説明

分散組成物、重合性組成物、遮光性カラーフィルタ、固体撮像素子、および液晶表示装置

【課題】遮光顔料の分散性が高く、経時後も遮光顔料、特にチタンブラック顔料が沈降せず、分散性、および保存安定性の高い分散組成物を提供し、パターン成形した場合であっても、遮光性の硬化物を形成することができ、感度が良好な重合性組成物を提供し、それを用いて遮光性の高い着色パターンを有する遮光性カラーフィルタ、および高画質の固体撮像素子、及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】(A)遮光顔料、(B)ラジカル重合可能な基を少なくとも1つの末端に有し、且つ遮光顔料に吸着する基を他の末端に有する分散剤、および、(C)溶媒を含む分散組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光顔料を含む分散組成物、これを含む重合性組成物、これを用いた遮光性カラーフィルタ、該遮光性カラーフィルタを備える固体撮像素子、及び、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に用いられるカラーフィルタには着色画素間の光を遮蔽し、コントラストを向上させる等の目的で、ブラックマトリクスと呼ばれる遮光膜が備えられている。また、固体撮像素子においてもノイズ発生防止、画質の向上等を目的としてブラックマトリックスが設けられている。ブラックマトリクスは、遮光性の黒色色材を分散させた分散組成物と、重合性化合物、重合開始剤、その他の成分とを含有して重合性組成物とし、これを用いてフォトリソ法などによりパターン形成することで製造されている。
液晶表示装置用や固体撮像素子用のブラックマトリクスを形成するための組成物としては、カーボンブラックやチタンブラック等の黒色色材である遮光顔料を含有する感光性樹脂組成物が知られている。
【0003】
液晶表示装置用ブラックマトリクスとしては、コントラストを高め、視認性を向上させるため遮光性の高いブラックマトリクスが要求される。一方、固体撮像素子用ブラックマトリクスとしては、可視域における遮光性に加え、赤外域における遮光性をも備える必要がある。
【0004】
カラーフィルタが使用される液晶表示装置に要求される性能として、高コントラスト化がある。この要求に応えるため、ブラックマトリクスの光学濃度を上げる必要がある。一方で、セルギャップのバラツキ抑制の観点や高精細化の観点等からは、ブラックマトリクスの薄膜化も要求されている。
ブラックマトリクスの光学濃度を上げる方法としては、膜厚を厚くする方法と遮光顔料の濃度を高くする方法とがあるが、膜厚を厚くする方法は、ブラックマトリクスの薄膜化の要求には沿わない。
従って、ブラックマトリクスの膜厚を厚くすることなく光学濃度を上げる必要があり、ブラックマトリクス中の黒色色材の濃度を増加させる必要を生じている。
【0005】
また、遮光性の高いブラックマトリクスの品質要求に応えるため、遮光性の高いチタンブラックの有用性が高まり、チタンブラックの分散性を向上させることが種々提案されている(特許文献1参照)。しかしながらチタンブラックは比重が大きいため、分散することが難しく、分散しても時間が経つとチタンブラックが沈降してしまうなど、分散性、分散安定性の向上が望まれている。
【0006】
これらの問題に対し、高感度で、かつ、現像性、及び製膜性を併せ持つ化合物として、側鎖にエチレン性不飽和二重結合及びカルボキシ基を有する樹脂(例えば、特許文献2参照)や、モノマーを分散剤として使用する方法が開発されている(特許文献3参照)。
【0007】
以上述べたように、カラーフィルタ製造用途の重合性組成物については、液晶ディスプレイ用、固体撮像素子用いずれの場合においても、当該重合性組成物を硬化させるために必要な成分である光重合開始剤及び光重合性モノマーの含有量が制限される上に、着色剤濃度が高くなっているため、感度が低く充分な硬化が得られない、基板との密着性が不充分であるなどの問題が生じていた。
【特許文献1】特開2005−266189号公報
【特許文献2】特開2003−29018号公報
【特許文献3】特開2008−191224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち本発明は、遮光顔料の分散性が高く、経時後も遮光顔料、特にチタンブラック顔料が沈降せず、分散性、および保存安定性の高い分散組成物を提供することを目的とする。
本発明の更なる目的は、パターン成形した場合であっても、遮光性の硬化物を形成することができ、感度が良好な重合性組成物を提供することであり、それを用いて遮光性の高い着色パターンを有する遮光性カラーフィルタを提供し、それを用いて高画質の固体撮像素子、及び液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> (A)遮光顔料、(B)ラジカル重合可能な基を少なくとも1つの末端に有し、且つ遮光顔料に吸着する基を他の末端に有する分散剤、および、(C)溶媒を含む分散組成物。
<2> (B)ラジカル重合可能な基を少なくとも1つの末端に有し、且つ遮光顔料に吸着する基を他の末端に有する分散剤が、ポリエーテル連結基、およびポリエステル連結基の少なくとも一方の末端にラジカル重合可能な基を有する分散剤である<1>に記載の分散組成物。
【0010】
<3> (B)ラジカル重合可能な基を少なくとも1つの末端に有し、且つ遮光顔料に吸着する基を他の末端に有する分散剤が、下記一般式(1)で表される化合物である<1>または<2>に記載の分散組成物。
【0011】
【化1】

【0012】
一般式(1)中、Bはアリル基、または(メタ)アクリロイル基を表し、Q及びQはそれぞれ独立に単結合、または二価の連結基を表し、Qはアルキレン基を表し、Mはリン酸基、カルボン酸基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、およびイミノ基から選ばれる1種以上を有する有機基を表す。aは0〜20の整数、bは0〜100の整数をそれぞれ表し、且つ、(a+b)が5〜100の範囲である。nは1〜4の整数を、pは2〜8の整数を、それぞれ表す。
【0013】
<4> (B)ラジカル重合可能な基を少なくとも1つの末端に有し、且つ遮光顔料に吸着する基を他の末端に有する分散剤が、下記一般式(2)、または一般式(3)で表される化合物である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の分散組成物。
【0014】
【化2】

【0015】
一般式(2)、および、一般式(3)中、B、およびBはそれぞれ独立にアリル基、または(メタ)アクリロイル基を表し、Q、Q、Q、およびQはそれぞれ独立に単結合、または二価の連結基を表し、Q、およびQはそれぞれ独立にアルキレン基を表し、Mは(n1+m1)価の有機基、Mは単結合、または(n2+m2)価の有機基を表す。a1、およびa2はそれぞれ独立に0〜20の整数を表し、b1、およびb2はそれぞれ独立に0〜100の整数を表し、且つ(a1+b1)が5〜100であり、(a2+b2)が5〜100の範囲である。m1、m2、n1、およびn2はそれぞれ独立に1〜4の整数を表し、q、およびrはそれぞれ独立に2〜8の整数を表す。
【0016】
<5> (B)ラジカル重合可能な基を少なくとも1つの末端に有し、且つ遮光顔料に吸着する基を他の末端に有する分散剤が、下記一般式(4)または一般式(5)で表される化合物である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の分散組成物。
【0017】
【化3】

【0018】
一般式(4)、および、一般式(5)中、B、およびBはそれぞれ独立にアリル基、(メタ)アクリロイル基を表し、Q10、およびQ14はそれぞれ独立に単結合、または二価の連結基を表し、Q11、およびQ15はそれぞれ独立にアルキレン基を表し、Q12、、Q16、およびQ17はそれぞれ独立に二価の連結基を表す。Q13はn3価の連結基を表し、Q18は、n4価の連結基を表す。a3、およびa4はそれぞれ独立に0〜20の整数を表し、b3、およびb4はそれぞれ独立に0〜100の整数を表し、且つ(a3+b3)が5〜100、(a4+b4)が5〜100の範囲である。n3、およびn4はそれぞれ独立に2〜6の整数を表し、m4は0〜10の整数を表し、s、およびtはそれぞれ独立に2〜8の整数を表す。
【0019】
<6> (A)遮光顔料が、チタンブラックである<1>〜<5>のいずれか1項に記載の分散組成物。
<7> <1>〜<6>のいずれか1項に記載の分散組成物、および(D)重合開始剤を含む重合性組成物。
<8> (D)重合開始剤が、オキシム系重合開始剤である<7>に記載の重合性組成物。
【0020】
<9> 基板上に、<7>または<8>に記載の重合性組成物を用いてなる着色パターンを有する遮光性カラーフィルタ。
<10> <9>に記載の遮光性カラーフィルタを備えた固体撮像素子。
<11> <9>に記載の遮光性カラーフィルタを備えた液晶表示装置。
【0021】
<12> 下記一般式(2)、一般式(4)、または一般式(5)で表されることを特徴とする分散剤。
【0022】
【化4】

