斜板3cと下部壁面1cと電着槽1の底部と電着槽1の両側の側壁とによって囲まれる領域が比較的比重の大きい異物を集積する第1ホッパ3を構成する。また、傾斜板3cと段差床面1dと上部壁面1bと電着槽1の両側の側壁とによって囲まれる領域が比較的比重の小さい異物を集積する第2ホッパ27を構成する。下部壁面1cにおける幅方向中央の下部には第1ホッパ3に集積された異物を処理液とともに排出する排出口3aが開設され、上部壁面1bにおける幅方向中央の下部には第2ホッパ27に集積された異物を処理液とともに排出する排出口27aが開設されている。
【0024】
電着槽1の車体出槽側の端部寄りには傾斜面4が形成されたうえで予備槽部2が形成されている。予備槽部2は、電着槽1の長手方向他端の鉛直壁面2bと、底面部2aと、傾斜面4の上端周りを通る鉛直壁として形成される仕切り壁2dと、電着槽1の両側の側壁とによって囲まれた領域の槽からなる。仕切り壁2dの上端は傾斜面4の上端よりも上方で、かつ処理液の液面下に位置しており、処理液は仕切り壁2dに対し仕切り壁2dの上方で流通可能である。
【0025】
電着槽1の底面1aには、電着槽1の長手方向に延びる複数の起立板6が電着槽1の幅方向に等間隔で形成されている。各起立板6の一端は下部壁面1cまで延設されることなく、第1ホッパ3の手前に位置している。各起立板6の他端は傾斜面4の上端まで延設されている。起立板6は電着槽1内における処理液の整流機能を担う。
【0026】
図1、図3に示すように、電着槽1の一方の側壁の下部には、電着槽1の長手方向に延設する第1処理液供給配管7が配管されている。第1処理液供給配管7は、例えば電着槽1の底面1aに沿う配管と電着槽1の傾斜面4に沿う配管の2本の配管からなる。第1処理液供給配管7には、電着槽1の長手方向に間隔をおいて、他方の側壁まで延設する複数の第1枝管8が分岐配管されている。本実施形態では、第1枝管8を電着槽1の底面1aに沿って5本、傾斜面4に沿って2本配設している。底面1aに沿う5本の第1枝管8は電着槽1の長手方向に等間隔で配設されている。図4に示すように、第1枝管8は例えば起立板6の上縁に載置される態様で電着槽1の幅方向に延設される。
【0027】
図3、図4に示すように、各第1枝管8には、処理液を吐出する複数の第1処理液吐出ノズル9が配設されている。第1処理液吐出ノズル9は、隣り合う起立板6の間隔中央、若しくは起立板6と電着槽1の側壁との間隔中央に位置するように第1枝管8に配設される。第1処理液吐出ノズル9は、その吐出口が、車体搬送方向と逆向き、つまり車体入槽側に向き、かつ電着槽1の底面1aに指向するように斜め下方に向いている。
【0028】
図1、図2、図5に示すように、電着槽1の各側壁の上縁周りには電着槽1の長手方向に延設する分岐配管11が配管されている。各分岐配管11は電着槽1の外部に引き回された第2処理液供給配管10から分岐している。各分岐配管11には、電着槽1の長手方向に間隔をおいて、電着槽1の側壁に沿って電着槽1の高さ方向中程まで垂下した複数の第2枝管12が分岐配管されている。
【0029】
各第2枝管12には、処理液を吐出する複数の第2処理液吐出ノズル13が配設されている。第2処理液吐出ノズル13は、電着槽1の槽高さ中程の位置においてその吐出口が、水平であって、車体出槽側に向き、かつ電着槽1の内側につまり車体Wに指向するように第2枝管12に取り付けられている。
【0030】
以上により、電着槽1内の処理液の流れは、上中層部では第2処理液吐出ノズル13からの吐出により車体搬送方向となり、底層部では第1処理液吐出ノズル9からの吐出により車体搬送方向と逆方向となる。
【0031】
「第1サイクロン装置18(底層用サイクロン装置)、第2サイクロン装置23(上中層用サイクロン装置)」
図1に示すように、電着槽1の外部において、第1ホッパ3の排出口3aには第1吸引配管20の一端が取り付けられている。第1吸引配管20の他端は二股分岐したうえで、並列に設けられた一対の第1サイクロン装置18(底層用サイクロン装置)の各廃液供給口18aに取り付けられている。第1吸引配管20にはポンプ17が介設され、このポンプ17の上流側に開閉弁V1が設けられるとともに、二股分岐点と各廃液供給口18aとの間には開閉弁V2、V3が設けられる。第1吸引配管20における排出口3aと開閉弁V1との間の部位は、第3吸引配管80を介して前記予備層2の底面2aに開設された開口2cと連通している。第3吸引配管80にはポンプ81が介設され、ポンプ81の上流側、下流側にそれぞれ開閉弁V24、V25が設けられる。
