説明

分子量分布が広く、灰分量が少ないプロピレンのポリマーを製造する方法

【課題】 (a) 活性形のハロゲン化マグネシウム上に担持された少なくとも一つのチタン-ハロゲン結合を有するチタン化合物と内部電子供与体とを含むチーグラー‐ナッタ触媒、(b) トリエチルアルミニウム、(c) 任意成分の外部電子供与体(ED)の存在下でプロピレンと任意成分の少なくとも一種のコモノマーを重合して分子量分布が広く、灰分量が少ないプロピレンのポリマーを製造する方法。繊維、不織布、フィルム、コンデンサフィルムで有用。
【解決手段】内部電子供与体がスクシナート、ジ−ケトンおよびエナミノ(enamino)-イミンから成る群の中から選択される化合物を少なくとも80重量%含み、Al/Tiのモル比が最大で40であり、プロピレンポリマーは重合反応装置から洗浄しないで粉末として回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子量分布が広く、灰分量が少ないプロピレンのポリマー、コポリマーを製造する方法に関するものである。
「灰分」とはプロピレンのポリマーの製造で使用したアルミニウム、触媒、共触媒または任意の添加剤の残渣、例えばチタン(Ti)よび珪素(Si)の誘導体を意味する。
本発明のプロピレンのポリマーはフィルム、例えばコンデンサフィルム、繊維および不織布、例えばステープルファイバ、スパンポンド不織布またはメルトブロー不織布の製造に有用である。
【背景技術】
【0002】
プロピレンホモポリマーおよびコポリマーは下記(a)〜(c)の存在下で製造される:
(a) 活性な形でハロゲン化マグネシウム上に担持されたチタン-ハロゲン結合を有するチタン化合物と少なくとも一つの内部電子供与体とから成るチーグラー‐ナッタ触媒、
(b) 有機アルミニウム化合物、例えばアルキルアルミニウム化合物、
(c)外部電子供与体(ED)(任意成分)
【0003】
内部電子供与体としてはエーテル、ケトン、ラクトン、N、Pおよび/またはS原子を含む化合物、モノ−およびジカルボン酸のエステルから成る群の中から選択される化合物にすることができる。特に適した内部電子供与体はスクシナート、ジエーテル、例えば1,3-ジエーテル、フタル酸エステル、例えばジエチル、ジイソブチル、ジ-n-ブチル、ジオクチル、ジフェニルおよびベンジルブチルフタレートである。
【0004】
重合後、上記のチーグラー‐ナッタ触媒、有機アルミニウム化合物および外部電子供与体(ED)(任意成分)は除去されず、ポリマー中に残る。従って、プロピレンのポリマーには触媒系の残渣、例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)および塩素(Cl)を含む。これらの残渣の全体を「灰分(ash)」という。
【0005】
プロピレンポリマー中の灰分量が高レベルであると、それがプレートアウト(染み出)し、下流の加工装置、例えばフィルムやシートの押出成形ラインや、繊維や不織布の生産ラインを頻繁にクリーニングする必要がある。灰分を減らすにはプロピレンポリマーを洗浄する必要があるが、この洗浄には大きなエネルギーを必要とし、洗浄後にはポリマーを乾燥させる必要があるため、大きなコスト増になる。
【0006】
特許文献1(欧州特許第EP-A-O 449 302号公報)には灰分量が15ppm以下のポリプロピレンを製造する方法が開示されている。このポリプロピレンは例えばコンデンサフィルムに適している。この特許の方法では触媒はチーグラー‐ナッタ触媒であり、内部電子供与体は2-イソプロピル-2-イソアミル-1,3-ジメトキシプロパンまたは2-シクロヘキシル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパンであり、有機アルミニウム化合物はAl-トリイソブチルである。外部電子供与体はない。操作条件は以下の通りである:
(1)Al/Tiのモル比を30にし、
(2)平均滞在時間を6時間にし、
(3)重合を950リットルのループ反応装置中で液体プロピレン中で70℃で実施し、
(4)プロピレンを88.5kg/時で供給し、
(5)ポリプロピレンを46kg/時で生産し、
(6)1gの触媒当りのポリプロピレンの収率は150kgであり、これは25kg/g触媒/時に対応する。
【0007】
ポリプロピレン中のAl残渣は4.5〜4.8ppmである。この方法は収率および生産力が低いため商業的には使えない。
【0008】
特許文献2(国際特許第WO 2007/122240号公報)には重合反応装置中でチーグラー‐ナッタ触媒と、トリエチルアルミニウムと、任意成分の外部電子供与体との存在下でプロピレンと、任意成分の一種以上のコモノマーとを重合させて灰分量が少ないプロピレンのポリマーを製造する方法が開示されている。この方法の特徴はチーグラー‐ナッタ触媒の内部ドナーの少なくとも80重量%ジエーテルから成り、チタンに対するアルミニウムのモル比が最大で40であり、重合反応装置の滞流時間は最大で2時間である。プロピレンポリマーは洗浄せずに粉末として回収され、必要に応じてペレットに加工される。この特許文献2では内部電子供与体としてジエーテルを含むチーグラー‐ナッタ触媒しか開示がない。この方法で作られたプロピレン・ポリマーは分子量分布が狭いため、ある種の用途では不利で、例えば機械特性および加工性が悪い。