【0023】
【化5】

【0024】
一般式(2)、一般式(4)、および一般式(5)中、B、B、およびBはそれぞれ独立にアリル基、または(メタ)アクリロイル基を表す。Q、Q、Q10、およびQ14はそれぞれ独立に単結合、または二価の連結基を表し、Q、Q11、およびQ15はアルキレン基を表し、Q12、Q16、およびQ17はそれぞれ独立に二価の連結基を表す。Q13はn3価の連結基を表し、Q18は、n4価の連結基を表す。Mは(n1+m1)価の有機基を表し、a1は1〜20の整数を表し、a3、およびa4はそれぞれ独立に0〜20の整数を表す。b1、b3、およびb4はそれぞれ独立に0〜100の整数を表し、且つ(a1+b1)が5〜100の範囲であり、(a3+b3)が5〜100の範囲であり、(a4+b4)が5〜100の範囲である。m1は1〜4の整数、n1は1〜4の整数、m4は0〜10の整数、n3、およびn4はそれぞれ独立に2〜6の整数、q、s、およびtはそれぞれ独立に2〜8の整数をそれぞれ表す。
【0025】
特に、本発明の分散組成物の好ましい態様においては、ポリエーテル連結基、またはポリエステル連結基を有する分散剤を用いるが、この態様では、より良好な分散性を発揮して遮光顔料を均一に分散することができ、室温で長期間保存した場合にも、遮光顔料の沈降を長期間に亘り抑制することができた。これは分散剤の分子内に存在するポリエーテル連結基、またはポリエステル連結基が立体反発基として機能することによるものと考えられる。
さらに後述する特定のグラフト化合物を分散剤として用いた場合には、さらに特定のグラフト化合物のグラフト鎖が溶媒と相互作用を行うことにより、さらに良好な分散性、分散安定性が得られたものと推測される。
【0026】
従来は、遮光顔料と分散剤とを含む分散組成物を用いた重合性組成物によって、パターン形成する場合には、重合性組成物中の硬化性成分が不足するので、現像工程でパターンが形成されにくいが、本発明の分散組成物を用いた重合性組成物では、ラジカル重合可能なアリル基、または(メタ)アクリロイル基を末端に有する分散剤を使用しているため、硬化時にラジカル架橋反応が十分に進み、パターン形成が可能になり、良好な感度が得られるものと考えられる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、遮光顔料の分散性が高く、経時後も遮光顔料、特にチタンブラック顔料が沈降せず、分散性、および保存安定性の高い分散組成物を提供することができる。
さらに、パターン成形した場合であっても、遮光性の硬化物を形成することができ、感度が良好な重合性組成物を提供することができ、それを用いて遮光性の高い着色パターンを有する遮光性カラーフィルタを提供することができ、それを用いて高画質の固体撮像素子、及び液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下において本発明を詳しく説明する。
本発明の分散組成物は、(A)遮光顔料、(B)特定構造の分散剤、及び(C)溶媒を含有する分散組成物である。
【0029】
本発明の分散組成物は、遮光性を高めるために顔料濃度を濃くした場合や、遮光顔料を沈降させないために分散時に添加する分散剤の量を多くした重合性組成物に適用する場合には特に有用である。このような場合、従来の技術では、重合性組成物中の硬化成分が少なくなり感度が低下するが、本発明の分散組成物を用いると、分散剤が硬化に寄与する機能を有するので、良好な感度が得られ、また高顔料濃度が可能なため、遮光性を高めることもできる。
【0030】
なお、本発明において「遮光性カラーフィルタ」とは、遮光顔料を含む分散組成物、重合性化合物、及び、光重合開始剤を少なくとも含む感光性の重合性組成物を露光し、現像して得られた遮光性パターンをいう。本発明における「遮光性カラーフィルタ」の色は、黒、灰色等の無彩色であってもよいし、有彩色の色味が混ざった黒色、灰色等であってもよい。
本発明における「遮光性カラーフィルタ」は、本発明の特定成分である遮光顔料を含む黒色色材、多官能モノマーやその他の重合性化合物、重合開始剤及び溶剤を少なくとも含む感光性の重合性組成物を露光し、現像して得られるものであり、遮光膜又は遮光性フィルタと言い換えてもよい。
以下、本発明の分散組成物に含まれる各成分について説明する。
【0031】
<(A)遮光顔料>
本発明において遮光顔料とは、400nm〜1300nmの光を吸収しうる顔料を指し、遮光しようとする波長域600〜1300nm、好ましくは900〜1300nmの光を実質遮光できる顔料が好ましい。具体的には、例えば、チタンブラック、カーボンブラックなどが挙げられ、本発明の分散組成物は特にチタンブラックに有用であり、遮光顔料としてはチタンブラックが好ましい。
チタンブラックとは、チタン原子を有する黒色粒子である。好ましくは低次酸化チタンや酸窒化チタン等である。チタンブラック粒子は、分散性向上、凝集性抑制などの目的で必要に応じ、表面を修飾することが可能であり、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムで被覆することが可能であり、また、特開2007−302836号公報に記載されているような撥水性物質による処理も可能である。
【0032】
チタンブラックの製造方法としては、二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気で加熱し還元する方法(特開昭49−5432号公報)、四塩化チタンの高温加水分解で得られた超微細の二酸化チタンを水素を含む還元雰囲気中で還元する方法(特開昭57−205322号公報)、二酸化チタンまたは水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60−65069号公報、特開昭61−201610号公報)、二酸化チタンまたは水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61−201610号公報)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
チタンブラックの粒子の粒子径は特に制限は無いが、分散性、着色性の観点から、平均1次粒子径3nm以上1000nm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは平均1次粒子径10nm以上500nm以下の範囲であり、更に好ましくは、10nm以上100nm以下の範囲である。
【0034】
チタンブラックの比表面積は、特に限定がないが、かかるチタンブラックを撥水化剤で表面処理した後の撥水性が所定の性能となるために、BET法にて測定した値が通常5m/g以上150m/g以下程度、特に20m/g以上100m/g以下であることが好ましい。
【0035】
チタンブラックの市販品の例としては例えば、三菱マテリアル(株)製チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M−C、13R、13R−N、赤穂化成(株)製ティラック(Tilack)Dなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定することなく使用することができる。
【0036】
また、本発明におけるチタンブラックには、必要に応じて体質顔料を添加してもよい。このような体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナ白、グロス白、チタン白、ハイドロタルサイト等を挙げることができる。これらの体質顔料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。体質顔料の使用量は、チタンブラック100質量部に対して、通常、0〜100質量部、好ましくは5〜50質量部、さらに好ましくは10〜40質量部である。本発明において、前記チタンブラックおよび体質顔料は、場合により、それらの表面をポリマーで改質して使用することができる。
【0037】
本発明の分散組成物中に添加する遮光顔料の含有量は、分散組成物中の遮光顔料の含有量が20質量%以上94質量%以下となるように調整される。分散組成物中の遮光顔料の含有量は、より好ましくは、40質量%以上92質量%以下の範囲であり、更に好ましくは40質量%以上80質量%以下の範囲である。
当該範囲とすることで、本発明の重合性組成物の硬化性が良好となり、かつ均一な膜を形成することができる。
また、チタンブラックを高濃度に含有することによって、充分な遮光性が得られ、チタンブラックを含有する重合性組成物を遮光性カラーフィルタの形成に好適に用いることができる。
【0038】
また、本発明の分散組成物には遮光顔料として、下記のものを混合して使用してもよい。
このような混合可能な遮光顔料としては、可視光領域に吸光度を有するものであれば特に限定はされず、上記した体質顔料、カーボンブラック、C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,80、C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42、C.I.Pigment Brown 25,28、C.I.Pigment Black 1等の有機顔料等を挙げることができる。
チタンブラック以外の遮光顔料を混合して使用する例として、チタンブラックとカーボンブラックを6:1で混合した物、チタンブラックと酸化チタンを3:1で混合した物などが挙げられる。
混合して使用するチタンブラック以外の遮光顔料は、チタンブラック100質量部に対して、0.01〜99.99質量部の範囲で用いることができる。好ましくは、20〜70質量部の範囲である。
【0039】
<(B)ラジカル重合可能な基を少なくとも1つの末端に有し、且つ遮光顔料に吸着する基を他の末端に有する分散剤>
本発明の分散組成物には、(B)ラジカル重合可能な基を少なくとも1つの末端に有し、且つ遮光顔料に吸着する基を他の末端に有する分散剤(以下、「特定分散剤」ともいう)を含むものである。分散組成物において、この特定分散剤は、遮光顔料に対する吸着性基を有しており、優れた分散性を付与することができるので、分散性、分散安定性に優れた分散組成物を得ることができる。またさらにラジカル重合性基をも有しており、感度が高く硬化性が良好であり、パターン成形性に優れた重合性組成物を得ることができる。
特に、本発明の分散組成物に用いる分散剤は、分散剤の末端部に重合可能な基を有するため、分散して分散剤が顔料に吸着し、顔料−分散剤コンプレックスを形成した際には、顔料−分散剤コンプレックス表面に重合可能な基が位置することになり、このため重合効率が高まり感度が向上するものと考えられる。
【0040】
本発明の特定分散剤は、ポリエーテル連結基、およびポリエステル連結基の少なくとも一方の末端にラジカル重合可能な基を有することが好ましく、これによって特に分散性安定性を高めることができる。
ポリエーテル連結基、またはポリエステル連結基が立体反発基として機能することによるものと推測され、良好な分散性を発揮して遮光顔料を均一に分散することができ、室温で長期間保存した場合にも、これらの基が溶媒と相互作用を行うことにより、遮光顔料の沈降を長期間に亘り抑制することができる。
【0041】
ポリエーテル連結基としては、具体的には、ポリエチレングリコール連結基、ポリプロピレングリコール連結基が挙げられる。ポリエステル連結基としては、具体的には、ポリブチロラクトン連結基、ポリバレロラクトン連結基、ポリカプロラクトン連結基が挙げられる。このうちポリエチレングリコール連結基やポリカプロラクトン連結基などは、結晶化しやすく取り扱いにくいため、特定分散剤が、ポリプロピレングリコール連結基とポリカプロラクトン連結基を同時に有するなど、ポリエーテル連結基、ポリエステル連結基から選択される2種以上の連結基を同時に有することが好ましい。
【0042】
本発明における特定分散剤は、下記一般式(1)で表されることが、さらに好ましい形態である。
【0043】
【化6】

【0044】
一般式(1)中、Bはアリル基、または(メタ)アクリロイル基を表し、Q及びQはそれぞれ独立に単結合、または二価の連結基を表し、Qはアルキレン基を表し、Mはリン酸基、カルボン酸基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、およびイミノ基から選ばれる1種以上を有する有機基を表す。aは0〜20の整数、bは0〜100の整数をそれぞれ表し、且つ、(a+b)が5〜100の範囲である。nは1〜4の整数を、pは2〜8の整数を、それぞれ表す。
【0045】
一般式(1)において、Mは顔料へ吸着する部位として機能し、M以外は顔料同士の凝集を妨げるための立体反発基として機能すると推定される。立体反発基の鎖長が長くなると立体反発効果が高くなり分散性は向上するが、一方で、分子量が大きくなるので、遮光顔料への吸着力が低下して分散性は低下してしまう。このため、本発明で使用される(B)特定分散剤としては、(a+b)は5〜100の範囲であることが好ましく、10〜40の範囲であることがさらに好ましい。
【0046】
Bであるアリル基、(メタ)アクリロイル基としては、具体的には下記構造が挙げられる。なおアクリロイル基、およびメタクリロイル基を総称して、本発明では「(メタ)アクリロイル基」と記載する。
【0047】
【化7】

【0048】
及びQで示される二価の連結基としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、置換アリーレン基)、2価の複素環基、及びそれらと酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(−NR31−、ここでR31は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、又はカルボニル基(−CO−)との組合せ等が挙げられる。
これらの中でも二価の連結基としてアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アルキルアリ−レン基、アルキルシクロアルキレン基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレン基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、オキシアルキレンカルボニル基が好ましい。
これらの二価の連結基は2つ以上を有してもよい。
【0049】
前記2価の脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。前記脂肪族基の炭素原子数は、1〜15が好ましく、1〜5がより好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基および複素環基を挙げられる。
【0050】
前記2価の芳香族基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜10が最も好ましい。また、前記芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
【0051】
前記2価の複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環または芳香族環が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R31、ここでR31は脂肪族基、芳香族基または複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
【0052】
がアルキレン基を表すときのアルキレン基としては、Q、Qにおける2価の脂肪族基と同義である。具体的には、エチレン基、イソプロピレン基が挙げられる。このうち、イソプロピレン基が結晶化しにくく、取り扱いやすいという点で好ましい。
【0053】
−O−(C=O)−C2p−におけるpは、2〜8の整数を表す。このポリエステルを形成するエステル構造は、アルキルラクトンを開環重合することにより得られる。原料として使用するアルキルラクトンとしては、具体的には、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンが挙げられ、このうちδ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンを使用するのが開環重合しやすさの観点から好ましい。
【0054】
(a+b)は、5〜100の整数を表す。(a+b)は、顔料同士の凝集を防ぐ立体反発基の長さを意味しており、5以下では、立体反発機能が低下し分散性が向上しない。一方で、(a+b)が100を超えると、分子量が大きくなり、相対的に顔料への吸着性を示すMの割合が少なくなるので、分散剤が遮光顔料に吸着しにくくなり分散性が向上しない。(a+b)は、5〜40の範囲がより好ましく、8〜20の範囲がさらに好ましい。
aは0〜20の整数、bは0〜100の整数を表す。aはポリエーテル鎖長を、bはポリエステル鎖長を意味する。ポリエーテル鎖やポリエステル鎖は、種類や鎖長によっては、結晶化しやすく取り扱いにくいものもあるため、ポリエーテル連結基、ポリエステル連結基から選択される2種以上の連結基を同時に有することが好ましい。つまり、aは1〜20の範囲、bは1〜20の範囲がより好ましい。
【0055】
Mで表される有機基としては、リン酸基、カルボン酸基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、イミノ基のうち少なくとも1つを有していれば特に限定されない。これらの酸性あるいは水素結合性の構造を有することで、遮光顔料に吸着しやすくなり、分散性が向上する。
Mで表される有機基は、酸性を示すリン酸基、またはカルボン酸基を有することが特に好ましい。分散剤に酸基を導入することで、重合性組成物としたときに、アルカリ現像によるパターン形成のために現像性を付与する樹脂としての機能をも付与することができる。
Mで表される有機基は、ウレア結合、またはウレタン結合を有することも好ましい。分散剤にウレア、ウレタン結合を導入することで、重合性組成物としたときに、アルカリ現像によるパターン形成のために親水性を付与する樹脂としての機能をも付与することができる。
【0056】
Mで表される有機基がリン酸、又は、カルボン酸の場合、本発明に使用される一般式(1)で表される分散剤は、一般式(2)または一般式(3)で表される化合物であることがさらに好ましい。
【0057】
【化8】

