説明

出会い頭事故防止システム、及び当該出会い頭事故防止システムを用いた車止め支柱

【課題】交差点近傍に設置される設備を利用して、交差点へ接近する自動車や自転車等に対し、他の方向から当該交差点へ接近してくる自転車等があった場合に、それを知らせることのできる出会い頭事故防止システムを提供すること。
【解決手段】交差点近傍に設置された支柱と、該支柱内に備えられ、一方向から交差点へ接近する自転車等を検知する危険検知センサと、前記支柱の上端部近傍に設けられ、前記支柱の外周囲に所定間隔を空けて配された複数の発光体とを備え、前記一方向から接近する自転車等を前記危険検知センサが検知すると、前記一方向と交差する他の方向へ向けて配された前記発光体が発光するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、道路の路側や自転車道、歩行帯等の路面に設置される車止め支柱に関するものであり、より詳しくは、交差点など、死角が多く潜在的に事故発生の可能性が高い地点の近傍に設置される出会い頭事故防止システム、及び当該出会い頭事故防止システムを用いた車止め支柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境負荷が低く且つ簡便な交通手段として、自転車の利用が見直されてきている。例えば、国土交通省等においても、自転車通行帯、自転車専用道路が整備され、或いは自転車通行環境整備モデル地区が指定されるなどの施策が推進されるとともに、「新たな自転車利用環境のあり方を考える懇談会」を設置して新しい自転車の利用環境の提案がなされたりもしており、今後も自転車利用の見直しや、尚一層の普及推進が予想される。
【0003】
また、上記自転車利用環境整備の進展や、自転車そのものの性能向上による自転車の利便性の向上、更には上記のような環境負荷が低いという点や、市民の健康志向の高まりなども相俟って、今後ますます自転車の利用が促進されると思われる。
【0004】
その一方で、自転車にまつわる交通事故が非常に多く発生している。すなわち、上記の自転車利用環境整備の進展や、自転車そのものの性能向上などにより、自転車の通行速度が上がっており、また、自転車利用者が増加したこともあって、自転車同士、自転車と自動車、或いは自転車と歩行者の衝突事故が多発するようになっている。
【0005】
特に、自転車の出会い頭の衝突事故が多く発生しており、警察庁発表の自転車事故分析データ(平成20年度)によれば、信号のない交差点での事故が、自転車事故件数全体の約40パーセントを占めているとのことである。
【0006】
そして、このように自転車事故が多く発生しているにもかかわらず、その効果的な予防方法が十分に確立されていないのが現状である。
【0007】
この点、自転車事故の予防方策としては、2つの方向が考えられる。ひとつは、ソフト面からのアプローチ、すなわち、自転車利用者のマナー向上を図ること、あるいはより厳しい対応として自転車利用ルール違反者に対する厳罰化を行うなどの方法である。もうひとつは、ハード面からのアプローチ、すなわち、事故発生の可能性の高い交差点に様々な標識などを設置して自転車や自動車の運転者に注意喚起する方法や、全ての自転車や自動車に接近する自転車等を検知するセンサ及び報知装置を備えるようにする方法などがある。
【0008】
しかしながら、上記ひとつめのアプローチについては、先ず、自転車利用者のマナー向上には継続的な教育、あるいは啓発活動が必要であり、短期間内において顕著な効果が表れることは期待できない。また、厳罰化についても、2006年以降に警察庁が自転車利用者に対する交通指導取締りの強化を実施してきたものの、現実の罰則適用は難しい場合が多くその実効性は薄い。
【0009】
もう一つのアプローチ、即ちハードの面においても、実際、事故が多発する交差点の近傍には様々な注意喚起表示がなされていることが多い。しかしながら、注意喚起を表示した状態が常態であると、人間はそれに慣れてしまい、当該注意喚起表示に注意を払わなくなってしまう。それゆえ、前記注意喚起表示による効果は一時的なものにとどまってしまっている。また、全ての自転車や自動車に前記センサ等を備えるようにすることは、コスト等の問題により現実的には不可能に近い。
【0010】
そこで、本発明者らは、例えば、歩道や公園等への侵入を物理的又は心理的に防止するため道路の路側や自転車道、歩行帯等の路面に設置される車止め支柱など、現実に交差点近傍にしばしば設置されている設備に着目した。このような設備において、例えば前記の車止め支柱においては、下記特許文献1および2に記載のようなものがある。すなわち、これらの文献に記載の車止め支柱においては、合成樹脂材料などで構成された支柱体の頭頂部近辺や側周面に、反射体や発光体を備えるようにして、当該車止め支柱の存在が容易に認識されるように工夫されている。