【0009】
特許文献3(米国特許第US 5,529,850号明細書)には、内部電子供与体としてジエーテルを含むチグラー−ナッタ触媒を使用してコモノマーの最高で15モル%含むプロピレンのホモポリマーおよびコポリマーの製造方法と、プロピレンのホモポリマーおよびコポリマーの繊維での使用とが開示されている。しかし、この特許で製造されたプロピレンのホモポリマーおよびコポリマーは分子量分布が非常に狭く、多分散性値は2.5〜3.7である。さらに特許文献3にはアルミニウムまたは灰分量の低いプロピレンのホモポリマーおよびコポリマーを製造する方法は記載がない。
【0010】
灰分量が低いポリプロピレンは非常にきれいなプロピレンポリマーを必要とする用途、例えばコンデンサの誘電材料として重要である。電気プレートコンデンサの容量Cは下記で定義される:
C=ε・A・d-1 (式1)
(ここで、εは材料によって決まる誘電率であり、Aは伝導性プレートの面積であり、dは伝導性のプレート間の距離である)
【0011】
伝導性プレート間の距離dは原則として誘電材料の厚さに対応し、例えば印加電圧、コンデンサの要求寿命等によって選ばれる。誘電材料、例えばポリプロピレンフィルムの欠陥を補償するために、上記の式1で要求されるものより厚いフィルムを使用するか、薄いフィルムを複数枚互いに重ねて使用する必要がある。
【0012】
コンデンサ製造メーカーはコンデンサの寸法およびコストを減らすために、伝導性プレート間の距離dを減らすことを強く求めている。換言すれば、コンデンサ製造メーカーは非常に薄いポリプロピレンのフィルムを求めている。コンデンサで使用する時の条件を満たし、しかも、加工性を有するようにするためには、ポリプロピレンフィルムは機械的特性が改善され且つ全灰分量を低くする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許第EP-A-0449 302号公報
【特許文献2】国際特許第WO 2007/122240号公報
【特許文献3】米国特許第US 5,529,850号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、上記要求を満たすプロピレンのポリマーを提供することにある。
本発明の他の目的は、機械特性が改良され且つ灰分量が低いプロピレンポリマーを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、加工性が改良されたプロピレンのポリマーを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、機械特性が改良され、加工性が改良された且つ灰分量が低いプロピレンのポリマーを提供することにある。
本発明者は上記目的の少なくとも一つが達成できるプロピレンポリマーの重合プロセスを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、プロピレンと任意成分の少なくとも一種のコモノマーを下記(a)〜(c):
(a) 活性形のハロゲン化マグネシウム上に担持された少なくとも一つのチタン-ハロゲン結合を有するチタン化合物と内部電子供与体とを含むチーグラー‐ナッタ触媒、
(b) トリエチルアルミニウム、
(c) 任意成分の外部電子供与体(ED)、
の存在下で重合して分子量分布が広く、灰分量が少ないプロピレンのポリマーを製造する方法であって、
上記内部電子供与体がスクシナート、ジ−ケトンおよびエナミノ(enamino)-イミンから成る群の中から選択される化合物を少なくとも80重量%含み、Al/Tiのモル比が最大で40であり、プロピレンポリマーは重合反応装置から洗浄しないで粉末として回収し、必要に応じてペレットに加工されることを特徴とする方法を提供する。
【0016】
本発明はさらに、上記方法で得られるプロピレンポリマーを提供する。このプロピレンポリマーは灰分量が低くかつ分子量分布が広いことで特徴付けられる。
本発明はさらに、上記方法で得られるプロピレンポリマーで作られたフィルム、繊維および不織布と、そのフィルム、繊維または不織布の使用を提供する。
上記フィルムは特にコンデンサフィルムとして使用でき、また、パッケージング用途で使用できる。上記繊維および不織布は特に衛生用品で使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明で「灰分」という用語はアルミニウムと、プロピレンポリマーの製造で使用した触媒、共触媒または任意添加剤、例えばTiおよびSiの誘導体の残渣を意味する。
理解を容易にするために、内部電子供与体としてジエーテル化合物を用いたチーグラー‐ナッタ触媒、内部電子供与体としてスクシナートを用いたチーグラー‐ナッタ触媒、内部ドナーとしてのフタレート化合物を用いたチーグラー‐ナッタ触媒をそれぞれ「ジエーテル触媒」、「スクシナート触媒」および「フタレート触媒」という用語で表すことにする。
【0018】
「プロピレンのポリマー」「プロピレンポリマー」および「ポリプロピレン」という用語は互いに同じ意味を表す。
