説明

分岐機能を備えた搬送装置

【課題】物品を分岐させる分岐機能を備え、しかも、当該分岐機能によって例えば検査といった搬送に付随する作業が妨げられることのない搬送装置を提供する。
【解決手段】第1搬出形態と第2搬出形態とが切替可能となっており、第1搬出形態においては、検査コンベア20の終端から物品としてのPTPシート1が搬出される。一方、第2搬出形態においては、PTPシート1は、検査コンベア20の終端において、ガイド部30にて逸脱を規制され、搬送可能面21に沿って下方へ回り込む。このとき、ストッパ41がフィンガ23に先行するため、PTPシート1が下流側へすべり落ちることがない。そして、PTPシート1の搬送方向が反転させられ、検査コンベア20の下部22よりPTPシート1が搬出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアから物品を分岐させる分岐機能を備えた搬送装置に係り、例えば検査コンベアから本来は集積工程へ搬送されるPTPシート等の物品を前記検査コンベアから別の工程へ搬送するための分岐機能を備えた搬送装置を含む技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、PTPシート1は、図6に示すように、錠剤等が収容される複数のポケット部2を備えており、各ポケット部2単位のシート小片3に切り離すことができるように縦スリット4及び横スリット5が形成されている。
【0003】
かかるPTPシート1は、所定の製造装置によって製造される。該製造装置においては、ポケット部2が形成された長尺状のフィルムを搬送させつつポケット部2に錠剤を投入する工程、アルミニウム等よりなるカバーフィルムを貼着する工程、スリット4,5を形成する工程、PTPシート1単位に打ち抜く工程等を経る。
【0004】
そして、上記工程を経たPTPシート1は、作業員の目視による検査工程を経て、集積工程へと搬送され、その後、バンド装置等へと供される。
【0005】
検査工程においてPTPシート1は、複数列(例えば4列)の検査コンベア上を高速で搬送され、次の集積工程へと搬送される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−225815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、PTPシート1をカートニング装置等の別の装置へ供する場合もある。このような場合、上述した検査工程からPTPシート1を別の工程へ分岐させることが望まれる。
【0007】
しかしながら、高速でPTPシート1を搬送する検査コンベアから別の工程へ分岐させることは困難であった。また、検査コンベアの途中に分岐機構を設ける構成とした場合、検査のための目視を十分に行うことができず、検査に支障を来すことも懸念される。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、物品を分岐させる分岐機能を備え、しかも、当該分岐機能によって例えば検査等の搬送に付随する作業が妨げられることのない搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0010】
手段1.物品に当接して移動する搬送爪にて前記物品を搬送可能な搬送可能面を有したコンベアであって、前記搬送可能面が終端にて下方へ回り込んで反転し始端に連続するよう構成されたコンベアを備えてなる搬送装置において、
前記コンベアの終端から物品を搬出する第1搬出形態と、
前記コンベアの終端において前記物品を前記搬送可能面に沿って下方へ回り込ませ前記物品の搬送方向を反転させることによって、前記コンベアの下部から物品を搬出する第2搬出形態とが切替可能に構成されていることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【0011】
手段1に記載の搬送装置は、物品に当接して移動する搬送爪にて物品を搬送可能な搬送可能面を有したコンベアを備えてなる。当該コンベアは、搬送可能面が終端にて下方へ回り込んで反転し始端に連続するよう構成されている。
【0012】
ここで特に手段1では、第1搬出形態と第2搬出形態とが切替可能となっている。第1搬出形態は、コンベアの終端から物品を搬出するものであり、従来と同様の搬出形態である。一方、第2搬出形態は、コンベアの終端において物品を搬送可能面に沿って下方へ回り込ませ物品の搬送方向を反転させることによって、コンベアの下部から物品を搬出するものである。
【0013】
コンベアの上部で物品の分岐を実現しようとすると、例えば物品を吸着等させて持ち上げる等といった機構が必要となり、分岐機構が複雑になると共にコンベア上での搬送に付随する作業(例えば検査作業)を妨げるおそれがある。特に高速コンベアであれば、上方から物品を持ち上げる等して分岐させる機構自体の設計が困難となる。
【0014】
