説明

分散型制御システム

【課題】
端末通信手段同士の通信を、上位の通信手段の仲介に依らず独立して実行させることにより、通信応答時間を短縮することが可能な分散型制御システムを提供する。
【解決手段】
端末通信手段120は、端末通信応答制御手段122と通信応答制御実行条件格納手段160と通信応答データ格納手段161を備え、端末通信応答制御手段122は、通信応答制御実行条件格納手段160に格納される条件にしたがって、通信応答データ格納手段161に格納される情報を他の端末通信手段120へ送信する。これらの格納手段の情報を中央通信手段110によりネットワークを介して設定し、予め格納しておくことにより、端末通信手段120同士の通信をホストコンピュータ100,中央通信手段110,および上位の端末通信手段120の処理と独立して実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の制御対象を分散処理により制御する分散型制御システムに係り、特に複数の駆動軸制御データ信号と入出力データ信号を一つの伝送路に多重化して省配線化した分散型制御システムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
分散型制御システムは、システムの制御全体を管理するホストコンピュータと、簡易な制御機能を搭載し、接続される各種駆動軸(アクチェーター)、入出力機器等の制御を自律して行う端末通信手段と、分散した端末通信手段の制御を管理するための通信機能を搭載し、ホストコンピュータに接続される中央通信手段によって構成され、中央通信手段と複数の端末通信手段を通信線で接続し、ネットワークを構成することにより利用される。
従来、分散配置された複数の駆動軸や入出力機器とホストコンピュータとの制御信号の入出力は、ホストコンピュータに各機器を直接接続することにより行われ、多くの配線を必要とした。
【0003】
また、ホストコンピュータが全ての制御処理を実行するために駆動軸や入出力機器の接続数が膨大になると制御応答性能が著しく悪化するという問題点があった。
【0004】
上記問題を解消するために、ホストコンピュータの制御処理負荷を端末通信手段に分散させ、省配線のためにマルチドロップやデイジーチェーンなどで構成したネットワークに制御情報を時分割し、信号を多重化し、通信によりホストコンピュータがシステム全体の制御管理を行う分散制御システムが利用されるようになった。
【0005】
このような分散制御システムは、自動車,工作機械,チップマウンタ等の産業機械のように制御対象機器の数量や種類が多く、機器の配置が分散しやすい分野で主に利用されている。例えば特許文献1には、産業機械の一つであるチップマウンタに関して、分散制御システムを適用する例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−80575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、このような産業機械では生産スループット向上の要求が著しく、分散型制御システムの応答性能の向上や制御対象機器の増加の要求も高まっている。
【0008】
しかしながら従来の分散型制御システムでは、通信による分散した制御機器同士の連動した制御の応答性や連動した制御の頻度が増加し、ホストコンピュータへの通信の集中や制御処理の集中による遅延時間の増加が、高速化の妨げになるという問題がある。
【0009】
このような問題の解決方法として、通信信号を高速化させることが考えられるが、ネットワーク全体に過剰な通信速度が必要となるため、ネットワークの対ノイズ性能を低下し、また電子デバイスも高スルーレートに対応するためにコストが増大するという課題が生じ、前記特許文献1のチップマウンタにおいてもこのような課題をも避けることは難しかった。
【0010】
本発明は以上述べた従来システムの課題に鑑みてなされたもので、その主な目的とするところは、通信応答時間による遅延を軽減することで、増加する制御対象機器に対しても応答性能に優れた分散型制御システムを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、通信性能の使用率をシステム開発ないし利用者に提示することで、要求性能を保証するネットワークを容易に構成可能な分散型制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記主な目的を達成するための本発明の特徴は、1つ以上の通信ポート、および中央通信制御手段を有する中央通信手段と、1つの上流側通信ポート、2つ以上の下流側通信ポート、識別番号設定手段、入出力制御手段、駆動軸制御手段、端末状態遷移制御手段、および端末通信制御手段を有する複数個の端末通信手段とを備え、前記端末通信手段の上流側通信ポートは、前記中央通信手段の通信ポートまたは前記複数の端末通信手段におけるいずれかの他の端末通信手段の下流側通信ポートに接続され、前記中央通信手段と前記複数の端末通信手段が前記入出力制御手段と前記駆動軸制御手段の少なくとも1つに接続された機器を分散制御する分散型制御システムにおいて、前記中央通信手段は、前記端末通信手段における通信応答実行条件の設定情報を格納する通信応答実行条件設定情報格納手段と、前記端末通信手段から他の端末通信手段へ送信される通信応答データの設定情報を格納する通信応答データ設定情報格納手段を備え、前記端末通信手段は、前記中央通信手段から送信さる自分宛の通信応答実行条件を格納する通信応答制御実行条件格納手段と、前記中央通信手段から送信さる自分宛の通信応答データを格納する通信応答データ格納手段と、前記下流側通信ポートに受信される通信データと前記通信応答制御実行条件格納手段の通信応答実行条件とに応じて、前記通信応答データ格納手段に格納された通信応答データを他の端末通信手段に送信する端末通信応答制御手段とを備えることにより、中央通信手段から端末通信手段に設定情報を予め格納することで、端末通信手段同士の通信応答制御を可能にし、通信応答時間を軽減したところにある。
