説明

分包紙および薬剤分包袋並びに薬剤分包袋の製造方法

【課題】 小さな力で楽に開封することが可能な薬剤分包袋の提供。
【解決手段】 両側縁部10a,11aどうしが向い合うように二つ折りされた長尺のシート3からなり、対向するシート片部10,11の間に薬剤12が投入され、両側縁部10a,11aどうしがヒートシールされ、両側縁部10a,11aのうち一方の縁部11aの縁辺11bが他方の縁部10aの縁辺10bに対してシート3の幅方向に位置ずれしている薬剤分包袋2。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分包紙および薬剤分包袋、並びに薬剤分包袋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に種々の薬剤は、服用のために服用量毎に薬剤分包袋に分包されることが行われている。この薬剤分包袋は、長尺状のシートからなる分包紙をその幅方向中心で二つ折りにし、その開放側から薬剤を投入し、投入した薬剤が分包されるよう分包紙の長さ方向所定間隔置きに分包紙にヒートシールを施して区分けするとともに、分包紙の開放側の縁部どうしをヒートシールすることで薬剤分包袋とされている(特許文献1参照)。このような薬剤分包袋は、服用者が薬剤を服用する際にはヒートシールされた縁部を手指でもって切断することで開封されることになる。
【特許文献1】実公平1−37635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記薬剤分包袋は長尺のシートからなる分包紙を幅方向中心で二つ折りにしているからその縁部は一致している。このため、薬剤分包袋をその縁部から開封を始める際に二枚分のシートを切断しなければならないことになり、服用者によっては手指の力で開封することが難しい場合がある。
【0004】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、小さな力で楽に開封することが可能な分包紙および薬剤分包袋並びに薬剤分包袋の製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の分包紙は、両側縁部どうしが向い合うように二つ折りされた長尺のシートからなり、対向するシート片部の間に薬剤が投入され、両側縁部どうしがヒートシールされて薬剤分包袋が形成される分包紙であって、前記両側縁部のうち一方の縁部の縁辺が他方の縁部の縁辺に対してシートの幅方向に位置ずれしていることを特徴としている。
【0006】
このような構成の分包紙を、その縁部を切断してして薬剤を取出す際、シートのシート片部のうち一方のシート片部の縁部の縁辺から切断することになるから、双方のシート片部の縁部を切断する(切断を開始する)場合に比べて小さい手指の力で楽に切断することが可能となる。そして一方のシート片部の縁部から切断を開始して他方のシート片部の縁部であるヒートシール部分にいたっても、一方のシート片部の縁部は切断されている状態にあるから、初めから双方のシート片部の縁部から切断を開始する場合に比べて楽に切断することができる。
【0007】
本発明の分包紙は、長尺のシートをロール状に巻き回したロール体からなることを特徴としている。このように分包紙をロール体とすることで、長尺の分包紙をコンパクトにすることが可能となり、単に分包紙をロール体から繰り出し、所望の長さ方向位置で両側縁部どうしをヒートシールして薬剤分包袋とすることが可能になる。
【0008】
本発明の薬剤分包袋は、両側縁部どうしが向い合うように二つ折りされた長尺のシートからなり、対向するシート片部の間に薬剤が投入され、両側縁部どうしがヒートシールされ、前記両側縁部のうち一方の縁部の縁辺が他方の縁部の縁辺に対してシートの幅方向に位置ずれしていることを特徴としている。
【0009】
このような構成の薬剤分包袋を、その縁部を切断してして薬剤を服用する際、シートのシート片部のうち一方のシート片部の縁部の縁辺から切断することになるから、双方のシート片部の縁部を切断する(切断を開始する)場合に比べて小さい手指の力で楽に切断することが可能となる。そして一方のシート片部の縁部から切断を開始して他方のシート片部の縁部であるヒートシール部分にいたっても、既に一方のシート片部の縁部は切断されている状態にあるから、初めから双方のシート片部の縁部から切断を開始する場合に比べて楽に切断することができ、ヒートシール部分を切断することで薬剤を服用することができる。