この点、手段1によれば、コンベアの下部から物品を搬出するようにして分岐を実現するため(第2搬出形態)、コンベア上での搬送は従来と同様のものとなり、コンベア上での搬送に付随する検査等の作業を妨げることがない。また、コンベアの終端において物品を搬送可能面に沿って反転させ下部から搬出するため、物品の吸着・移動などの機構が不要となり、分岐機構を比較的簡単に構成できると共に高速コンベアにも対応できる。
【0015】
なお、第2搬出形態を主たる特徴と捉え、「物品に当接して移動する搬送爪にて前記物品を搬送可能な搬送可能面を有したコンベアであって、前記搬送可能面が終端にて下方へ回り込んで反転し始端に連続するよう構成され、通常時は、前記終端から物品を搬出するコンベアを備えてなる搬送装置において、前記コンベアの終端において前記物品を前記搬送可能面に沿って下方へ回り込ませ前記物品の搬送方向を反転させることによって、前記コンベアの下部から物品を搬出可能に構成されていることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。」としてもよい。
【0016】
手段2.手段1に記載の搬送装置において、
前記第2搬出形態は、前記コンベアの終端において前記搬送可能面に対向し前記物品の逸脱を規制するためのガイド面を有するガイド部によって導出されることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【0017】
手段2では、ガイド部によって上記第2搬出形態が導出される。このガイド部は、コンベアの終端において搬送可能面に対向するガイド面によって、物品の逸脱を規制する。このようなガイド部によって分岐を実現すれば、分岐機構を比較的簡単な構成とすることができる。
【0018】
なお、第1搬出形態と第2搬出形態との切り替えは、このガイド部の着脱によって行うことが考えられる。したがって、「前記ガイド部は着脱可能に設けられており、前記ガイド部の装着によって前記第2搬出形態が導出されること」としてもよい。以下の手段でも同様である。
【0019】
手段3.手段2に記載の搬送装置において、
前記第2搬出形態は、前記コンベアの終端において前記搬送爪に対して所定の間隔を保って先行し、前記搬送方向への前記物品の落下を規制するストッパ爪によって導出されることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【0020】
手段3では、上述したガイド部及びストッパ爪によって第2搬出形態が導出される。ストッパ爪は、コンベアの終端において搬送爪に対して所定の間隔を保って先行し、搬送方向への物品の落下を規制する。
【0021】
コンベアの終端において搬送可能面は、円弧状の断面を有する。そのため、搬送される物品が、上述したガイド面と搬送可能面との隙間を搬送方向(つまり下流側)へすべり落ちることが考えられる。
【0022】
この点、手段3によれば、搬送爪に対して所定の間隔を保って先行するストッパ爪が物品の落下を規制するため、下方へ回り込んだ物品をもほぼ一定の間隔、すなわち搬送爪の間隔とほぼ同様の間隔で搬送することができる。なお、この意味において「前記所定の間隔は、前記搬送方向における前記物品の幅に対応するものであること」としてもよい。以下の手段でも同様である。
【0023】
手段4.手段3に記載の搬送装置において、
前記ストッパ爪と前記搬送爪との間隔を調整可能に構成されていることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【0024】
手段4によれば、ストッパ爪と搬送爪との間隔を調整可能に構成されているため、搬送方向における幅が異なる種々の物品を対象とすることができる。
【0025】
手段5.物品に当接する搬送爪を一定間隔で設けた無端の駆動体が掛装され、当該駆動体の駆動による前記搬送爪の移動によって前記物品を搬送可能な搬送可能面を有したコンベアであって、前記搬送可能面が終端にて下方へ回り込んで反転し始端に連続するよう構成されたコンベアを備えてなる搬送装置において、
前記コンベアの終端から物品を搬出する第1搬出形態と、
前記コンベアの終端において前記物品を前記搬送可能面に沿って下方へ回り込ませ前記物品の搬送方向を反転させることによって、前記コンベアの下部から物品を搬出する第2搬出形態とが切替可能に構成されており、
前記第2搬出形態は、前記コンベアの終端において前記搬送可能面に対向し前記物品の逸脱を規制するためのガイド面を有するガイド部、及び、前記コンベアの終端において前記搬送爪に対して所定の間隔で先行し、前記搬送方向への前記物品の落下を規制するストッパ爪によって導出されることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【0026】