【0011】
しかしながら、上記従来の車止め支柱は、車止め支柱の存在そのものを自転車や歩行者などに知らせるための注意喚起手段を備えるのみであって、これによって、交差点に接近する自転車や自動車の運転者に、他の方向から交差点へ向かって接近してくる自転車等の存在を知らせるものでなかった。それゆえ、自転車事故の発生を予防できるようなものではなかった。
【0012】
また、本出願人が出願した下記特許文献3には、横断歩道を横断しようとする歩行者又は自転車を検知する検知センサーと、横断歩道に近接して路面に設置され、前記検知センサーが歩行者又は自転車を検知すると、横断歩道を横断している歩行者又は自転車に向けて発光する発光手段とを備えたことを特徴とする交通安全システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−201768号公報
【特許文献2】特開2004−250886号公報
【特許文献3】特開2006−265989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
確かに、この交通安全システムによれば、直線状に延びる車道の途中を横切る横断歩道に設置された場合においては、車道を走行する車両の運転者が、歩行者の存在を容易に認知できる。それゆえ、そのような場所での交通事故の防止に非常に有効である。
【0015】
ただし、上記従来の交通安全システムは、あくまでも直線状に延びる車道の途中を横切る横断歩道などへの設置が想定されており、死角の多い交差点などにおける出会い頭事故の防止までは想定されていない。
【0016】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであり、交差点近傍に設置される設備を利用して、交差点へ接近する自動車や自転車等に対し、他の方向から当該交差点へ接近してくる自転車等があった場合に、それを知らせることのできる出会い頭事故防止システムを提供することを目的とする。
【0017】
また、前記のように他の方向から交差点へ接近してくる自転車等があった場合にのみ、それを知らせることにより、この種の注意喚起への「慣れ」を防止し、効果的な事故の予防が可能となる出会い頭事故防止システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するため、本発明に係る出会い頭事故防止システムは、交差点近傍に設置された支柱と、該支柱内に備えられ、一方向から交差点へ接近する自転車等を検知する危険検知センサと、前記支柱の上端部近傍に設けられ、前記一方向と交差する他の方向へ向けた1又は2以上の発光体とを備え、前記一方向から接近する自転車等を前記危険検知センサが検知すると、前記一方向と交差する他の方向へ向けて配された前記発光体が発光するようになされたことを特徴とする。
【0019】
ここで、「自転車等」とは、人が乗車する自転車、歩行者、およびそれに類するものを含むものである。また、危険検知センサとしては、焦電型の赤外線センサや、超音波センサ、光センサ、レーダ式センサ、その他自転車等の接近を検知できる任意のセンサを適宜使用可能である。
【0020】
本発明に係る出会い頭事故防止システムによれば、交差点に接近する自転車等を検知した場合に、注意喚起のために前記発光体を発光させることにより、他の方向から当該交差点に進入しようとする車両の運転者に対して適切な注意喚起を行うことができる。すなわち、交差点に接近する自転車等がある場合にのみ注意喚起を行うので、適時適切な注意喚起が可能となる。また、常時注意喚起を行うのではなく、交差点へ接近してくる自転車等がある場合にのみそれを知らせるので、この種の注意喚起への「慣れ」を防止することができ、効果的な事故の予防が可能となる。
【0021】
また、本発明に係る出会い頭事故防止システムにおいて、発光体は、支柱の上端部近傍に設けられると共に、前記支柱の外周囲に所定間隔を空けて複数配されているようにすることができる。このようにすれば、様々な方向に向け、注意喚起を行うことが可能となり、また複数の発光体のうち任意の発光体を発光させることによって、適切な方向への注意喚起ができる。
【0022】
さらに、本発明に係る出会い頭事故防止システムにおいて、複数の発光体は、支柱の外周囲に60度毎に配されているようにしてもよい。このようにすれば、交差点に接近する車両の運転者に対し、他の方向から交差点に接近する自転車等があることを確実に知らせることができる。
【0023】