【0019】
本発明のプロピレンポリマーはプロピレンホモポリマーまたはそれと一種または複数のコモノマーとのランダム共重合体を意味する。コモノマーはエチレンまたはC4-C2Oのα−オレフィン、例えば1−ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンにすることができる。
【0020】
本発明のランダム共重合体は少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.2重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%のコモノマーを含む。コモノマーは最大で2重量%である。ランダム共重合体はプロピレンとエチレンとのコポリマーであるのが好ましい。
【0021】
本発明のプロピレンポリマーはISO 1 133(条件L)に従って2.16kgの荷重下で230℃で測定したのメルトフローインデックスが1〜2000dg/分である。フィルム用途で使用する場合の本発明のプロピレンポリマーのメルトフローインデックスは1〜10dg/分、好ましくは1〜4dg/分、より好ましくは1.5〜4dg/分であるのが好ましい。繊維および不織布用途の場合の本発明プロピレンポリマーのメルトフローインデックスは5dg/分〜2000dg/分(ISO 1 133(条件L)に従って2.16kg荷重下、230℃で測定)である。繊維の紡糸で使用する場合にのプロピレンポリマーのメルトフローインデックスは5dg/分〜40dg/分の範囲である。スパンボンディングで使用する場合のプロピレンポリマーのメルトフローインデックスは少なくとも10dg/分、好ましくは少なくとも15dg/分、より好ましくは少なくとも20dg/分にする。スパンボンディングで使用する場合のプロピレンポリマーのメルトフローインデックスは300dg/分以下、好ましくは200dg/分以下、より好ましくは150dg/分以下、さらに好ましくは100dg/分以下、最も好ましくは60dg/分以下にする。溶融ブロー成形で使用する場合のプロピレンポリマーのメルトフローインデックスは少なくとも100dg/分、好ましくは少なくとも150dg/、より好ましくは少なくとも200dg/分、さらに好ましくは少なくとも250dg/分、最も好ましくは少なくとも300dg/分にする。溶融ブロー成形で使用する場合のプロピレンポリマーのメルトフローインデックスは2000dg/分以下、好ましくは1800dg/分以下、より好ましくは1600dg/分以下、さらに好ましくは1400dg/分以下にする。
【0022】
チーグラー‐ナッタ触媒は少なくとも一つのチタン-ハロゲン結合を有するチタン化合物と、内部ドナーとを含む。これら両者は活性形のハロゲン化マグネシウムに担持される。
【0023】
本発明で使用する内部ドナーはスクシナート、ジケトン、エナミノ−イミン(enamino-imine)またはこれらの混合物、または、これらと異なる内部ドナー、例えばフタレートまたはジエーテルとの混合物(これらの混合物は内部ドナーとしてのスクシナート、ジ−ケトン、エナミノ−イミンまたはこれら混合物を含むチーグラー‐ナッタ触媒と同等な重合挙動を示す必要がある)である。内部ドナーの混合物は例えばスクシナートとフタレートの混合物またはスクシナートとジエーテルとの混合物にすることができる。好ましい内部ドナーはスクシナートか、スクシナートとフタレートとの混合物である。
【0024】
上記のような内部ドナー混合物を含むチーグラー‐ナッタ触媒の代わりに、スクシナートを含むチーグラー‐ナッタ触媒と、ジ−ケトン、エナミノ−イミンまたは内部ドナーとしてのこれらの混合物との混合物や、チーグラー‐ナッタ触媒と異なる内部ドナーとの混合物を使用することもできる。例えば、スクシナート触媒とジエーテル触媒との混合物またはスクシナートとフタレート触媒との混合物を使用することができる。
【0025】
内部ドナーの混合物を含む一つのチーグラー‐ナッタ触媒を使用する場合あまいは各々が異なる電子供与体を含むチーグラー‐ナッタ触媒の混合物を使用する場合でも、スクシナート、ジケトンまたはエナミノ−イミンから成る群の中から選択される内部ドナーを内部ドナーの全重量の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%含むのが好ましい。内部ドナーはスクシナート、エナミノ−イミンまたはジケトンであるのが好ましい。最も好ましいのは内部ドナーが基本的にスクシナートから成るもの、すなわち他の化合物、例えばスクシナートの生産プロセスに起因する不純物を除いた他の化合物を含まないもの、すなわち、内部ドナーはスクシナートであるのが好ましい。
【0026】
内部ドナーとしてスクシナート、ジケトンまたはエナミノ−イミンを含むチーグラー‐ナッタ触媒は無水ハロゲン化マグネシウムとアルコールとを反応させ、チタンハロゲン化物とチタネーションし、内部ドナーとしてのスクシナート、ジケトンまたはエナミノ−イミン化合物と反応させて得られる。この触媒は約2〜6重量%のチタンと、約10〜20重量%のマグネシウムと、約5〜30重量%の内部ドナーとを含み、残りは塩素および溶剤から成る。
【0027】