手段5に記載の搬送装置は、物品に当接する搬送爪の移動によって物品を搬送可能な搬送可能面を有したコンベアを備えてなる。搬送爪は、無端の駆動体に一定間隔で設けられており、この駆動体が掛装されて駆動されることで移動する。駆動体は例えば、弾性材料などで形成されたベルトとして具現化される。そして、コンベアは、搬送可能面が終端にて下方へ回り込んで反転し始端に連続するよう構成されている。
【0027】
ここで特に手段5では、第1搬出形態と第2搬出形態とが切替可能となっている。第1搬出形態は、コンベアの終端から物品を搬出するものであり、従来と同様の搬出形態である。一方、第2搬出形態は、コンベアの終端において物品を搬送可能面に沿って下方へ回り込ませ物品の搬送方向を反転させることによって、コンベアの下部から物品を搬出するものであり、コンベアの終端において搬送可能面に対向し物品の逸脱を規制するガイド面を有するガイド部、及び、コンベアの終端において搬送爪に対して所定の間隔で先行し、搬送方向への物品の落下を規制するストッパ爪によって導出される。
【0028】
手段5によれば、コンベアの下部から物品を搬出するようにして分岐を実現するため(第2搬出形態)、コンベア上での搬送は従来と同様のものとなり、コンベア上での搬送に付随する検査等の作業を妨げることがない。また、コンベアの終端において物品を搬送可能面に沿って反転させ下部から搬出するため、物品の吸着・移動などの機構が不要となり、高速コンベアにも対応できる。さらに、ガイド部によって分岐を実現するため、分岐機構を比較的簡単な構成とでき、しかも、搬送爪に対して所定の間隔を保って先行するストッパ爪が物品の落下を規制するため、下方へ回り込んだ物品をもほぼ一定間隔、すなわち搬送爪の間隔とほぼ同様の間隔で搬送することができる。
【0029】
手段6.手段5に記載の搬送装置において、
前記ストッパ爪は、前記駆動体が掛装された終端掛装部の回転軸に取り付けられて回転する回転体の外縁部に突設されていることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【0030】
上述したストッパ爪は、例えば手段6に示すように、駆動体が掛装された終端掛装部の回転軸に取り付けられて回転する回転体の外縁部から突設することが考えられる。このようにすれば、駆動体の駆動によって移動する搬送爪と簡単に同期させることができる。
【0031】
手段7.手段6に記載の搬送装置において、
前記回転軸に対する前記回転体の位相を変更することにより、前記ストッパ爪と前記搬送爪との間隔を調整可能に構成されていることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【0032】
手段7によれば、ストッパ爪と搬送爪との間隔が調整可能に構成されているため、搬送方向における幅の異なる種々の物品を対象とすることができる。しかも、ストッパ爪と搬送爪との間隔は回転軸に対する回転体の位相を変更することで調整されるため、その調整が非常に簡単なものとなる。
【0033】
手段8.手段2乃至7のいずれかに記載の搬送装置において、
前記第2搬出形態においての搬出端となる前記ガイド部の端部に対し少なくとも一部が対向するように設けられ、当該ガイド部との間で物品を押さえ込む押さえ部を設けたことを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【0034】
ガイド部の端部から物品が搬出される際、物品はその前部を下方へ傾斜させて落下することが考えられる。そのため、落下後、ある物品は表向きになり、また、別の物品は裏向きになるといった事態が生じうる。
【0035】
この点、手段8では、押さえ部が、第2搬出形態においての搬出端となるガイド部の端部に対し、少なくともその一部を対向させるように設けられ、当該ガイド部との間で物品を押さえ込む。したがって、落下時における物品の傾斜を小さくすることができ、搬出に際し物品の姿勢を安定させることができる。その結果、例えば搬出した物品を別のコンベアで搬送する場合、あるいは、コンベアでの搬送に続けて物品に対する処理を行う場合等において有利である。
【0036】
手段9.PTPシートに当接する搬送爪が一定間隔で設けられた無端の駆動体を掛装して駆動させ、前記搬送爪の移動によって前記PTPシートを搬送可能な搬送可能面を有し、前記PTPシートの検査を行うための検査コンベアであって、前記搬送可能面が終端にて下方へ回り込んで反転し始端に連続するよう構成された検査コンベアを備えてなる搬送装置において、
前記検査コンベアの終端からPTPシートを搬出する第1搬出形態と、
前記検査コンベアの終端において、前記PTPシートを前記搬送可能面に沿って下方へ回り込ませ前記PTPシートの搬送方向を反転させることによって、前記検査コンベアの下部から前記PTPシートを搬出する第2搬出形態とが切替可能に構成されており、