【0013】
前記他の目的を達成するための本発明の特徴は、更にホストコンピュータを設け、端末通信手段同士の通信による応答時間とネットワーク全体における通信性能の使用率等をシステム利用者に提示することで、分散型制御システムの構築を容易にしたところにある。
【0014】
本発明はさらに、前記中央通信手段への通信応答実行条件および通信応答データの設定を当該ホストコンピュータから設定可能にすること、更には端末通信手段における通信応答実行結果を上位手段に周期的に送信する構成等についても提案するが、これらについては以下に述べる発明の実施の形態で明らかにする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、過剰な通信速度を必要とせずに、増加する制御対象機器に対しても応答性能に優れた分散型制御システムを実現することができ、更には増加する端末通信手段の通信性能を保証する分散型制御システムを容易に構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例に係る分散型制御システムの全体構成を示す図である。
【図2】本実施例のネットワーク通信に用いるパケット形式の例を説明する図である。
【図3】本実施例の通信応答制御実行条件格納手段の詳細と格納方法を説明する図である。
【図4】本実施例の通信応答データ格納手段の詳細と格納方法を説明する図である。
【図5】本実施例の通信周期設定情報格納手段の構成と格納方法を説明する図である。
【図6】本実施例の通信応答制御の処理手順について説明する状態遷移図である。
【図7】本実施例の通信応答制御の処理手順について説明する状態遷移図である。
【図8】本実施例におけるアプリケーションの画面表示例と機能について説明する図である。
【図9】本発明をチップマウンタ装置に適用した場合の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図示する一実施例を参照して説明する。尚、本実施例においては、中央通信手段の各種情報をホストコンピュータから設定するように構成し、端末通信手段における通信応答実行結果をホストコンピュータまで送信するように構成しているが、本発明はこれに限るものではない。
【0018】
また、以下の実施例において、「通信応答制御実行条件」とは下流側通信ポートより受信された通信データの内容に応じて、他の端末通信手段へ通信応答データを送信する通信応答制御の実行条件、「通信応答データ」とは予め中央通信手段から端末通信手段に設定され、端末通信手段から他の端末通信手段へ送信される応答データ、「通信応答制御」とは下流側通信ポートより受信された通信データの内容に応じて、他の端末通信手段への通信データを応答制御する端末通信手段との間における制御、を言うものとする。
【0019】
図1は本発明の一実施例に係る分散型制御システムの構成図である。なお、図中に点線で拡大表示した端末通信手段120はその詳細な構成を示す。
【0020】
本実施例における分散型制御システムは、ホストコンピュータ100と、中央通信手段110と、複数の端末通信手段120とから構成される。
ホストコンピュータ100は、ソフトウェア101と、映像出力手段102と、情報入力手段103とを備える。
【0021】
中央通信手段110は、ホストコンピュータインターフェース手段140と、通信ポート130と、中央通信応答制御手段112と、通信データ格納手段113と、通信応答実行条件設定情報格納手段114と、通信応答データ設定情報格納手段115と、通信応答実行結果格納手段116と、通信周期設定情報格納手段117と、中央通信制御手段111とを備える。
【0022】
端末通信手段120は、上流側通信ポート131と、下流側通信ポート132a、132bと、入出力ポート141と、駆動軸インターフェース手段142と、端末端末通信応答制御手段122、識別番号設定手段123と、入出力制御手段124、駆動軸制御手段125、端末状態遷移制御手段126と、通信周期設定手段127と、通信周期制御手段128、端末通信制御手段121とを備える。
【0023】
端末通信手段120の上流側通信ポート131は、それぞれ中央通信手段110の通信ポート130、または端末通信手段120のうちの他の端末通信手段120における下流側通信ポート132aもしくは下流側通信ポート132bと接続される。また、端末通信手段120の入出力ポート141の先には複数の端末通信手段120毎に異なる制御対象、例えば、リミットスイッチ、ソレノイドアクチュエータ等のI/O機器が接続され、駆動軸インターフェース手段142の先には複数の端末通信手段120毎に異なる制御対象、例えば、サーボモータ、パルスモータ等が接続される。
【0024】
次に、本実施例におけるホストコンピュータ100の動作を説明する。
ホストコンピュータ100は、中央通信手段110のホストコンピュータインターフェース手段140を介した中央通信手段110の各格納手段の情報の格納と、情報の参照を主に行う。
【0025】
ホストコンピュータ100は、あとに示す方法に従って設定される通信応答制御を実行するための判定情報からなる通信応答実行条件設定情報を、中央通信手段110の通信応答実行条件設定情報格納手段114に格納する。
【0026】
また、ホストコンピュータ100は、あとに示す方法に従って設定される通信応答制御により端末通信手段120に送信される通信データからなる通信応答データ設定情報を、中央通信手段110の通信応答データ設定情報格納手段115に格納する。