【0058】
一般式(2)、および、一般式(3)中、B、およびBはそれぞれ独立にアリル基、または(メタ)アクリロイル基を表し、Q、Q、Q、およびQはそれぞれ独立に単結合、または二価の連結基を表し、Q、およびQはそれぞれ独立にアルキレン基を表し、Mは(n1+m1)価の有機基、Mは単結合、または(n2+m2)価の有機基を表す。a1、およびa2はそれぞれ独立に0〜20の整数を表し、b1、およびb2はそれぞれ独立に0〜100の整数を表し、且つ(a1+b1)が5〜100であり、(a2+b2)が5〜100の範囲である。m1、m2、n1、およびn2はそれぞれ独立に1〜4の整数を表し、q、およびrはそれぞれ独立に2〜8の整数を表す。
【0059】
一般式(2)、および一般式(3)において、B、Bは一般式(1)のBと同義である。Q、Q、Q、およびQの二価の連結基は一般式(1)におけるQ、およびQと同義である。Q、およびQで表されるアルキレン基は一般式(1)のQと同義である。M、およびMで表される有機基は、一般式(1)におけるMと同義である。
【0060】
一般式(2)における有機基−M−(COOH)m1の具体例を挙げる。
【0061】
【化9】

【0062】
【化10】

【0063】
一般式(2)で表される分散剤の合成方法としては、例えば、片末端にアリル基、または(メタ)アクリロイル基を有し、かつもう一方の片末端に水酸基を有するポリエーテル鎖および/またはポリエステル鎖を有する化合物と環状酸無水物とを反応させて得ることができる。
【0064】
一般式(2)の具体例を挙げる。RおよびRは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。
【0065】
【化11】

【0066】
一般式(3)の具体例を挙げる。R、Rは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。
【0067】
【化12】

【0068】
Mの有機基が、ウレタン基、ウレア基、アミド基の場合、本発明に使用される一般式(1)で表される分散剤は、一般式(4)または(5)で表される化合物であることが好ましい。
【0069】
【化13】

【0070】
一般式(4)、および、一般式(5)中、B、およびBはそれぞれ独立にアリル基、(メタ)アクリロイル基を表し、Q10、およびQ14はそれぞれ独立に単結合、または二価の連結基を表し、Q11、およびQ15はそれぞれ独立にアルキレン基を表し、Q12、Q16、およびQ17はそれぞれ独立に二価の連結基を表す。Q13はn3価の連結基を表し、Q18はn4価の連結基を表す。a3、およびa4はそれぞれ独立に0〜20の整数を表し、b3、およびb4はそれぞれ独立に0〜100の整数を表し、且つ(a3+b3)が5〜100、(a4+b4)が5〜100の範囲である。n3、およびn4はそれぞれ独立に2〜6の整数を表し、m4は0〜10の整数を表し、s、およびtはそれぞれ独立に2〜8の整数を表す。
【0071】
一般式(4)、および(5)において、B、Bは一般式(1)のBと同義である。Q12、Q16、およびQ17の二価の連結基は一般式(1)のQ、およびQと同義である。Q11、およびQ15のアルキレン基は一般式(1)のQと同義である。
13は、n3価の連結基であり、好ましくは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アルキルシクロアルキレン基、アルキルアリーレン基である。Q18は、n4価の連結基をであり、好ましくはアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アルキルシクロアルキレン基、アルキルアリーレン基である。Q10、およびQ14が二価の連結基であるときは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アルキルアリーレン基、アルキルシクロアルキレン基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレン基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、オキシアルキレンカルボニル基であり、好ましくはアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アルキルアリーレン基、アルキルシクロアルキレン基である。
【0072】
一般式(4)におけるn3価の連結基−Q13−の具体例を下記に挙げる。
【0073】
【化14】

【0074】
一般式(5)における二価の連結基−Q16−の具体例としては、一般式(4)におけるn3価の連結基有機基−Q13−のうち、二価のものと同様のものを挙げることができる。
【0075】
一般式(5)における二価の連結基−Q17−の具体例を下記に挙げる。
【0076】
【化15】

【0077】
以下、一般式(4)で表される化合物の具体例を挙げる。下記式中、R、およびRは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。繰り返し構造の繰り返し数d1は9、d2は9、d3は6、d4は6、d5は13、d6は13である。
【0078】
【化16】

【0079】
以下、一般式(5)で表される化合物の具体例を挙げる。R、およびRは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。繰り返し構造の繰り返し数d7は8、d8は2、d9は8、d10は13、d11は5、d12は13、d13は20、d14は2、d15は20、d16は13、d17は4、d18は13である。
【0080】
【化17】

【0081】
本発明の分散組成物の全固形分中に対する特定分散剤の含有量は、分散性、分散安定性の観点から、0.1〜50質量%の範囲が好ましく、5〜40質量%の範囲がより好ましく、10〜30質量%の範囲がさらに好ましい。
【0082】
<(C)溶媒>
本発明の分散組成物は、溶媒として、種々の有機溶剤を用いる。
ここで使用する溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。溶剤に対する固形分の濃度は、2〜60質量%であることが好ましい。
【0083】
<分散組成物>
本発明の分散組成物は(A)遮光顔料、(B)特定分散剤、および(C)溶媒を混合し、分散して分散組成物を得る。
本発明の分散組成物には、上記必須成分に加えて、後述の汎用分散剤、その他の樹脂等を添加してもよい。また遮光顔料を顔料誘導体などで表面処理して分散を容易にすることも可能である。さらに、必要に応じて更に他の成分を含んで構成することができる。
【0084】
−分散組成物の調製−
本発明の分散組成物の調製態様は、特に制限されないが、例えば、(A)遮光顔料、(B)特定分散剤、および(C)溶媒を、縦型もしくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用いて、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズで微分散処理を行なうことにより得ることができる。
【0085】
ビーズ分散を行なう前に予め、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸もしくは2軸の押出機等を用いて、強い剪断力を与えながら混練分散処理を行なうことも可能である。
【0086】
なお、混練、分散についての詳細は、T.C.Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載されている。
【0087】
<汎用分散剤>
本発明に用いうる汎用分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050、4010、4165(ポリウレタン系)、EFKA4330、4340(ブロック共重合体)、4400、4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファィンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」等が挙げられる。
これらのその他の樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0088】
<その他の樹脂>
本発明の分散組成物には、遮光顔料の分散性を調整する目的で、上記特定分散剤以外の樹脂(以下、「その他の樹脂」と称する場合がある)が含有されていてもよい。
本発明に用いることができるその他の樹脂としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、顔料誘導体等を挙げることができる。
その他の樹脂は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
【0089】
その他の樹脂は、遮光顔料および所望により併用する顔料の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。
一方で、その他の樹脂は顔料表面を改質することで、特定分散剤の吸着を促進させる効果を有することもある。
【0090】
<顔料誘導体>
本発明の分散組成物は、さらに顔料誘導体を含有することもできる。
顔料誘導体は、有機顔料、アントラキノン類又はアクリドン類の一部分を酸性基、塩基性基又はフタルイミドメチル基で置換した構造が好ましい。顔料誘導体を構成する有機顔料としては、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料等が挙げられる。
【0091】
顔料誘導体が有する酸性基としては、スルホン酸、カルボン酸及びその4級アンモニウム塩が好ましい。また、顔料誘導体が有する塩基性基としては、アミノ基が好ましく、三級アミノ基が最も好ましい。
【0092】
顔料誘導体の使用量は特に制限がないが、遮光顔料に対し5〜50質量%用いることが好ましく、10〜30質量%用いることがさらに好ましい。
【0093】
また、更に分散組成物には後述するバインダーポリマー等の高分子化合物等を添加することも可能である。バインダーポリマーに含まれる酸基等の極性基は遮光顔料の分散にも有効と考えられ、分散組成物の分散安定性に有効であることが多い。
【0094】
<重合性組成物>
本発明の分散組成物は、(D)重合開始剤を含有して、混合して重合性組成物として用いることができる。以下に(D)重合開始剤、および重合性組成物の詳細を述べる。
【0095】
<(D)重合開始剤>
本発明の重合性組成物に用いられる(D)重合開始剤は、光により分解し、本発明の特定分散剤、および必要によって重合性組成物に添加される後述の(E)重合性化合物の重合を開始、促進する化合物であり、波長300nm以上500nm以下の領域に吸収を有するものであることが好ましい。また、重合開始剤は、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0096】
(D)重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物が挙げられる。
【0097】
有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号公報、特開昭48−36281号公報、特開昭55−32070号公報、特開昭60−239736号公報、特開昭61−169835号公報、特開昭61−169837号公報、特開昭62−58241号公報、特開昭62−212401号公報、特開昭63−70243号公報、特開昭63−298339号公報、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)」筆に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物、s−トリアジン化合物が挙げられる。
【0098】
s−トリアジン化合物として、より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体、具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ナトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0099】
オキシジアゾール化合物としては、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(シアノスチリル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(ナフト−1−イル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−スチリル)スチリル−1,3,4−オキソジアゾールなどが挙げられる。
【0100】
カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
【0101】
ケタール化合物としては、ベンジルメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルエチルアセタールなどを挙げることができる。
【0102】
ベンゾイン化合物としてはm−ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、メチルo−ベンゾイルベンゾエートなどを挙げることができる。
【0103】
アクリジン化合物としては、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタンなどを挙げることができる。
【0104】
有機過酸化化合物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシルカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
【0105】
アゾ化合物としては、例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を挙げることができる。
【0106】
クマリン化合物としては、例えば、3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等を挙げることができる。
【0107】
アジド化合物としては、米国特許第2848328号明細書、米国特許第2852379号明細書ならびに米国特許第2940853号明細書に記載の有機アジド化合物、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−エチルシクロヘキサノン(BAC−E)等が挙げられる。
【0108】
メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
【0109】
ビイミダゾール系化合物としては、例えば、ヘキサアリールビイミダゾール化合物(ロフィンダイマー系化合物)等が好ましい。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公昭45−37377号公報、特公昭44−86516号公報記載のロフィンダイマー類、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0110】
有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837、特開2002−107916、特許第2764769号、特願2000−310808号、等の各公報、及び、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体或いは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
【0111】
ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号公報、特願2001−132318号明細書等に記載される化合物等が挙げられる。
【0112】
本発明に用いられる(E)重合開始剤としては、感度、経時安定性、後加熱時の着色の観点から、オキシム化合物が好ましい。
オキシム化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979)1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報記載の化合物等が挙げられる。
【0113】
本発明に用いられるオキシム化合物としては、感度、経時安定性の観点から、下記式(IV)で表される化合物がより好ましい。下記式(IV)でS原子をO原子、または-CO-に変更した化合物も好ましいが、より好ましくはS原子の化合物である。
【0114】
【化18】