【0032】
各第1サイクロン装置18の濾過液排出口18bにはそれぞれ、第2処理液供給配管10の二股分岐した一端が取り付けられている。各濾過液排出口18bと二股分岐点との間には開閉弁V4、V5が設けられる。第2処理液供給配管10の他端は前記したように一対の分岐配管11として形成されている。第2処理液供給配管10には熱交換器14が介設され、熱交換器14を挟んで第2処理液供給配管10の一端側、他端側には開閉弁V6、V7が設けられる。
【0033】
各第1サイクロン装置18の沈澱液排出口18cは異物排出配管31の一端に連通している。具体的には、異物排出配管31の一端は二股配管31aとして形成されており、二股配管31aの一端がさらに二股分岐したうえで、各第1サイクロン装置18の沈澱液排出口18cに取り付けられている。二股分岐点と各沈殿液排出口18cとの間には開閉弁V8、V9が設けられる
【0034】
電着槽1の外部において、第2ホッパ27の排出口27aには第2吸引配管21の一端が取り付けられている。第2吸引配管21の他端は二股分岐したうえで、並列に設けられた一対の第2サイクロン装置23(上中層用サイクロン装置)の各廃液供給口23aに取り付けられている。第2吸引配管21にはポンプ22が介設され、このポンプ22の上流側に開閉弁V10、V11が設けられるとともに、ポンプ22と二股分岐点との間に開閉弁V12が、二股分岐点と各廃液供給口23aとの間に開閉弁V13、V14が設けられる。
【0035】
各第2サイクロン装置23の濾過液排出口23bは、それぞれ供給配管54を介して後に詳述する処理液濾過装置50と連通している。各処理液濾過装置50の送出口55には、濾過液排出配管24の二股分岐した一端が取り付けられる。各送出口55と二股分岐点との間には開閉弁V15、V16が設けられる。濾過液排出配管24の他端も二股分岐され、分岐した一方は電着槽1内に引き回されて第1処理液供給配管7と連通する。分岐した他方(分岐管28)は、電着槽1の出槽端の両側に立設された二本の枝管29と接続している。各枝管29には出槽中の車体Wに指向する複数の洗浄ノズル30が配設されている。
【0036】
また、濾過液排出配管24には熱交換器25が介設され、濾過液排出配管24の一端寄りの二股分岐点と熱交換器25との間に開閉弁V17が設けられ、濾過液排出配管24の他端寄りの二股分岐点と熱交換器25との間に開閉弁V18、V19が設けられている。また、濾過液排出配管24の他端寄りの二股分岐点と第1処理液供給配管7との間には開閉弁V20が設けられている。
【0037】
各第2サイクロン装置23の沈澱液排出口23cは異物排出配管31の一端に連通している。具体的には、前記したように異物排出配管31の一端は二股配管31aとして形成されており、二股配管31aの他端がさらに二股分岐したうえで、各第2サイクロン装置23の沈澱液排出口23cに取り付けられている。二股分岐点と各沈殿液排出口23cとの間には開閉弁V21、V22が設けられる
【0038】
ここで第1サイクロン装置18、第2サイクロン装置23としては公知のサイクロン装置を適用できる。図6には第2サイクロン装置23の内部構造が示されている。第2サイクロン装置23の筐体は円筒形状を呈しており、その内部上方には円筒状空間部15と、この円筒状空間部15に連接し、下方に向けて空間が漸次縮径する逆円錐台状空間部16とが形成されている。円筒状空間部15および逆円錐台状空間部16は遠心分離部38を構成する。逆円錐台状空間部16の下部には、逆円錐台状空間部16の下端の径よりも大径の円筒状沈澱部19が遠心分離部38と同軸に連通形成されている。
【0039】
そして、円筒状空間部15の側面に、前記廃液供給口23aがその軸線を遠心分離部38の軸線と直交するように開設されている。円筒状空間部15の上端には前記濾過液排出口23bが遠心分離部38と同軸に開設される。円筒状沈澱部19の下端には円筒状沈澱部19と同軸に前記沈澱液排出口23cが開設されている。
【0040】