前記第2搬出形態は、前記検査コンベアの終端において前記搬送可能面に対向し、前記PTPシートの逸脱を規制するガイド面を有するガイド部、及び、前記検査コンベアの終端において前記搬送爪に対して所定の間隔で先行し、前記搬送方向への前記PTPシートの落下を規制するストッパ爪によって導出されることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【0037】
手段9に記載の搬送装置は、上記手段5に記載の搬送装置とほぼ同様の構成となっているため、詳しい説明は割愛する。手段9では特に、搬送装置が、PTPシートを搬送対象とし、PTPシートの検査を行うための検査コンベアを備えてなる。
【0038】
手段9によれば、検査コンベアの下部からPTPシートを搬出するようにして分岐を実現するため(第2搬出形態)、検査コンベア上での搬送は従来と同様のものとなり、検査コンベア上での検査に支障を来たすことがない。また、検査コンベアの終端においてPTPシートを搬送可能面に沿って反転させて下部から搬出するため、物品の吸着・移動などの機構が不要となり、PTPシートの高速な搬送にも対応できる。さらに、ガイド部によって分岐を実現するため、分岐機構を比較的簡単に構成でき、しかも、搬送爪に対して所定の間隔を保って先行するストッパ爪がPTPシートの落下を規制するため、下方へ回り込んだPTPシートをもほぼ一定の間隔、すなわち搬送爪の間隔とほぼ同様の間隔で搬送することができる。
【0039】
この場合、第1搬出形態と第2搬出形態との切り替えにより、PTPシートに対する後工程を切替可能としてもよい。例えば、第1搬出形態は、PTPシートの集積工程への搬出に対応するものとし、一方、第2搬出形態は、PTPシート単体でのカートニング工程への搬出に対応するものとすることが考えられる。
【0040】
また、この場合、上記手段6と同様に、「前記ストッパ爪は、前記駆動体が掛装された終端掛装部の回転軸に取り付けられて回転する回転体の外縁部に突設されていること」としてもよい。さらに、上記手段7と同様に、「前記回転軸に対する前記回転体の位相を変更することにより、前記ストッパ爪と前記搬送爪との間隔を調整可能に構成されていること」としてもよい。
【0041】
手段10.手段9に記載の搬送装置において、
前記第2搬出形態においての搬出端となる前記ガイド部の端部に対し少なくとも一部が対向するように設けられ、当該ガイド部との間でPTPシートを押さえ込む押さえ部を設けたことを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【0042】
ガイド部の端部からPTPシートが搬出される際、PTPシートはその前部を下方へ傾斜させて落下することが考えられる。そのため、落下後、あるPTPシートは表向きになり、また、別のPTPシートは裏向きになるといった事態が生じうる。
【0043】
この点、手段10では、押さえ部が、第2搬出形態においての搬出端となるガイド部の端部に対し、少なくともその一部を対向させるように設けられ、当該ガイド部との間でPTPシートを押さえ込む。したがって、落下時におけるPTPシートの傾斜を小さく、すなわちシート面を搬送可能面に対しほぼ平行にすることができ、搬出に際しPTPシートの姿勢を安定させることができる。その結果、例えば搬出したPTPシートを別のコンベアで搬送する場合、あるいは、コンベアでの搬送に続けてPTPシートを処理する場合等において有利である。
【0044】
手段11.手段9又は10に記載の搬送装置において、
前記第2搬出形態は、前記検査コンベア上で不良判定されたPTPシートの排出に対応するものであることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【0045】
第1搬出形態をPTPシートの集積工程への搬出に対応するものとし、第2搬出形態をPTPシート単体でのカートニング工程への搬出に対応するものとすることが考えられることは既に述べた。
【0046】
これに対し、手段11では、第2搬出形態を、前記検査コンベア上で不良判定されたPTPシートの排出に対応するものとした。このようにすれば、不良判定されたPTPシートを検査コンベアから分岐させることができる。
【0047】
手段12.手段9乃至11のいずれかに記載の分岐機能を備えた搬送装置を具備してなるPTPシートの製造・搬送システム。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0049】
図1は、本実施形態の搬送装置10の搬出形態を示す概略斜視図である。
【0050】
本実施形態において、搬送装置10は、平行に配列されたA、B、C、Dの4台の検査コンベア20を備えてなる。検査コンベア20は、PTPシート1(図6参照)の目視検査を実施するためのものであり、PTPシート1を所定間隔で高速搬送する。具体的には、A〜Dの4台の検査コンベア20により例えば1分間に600シートというスピードでPTPシート1が搬送され、A及びBの検査コンベア20を担当する者、C及びDの検査コンベア20を担当する者という具合に例えば二人の作業員によって、検査コンベア20上を搬送されるPTPシート1のポケット部2に収容された錠剤の不具合が目視にて検査される。