【0115】
式(IV)中、R、及びXは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。u3は1〜5の整数である。
【0116】
前記Rで表される一価の置換基としては、以下に示す一価の非金属原子団であることが好ましい。
で表される一価の非金属原子団としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルキルチオカルボニル基、置換基を有してもよいアリールチオカルボニル基、置換基を有してもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有してもよいジアルキルアミノチオカルボニル基等が挙げられる。
【0117】
置換基を有してもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、3−ニトロフェナシル基等が挙げられる。
【0118】
置換基を有してもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられる。
【0119】
置換基を有してもよいアルケニル基としては、炭素数2以上10以下のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基等が挙げられる。
【0120】
置換基を有してもよいアルキニル基としては、炭素数2以上10以下のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
【0121】
置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基としては、炭素数1以上20以下のアルキルスルフィニル基が好ましく、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、オクチルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、デカノイルスルフィニル基、ドデカノイルスルフィニル基、オクタデカノイルスルフィニル基、シアノメチルスルフィニル基、メトキシメチルスルフィニル基等が挙げられる。
【0122】
置換基を有してもよいアリールスルフィニル基としては、炭素数6以上30以下のアリールスルフィニル基が好ましく、例えば、フェニルスルフィニル基、1−ナフチルスルフィニル基、2−ナフチルスルフィニル基、2−クロロフェニルスルフィニル基、2−メチルフェニルスルフィニル基、2−メトキシフェニルスルフィニル基、2−ブトキシフェニルスルフィニル基、3−クロロフェニルスルフィニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル基、3−シアノフェニルスルフィニル基、3−ニトロフェニルスルフィニル基、4−フルオロフェニルスルフィニル基、4−シアノフェニルスルフィニル基、4−メトキシフェニルスルフィニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
【0123】
置換基を有してもよいアルキルスルホニル基としては、炭素数1以上20以下のアルキルスルホニル基が好ましく、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、デカノイルスルホニル基、ドデカノイルスルホニル基、オクタデカノイルスルホニル基、シアノメチルスルホニル基、メトキシメチルスルホニル基、パーフルオロアルキルスルホニル基等が挙げられる。
【0124】
置換基を有してもよいアリールスルホニル基としては、炭素数6以上30以下のアリールスルホニル基が好ましく、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2−メチルフェニルスルホニル基、2−メトキシフェニルスルホニル基、2−ブトキシフェニルスルホニル基、3−クロロフェニルスルホニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3−シアノフェニルスルホニル基、3−ニトロフェニルスルホニル基、4−フルオロフェニルスルホニル基、4−シアノフェニルスルホニル基、4−メトキシフェニルスルホニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルホニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルホニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0125】
置換基を有してもよいアシル基としては、炭素数2以上20以下のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロメチルカルボニル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等が挙げられる。
【0126】
置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2以上20以下のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0127】
置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0128】
置換基を有してもよいホスフィノイル基としては、総炭素数2以上50以下のホスフィノイル基が好ましく、例えば、ジメチルホスフィノイル基、ジエチルホスフィノイル基、ジプロピルホスフィノイル基、ジフェニルホスフィノイル基、ジメトキシホスフィノイル基、ジエトキシホスフィノイル基、ジベンゾイルホスフィノイル基、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィノイル基等が挙げられる。
【0129】
置換基を有してもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、芳香族或いは脂肪族の複素環が好ましい。例えば、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基等が挙げられる。
【0130】
置換基を有してもよいアルキルチオカルボニル基としては、例えば、メチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、デシルチオカルボニル基、オクタデシルチオカルボニル基、トリフルオロメチルチオカルボニル基等が挙げられる。
【0131】
置換基を有してもよいアリールチオカルボニル基としては、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルチオカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルチオカルボニル基、2−クロロフェニルチオカルボニル基、2−メチルフェニルチオカルボニル基、2−メトキシフェニルチオカルボニル基、2−ブトキシフェニルチオカルボニル基、3−クロロフェニルチオカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルチオカルボニル基、3−シアノフェニルチオカルボニル基、3−ニトロフェニルチオカルボニル基、4−フルオロフェニルチオカルボニル基、4−シアノフェニルチオカルボニル基、4−メトキシフェニルチオカルボニル基等が挙げられる。
【0132】
置換基を有してもよいジアルキルアミノカルボニル基としては、ジメチルアミノカルボニル基、ジメエルアミノカルボニル基、ジプロピルアミノカルボニル基、ジブチルアミノカルボニル基等が挙げられる。
【0133】
置換基を有してもよいジアルキルアミノチオカルボニル基としては、ジメチルアミノチオカルボニル基、ジプロピルアミノチオカルボニル基、ジブチルアミノチオカルボニル基等が挙げられる。
【0134】
中でも、高感度化の点から、Rとしてはアシル基がより好ましく、具体的には、アセチル基、エチロイル基、プロピオイル基、ベンゾイル基、トルイル基が好ましい。
【0135】
式(IV)のAで表される二価の有機基としては、置換基を有してもよい炭素数1以上12以下のアルキレン基、置換基を有してもよいシクロヘキシレン基、置換基を有してもよいアルキニレン基が挙げられる。
これらの基に導入しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
中でも、Aとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0136】
式(IV)のArで表されるアリール基としては、炭素数6以上30以下のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。
具体的には、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられる。中でも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
【0137】
上記フェニル基が置換基を有している場合、その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メチルチオキシ基、エチルチオキシ基、tert−ブチルチオキシ基等のアルキルチオキシ基、フェニルチオキシ基、p−トリルチオキシ基等のアリールチオオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
【0138】
式(IV)においては、前記Arと隣接するSとで形成される「SAr」の構造が、以下に示す構造であることが感度の点で好ましい。
【0139】
【化19】

