説明

処理装置、及び制御プログラム

【課題】トナー収容部が空であると判定されそうになっている状況下での画質低下を抑制する。
【解決手段】画像形成システム1は、トナー濃度センサ48が取得した現像器44内のトナー濃度と予め設定したトナー空状態判定用しきい値との比較結果を基に、トナーボトル45内のトナーが空か否かを判定するトナーエンプティ判定部24と、画像データ中のトナーにより画像が形成される領域の画素数を累積する画像ドット計測部21及び画像ドット累積値格納部22と、画像ドット累積値格納部22の画素数の累積値が、トナーボトル45のトナーの当初収容量で印刷媒体に画像形成したときの画素数の累積値相当として予め設定した第1ドット判定用しきい値よりも大きいとき、トナー空状態判定用しきい値をトナーが空になっていると判定し易くなる方向に補正するトナーエンプティ判定用しきい値補正部23と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トナー貯留部のトナー残量が所定量以下になったとき、現像装置内のトナー濃度の制御値を通常よりも高くすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−156882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、トナー収容部が空であると判定されそうになっている状況下での画質低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、トナー収容部からトナーが供給されて感光体上に画像を形成する現像部内のトナー濃度を取得する取得手段が取得したトナー濃度と予め設定したトナー空状態判定用しきい値との比較結果を基に、前記トナー収容部内のトナーが空か否かを判定する判定手段と、画像データ中のトナーにより画像が形成される領域の画素数を累積する累積手段と、前記累積手段の画素数の累積値が、前記トナー収容部のトナーの当初収容量で印刷媒体に画像形成したときの画素数の累積値相当として予め設定した第1画素数累積値判定用しきい値よりも大きいとき、前記トナー空状態判定用しきい値をトナーが空になっていると判定し易くなる方向に補正する第1補正手段と、を有する処理装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1の記載において、前記第1補正手段は、前記累積手段の画像数の累積値が多いほど前記トナー空状態判定用しきい値をトナーが空になっていると判定し易くなるように変化させる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2の記載において、前記累積手段の画素数の累積値が、前記第1画素数累積値判定用しきい値よりも小さい予め設定した第2画素数累積値判定用しきい値よりも大きく、かつ前記第1画素数累積値判定用しきい値以下のとき、前記予め設定したトナー空状態判定用しきい値をトナーが空になっていると判定し難くなる方向に補正する第2補正手段をさらに有する。
【0007】
請求項4に係る発明は、請求項3の記載において、前記判定手段が前記第1補正手段又は前記第2補正手段が補正した前記トナー空状態判定用しきい値を用いて前記トナー収容部内のトナーが空になっていると判定したとき、前記トナー収容部から前記現像部にトナーを供給するトナー供給手段をさらに有する。
請求項5に係る発明は、請求項4の記載において、前記第1トナー供給手段は、前記第2補正手段が補正した前記トナー空状態判定用しきい値を用いて前記トナー収容部内のトナーが空になっていると判定したとき、前記第1補正手段が補正した前記トナー空状態判定用しきい値を用いて前記トナー収容部内のトナーが空になっていると判定したときよりもトナーの供給時間を長くする。
【0008】
請求項6に係る発明は、請求項3乃至5の何れか1項の記載において、前記第2補正手段は、前記累積手段の画像数の累積値が多いほど前記トナー空状態判定用しきい値をトナーが空になっていると判定し難くなるように変化させる。
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6の何れか1項の記載において、前記取得手段が取得したトナー濃度が前記トナー空状態判定用しきい値よりも大きい値として予め設定したトナー供給判定用しきい値よりも小さくならないように前記トナー収容部から前記現像部にトナーを供給しており、前記第1補正手段は、前記トナー空状態判定用しきい値を前記トナー供給判定用しきい値以上の値に補正する。
【0009】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7の何れか1項の記載において、前記判定手段が前記トナー収容部内のトナーが空になっていると判定していなく、かつ前記累積手段の画素数の累積値が、前記第1画素数累積値判定用しきい値よりも小さい予め設定した第2画素数累積値判定用しきい値よりも大きく、かつ前記第1画素数累積値判定用しきい値以下のとき、前記トナー収容部から前記現像部にトナーを供給する第2トナー供給手段をさらに有する。
【0010】
請求項9に係る発明は、画像データ中のトナーにより画像が形成される領域の画素数を累積する累積ステップと、前記累積ステップの画素数の累積値が、トナー収容部のトナーの当初収容量で印刷媒体に画像形成したときの画素数の累積値相当として予め設定した第1画素数累積値判定用しきい値よりも大きいとき、予め設定したトナー空状態判定用しきい値をトナーが空になっていると判定し易くなる方向に補正する補正ステップと、トナー収容部からトナーが供給されて感光体上に画像を形成する現像部内のトナー濃度と前記補正ステップで補正したトナー空状態判定用しきい値との比較結果を基に、前記トナー収容部内のトナーが空か否かを判定する判定ステップと、をコンピュータに実行させるコンピュータに読取可能な制御プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、9に係る発明によれば、トナー収容部が空であると判定されそうになっている状況下での画質低下を抑制できる。
請求項2に係る発明によれば、トナー収容部が空になっていると判定されそうになっているときに、トナー収容部に残っているトナーを可能な限り現像部に供給できる。
請求項3に係る発明によれば、トナー収容部が空になっていると判定されそうになっているときに、トナー収容部に残っているトナーを可能な限り現像部に供給できる