【0010】
本発明の製造方法は、両側縁部どうしが向い合うように二つ折りされた長尺のシートからなり、対向するシート片部の間に薬剤が投入され、両側縁部どうしがヒートシールされた薬剤分包袋の製造方法であって、前記長尺のシートをロール状に巻き回してロール体とし、該ロール体からシートを繰り出しつつ前記両側縁部のうち一方の縁部の縁辺を他方の縁部の縁辺に対してシートの幅方向に位置ずれさせ、対向するシート片部の間に薬剤を投入し、両側縁部どうしをヒートシールすることを特徴としている。
【0011】
ロール体からシートを繰り出しつつ、両側縁部のうち一方の縁部の縁辺を他方の縁部の縁辺に対してシートの幅方向に位置ずれさせてヒートシールすることで、両側縁部のうち一方の縁部の縁辺を他方の縁部の縁辺に対して位置ずれした薬剤分包袋を連続して製造することができる。このようにして製造された薬剤分包袋では、その縁部を切断してして薬剤を服用する際、シートのシート片部のうち一方のシート片部の縁部の縁辺から切断することになるから、双方のシート片部の縁部を切断する(切断を開始する)場合に比べて小さい手指の力で楽に切断することが可能となる。そして一方のシート片部の縁部から切断を開始して他方のシート片部の縁部であるヒートシール部分にいたっても、既に一方のシート片部の縁部は切断されている状態にあるから、初めから双方のシート片部の縁部から切断を開始する場合に比べて楽に切断することができ、ヒートシール部分を切断することで薬剤を服用することができる。
【0012】
本発明の製造方法は、両側縁部どうしが向い合うように二つ折りされた長尺のシートからなり、対向するシート片部の間に薬剤が投入され、両側縁部どうしがヒートシールされた薬剤分包袋の製造方法であって、前記シートを幅方向中心に対して幅方向へオフセットした位置で該シートの長さ方向に二つ折りしてロール体とし、該ロール体からシートを繰り出しつつ対向するシート片部の間に薬剤を投入し、両側縁部どうしをヒートシールすることを特徴としている。
【0013】
本発明の製造方法によっても、小さい力で楽に切断できる薬剤分包袋を連続して製造することが可能となる。さらに、シートは予め二つ折りしてあるから、シートの繰り出しからヒートシールの工程途中にシートを二つ折りにする部材が不要であり、その分だけ薬剤分包袋を製造するための装置をコンパクトにすることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一枚のシートをそのシート片部の縁部の縁辺どうしを一致させないよう二つ折りにしているから分包紙、あるいは薬剤分包袋の開封を小さい手指の力で楽に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態を示す薬剤分包袋の薬剤包装装置の構造を示す概略斜視図、図2は薬剤包装装置を用いて薬剤分包袋を製造する際の要部拡大斜視図、図3は薬剤分包袋の断面図である。
【0016】
図1および図2に示すように、薬剤包装装置1は、連続した薬剤分包袋2に加工される長尺の分包紙17をロール状に巻き回されてなるロール体4を支持する支持部5と、ロール体4からシート3を繰り出す駆動部6と、ロール体4から繰り出された分包紙17を後述の投入部7へ向けて案内する案内部8と、折り畳んだ分包紙17のシート片部10,11間に薬剤12を投入するための前記投入部7と、折り畳まれた分包紙17に対してヒートシールを行い、ヒートシール部2a,2bによって個々に区画された薬剤分包袋2を形成するシール部13とを備えている。
【0017】