【0027】
さらに、ホストコンピュータ100は、端末通信手段120の通信応答制御の実行内容と実行回数からなる通信応答実行結果情報を通信応答実行結果格納手段116を参照することにより、端末通信手段120の通信応答制御の実行結果を確認する。
さらに、ホストコンピュータ100は、あとに示す方法に従って設定される通信応答制御実行情報の通信間隔を設定するための通信周期設定情報を、中央通信手段110の通信周期格納手段117に格納する。
さらに、ホストコンピュータ100は、各端末通信手段120の入出力ポート141の出力値である出力データと、駆動軸制御手段125への制御情報または設定情報である駆動軸制御設定情報を中央通信手段110の通信データ格納手段112に格納し、通信ポート130を介して転送される各端末通信手段120の入力データと、駆動軸制御手段125から出力される接続駆動軸の位置情報やアラーム情報である駆動軸状態情報とを、通信データ格納手段を参照し確認する。
【0028】
次に、本実施例における中央通信手段110の動作を説明する。
中央通信手段110は、ホストコンピュータインターフェース手段140を介したホストコンピュータ100とのデータの送受信と、中央通信制御手段111により制御される、通信ポート130を介した各端末通信手段120とのデータの送受信を行う。
【0029】
中央通信制御手段111は、中央通信手段110の各格納手段を参照し、格納手段に格納された情報と、端末通信手段120毎に各端末通信手段120に設定される個別でかつ重複しない識別番号を組み合わせたパケットを作成し、そのパケットを通信信号に変換して通信ポート130から出力する動作と、通信ポート130を介して転送される端末通信手段120の識別番号と端末通信手段120の入力情報や制御状態情報等を組み合わせたパケットの情報を、そのパケットに格納される識別番号に対応した中央通信手段120の各格納手段に格納する動作を行う。
【0030】
中央通信制御手段111は、通信応答実行条件設定情報格納手段114に各端末通信手段120の通信応答制御実行条件設定情報を基に通信応答制御実行条件設定パケットを作成し、通信ポート130を介して各端末通信手段120に送信する。また、中央通信制御手段111は、通信応答データ設定情報格納手段115に各端末通信手段120の通信応答データ設定情報を基に通信応答データ設定パケットを作成し、通信ポート130を介して各端末通信手段120に送信する。
【0031】
さらに、中央通信制御手段111は、通信ポート130を介して転送される、端末通信手段120の通信応答制御実行結果情報を格納した通信応答制御実行結果パケットの情報を、そのパケットに格納される識別番号に対応した通信応答実行結果格納手段116に格納する。
【0032】
さらに、中央通信制御手段111は、通信周期設定情報格納手段117に各端末通信手段120の通信周期設定情報を基に通信周期設定パケットを作成し、通信ポート130を介して各端末通信手段120に送信する。
【0033】
また、中央通信制御手段111は、通信データ格納手段113に格納される出力データを基に出力ポート情報パケットを、駆動軸制御設定情報を基に駆動軸制御設定パケットを作成し、通信ポート130を介して各端末通信手段120に送信し、通信ポート130を介して転送される、端末通信手段120の入出力ポート141からの入力値を格納した入力データパケット、および駆動軸制御手段125から出力される駆動軸状態情報を格納した駆動軸状態パケットの情報を、そのパケットの識別番号に対応した通信データ格納手段113に格納する。
【0034】
次に、本実施例における端末通信手段120の動作を説明する。
端末通信手段120は、端末通信制御手段121により、入出力制御手段124と、入出力ポート141を介した接続機器とのデータの送受信と、駆動軸制御手段125との制御情報の送信および駆動軸状態情報の受信と、上流側通信ポート131を介した中央通信手段110、または他の端末通信手段120とのデータの送受信と、下流側通信ポート132a、または下流側通信ポート132bを介した他の端末通信手段120とのデータの送受信を行う。
【0035】
端末通信制御手段121は、上流側通信ポート131から入力されるパケットが通信応答制御実行条件設定パケットである場合、そのパケットの識別番号情報が識別番号設定手段123で設定される識別番号と一致するなら、通信応答実行条件格納手段160に通信応答実行条件を格納し、一致しないなら、下流側通信ポート132a、および下流側通信ポート132bに上流側通信ポート131から入力された前記パケットを送信する。
【0036】
また、端末通信制御手段121は、上流側通信ポート131から入力されるパケットが通信応答データ設定パケットである場合、そのパケットの識別番号情報が識別番号設定手段123で設定される識別番号と一致するなら、通信応答データ格納手段160に通信応答データを格納し、一致しないなら、下流側通信ポート132a、および下流側通信ポート132bに、上流側通信ポート131から入力された前記パケットを送信する。
【0037】
さらに、端末通信制御手段121は、上流側通信ポート131から入力されるパケットが通信周期設定パケットである場合、そのパケットの識別番号情報が識別番号設定手段123で設定される識別番号と一致するなら、通信周期設定手段116により前記通信周期設定パケットに格納された通信周期情報を設定し、一致しないなら、下流側通信ポート132a、および下流側通信ポート132bに、上流側通信ポート131から入力された前記パケットを送信する。
【0038】