また、本発明に係る車止め支柱は、上述の出会い頭事故防止システムを備えたことを特徴とする。本発明に係る車止め支柱によれば、本来交差点付近に設置される設備を利用するので、交通の妨げになることがない。また、通常車止め支柱は、交差点と非常に接近した位置に設置されることが多く、最適な方向から車両に対する注意喚起ができ、車両の運転者にとっても非常に視認しやすい。
【発明の効果】
【0024】
以上のとおり、本発明に係る出会い頭事故防止システムによれば、交差点近傍に設置される設備を利用して、交差点へ接近する自動車や自転車等に対し、他の方向から当該交差点へ接近してくる自転車等がある場合に、そのことを知らせることが可能となり、自転車等の事故防止を図ることが可能となる。
【0025】
また、常時注意喚起を行うのではなく、他の方向から交差点へ接近してくる自転車等がある場合にのみ、それを知らせることようにすることで、この種の注意喚起への「慣れ」を防止でき、効果的な事故の予防が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る出会い頭事故防止システムの一実施形態における、(a)は、当該システムが設置される場所、及びその状況の一例を示すための説明図であり、(b)は、(a)におけるPで示した範囲を拡大した説明図である。
【図2】本発明に係る出会い頭事故防止システム及び車止め支柱の一実施形態を示す正面図である。
【図3】図2に示す出会い頭事故防止システム及び車止め支柱の右側面図である。
【図4】図2に示す出会い頭事故防止システム及び車止め支柱の平面図である。
【図5】図3に示すA−A線間における断面図である。
【図6】図5におけるキャップ部近傍を拡大した説明図である。
【図7】図6示す発光体部分についての詳細を示す説明図である。
【図8】図2に示すB−B線間における断面図である。
【図9】センサの一実施形態におけるシステムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明に係る出会い頭事故防止システム1及び車止め支柱2の一実施形態において、当該システム及び車止め支柱が設置される代表的な場所及び状況を説明するための図である。また、図2〜図9は、本発明に係る出会い頭事故防止システム1及び車止め支柱2の一実施形態を示すものであって、図1の状況において設置され得る当該システム1及び車止め支柱2を示すものである。
【0029】
図1は、優先道路PRと非優先道路NRが交差する交差点Xを中心に示したものである。当該交差点Xは信号のない交差点であり、優先道路PRに沿って自転車専用通行帯BRと歩行者専用通行帯WRとが分離して設定された歩道が設けられている。
【0030】
このような交差点においては、例えば図の左手から交差点Xに進入しようとする自転車Bと、図の下方から交差点Xに進入しようとする自動車Cとの出会い頭事故が多く発生する。このような事故は、自動車Cが停止線SL手前での一旦停止を怠ったことが原因で引き起こされることが多い。これに対しては、従来から当該交差点X付近に注意喚起のための標識を設置したり、夜間点灯する車止めを設置したり、或いは路面に「一旦停止」、「トマレ」などの標示をすることによって自動車Cの運転者に一旦停止を促し事故防止を図ってきたが、十分な結果を得られていないといのが実情である。
【0031】
この十分な結果を得られていない最大の理由は、上記注意喚起が自転車等の接近の有無に関係なく、常時なされている点にあると考えられる。そこで、本発明に係る出会い頭事故防止システム1及び車止め支柱2は、例えば図1に示すような交差点X近傍において、交差点Xに接近、進入しようとする自転車等がある場合にのみ、注意喚起を行うようになされている。すなわち、例えば図1の交差点Xに接近する自転車Bを車止め支柱2に備えた危険検知センサ5により検知した時に、出会い頭事故防止システム1(車止め支柱2)に備える発光体30を発光させ、これにより、他の方向から(この場合、図1における下方向から)交差点Xに接近する自動車Cに対して自転車Bの存在を知らせるようにするものである。
【0032】
図2〜図5に示すように、車止め支柱2は、上方に開口した円筒形状の支柱体21と、支柱体21の上端部に取り付けられたキャップ部22とからなる。
【0033】
図5に示すように、支柱体21は、アルミ製の型材により形成された芯材部211と、合成樹脂材料(この実施形態においてはウレタン系樹脂)により成形され、芯材部211が挿通可能な中空部を形成した円筒形状のカバー部212とを備えている。カバー部212は、カバー部212の内周面と芯材部211の外周面との間に空間部が形成されるようにして、芯材部211に被せられており、これによって、支柱体21を構成している。尚、以下に説明する通り、このカバー部212の内側にはセンサ5などの機器を格納するので、当該機器を自転車の衝突などから保護するために、当該カバー部212には、ほとんど弾性を付与していない。