本発明に適したスクシナート化合物は下記の式を有する:

【0028】
(ここで、R1〜R4は互いに同じでも異なっていてもよく、水素またはC1〜C20の直鎖または分岐したアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリール基を表し、必要に応じて異種原子を含んでいてもよく、また、R1〜R4が同じ炭素原子に結合して環を形成していてもよく、R5とR6は互いに同じでも異なっていてもよく、直鎖または分岐したアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリール基を表し、必要に応じて異種原子を含むことができる)
【0029】
本発明に適したジケトンは下記式の1,3−ジケトンである:

【0030】
(ここで、R2とR3は互いに同じでも異なっていてもよく、水素またはC1〜C20の直鎖または分岐したアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリール基を表し、必要に応じて異種原子を含んでいてもよく、R2とR3が同じ炭素原子に結合して環を形成していてもよく、R1とR4は互い同じでも異なっていてもよく、直鎖または分岐したアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリール基を表し、必要に応じて異種原子を含んでいてもよい)
【0031】
本発明に適したエナミノ−イミン(enamino-imines)は下記一般式を有する:

【0032】
(ここで、R2とR3は互いに同じでも異なっていてもよく、水素またはC1〜C20の直鎖または分岐したアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリール基を表し、必要に応じて異種原子を含んでいてもよく、また、R2とR3が同じ炭素原子に結合して環を形成していてもよく、R1とR4は互いに同じでも異なっていてもよく、直鎖または分岐したアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリール基を表し、必要に応じて異種原子を含んでいてもよい)
【0033】
本発明に適したジエーテルは下記式の1,3-ジエーテルである:
12C(CH2OR3)(CH2OR4
(ここで、R1とR2は互いに同じでも異なっていてもよく、C1〜C18アルキル、C3〜C18シクロアルキルまたはC7〜C18芳香属炭化水素基であり、R3とR4は互いに同じでも異なっていてもよく、C1〜C4アルキル基であるか、位置2の炭素原子が5、6または7つの炭素原子を有する環または多環構造に属し、2つまたは3つの不飽和基を有する1,3−ジエンである)
【0034】
このタイプのエーテルは下記文献に記載されている。
【特許文献4】欧州特許第EP-A-O 361 493号公報
【特許文献5】欧州特許第EP-A-O 728 769号公報
【0035】
上記ジエーテルの例は2-メチル-2-イソプロピル-1,3- ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3- ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-シクロ−ペンチル-1,3- ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソアミル-1,3-ジメトキシプロパン、9,9-ビス(メトオキシメチル)フルオレンである。
【0036】
本発明に適したフタレートはアルキル、シクロアルキルおよびアリールフタレートから選択され、例えばジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジ-n-ブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジフェニルフタレートおよびベンジルブチルフタレートである。
【0037】
内部ドナーとしてスクシナート、ジエーテル、フタレート等を含むチーグラー‐ナッタ触媒は例えばBasell社からAvant ZNの商品名で市販されている。
【0038】
本発明の重合プロセスにおいて外部電子供与体(ED)は任意(オプション)であるが、重合を外部電子供与体(ED)の存在下で実行するのが好ましい。適した外部電子供与体(ED)にはシラン誘導体、エーテル、エステル、アミン、ケトン、複素環式化合物およびこれらの混合物が含まれる。上記の1,3-ジエーテルまたはシランを使用するのが好ましく、下記一般式のシラン誘導体を使用するのが最も好ましい:
apbqSi(ORc(4-p-q)
(ここで、Ra、RbおよびRcは炭化水素基、特にアルキルまたはシクロアルキル基を表し、pおよびqは0〜3の数、p+qの和は3以下であり、Ra、RbおよびRcは互い独立して選択され、互いに同じでも異なっていてもよい)
【0039】
この種のシラン誘導体の具体例は(tert-ブチル)2Si(OCH32、(シクロヘキシル)(メチル)Si(OCH32(「Cドナー」いう)、(フェニル)2Si(OCH32、(シクロペンチル)2Si(OCHs2(「Dドナー」という)である。
【0040】