以上により、廃液供給口23aから第2サイクロン装置23内に供給される異物を含んだ処理液は、遠心分離部38において発生するサイクロン(旋回流)により分離処理され、異物の殆どが除去された処理液は濾過液として上部の濾過液排出口23bから外部に排出され、異物を多く含む処理液は円筒状沈澱部19に沈澱したうえで沈澱液排出口23cから外部に排出される。第1サイクロン装置18の内部構造も第2サイクロン装置23のそれと同じであるため、その説明は省略する。
【0041】
図1に示す一対の第1サイクロン装置18について、開閉弁V2、V4が開放状態、開閉弁V8が閉止状態となって一方の第1サイクロン装置18(図1における左側の第1サイクロン装置18)が作動してその濾過液排出口18bから濾過液が排出しているとき、他方の第1サイクロン装置18は、開閉弁V3、V5が閉止状態、開閉弁V9が開放状態となって非作動となり、沈澱液排出口18cから沈澱液が流下するようになっている。そして、一定周期で、この作動と非作動の関係が一対の第1サイクロン装置18間で交互に切り換わるように構成されている。これにより、電着槽1内の処理液は常にどちらか一方の第1サイクロン装置18の濾過液排出口18b、沈澱液排出口18cから濾過液、沈澱液として排出される。
【0042】
第2サイクロン装置23についても同様である。すなわち、一対の第2サイクロン装置23について、開閉弁V13、V15が開放状態、開閉弁V21が閉止状態となって一方の第2サイクロン装置23(図1における左側の第2サイクロン装置23)が作動してその濾過液排出口23bから濾過液が排出しているとき、他方の第2サイクロン装置23は、開閉弁V14、V16が閉止状態、開閉弁V22が開放状態となって非作動となり、沈澱液排出口23cから沈澱液が流下するようになっている。そして、一定周期で、この作動と非作動の関係が一対の第2サイクロン装置23間で交互に入れ替わるように構成されている。これにより、電着槽1内の処理液は常にどちらか一方の第2サイクロン装置23の濾過液排出口23b、沈澱液排出口23cから濾過液、沈澱液として排出される。
【0043】
「分離槽33、第3サイクロン装置35(分離槽用サイクロン装置)」
前記したように、一端が二股配管31aを介して第1サイクロン装置18の沈澱液排出口18cおよび第2サイクロン装置23の沈澱液排出口23cに連通した異物排出配管31は、その他端がスクリューコンベア32を内蔵した分離槽33に臨む。スクリューコンベア32は縦置きに設置される。異物排出配管31には開閉弁V23が介設されている。分離槽33の側壁の高さ方向中央部より上方には廃液供給配管34の一端が接続され、廃液供給配管34の他端は第3サイクロン装置35(分離槽用サイクロン装置)の廃液供給口35aにポンプ36を介して接続されている。第3サイクロン装置35の濾過液排出口35bは濾過液排出配管37を介して第2処理液供給配管10と連通し、沈澱液排出口35cは分離槽33に向けて配設されている。第3サイクロン装置35の内部構造は第1サイクロン装置18、第2サイクロン装置23のそれと同じである。
【0044】
「処理液濾過装置50」
各第2サイクロン装置23の濾過液排出口23bには直線管からなる供給配管54を介して処理液濾過装置50が取り付けられている。図6に示すように、供給配管54は濾過液排出口23bに内嵌してその下端が第2サイクロン装置23の遠心分離部38に臨む。供給配管54は遠心分離部38と同軸に配され、リテーリングナット60により第2サイクロン装置23の上部に固定される。
【0045】
処理液濾過装置50は円筒状のハウジング52を有する。ハウジング52の下面に濾過液の供給孔53が開設され、この供給孔53に供給配管54の上端が接続している。ハウジング52の上部側面には濾過液の送出口55(図8も参照)が形成され、この送出口55に濾過液排出配管24が接続している。
【0046】