請求項4に係る発明によれば、トナー収容部が空になっていると判定されたとき、トナー収容部に残っているトナーを現像部に強制的に供給できる。
【0012】
請求項5に係る発明によれば、トナー収容部が空になっていると判定されたときのトナー収容部から現像部へのトナー供給量を現像部のトナー量が多いほど少なくできる。
請求項6に係る発明によれば、トナー収容部が空になっていると判定されそうになっているときに、画像数の累積値が多くなるに従いトナー収容部に残っているトナーの現像部への供給量を多くできる。
請求項7に係る発明によれば、トナーが空になっているとの判定結果に強制的に導くことができるようになる。
請求項8に係る発明によれば、トナー収容部が空になっていると判定されそうになっているときに、トナー収容部に残っているトナーを現像部に強制的に供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の画像形成システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】画像形成システムの画像形成装置の構成の一例を示す図である。
【図3】制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】トナーエンプティ判定用しきい値補正部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】トナーエンプティ判定部及び装置制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】公称ライフ付近で現像器内のトナー濃度が低下してトナーエンプティであると判定される場合を説明する図である。
【図7】公称ライフ付近で現像器内のトナー濃度が低下してトナーエンプティであると判定される場合を説明する図であり、画像ドット数累積値に応じて第2設定用しきい値や第3設定用しきい値を変化させている場合の図である。
【図8】公称ライフ付近で現像器内のトナー濃度が低下してトナーエンプティであると判定される場合を説明する図であり、画像ドット数累積値に応じて第2設定用しきい値や第3設定用しきい値を変化させている場合の他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態は、画像形成システムである。
図1は、画像形成システム1の構成の一例を示す。
図1に示すように、画像形成システム1は、制御装置10及び画像形成装置30を有している。
制御装置10は、画像形成装置30を制御する。例えば、制御装置10はサーバである。
【0015】
制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、プログラム等記憶部12、一時記憶部13、及び画像処理部14を有している。
プログラム等記憶部12は、電源OFF時にもデータを保持可能な記憶部である。プログラム等記憶部12には、CPU11が各種の処理に使用するプログラム12aや固定データ等が記憶されている。プログラム等記憶部12の好適な例としては、ROM(Read-Only Memory)が挙げられる。また、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性記憶部も挙げられるが、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0016】
プログラム12aは、制御装置10の出荷時当初からプログラム等記憶部12に記憶されているものとすることもできるが、出荷後に使用者等の作業によりCD−ROM等の記憶媒体から読み込まれてプログラム等記憶部12に記憶されたものとすることもできる。
一時記憶部13は、データが書き込み可能となっておりデータを一時的に保持する記憶部である。一時記憶部13の好適な例としては、RAM(Random Access Memory)があるが、これに限定されないことは言うまでもない。
【0017】
CPU11は、プログラム等記憶部12からプログラム12a等を必要に応じて一時記憶部13に読み出して各種の処理を行う。
画像処理部14は、制御装置10に入力される画像データに対して予め設定されている画像処理を施す。例えば、入力画像データは、外部装置(例えばサーバ)からのデータであったり、画像読み取り装置により取得したデータであったりする。
【0018】
画像形成装置30は、印刷媒体である印刷用紙に画像を形成する。
図2は、画像形成装置30の構成の一例を示す。
図2に示すように、画像形成装置30は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置である。この画像形成装置30は、駆動制御部31、画像制御部32、画像形成ユニット40Y,40M,40C,40K、一次転写部60、二次転写部70、及び定着装置80を有している。
【0019】
画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kは、電子写真方式により各色成分のトナー像を形成する。
各画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kは、感光体(像保持体)41を有しており、感光体41の周囲であって矢印Aとして示す回転方向に、帯電器42、レーザ露光器43、現像器44、及び感光体クリーナ49をその順番で有している。
【0020】
帯電器42は、感光体41を帯電させ、レーザ露光器43は、例えば半導体レーザから出射された露光ビームを感光体41に照射して感光体41上に静電潜像を書込む。
現像器44は、トナー供給のための駆動部(トナー供給ロール等のトナー供給部)46が駆動されてトナーボトル(トナーカートリッジ)45内の収容されているトナーが供給される。現像器44では、現像ロール47によりトナーが感光体41上に搬送されトナーにより静電潜像が可視像化される。また、現像器44は、現像剤の透磁率を検出することによりトナー濃度を検出するトナー濃度センサ(ATC(Automatic Toner-concentration Control)センサ)48を備えている。
【0021】
感光体クリーナ49は、感光体41上の残留トナーを除去する。
一次転写部60は、中間転写ベルト61を挟んで感光体41に対向して配置される複数の一次転写ロール62を含んで構成されている。中間転写ベルト61は、張架ロール63や定速性に優れたモータ(図示せず)などにより駆動される駆動ロール64などの各種ロールによって矢印Bとして示す回転方向に所定の速度で循環駆動(回動)されている。