本発明方法で使用する有機アルミニウム化合物はトリエチル・アルミニウム(TEAL)である。このトリエチルアルミニウムはAlH3で表される水素化物の含有量がトリエチルアルミニウムに対して1.0重量%以下であるのが有利である。この水素化物の含有量は0.1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下であるのが最も好ましい。有機アルミニウム化合物がトリアルキルアルミニウム以外の他の化合物、例えばトリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、少なくとも2つのAl原子を含む直鎖または環式のアルキルアルミニウム化合物をマイナー量で含む場合でも、これらがTEALと同等な重合挙動を示すかぎり、本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0041】
本発明方法で、Al/Tiのモル比は最大で40、好ましくは10〜40、さらに好ましくは15〜35の範囲である。外部電子供与体(ED)が存在する場合の、Al/EDのモル比は最大で250、好ましくは5〜200の範囲であるのが好ましい。
【0042】
最初の重合反応装置に供給される前の触媒系は予備混合および/または予備重合階段を経たものであるのが好ましい。予備混合物階段ではトリエチルアルミニウム(TEAL)と外部電子供与体(ED)を予備接触させたものをチーグラー‐ナッタ触媒と0℃〜30℃の範囲、好ましくは5℃〜20℃の温度で最大で15分間混合する。TEAL、外部電子供与体およびチーグラー‐ナッタ触媒の混合物をプロピレンと10℃〜100℃、好ましくは10℃〜30℃で1〜30分間、好ましくは2〜20分間予備重合する。
【0043】
プロピレンと一種または複数のコモノマー(任意成分)の重合は公知の方法で実行できる。この重合は反応媒体として例えば液体プロピレンを用いて実行できる。また、希釈剤、例えば重合(スラリー重合)条件下で不活性な炭化水素を用いて実行することもできる。また、気相で実行することもできる。
【0044】
発明方法では、液体プロピレンを20℃〜100℃温で重合してプロピレンのホモポリマーおよびランダム共重合体を作るのが好ましい。温度は60℃〜80℃が好ましく、圧力は大気以上にすることができる。圧力は25〜50バールにするのが好ましい。
【0045】
水素はプロピレンポリマーの鎖長を制御するのに用いる。MFIの高い、すなわち平均分子量が低く、ポリマー鎖が短いプロピレンポリマーを製造する場合には重合媒体中の水素濃度を増加させる必要がある。逆に、MFIが低い、すなわち平均分子量が高く、ポリマー鎖の長いプロピレンポリマーを製造するには重合媒体中の水素濃度を減少させなければならない。
【0046】
本発明では少なくとも2つの連続した重合反応装置すなわち直列に接続した少なくとも2つの重合反応装置でプロピレンポリマーを製造し、少なくとも2つの連続した重合反応装置で平均分子量およびメルトフローインデックスが異なるプロピレンポリマー画分を製造することができる。本発明のプロピレンポリマーは別々の重合反応装置で製造された各プロピレンポリマー画分を含む少なくとも2つのプロピレンポリマー画分から成る。実際には、重合媒体中の水素濃度が異なる少なくとも2つの重合反応装置で平均分子量が異なるプロピレンポリマーを製造することができる。
【0047】
プロピレンポリマーを3、4または5つの連続した重合反応装置で製造できるということは当業者に明らかであるが、2つまたは3つの連続した重合反応装置でプロピレンポリマーを生産し、最初の重合反応装置の貢献度をプロピレンポリマーの全重量の35重量%〜65重量%にするのが好ましい。3つの連続した重合反応装置を用いる場合には、気相重合反応装置の後に2つの連続したループ重合反応装置を用いるのが好ましい。
【0048】
本発明で製造されるプロピレンポリマーの特徴は多分散性指数(PI)が6〜9である点にある。この多分散性指数(PI)を最初に記載したものはZeichnerおよびPatelの下記文献である:
【非特許文献1】Proceedings of the 2nd World Congress of Chemical Engineering, Montreal, Canada, 6, 373 (1981)
【0049】
多分散性指数(Pl)は下記で定義される
PI=105Pa・Gc-1 (式2)
【0050】
(ここで、Gcは貯蔵モジュラスG'と減失モジュラスG''とが交差する時のモジュラス、すなわちG'=G''のモジュラスで、Paで表される。
【0051】
上記文献では上記交差点を「クロス−オーバー・ポイント」と呼んでいる。貯蔵モジュラスG'と減失モジュラスG''は溶融ポリマーサンプルの動的レオロジの測定で得ることができる。
【0052】
プロピレン、一種または複数のコモノマー(任意成分)および水素は各重合反応装置に供給される。少なくとも2つの連続した重合を使用した場合、各反応装置へ異なる水素/プロピレン比で水素を供給し、従って、各反応装置での水素濃度を違える。従って、各反応装置で分子量の異なるプロピレンが生産され、最後の重合反応装置から回収されるプロピレンポリマーの分子量分布(MWD)を変えることができる。重合触媒、トリエチルアルミニウム(TEAL)および任意成分の外部電子供与体(ED)は必要に応じて使用前に予備混合および/または予備重合してから連続した重合反応装置の最初の重合反応装置のみに供給する。