【0034】
この支柱体21の内部には、芯材部211に取り付けられ、保持されるようにしてセンサ5が備えられている。このセンサ5としては、この実施形態においては、気温や天候などの環境条件の変化による誤作動の少ないドップラ方式のマイクロ波センサを用いている。これは、所定周波数のマイクロ波(周波数3G〜30GHz、波長1〜10cmの範囲内の電波。この実施形態においては、24GHzの一定周波数を利用)を送信波として送信し、自転車などの移動体が送信波を反射した場合に、この反射波を受信してドップラ周波数を得、これによって移動体の速度を算出するようにしたものである。
【0035】
そのため、この実施形態におけるセンサ5は、図9に示すように、送信波と受信波(反射波)とを送受信する送受信アンテナ51と、送信波を生成するための送信部52と、受信波を受信して当該受信波の信号を制御部54へ送る受信部53と、送信波や受信波の送受信を制御するとともに、送受信波の情報を演算手段541により演算して注意すべき移動体(自転車等)の存在及び速度を判断する制御部54とを備えている。
【0036】
このセンサ5から発せられる送信波RFは、図1における左手方向、すなわち自転車等が接近してくる方向に向かって送信される。この送信波RFが発せられる角度αは、約15°〜180°の間で任意に設定可能であるが、適切に自転車等の検知を行うには、25°〜45°程度が好ましい。また、優先道路PRを走行する車両を誤って検知しないよう、前記角度αや送信波の届く距離を調節し、あるいは車止め支柱の立設位置を調整して設置するのが望ましい。
【0037】
尚、センサ5は、上記のほか、感熱型のセンサを用いて自転車の運転者の熱により自転車等の接近を検出する感熱式センサや、自転車等が接近する方向に光線を当て、その反射や遮断により自転車等の接近を検出する光電式センサ、自転車等による反射波の帰着時間の差により自転車等の接近を検出する超音波式センサなどを適宜選択して適用することが可能である。
【0038】
支柱体21の下端部には、ベース部23が取り付けられている。ベース部23の側周面には、ガラス製のビーズ231aを多数埋設した反射体231が巻着されており、これによって夜間における視認性を向上させている。また、ベース部23の下面側には路面への固定用のアンカーボルト233が埋設されて固着されており、このアンカーボルト233を路面に埋設したアンカーナット(図示せず)に螺着することによって、車止め支柱2は路面に立設される。
【0039】
キャップ部22は、支柱体21と同じく円筒形状をなし、上端縁と下端縁において側周面を周回する周回凸条221を備えている。図2に示すように、この周回凸条221においては、その外径が他の側周面部分よりも大きくなるように形成されている。
【0040】
また、キャップ部22の内部には、当該キャップ部22の側周面を周回するようにして60度毎に計6つのLED30が配置されている。すなわち、図8に示すように、平面視で支柱の中心角において60度毎の間隔で、各LED30が配置されている。また、各LED30は、それぞれ支柱の径方向外側に向けて配置されており、車止め支柱2を中心として放射状にLED30の光を投光できる。更に、各LED30の前面には、LEDの光を拡散することによって視認性を向上させるため、拡散レンズ31が配置されている(図7参照)。
【0041】
さらに、キャップ部22の内部には、各LED30と電気的に接続された発光制御部32が格納されており、この発光制御部32が各LED30の発光状態を制御し、当該発光制御部32からの指令に基づいて任意のLED30を発光させることができるようになされている。
【0042】
また、キャップ部22は、下方に開口しており、支柱体21の上端部に嵌着可能となされている。これにより、発光制御部32は制御部54と電気的に接続され、制御部54における自転車等の検出情報に基づいて、発光制御部32が任意のLED30を発光させるよう、各LED30に指令を送るようになされている。
【0043】
以上のように構成されることで、この出会い頭事故防止システム及び車止め支柱によれば、例えば図1において、図の左手から交差点Xに接近する自転車Bを車止め支柱2に備える危険検知センサ5が検知すると、発光制御部32からの指令により、30a〜30fのうちの任意のLEDを発光させ、当該LEDの発光によって、他の方向(この場合、図1の下方)から交差点Xに接近する自動車Cに対して、自転車Bの存在を知らせる。このとき、自動車Cに適切に注意喚起するには、少なくとも図1(b)に示すLED30eを発光させる必要があり、さらにLED30d、及び30fを同時に発光させるようにしてもよい。また、自動車Cのみならずあらゆる角度に注意喚起する場合には、30a〜30fの全てのLEDを発光させるようにすることもできる。