さらに、端末通信制御手段121は、上流側通信ポート131から入力されるパケットが出力データパケットで、そのパケットの識別番号情報が識別番号設定手段123で設定される識別番号と一致するなら、入出力制御手段124に出力データを転送し、一致しないなら、下流側通信ポート132a、および下流側通信ポート132bに、上流側通信ポート131から入力された前記パケットを送信する。
【0039】
さらに、端末通信制御手段121は、上流側通信ポート131から入力されるパケットが駆動軸制御設定パケットで、そのパケットの識別番号情報が識別番号設定手段123で設定される識別番号と一致するなら、駆動軸制御手段125に出力データを転送し、一致しないなら、下流側通信ポート132a、および下流側通信ポート132bに、上流側通信ポート131から入力された前記パケットを送信する。
【0040】
また、端末通信制御手段121は、入出力ポート141からの入力値が変化したならば、その入力値と、識別番号設定手段123で設定される識別番号とを組み合わせた入力データパケットを上流側ポート131に送信し、入力値に変更がない間は一定の通信周期により、入力データパケットを上流側ポート131に送信する。
【0041】
また、端末通信制御手段121は、駆動軸制御手段125から駆動軸状態情報が入力
されると、その入力値と、識別番号設定手段123で設定される識別番号とを組み合わせた駆動軸状態情報パケットを上流側ポート131に送信する。
また、端末通信制御手段121は、端末状態遷移制御手段126から、予め定められた入出力制御手段124と駆動軸制御手段125の制御処理の状態遷移の番号である端末制御状態遷移情報が入力されると、その入力値と、端末状態遷移制御手段126で設定される識別番号とを組み合わせた駆動軸状態情報パケットを上流側ポート131に送信する。
【0042】
また、端末通信制御手段121は、下流側通信ポート132aもしくは下流側通信ポート132bからパケットが入力された場合、端末通信応答制御手段122の通信応答制御が行われた場合には、通信応答制御実行結果情報を通信周期制御手段128の周期に従って、上流側通信ポート131より中央通信手段に110、または、他の端末通信手段120に送信し、端末通信応答制御手段122の通信応答制御が行われなかった場合には、下流側通信ポート132aもしくは下流側通信ポート132bから入力された前記パケットを上流側通信ポート131より中央通信手段110、または、他の端末通信手段120に送信する。
【0043】
端末通信手段120の端末遷移状態制御手段126は、予め定められた入出力制御手段124と駆動軸制御手段125の制御処理の状態遷移を管理し、端末通信手段120の不正な制御を防ぐ。また端末遷移状態制御手段126は、現在の制御状態遷移情報を一定の周期で端末通信制御手段121に出力する。
【0044】
また、端末通信手段120の通信周期制御手段128は、通信周期設定手段127に設定された通信周期にしたがって、端末通信制御手段121に送信指示を与える。
【0045】
図2はデータの通信に用いるパケットの形式を示したものである。パケットの形式は、データ部200と、パケットの種別を示すパケット種別部201と、端末通信手段120の識別番号を示す識別番号部202から構成される。
【0046】
データ部200は、出力データや、駆動軸制御設定情報などの端末通信手段120の制御情報や、通信応答実行条件設定情報や、通信応答データ設定情報などの端末通信手段120への設定情報が格納される。
【0047】
パケット種別部201は、例えば、出力データパケットのときに“10”、駆動軸制御設定情報のときに“20”などのパケットの種類ごとに一意の値が与えられ、パケットのデータ部の内容を識別するために用いられる。
【0048】
識別番号部202は、中央通信手段110から端末通信手段120にパケットを送信する場合には、送信先の端末通信手段120に設定される識別番号が格納され、端末通信手段120から中央通信手段110にパケットを送信する場合には、送信元の端末通信手段120自身に設定された識別番号が格納される。
【0049】
図3は端末通信手段120の通信応答制御実行条件格納手段160の詳細な構成と各格納情報の例について示したものである。
通信応答制御実行条件格納手段160は、実行有効情報格納手段300と、第一の実行条件格納手段310と、実行条件成立情報格納手段320と、第二の実行条件格納手段330から構成される。
【0050】
通信有効情報格納手段300は、端末通信手段120の識別番号ごとに通信応答制御実行の“1(有効)”,“0(無効)”の情報を1つずつ格納する。第一の実行条件格納手段310は、通信応答制御実行有効情報格納部311と、実行条件格納部312と、パケット種別格納部313と、識別番号格納部314から構成され、各端末通信手段120の識別番号ごとに複数の実行条件を格納する。
【0051】
通信応答制御実行有効情報格納部311は、同じ格納番号の実行条件による通信応答制御の“1(有効)”,“0(無効)”の情報が格納される。実行条件格納部312は、制御応答制御の実行条件のために用いる条件データと、条件データと入力パケットのデータによる条件判断のための演算情報、例えば“1(条件データ>パケットデータ)”“2(条件データ<パケットデータ)”が格納される。
【0052】
パケット種別格納部313は、通信応答制御を行う入力パケットの種別を格納する。通信条件成立情報格納手段320は、前記第一の実行条件格納手段310に格納される通信応答制御の実行条件判定の結果である “1(成立)”,“0(不成立)”の情報を実行条件格納手段310の格納番号と対応するように格納する。
【0053】