【0053】
少なくとも2つの重合反応装置を順次使用する場合、重合媒体を含むプロピレンポリマーを適切な手段を使用して一つの重合反応装置から抜き出して次の重合反応装置へ供給する。連続した重合反応装置の最後の重合反応装置からプロピレンポリマーを粉末の形で洗浄せずに回収し、必要に応じて造粒階段でペレットに成形する。
【0054】
各重合反応装置の滞流時間は最大で2時間、好ましくは最大で1.5時間、より好ましくは最大で1.25時間である。重合反応装置での滞流時間は少なくとも0.25時間、好ましくは少なくとも0.5時間、より好ましくは少なくとも0.75時間である。
【0055】
重合触媒の生産性は1gの触媒当り20kg以上のプロピレンポリマーである。この生産性は1gの触媒当り25kg以上、好ましくは30kg以上のプロピレンポリマーであるのが好ましい。
【0056】
本発明のプロピレンポリマーの特徴はチタン含有量が低く、アルミニウム量が低い点にある。
【0057】
本発明のプロピレンポリマーのチタン含有量は最大で2ppm、好ましくは最大で1.5ppm、より好ましくは最大で1.25ppm、さらに好ましくは最大で1ppmである
【0058】
本発明のプロピレンポリマーのアルミニウム含有量は最大で30ppm、好ましくは最大で25ppm、より好ましくは最大で20ppm、さらに好ましくは最大で15ppmである。
【0059】
本発明のプロピレンポリマーの塩素含有量は最大で15ppm、好ましくは最大で12ppmである。
本発明のプロピレンポリマーのマグネシウム含有量は最大で5ppmである。
【0060】
本発明のプロピレンポリマーの全灰分量は最大で60ppm、好ましくは最大で55ppm、より好ましくは最大で50ppm、さらに好ましくは最大で45ppmである。
【0061】
本発明のプロピレンポリマーの特徴はキシレン可溶分の含有量が低い点にある。このキシレン可溶分の含有量は全プロピレンポリマーに対して2.0重量%〜5.0重量%である。キシレン可溶分の含有量はAl/ED比に依存する。ここで、EDは外部電子供与体を表す。このAl/ED比は所望のキシレン可溶分含有量となるように簡単に変えることができる。
【0062】
本発明のプロピレンポリマーの特徴は、mmmmペンタッドの含有量を測定した時のアイソタクシティー(isotacticity)が非常に高い点にある。このmmmmペンタッドの含有量は97.0%〜99.0%である。このアイソタクシティーは下記文献に記載の方法でNMR解析で決定される:
【非特許文献2】isotacticityは、GJ. Ray et al. in Macromolecules, vol. 10, n .degree. 4, 1977, p. 773-778
【0063】
驚くことに、キシレン可溶分の含有量が、2.0重量%〜5.0重量%の範囲にあることで特徴付けられるプロピレンポリマーが優れた生産性、例えば高いTEAL/プロピレン比を使用した重合プロセスと同じ生産性で製造できる、ということが確認されている。
【0064】
さらに驚くことは、本発明のプロピレンポリマーは、その最終物品、例えばフィルム、繊維および不織布は加工性と機械特性の両方を併せ持つことである。
【0065】
本発明のプロピレンポリマーは他の添加剤、例えば抗酸化剤、光安定剤、酸スカベンジャ、滑剤、帯電防止剤、核剤/清澄化剤、着色剤を含むことができる。この種の添加剤の概要は下記文献に記載されている。
【非特許文献3】Plastics Additives Handbook, ED. H. Zweifel, 5th EDition, 2001, Hanser Publishers
【0066】
本発明のプロピレンポリマーは特にフィルム、例えばキャストフィルム、ブロー成形フィルム、2軸配向フィルムの用途に適している。この種のフィルムは包装用途に適していきる。本発明のプロピレンポリマーはコンデンサフィルムに特に適している。
【0067】
本発明のプロピレンポリマーをフィルムにした場合、そのフィルムは本発明のプロピレン・ポリマーをフィルム全重量に対して少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70〜80重量%または90重量%、より好ましくは少なくとも95.0重量%または97.0重量%、さらに好ましくは少なくとも99.0重量%含むのが好ましい。フィルムは本発明のプロピレンポリマーから成るのが最も好ましい。
【0068】
フィルムで使用する本発明のプロピレンポリマーはホモポリマーであるのが好ましく、そのメルトフローインデックスは1〜10dg/分、好ましくは1〜4dg/分、より好ましくは1.5〜4dg/分の範囲にするのが好ましい。フィルム用途に好適なポリマーの特徴はキシレン可溶分がプロピレンポリマーの全重量に対して最大で2.5重量%、好ましくは最大で2.2重量%、より好ましくは最大で2.1重量%、さらに好ましくは最大で2.0重量%である点にある。さらに、上記のように、塩素、マグネシウム、アルミニウム、チタンおよび全灰分の含有量が低いことも特徴である。