【0051】
検査コンベア20はPTPシート1を搬送可能な搬送可能面21を有しており、この搬送可能面21が、終端において下方へ回り込んで反転し、図示しない始端に連続している。このような検査コンベア20の構成を前提として、搬送装置10は、第1搬出形態と第2搬出形態とを切替可能となっている。
【0052】
第1搬出形態は、PTPシート1を集積工程へ供するためのものである。この形態では、上述した検査コンベア20の終端からPTPシート1を搬出する。検査コンベア20の終端から搬出されたPTPシート1は、別のコンベアによってバッファ装置(集積工程)へ供される。
【0053】
一方、第2搬出形態は、PTPシート1を集積することなく例えば単体でカートニング工程へ供するためのものである。この形態では、上述した検査コンベア20の下部22からPTPシート1を搬出する。これは、終端において搬送可能面21に沿ってPTPシート1を下方へ回り込ませPTPシート1の搬送方向を反転させることによってなされる。検査コンベア20の下部22から搬出されたPTPシート1は、検査コンベア20の下方に配設されたE及びFのコンベア71,72によって裏返しの状態で搬送されていき、カートニング装置(カートニング工程)へ供される。詳しくは、A及びBの検査コンベア20から搬出されるPTPシート1がEコンベア71によって搬送され、C及びDの検査コンベア20から搬出されるPTPシート1がFコンベア72によって搬送される。
【0054】
すなわち、本実施形態の搬送装置10では、搬出形態を切り替えることによって、検査コンベア20からの分岐が実現される。
【0055】
次に、搬送装置10の具体的な構成を、図2、図3に基づいて説明する。図2は、第1搬出形態を導出するための構成を示す説明図である。図3は、第2搬出形態を導出するための構成を示す説明図である。なお、A〜Dの検査コンベア20は同様の構成であるため、ここではA検査コンベア20について説明する。また、図が煩雑になることを避ける意味で、PTPシート1を矩形で示した。
【0056】
最初に第1搬出形態を導出するための構成及び動作について説明する。
【0057】
図2に示すように、検査コンベア20は搬送可能面21を有しており、この搬送可能面21からは搬送爪としてのフィンガ23が突出している。フィンガ23は、PTPシート1に当接してPTPシート1を搬送するためのものであり、検査コンベア20の終端に軸支された終端掛装部としてのローラ24に掛装される駆動体としてのベルト25に所定間隔で設けられている。これによって、フィンガー23は、ベルト25の駆動に伴って移動する。
【0058】
図4(a)には、図2(図3)中の記号Lで示す位置における搬送方向に垂直な断面を示した。図4(a)に示すように、中央部にベルト25が配設されており、左右方向における両端部にガイド27が配設されている。そして、ベルト25とガイド27との中間位置に、一対のレール26が配設されている。かかる構成下、PTPシート1は、レール26の頂面26aで支持されると共に、ガイド27によって左右方向への移動が規制される。つまり、上記搬送可能面21は、レール26の頂面26aを含む面となる。ベルト25には、断面コの字形状のフィンガ23が所定間隔で設けられており、二股に分かれた先端部を搬送可能面21、すなわちレール26の頂面26aよりも上方に突出させた状態となっている。これによって、フィンガ23がベルト25の駆動に伴って移動すると、レール26の頂面26a上のPTPシート1がフィンガ23によって押され搬送されることになる。
【0059】
図2の説明に戻り、検査コンベア20の下流側には、2台のコンベア61,62が配設されている。これら2台のコンベア61,62を、図2中に示す記号を付して、Gコンベア61、Hコンベア62として区別する。G及びHコンベア61,62は、上述した検査コンベア20とほぼ同様の構成となっており、搬送可能面63,64からフィンガ65,66を突出させ、当該フィンガ65,66によってPTPシート1を搬送する。Gコンベア61は、検査コンベア20と同じ高さに設けられており、Hコンベア62は、検査コンベア20の終端とGコンベア61の始端とを跨ぐようにして、検査コンベア20及びGコンベア61よりも上方に設けられている。
【0060】
また、検査コンベア20とGコンベア61との間には、下側ガイド部32と、下側ガイド部32に対して着脱可能な搬送台33とが配設されている。搬送台33は、その上面を搬送面33aとし、検査コンベア20の終端からGコンベア61の始端までPTPシート1の搬送を可能とする。
【0061】
かかる構成によって、検査コンベア20の終端に到達したPTPシート1は、Hコンベア62の下方を移動するフィンガ66によって搬送台33の搬送面33a上を搬送されてGコンベア61の始端に到達し、その後、Gコンベア61によって搬送される。