図3に示すように、薬剤分包袋2は分包紙17を用いて形成されており、分包紙17は基材3aとこの基材3aの片面に積層された熱融着層3bからなっている。分包紙17は、基材3aとこの基材3aの片面に積層された熱融着層3bからなるシートを予めその幅方向中心に対して所定量だけ幅方向へオフセットされた位置Pで、熱融着層3bどうしが対向するようシートを長さ方向に沿って折られて形成されている。すなわち分包紙17の対向するシート片部10,11の縁部10a,11aの縁辺10b,11bは幅方向には一致した位置になくオフセット量に応じた分だけ幅方向に位置ずれ(図においてH寸法で示す)している。ロール体4はこのような分包紙17を支持部5に巻き回して形成されている。尚、例えば基材3aとして、気密性や強度に優れるグラシン紙が用いられ、熱融着層3bとしてポリエチレンが用いられている。
【0018】
図2は、薬剤包装装置1の各構成部材をシート3の搬送方向(図においてシート3の長手方向に沿う白抜き矢線で示す)に沿って示す模式図である。ここで図2を参照しつつ、薬剤包装装置1における各部材の概略構成について説明する。支持部5は、ロール体4を軸線回り回転自在に支持するもので、好ましくは、支持部5は中空筒状の紙管15を有する。ロール体4は、紙管15の外周面に巻き回されてなる。そして前記支持部5は、紙管15を軸線回り相対回転自在に支持し得るように構成される。
【0019】
なお支持部5を、軸線回りに回転自在とされた支持軸とし、該支持軸回りに直接に長尺のシート3を巻き回すことも可能である。又、支持部5には、ブレーキ機構等の分包紙搬送制御機構を備えることができ、必要及び/又は所望により、分包紙の搬送停止又は搬送速度制御を行えるように構成し得る。
【0020】
前記駆動部6は、ロール体4から分包紙17を繰り出し得る限り種々の構成を採用し得る。本実施の形態においては、駆動部6は、図2に示すように、シール部13のシート3搬送方向後流側に配設された一対の駆動ローラ20,21を備えている。
【0021】
前記案内部8は、前記ロール体4から繰り出される分包紙17を前記投入部7等の後続する各部材へ向けて案内するように構成されている。具体的には、該案内部8は、シート3の搬送方向に沿って配設された複数のガイドバー31を備えている。
【0022】
前記投入部7は、上端開口及び下端開口を有する中空状のホッパー7a,7bを備えている(図2においては、ホッパー7bのみを図示している)。ホッパー7bの上端開口は、処方箋に基づき、自動又は手動で分配され且つ供給される薬剤12を受け入れ得るようになっている。ホッパー7bの下端開口は、シート3のシート片部10,11の間に突入されている。薬剤12は、処方箋に基づき自動又は手動で供給される。
【0023】
前記シール部13は、分包紙17に対し投入部7によって収納された薬剤12を薬剤収納空間2cに密封して薬剤分包袋2とするように分包紙17を熱融着するヒートシール部材28を備えている。本実施の形態においては、該ヒートシール部材28は、2つ折りにされた分包紙17のシート片部10,11を熱融着する長手方向シール部26と、薬剤12が収納された個々の薬剤分包袋2に分包紙17を区画する幅方向シール部27とを備えている。
【0024】
本発明の実施形態では、駆動部6の駆動力によってロール体4から繰り出された分包紙17は、予めその幅方向中心に対して所定量だけ幅方向へオフセットされた位置で熱融着層3bどうしが対向するよう長さ方向に沿って折られ、分包紙17の対向するシート片部10,11の縁部10a,11aの縁辺10b,11bは幅方向には一致した位置になくオフセット量に応じた分だけ幅方向に位置ずれしている。したがって、分包紙17をロール体4から繰り出している途中で折り曲げる必要がなく、例えば折り畳みガイド等の部材を必要としない。そして、折り畳みガイド等を必要としない分だけ薬剤包装装置1の構成を簡素化できる。
【0025】
上記構成の薬剤包装装置1において、分包紙17の繰り出し途中位置の両側に配置したヒートシール部材28の長手方向シール部26と幅方向シール部27で分包紙17が挟持されて加熱されてヒートシール部2a,2bが形成されることで、ロール体4から分包紙17が繰り出される方向(長手方向)に所定間隔置きに分包紙17のシート片部10,11の熱融着層3bどうしが熱融着され、薬剤12を薬剤収納空間2cに内包して連続した薬剤分包袋2が製造される。特にこの実施形態では、シート片部10,11の縁部10a,11aを長さ方向でシールするヒートシール部2aは、縁部10aの縁辺10bを含まず、縁部11aの縁辺11bを含んだ位置に設定されている。そして例えば、所定の数の薬剤分包袋2が製造されたところで、薬剤分包袋2は幅方向でヒートシール部2bの長手方向中心でカットされ、ヒートシール部2a,2bで区画されて形成される薬剤収納空間2cに薬剤12を内包した薬剤分包袋2となる。