第二の実行条件格納手段330は、通信応答データ参照番号格納部331と、実行条件成立情報参照番号格納部332から構成される。通信応答データ参照番号格納部331は、実行条件成立情報参照番号格納部332に基づく実行判定により、通信応答制御が実行されたときに他の端末通信手段120に送信をする通信応答データを、通信応答データ格納手段161から参照するための番号を複数格納する。
【0054】
また、通信応答データ参照番号格納部331は、格納情報が未設定の場合“0”が格納され、通信応答制御処理では使用されない。
【0055】
実行条件成立情報参照番号格納部332は、通信条件成立情報格納手段320の参照番号を格納し、端末通信手段120の端末通信応答制御手段122は、格納された参照番号を基に実行条件成立情報を参照し、全ての実行条件が成立している場合に、通信応答データ参照番号格納部331の通信応答データ参照番号を基づく通信応答制御を行う。また、実行条件成立情報参照番号格納部332は、格納情報が未設定の場合“0”が格納され、通信応答制御処理では使用されない。
【0056】
図4は、端末通信手段120の通信応答データ格納手段161の詳細な構成と各格納情報の例について示したものである。通信応答データ格納手段161は、通信応答データ格納部400、パケット種別情報格納部401、識別番号格納部402から構成される。
【0057】
通信応答データ格納部400は、通信応答制御により送信される端末通信手段120の入出力ポート141の出力値である出力データや、駆動軸制御設定情報等が格納される。
パケット種別情報401は、通信応答データに対応する通信応答データ用のパケット種別番号が格納される。識別番号格納部402は、通信応答データの送り先となる端末通信手段120の識別番号が格納される。
【0058】
図5は中央通信手段110の通信周期設定情報格納手段117の構成と各格納情報の例を示したものである。
通信周期設定情報格納手段117は、通信周期設定情報格納部500から構成され、端末通信手段120に設定された識別番号ごとに1つの通信周期設定情報を格納する。
【0059】
また通信周期設定情報格納手段117は、格納される通信周期情報が未設定の場合“0”が格納され、中央通信手段110の中央通信性制御手段111は、“0”が格納された通信周期設定情報を端末通信手段120に送信しない。
【0060】
図6は端末通信手段120の端末通信応答制御手段122が行う通信応答制御の処理内容のうち、通信応答実行条件の判定方法を状態遷移図で示したものである。
まず、端末通信応答制御手段122は、端末通信手段120の下流側通信ポート132a、132bのいずれか1つよりパケットを受信すると処理を開始する(処理600)。
次に、端末通信応答制御手段122は、端末通信手段120の下流側ポート132a、132bより受信した前記パケットに格納される識別番号に対応した実行有効情報を、通信応答制御実行条件格納手段160の実行有効情報格納手段300より参照し、設定値が“1(有効)”である場合、次の処理状態(処理602)に遷移し、設定値が“0(無効)”である場合、処理の待機状態に遷移する(処理601)。
【0061】
次に、端末通信応答制御手段122は、端末通信手段120の下流側ポート132a、132bより受信した前記パケットに格納される識別番号に対応した全ての第一の実行条件を通信応答制御実行条件格納手段160の第一の実行条件格納手段310より参照し、その第一の実行条件を基に判定処理を行う。この結果、第一の実行条件を満たすものが1つでもあった場合、次の処理状態(処理603)に遷移し、第一の実行条件を満たすものが1つもなかった場合、処理の待機状態に遷移する(処理602)。
【0062】
次に、端末通信応答制御手段122は、処理602で第一の実行条件を満たす第一の実行条件格納手段310の格納番号に対応した実行条件成立情報格納手段320の情報を“1(成立)”に更新し、処理の待機状態に遷移する(処理603)。
【0063】
図7は端末通信手段120の端末通信応答制御手段122が行う通信応答制御の処理内容のうち、いくつかの通信応答実行条件の同時成立を判定し、通信応答データを他の端末通信手段120に送信する方法を処理状態遷移図で示したものである。なお、前述の通信応答実行条件の判定方法の処理とは並列に動作を行う。
【0064】
まず、端末通信応答制御手段122は、実行条件成立情報格納手段320の情報が更新されると処理を開始する(処理700)。
【0065】
次に、端末通信応答制御手段122は、第二の実行条件格納手段330の格納番号1(先頭)の情報を読み出し、そのうち格納された全ての実行条件成立情報参照番号332を基に実行条件成立情報格納手段320を参照する。このとき参照した実行条件成立情報が全て“1(成立)”の場合、通信応答データの送信開始(処理702)に遷移し、参照した実行条件成立情報のうち1つでも“0(不成立)”がある場合、処理706に遷移する。
【0066】
次に、端末通信応答制御手段122は、通信応答データを送信させるために次の処理状態(処理703)に遷移する。
【0067】
次に、端末通信応答制御手段122は、第二の実行条件格納手段330に格納された通信応答データ参照番号331を読み出し、全ての通信応答データ参照番号を基に通信応答データ格納手段400を参照し、パケットを作成し、下流側通信ポート132a、132bに送信する。このとき端末通信手段120の通信周期設定手段127に通信周期の設定がある場合、処理704に遷移し、通信周期の設定がない場合処理705に遷移する(処理703)。
【0068】
端末通信応答制御手段122は、第二の通信応答制御実行結果情報を更新し、処理706に遷移する(処理704)。端末通信応答制御手段122は、第一の通信応答制御実行結果情報を端末通信手段120の上流側通信ポート131に送信し、処理706に遷移する(処理705)。
