説明

分岐アダプタシステム及び充電システム

【課題】複数の電動機械に対して円滑に充電作業を行なうことが可能な分岐アダプタシステム及び充電システムを提供する。
【解決手段】充電用電源11に電気接続される受電コネクタ30と、複数の電気自動車100に対してそれぞれ電気接続される複数の送電コネクタ40と、受電コネクタ30を複数の送電コネクタ40のうちのいずれか一の送電コネクタ40に電気接続する回路切替部50とを有する分岐アダプタ本体20と、受電コネクタ30に電気接続された一の送電コネクタ40による電気自動車100への充電が終了した際に、受電コネクタ30を他の送電コネクタ40に電気接続するように回路切替部50を動作させる制御部70とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車等の電動機械の充電に使用する分岐アダプタシステム、及び、該分岐アダプタシステムを備えた充電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車等のように電力により駆動する電動機械の充電に用いられる充電システムとしては、電動機械と充電器とをケーブルを用いて一対一の関係で接続し、充電器から電動機械に対して電力を供給するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3321074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば電気自動車の場合、急速充電器を用いたとしても低電力状態から80%の充電を実施するにあたり15分〜30分程度を要する。このように、電気自動車の充電にはガソリン車のガソリン補給に比べて比較的長い時間を要するため、必ずしも、充電中に作業者が近くに待機できるとは限らない。したがって、充電時間以上の充電器の占有が懸念され、複数の電気自動車に対して円滑に充電を行なうことができない他、作業者同士のトラブルが生じる虞もある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、複数の電動機械に対して円滑に充電作業を行なうことが可能な分岐アダプタシステム及び充電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係る分岐アダプタシステムは、充電用電源に電気接続される受電部と、複数の電動機械に対してそれぞれ電気接続される複数の送電部と、前記受電部を複数の前記送電部のうちのいずれか一の前記送電部に電気接続する回路切替部とを有する分岐アダプタ本体と、前記受電部に電気接続された一の前記送電部による前記電動機械への充電が終了した際に、前記受電部を他の前記送電部のいずれか一つに電気接続するように前記回路切替部を動作させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記分岐アダプタにおいては、前記制御部が、前記電動機械に電気接続された順に前記複数の送電部に優先順位を付けて、一の前記送電部による電動機械への充電が終了した際に、前記優先順位の順序で前記受電部を他の前記送電部に電気接続するように、前記回路切替部を動作させることが好ましい。
【0008】
そして、本発明に係る充電システムは、上記の分岐アダプタシステムと、前記充電用電源と、複数の前記送電部をそれぞれ前記電動機械に電気接続する給電ケーブルとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の分岐アダプタシステム及び充電システムにおいては、複数の送電部がそれぞれ電動機械に電気接続されている場合に、一の送電部による電動機械への充電作業が終了した際には、受電部を他の送電部に接続させるように回路切替が行われ、これにより、他の送電部による電動機械への充電作業に移行する。したがって、一の電動機械に充電器が占有されることはなく、複数の電動機械に対して円滑に充電作業を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る分岐アダプタシステム及び充電システムの概略構成を示す図である。
【図2】充電システムの動作を説明するフロー図である。
【図3】操作パネルの画面表示の一例を示す図である。
【図4】操作パネルの画面表示の一例を示す図である。
【図5】操作パネルの画面表示の一例を示す図である。
【図6】操作パネルの画面表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る分岐アダプタシステムを備えた充電システムの実施形態を、図1〜6に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の充電システム90は、複数の電気自動車100(100A,100B,100C)に対して電力を供給するものであり、充電器10内に設けられた充電用電源11と、分岐アダプタ本体20と、給電ケーブル60と、制御部70と、を備えている。
【0012】
