説明

処理装置、トランジスタ製造方法

【課題】SiC中のSi欠損を発生させずにSiC基板の不純物層をアニールする技術を提供する。
【解決手段】本発明の処理装置10は、搬送室11と、高温熱処理室12と、前処理装置13を有している。処理対象物70は前処理装置13内の加熱装置22により加熱され、SiC基板71表面に形成された有機膜74は焼成され、SiC基板71表面には炭素皮膜76が形成される。炭素皮膜76が形成されたSiC基板71は高温熱処理装置12のアニール室40内において高温に加熱され、アニールされる。SiC基板71表面には炭素皮膜76が配置されているから、SiC基板71からのSiの欠損が生じない状態で不純物層をアニールすることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiC基板にMOSトランジスタ等を形成する技術に関し、特に、不純物層のアニールを行なう技術に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン・カーバイドと呼ばれるSiC材料は、セラミックス材料として、ディーゼルエンジンの排ガス用フィルターや高温ファンの羽根等の使用環境が高温の部品に使用されているが、近年では、SiC材料は、シリコンに比べて高耐圧,低損失で,素子の消費電力を低減することができることから、高性能半導体材料として注目されている。
【0003】
特に、パワー半導体に使用した場合、シリコンよりも熱伝導率が高いので、冷却のためのファンが不要になったり、高温でも使用できる等、熱伝導性、耐熱性に優れる他、耐薬品性、耐放射線性にも優れており、利点は多い。
【0004】
しかし、SiC半導体素子として、ショットキーダイオードは初期から試作されているものの、主流と目されるMOSFETは、近年漸く試作された。
MOSFETの作成が困難な理由は、第一に,半導体素子中を流れる電流を制御するチャネル部の抵抗が高いことであり、第二は、SiCウエハーの欠陥の密度が高いことが挙げられる。
【0005】
n型SiCの形成には、リン(P)等のV族元素不純物をSiCに添加する必要があるが、これらの不純物の熱拡散係数は極めて小さく、Si素子製造で従来から使われている熱拡散法ではSiC内に導入できない。
不純物を導入するためには、不純物をイオン化し、イオン注入する技術が使用されるが、イオン注入によってSiC材料がアモルファス化すると、立方晶又は六方晶のSiCの結晶性を回復させるのは非常に難しく、イオン注入によって形成された不純物層が高抵抗になってしまう。
【0006】
そこでイオン注入によるSiC結晶のアモルファス化を防止するために、イオン注入の際にSiCを高温に加熱する高温イオン注入技術が注目されている。
高温イオン注入後、1000℃以上の温度でアニールし、結晶が乱れたSiCを再結晶化しているが、アニール温度が低いとSiCの再結晶化が不十分になるため、より高温に加熱できる高温熱処理装置の開発が望まれている。
また、実験によると、SiC基板を高温に加熱すると基板からSiが蒸発し、SiC基板中のSiが不足するという現象があり、これも、不純物層が高抵抗化する原因となっている。
【特許文献1】国際公開第97/39476号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来技術の課題を解決するために創作されたものであり、SiC中のSi欠損を発生させずに、SiC基板の不純物層をアニールする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、搬送室と、高温熱処理装置と、前処理装置とを有し、前記搬送室内には、処理対象物を搬送する基板搬送ロボットが配置された処理装置であって、前記前処理装置は、前記前処理装置内に搬入された前記処理対象物を加熱する加熱装置を有し、前記高温熱処理装置は、前記基板搬送ロボットのハンドが挿入可能な高さに配置された準備室と、前記準備室の上方に配置され、内部が前記準備室の内部と連通されたアニール室と、前記準備室の内部と前記アニール室の内部の間を移動可能に配置され、前記準備室内に位置するときに、前記ハンド上に載置された前記処理対象物が移載される試料ステージと、前記試料ステージを、前記準備室から前記アニール室に上昇させる昇降機構と、前記アニール室内に配置され、前記準備室から前記アニール室内に到着した前記試料ステージ上の前記基板の周囲を取り囲む発熱構造体と、前記アニール室の周囲に設けられ、前記発熱構造体に電流を誘起させる誘導加熱コイルと、前記アニール室内に熱媒体ガスを供給する熱媒体ガス供給装置とを有する処理装置である。
また、本発明は、前記加熱装置は、前記基板を真空雰囲気中で加熱し、前記基板上に配置された有機膜を焼成して炭素皮膜を形成する処理装置である。