【0069】
端末通信応答制御手段122は、第二の実行条件格納手段330の格納情報を全て参照した場合、処理の待機状態に遷移し、第二の実行条件格納手段330の格納情報を全て参照していない場合、処理707に遷移する(処理706)。端末通信応答制御手段122は、第二の実行条件格納手段330の参照先を次の格納番号に設定し、処理701に遷移し、再度第二の実行条件格納手段330を参照する(処理701)。
【0070】
以上により、端末通信応答制御手段122は通信応答制御を実行する。
【0071】
図8は、ホストコンピュータ100より、システム利用者が映像出力手段102と、情報入力手段103を用いて、優先順位番号とネットワーク接続形態を最適化し、設定する際に利用するGUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)による制御システム設計支援ソフトウェア800の表示画面の一例である。
【0072】
制御システム設計支援ソフトウェア800は、通信情報表示部801と、ネットワーク接続形態表示部802と、通信応答制御設定表示部803と、プロセス表示部804と、設定ボタン805、中央通信手段ネットワーク性能使用率表示部850、ネットワーク性能使用率表示部851から構成される。
【0073】
通信情報表示部801は、識別番号表示部810と、駆動軸情報表示部811と、入出力情報表示部812と、通信性能表示部813から構成され、システム利用者は駆動軸情報表示部811により各端末通信手段120に接続される駆動軸の制御状態、入出力情報表示部812により各端末通信手段120の入出力ポート141の入出力データ、通信性能表示部813により各端末通信手段120の通信応答速度や通信周期をそれぞれ参照できる。
【0074】
ネットワーク接続形態表示部802は、中央通信手段シンボル820と、上流側通信ポートシンボル824と、下流側ポートシンボル825a、825bと、を備えた端末通信手段シンボル821と、接続状態シンボル822と、通信応答送受信対象ハイライト826と、通信応答制御通信方向表示827から構成される。
【0075】
また、ネットワーク接続形態表示部802は、端末通信手段シンボル821の上流通信ポートシンボル824と、中央通信手段シンボル820の通信ポートシンボル823とをつなぎ、または上流通信ポートシンボル824と別の端末通信手段シンボル821の下流通信ポートシンボル825aまたは825bのいずれかと接続状態シンボル822でつなぐことにより、ソフトウェア上にネットワーク構成を表示する。
【0076】
さらに、ネットワーク接続形態表示部802は、通信応答送受信対象ハイライト826により、通信応答制御設定表示部803の制御応答制御設定値に対応した、送信元、送信先となる端末通信手段120を視覚的に提示し、通信応答制御通信方向表示827により通信応答制御の通信方向を視覚的に提示する。
【0077】
通信応答制御設定表示部803は、通信応答制御項目番号表示部830と、送信元識別番号設定部831と、通信応答制御条件データ種別設定部832と、通信応答制御実行条件設定部833と、通信先識別番号設定部834と、通信応答データ種別設定部835と、通信応答データ設定部836と、通信性能エラー項目ハイライト837と、通信周期表示設定部840と、通信応答時間表示部841と、通信応答制御実行回数表示部842と、通信応答制御通信性能使用率表示部843から構成される。
【0078】
送信元識別番号設定部831は、通信応答制御の送信元の識別番号が設定される。
通信応答制御条件データ種別設定部832は、通信応答制御の送信元の駆動軸状態情報、入力データ等のデータ種別が設定される。通信応答制御実行条件設定部833は、通信応答制御の実行判定を行うための設定値と比較演算の種類を設定する。
【0079】
通信先識別番号設定部834は、通信応答制御の送信先の識別番号が設定される。
通信応答データ種別設定部835は、通信応答制御の送信先の駆動軸制御設定情報、出力データ等のデータ種別が設定される。
【0080】
通信応答データ設定部836は、通信応答制御の通信先へのデータを設定される。
通信性能エラー項目ハイライト387は、通信応答制御の設定によりネットワーク全体に必要な通信性能がネットワークの最大通信性能を超えてしまった場合に、通信性能の使用率が大きい通信応答制御の設定項目に対して表示され、システム利用者に設定値の変更を提示する。
【0081】
通信周期表示設定部840は、通信応答実行結果情報の通信周期をソフトウェア101の計算処理、またはシステム利用者の直接入力により設定される。
通信応答時間表示部841は、通信応答制御を行う端末通信手段120と、通信応答制御の送信元となる端末通信手段120と、通信応答制御の送信先となる端末通信手段120のネットワーク上の接続関係により、ソフトウェア101の演算により推定される通信応答制御の通信応答時間の最大値が表示される。
【0082】
通信応答制御実行回数表示部842は、通信応答制御を行う端末通信手段120に通信周期が設定されている場合は、通信応答実行結果格納手段116に格納される通信応答実行結果情報に含まれる通信応答実行回数が表示され、通信周期が設定されていない場合は、通信応答実行結果パケットの受信回数を中央通信手段110の中央通信制御手段111がカウントアップし、ソフトウェア101がホストコンピュータインターフェース手段140を介してその値を参照し、表示される。
【0083】
通信応答制御通信性能使用率表示部843は、通信応答実行回数と、通信応答データパケットのデータ量と、通信応答実行結果パケットと、通信周期の設定値からソフトウェア101の演算により、通信応答制御によるネットワーク性能使用率を算出した結果が表示される。