【0026】
ここで、前述の幅方向へオフセットする所定量とは、シート片部10,11の縁部10a,11aどうしが一致せず、且つヒートシールを施した際に薬剤分包袋2に必要な量の薬剤12を収納できるだけの量である。
【0027】
ところで、薬剤12の服用者は薬剤分包袋2内の薬剤12を服用する際、薬剤分包袋2をその端の縁部から開封することが一般的である。この実施形態に示した薬剤分包袋2はこれを製造する際に、分包紙17のシート片部10,11の縁部10a,11aは幅方向には一致した位置になくオフセット量に応じた分だけずらしている。したがって、図3に示すように、薬剤分包袋2を開封する際、手指で切断する(切断を開始する)にあたり、服用者はまず分包紙17を形成する一枚のシート(シート片部10)を切断することになる。
【0028】
このように一枚のシートから切断を開始することにより、従来のように二枚のシートを同時に切断する場合に比べて小さい力でもって楽に切断することができる。そしてヒートシール部2aで熱融着された熱融着層3bを切断するにいたるが、既に一枚のシートは切断されている状態にあるので、ヒートシール部2aを切断するにいたっても、従来のように二枚のシートを同時に切断し始める力に比べて小さい力で切断し得、鋏等の道具を用いることなく薬剤分包袋2を容易に開封することが可能となる。
【0029】
一般に、グラシン紙は延伸性に乏しいため容易に切断することが可能である一方、ポリエチレン等からなる融着層3bは延伸性があり、手指では切断がしにくい。しかも、融着層3bは薬剤分包袋2をヒートシールによって製造する場合は必要な部分である。しかし、上記実施形態のように、薬剤分包袋2の切断の開始が一枚のシート(シート片部10)である場合、二枚のシート切断し始める力に比べて小さい力で切断できることは明らかである。
【0030】
図4乃至図6に別の実施形態を示す。図4は概略斜視図、図5は概略平面図、図6は概略平面図である。この実施形態では、折り畳んでいない薬剤分包袋形成用シート3(以下単に「シート3」といい、シート状の分包紙でもある)をロール体4から繰り出す途中でシート3を折り畳んで薬剤分包袋2とする薬剤包装装置1および薬剤分包袋の製造方法である。
【0031】
薬剤包装装置1は、案内部8としてシート3の搬送方向に沿って配設された複数のガイドバー31,32,33を備えている。好ましくは、図4に示すように、薬剤包装装置1は、投入部7の搬送方向前流側に印刷部40を備える。印刷部40は、シート3の一側面又は両側面に、日付,患者名,薬剤名等の処方データを印刷するための印刷ユニット41を備えている。なお、図中、符号42は、搬送される薬剤分包袋形成用シート3を印刷ユニット41へ向けて案内する印刷ガイドバーであって、必要に応じ前記印刷部40に備えられる。
【0032】
この実施形態の薬剤包装装置1は、また、平面状態で搬送されているシート3を、投入部7の搬送方向前流側において、長手方向に沿って2つ折りにする為の折り畳みガイド25を有する。
【0033】
折り畳みガイド25は、図4および図5に示すように、三角形の板状に形成されている。図5に示すように、折り畳みガイド25は不等辺三角形の板状に形成されている。折り畳みガイド25の幅方向中心は投入部7(ホッパ−7b)の中心に一致するよう配置されるが、折り畳みガイド25のひとつの頂点部25a(シート3に接する頂点部)は、他のふたつの頂点部25a,25bの幅方向中心25cに対して所定量だけ幅方向一方、すなわちこの場合、シート片部11がシート片部10よりも短幅になる側へオフセットした位置に設定されている。
【0034】
この実施形態では、シート3を薬剤分包袋2とする途中で折り畳むようにした点、折り畳みガイド25を有する点、印刷ユニット41を備えている点で上記実施形態と異なる。他の構成は上記実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