【0062】
なお、Hコンベア62は、終端部分を中心として回動可能に軸支されており、後述する第2搬出形態においては、図2中に二点鎖線で示すようにして上方に退避可能となっている。
【0063】
以上の構成により、第1搬出形態においては、検査コンベア20の終端からPTPシート1が搬出され、G及びHコンベア61,62によってバッファ装置へPTPシート1が供される。
【0064】
次に第2搬出形態を導出するための構成及び動作について説明する。
【0065】
図3に示すように、第2搬出形態にあっては、上記Hコンベア62が上方に退避させられ、上述した搬送台33に代えて、上側ガイド部31が装着される。そして、この上側ガイド部31と上記下側ガイド部32とにより、ガイド部30が構成される。ガイド部30の検査コンベア20側は、検査コンベア20の搬送可能面21に沿った円弧状の断面を有している。かかるガイド部30の存在により、PTPシート1の搬送可能面21からの逸脱が規制される。つまり、ガイド部30は、PTPシート1を、検査コンベア20の終端において搬送可能面21に沿って下方へ回り込ませPTPシート1の搬送方向を反転させる。
【0066】
また、ベルト25が掛装されるローラ24の回転軸24aには、当該回転軸24aを中心とする円形板状の回転体としての円板40が設けられている。円板40の外縁部には、等間隔に5つのストッパ爪としてのストッパ41が突設されている。このストッパ41は、検査コンベア20の終端において搬送可能面21から突出している。
【0067】
図4(b)には、図3中の記号Mで示す位置における搬送方向に垂直な断面を示した。図4(b)に示すように、中央部にベルト25が配設されており、左右方向における両端部にガイド27が配設されている。そして、ベルト25とガイド27との中間位置に、一対のレール26が配設されている。さらに、ベルト25とレール26との中間位置に、一対の円板40が配設されている。かかる構成により、PTPシート1の逸脱等が規制される。すなわち、レール26の頂面26aと外側のガイド部30のガイド面30aとによって搬送可能面21からの逸脱が規制されると共に、フィンガ23と先行する円板40のストッパ41とによって搬送方向への落下が規制される。
【0068】
なお、本実施形態では、円板40の前記回転軸24aに対する位相を変更可能となっており、回転軸24aに対する位相を変更することにより、フィンガ23とストッパ41との間隔を調整可能となっている。
【0069】
ここで図3の説明に戻る。下側ガイド部32の端部32aがPTPシート1の搬出端となるが、この端部32aに少なくとも一部を対向させるように押さえ部50が設けられている。この押さえ部50は、搬送可能面21から突出するように設けられており、下側ガイド部32との間でPTPシート1を押さえ込む。
【0070】
図4(c)には、図3中の記号Nで示す位置における搬送方向に垂直な断面を示した。図4(c)に示すように、レール26とガイド27との中間位置に、押さえ部50が配設されている。かかる構成により、押さえ部50と外側のガイド部30のガイド面30aとによって搬送可能面21に対する垂直方向にPTPシート1が押さえ込まれる。
【0071】
以上の構成により、第2搬出形態においては、PTPシート1は、検査コンベア20の終端において搬送可能面21に沿って下方へ回り込む。このとき、ストッパ41がフィンガ23に先行するため、PTPシート1が下流側へすべり落ちることがない。そして、PTPシート1の搬送方向が反転させられ、検査コンベア20の下部22よりPTPシート1が搬出される。搬出の際、押さえ部50によってガイド部30のガイド面30aとの間でPTPシート1が押さえ込まれるため、PTPシート1は、そのシート面が搬送可能面21に対してほぼ平行となった状態で、Eコンベア71上に落下する。その後、PTPシート1は、Eコンベア71によって、カートニング装置へ供される。
【0072】
なお、本実施形態では、第1搬出形態と第2搬出形態との切り替えによって検査コンベア20からのPTPシート1の分岐を実現し、集積工程と単体でのカートニング工程とに分岐させるのであるが、集積工程に続く後工程としては種々の構成が考えられる。
【0073】
例えば、図5に示すように、集積工程に続く後工程を、バンド工程のみとすることが考えられる。また、バンド工程+ピロー工程とすることも考えられる。あるいは、記号Iで示すようにピロー工程を経ず、バンド工程+カートニング工程とすることも考えられる。さらに、バンド工程+ピロー工程+カートニング工程とすることも考えられる。
【0074】
次に、本実施形態の搬送装置10によって奏される作用・効果について説明する。
【0075】