また、本発明は、前記試料ステージと共に昇降移動し、前記試料ステージが前記発熱構造体に取り囲まれる位置に上昇したときに、前記アニール室の開口を閉じ、前記アニール室内と前記準備室内を分離させる底板を有する処理装置である。
また、本発明は、前記試料ステージの底面には、石英又はグラファイトの断熱部材を介してロッド上端が取り付けられ、前記昇降機構は前記ロッドを昇降移動させる処理装置である。
また、本発明は、SiC基板にソース領域とドレイン領域を有するMOSトランジスタを形成するトランジスタ製造方法であって、内部表面に前記ソース領域と前記ドレイン領域が形成され、前記ソース領域と前記ドレイン領域が主表面に露出する前記SiC基板の、前記主表面に有機膜を形成し、前記SiC基板を真空雰囲気中で加熱し、前記有機膜を焼成して炭素皮膜を形成し、前記炭素皮膜が形成された前記SiC基板を、周囲の真空雰囲気を維持したまま、発熱構造体の内部に配置し、熱媒体ガス雰囲気中で前記発熱構造体を誘導加熱し、前記SiC基板を1800℃以上2000℃以下の温度範囲に昇温させるトランジスタ製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
不純物層が1800℃以上の高温に加熱されるので、欠陥が修復される。
不純物層上に炭素皮膜が配置されているので、Siが蒸発せず、Si欠損が生じない。
炭素皮膜の形成からアニール処理の終了まで、SiC基板は大気に曝されないので、汚染物質の付着による特性劣化がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1を参照し、符号10は、本発明の一例の処理装置を示している。
この処理装置は搬送室11を有しており、搬送室11には、高温熱処理装置12と前処理装置13と搬入室15と搬出室16がそれぞれ接続されている。ここでは、高温熱処理装置12と前処理装置13は、それぞれ一乃至複数台接続されている。
【0011】
図7(a)は、本発明の処理装置の処理対象物70であり、SiC基板71を有している。
このSiC基板71の内部表面には、SiC基板71とは反対の導電型の不純物が800℃程度の高温で高濃度に注入され、表面から所定深さまで、MOSトランジスタのソース領域72とドレイン領域73が互いに離間して形成されている。
【0012】
ソース領域72とドレイン領域73が形成された表面には、有機膜74が形成されている(ここでは有機膜74にはフォトレジスト膜が用いられている)。
搬送室11内には基板搬送ロボット14が配置されており、有機膜74が形成された状態の処理対象物70は、予め、複数枚が搬入室15に配置されている。
【0013】
先ず、搬送室11と他の装置との間のゲートバルブ18を閉じておき、搬送室11と、高温熱処理装置12と、前処理装置13と、搬入室15と、搬出室16を大気から遮断し、真空雰囲気にした状態で、搬入室15と搬送室11の間のゲートバルブ18と、前処理装置13と搬送室11の間のゲートバルブ18を開け、搬入室15内の処理対象物70を基板搬送ロボット14のハンド上に乗せ、搬入室15内から取り出し、前処理装置13の真空槽20内に搬入する。
【0014】
図2は前処理装置13の内部を説明するための概略図である。
前処理装置13の真空槽20内には焼成ステージ21が設けられており、搬入された処理対象物70は、不図示の移載装置によってハンド17上から焼成ステージ21上に移載される。焼成ステージ21上では、SiC基板71表面の有機膜74は上方に向けられている。
【0015】
次に、前処理装置13と搬送室11との間のゲートバルブ18を閉じ、前処理装置13の内部空間を搬送室11の内部空間から遮断する。
この前処理装置13は加熱装置22を有しており、真空槽20に接続された真空排気系23によって、真空槽20内を真空排気しながら、加熱装置22によって処理対象物70を加熱し、真空雰囲気中で700℃以上800℃以下の温度に昇温させ、数分間その温度を維持することによって有機膜74が炭化し、SiC基板71の表面に炭素皮膜76が形成される。ソース領域72の表面とドレイン領域73の表面を含むSiC基板71の表面は、炭素被膜76によって覆われる。
【0016】
炭素皮膜76を形成する加熱装置22は、焼成ステージ21の内部に配置した抵抗加熱ヒータを用いることができる。また、焼成ステージ21上に加熱用赤外線ランプ等を設け、加熱装置22にすることができる。
炭素皮膜76が形成されたSiC基板71は、基板搬送ロボット14のハンド17上に移載され、前処理装置13内から搬出され、下記のように、高温熱処理装置12内で処理される。
【0017】