【0084】
中央通信手段通信性能使用率表示部850は、中央通信手段110に接続される通信ケーブル150の全通信における通信性能使用率と、表示部通信応答制御設定表示部803で選択された通信応答制御に対する通信性能使用率をグラフとして表示させるものである。通信性能使用率表示部851は、ネットワーク全体における通信性能使用率と、表示部通信応答制御設定表示部803で選択された通信応答制御に対する通信性能使用率をグラフとして表示させるものである。
【0085】
以上の各機能により、通信応答制御設定表示部803に設定された通信応答制御の各設定値は、設定ボタン805により中央通信手段110の通信応答実行条件設定情報格納手段114と、通信応答データ設定情報格納手段115と、通信周期設定情報格納手段117に格納される。
【0086】
図9は本発明の分散型制御システムを産業機械の一つであるチップマウンタに適用した際の構成の一例である。
【0087】
チップマウンタは、チップマウンタ装置本体900、構成電子部品をプリント配線板に装着するヘッド部901と、電子部品を供給するフィーダ部902などから構成される。
このようなチップマウンタにおいて、分散型制御システムを適用する。
【0088】
まず、チップマウンタ装置本体900に、ホストコンピュータ100と、中央通信手段110と、端末通信手段120を適用し、チップマウンタ操作入力手段910と、チップマウンタ映像出力手段911を前記ホストコンピュータ100に接続する。
【0089】
さらに、ヘッド部901に端末通信手段120を適用し、部品保持動作を行うためのヘッド部901が備えるヘッド部駆動軸903を端末通信手段120の駆動軸インターフェース手段142に接続する。さらに、フィーダ部902に端末通信手段120を適用し、部品供給動作を行うためのフィーダ部が備える入出力駆動のフィーダ部駆動軸904を端末通信手段120の入出力ポート141に接続する。
【0090】
中央通信手段110と全ての端末通信手段120を通信ケーブル150で接続し、図9のネットワークを構成する。このとき、識別番号“2”の端末通信手段120に、ヘッド部901の識別番号“10”の端末通信手段120の駆動軸位置情報を条件とし、フィーダ部902の識別番号“11”の端末通信手段120への出力データを応答データとして送信させる通信応答制御を実行させることによって、ヘッド部901の部品保持動作とフィーダ部902の部品供給動作を正確に連動させることが可能となる。
【符号の説明】
【0091】
100・・・ホストコンピュータ、101・・・ソフトウェア、102・・・映像出力手段、103・・・情報入力手段、110・・・中央通信手段、111・・・中央通信制御手段、112・・・中央通信応答制御手段、113・・・通信データ格納手段、114・・・通信応答実行条件設定情報格納手段、115・・・通信応答データ設定情報格納手段、116・・・通信応答実行結果格納手段、117・・・通信周期設定情報格納手段、120・・・端末通信手段、121・・・端末通信制御手段、122・・・端末通信応答制御手段、123・・・識別番号設定手段、124・・・入出力制御手段、125・・・駆動軸制御手段、126・・・端末状態遷移制御手段、127・・・通信周期設定手段、128・・・通信周期制御手段、130・・・通信ポート、131・・・上流側通信ポート、132a、132b・・・下流側通信ポート、140・・・ホストコンピュータインターフェース手段、141・・・入出力ポート、142・・・駆動軸インターフェース手段、150・・・通信ケーブル、160・・・通信応答実行条件格納手段、161・・・通信応答データ格納手段、200・・・データ部、201・・・パケット種別部、202・・・識別番号部、203・・・優先順位番号部、300・・・実行有効情報格納手段、310・・・第一の実行条件格納手段、311・・・実行有効情報部、312・・・応答条件格納部、313・・・パケット種別格納部、320・・・実行条件成立情報格納手段、330・・・第二の実行条件格納手段、331・・・通信応答データ参照番号格納部、332・・・実行条件成立情報参照番号格納部、400・・・通信応答データ格納部、401・・・パケット種別情報格納部、402・・・識別番号格納部、500・・・通信周期情報格納部、800・・・アプリケーション、801・・・通信情報表示部、802・・・ネットワーク接続形態表示部、803・・・通信応答制御設定表示部、804・・・プロセス表示部、805・・・設定ボタン、810・・・識別番号表示部、811・・・駆動軸情報表示部、812・・・入出力情報表示部、813・・・通信性能表示部、
820・・・中央通信手段シンボル、821・・・端末通信手段シンボル、822・・・接続状態シンボル、823・・・通信ポートシンボル、824・・・上流側通信ポートシンボル、825a、825b・・・下流側通信ポートシンボル、826・・・通信応答送受信対象ハイライト、827・・・通信応答制御通信方向表示、830・・・通信応答制御項目番号表示部、831・・・送信元識別番号設定部、832・・・通信応答制御条件データ種別設定部、833・・・通信応答制御実行条件設定部、834・・・通信先識別番号設定部、835・・・通信応答データ種別設定部、836・・・通信応答データ設定部、837・・・通信性能エラー項目ハイライト、840・・・通信周期表示設定部、841・・・通信応答時間表示部、842・・・通信応答制御実行回数表示部、843・・・通信応答制御通信性能使用率表示部、850・・・中央通信手段通信性能使用率表示部、851・・・通信性能使用率表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の通信ポート、および中央通信制御手段を有する中央通信手段と、1つの上流側通信ポート、2つ以上の下流側通信ポート、識別番号設定手段、入出力制御手段、駆動軸制御手段、端末状態遷移制御手段、および端末通信制御手段を有する複数個の端末通信手段と、を備え、