【0022】
この一次転写部60は、各画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kにより形成された各色成分トナー像を各一次転写ロール62により中間転写ベルト61に順次転写(一次転写)する。この結果、中間転写ベルト61上には、重畳されたトナー像が形成される。
また、一次転写部60は、画像濃度センサ(ADC(Auto Density Control)センサ)65を備えており、画像濃度センサ65により中間転写ベルト61に形成した階調補正用の各階調のパッチ画像の濃度(階調レベル)が検出される。
【0023】
二次転写部70は、中間転写ベルト61上に転写された重畳トナー画像を印刷用紙に一括転写(二次転写)する。この二次転写部70は、中間転写ベルト61のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール71と、バックアップロール72とを含んで構成されている。二次転写ロール71は、中間転写ベルト61を挟んでバックアップロール72に圧接配置されている。さらに二次転写ロール71は接地されてバックアップロール72との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部70は、用紙搬送ロール73により用紙搬送路74上に搬送される印刷用紙上にトナー像を二次転写する。そして、二次転写後の中間転写ベルト61の外周面上に残存しているトナーは、中間転写クリーナ(ベルトクリーナ部)75により除去・回収される。
【0024】
定着装置80は、二次転写された画像を印刷用紙上に定着させる。
駆動制御部31は、各装置又は各部の駆動を制御する。また、画像制御部32は、画像形成に係る制御を行う。
以上のような構成により、画像形成装置30では、制御装置10からの画像データ(各種の処理が施された画像データ)を基に、駆動制御部31及び画像制御部32により画像形成ユニット40Y,40M,40C,40K等の各部を制御する。
【0025】
これにより、各画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kでは、感光体41は、帯電器42によって表面が帯電された後、レーザ露光器43からの露光ビームの照射により表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器44によって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。感光体41上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト61上に一次転写される。
【0026】
トナー像が中間転写ベルト61の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト61は移動してトナー像が二次転写部70に搬送される。二次転写部70では、二次転写ロール71が中間転写ベルト61を介してバックアップロール72に押圧される。このとき、タイミングを合わせて用紙搬送ロール73等により搬送されてきた印刷用紙は、中間転写ベルト61と二次転写ロール71との間に挟み込まれる。これにより、中間転写ベルト61上に担持された未定着トナー像は、印刷用紙上に一括して静電転写される。その後、トナー像が静電転写された印刷用紙は、二次転写ロール71によって中間転写ベルト61から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール71の用紙搬送方向下流側に設けられた定着装置80に搬送される。そして、印刷用紙上に二次転写された画像は、定着装置80にて定着される。
【0027】
画像形成装置30は、このように印刷を行うとともに、トナー濃度センサ48により検出したトナー濃度を基に、現像器44内のトナー濃度が目標のトナー濃度(トナー供給判定用しきい値)に維持されるように、駆動部46を駆動してトナーボトル45から現像器44にトナーを供給する。これにより、画像形成装置30は、現像器44内のトナー濃度が目標のトナー濃度を下回らないように、トナーボトル45から現像器44にトナーを供給する。例えば、目標のトナー濃度は、キャリアとトナーの重量比率(トナー質量/(キャリア質量+トナー質量))で8%に設定されている。
【0028】
なお、画像形成装置30は、カラープリンタを構成しているが、モノクロプリンタとして構成されていても良い。
また、画像形成装置30は、感光体41や中間転写ベルト61に定期的にパッチ画像を形成し、形成したパッチ画像を画像濃度センサにより検出した検出結果を基に、現像器44内のトナー濃度を予測するようにしても良い。
【0029】
以上のような構成の画像形成システム1では、トナーボトル45が画像形成装置30に着脱可能に装着されており、使用者は、トナーボトル45に空になったときに、トナーが充填されている新しいトナーボトル45に交換できるようになっている。
そして、画像形成システム1では、トナーボトル45が空になったことを使用者が判断できるように、トナーエンプティ(トナーが空になったこと)を判定し、その判定結果を基に報知等を行うことを可能とするトナーエンプティ判定処理を行っている。
【0030】
そのトナーエンプティ判定処理としては、トナー濃度センサ48により現像器44内のトナー濃度が目標の基準値(トナーエンプティの判定のためのしきい値)を下回ったことを検出したときに、トナーボトル45から現像器44にトナーが供給されていないとして(例えば予め設定した量が供給されていないとして)、トナーボトル45がトナーエンプティであると判定することが考えられる。又は、トナーエンプティ判定処理では、画像濃度センサにより検出した検出結果を基に、現像器44内のトナー濃度が目標の基準値を下回ったことを予測したときに、トナーボトル45から現像器44にトナーが供給されていないとして(例えば予め設定した量が供給されていないとして)、トナーボトル45がトナーエンプティであると判定することが考えられる。
【0031】
このようなトナーエンプティ判定処理によりトナーエンプティであると判定される過程として、次のようなものが挙げられる。