【0140】
式(IV)のXで表される一価の置換基としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアシルオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、置換基を有してもよいスルファモイル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよい複素環基、ハロゲン基等が挙げられる。
【0141】
置換基を有してもよいアルキル基としては、炭素数1以上30以下のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、3−ニトロフェナシル基等が挙げられる。
【0142】
置換基を有してもよいアリール基としては、炭素数6以上30以下のアリール基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等がある。
【0143】
置換基を有してもよいアルケニル基としては、炭素数2以上10以下のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基等が挙げられる。
【0144】
置換基を有してもよいアルキニル基としては、炭素数2以上10以下のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
【0145】
置換基を有してもよいアルコキシ基としては、炭素数1以上30以下のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシキ、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、エトキシカルボニルメチル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ基、アミノカルボニルメチルオキシ基、N,N−ジブチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−メチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−エチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−オクチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−メチル−N−ベンジルアミノカルボニルメチルオキシ基、ベンジルオキシ基、シアノメチルオキシ基等が挙げられる。
【0146】
置換基を有してもよいアリールオキシ基としては、炭素数6以上30以下のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、2−クロロフェニルオキシ基、2−メチルフェニルオキシ基、2−メトキシフェニルオキシ基、2−ブトキシフェニルオキシ基、3−クロロフェニルオキシ基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシ基、3−シアノフェニルオキシ基、3−ニトロフェニルオキシ基、4−フルオロフェニルオキシ基、4−シアノフェニルオキシ基、4−メトキシフェニルオキシ基、4−ジメチルアミノフェニルオキシ基、4−メチルスルファニルフェニルオキシ基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシ基等がある。
【0147】
置換基を有してもよいアルキルチオキシ基としては、炭素数1以上30以下のチオアルコキシ基が好ましく、例えば、メチルチオキシ基、エチルチオキシ基、プロピルチオキシ基、イソプロピルチオキシ基、ブチルチオキシ基、イソブチルチオキシ基、sec−ブチルチオキシ基、tert−ブチルチオキシ基、ペンチルチオキシ基、イソペンチルチオキシ基、ヘキシルチオキシキ、ヘプチルチオキシ基、オクチルチオキシ基、2−エチルヘキシルチオキシ基、デシルチオキシ基、ドデシルチオキシ基、オクタデシルチオキシ基、ベンジルチオキシ基等が挙げられる。
【0148】
置換基を有してもよいアリールチオキシ基としては、炭素数6以上30以下のアリールチオキシ基が好ましく、例えば、フェニルチオキシ基、1−ナフチルチオキシ基、2−ナフチルチオキシ基、2−クロロフェニルチオキシ基、2−メチルフェニルチオキシ基、2−メトキシフェニルチオキシ基、2−ブトキシフェニルチオキシ基、3−クロロフェニルチオキシ基、3−トリフルオロメチルフェニルチオキシ基、3−シアノフェニルチオキシ基、3−ニトロフェニルチオキシ基、4−フルオロフェニルチオキシ基、4−シアノフェニルチオキシ基、4−メトキシフェニルチオキシ基、4−ジメチルアミノフェニルチオキシ基、4−メチルスルファニルフェニルチオキシ基、4−フェニルスルファニルフェニルチオキシ基等がある。
【0149】
置換基を有してもよいアシルオキシ基としては、炭素数2以上20以下のアシルオキシ基が好ましく、例えば、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、トリフルオロメチルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、1−ナフチルカルボニルオキシ基、2−ナフチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0150】
置換基を有してもよいアルキルスルファニル基としては、炭素数1以上20以下のアルキルスルファニル基が好ましく、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、プロピルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基、ブチルスルファニル基、ヘキシルスルファニル基、シクロヘキシルスルファニル基、オクチルスルファニル基、2−エチルヘキシルスルファニル基、デカノイルスルファニル基、ドデカノイルスルファニル基、オクタデカノイルスルファニル基、シアノメチルスルファニル基、メトキシメチルスルファニル基等が挙げられる。
【0151】
置換基を有してもよいアリールスルファニル基としては、炭素数6以上30以下のアリールスルファニル基が好ましく、例えば、フェニルスルファニル基、1−ナフチルスルファニル基、2−ナフチルスルファニル基、2−クロロフェニルスルファニル基、2−メチルフェニルスルファニル基、2−メトキシフェニルスルファニル基、2−ブトキシフェニルスルファニル基、3−クロロフェニルスルファニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルファニル基、3−シアノフェニルスルファニル基、3−ニトロフェニルスルファニル基、4−フルオロフェニルスルファニル基、4−シアノフェニルスルファニル基、4−メトキシフェニルスルファニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルファニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルファニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルファニル基等が挙げられる。
【0152】
置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基としては、炭素数1以上20以下のアルキルスルフィニル基が好ましく、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、オクチルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、デカノイルスルフィニル基、ドデカノイルスルフィニル基、オクタデカノイルスルフィニル基、シアノメチルスルフィニル基、メトキシメチルスルフィニル基等が挙げられる。
【0153】
置換基を有してもよいアリールスルフィニル基としては、炭素数6以上30以下のアリールスルフィニル基が好ましく、例えば、フェニルスルフィニル基、1−ナフチルスルフィニル基、2−ナフチルスルフィニル基、2−クロロフェニルスルフィニル基、2−メチルフェニルスルフィニル基、2−メトキシフェニルスルフィニル基、2−ブトキシフェニルスルフィニル基、3−クロロフェニルスルフィニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル基、3−シアノフェニルスルフィニル基、3−ニトロフェニルスルフィニル基、4−フルオロフェニルスルフィニル基、4−シアノフェニルスルフィニル基、4−メトキシフェニルスルフィニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
【0154】
置換基を有してもよいアルキルスルホニル基としては、炭素数1以上20以下のアルキルスルホニル基が好ましく、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、デカノイルスルホニル基、ドデカノイルスルホニル基、オクタデカノイルスルホニル基、シアノメチルスルホニル基、メトキシメチルスルホニル基等が挙げられる。
【0155】
置換基を有してもよいアリールスルホニル基としては、炭素数6以上30以下のアリールスルホニル基が好ましく、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2−メチルフェニルスルホニル基、2−メトキシフェニルスルホニル基、2−ブトキシフェニルスルホニル基、3−クロロフェニルスルホニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3−シアノフェニルスルホニル基、3−ニトロフェニルスルホニル基、4−フルオロフェニルスルホニル基、4−シアノフェニルスルホニル基、4−メトキシフェニルスルホニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルホニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルホニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0156】
置換基を有してもよいアシル基としては、炭素数2以上20以下のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロメチルカルボニル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等が挙げられる。
【0157】
置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2以上20以下のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、トリフルオロメチルオキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0158】
置換基を有してもよいカルバモイル基としては、総炭素数1以上30以下のカルバモイル基が好ましく、例えば、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N−ヘキシルカルバモイル基、N−シクロヘキシルカルバモイル基、N−オクチルカルバモイル基、N−デシルカルバモイル基、N−オクタデシルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−2−メチルフェニルカルバモイル基、N−2−クロロフェニルカルバモイル基、N−2−イソプロポキシフェニルカルバモイル基、N−2−(2−エチルヘキシル)フェニルカルバモイル基、N−3−クロロフェニルカルバモイル基、N−3−ニトロフェニルカルバモイル基、N−3−シアノフェニルカルバモイル基、N−4−メトキシフェニルカルバモイル基、N−4−シアノフェニルカルバモイル基、N−4−メチルスルファニルフェニルカルバモイル基、N−4−フェニルスルファニルフェニルカルバモイル基、N−メチル−N−フェニルカルバモイル基、N、N−ジメチルカルバモイル基、N、N−ジブチルカルバモイル基、N、N−ジフェニルカルバモイル基等が挙げられる。
【0159】
置換基を有してもよいスルファモイル基としては、総炭素数0以上30以下のスルファモイル基が好ましく、例えば、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N、N−ジアルキルスルファモイル基、N、N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモオイル基等が挙げられる。より具体的には、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基、N−オクチルスルファモイル基、N−2−エチルヘキシルスルファモイル基、N−デシルスルファモイル基、N−オクタデシルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N−2−メチルフェニルスルファモイル基、N−2−クロロフェニルスルファモイル基、N−2−メトキシフェニルスルファモイル基、N−2−イソプロポキシフェニルスルファモイル基、N−3−クロロフェニルスルファモイル基、N−3−ニトロフェニルスルファモイル基、N−3−シアノフェニルスルファモイル基、N−4−メトキシフェニルスルファモイル基、N−4−シアノフェニルスルファモイル基、N−4−ジメチルアミノフェニルスルファモイル基、N−4−メチルスルファニルフェニルスルファモイル基、N−4−フェニルスルファニルフェニルスルファモイル基、N−メチル−N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基等が挙げられる。
【0160】
置換基を有してもよいアミノ基としては、総炭素数0以上50以下のアミノ基が好ましく、例えば、−NH2、N−アルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N−アシルアミノ基、N−スルホニルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、N、N−ジスルホニルアミノ基等が挙げられる。より具体的には、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−tert―ブチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基、N−オクチルアミノ基、N−2−エチルヘキシルアミノ基、N−デシルアミノ基、N−オクタデシルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−2−メチルフェニルアミノ基、N−2−クロロフェニルアミノ基、N−2−メトキシフェニルアミノ基、N−2−イソプロポキシフェニルアミノ基、N−2−(2−エチルヘキシル)フェニルアミノ基、N−3−クロロフェニルアミノ基、N−3−ニトロフェニルアミノ基、N−3−シアノフェニルアミノ基、N−3−トリフルオロメチルフェニルアミノ基、N−4−メトキシフェニルアミノ基、N−4−シアノフェニルアミノ基、N−4−トリフルオロメチルフェニルアミノ基、N−4−メチルスルファニルフェニルアミノ基、N−4−フェニルスルファニルフェニルアミノ基、N−4−ジメチルアミノフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N、N−ジメチルアミノ基、N、N−ジエチルアミノ基、N、N−ジブチルアミノ基、N、N−ジフェニルアミノ基、N、N−ジアセチルアミノ基、N、N−ジベンゾイルアミノ基、N、N−(ジブチルカルボニル)アミノ基、N、N−(ジメチルスルホニル)アミノ基、N、N−(ジエチルスルホニル)アミノ基、N、N−(ジブチルスルホニル)アミノ基、N、N−(ジフェニルスルホニル)アミノ基、モルホリノ基、3,5−ジメチルモルホリノ基、カルバゾール基等が挙げられる。
【0161】
置換基を有してもよいホスフィノイル基としては、総炭素数2以上50以下のホスフィノイル基が好ましく、例えば、ジメチルホスフィノイル基、ジエチルホスフィノイル基、ジプロピルホスフィノイル基、ジフェニルホスフィノイル基、ジメトキシホスフィノイル基、ジエトキシホスフィノイル基、ジベンゾイルホスフィノイル基、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィノイル基等が挙げられる。
【0162】
置換基を有してもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、芳香族或いは脂肪族の複素環が好ましい。例えば、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基等がある。
【0163】
ハロゲン基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等がある。
【0164】
更に、前述した置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアシルオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、置換基を有してもよいスルファモイル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよい複素環基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
【0165】
そのような置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
【0166】
これらの中でも、Xとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基が好ましい。
また、式(IV)におけるu3は0〜5の整数を表すが、0〜2の整数が好ましい。
【0167】
以下、式(IV)で表されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0168】
【化20】

【0169】
【化21】

【0170】
【化22】

【0171】
【化23】

【0172】
【化24】

【0173】
【化25】

【0174】
【化26】

【0175】
【化27】

【0176】
【化28】

【0177】
【化29】

【0178】
【化30】

【0179】
【化31】

【0180】
【化32】

【0181】
式(IV)で表されるオキシム化合物は、光により分解し、光重合性化合物の重合を開始、促進する光重合開始剤としての機能を有する。特に、該オキシム化合物は365nmや405nmの光源に優れた感度を有する。
【0182】
オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の各公報に記載のヨードニウム塩などが挙げられる。
【0183】
本発明に好適に用いることのできるヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウム塩であり、安定性の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基等の電子供与性基で2つ以上置換されていることが好ましい。また、その他の好ましいスルホニウム塩の形態として、トリアリールスルホニウム塩の1つの置換基がクマリン、アントアキノン構造を有し、300nm以上に吸収を有するヨードニウム塩などが好ましい。
【0184】
本発明に好適に用いることのできるスルホニウム塩としては、欧州特許第370,693号、同390,214号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩が挙げられ、安定性の感度点から好ましくは電子吸引性基で置換されていることが好ましい。電子吸引性基としては、ハメット値が0より大きいことが好ましい。好ましい電子吸引性基としては、ハロゲン原子、カルボン酸などが挙げられる。
また、その他の好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩の1つの置換基がクマリン、アントアキノン構造を有し、300nm以上に吸収を有するスルホニウム塩が挙げられる。別の好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩が、アリールオキシ基、アリールチオ基を置換基に有する300nm以上に吸収を有するスルホニウム塩が挙げられる。
【0185】
また、オニウム塩化合物としては、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello
et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
【0186】
アシルホスフィン(オキシド)化合物としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア819、ダロキュア4265、ダロキュアTPOなどが挙げられる。
【0187】
本発明の重合性組成物に用いられる(D)重合開始剤としては、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン系化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物、メタロセン化合物、オキシム系化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物およびその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体およびその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
【0188】
さらに好ましくは、トリハロメチルトリアジン系化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物、オキシム系化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物であり、トリハロメチルトリアジン系化合物、α−アミノケトン化合物、オキシム系化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が最も好ましい。
【0189】
特に、本発明の重合性組成物を固体撮像素子のカラーフィルタの作製に使用する場合には、微細な画素をシャープな形状で形成する必要があるために、硬化性とともに未露光部に残渣がなく現像されることが重要である。このような観点からは、オキシム系化合物の重合開始剤が特に好ましい。特に、固体撮像素子において微細な画素を形成する場合、硬化用露光にステッパー露光を用いるが、この露光機はハロゲンにより損傷される場合があり、重合開始剤の添加量も低く抑える必要があるため、これらの点を考慮すれば、固体撮像素子の如き微細着色パターンを形成するには(D)重合開始剤としては、オキシム系重合開始剤を用いるのが最も好ましい。特にオキシム系重合開始剤としては前述の式(IV)で表される化合物が好ましい。
【0190】
本発明の重合性組成物に含有される(D)重合開始剤の含有量は、重合性組成物の全固形分に対し0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上30質量%以下、更に好ましくは1質量%以上20質量%以下である。この範囲で、良好な感度とパターン形成性が得られる。
【0191】
本発明の重合性組成物の全固形分中に対する遮光顔料の含有量は、必要な遮光性の発現、現像性の付与等の観点から、0.1〜60質量%の範囲が好ましく、5〜50質量%の範囲がより好ましい。
【0192】
<(E)重合性化合物>
本発明の重合性組成物は、(E)重合性化合物を含むことによって、さらに高感度化が可能であり、(E)重合性化合物を重合性組成物に含有することが好ましい。
(E)重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。
【0193】
これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0194】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等がある。
【0195】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0196】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
【0197】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0198】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0199】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(V)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0200】
【化33】