ハウジング52の上面には濾過材交換用の開孔57が開設されている。この開孔57に着脱自在に取り付けられる蓋部材64には、前記供給配管54と同軸に開孔65が開設されている。この開孔65には下方からブラシ66の支持部67が挿通され、ナット68により蓋部材64の上部で螺合固定されている。ブラシ66は、例えば図7(a)に示すように、1本の金属線を折り曲げて平行な金属線69、69を形成し、この金属線69、69間に、金属線69と直角に樹脂製または金属製の細線72を多数挟み込んだうえで、金属線69、69同士を縒線として直線状に捻った構造からなる。これにより、図7(b)に示すように直線状の捻り棒70がブラシ66の芯棒として形成され、捻り棒70の周面には放射状に延びる多数の細線72からなる円柱形状のブラシ群71が形成される。ブラシ群71は捻り棒70の概ね下半分の周面に形成されている。捻り棒70の上端は図6に示すように前記支持部67の内部に着脱自在に嵌合固定される。捻り棒70は供給配管54と同軸上に位置する。ブラシ群71の下端とハウジング52の底面とは適宜な距離をおいて離間している。蓋部材64は、ハウジング52に溶着されたナット73にボルトを螺合させることでハウジング52に締結固定される。なお、ブラシ66の構造は以上の態様に限定されることなく、様々な方法および材料で製作されうる。
【0047】
「作用」
図1において、車体Wが搬送コンベア100のハンガー101に載置された状態で電着槽1内の処理液(電着液)に浸漬されると、車体Wの没入高さ位置と概ね同じ高さに位置している第2処理液吐出ノズル13からの処理液の噴流により、車体Wの内外面に付着した異物の除去が行われる。除去された異物は第2処理液吐出ノズル13からの処理液の噴流により、電着槽1の車体Wの搬送方向下流側に流れ、上層を流れる一部は予備槽2に流れ込み、残りは電着槽1の傾斜面4および予備槽2の仕切り壁2dに倣って下方に反転する。そして、傾斜面4および底面1aに配設された第一処理液吐出ノズル9からの処理液の噴流により、除去された異物は電着槽1の底層において車体Wの搬送方向上流側に流れる。電着槽1の長手方向に延設する起立板6の整流機能により、電着槽1の底層において処理液はスムースに車体Wの搬送方向上流側に流れる。
【0048】
電着槽1の底層において車体Wの搬送方向上流側に流れる異物を含んだ処理液が電着槽1の下部壁面1cに衝突すると、例えば比重の小さい異物などごく微細な異物は傾斜板3cに沿って流れて傾斜板3cを乗り越えるが、比較的比重の大きい異物などは傾斜板3cに遮られて沈降する。つまり、傾斜板3cは異物を軽いものと重いものとに分けるフィルタ機能を担い、これにより、比重の小さい異物は傾斜板3cを乗り越えたうえで第2ホッパ27に集積され、比重の大きい異物は傾斜板3cの下方に位置する第1ホッパ3に集積される。
【0049】
第2ホッパ27に集積された比重の小さい異物を含んだ処理液は、ポンプ22の駆動により排出口27aから第2吸引配管21を介して第2サイクロン装置23に供給される。第2サイクロン装置23内では旋回流により異物が遠心分離され、濾過液は濾過液排出口23bから処理液濾過装置50に流れ、沈澱液は沈澱液排出口23cから排出される。
【0050】
図6において、濾過液は第2サイクロン装置23から供給配管54を通して処理液濾過装置50に流れる。このとき、供給配管54は第2サイクロン装置23の遠心分離部38と同軸に配された直線管からなるため、遠心分離部38で発生する旋回流は供給配管54を通して処理液濾過装置50のハウジング52の内部まで効率良く伝達される。このようにしてハウジング52内で発生した旋回流の中心にはブラシ66が位置しているため、濾過液中に含まれる軽い綿ゴミ等のごく微細な異物が旋回流の中心に集まり、ブラシ66のブラシ群71により効率的に捕集される。
【0051】
ブラシ66により微細な異物を除去された濾過液は、図1において、送出口55から濾過液排出配管24に排出され、一部は分岐管28、枝管29を介して各処理液吐出ノズル30から出槽直後の車体Wに向けて噴射される。これにより、処理液の表面に浮遊し、処理液からの引き揚げ時に車体Wに再付着した異物が確実に除去される。また、送出口55から濾過液排出配管24に排出された濾過液の残りは、第1処理液供給配管7、第1枝管8を経由して第1処理液吐出ノズル9から噴射される。
【0052】