なお、分岐アダプタ本体20は、制御部70の指令によって動作する構成とされており、即ち、本実施形態においては、制御部70と分岐アダプタ本体20とで分岐アダプタシステム80が構成されている。
【0013】
充電器10は、電気自動車100に充電を行うための充電ステーション等に設置される。この充電器10内に設けられる上記充電用電源11は、単一の電気自動車100への給電に適した電圧の電源とされており、この充電用電源11には充電器10の外部に延びる充電器側ケーブル12が接続されている。また、充電器10内部には、上記制御部70が内臓されている他、該制御部70に接続されて作業者が操作するための操作パネル71が設けられている。
【0014】
充電器側ケーブル12は、一端が充電用電源11に接続されたケーブル本体13と、該ケーブル本体13の他端側に設けられて分岐アダプタ本体20に電気接続するための充電器側コネクタ14とから構成されている。
【0015】
分岐アダプタ本体20は、受電コネクタ(受電部)30と、送電コネクタ(送電部)40と、回路切替部50とを備えている。
受電コネクタ30は、分岐アダプタ本体20の一端側において外部に露呈するように設けられ、上記充電器側ケーブル12の充電器側コネクタ14と嵌合することで充電器側ケーブル12と電気接続する構成とされている。
【0016】
送電コネクタ(送電部)40(40A,40B,40C)は、分岐アダプタ本体20の他端側において外部に露呈するように複数(本実施形態においては3つ)が設けられており、各電気自動車100に給電するための給電ケーブル60がそれぞれ接続可能とされている。
【0017】
回路切替部50は、分岐アダプタ本体20内において受電コネクタ30を複数の送電コネクタ40のうちいずれか一の送電コネクタ40に電気接続するための切替回路であって、制御部70の指令に基づいていずれかの送電コネクタ40に対して受電コネクタ30を接続可能な構成とされている。
【0018】
即ち、回路切替部50は、受電コネクタ30に接続された単一の受電側端子51と、各送電コネクタ40にそれぞれ接続された3つの送電側端子52(52A,52B、52C)とを備えており、一端が受電側端子51に接続された接続子53の他端側がいずれかの送電側端子52に選択的に接続されることで、回路切替可能な構成とされている。
【0019】
給電ケーブル60(60A,60B,60C)は、各送電コネクタ40を各電気自動車100に対してそれぞれ電気接続するためのケーブルであって、本実施形態においては、上記送電コネクタ40と同数の3つが設けられている。この給電ケーブル60は、ケーブル本体61と、該ケーブル本体61の一端側に設けられて上記送電コネクタ40に嵌合する接続コネクタ62と、ケーブル本体61の他端側に設けられて電気自動車100の自動車側コネクタ101に嵌合する給電コネクタ63とを備えている。なお、この給電コネクタ63は、制御部70の指令によって自動車側コネクタ101とロック可能な構成とされている。
【0020】
本実施形態の充電システム90においては、上記のように充電器側ケーブル12、分岐アダプタ本体20及び給電ケーブル60を介して充電用電源11がいずれかの電気自動車100に電気接続されることで、該充電用電源11による電力が単一の電気自動車100に対して伝送されるようになっている。
【0021】
なお、上記充電器側ケーブル12、分岐アダプタ本体20及び給電ケーブル60内には、制御部70、回路切替部50及び電気自動車100を接続する通信線が挿通されており、制御部70はこの通信線を介して回路切替部50及び電気自動車100と相互通信可能とされている。
【0022】
この制御部70は、回路切替部50に対して回路を切り替える指令を送出する他、充電用電源11に対して充電開始及び充電停止の指令を送出し、さらに、給電ケーブル60における給電コネクタ63に対して、自動車側コネクタ101とのロック指令及びロック解除指令を送出する機能を有している。
【0023】
なお、上記回路切替部50は受電コネクタ30を一の送電コネクタ40のみに接続することから充電用電源11の電力が伝送される電気自動車100は一のみに限られるが、受電コネクタ30がいずれの送電コネクタ40に接続されているかに関わらず、給電ケーブル60に接続された全ての電気自動車100と制御部70とは通信可能とされている。
【0024】
次に、図2を参照して、3台の電気自動車100A,100B,100Cが順に給電ケーブル60に接続された場合における分岐アダプタシステム80及び充電システム90の動作について説明する。
【0025】
1台目の電気自動車100Aの充電作業を行う場合は、作業者は電気自動車100Aの自動車側コネクタ101に給電ケーブル60Aの給電コネクタ63を接続し、(ステップS11)、図3に示す操作パネル71の画面表示におけるスタートボタンを押圧する(ステップS12)。これにより、図4に示すように操作パネル71の画面表示が切り替わり、作業者は電気自動車100Aが接続された給電ケーブル60Aに対応するボタン(本実施形態においては、「No.1」のボタン)を押圧する(ステップS13)。これにより、制御部70に対して、給電ケーブル60Aによる充電が指定された旨の信号が入力される。