前記端末通信手段の上流側通信ポートは、前記中央通信手段の通信ポートまたは前記複数の端末通信手段におけるいずれかの他の端末通信手段の下流側通信ポートに接続され、前記中央通信手段と前記複数の端末通信手段が前記入出力制御手段と前記駆動軸制御手段の少なくとも1つに接続された機器を分散制御する分散型制御システムにおいて、
前記中央通信手段は、前記端末通信手段における通信応答実行条件の設定情報を格納する通信応答実行条件設定情報格納手段と、前記端末通信手段から他の端末通信手段へ送信される通信応答データの設定情報を格納する通信応答データ設定情報格納手段を備え、
前記端末通信手段は、前記中央通信手段から送信さる自分宛の通信応答実行条件を格納する通信応答制御実行条件格納手段と、前記中央通信手段から送信さる自分宛の通信応答データを格納する通信応答データ格納手段と、前記下流側通信ポートに受信される通信データと前記通信応答制御実行条件格納手段の通信応答実行条件とに応じて、前記通信応答データ格納手段に格納された通信応答データを他の端末通信手段に送信する端末通信応答制御手段とを備えることを特徴とする分散型制御システム。
【請求項2】
請求項1記載の分散型制御システムにおいて、映像出力手段および情報入力手段を有するホストコンピュータを備え、当該ホストコンピュータとの情報の入出力を行うホストコンピュータインターフェース手段を前記中央通信手段に設け、前記ホストコンピュータは、前記端末通信手段の通信応答実行条件を作成して前記ホストコンピュータインターフェース手段を介して前記中央通信手段の通信応答実行条件設定情報格納手段に格納し、さらに前記端末通信手段の通信応答データを作成して前記ホストコンピュータインターフェース手段を介して前記中央通信手段の通信応答データ設定情報格納手段に格納することを特徴とする分散型制御システム。
【請求項3】
請求項2記載の分散型制御システムにおいて、前記端末通信手段の端末通信応答制御手段は、実行された通信応答制御の格納番号と、識別番設定手段により設定される識別番号と、を含む第一の通信応答実行結果情報を、前記通信応答制御の実行ごとに上流側通信ポートを介して前記中央通信手段に送信し、前記中央通信手段は、受信される第一の応答制御実行結果情報を保存する通信応答実行結果格納手段を有することを特徴とする分散型制御システム。
【請求項4】
請求項3記載の分散型制御システムにおいて、前記ホストコンピュータは、前記ホストコンピュータインターフェース手段を介して前記第一の応答制御実行結果情報を読み出し、通信応答制御を実行した端末通信手段、通信応答制御の実行頻度および、ネットワーク全体またはネットワークの一部が持つ最大の最大通信性能に対する通信応答制御の実行による通信性能の使用率を提示することを特徴とする分散型制御システム。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかに記載された分散型制御システムにおいて、前記ホストコンピュータは、前記端末通信手段の端末通信応答制御手段により実行される通信応答制御の設定番号と、前記端末通信手段の識別番設定手段により設定される識別番号と、前記端末通信応答制御手段により実行される通信応答制御の単位時間あたりの実行回数を格納した第二の通信応答実行結果情報を、前記端末通信手段から前記中央通信手段へ送信する通信周期設定情報を作成し、前記ホストコンピュータインターフェース手段を介して前記中央通信手段に設けた通信周期設定情報格納手段に格納し、前記中央通信手段は、通信応答実行結果格納手段を備え、前記通信周期設定情報格納手段に格納された通信周期設定情報を通信ポートを介して指定の端末通信手段に送信し、かつ通信ポートを介して受信される端末通信手段からの第二の応答制御実行結果情報を前記通信応答実行結果格納手段に保存し、前記端末通信手段は、通信周期設定手段および通信周期制御手段を備え、前記中央通信手段から受信した通信周期設定情報をもとに通信周期を前記通信周期設定手段に設定し、前記通信周期制御手段は、前記通信周期設定手段により設定された通信周期に基づき、前記第二の通信応答実行結果情報を前記上流側通信ポートを介して前記中央通信手段に送信することを特徴とする分散型制御システム。
【請求項6】
請求項5記載の分散型制御システムにおいて、前記ホストコンピュータは、前記ホストコンピュータインターフェース手段を介して、第二の応答制御実行結果情報を読み出し、通信応答制御を実行した端末通信手段と、通信応答制御の実行頻度と、ネットワーク全体またはネットワークの一部が持つ最大の通信性能に対する通信応答制御の実行による通信性能の使用率を提示することを特徴とする分散型制御システム。
【請求項7】
請求項2乃至5のいずれかに記載された分散型制御システムにおいて、前記ホストコンピュータは、ネットワーク上の全ての端末通信手段が通信応答制御を実行した際に使用する通信性能を、ネットワークの最大性能以下とするように、前記通信応答制御の通信応答実行条件と通信応答データの設定変更を提示することを特徴とする分散型制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−181784(P2012−181784A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45809(P2011−45809)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】