【0069】
本発明のプロピレンポリマーは繊維および不織布の用途、例えばステープルファイバ、スパンポンド不織布、メルトブロー不織布に特に適している。ステープルファイバは熱結合された不織布を作るのに使用できる。熱結合された不織布およびスパンポンド不織布は衛生用途、例えばおしめ、女性用衛生用品、建設用途または土木用途で使用できる。一般に、一種または複数のメルトブロー不織布と一緒に使用される。メルトブロー不織布は濾過の用途に特に適している。
【0070】
本発明のプロピレンポリマーで作った繊維および不織布は、本発明のプロピレンポリマーを繊維または不織布の全重量に対して少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、80重量%または90重量%、より好ましくは少なくとも95.0重量%または97.0重量%、さらに好ましくは少なくとも99.0重量%含むのが好ましい。
【0071】
繊維または不織布は本発明のプロピレンポリマーのみから成るのが最も好ましい。繊維および不織布用途に適したプロピレンポリマーはホモポリマーである。
【実施例】
【0072】
以下、本発明の実施例と効果を示す。
本発明のプロピレンポリマーおよび比較例のプロピレンポリマーは下記のパイロットプラントの重合手順に従って製造した:
溶液としてのヘキサン中のトリエチル・アルミニウム(TEAL)と、ジ−シクロペンチル−ジ−メトオキシシラン(Dドナー)のヘキサン溶液とを室温で約1分間予備接触させた後、1リットルのスラリー当り17gの触媒を含む油性のスラリー形の重合触媒を添加し、得られた混合物を15℃の温度に保たれたプレ重合ループ反応装置に注入し、室温で約5分混合して予備重合した。次いで、予備重合した触媒系を所定温度に設定された2つの直列連結された150リットルのループ反応装置の最初のループ反応装置に供給した。このループ反応装置には目標とするMFIを得るのに十分な量のプロピレンと水素とを連続的に供給した。Al/Tiモル比は[表1]に示す範囲を維持するようにした。プロピレンの流速は、反応装置中のポリマー濃度が0.40kg以上となるように、反応装置中のポリマー・スラリー密度を制御して行なう。反応装置中の平均滞流時間は70〜90分にした(工業的プロピレン重合プラントの滞流時間はこれより短い)。
【0073】
使用した重合触媒はBasell社から市販のAvant ZN128である。このAvant ZN128は2.4重量%のチタンと、内部ドナーとしてのスクシナート化合物とを含むチーグラー‐ナッタ触媒である。
【0074】
この重合パイロットプラントで製造したプロピレンポリマーに充分な量の抗酸化剤と酸スカベンジャとを加えて、後の加工工程での劣化を減らした。添加後のプロピレンポリマーは溶融押出機を使用してペレットにした。
【0075】
メルトフローインデックス(MFI)はISO 1 133(条件L)に従って2.16kgの荷重下で230℃で測定した。
【0076】
メルトフローインデックス(MFI)は、2.16kgの荷重を有する2300CでのISO 1 133(条件L)に従って測定された。
【0077】
キシレン可溶分(XS)は下記の方法で求める:4.5〜5.5gのプロピレンポリマーを秤量し、フラスコに入れ、300mlのキシレンを加える。撹拌下にキシレンを45分間、還流加熱する。正確に15分間、加熱せずに撹拌した後、フラスコを25℃+/-1℃に温度制御された浴中に1時間セットする。溶液をワットマンNo.4濾紙で濾過し、正確に100mlの溶剤を回収する。溶剤を蒸発させ、乾燥し、残渣を秤量する。キシレン可溶分("XS")すなわちキシレン可溶性分の百分比を下記の式で計算する:
XS(重量%)=(残渣重量/PPの初期全重量)×300
(全ての重量は同じ単位、例えばグラムにする)
【0078】
プロピレン・ポリマーのアルミニウム、マグネシウムおよびチタン含有量は、10gのポリマー・サンプルを使用して原子発光分析と組合せた誘導結合プラズマ法で求めた。アルミニウム、マグネシウムまたはチタン含有量(「Al」、「Mg」または「Ti」)はプロピレンポリマーの全重量に対するppmで与えられる。
【0079】
全灰分含有量は下記の方法で測定する:10gのPPサンプルを白金坩堝で全炭素が消滅するまで燃焼する。冷却後、坩堝を秤量して10gに対する差を灰分量として報告する。灰分量はppmで表される。
【0080】
PP中の塩素含有量は、10gサンプルで求め、WD-XRF法で較正し、ppmで表した。
【0081】
分子量分布はサイズ除外クロマトグラフ(SEC)で高温(145℃)で求めた。10mgのPPサンプルを10mlのTCB(テクニカルグレード)中に160℃で1時間かけて溶かした。WATERSからのAlliance GPCV 2000の分析条件は以下の通り:
容積: +/‐400μl
注入温度: 140℃
カラムと検出器: 145℃
カラムセット: 2つのShodex AT-806MSと1つのStyragel HT6E
流速: 1ml/分
検出器: 屈折計
較正: ポリスチレンの狭い標準