本実施形態においては、検査コンベア20の下部22からPTPシート1を搬出するようにして、検査コンベア20からの分岐を実現するようにした(第2搬出形態)。これによって、検査コンベア20上での搬送は従来と同様のものとなり、検査コンベア20上での検査に支障を来たすことがない。具体的には、検査コンベア20の終端においてPTPシート1を搬送可能面21に沿って反転させ下部22から搬出するため(図3参照)、目視による検査を十分に実施できる。また、PTPシート1の吸着・移動などの機構が不要となり、PTPシート1の高速な搬送にも対応できる。
【0076】
また、本実施形態では、ガイド部30によって分岐を実現するため(図3参照)、分岐のための機構の簡素化を図ることができる。しかも、フィンガ23に対して所定の間隔を保って先行するストッパ41がPTPシート1の落下を規制するため、下方へ回り込んだPTPシート1をも一定間隔、すなわちフィンガ23の間隔とほぼ同様の間隔で搬送することができる。
【0077】
さらに、ストッパ41が突設された円板40の前記回転軸24aに対する位相を変更可能となっており、回転軸24aに対する位相を変更することにより、フィンガ23とストッパ41との間隔を調整可能となっている。これによって、搬送方向における幅の異なる種々のPTPシートを対象とすることができる。しかも、フィンガ23とストッパ41との間隔は、回転軸24aに対する円板40の位相を変更することで調整されるため、その調整が非常に簡単なものとなる。
【0078】
さらにまた、本実施形態では、検査コンベア20の下部22からの搬出に際し、押さえ部50によってガイド部30のガイド面30aとの間でPTPシート1が押さえ込まれるため、PTPシート1は、そのシート面が搬送可能面21に対してほぼ平行となった状態で、Eコンベア71上に落下する。すなわち、搬出に際しPTPシート1の姿勢を安定させることができる。これによって、E及びFのコンベア71,72による搬送、また、その後のPTPシート1に対する処理がスムーズになる。
【0079】
以上、上述した実施形態に限定されることなく、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施可能である。
【0080】
(a)上記実施形態では、第2搬出形態が、PTPシート単体でのカートニング工程に対応するものであった。
【0081】
これに対し、第2搬出形態を、検査コンベア20上で不良判定されたPTPシート1の排出に対応するものとしてもよい(図5中の二点鎖線)。このようにすれば、不良判定されたPTPシート1を高速の検査コンベア20から分岐させることができる。
【0082】
(b)上記実施形態はPTPシート1を搬送対象とし検査を目的とした検査コンベア20から分岐させるものであったが、PTPシート1以外の物品を搬送対象とするコンベアについて適用することもできる。特に、第2搬出形態が物品の反転を伴うものであるため、反転させた上で搬送されると好都合なものが物品として採用された場合、別途反転工程を必要としない点でメリットは大きい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】実施形態の搬送装置における搬出形態を示す概略斜視図である。
【図2】第1搬出形態を導出するための構成を示す説明図である。
【図3】第2搬出形態を導出するための構成を示す説明図である。
【図4】搬送方向に垂直な断面を示す概略断面図である。
【図5】集積工程の後工程のバリエーションを示す説明図である。
【図6】PTPシートの平面図である。
【符号の説明】
【0084】
1…PTPシート、10…分岐機能付き搬送装置としての搬送装置、20…検査コンベア、21…搬送可能面、22…下部、23…搬送爪としてのフィンガ、24…終端掛装部としてのローラ、24a…回転軸、25…駆動体としてのベルト、30…ガイド部、30a…ガイド面、31…上側ガイド部、32…下側ガイド部、32a…端部、33…搬送台、40…回転体としての円板、41…ストッパ爪としてのストッパ、50…押さえ部、61,62,71,72…コンベア、63,65…搬送可能面、64,66…フィンガ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に当接して移動する搬送爪にて前記物品を搬送可能な搬送可能面を有したコンベアであって、前記搬送可能面が終端にて下方へ回り込んで反転し始端に連続するよう構成されたコンベアを備えてなる搬送装置において、
前記コンベアの終端から物品を搬出する第1搬出形態と、
前記コンベアの終端において前記物品を前記搬送可能面に沿って下方へ回り込ませ前記物品の搬送方向を反転させることによって、前記コンベアの下部から物品を搬出する第2搬出形態とが切替可能に構成されていることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記第2搬出形態は、前記コンベアの終端において前記搬送可能面に対向し前記物品の逸脱を規制するためのガイド面を有するガイド部によって導出されることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の搬送装置において、