一方、第1ホッパ3に集積された比重の大きい異物を含んだ処理液は、ポンプ17の駆動により排出口3aから第1吸引配管20を介して第1サイクロン装置18に供給される。第1サイクロン装置18内では旋回流により異物が遠心分離され、濾過液は濾過液排出口18bから第2処理液供給配管10を経由して第2処理液吐出ノズル13から噴射される。前記したように、この第2処理液吐出ノズル13からの処理液の噴射により電着槽1の上中層には車体搬送方向下流側に向かう噴流が形成され、比較的比重の小さな異物の一部を効率良く予備槽2に流し込むことができる。予備槽2内の処理液は、ポンプ81の駆動により第3吸引配管80を介して第1吸引配管20に流れ込むことで第1サイクロン装置18により処理される。
【0053】
第1サイクロン装置18、第2サイクロン装置23において分離処理されて異物を多く含んだ沈澱液は沈澱液排出口18c、23cから二股配管31a、異物排出配管31を介して分離槽33に供給される。分離槽33に供給された異物濃度の高い前記沈澱液は、ポンプ36の駆動により廃液供給配管34から濾過液供給口35aを通して第3サイクロン装置35に供給され、濾過された処理液と異物とに分離される。濾過された処理液は濾過液排出口35bに接続した濾過液排出配管37から第2処理液供給配管10を介して電着槽1に戻され、異物は沈澱液排出口35cから分離槽33に戻される。
【0054】
分離槽33の底部に沈降した異物はスクリューコンベア32により掬い取られて上昇する。スクリューコンベア32による搬送過程で異物の圧搾がなされ、処理液は分離槽33の底部に再度落下し、異物のみがスクリューコンベア32の最上部から外部に排出され、別途に処理される。これにより、電着槽1内の処理液に対し、処理液中の異物のみを効率的に除去することができる。
【0055】
以上のように、電着槽1(処理槽)の車体入槽寄りの一端側でかつ槽高さ中程に形成され、比重の小さい異物を含む処理液を回収する第2ホッパ27(上中層用回収部)と、第2ホッパ27からの処理液を濾過液と異物とに分離し、遠心分離部38の軸線上に形成された上部の濾過液排出口23bから濾過液を排出する第2サイクロン装置23(上中層用サイクロン装置)と、第2サイクロン装置23からの濾過液をさらに濾過して電着槽1に還流する処理液濾過装置50と、を備え、処理液濾過装置50は、下面の供給孔53には第2サイクロン装置23の濾過液排出口23bに連通する直線管からなる供給配管54が接続され、上部の送出口55には濾過液排出配管24が接続されるハウジング52と、ハウジング52の上面に着脱自在に取り付けられる蓋部材64と、蓋部材64に供給配管54と同軸に着脱自在に取り付けられるブラシ66と、を備え、第2サイクロン装置23の遠心分離部38で発生する旋回流を供給配管54を通して処理液濾過装置50のハウジング52の内部まで伝達させ、その旋回流の中心に位置したブラシ66により異物を捕集する構成とすれば、次のような効果が奏される。
【0056】
電着槽1において比較的比重の小さい異物は槽の上中層に浮遊しやすい。したがって、電着槽1の一端側でかつ槽高さ中程に第2ホッパ27を設けることで微細な異物を効率良く回収できる。そして、回収した微細な異物を第2サイクロン装置23で遠心分離し、その濾過液をさらに処理液濾過装置50により濾過して電着槽1に還流するため、処理液の濾過効率に優れる。処理液濾過装置50内で微細な異物を捕集するにあたっては、第2サイクロン装置23の遠心分離部38で発生する旋回流を利用しているため、高価となりやすい複雑な機構や特殊な濾過材を何ら要することなく、異物を低コストで効率良く除去できる。ブラシ66は蓋部材64に着脱自在に取り付けられるため、ブラシ66のメンテナンス作業も容易である。
【0057】
また、電着槽1の車体入槽寄りの一端側でかつ槽底部に形成され、比重の大きい異物を含む処理液を回収する第1ホッパ3(底層用回収部)と、第1ホッパ3からの処理液を濾過液と異物とに分離する第1サイクロン装置18(底層用サイクロン装置)と、をさらに備え、第1サイクロン装置18から排出された濾過液を、槽高さ中程の位置において車体出槽側に向きかつ車体に指向するように設けた複数の第2処理液吐出ノズル13により噴射し、第2サイクロン装置23から排出された濾過液を、槽底部において車体入槽側に向きかつ槽の底面に指向するように設けた複数の第1処理液吐出ノズル9により噴射する構成とすれば、電着槽1内の処理液の流れを、上中層部では第2処理液吐出ノズル13からの吐出により車体搬送方向、底層部では第1処理液吐出ノズル9からの吐出により車体搬送方向と逆方向となる循環流にでき、それぞれ槽底部、槽高さ中程に位置する第1ホッパ3、第2ホッパ27により異物を比重別に効率良く集積できる。