式(V)中、R、及びRは、それぞれ、H又はCHを示す。
【0201】
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた重合性組成物を得ることができる。
【0202】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号公報、特公平1−40337号公報、特公平1−40336号公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0203】
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、重合性組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、重合性組成物に含有される他の成分(例えば、重合開始剤、遮光顔料等の遮光材(顔料、染料)等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、基板などの硬質表面との密着性を向上させる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
【0204】
重合性組成物の全固形分中、(E)重合性化合物の含有量は、5質量%〜90質量%の範囲であることが好ましく、10質量%〜85質量の範囲であることがより好ましく、20質量%〜80質量の範囲であることが更に好ましい。
この範囲内であると、色相を薄めることなく、密着感度及び現像性が共に良好で好ましい。
【0205】
本発明の重合性組成物は、更に、必要に応じて、以下に詳述する任意成分を更に含有してもよい。以下、重合性組成物が含有しうる任意成分について説明する。
[増感剤]
本発明の重合性組成物は、ラジカル開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。
本発明に用いることができる増感剤としては、前記した(D)重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
【0206】
増感剤としては、以下に列挙する化合物類に属しており、且つ、300nm〜450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。
即ち、例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
【0207】
本発明に用いうる増感剤として、より好ましい例としては、下記一般式(e−1)〜(e−4)で表される化合物が挙げられる。
【0208】
【化34】

【0209】
式(e−1)中、Aは硫黄原子又はNR50を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表し、Lは隣接するA及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51およびR52はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51およびR52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
【0210】
【化35】

【0211】
式(e−2)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、アリール基を表し、−L−による結合を介して連結している。ここで−L−は−O−又は−S−を表す。また、Wは式(e−1)に示したものと同義である。
【0212】
【化36】

【0213】
式(e−3)中、Aは硫黄原子又はNR59を表し、Lは隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。
【0214】
【化37】

【0215】
式(e−4)中、AおよびAはそれぞれ独立に、−S−又は−NR62を表し、R62は置換若しくは非置換のアルキル基、または、置換若しくは非置換のアリール基を表し、LおよびLはそれぞれ独立に、隣接するA、A及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60およびR61はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。
【0216】
重合性組成物中における増感剤の含有量は、深部への光吸収効率と開始分解効率の観点から、固形分換算で、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0217】
また、重合性組成物に含有しうる好ましい増感剤としては、上記増感剤の他、下記一般式(II)で表される化合物、及び、一般式(III)で表される化合物から選択される少な
くとも一種が挙げられる。
これらは一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0218】
【化38】

【0219】
一般式(II)中、R11及びR12は、各々独立に一価の置換基を表し、R13、R14、R15及びR16は、各々独立に水素原子又は一価の置換基を表す。u1は0〜5の整数を表し、u2は0〜5の整数を表し、u1及びu2が両方とも0となることはない。u1が2以上である場合、複数存在するR11はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。u2が2以上である場合、複数存在するR12はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。なお、一般式(II)において二重結合による異性体については、どちらかに限定されるものではない
【0220】
一般式(II)で表される化合物としては、波長365nmにおけるモル吸光係数εが500mol−1・L・cm−1以上であることが好ましく、波長365nmにおけるεが3000mol−1・L・cm−1以上であることがより好ましく、波長365nmにおけるεが20000mol−1・L・cm−1以上であることが最も好ましい。各波長でのモル吸光係数εの値が上記範囲であると、光吸収効率の観点から感度向上効果が高く好ましい。
【0221】
一般式(II)で表される化合物の好ましい具体例を以下に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、本明細書においては、化学式は簡略構造式により記載することもあり、特に元素や置換基の明示がない実線等は、炭化水素基を表す。
【0222】
【化39】

【0223】
【化40】

【0224】
一般式(III)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、又は−N(R23)−を表し、Yは酸素原子、硫黄原子、又は−N(R23)−を表す。R21、R22、及びR23は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表し、A、R21、R22、及びR23は、それぞれ互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成してもよい。
【0225】
一般式(III)において、R21、R22、及びR23は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表す。R21、R22、及びR23が一価の非金属原子を表す場合、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換の芳香族複素環残基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアルキルチオ基、ヒドロキシ基、または、ハロゲン原子であることが好ましい。
【0226】
一般式(III)で表される化合物は、重合開始剤の分解効率向上の観点から、Yは酸素原子、又は−N(R23)−が好ましい。R23は、水素原子又は一価の非金属原子団を表す。更に、Yは−N(R23)−であることが最も好ましい。
【0227】
以下、一般式(III)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。また、酸性核と塩基性核を結ぶ2重結合による異性体については明らかでなく、本発明はどちらかの異性体に限定されるものでもない。
【0228】
【化41】