トナーボトル45内のトナーは、現像器44で消費された分が駆動部46により現像器44に供給される。この際、トナーボトル45内にトナーが十分残っているときは時間当たりのトナー供給量(トナー搬送量)は一定である。一方、トナーボトル45内のトナーが少なくなってくると時間当たりのトナー供給量が減少してくる。そのため、トナーボトル45内のトナーが少なくなってくると、トナー供給動作が行われるものの、現像器44内のトナー濃度は徐々に低下してくる。このような場合に、トナーエンプティ判定処理では、現像器44内のトナー濃度が目標の基準値を下回ったとき、トナーエンプティであると判定する。
【0032】
しかし、トナーエンプティであると判定される直前では、時間当たりのトナー搬送量が不安定であり、トナー搬送量が変動するようになる。よって、あるときには急にトナー搬送量が回復して現像器44内のトナー濃度が上昇する場合がある。
また、特開2010−156882号公報(特許文献1)でも説明されているが、現像器44内の現像剤の攪拌手段の駆動(例えばスクリューオーガの回転)等により、現像器44に設けられているトナー濃度センサ48の出力値は変動する。そのため、トナーエンプティを高い精度で判定するには、トナー濃度センサ48の出力値のそのような変動を考慮して目標の基準値をある程度小さく設定しておく必要がある。このような結果、トナーエンプティであると判定したときには現像器44内のトナー濃度はかなり低下しているため、画像濃度も通常時に比べて低下してしまう。すなわち、トナーエンプティであると判定したときもそうであるが、トナーエンプティであると判定される直前も、画像濃度が低下してしまう(画質が低下してしまう)。
【0033】
なお、トナーエンプティであると判定したときに現像器44内のトナー濃度が低下し過ぎてしまうのを防止するために、目標の基準値を高めに設定することも考えられる。しかし、この場合、トナー濃度センサ48の出力値の変動により、トナーエンプティを誤判定してしまう恐れがある。
また、特開2010−156882号公報(特許文献1)のようにトナー濃度の制御値を通常よりも高くしても、制御値程度にトナー濃度を高くできなければ、画像濃度を低下させてしまう恐れがある。さらにこのような場合に不安定なまま制御値にトナー濃度を上げることができても、画像濃度が変動してしまう恐れがある。
【0034】
これに対して、本実施形態では、以下のような構成及び処理により、トナーエンプティと判定されそうになっている状況下での画質低下を抑制している。
図3は、制御装置10の構成を示す。
図3に示すように、制御装置10は、画像ドット計測部21、画像ドット累積値格納部22、トナーエンプティ判定用しきい値補正部23、トナーエンプティ判定部24、及び装置制御部25を有している。
【0035】
画像ドット計測部21は、画像データ中の画像密度をなす画像のドット数(画像データ中のトナーにより画像が形成される領域の画素数)を計測する。例えば、画像ドット計測部21は、新たなトナーボトル45が装着されたときには計測値をリセットする。画像ドット累積値格納部22は、画像ドット計測部21が計測した画像ドット数の累積値を格納する。例えば、画像ドット累積値格納部22はカウンタや記憶部である。トナーエンプティ判定用しきい値補正部23は、画像ドット累積値格納部22に格納されている画像ドット数累積値を基に、トナーボトル45内のトナーエンプティ(トナーが空になったこと)を判定するためのトナーエンプティ判定用しきい値を補正する。トナーエンプティ判定部24は、トナー濃度とトナーエンプティ判定用しきい値との比較結果を基にトナーエンプティを判定する。装置制御部25は、トナーエンプティ判定部24の判定結果に応じた制御信号を画像形成装置30に出力する。
【0036】
例えば、制御装置10は、CPU11の演算機能により画像ドット計測部21、トナーエンプティ判定用しきい値補正部23、トナーエンプティ判定部24、及び装置制御部25を実現している。
図4及び図5は、トナーエンプティ判定のための処理手順の一例を示す。図4は、トナーエンプティ判定用しきい値補正部23による処理手順の一例を示すフローチャートである。図5は、トナーエンプティ判定部24及び装置制御部25による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0037】
この処理では、トナーボトル45には、当初20000枚分(公称ライフ)に相当するトナーが充填されていることを前提としている。
なお、画像形成装置30がカラープリンタとして構成されている場合には、この図4及び図5の処理は各色毎になされる処理となる。
図4に示すように、先ずステップS1の処理において、トナーエンプティ判定用しきい値補正部23は、画像ドット累積値格納部22に格納されている画像ドット数累積値を取得する。
【0038】
続くステップS2において、トナーエンプティ判定用しきい値補正部23は、前記ステップS1で取得した画像ドット数累積値が第2ドット判定用しきい値よりも大きいか否かを判定する。第2ドット判定用しきい値は、20000枚分よりも少ない枚数分、例えば19500枚分の画像ドット数累積値相当である。トナーエンプティ判定用しきい値補正部23は、画像ドット数累積値が第2ドット判定用しきい値よりも大きいと判定すると(画像ドット数累積値>第2ドット判定用しきい値)、ステップS3に進む。また、トナーエンプティ判定用しきい値補正部23は、画像ドット数累積値が第2ドット判定用しきい値以下と判定すると(画像ドット数累積値≦第2ドット判定用しきい値)、ステップS4に進む。
【0039】
ステップS3では、トナーエンプティ判定用しきい値補正部23は、前記ステップS1で取得した画像ドット数累積値が第1ドット判定用しきい値よりも大きいか否かを判定する。
ここで、第1ドット判定用しきい値は、第2ドット判定用しきい値よりも大きい値である。具体的には、第1ドット判定用しきい値は、20000枚分の画像ドット数累積値相当、すなわち、公称ライフに対応するしきい値である。つまり、第1ドット判定用しきい値は、トナーボトル45内のトナーの当初収容量で印刷媒体に画像形成したときの画素数の累積値相当として予め設定したしきい値である。
【0040】
トナーエンプティ判定用しきい値補正部23は、画像ドット数累積値が第1ドット判定用しきい値よりも大きいと判定すると(画像ドット数累積値>第1ドット判定用しきい値)、ステップS5に進む。また、トナーエンプティ判定部24は、画像ドット数累積値が第1ドット判定用しきい値以下と判定すると(画像ドット数累積値≦第1ドット判定用しきい値)、ステップS6に進む。