印刷部40によって上記のような所定の印刷が行われ、その後さらにシート3が搬送方向後流側に移動すると、折り畳みガイド25によってシート3は、その幅方向中心に対して所定量だけ幅方向へオフセットされた位置で長さ方向に沿って順次折られる。そうすると、上記実施形態で示したような予め折り畳んでおいた分包紙17とほぼ同形状となる。したがって、投入部7に至った際には、シート3(分包紙17)のシート片部10,11の縁部10a,11aの縁辺10b,11bは幅方向に一致した位置になくオフセット量に応じた分だけ位置ずれしている。
【0036】
すなわち一方のシート片部11の縁部11aの縁辺11bと、他方のシート片部10の縁部10aの縁辺10bとは、シート3の幅方向に相対的に位置ずれしている。そして、このように幅方向に位置ずれしたシート3の重ね開放部(対向するシート片部10,11の間)から薬剤12がホッパー7bによって投入(収納)される。このようにして薬剤12が投入された後は、さらにシート3は駆動部6の駆動力でもって搬送方向後流側に移動し、薬剤12が投入された長さ方向領域を含んでシート3(融着層3b)どうしが熱融着され、薬剤12を内包する薬剤収納空間2cを有する連続した薬剤分包袋2が製造される。
【0037】
服用者が薬剤分包袋2内の薬剤12を服用するために薬剤分包袋2をその端の縁部から開封する際、薬剤分包袋2のシート片部10,11の縁部10a,11aは幅方向にずらしているから、薬剤分包袋2を手指で切断するにあたり、服用者はまず薬剤分包袋2を形成する一枚のシートから切断することになり、二枚のシートを同時に切断する場合に比べて小さい力でもって楽に切断することができる。そしてヒートシール部2aで熱融着された熱融着層3bにいたったときは既に一枚のシートは切断されている状態にあるので、二枚のシートを同時に切断し始める力に比べて小さい力で切断し得、鋏等の道具を用いることなく薬剤分包袋2を容易に開封することが可能となる。
【0038】
上記各実施形態において、薬剤分包袋2は一枚のシート3からなる分包袋17を用いて構成(製造)されており、薬剤分包袋2を単体でみれば、シート片部10,11、ヒートシール部2a,2b、およびシート片部10,11、ヒートシール部2a,2bによって形成される薬剤収納空間2cからなり、シート片部10,11の縁部10a,11aの縁辺10b,11bを幅方向にずらしている。そして、上記各実施形態では、ロール体4を設けてこのような構成を有する薬剤分包袋2を連続して製造するようにしているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明は一包ずつの薬剤分包袋2を製造する場合にも適用可能であり、この場合でもシート片部10,11の縁部10a,11aの縁辺10b,11bを幅方向にずらしてあればよく、このようにすることにより切断を楽に行うことができる。
【0039】
図1乃至図3に示した実施形態では、予めシート3をその幅方向中心に対して所定量だけ幅方向へオフセットされた位置で長さ方向に沿って折った分包紙17とし、分包紙17のシート片部10,11の縁部10a,11aの縁辺10b,11bどうしを幅方向にずらした位置とし、このような分包紙17をロール体4として薬剤分包袋2を製造している。また、図4乃至図6に示した実施形態では、ロール体4からシート3を繰り出す途中でシート3を二つ折りにして分包袋17とし、これに薬剤12を投入してヒートシールを行うことで薬剤分包袋2とした。しかし、シート片部10,11の縁部10a,11aの縁辺10b,11bどうしを幅方向にずらすといった点においては上記各実施形態に限定されず、一旦シート3をその幅方向中心で折って、その後シート片部10,11の縁部10a,11aの縁辺10b,11bどうしを幅方向にずらすようにして上記のようなヒートシールを行ってもよい。さらに分包袋17は薬剤12の分包に用いたがこれに限定されず、分包を必要としたり分包が便利である物品であれば、本発明の分包紙17は適用可能である。
【0040】