【0229】
[共増感剤]
本発明の重合性組成物は、更に共増感剤を含有することも好ましい。
本発明において共増感剤は、(D)重合開始剤や増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、或いは、酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する。
【0230】
このような共増感剤の例としては、アミン類、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
【0231】
共増感剤の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
【0232】
また、共増感剤の別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)等が挙げられる。
【0233】
これら共増感剤の含有量は、重合成長速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の観点から、重合性組成物の全固形分の質量に対し、0.1質量%以上30質量%以下の範囲が好ましく、1質量%以上25質量%以下の範囲がより好ましく、0.5質量%以上20質量%以下の範囲が更に好ましい。
【0234】
[重合禁止剤]
本発明においては、分散組成物、および重合性組成物の製造中あるいは保存中において、(B)特定分散剤および(E)重合性化合物の不要な重合を阻止するために、重合禁止剤を添加することが好ましい。
本発明に用いうる重合禁止剤としては、フェノール系水酸基含有化合物、N−オキシド化合物類、ピペリジン1−オキシルフリーラジカル化合物類、ピロリジン1−オキシルフリーラジカル化合物類、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン類、ジアゾニウム化合物類、及びカチオン染料類、スルフィド基含有化合物類、ニトロ基含有化合物類、FeCl3、CuCl2等の遷移金属化合物類が挙げられる。
【0235】
重合禁止剤の具体例としては、好ましくは、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)のフェノール系水酸基含有化合物、ピペリジン1−オキシルフリーラジカル化合物類若しくは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−マレイミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、及び4−ホスホノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカルのピペリジン1−オキシルフリーラジカル化合物、若しくはN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩及びN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩のN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン化合物であり、より好ましくは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−マレイミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、及び4−ホスホノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカルのピペリジン1−オキシルフリーラジカル化合物、若しくはN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩及びN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩のN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン化合物であり、更に好ましくは、−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩及びN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩のN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン化合物である。
【0236】
重合禁止剤の好ましい添加量としては、(D)重合開始剤100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、さらに0.01質量部以上8質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上5質量部以下の範囲にあることが最も好ましい。
上記範囲とすることで、非画像部における硬化反応抑制および画像部における硬化反応促進が充分おこなわれ、画像形成性および感度が良好となる。
【0237】
[バインダーポリマー]
重合性組成物においては、皮膜特性向上などの目的で、必要に応じて、更にバインダーポリマーを使用することができる。バインダーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような線状有機ポリマーとしては、公知のものを任意に使用できる。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とするために、水或いは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水或いは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭54−92723号公報公報、特開昭59−53836号公報、特開昭59−71048号公報に記載されているもの、すなわち、カルボキシル基を有するモノマーを単独或いは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独或いは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解若しくはハーフエステル化若しくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等があげられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0238】
本発明において、バインダーポリマーとして、共重合体を用いる場合、共重合させる化合物として、先にあげたモノマー以外の他のモノマーを用いることもできる。他のモノマーの例としては、下記(1)〜(12)の化合物が挙げられる。
【0239】
(1)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルアクリレート、2−フェニルビニルアクリレート、1−プロペニルアクリレート、アリルアクリレート、2−アリロキシエチルアクリレート、プロパルギルアクリレート等のアルキルアクリレート。
【0240】
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、ビニルメタクリレート、2−フェニルビニルメタクリレート、1−プロペニルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−アリロキシエチルメタクリレート、プロパルギルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、ビニルアクリルアミド、ビニルメタクリルアミド、N,N−ジアリルアクリルアミド、N,N−ジアリルメタクリルアミド、アリルアクリルアミド、アリルメタクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
【0241】
(5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン等のスチレン類。
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
【0242】
(10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(12)α位にヘテロ原子が結合したメタクリル酸系モノマー。例えば、特願2001−115595号明細書、特願2001−115598号明細書等に記載されている化合物を挙げる事ができる。
【0243】
これらの中で、側鎖にアリル基やビニルエステル基とカルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂及び特開2000−187322号公報、特開2002−62698号公報に記載されている側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂や、特開2001−242612号公報に記載されている側鎖にアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
【0244】
また、特公平7−12004号公報、特公平7−120041号公報、特公平7−120042号公報、特公平8−12424号公報、特開昭63−287944号公報、特開昭63−287947号公報、特開平1−271741号公報、特願平10−116232号公報等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーや、特開2002−107918号公報に記載される酸基と二重結合を側鎖に有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
また、欧州特許993966、欧州特許1204000、特開2001−318463号公報等に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。
更にこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0245】
本発明の重合性組成物で使用しうるバインダーポリマーの重量平均分子量としては、好ましくは5、000以上であり、更に好ましくは1万以上30万以下の範囲であり、数平均分子量については好ましくは1、000以上であり、更に好ましくは2、000以上25万以下の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、更に好ましくは1.1以上10以下の範囲である。
これらのバインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
【0246】
本発明で用いうるバインダーポリマーは、従来公知の方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
本発明の重合性組成物において用いうるバインダーポリマーを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が挙げられる。
【0247】
重合性組成物の全固形分中、バインダーポリマーの含有量は、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、3質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、4質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
【0248】
[密着向上剤]
本発明の重合性組成物においては、基板などの硬質表面との密着性を向上させるために、密着向上剤を添加することができる。密着向上剤としては、シラン系カップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
【0249】
シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビスアリルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、フェニルトリメトキシシラン、N−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジエトキシシラン、(アクリロキシメチル)メチルジメトキシシラン、等が挙げられる。
【0250】
中でも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが最も好ましい。
【0251】
密着向上剤の添加量は、重合性組成物の全固形分中0.5質量%以上30質量%以下が好ましく、0.7質量%以上20質量%以下がより好ましい。
【0252】
[その他の添加剤]
更に、重合性組成物に対しては、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、可塑剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、重合性化合物とバインダーポリマーとの合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
【0253】
なお本発明の重合性組成物は、遮光顔料分散時の分散性が高く、未露光部における残渣が抑制され、基板に塗布時の塗布性が良好なため、遮光性カラーフィルタの形成に好適に用いることができる。
【0254】
<ブラックマトリックスを有するカラーフィルタ>
本発明のブラックマトリックスを有するカラーフィルタは、前述の本発明の重合性組成物を用いて形成されたものである。本発明の重合性組成物を用いて形成されたブラックマトリックスは、残渣が抑制され、平坦性が高く、ステップがなく形状の良化ができる。
【0255】
本発明においてステップとは、重合性組成物を塗布、露光、現像して形成した一辺200μm程度以上のブラックマトリックス中に観察される段差のことをいう。ブラックマトリックスを膜面上方から光学顕微鏡で観察すると、ステップがブラックマトリックスのパターンエッジとほぼ相似形の線として観察される場合がある。
【0256】
図1は、ブラックマトリックス10中にステップが生じた様子を模式的に表した平面図であり、図2は断面図である。実線は遮光性カラーフィルタのパターンエッジ1を表し、破線はステップ2を表す。
ブラックマトリックスの膜厚は、ステップより外側の領域(図1中、パターンエッジ1とステップ2とにより挟まれた領域)では、ステップより内側の領域(図1中、ステップ2で囲まれた領域)よりも薄くなっている。即ち、ステップより外側の領域(以下、「ステップ領域」ともいう)では遮光能が低いため、固体撮像素子用のブラックマトリックスとして用いた際にノイズの原因となる等、固体撮像素子の性能に悪影響を及ぼす。
なお本発明の重合性組成物を用いてブラックマトリックスを形成した際、ブラックマトリックス周辺部に中央部よりも膜厚が薄くなる領域(ステップ領域)を生じる現象を抑制でき、周辺部における遮光能の低下を抑制できる。
【0257】
ブラックマトリックスの膜厚としては特に限定はないが、本発明による効果をより効果的に得る観点からは、乾燥後の膜厚で、0.2μm以上50μm以下が好ましく、0.5μm以上30μm以下がより好ましく、0.7μm以上10μm以下が更に好ましい。
ブラックマトリックスのサイズ(一辺の長さ)としては、本発明による効果をより効果的に得る観点からは、0.001mm以上5mm以下が好ましく、0.05mm以上4mm以下がより好ましく、0.05mm以上3.5mm以下が更に好ましい。
【0258】
<ブラックマトリックスを有する遮光性カラーフィルタ及びその製造方法>
次に、本発明のブラックマトリックスを有する遮光性カラーフィルタ及びその製造方法について説明する。
本発明のブラックマトリックスを有する遮光性カラーフィルタは、基板上に、本発明の重合性組成物を用いてなる着色パターンを有することを特徴とする。
以下、本発明のブラックマトリックスを有する遮光性カラーフィルタについて、その製造方法を通じて詳述する。
【0259】
本発明のブラックマトリックスを有する遮光性カラーフィルタの製造方法は、基板上に、本発明の重合性組成物を塗布して重合性組成物層を形成する工程(以下、適宜「重合性組成物層形成工程」と略称する。)と、前記重合性組成物層をマスクを介して露光する工程(以下、適宜「露光工程」と略称する。)と、露光後の前記重合性組成物層を現像して着色パターンを形成する工程(以下、適宜「現像工程」と略称する。)と、を含むことを特徴とする。
【0260】
具体的には、本発明の重合性組成物を、直接又は他の層を介して基板上に塗布して、重合性組成物層を形成し(重合性組成物層形成工程)、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させ(露光工程)、現像液で現像することによって(現像工程)、画素からなるパターン状皮膜を形成し、本発明の遮光性カラーフィルタを製造することができる。
以下、本発明のブラックマトリックスを有する遮光性カラーフィルタの製造方法における各工程について説明する。
【0261】
[重合性組成物層形成工程]
重合性組成物層形成工程では、基板上に、本発明の重合性組成物を塗布して重合性組成物層を形成する。
【0262】
前記基板としては、例えば、液晶表示装置等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。
また、これらの基板上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0263】
基板上への本発明の重合性組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
【0264】
固体撮像素子用のブラックマトリックスを有するカラーフィルタを製造する際には、重合性組成物の塗布膜厚としては、解像度と現像性の観点から、0.35μm以上1.5μm以下が好ましく、0.40μm以上1.0μm以下がより好ましい。
【0265】
基板上に塗布された重合性組成物は、通常、70℃以上110℃以下で2分以上4分以下程度の条件下で乾燥され、重合性組成物層が形成される。
【0266】
〔露光工程〕
露光工程では、前記重合性組成物層形成工程において形成された重合性組成物層をマスクを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられ、高圧水銀灯がより好まれる。照射強度は5mJ/cm以上1500mJ/cm以下が好ましく10mJ/cm以上1000mJ/cm以下がより好ましく、10mJ/cm以上800mJ/cm以下が最も好ましい。
【0267】
〔現像工程〕
露光工程に次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行い、露光工程における光未照射部分をアルカリ水溶液に溶出させる。これにより、光硬化した部分だけが残る。
現像液としては、固体撮像素子用のブラックマトリクスを有する遮光性カラーフィルタを作製する場合には、下地の回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20℃以上30℃以下であり、現像時間は20秒以上90秒以下である。
【0268】
前記アルカリ性の水溶液としては、例えば、無機系現像液としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、有機アルカリ現像液としては、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が挙げられる。アルカリ性水溶液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
【0269】
なお、本発明のブラックマトリクスを有するカラーフィルタの製造方法においては、上述した、重合性組成物層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された着色パターンを加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
【0270】
本発明のブラックマトリクスを有するカラーフィルタは、本発明の重合性組成物を用いているため、形成された着色パターンが支持体基板との高い密着性を示し、硬化した組成物は耐現像性に優れるため、露光感度に優れ、露光部の基板との密着性が良好であり、かつ、所望の断面形状を与える高解像度のパターンを形成することができる。
従って、液晶表示装置やCCD等の固体撮像素子に好適に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS等に好適である。すなわち、本発明のブラックマトリクスを備えた遮光性カラーフィルタは、固体撮像素子に適用されることが好ましい。
本発明のブラックマトリックスを有するカラーフィルタは、例えば、CCDを構成する各画素の受光部と集光するためのマイクロレンズとの間に配置されるブラックマトリックスとして用いることができる。
【0271】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、既述の本発明のブラックマトリックスと、必要により他の色(3色あるいは4色)の画素からなるパターン状皮膜と、を有するカラーフィルタを備えて構成される。
本発明の固体撮像素子は、周辺部における遮光能の低下が抑制された本発明のブラックマトリックスが備えられているため、ノイズを低減でき、色再現性を向上させることができる。
本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明のブラックマトリックスが備えられた構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、基板上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー、等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる受光素子を有し、基板の受光素子形成面の反対側の面に本発明のブラックマトリックスが備えられた構成等が挙げられる。
【0272】
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置の1つは、少なくとも1つが光透過性の1対の基板の間にカラーフィルタ、液晶層および液晶駆動手段(単純マトリックス駆動方式、及びアクティブマトリックス駆動方式を含む)を少なくとも備えたもので、カラーフィルタとして、前記のごとき複数の画素群を有し、前記画素群を構成する各画素が、互いに本発明のブラックマトリックスにより離画されているカラーフィルタを用いるものである。前記ブラックマトリックスは平坦性が高いため、ブラックマトリックスを備える液晶表示装置は、カラーフィルタと基板との間にセルギャップムラが発生せず、色ムラ等の表示不良が発生することがない。
【0273】
また、本発明の液晶表示装置の別の態様のものは、少なくとも1つが光透過性の1対の基板の間に、カラーフィルタ、液晶層および液晶駆動手段を少なくとも備え、前記液晶駆動手段がアクティブ素子(例えばTFT)を有し、かつ各アクティブ素子の間に本発明のブラックマトリックス作製用の重合性組成物である。
【実施例】
【0274】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」「%」は質量基準である。
【0275】
<特定分散剤1の合成>
500mL三口フラスコに、ε-カプロラクトン 114.1g、ヒドロキシエチルアクリレート 11.6gを導入し、窒素を吹き込みながら、攪拌溶解した。モノブチル錫オキシド 0.05gを加え、100℃に加熱した。6時間後、1H-NMRにて、原料が消失したのを確認後、80℃まで冷却した。2,6-ジt-ブチル−4−メチルフェノール 0.6gを添加した後、無水ピロメリット酸 11.1gを添加した。3時間後、H-NMRにて原料が消失したのを確認後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 136.9gで希釈し、室温まで冷却して固形分濃度30質量%の下記構造の式(2)の特定分散剤1を得た。
【0276】
【化42】



【0277】
<特定分散剤2の合成>
500mL三口フラスコに、ブレンマーAP−550(日本油脂(株)製) 107g、2,6-ジt-ブチル−4−メチルフェノール 0.6gを混合したところに、無水トリメリット酸 34.5g、ジアザビシクロウンデセン 3滴を添加した後、120℃にて3時間反応させた。H-NMRにて原料が消失したのを確認後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 331.5gで希釈し、室温まで冷却して固形分濃度30質量%の下記構造(nが約9)である式(2)の特定分散剤2を得た。
【0278】
【化43】



【0279】
<特定分散剤3の合成>
500mL三口フラスコに、ブレンマーAP−550(日本油脂(株)製) 107g、ε-カプロラクトン 4.6gを導入し、窒素を吹き込みながら、攪拌溶解した。モノブチル錫オキシド 0.1gを加え、120℃に加熱した。6時間後、H-NMRにて原料が消失したのを確認後、80℃まで冷却した。2,6-ジt-ブチル−4−メチルフェノール 0.6gを添加した後、4,4-オキシジフタル酸無水物 27.9gを添加した。3時間後、H-NMRにて原料が消失したのを確認後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 327gで希釈し、室温まで冷却して固形分濃度30質量%の下記構造(nが約9)である式(2)の特定分散剤3を得た。
【0280】
【化44】

【0281】
<特定分散剤4の合成>
500mL三口フラスコに、ブレンマーAP−550(日本油脂(株)製) 89.2g、ε-カプロラクタム 17.0g、2,6-ジt-ブチル−4−メチルフェノール 0.5gを投入し、窒素を吹き込みながら、攪拌溶解した。モノブチル錫オキシド 0.1gを加え、120℃に加熱した。6時間後、H-NMRにて原料が消失したのを確認後、80℃まで冷却した。トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート 15.8gを添加し、80℃にて4時間反応させた。H-NMRにて原料が消失したのを確認後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 285.8gで希釈し、室温まで冷却して固形分濃度30質量%の下記構造(nが約9)である式(4)の特定分散剤4を得た。
【0282】
【化45】

【0283】
<特定分散剤5の合成>
500mL三口フラスコに、2−エチル−2−カルボキシル−1,3−プロパンジオール3.7g、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート 10.5g、テトラヒドロフラン100mLを60℃にて6時間還流させる。その後、ブレンマーAP−550(日本油脂(株)製) 32.7g、2,6-ジt-ブチル−4−メチルフェノール 0.5gを投入し、窒素を吹き込みながら、80℃にて攪拌溶解した。4時間後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 109.4gで希釈し、室温まで冷却して固形分濃度30質量%の下記構造(nが約9)である式(5)の特定分散剤5を得た。
【0284】
【化46】