【0026】
この信号に基づき制御部70は、回路切替部50に対して、給電ケーブル60Aに対応する送電コネクタ40Aに受電コネクタ30の接続を切り替える指令を送出する(ステップS71)。回路切替部50は、当該指令に基づいて回路切替を実行し、受電側端子51と送電側端子52Aとを接続子53が電気接続した状態とする(ステップS51)。
【0027】
制御部70は、ステップS71の後、状態確認を行なう(ステップS72)。この状態確認においては、回路切替部50の回路が正常に切り替わり電気自動車100との電気接続が完了したか否かを確認するともに、電気自動車100Aと相互通信を行い、当該電気自動車100Aのバッテリーの電圧値や充電量等の情報を取得する。また、これと同時に、電気自動車100Aにおいても状態確認が行なわれ、該電気自動車100Aは、充電器10側において充電準備が完了したか否かの情報を取得する(ステップS101)。そして、電気自動車100Aは、ステップS101の後、充電受入指令を制御部70に対して送出する(ステップS102)。
【0028】
制御部70においては、ステップS72の後、給電ケーブル60Aの給電コネクタ63に対してコネクタロック指令を送出する(ステップS73)。これにより、給電ケーブル60Aの電気自動車100Aに対しての接続状態がロックされる。
【0029】
そして、制御部70は、ステップS73の後に、電気自動車100Aからの充電受入指令が入力されたことを条件として、充電用電源11に充電開始指令を送出する(ステップS75)。これにより、充電用電源11から電力が送出され、充電器側ケーブル12、分岐アダプタ本体20及び給電ケーブル60Aを介して電気自動車100Aに電力供給が行われる。
【0030】
電気自動車100Aに電力供給が行われて、バッテリーが所定の充電量に達すると、電気自動車100Aは制御部70に対して充電完了指令を送出する(ステップS103)。制御部70は、この充電完了指令の入力を条件に、充電用電源11に対して充電停止指令を送出し(ステップS76)、これにより電気自動車100Aへの電力供給が停止される。
【0031】
ステップS76の後、制御部70は、給電ケーブル60Aの給電コネクタ63に対してコネクタロック解除指令を送出する(ステップS77)。これによって、給電ケーブル60Aの給電コネクタ63と電気自動車100Aの自動車側コネクタ101とのロックが解除される。そして、作業者が、給電ケーブル60Aの給電コネクタ63を電気自動車100Aから取り外し(ステップS14)、以上により電気自動車100Aへの充電作業が完了する。
【0032】
続いて、2台目の電気自動車100Bの充電作業を行うべく、1台目の電気自動車100Aの回路指定(ステップS13)後に作業者が2台目の電気自動車100Bに対して給電ケーブル60Bを接続すると(ステップS21)、操作パネル71には図3に示す表示画面が表示される。作業者が、操作パネル71のスタートボタンを押圧すると(ステップS22)、図5に示すように操作パネル71の画面表示が切り替わり、作業者は電気自動車100Bが接続された給電ケーブル60Bに対応するボタン(本実施形態においては、「No.2予約」のボタン)を押圧する(ステップS23)。
【0033】
このステップS23により、制御部70に対して給電ケーブル60Bによる充電が指定された旨の信号が入力され、制御部70が2台目の電気自動車100Bの充電予約を行なう(ステップS81)。これにより、1台目の電気自動車100Aの充電が終了し給電ケーブル60Aのロックが解除されるまで、2台目の電気自動車100Bは待機状態とされる。
【0034】
そして、ステップS76により1台目の電気自動車100Aに接続された給電ケーブル60Aのロックに解除指令が送出されたことを条件として、制御部70は回路切替部50に対して、給電ケーブル60Bに対応する送電コネクタ40Bに受電コネクタ30の接続を切り替える指令を送出する(ステップS82)。回路切替部50は、当該指令に基づいて回路切替を実行し、受電側端子51と送電側端子52Bとを接続子53が電気接続した状態とする(ステップS52)。
【0035】
このステップS52の後、1台目の電気自動車100Aが接続された場合と同様の手順で、制御部70では、状態確認(ステップS83)、コネクタロック指令(ステップS84)、充電開始指令(ステップS85)、充電停止指令(ステップS86)、コネクタロック解除指令(ステップS87)が行なわれ、これに対応して2台目の電気自動車100Bでは、状態確認(ステップS201)、充電受け入れ指令(ステップS202)、充電完了指令(ステップS203)が行なわれる。
【0036】
上記コネクタロック指令ステップS87により給電ケーブル60B給電コネクタ63と電気自動車100Aの自動車側コネクタ101とのロックが解除された後、作業者が給電ケーブル60Bの給電コネクタ63を電気自動車100Aから取り外すことで(ステップS24)、2台目の電気自動車100Bへの充電作業が完了する。