図3は、高温熱処理装置12の内部を説明するための概略図である。この図3は後述の試料ステージ31が下降した状態である。
高温熱処理装置12は、準備室30とアニール室40を有している。
アニール室40は準備室30の上部に配置されており、アニール室40の内部と準備室30の内部は連通されている。準備室30の底壁には、鉛直に配置されたロッド32が気密に挿通されており、ロッド32の下端は昇降装置33に取り付けられている。
【0018】
ロッド32の上端には試料ステージ31が取り付けられており、昇降装置33によってロッド32が鉛直方向に上下動すると、試料ステージ31は、試料ステージ31上の処理対象物と共に上下移動し、試料ステージ31は、アニール室40の内部と準備室30の内部のどちらの室内にも入ることができる。
【0019】
搬送室11には準備室30が接続されており、準備室30は、搬送室11内の基板搬送ロボット14のハンド17が挿入可能な高さに配置されている。図3に示すように、試料ステージ31が下降し、準備室30内に位置する状態では、試料ステージ31の高さは、試料ステージ31上と基板搬送ロボット14のハンド17上との間で処理対象物が受渡可能な高さにされている。
【0020】
準備室30と搬送室11の間のゲートバルブ18を開け、図4に示すように、処理対象物75が載置された基板搬送ロボット14のハンド17を準備室30内に挿入し、不図示の移載装置により、ハンド17上の処理対象物75を試料ステージ31上に移載し、ハンド17を準備室30から抜去し、準備室30と搬送室11との間のゲートバルブ18を閉じる。
【0021】
図5の符号75は、試料ステージ31上に配置された処理対象物を示している。ハンド17上でも、試料ステージ31上でも、炭素皮膜76は鉛直上方を向けられており、SiC基板71の底面がハンド17や試料ステージ31と接触している。
【0022】
準備室30とアニール室40は、それぞれ真空排気系34、41に接続されており、真空排気系34、41を動作させ、準備室30とアニール室40の内部は、処理対象物75の処理中、継続して真空排気しておく。
アニール室40の内部には、筒状の発熱構造体42が側面を鉛直にして配置されている。
【0023】
試料ステージ31は、発熱構造体42の真下位置に配置されており、試料ステージ31の大きさは、発熱構造体42の底面の開口51の大きさと同じか、僅かに小さい(ここでは、試料ステージ31と発熱構造体42と、その底面の開口51の形状は円形である)。
【0024】
昇降機構33を動作させ、ロッド32を上昇させると、試料ステージ31は、SiC基板71と共に鉛直に上昇する。試料ステージ31が発熱構造体42の底面の開口51内に挿入され、該開口51を閉塞させたところで上昇を停止し、静止させる。
【0025】
図6は、その状態を示しており、発熱構造体42の底面の開口51は、試料ステージ31で閉塞された状態になり、試料ステージ31上の処理対象物75は、発熱構造体42によって取り囲まれている。
アニール室40の底部にはフランジ45が設けられており、フランジ45がアニール室40と準備室30の境界に位置している。
【0026】
ロッド32の試料ステージ31よりも下側位置には石英製又はグラファイト製の底板35が設けられている。
試料ステージ31が発熱構造体42の開口51内に挿入され、開口51を閉塞する位置で静止した状態では、底板35は、フランジ45に当接され、アニール室40の下端の開口46を閉塞させている。
【0027】
この状態では、アニール室40の内部空間と、準備室30の内部空間は底板35によって遮断されている。
発熱構造体42の上端は、板状の蓋部52によって塞がれている。
【0028】
アニール室40の周囲には誘導加熱コイル43が巻き回わされている。誘導加熱コイル43は高周波電源44に接続されており、誘導加熱コイル43に交流電圧を印加し、交流電流を流すと、アニール室40内部に配置された導電性材料に誘導電流が誘起される。
【0029】
発熱構造体42と試料ステージ31と蓋部52は、カーボングラファイトで形成されており、誘導加熱コイル43に印加される交流電圧の周波数は、カーボングラファイトに誘導電流を誘起しやすく、且つ、下記の冷却媒体(ここでは水)を加熱しない周波数であり、例えば、100kHz程度の周波数である。
【0030】
発熱構造体42と試料ステージ31と蓋部52に誘導電流が誘起され、それによって発熱構造体42と試料ステージ31と蓋部52が発熱すると、試料ステージ31上に配置された処理対象物75は、試料ステージ31からの熱伝導と、発熱構造体42からの放射熱によって加熱される。
【0031】
アニール室40の上部には、熱媒体供給装置47が接続されている。