【0058】
さらに、電着槽1の車体入槽寄りの一端の壁面はその上部壁面1bが下部壁面1cよりも奥まって形成され、第2ホッパ27は上部壁面1bの手前領域からなり、第1ホッパ3は下部壁面1cの手前領域からなり、下部壁面1cの上端周りに、車体出槽側かつ上方に向けて延設する平板状の傾斜板3cを設け、下部壁面1cに衝突して上方に分散する処理液中の異物のうち、比重の小さい異物は傾斜板3cに沿わせて第2ホッパ27で回収し、比重の大きい異物は傾斜板3cにより遮って第1ホッパ3で回収する構成とすれば、傾斜板3cが異物を軽いものと重いものとに分けるフィルタ機能を担うこととなり、簡単な構造で異物を比重別に分けて集積できる。
【0059】
また、第2サイクロン装置23および第1サイクロン装置18の内の少なくとも一方を2台以上の並列に設け、該並列に設けた複数のサイクロン装置間で、濾過液の排出タイミングと沈澱液の排出タイミングとを交互に切り換えることにより、電着槽1内の処理液を常にいずれかのサイクロン装置により濾過液および沈澱液として取り出す構成とすれば、処理液の異物除去の稼動効率に優れたシステムとなる。
【0060】
さらに、第2サイクロン装置23および第1サイクロン装置18から排出された沈澱液が処理液として投入され、内蔵のスクリューコンベア32により処理液中の異物を圧搾して外部に排出する分離槽33と、分離槽33からの処理液を濾過液と沈澱液とに分離する第3サイクロン装置35(分離槽用サイクロン装置)と、をさらに備え、第3サイクロン装置35で分離した濾過液、沈澱液をそれぞれ電着槽1、分離槽33に戻す構成とすれば、第2サイクロン装置23および第1サイクロン装置18から排出された沈澱液を分離槽33および第3サイクロン装置35を用いてさらに濾過液と異物とに分離し、その濾過液を電着槽1に還流するため、処理液のロスが殆どない異物除去システムとなる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施形態を説明した。説明した実施形態では、第2サイクロン装置23および第1サイクロン装置18の内の両方について並列に設け、第2サイクロン装置23同士間で濾過液の排出タイミングと沈澱液の排出タイミングとを交互に切り換えることにより、電着槽1内の処理液を常にいずれかの第2サイクロン装置23により濾過液および沈澱液として取り出すとともに、第1サイクロン装置18同士間で濾過液の排出タイミングと沈澱液の排出タイミングとを交互に切り換えることにより、電着槽1内の処理液を常にいずれかの第1サイクロン装置18により濾過液および沈澱液として取り出すようにしたが、第2サイクロン装置23および第1サイクロン装置18の内の少なくとも一方について並列に設け、そのサイクロン装置間で濾過液の排出タイミングと沈澱液の排出タイミングとを交互に切り換えることにより、電着槽1内の処理液を常にいずれかのサイクロン装置により濾過液および沈澱液として取り出すようにしてもよい。
【0062】
また、処理液濾過装置50と同等構造のものを第1サイクロン装置18の濾過液排出口18bに取り付けることも可能であり、これにより、より一層、微細な異物の除去効率に優れたシステムを構築できる。
【0063】
さらに、本発明は電着槽に限定されることなく脱脂槽、水洗槽等にも適用可能である。また、ワークは自動車の車体に限定されることなく適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 電着槽(処理槽)
1b 上部壁面
1c 下部壁面
3 第1ホッパ(底層用回収部)
9 第1処理液吐出ノズル
13 第2処理液吐出ノズル
18 第1サイクロン装置(底層用サイクロン装置)
18b 濾過液排出口
18c 沈澱液排出口
23 第2サイクロン装置(上中層用サイクロン装置)
23b 濾過液排出口
23c 沈澱液排出口
27 第2ホッパ(上中層用回収部)
32 スクリューコンベア
33 分離槽
35 第3サイクロン装置(分離槽用サイクロン装置)
38 遠心分離部
50 処理液濾過装置
52 ハウジング
53 供給孔
54 供給配管
55 送出口
64 蓋部材
66 ブラシ
70 捻り棒
71 ブラシ群