【0041】
ステップS4では、トナーエンプティ判定用しきい値補正部23は、トナーエンプティ判定用しきい値を第1設定用しきい値に設定する。そして、トナーエンプティ判定用しきい値補正部23は、該図4に示す処理を終了する。
ここで、トナーエンプティ判定用しきい値は、トナー濃度を対比してトナーエンプティを判定するためのしきい値である。すなわち、トナーエンプティ判定用しきい値を大きくすると、トナーエンプティと判定され易くなる。また、第1設定用しきい値は、実験値、経験値、又は理論値を基に予め設定されている。例えば、第1設定用しきい値は、キャリアとトナーの重量比率で4%に設定されている。
【0042】
ステップS5では、トナーエンプティ判定用しきい値補正部23は、トナーエンプティ判定用しきい値を第2設定用しきい値に設定する。そして、トナーエンプティ判定用しきい値補正部23は、該図4に示す処理を終了する。
ここで、第2設定用しきい値は、第1設定用しきい値よりも大きい値である。第2設定用しきい値は、実験値、経験値、又は理論値を基に予め設定されている。例えば、第2設定用しきい値は、キャリアとトナーの重量比率で6%に設定されている。
【0043】
ステップS6では、トナーエンプティ判定用しきい値補正部23は、トナーエンプティ判定用しきい値を第3設定用しきい値に設定する。そして、トナーエンプティ判定用しきい値補正部23は、該図4に示す処理を終了する。
ここで、第3設定用しきい値は、第1設定用しきい値よりも小さい値である。第3設定用しきい値は、実験値、経験値、又は理論値を基に予め設定されている。例えば、第3設定用しきい値は、キャリアとトナーの重量比率で3%に設定されている。
【0044】
なお、この図4に示す処理は、後述の図5に示す処理でトナーエンプティであると判定されるまで実行される処理である。すなわち、この図4に示す処理は、後述の図5に示す処理との並列処理になる。
図5では、先ずステップS21において、トナーエンプティ判定部24は、トナー濃度センサ48により検出されたトナー濃度が前記図4で設定したトナーエンプティ判定用しきい値よりも小さいか否かを判定する。トナーエンプティ判定部24は、トナー濃度がトナーエンプティ判定用しきい値よりも小さいと判定すると(トナー濃度<トナーエンプティ判定用しきい値)、トナーエンプティであるとして、ステップS22に進む。また、トナーエンプティ判定部24は、トナー濃度がトナーエンプティ判定用しきい値以上と判定すると(トナー濃度≧トナーエンプティ判定用しきい値)、ステップS28に進む。
【0045】
ここで、トナー濃度は、トナー濃度センサ48により検出された値、又は画像濃度センサにより予測された値である。
ステップS22では、装置制御部25は、トナーエンプティ判定用しきい値が第1設定用しきい値か否かを判定する。装置制御部25は、トナーエンプティ判定用しきい値が第1設定用しきい値であると判定すると、ステップS26に進む。また、装置制御部25は、トナーエンプティ判定用しきい値が第1設定用しきい値でない、すなわち、トナーエンプティ判定用しきい値が第2又は第3設定用しきい値の何れかであると判定すると、ステップS23に進む。
【0046】
ステップS23では、装置制御部25は、トナーエンプティ判定用しきい値が第2設定用しきい値か否かを判定する。装置制御部25は、トナーエンプティ判定用しきい値が第2設定用しきい値であると判定すると、ステップS25に進む。また、装置制御部25は、トナーエンプティ判定用しきい値が第2設定用しきい値でない、すなわち、トナーエンプティ判定用しきい値が第3設定用しきい値であると判定すると、ステップS24に進む。
【0047】
ステップS24では、装置制御部25は、予め設定した時間、例えば10秒間トナーを供給させるための制御信号を画像形成装置30(駆動制御部31)に出力する。そして、装置制御部25は、ステップS26に進む。このステップS24の処理により、駆動部46は、10秒間トナーを供給するように駆動するようになる。
ステップS25では、装置制御部25は、前記ステップS24による時間よりも短い時間、例えば5秒間トナーを供給させるための制御信号を画像形成装置30(駆動制御部31)に出力する。そして、装置制御部25は、ステップS26に進む。このステップS25の処理により、駆動部46は、5秒間トナーを供給するように駆動するようになる。
【0048】
ステップS26では、装置制御部25は、画像形成装置30においてトナーボトル45の交換の促す報知を行うための制御信号を画像形成装置30に出力する。そして、装置制御部25は、ステップS27に進む。このステップS26の処理により、画像形成装置30では、例えば、操作パネル等に「トナーカートリッジ交換」の表示を行う。
続くステップS27において、装置制御部25は、画像形成装置30に印刷動作を停止させる制御信号を画像形成装置30に出力する。そして、制御装置10は、該図5に示す処理を終了する。このステップS27の処理により、画像形成装置30では、印刷動作を停止する。
【0049】
一方、前記ステップS21でトナーエンプティであると判定されない場合に進むステップS28では、装置制御部25は、トナー濃度がトナーエンプティ判定用しきい値である第1設定用しきい値より大きくかつ第2設定用しきい値以下か否かを判定する。装置制御部25は、トナー濃度がトナーエンプティ判定用しきい値である第1設定用しきい値より大きくかつ第2設定用しきい値以下であると判定すると(第2設定用しきい値≧トナー濃度>第1設定用しきい値)、ステップS29に進む。また、装置制御部25は、そうでないと判定すると、前記ステップS21から再び処理を開始する。
【0050】
ステップS29では、装置制御部25は、予め設定した時間、例えば5秒間トナーを供給させるための制御信号を画像形成装置30(駆動制御部31)に出力する。そして、制御装置10は、前記ステップS21から再び処理を開始する。このステップS29の処理により、駆動部46は、5秒間トナーを供給するように駆動するようになる。また、駆動部46は、予め設定したタイミングでこのような5秒間のトナー供給を行うようにしても良い。例えば、駆動部46は、1つの印刷要求が終了する度、又は予め設定した時間間隔で行うパッチ画像の形成時点でトナー供給を行うようにする。
【0051】