【0037】
そして、3台目の電気自動車100Cの充電作業を行うべく、2台目の電気自動車100Bの回路指定(ステップS23)後に作業者が3台目の電気自動車100Cに対して給電ケーブル60Cを接続した場合(ステップS31)、上記同様、操作パネル71には図3に示す表示画面が表示される。作業者が、操作パネル71のスタートボタンを押圧すると(ステップS32)、図6に示すように操作パネル71の画面表示が切り替わり、作業者は電気自動車100Cが接続された給電ケーブル60Cに対応するボタン(本実施形態においては、「No.3予約」のボタン)を押圧する(ステップS33)。
【0038】
このステップS33により、制御部70に対して給電ケーブル60Cによる充電が指がされた旨の信号が入力され、制御部70が3台目の電気自動車100Cの充電予約を行なう(ステップS91)。そして、ステップS87により2台目の電気自動車100Bに接続された給電ケーブル60Bのロックに解除指令が送出されたことを条件として、制御部70は回路切替部50に対して、給電ケーブル60Cに対応する送電コネクタ40Cに受電コネクタ30の接続を切り替える指令を送出する(ステップS92)。回路切替部50は、当該指令に基づいて回路切替を実行し、受電側端子51と送電側端子52Cとを接続子53が電気接続した状態とする(ステップS53)。
【0039】
この後、2台目の電気自動車100Bの場合と同様の手順で、充電作業が行われ、最終的に作業者が給電ケーブル60Cを電気自動車100Cから取り外すことで、充電作業が終了する。
【0040】
以上のように、本実施形態の分岐アダプタシステム80及び充電システム90においては、複数の送電コネクタ40にそれぞれ給電ケーブル60を介して電気自動車100が接続されている場合、一の送電コネクタ40による電気自動車100への充電作業が終了した際に、制御部70から回路切替部50に対して回路切替指令が送出される。そして、回路切替部50においては、この回路切替指令に基づいて、受電コネクタ30が他の送電コネクタ40に電気接続されるように回路切替を行なうため、分岐アダプタ本体20に給電ケーブル60を介して接続された複数の電気自動車100に自動的に順次電力供給を行なうことができる。
【0041】
したがって、作業者により電気自動車100が長時間放置された場合であっても、一台の電気自動車100によって充電器10が占有されることはないため、複数の電気自動車100に対して円滑に充電作業を行うことができる。
【0042】
また、本実施形態においては、分岐アダプタ本体20に給電ケーブル60を介して電気自動車100を接続した際に、分岐アダプタ本体20に先に接続されている電気自動車100がある場合には、後に接続された電気自動車100の充電予約が行なわれ、その後、先に接続された電気自動車100への電力供給が終了した後に、後に接続された電気自動車100に対して電力供給を行なうこととしている。
【0043】
即ち、制御部70は、電気自動車100に給電ケーブル60を介して電気接続された順に複数の送電コネクタ40に優先順位を付けて、一の送電コネクタ40による電気自動車100への充電が終了した際に、上記優先順位の順序で受電コネクタ30を複数の送電コネクタ40に順次接続するように回路切替部50を動作させることとしている。したがって、分岐アダプタ本体20に接続された順序でもって複数の電気自動車100に対して電力供給が行われるため、これら複数の電気自動車100の充電作業の順番が前後することはなく、作業者同士の不公平を回避して円滑な充電を施すことが可能となる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0045】
例えば、本実施形態においては、制御部70が充電器10に内臓されており、当該制御部70と分岐アダプタ本体20とで分岐アダプタシステム80を構成するものとしたが、制御部70が分岐アダプタ本体20内に設けられていてもよい。
【0046】
また、実施形態においては、分岐アダプタシステム80における分岐アダプタ本体20は、3つの送電部40を備えて3台の電気自動車100が接続される構成としたが、これに限定されることはなく、複数の送電部40を備えて該送電部40と同数の電気自動車100に接続されるものであれが、他の構成であってもよい。
【0047】
さらに、上記実施形態においては、分岐アダプタ本体20に接続された順序で充電作業を行うものとしたが、これに限定されることはなく、1台目の電気自動車100Aの充電作業が終了した後に、残りの2台の電気自動車100B,100Cについて1次充電量(例えば充電量50%)まで充電することを優先して充電作業を順次行うように構成されていてもよい。
【0048】