100 搬送コンベア
101 ハンガー
W 車体(ワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが処理液に浸漬した状態で搬送される処理槽に関し、該処理槽の処理液中の異物を除去するシステムであって、
処理槽のワーク入槽寄りの一端側でかつ槽高さ中程に形成され、比重の小さい異物を含む処理液を回収する上中層用回収部と、
前記上中層用回収部からの処理液を濾過液と異物とに分離し、遠心分離部の軸線上に形成された上部の濾過液排出口から濾過液を排出する上中層用サイクロン装置と、
前記上中層用サイクロン装置からの濾過液をさらに濾過して処理槽に還流する処理液濾過装置と、を備え、
前記処理液濾過装置は、
下面の供給孔には前記上中層用サイクロン装置の濾過液排出口に連通する直線管からなる供給配管が接続され、上部の送出口には濾過液の排出配管が接続されるハウジングと、
前記ハウジングの上面に着脱自在に取り付けられる蓋部材と、
前記蓋部材に前記供給配管と同軸に着脱自在に取り付けられるブラシと、
を備え、前記上中層用サイクロン装置の遠心分離部で発生する旋回流を前記供給配管を通して前記ハウジングの内部まで伝達させ、その旋回流の中心に位置した前記ブラシにより異物を捕集することを特徴とする処理槽における異物除去システム。
【請求項2】
処理槽のワーク入槽寄りの一端側でかつ槽底部に形成され、比重の大きい異物を含む処理液を回収する底層用回収部と、
前記底層用回収部からの処理液を濾過液と異物とに分離する底層用サイクロン装置と、
をさらに備え、
前記底層用サイクロン装置から排出された濾過液を、槽高さ中程の位置においてワーク出槽側に向きかつワークに指向するように設けた複数の第2処理液吐出ノズルにより噴射し、
前記上中層用サイクロン装置から排出された濾過液を、槽底部においてワーク入槽側に向きかつ槽の底面に指向するように設けた複数の第1処理液吐出ノズルにより噴射することを特徴とする請求項1に記載の処理槽における異物除去システム。
【請求項3】
処理槽のワーク入槽寄りの一端の壁面はその上部壁面が下部壁面よりも奥まって形成され、前記上中層用回収部、底層用回収部はそれぞれ前記上部壁面、下部壁面の各手前領域からなり、
前記下部壁面の上端周りに、ワーク出槽側かつ上方に向けて延設する平板状の傾斜板を設け、
前記下部壁面に衝突して上方に分散する処理液中の異物のうち、比重の小さい異物は前記傾斜板に沿わせて前記上中層用回収部で回収し、比重の大きい異物は前記傾斜板により遮って前記底層用回収部で回収することを特徴とする請求項2に記載の処理槽における異物除去システム。
【請求項4】
前記上中層用サイクロン装置および前記底層用サイクロン装置の内の少なくとも一方を2台以上の並列に設け、
該並列に設けた複数のサイクロン装置間で、濾過液の排出タイミングと沈澱液の排出タイミングとを交互に切り換えることにより、処理槽内の処理液を常にいずれかのサイクロン装置により濾過液および沈澱液として取り出すことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の処理槽における異物除去システム。
【請求項5】
前記上中層用サイクロン装置および前記底層用サイクロン装置から排出された沈澱液が処理液として投入され、内蔵のスクリューコンベアにより処理液中の異物を圧搾して外部に排出する分離槽と、
前記分離槽からの処理液を濾過液と沈澱液とに分離する分離槽用サイクロン装置と、
をさらに備え、
前記分離槽用サイクロン装置で分離した濾過液、沈澱液をそれぞれ処理槽、分離槽に戻す構成としたことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一項に記載の処理槽における異物除去システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−41590(P2012−41590A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182455(P2010−182455)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(501141769)株式会社industria (29)
【Fターム(参考)】