以上のような図4及び図5の処理により、画像形成システム1では、画像ドット数累積値が第2ドット判定用しきい値以下の場合(画像ドット数累積値≦第2ドット判定用しきい値)、トナーエンプティ判定用しきい値を第1設定用しきい値に設定する。また、画像形成システム1では、画像ドット数累積値が第2ドット判定用しきい値よりも大きくかつ第1ドット判定用しきい値以下の場合(第1ドット判定用しきい値≧画像ドット数累積値>第2ドット判定用しきい値)、トナーエンプティ判定用しきい値を第3設定用しきい値に設定する。また、画像形成システム1では、画像ドット数累積値が第2ドット判定用しきい値よりも大きい場合(画像ドット数累積値>第2ドット判定用しきい値)、トナーエンプティ判定用しきい値を第2設定用しきい値に設定する。
【0052】
そして、画像形成システム1では、トナーエンプティ判定用しきい値を第2設定用しきい値に設定している場合においてトナーエンプティであると判定したとき(トナー濃度<第2設定用しきい値)、すなわち、画像ドット数累積値が第1ドット判定用しきい値よりも大きい領域でトナーエンプティであると判定すると、駆動部46を駆動してトナーボトル45から現像器44にトナーを5秒間強制的に供給し、「トナーカートリッジ交換」等の表示をした後、印刷動作を強制的に停止させる。
【0053】
これにより、画像形成システム1では、画像ドット数累積値にかかわらずトナーエンプティ判定用しきい値を維持するような場合と比較して、画像ドット数累積値が第1ドット判定用しきい値よりも大きくなると、すなわち公称ライフ20000枚以降、より少ない印刷枚数でトナーエンプティであると判定するようになる。
このようにすることで、画像形成システム1では、公称ライフ20000枚以降、より少ない印刷枚数でトナーボトル45の交換を促し、トナーエンプティであると判定されそうになっている状況下での画質低下を抑制している。
【0054】
ここで、印刷可能枚数のばらつき等を考慮してトナーボトル45にトナーが余分に充填されている場合がある。このような場合にも、画像形成システム1では、トナーエンプティであると判定し易くしたことで、余分に充填するトナー量を少なくしている。この結果、画像形成システム1では、印刷可能枚数のばらつきを少なくしている。
また、トナーエンプティ判定用しきい値を第1設定用しきい値よりも大きい第2設定用しきい値に設定した場合、トナーエンプティであると判定したときのトナーボトル45内のトナー残量が多くなってしまうことも考えられる。しかし、通常、トナーボトル45内へのトナー充填量は、何度もテストする等して適正に決定された値であるので、公称ライフに達したときには(画像ドット数累積値が第1ドット判定用しきい値に達したときには)、トナーボトル45内のトナーはほぼ使い切られている状態にある。さらに、第2設定用しきい値の設定をあいまいなタイミングで行うのではなく、公称ライフを基準としたタイミングで行っているので、トナーエンプティであると判定したときのトナー残量の増加量は、従来と比べてもばらつき程度の許容内に収まる。
【0055】
また、画像形成システム1では、トナーエンプティ判定用しきい値を第1設定用しきい値よりも大きい第2設定用しきい値に設定した結果、トナーエンプティ判定用しきい値を第1設定用しきい値に設定しているときよりもトナーエンプティであると判定したときの現像器44内のトナー濃度の低下が抑えられている。
これにより、画像形成システム1では、交換した新たなトナーボトル45から現像器44内に補給するトナー濃度低下補償分のトナー量が少なくなる。そして、このようにトナー消費を少なくすることは、トナーエンプティの判定のばらつき縮小に寄与する。
【0056】
また、画像形成システム1では、トナーエンプティ判定用しきい値を第3設定用しきい値に設定している場合においてトナーエンプティであると判定したとき(トナー濃度<第3設定用しきい値)、すなわち、画像ドット数累積値が第2ドット判定用しきい値から第1ドット判定用しきい値の範囲内でトナーエンプティであると判定すると、駆動部46を駆動してトナーボトル45から現像器44にトナーを10秒間強制的に供給し、「トナーカートリッジ交換」等の表示をした後、印刷動作を強制的に停止させる。
【0057】
これにより、画像形成システム1では、トナーエンプティ判定用しきい値を第3設定用しきい値に設定してトナーエンプティであると判定し難くすることで、トナーエンプティであると判定されそうになっているときに、トナーボトル45内に残っているトナーを可能な限り現像器44に供給している。
ここで、前述のように、トナーエンプティ判定用しきい値を第2設定用しきい値に設定してトナーエンプティであると判定し易くし、トナーボトル45内に当初充填するトナー量(具体的にはばらつき補償分のトナー量)を抑えている。しかし、このように当初充填するトナー量を切り詰める結果、トナーボトル45が公称ライフに僅かではあるが達しない場合も想定される。このような場合でも、画像形成システム1では、トナーエンプティであると判定し難くしてトナーボトル45内に残っているトナーを可能な限り現像器44に供給することで、トナーボトル45の使用を公称ライフまで延ばしている。この結果、画像形成システム1では、トナーエンプティ判定枚数のばらつきをより小さくし、当初充填するトナー量を最小限にしている。
【0058】
また、前述のように、画像形成システム1では、トナーエンプティ判定用しきい値を第2設定用しきい値又は第3設定用しきい値に設定している場合においてトナーエンプティであると判定したとき、駆動部46を駆動してトナーボトル45から現像器44にトナーを予め設定した時間強制的に供給している。
これにより、画像形成システム1では、トナーボトル45内に残っているトナーを現像器44に強制的に供給し、トナーエンプティである判定したときのトナーボトル45内のトナーをほぼ完全に使い切っている。このようにすることで、画像形成システム1では、交換したトナーボトル45から補給するトナー濃度低下補償分のトナー消費が少なくなる。そして、このようにトナー消費を少なくすることは、トナーエンプティの判定のばらつき縮小に寄与する。一方、トナーエンプティであると判定されそうな状況下では、トナーボトル45内の残トナー量はばらつき程度の量であるので、トナーボトル45から現像器44に強制的にトナーを供給したとしても現像器44内のトナー濃度が上昇しすぎてしまうことはない。
【0059】