蓋部52には厚み方向を貫通するガス導入口53が設けられており、熱媒体供給装置47からアニール室40の内部に熱媒体ガスが供給されると、熱媒体ガスはガス導入口53から発熱構造体42の内部に導入され、発熱構造体42と接触し、高温に加熱される。
【0032】
試料ステージ31上に配置された処理対象物75は、試料ステージ31からの熱伝導と、発熱構造体42からの放射熱に加え、高温の熱媒体ガスによっても加熱され、短時間で処理対象物75は、熱媒体ガス雰囲気中で1800℃以上2000℃以下の高温に昇温され、その温度が数分間〜数十分間維持され、ソース領域72とドレイン領域73の残留欠陥は除去される(アニール処理)。このアニール処理により、SiC基板71のソース領域72やドレイン領域73の結晶の乱れが修正される。
ソース領域72とドレイン領域73の表面を含むSiC基板71の表面には、炭素皮膜76が形成されており、SiC基板71からのケイ素の蒸発が発生しない。
【0033】
ガス導入口53から導入された熱媒体ガスは、試料ステージ31と発熱構造体42の間の隙間を通って、発熱構造体42の外部に流出し、アニール室40の下部に接続された真空排気系41から真空排気される。
【0034】
アニール室40と準備室30の間は、底板35によって遮断されているので、熱媒体ガスは準備室30内に侵入せず、準備室30が高温の熱媒体ガスで加熱されることはない。熱媒体ガスにはアルゴンガス等の希ガスを用いることができる。
アニール室40の壁面は、石英の二重チューブ58で構成されており、アニール室40内の空間は、内側のチューブ56によって取り囲まれている。
【0035】
二重チューブ58の内側のチューブ56と外側のチューブ57の間は所定距離だけ離間されており、そのチューブ間の隙間によって冷却媒体流路59が形成されている。
この冷却媒体流路59は冷却媒体循環装置55に接続されており、冷却媒体循環装置55から供給された冷却媒体は、冷却媒体流路59内を流れ、冷却媒体循環装置55に戻るように構成されている。
【0036】
冷却媒体循環装置55は、冷却媒体を流すポンプと、冷却媒体を冷却する冷却装置を有しており、冷却媒体流路59から帰還し、昇温した冷却媒体を冷却し、再度冷却媒体流路59に供給し、アニール室40を冷却するように構成されている。
【0037】
アニール室40内では、誘導加熱コイル43によって加熱された発熱構造体42と試料ステージ31と蓋部52から熱線(赤外線)が発生しているが、冷却媒体流路59は、内側のチューブ56の周囲を覆うように配置されており、冷却媒体流路59に冷却媒体が流れた状態では、アニール室40内部から放出された熱線(赤外線)は、冷却媒体流路59を流れる冷却媒体で遮蔽され、外部に放射されない。冷却媒体には水を用いることができる。
【0038】
なお、二重チューブ58の上端は先細であり、熱媒体供給装置47に接続された配管は、冷却媒体流路59とは遮断された状態で、アニール室40内の空間(内側のチューブ56で囲まれた空間)に接続されている。
【0039】
処理対象物75がアニール室40内で所定時間高温に加熱された(アニール処理)後、交流電圧は停止され、加熱は終了する。
加熱処理終了後、準備室30内にアルゴン等のガスが導入され、アニール室40と準備室30とが同圧になった後に試料ステージ31は降下され、準備室30内に戻る。
【0040】
継続的なアルゴンガス等の冷却ガスの導入によって、処理対象物75が低い温度に降温した後、アニール室40と一体となった準備室30が排気され、その後準備室30と搬送室11の間のゲートバルブ18が開けられ、基板搬送ロボット14のハンド17が挿入され、処理(前処理及びアニール処理)が終了した処理対象物75は、不図示の移載装置によって試料ステージ31上からハンド17上に移載され、基板搬送ロボット14によって搬出室16に搬送される。
【0041】
処理が終了した処理対象物75が搬送室11内に所定枚数搬入されると、搬出室16と搬送室11の間のゲートバルブ18が閉じられ、搬出室16の内部が大気雰囲気に接続され、処理対象物75が取り出される。
【0042】
なお、試料ステージ31とロッド32の間には、石英製又はグラファイト製の断熱部材36が設けられている。ロッド32は、底板35よりも上の部分が石英又はグラファイトで構成され、底板35よりも下の部分が金属で構成されており、底板35によってアニール室40が閉塞されるとき、アニール室40の内部には、石英又はグラファイトの部分が位置するようにされている。
【0043】
試料ステージ31は、グラファイト断熱材の表面を硬質グラファイトで覆って形成されており、試料ステージ31が高温に加熱されても、その熱がロッド32の金属部分に伝達されないように構成されている。
【0044】