一例として、充電残容量60%の電気自動車100A、充電残容量40%の電気自動車100B、充電残容量20%の電気自動車100Cがこの順序で分岐アダプタ本体20に接続された場合、まず1台目の電気自動車100Aに対して2次充電量(充電器10によって電気自動車100に充電できる電気自動車100の最大充電量(例えば充電量100%あるいは充電量80%))までの充電を行い、次いで、最も充電残容量の小さい3台目の電気自動車100Cに対して1次充電量まで充電作業を行う。その後、2台目の電気自動車100Bに対して2次充電量までの充電を行い、最後に3台目の電気自動車100Cに対して2次充電量までの充電を行う。即ち、この例においては、充電残容量が最も少ない電気自動車100を1次充電量まで充電することを最優先とし、その後、分岐アダプタ本体20に接続された順に、2次充電量までの充電を行うこととしている。
【0049】
また、これに代えて、1台目の電気自動車100Aに対して2次充電量までの充電を行った後、分岐アダプタ本体20に接続された順に、2台目及び3台目の電気自動車100B,100Cに対して1次充電量までの充電を行い、その後、これら2台目及び3台目の電気自動車100B,100Cにこの順で2次充電量までの充電を行うように構成してもよい。即ち、分岐アダプタ本体20に接続された順序で1次充電量まで各電気自動車100に充電作業を行い、その後、改めて、分岐アダプタ本体20に接続された順序で順次2次充電量までの充電まで充電を行う構成としてもよい。
【0050】
これら構成の場合、例えば営業車としての複数の電気自動車100が休憩時間に一斉に帰還して、該休憩時間終了後に出発するまでの限られた時間中に、全電気自動車100に対して平均的に充電作業を行うことができる。
なお、上記1次充電量は任意に変更可能とされていることが好ましい。これにより、適宜必要な充電量だけ全電気自動車100に対して円滑に充電作業を行うことができる。
【0051】
また、電気自動車100を分岐アダプタ本体20に接続した際に、充電終了時間を指定することができるように構成されていてもよい。これによって、充電終了時刻までに2次充電量までの充電が完了すればよいため、複数の電気自動車100の充電順序を自由に入れ換えることができる。したがって、複数の電気自動車100に対して円滑に充電作業を行なうことが可能となる。
【0052】
さらに、電気自動車100を分岐アダプタ本体20に接続した際に、充電量を指定することができるように構成されていてもよい。これにより、例えば、電気自動車100が最低限走行できるだけの充電を早急に行うことができる。
【0053】
また、電気自動車100を分岐アダプタ本体20に接続した際に、先に分岐アダプタ本体20に接続された電気自動車100の前に割り込んで優先して充電作業を行うことが可能とされていてもよい。これにより、優先して充電を行いたい電気自動車100に対して迅速に充電作業を施すことができる。
【0054】
さらに、本実施形態においては、電気自動車用の分岐アダプタシステム80及び充電システム90について説明したが、本発明の分岐アダプタシステム及び充電システムは、電力によって駆動する各種電動機械用のものに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
10…充電器、11…充電用電源、20…分岐アダプタ本体、30…受電コネクタ(受電部)、40…送電コネクタ(送電部)、40A…送電コネクタ(送電部)、40B…送電コネクタ(送電部)、40C…送電コネクタ(送電部)、50…回路切替部、70…制御部、80…分岐アダプタシステム、90…充電システム、100…電気自動車、100A…電気自動車、100B…電気自動車、100C…電気自動車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電用電源に電気接続される受電部と、複数の電動機械に対してそれぞれ電気接続される複数の送電部と、前記受電部を複数の前記送電部のうちのいずれか一の前記送電部に電気接続する回路切替部とを有する分岐アダプタ本体と、
前記受電部に電気接続された一の前記送電部による前記電動機械への充電が終了した際に、前記受電部を他の前記送電部のいずれか一つに電気接続するように前記回路切替部を動作させる制御部と、を備えることを特徴とする分岐アダプタシステム。
【請求項2】
前記制御部が、
前記電動機械に電気接続された順に複数の前記送電部に優先順位を付けて、
一の前記送電部による電動機械への充電が終了した際に、前記優先順位の順序で前記受電部を他の前記送電部に電気接続するように、前記回路切替部を動作させることを特徴とする請求項1に記載の分岐アダプタシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の分岐アダプタシステムと、
前記充電用電源と、
複数の前記送電部をそれぞれ前記電動機械に電気接続する給電ケーブルとを備えることを特徴とする充電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−139595(P2011−139595A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297947(P2009−297947)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】