計算:Mark-Houwink式 (log(MPP)=log(MPS)-0.25323)基準
【0082】
ポリマー指数(PI)はPI = 105Pa・Gc-1で与えられる。GcはWATERSのTainstrumentのARESで20%応力で周波数走査動的レオメータを使用して230℃で求めたクロス−オーバー・モジュラス、パスカルである。
【0083】
アイソタクシティー(mmmm%)は上記非特許文献2(GJ. Ray et al. in Macromolecules, vol. 10, n .degree. 4, 1977, p. 773-778)に記載の方法に従ってNMR分析で求めた。これはキシレン不溶PP画分のヘプタン沸騰で得られる乾燥した製品で抽出して行う。この場合、上記で得られたキシレン不溶画分を小さなビットに粉砕し、その2gを秤量し、ソックスレーカートリッジに入れる。抽出は溶剤としてヘプタンを用いてソックスレー装置で15時間実行する。ヘプタン不溶画分をソックスレー・カートリッジから回収し、最低4日、空気乾燥する。その後、ヘプタン不溶画分をNMRを用いてアイソタクシティーを決定することができる。
【0084】
実施例1、比較例1、2
触媒Avant ZN168を用いて実施例1と本発明で必要とされるAl/Ti比の上下の値を採用した比較例1、2とで重合の実行した。[表1]には重合条件とともに1g当りの触媒に対するプロピレンポリマーのg数で表される触媒の生産性を示してある。
実施例1および比較例1、2では、2つのループ反応装置で製造されるプロピレンポリマーの溶融流動指数が測定誤差内で同じになる(すなわち第2の重合反応装置から回収されるプロピレンポリマーの分子量分布がモノモダル(単峰)な分子量分布を有する)ように、重合パイロットプラントを運転した。
得られたプロピレンポリマーの特性は[表2]に示してある。
【0085】
【表1】

【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレンと任意成分の少なくとも一種のコモノマーを下記(a)〜(c):
(a) 活性形のハロゲン化マグネシウム上に担持された少なくとも一つのチタン-ハロゲン結合を有するチタン化合物と内部電子供与体とを含むチーグラー‐ナッタ触媒、
(b) トリエチルアルミニウム、
(c) 任意成分の外部電子供与体(ED)、
の存在下で重合して分子量分布が広く、灰分量が少ないプロピレンのポリマーを製造する方法であって、
上記内部電子供与体がスクシナート、ジ−ケトンおよびエナミノ(enamino)-イミンから成る群の中から選択される化合物を少なくとも80重量%含み、Al/Tiのモル比が最大で40であり、プロピレンポリマーは重合反応装置から洗浄しないで粉末として回収し、必要に応じてペレットに加工されることを特徴とする方法。
【請求項2】
内部電子供与体がスクシナートである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
外部電子供与体(ED)が存在する請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
Al/EDのモル比が最大で250である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
外部電子供与体(ED)が珪素を含む請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法で製造したプロピレンのポリマー。
【請求項7】
多分散性指数(Pl)が6〜9である請求項6に記載のプロピレンのポリマー。
【請求項8】
アルミニウムを最大で30ppm含む請求項6または7に記載のプロピレンのポリマー。
【請求項9】
チタンを最大で2ppm含む請求項6〜8のいずれか一項に記載のプロピレンのポリマー。
【請求項10】
全灰分量が最大で60ppmである請求項6〜9のいずれか一項に記載のプロピレンのポリマー。
【請求項11】
キシレン可溶分の含有量だプロピレンのポリマーの全重量に対して2.0重量%〜5.0重量%の範囲にある請求項6〜10のいずれか一項に記載のプロピレン・ポリマー。
【請求項12】
請求項6〜11のいずれか一項に記載のプロピレンのポリマーから成るフィルム。
【請求項13】
請求項6〜11のいずれか一項に記載のプロピレンのポリマーから成る繊維または不織布。
【請求項14】
請求項12のフィルムのコンデンサフィルムとしての使用。
【請求項15】
請求項13の繊維または不織布の衛生用途での使用。

【公表番号】特表2011−507989(P2011−507989A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537467(P2010−537467)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067462
【国際公開番号】WO2009/077467
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(504469606)トータル・ペトロケミカルズ・リサーチ・フエリユイ (180)
【Fターム(参考)】