上記例では、熱媒体ガスに希ガスを用いたが、希ガスにシランガス等の化学構造中にケイ素を含むガスを添加して熱媒体ガスとし、アニール室40内で1800℃〜2000℃に加熱され、ケイ素が脱離するSiC基板71に、ケイ素を補充しながら熱処理することもできる。
【0045】
なお、上記SiC基板71は、不純物層が露出する主表面に炭素皮膜76が配置され、裏面はSiCが露出されていたが、裏面にも炭素皮膜76を配置してアニール処理することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一例の処理装置を説明するためのブロック図
【図2】前処理装置を説明するための断面図
【図3】高温熱処理装置の内部を説明するための断面図
【図4】搬送室から準備室にSiC基板を移載する様子を説明するための断面図
【図5】試料ステージ上にSiC基板を配置した状態を説明するための断面図
【図6】試料ステージがアニール室に上昇配置された状態の断面図
【図7】(a):有機膜が形成された状態のSiC基板を説明するための断面図、(b):炭素皮膜が形成された状態のSiC基板を説明するための断面図
【符号の説明】
【0047】
10…処理装置 11…搬送室 12…高温熱処理装置 13…前処理装置 14…基板搬送ロボット 15…搬入室 16…搬出室 17…ハンド 22…加熱装置 30…準備室 31…試料ステージ 32…ロッド 35…底板 36…断熱部材 40…アニール室 42…発熱構造体 43…誘電加熱コイル 46…開口 47…熱媒体ガス供給装置 70、75…処理対象物 71…SiC基板 72…ソース領域 73…ドレイン領域 74…有機膜 76…炭素皮膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送室と、
高温熱処理装置と、
前処理装置とを有し、
前記搬送室内には、処理対象物を搬送する基板搬送ロボットが配置された処理装置であって、
前記前処理装置は、前記前処理装置内に搬入された前記処理対象物を加熱する加熱装置を有し、
前記高温熱処理装置は、
前記基板搬送ロボットのハンドが挿入可能な高さに配置された準備室と、
前記準備室の上方に配置され、内部が前記準備室の内部と連通されたアニール室と、
前記準備室の内部と前記アニール室の内部の間を移動可能に配置され、前記準備室内に位置するときに、前記ハンド上に載置された前記処理対象物が移載される試料ステージと、
前記試料ステージを、前記準備室から前記アニール室に上昇させる昇降機構と、
前記アニール室内に配置され、前記準備室から前記アニール室内に到着した前記試料ステージ上の前記処理対象物の周囲を取り囲む発熱構造体と、
前記アニール室の周囲に設けられ、前記発熱構造体に電流を誘起させる誘導加熱コイルと、
前記アニール室内に熱媒体ガスを供給する熱媒体ガス供給装置とを有する処理装置。
【請求項2】
前記加熱装置は、前記処理対象物を真空雰囲気中で加熱し、前記処理対象物上に配置された有機膜を焼成して炭素皮膜を形成する請求項1記載の処理装置。
【請求項3】
前記試料ステージと共に昇降移動し、前記試料ステージが前記発熱構造体に取り囲まれる位置に上昇したときに、前記アニール室の開口を閉じ、前記アニール室内と前記準備室内を分離させる底板を有する請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の処理装置。
【請求項4】
前記試料ステージの底面には、石英又はグラファイトの断熱部材を介してロッド上端が取り付けられ、
前記昇降機構は前記ロッドを昇降移動させる請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の処理装置。
【請求項5】
SiC基板にソース領域とドレイン領域を有するMOSトランジスタを形成するトランジスタ製造方法であって、
内部表面に前記ソース領域と前記ドレイン領域が形成され、前記ソース領域と前記ドレイン領域が主表面に露出する前記SiC基板の、前記主表面に有機膜を形成し、
前記SiC基板を真空雰囲気中で加熱し、前記有機膜を焼成して炭素皮膜を形成し、
前記炭素皮膜が形成された前記SiC基板を、周囲の真空雰囲気を維持したまま、発熱構造体の内部に配置し、熱媒体ガス雰囲気中で前記発熱構造体を誘導加熱し、前記SiC基板を1800℃以上2000℃以下の温度範囲に昇温させるトランジスタ製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−283143(P2008−283143A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−128492(P2007−128492)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】