また、前述のように、画像形成システム1では、トナーエンプティ判定用しきい値を第2設定用しきい値に設定している場合においてトナーエンプティであると判定したとき(強制的なトナー供給時間=5秒)には、トナーエンプティ判定用しきい値を第3設定用しきい値に設定している場合においてトナーエンプティであると判定したとき(強制的なトナー供給時間=10秒)よりも強制的に行うトナー供給時間を短くしている。
【0060】
これにより、画像形成システム1では、トナーエンプティであると判定されたときのトナーボトル45から現像器44へのトナー供給量を現像器44内のトナー量が多いほど少なくしている。又は、画像形成システム1では、トナーエンプティ判定用しきい値を第3設定用しきい値に設定している場合にトナーエンプティであると判定したとき、トナーボトル45内のトナー残量がそれほど多くはない状況下にある。このような場合に、画像形成システム1では、トナー供給時間を長くすることで、トナーボトル45内の僅かに残っているトナーをかき出して現像器44に供給している。
【0061】
以上のような強制的なトナーの供給動作により、画像形成システム1では、トナーエンプティであると判定されたときにトナーボトル45内に残るトナーを可能な限り現像器44に供給するとともに、現像器44内のトナー量が多くなり過ぎないようにしている。
また、画像形成システム1では、トナーエンプティ判定用しきい値を第1設定用しきい値に設定している場合においてトナーエンプティであると判定したとき(トナー濃度<第1設定用しきい値)、すなわち、画像ドット数累積値が第2ドット判定用しきい値以下であるときには、前述のような強制的なトナー供給、表示、及び強制的な印刷動作の停止を実施することなく、通常の印刷動作を行う。
【0062】
このように、画像形成システム1では、通常時(トナー濃度<第1設定用しきい値)は、トナーエンプティ判定用しきい値を従来と同様の第1設定用しきい値に設定しているので、トナーエンプティであると判定される可能性が低いときに、トナー濃度センサ48の出力値の変動によりトナーエンプティを誤判定してしまうようなこともない。
また、画像形成システム1では、トナーエンプティであるとの判定がなされない場合において、トナー濃度がトナーエンプティ判定用しきい値である第1設定用しきい値より大きくかつ第2設定用しきい値以下のとき、駆動部46を駆動してトナーボトル45から現像器44にトナーを5秒間強制的に供給する。
【0063】
これにより、画像形成システム1では、画像濃度がトナーエンプティ判定用しきい値である第2設定用しきい値を下回ると、強制的なトナー供給(強制的なトナー供給時間=5秒)を繰り返しながら印刷を実行する。このようにすることで、画像形成システム1では、トナーエンプティであると判定されそうになっているときに、トナーボトル45内の僅かなトナーをかき出して現像器44内のトナー濃度の低下を抑制している。
【0064】
ここで、以上のような処理の一例を図6を用いて説明する。
図6は、公称ライフ付近で現像器44内のトナー濃度が低下してトナーエンプティであると判定される場合を説明する図である。ここで、画像ドット数累積値にかかわらずトナーエンプティ判定用しきい値が第1設定用しきい値に設定されている場合を本実施形態の比較例としている。
【0065】
図6の2つの傾向が示すように、公称ライフ付近で現像器44内のトナー濃度が低下するとき、トナー濃度の減少割合にばらつきが見られる。
このような場合において、本実施形態では、トナー濃度の減少割合が大きい場合には、公称ライフの直前でトナーエンプティ判定用しきい値を第3設定用しきい値に設定しているために、トナーエンプティであると判定し難くなる。その一方、本実施形態では、トナー濃度の減少割合が小さい場合でも、公称ライフ以降でトナーエンプティ判定用しきい値を第2設定用しきい値に設定しているために、トナーエンプティであると判定し易くなる。
【0066】
これに対して、比較例では、トナー濃度の減少割合が大きい場合には、公称ライフの直前でトナーエンプティ判定用しきい値が第1設定用しきい値のままであるために、トナーエンプティであると判定し易くなる。また、比較例では、トナー濃度の減少割合が小さい場合には、公称ライフ以降でトナーエンプティ判定用しきい値が第1設定用しきい値に設定のままであるためにトナーエンプティであると判定し難くなる。
【0067】
以上より、本実施形態では、トナー濃度の減少割合にばらつきがある場合でも、トナーエンプティであると判定するばらつき範囲を狭くすることを可能にしている。この結果、本実施形態では、印刷可能枚数のばらつきを少なくしている。
なお、本実施形態では、トナーエンプティ判定部24は、例えば、判定手段を実現している。また、画像ドット計測部21及び画像ドット累積値格納部22は、例えば、累積手段を実現している。また、トナーエンプティ判定用しきい値補正部23は、例えば、第1補正手段及び第2補正手段を実現している。また、装置制御部25は、例えば、第1トナー供給手段及び第2トナー供給手段を実現している。また、トナーエンプティ判定部24、画像ドット計測部21、画像ドット累積値格納部22、及びトナーエンプティ判定用しきい値補正部23、すなわち、制御装置10は、例えば、処理装置を実現している。
【0068】
(本実施形態の変形例)
なお、前述の実施形態に限定されないことは言うまでもない。
すなわち、本実施形態では、画像ドット数累積値に応じて第2設定用しきい値や第3設定用しきい値を変化させても良い。
図7及び図8は、その一例を示す。
図7に示すように、本実施形態では、画像ドット数累積値が大きくなるときに、第3設定用しきい値を段階的に小さくしたり、第2設定用しきい値を段階的に大きくしたりする。
【0069】
また、図8に示すように、本実施形態では、画像ドット数累積値が大きくなるときに、第3設定用しきい値を連続的に小さくしたり、第2設定用しきい値を連続的に小さくしたりする。
これにより、画像形成システム1では、トナーボトル45がトナーエンプティであると判定されそうになっているときに、図6に示すようにトナーエンプティ判定用しきい値を断続的に増減させる場合と比較して、トナー収容部に残っているトナーを可能な限り現像部に供給できる。
【0070】
また、本実施形態では、画像ドット数累積値が第1ドット判定用しきい値よりも大きい場合(画像ドット数累積値>第1ドット判定用しきい値)、トナーエンプティ判定用しきい値をトナー供給判定用しきい値である目標のトナー濃度以上に設定しても良い。すなわち、本実施形態では、第2設定用しきい値を目標のトナー濃度以上にしても良い。例えば、図7及び図8に示すように、画像ドット数累積値が大きいほど第2設定用しきい値を段階的又は連続的に大きくするときに、第2設定用しきい値を最終的に目標のトナー濃度より大きな値に設定する。