前記第2搬出形態は、前記コンベアの終端において前記搬送爪に対して所定の間隔を保って先行し、前記搬送方向への前記物品の落下を規制するストッパ爪によって導出されることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の搬送装置において、
前記ストッパ爪と前記搬送爪との間隔を調整可能に構成されていることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【請求項5】
物品に当接する搬送爪を一定間隔で設けた無端の駆動体が掛装され、当該駆動体の駆動による前記搬送爪の移動によって前記物品を搬送可能な搬送可能面を有したコンベアであって、前記搬送可能面が終端にて下方へ回り込んで反転し始端に連続するよう構成されたコンベアを備えてなる搬送装置において、
前記コンベアの終端から物品を搬出する第1搬出形態と、
前記コンベアの終端において前記物品を前記搬送可能面に沿って下方へ回り込ませ前記物品の搬送方向を反転させることによって、前記コンベアの下部から物品を搬出する第2搬出形態とが切替可能に構成されており、
前記第2搬出形態は、前記コンベアの終端において前記搬送可能面に対向し前記物品の逸脱を規制するためのガイド面を有するガイド部、及び、前記コンベアの終端において前記搬送爪に対して所定の間隔で先行し、前記搬送方向への前記物品の落下を規制するストッパ爪によって導出されることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【請求項6】
請求項5に記載の搬送装置において、
前記ストッパ爪は、前記駆動体が掛装された終端掛装部の回転軸に取り付けられて回転する回転体の外縁部に突設されていることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【請求項7】
請求項6に記載の搬送装置において、
前記回転軸に対する前記回転体の位相を変更することにより、前記ストッパ爪と前記搬送爪との間隔を調整可能に構成されていることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【請求項8】
請求項2乃至7のいずれかに記載の搬送装置において、
前記第2搬出形態においての搬出端となる前記ガイド部の端部に対し少なくとも一部が対向するように設けられ、当該ガイド部との間で物品を押さえ込む押さえ部を設けたことを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【請求項9】
PTPシートに当接する搬送爪が一定間隔で設けられた無端の駆動体を掛装して駆動させ、前記搬送爪の移動によって前記PTPシートを搬送可能な搬送可能面を有し、前記PTPシートの検査を行うための検査コンベアであって、前記搬送可能面が終端にて下方へ回り込んで反転し始端に連続するよう構成された検査コンベアを備えてなる搬送装置において、
前記検査コンベアの終端からPTPシートを搬出する第1搬出形態と、
前記検査コンベアの終端において、前記PTPシートを前記搬送可能面に沿って下方へ回り込ませ前記PTPシートの搬送方向を反転させることによって、前記検査コンベアの下部から前記PTPシートを搬出する第2搬出形態とが切替可能に構成されており、
前記第2搬出形態は、前記検査コンベアの終端において前記搬送可能面に対向し前記PTPシートの逸脱を規制するガイド面を有するガイド部、及び、前記検査コンベアの終端において前記搬送爪に対して所定の間隔で先行し、前記搬送方向への前記PTPシートの落下を規制するストッパ爪によって導出されることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【請求項10】
請求項9に記載の搬送装置において、
前記第2搬出形態においての搬出端となる前記ガイド部の端部に対し少なくとも一部が対向するように設けられ、当該ガイド部との間でPTPシートを押さえ込む押さえ部を設けたことを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の搬送装置において、
前記第2搬出形態は、前記検査コンベア上で不良判定されたPTPシートの排出に対応するものであることを特徴とする分岐機能を備えた搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−176302(P2006−176302A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−372668(P2004−372668)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】