【0044】
以上がこの実施形態における出会い頭事故防止システムおよび車止め支柱についての説明であるが、言うまでもなく、本発明に係る出会い頭事故防止システムおよび車止め支柱は、この実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々に形態やシステムの構成等を変更することが可能なものである。
【0045】
例えば、この実施形態においては、上述のとおり芯材部及びセンサはカバー部の内側に格納されているので、センサを自転車等の衝突などから保護するために、カバー部にはほとんど弾性を付与していない。しかしながら、センサなどの精密機器を全てキャップ部内に格納するようにすれば、カバー部に弾性を付与することが可能となる。すなわち、カバー部を所定の弾性を有する部材で構成するとともに、芯材部を用いずカバー部だけで支柱体を構成することが可能となる。このようにすれば、自転車の衝突等の強い外力を受けた場合、支柱体は一旦折れ曲がり、前記外力が除去されれば、その弾性により再度元の状態に復元できる。
【0046】
尚、このカバー部の成形に用いられる合成樹脂は、上記ウレタン系樹脂に特に限定されるものではなく、天然ゴムやブタジエンスチレンゴム、ネオプレン、ブタジエンアクリロニトリルゴム、クロロプレン重合体、ブチルゴム、エチレンプロピレンターポリマー、ポリイソブチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、シリコン樹脂、軟質及び硬質塩化ビニル樹脂、エラストマー等の各種合成ゴムや合成樹脂、及びそれらを発泡させたもの等を、成形の条件等を考慮して適宜用いてよい。また、廃タイヤ、工場廃材等の再生材料やそれらをチップ状に処理したものを用いてもよい。
【0047】
また、この実施形態においては、センサや発光制御部、LEDの発光の動力源として商用電源の利用を想定して説明しているが、例えば、上記キャップ部の頭頂部に太陽電池パネルを備えるようにすると共に、当該太陽電池パネルにおいて生起された電力を蓄電するための蓄電池を備えるようにしてもよい。このようにすれば、エネルギーの有効利用が図れると共に、配線等、本件発明に係る出会い頭事故防止システム及び車止め支柱の設置に必要な部材を減らすことができ、また設置作業も容易となる。
【0048】
更に、センサや太陽電池等、出会い頭事故防止システムの実施に必要な部材を全てキャップ部内に収めるようにすれば、必ずしも車止め支柱として立設する必要はなく、本発明の出会い頭事故防止システムを、例えば既設の車止め支柱の頭頂部にキャップ部を増設して取り付けることによって設置することができる。また、車止め支柱に限らず、道路標識柱など、既設の道路付帯設備に本発明の出会い頭事故防止システムを取り付けて設置することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 出会い頭事故防止システム
2 車止め支柱
21 支柱体
211 芯材部
212 カバー部
22 キャップ部
23 ベース部
30 LED
5 危険検知センサ
X 交差点
B 自転車
C 自動車




【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点近傍に設置された支柱と、
該支柱内に備えられ、一方向から交差点へ接近する自転車等を検知する危険検知センサと、
前記支柱の上端部近傍に設けられ、前記一方向と交差する他の方向へ向けた1又は2以上の発光体とを備え、
前記一方向から接近する自転車等を前記危険検知センサが検知すると、前記一方向と交差する他の方向へ向けて配された前記発光体が発光するようになされたことを特徴とする出会い頭事故防止システム。
【請求項2】
発光体は、支柱の上端部近傍に設けられると共に、前記支柱の外周囲に所定間隔を空けて複数配されていることを特徴とする請求項1記載の出会い頭事故防止システム。
【請求項3】
複数の発光体は、支柱の外周囲に60度毎に配されていることを特徴とする請求項2記載の出会い頭事故防止システム。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の出会い頭事故防止システムを備えたことを特徴とする車止め支柱。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−190606(P2011−190606A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57515(P2010−57515)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】