さらに、シート片部10,11の縁部10a,11aの縁辺10b,11bを幅方向に相対的に位置ずれさせるためには、図1乃至図3に示した実施形態に限定されるものではない。例えば、シート3をその幅方向中心で折り曲げ、シート片部10,11の縁部10a,11aの縁辺10b,11bどうしを従来と同様に一致させ、ヒートシールを施す前あるいはヒートシールを施した後にシート片部10,11の何れかの縁部10a,11aを長さ方向に切除することで、縁部10a,11aどうしが幅方向に相対的に位置ずれした薬剤分包袋2(分包紙17)を製造することも可能である。この場合、特にヒートシール部2aの位置は、縁部10a,11aの縁辺10b,11bを含まず縁辺10b,11bから幅方向に位置ずれさせた近傍位置で行い、何れかの縁部10a,11aを切除する。このようにした薬剤分包袋2でも、上記各実施形態と同様の作用効果を奏し得る。尚、図2は印刷部40を省略した図としているが、このような印刷部40は必要に応じて設ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態を示す薬剤包装装置の内部構造の一部を示す斜視図。
【図2】同じく薬剤包装装置を用いて薬剤分包袋を製造する際の要部拡大斜視図。
【図3】同じく薬剤分包袋の断面図。
【図4】別の実施形態を示す薬剤包装装置を用いて薬剤分包袋を製造する際の要部拡大斜視図。
【図5】同じく概略平面図。
【図6】同じく概略側面図。
【符号の説明】
【0042】
1…薬剤包装装置、2…薬剤分包袋、2a,2b…ヒートシール部、3…薬剤分包袋形成用シート、3a…基材、4…ロール体、7…投入部、13…シール部、10,11…シートのシート片部、10a,11a…縁部、10b,11b…縁辺、12…薬剤、13…シール部、14…分包紙、25…折り畳みガイド、26…長手方向シール部、27…幅方向シール部、28…ヒートシール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側縁部どうしが向い合うように二つ折りされた長尺のシートからなり、対向するシート片部の間に薬剤が投入され、両側縁部どうしがヒートシールされて薬剤分包袋が形成される分包紙であって、
前記両側縁部のうち一方の縁部の縁辺が他方の縁部の縁辺に対してシートの幅方向に位置ずれしていることを特徴とする分包紙。
【請求項2】
長尺のシートをロール状に巻き回したロール体からなることを特徴とする請求項1記載の分包紙。
【請求項3】
両側縁部どうしが向い合うように二つ折りされた長尺のシートからなり、対向するシート片部の間に薬剤が投入され、両側縁部どうしがヒートシールされた薬剤分包袋であって、
前記両側縁部のうち一方の縁部の縁辺が他方の縁部の縁辺に対してシートの幅方向に位置ずれしていることを特徴とする薬剤分包袋。
【請求項4】
両側縁部どうしが向い合うように二つ折りされた長尺のシートからなり、対向するシート片部の間に薬剤が投入され、両側縁部どうしがヒートシールされた薬剤分包袋の製造方法であって、
前記長尺のシートをロール状に巻き回してロール体とし、該ロール体からシートを繰り出しつつ前記両側縁部のうち一方の縁部の縁辺を他方の縁部の縁辺に対してシートの幅方向に位置ずれさせ、対向するシート片部の間に薬剤を投入し、両側縁部どうしをヒートシールすることを特徴とする薬剤分包袋の製造方法。
【請求項5】
両側縁部どうしが向い合うように二つ折りされた長尺のシートからなり、対向するシート片部の間に薬剤が投入され、両側縁部どうしがヒートシールされた薬剤分包袋の製造方法であって、
前記シートを幅方向中心に対して幅方向へオフセットした位置で該シートの長さ方向に二つ折りしてロール体とし、該ロール体からシートを繰り出しつつ対向するシート片部の間に薬剤を投入し、両側縁部どうしをヒートシールすることを特徴とする薬剤分包袋の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−149505(P2006−149505A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−341575(P2004−341575)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】