【0071】
なお、好適にはトナーエンプティ判定用しきい値を目標のトナー濃度に設定するものであるが、トナーエンプティ判定用しきい値を目標のトナー濃度に対してオフセットした大きい値又は小さい値に設定しても良い。
以上のような設定により、本実施形態では、トナーエンプティであるとの判定結果に強制的に導くことが可能になり、強制的に印刷を停止させることが可能になる。例えば、装置の故障等(トナー濃度センサ48の故障等)により印刷を実行してもトナー濃度が低下しないような場合に、本実施形態では、トナーエンプティであるとの判定結果に強制的に導き、強制的に印刷を停止させる。
【0072】
また、本実施形態では、図3に示す制御装置10が有している構成を画像形成装置30(例えば駆動制御部31)が有していても良い。
また、本実施形態では、トナーエンプティ判定用しきい値の設定処理(図4)の説明において具体的な数値を挙げて説明しているが、これに限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0073】
1 画像形成システム、10 制御装置、12a プログラム、21 画像ドット計測部、22 画像ドット累積値格納部、23 トナーエンプティ判定用しきい値補正部、24 トナーエンプティ判定部、25 装置制御部、44 現像器、45 トナーボトル、48 トナー濃度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー収容部からトナーが供給されて感光体上に画像を形成する現像部内のトナー濃度を取得する取得手段が取得したトナー濃度と予め設定したトナー空状態判定用しきい値との比較結果を基に、前記トナー収容部内のトナーが空か否かを判定する判定手段と、
画像データ中のトナーにより画像が形成される領域の画素数を累積する累積手段と、
前記累積手段の画素数の累積値が、前記トナー収容部のトナーの当初収容量で印刷媒体に画像形成したときの画素数の累積値相当として予め設定した第1画素数累積値判定用しきい値よりも大きいとき、前記トナー空状態判定用しきい値をトナーが空になっていると判定し易くなる方向に補正する第1補正手段と、
を有する処理装置。
【請求項2】
前記第1補正手段は、前記累積手段の画像数の累積値が多いほど前記トナー空状態判定用しきい値をトナーが空になっていると判定し易くなるように変化させる請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記累積手段の画素数の累積値が、前記第1画素数累積値判定用しきい値よりも小さい予め設定した第2画素数累積値判定用しきい値よりも大きく、かつ前記第1画素数累積値判定用しきい値以下のとき、前記予め設定したトナー空状態判定用しきい値をトナーが空になっていると判定し難くなる方向に補正する第2補正手段をさらに有する請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記判定手段が前記第1補正手段又は前記第2補正手段が補正した前記トナー空状態判定用しきい値を用いて前記トナー収容部内のトナーが空になっていると判定したとき、前記トナー収容部から前記現像部にトナーを供給する第1トナー供給手段をさらに有する請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記第1トナー供給手段は、前記第2補正手段が補正した前記トナー空状態判定用しきい値を用いて前記トナー収容部内のトナーが空になっていると判定したとき、前記第1補正手段が補正した前記トナー空状態判定用しきい値を用いて前記トナー収容部内のトナーが空になっていると判定したときよりもトナーの供給時間を長くする請求項4に記載の処理装置。
【請求項6】
前記第2補正手段は、前記累積手段の画像数の累積値が多いほど前記トナー空状態判定用しきい値をトナーが空になっていると判定し難くなるように変化させる請求項3乃至5の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項7】
前記取得手段が取得したトナー濃度が前記トナー空状態判定用しきい値よりも大きい値として予め設定したトナー供給判定用しきい値よりも小さくならないように前記トナー収容部から前記現像部にトナーを供給しており、
前記第1補正手段は、前記トナー空状態判定用しきい値を前記トナー供給判定用しきい値以上の値に補正する請求項1乃至6の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項8】
前記判定手段が前記トナー収容部内のトナーが空になっていると判定していなく、かつ前記累積手段の画素数の累積値が、前記第1画素数累積値判定用しきい値よりも小さい予め設定した第2画素数累積値判定用しきい値よりも大きく、かつ前記第1画素数累積値判定用しきい値以下のとき、前記トナー収容部から前記現像部にトナーを供給する第2トナー供給手段をさらに有する請求項1乃至7の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項9】
画像データ中のトナーにより画像が形成される領域の画素数を累積する累積ステップと、
前記累積ステップの画素数の累積値が、トナー収容部のトナーの当初収容量で印刷媒体に画像形成したときの画素数の累積値相当として予め設定した第1画素数累積値判定用しきい値よりも大きいとき、予め設定したトナー空状態判定用しきい値をトナーが空になっていると判定し易くなる方向に補正する補正ステップと、
トナー収容部からトナーが供給されて感光体上に画像を形成する現像部内のトナー濃度と前記補正ステップで補正したトナー空状態判定用しきい値との比較結果を基に、前記トナー収容部内のトナーが空か否かを判定する判定ステップと、
をコンピュータに実行させるコンピュータに読取可能な制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−230248(P2012−230248A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98450(P2011−98450)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】