【0285】
<比較分散剤2の合成>
(1)前駆体の合成
N−フェニルマレイミド30g、メタクリル酸20g、スチレン20g、ベンジルメタクリレート30g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート233g、2,2'−アゾビスブチロニトリル3.0g、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン2.0gを混合させ、80℃で3時間反応させ、アルカリ可溶性樹脂の前駆体を得た。この樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量は15300であり、酸価は130(mgKOH/g)であった。
【0286】
(2)比較分散剤2の合成
上記で合成したアルカリ可溶性樹脂の前駆体20g、p−メトキシフェノール0.2g、テトラエチルアンモニウムクロリド0.2g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5gをフラスコに仕込み、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート2.1gを加え、90℃にて30時間反応させ、下記構造の比較分散剤2を得た。この樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量は15900であり、酸価は97(mgKOH/g)であった。
【0287】
【化47】

【0288】
(実施例1)
<チタンブラック分散物の調製>
下記組成1を二本ロールにて高粘度分散処理を施し、分散物を得た。なお、高粘度分散処理の前にニーダーで30分混練した。
【0289】
<組成1>
・平均一次粒径75nmのチタンブラック(三菱マテリアルズ(株)製13M−C) 39部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 60部
【0290】
得られた分散物に、下記組成3、および組成4をそれぞれ添加し、3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて3時間攪拌した。得られた混合溶液を、0.3mm径のジルコニアビーズを用いて、分散機(商品名:ディスパーマット GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施して、チタンブラック分散液A(以下、TB分散液Aと表記する)、およびチタンブラック分散液B(以下、TB分散液Bと表記する。)をそれぞれ得た。
【0291】
<組成3>
・特定分散剤1のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30wt%溶液 30部
<組成4>
・特定分散剤1のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30wt%溶液 45部
【0292】
下記成分を攪拌機で混合して、重合性組成物A、および重合性組成物Bをそれぞれ調製した。
(組成A:重合性組成物A)
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(バインダーポリマー) 3.0部
(組成比:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体=70/30(重量%)、重量平均分子量:25000)
・日本化薬製KAYARAD DPHA(重合性化合物) 2.0部
・TB分散液A 26.0部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤) 10部
・エチル−3−エトキシプロピオネート(溶剤) 8部
・重合開始剤:下記表2に記載の化合物 0.8部
・4−メトキシフェノール(重合禁止剤) 0.01部
【0293】
(組成B:重合性組成物B)
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(バインダーポリマー) 3.0部
(組成比:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体=70/30(質量%)、重量平均分子量:25000)
・日本化薬製KAYARAD DPHA(重合性化合物) 2.0部
・TB分散液B 26.0部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤) 10部
・エチル−3−エトキシプロピオネート(溶剤) 8部
・重合開始剤:下記表1に記載の化合物 0.8部
・4−メトキシフェノール(重合禁止剤) 0.01部
【0294】
<固体撮像素子用ブラックマトリックスを有するカラーフィルタの露光感度>
上記重合性組成物をレジスト溶液として、この塗布膜の乾燥膜厚が1μmになるように、ソルダーレジストの下塗り層を設けたシリコンウエハの下塗り層上にスピーンコーター塗布した後、10分間そのままの状態で待機させ、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長で、露光量を10〜200mJ/cmの種々の露光量に変更して露光した。
【0295】
その後、照射された塗布膜が形成されているシリコンウエハ基板をスピン・シャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行なった。
次いで塗布膜が形成されているシリコンウエハを真空チャック方式で前記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって該シリコンウエハ基板を回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥し、ブラックマトリックスを有するウエハを形成した。
現像後のパターン線幅が20μmとなる露光量を露光感度として評価した。露光感度の値が小さいほど感度が高いことを示す。
【0296】
(実施例2〜実施例14および比較例1〜比較例3)
実施例1の分散組成物の調整において、分散剤を表1に示す特定分散剤、あるいは比較分散剤に代え、また重合性組成物の重合開始剤を表1に示す重合開始剤に代えた以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0297】
【表1】

【0298】
前記の合成例に示した以外の表1に用いた材料は、下記に示す。
比較分散剤1:ジメチルアミノエチルメタクリレート(共栄社化学(株)ライトエステルDM)
比較分散剤3:ポリウレタン分散剤(商品名:Disperbyk−167、ビックケミージャパン社製)
重合開始剤の化合物1〜4、および6を下記に示す。
【0299】
【化48】

【0300】
【化49】

【0301】
【化50】

【0302】
【化51】

【0303】
【化52】

【0304】
〔評価〕
上記のようにして得られた分散組成物、および重合性組成物を用いて、以下の評価を行った。その結果をまとめて前記した露光感度とともに表1に示した。
【0305】
−分散組成物の粘度−
また、分散組成物の粘度をE型回転粘度計(東機産業社製)を用いて測定した。分散組成物の粘度が小さいほど分散性が高いことを示している。
【0306】
−保存安定性(経時安定性)評価−
各重合性組成物を室温で1ケ月保存した後、チタンブラックの沈降の度合いを下記判定基準に従って評価した。数値化の方法は可視光吸光度計(Varian製CARY-5)により、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートにより千倍に希釈した重合性組成物の吸光度変化率から算出したものである。
−判定基準−
○:0%以上2%未満のチタンブラックの沈降が観測された
△:2%以上5%未満のチタンブラックの沈降が観測された
×:5%以上のチタンブラックの沈降が観測された
【0307】
表1から明らかなように、固体撮像素子用ブラックマトリックスとして、特定分散剤を用いた本発明の分散組成物による実施例1〜14は、分散組成物の粘度が小さく、分散性が良好であることがわかる。また、本発明の分散組成物を用いた重合性組成物は、良好な保存安定性を示し、露光感度が小さく感度が高いことがわかった。
また、重合開始剤としてオキシム系化合物を用いた実施例1〜12は、さらに感度が優れていることが分かる。
【0308】
<液晶表示装置用ブラックマトリックスの作成>
次に固体撮像素子用で用いた重合性組成物をそのまま用いて、液晶表示装置用ブラックマトリックスを有するカラーフィルタを作製し、評価を行った。
即ち、固体撮像素子用カラーフィルタの作製で用いたのと同一の各重合性組成物を用いて、250mm×350mmのガラス基板に下記条件でスリット塗布した後、真空乾燥とプリベーク(100℃、80秒)を施して重合性組成物塗膜を形成した。その後、全面に露光量を10〜200mJ/cmの種々の露光量に変更して露光した。
アルカリ現像液(商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1%水溶液にてシャワー現像した。その後、純水をシャワー状に散布して現像液を洗い流した。以上のように、露光処理および現像処理を施した塗布膜を220℃のオーブンで1時間加熱処理(ポストベーク)を施し、ガラス基板上にブラックマトリックスを形成した。
【0309】
下記に示した評価を行い、その結果を表2に示す。
−塗布均一性−
上記感光性樹脂組成物をスリット塗布した後、10分間そのままの状態で待機させた後、さらにガラス基板に塗布し、ホットプレートで、90℃、60秒間プリベークした後、塗布面のスジ状のムラをナトリウム光源を用いて目視にてカウントし、以下の基準で評価した。
【0310】
−塗布基板の面状評価の基準−
○:塗布面にスジ状のムラが全くないもの
△:スジ状のムラが1〜5本観察されたもの
×:スジ状のムラが6本以上、あるいは異物のいずれかが観察されたもの
【0311】
−残渣の評価−
上記した露光工程で光が照射されなかった領域(未露光部)の残渣の有無をSEMで観察し、残渣を評価した。評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
○:未露光部には、残渣がまったく確認されなかった
△:未露光部に、残渣がわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった
×:未露光部に、残渣が著しく確認された。
【0312】
−ステップの評価−
得られたブラックマトリクス(重合性組成物により形成されたパターン)を光学顕微鏡(倍率10倍)で撮影し、ステップ領域の幅を測定した。図1に示すように、ブラックマトリクス(ブラックマトリクスを有するカラーフィルタ)10において、重合性組成物により形成されたパターンの端部であるパターンエッジ1と、ステップ領域(ブラックマトリクス周辺部における中央部よりも膜厚の薄くなる領域)との境界線2との間の距離を測定した。この距離を形成されたパターンの1辺の長さで除して、表2には%で表示した。
【0313】
【表2】

【0314】
表2から明らかなように、液晶表示装置用のブラックマトリックスとして特定分散剤を用いた本発明の分散組成物を含む重合性組成物である実施例15〜26は、塗布均一性が良好で、残渣もなく、しかもステップ幅も小さく現像性に優れていることがわかった。
特に重合開始剤としてオキシム系化合物を用いた実施例15〜24は、ステップ幅が小さく現像性が良好であった。
【0315】
<固体撮像素子の作製>
−有彩色着色重合性組成物の調製−
実施例1で調製した重合性組成物において、黒色顔料であるチタンブラックを、下記有彩色顔料に替えた他は同様にして、それぞれ赤色(R)用分散組成物、緑色(G)用分散組成物、及び青色(B)用分散組成物を調製した。
【0316】
(RGB各色着色画素形成用有彩色顔料)
・赤色(R)用顔料
C.I.ピグメントレッド254
・緑色(G)用顔料
C.I.ピグメント グリーン36とC.I.ピグメント イエロー219との30/70〔質量比〕混合物
・青色(B)用顔料
C.I.ピグメント ブルー15:6とC.I.ピグメント バイオレット23との30/70〔質量比〕混合物
【0317】
<固体撮像素子用カラーフィルタの作製>
上記各顔料40部、分散剤としてDisperbyk−161(ビックケミー(BYK)社製、30%溶液)50部、および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル110部からなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、各顔料分散液を調製した。
得られた各顔料分散液を用いて下記組成比となるよう撹拌混合し、それぞれ赤色(R)用着色重合性組成物R−1、緑色(G)用着色重合性組成物G−1、及び青色(B)用着色重合性組成物B−1を調製した。
・着色剤(各顔料分散液) 350部
・重合開始剤(オキシム系重合開始剤)
(CGI−124、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 30部
・TO−1382(東亞合成(株)製) 25部
(重合性化合物 東亜合成化学(株)製 カルボキシル基含有5官能アクリレート)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 30部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 200部
・基板密着剤(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン) 1部
【0318】
前記実施例1で作製したブラックマトリックスを有する遮光性フィルタのウエハ上に、前記赤色(R)用着色重合性組成物R−1を用いて、1.6×1.6μmの赤色(R)の着色パターンを形成した。さらに、同様にして緑色(G)用着色重合性組成物G−1を用いて1.6×1.6μmの緑色(G)、及び青色(B)用着色重合性組成物B−1を用いて青色(B)の有彩色着色パターンを順次形成して固体撮像素子用のカラーフィルタを作製した。
【0319】
−評価−
フルカラーのカラーフィルタを固体撮像素子に組み込んだところ、該固体撮像素子は、ブラックマトリックスの遮光性が高く、高解像度で、色分離性に優れることが確認された。
【0320】
<液晶表示装置の作製>
−有彩色着色重合性組成物の調製−
前記した固体撮像素子用カラーフィルタの作製のために調製した赤色、青前記分散処理した各色の顔料分散液を用いて下記組成比となるよう撹拌混合し、各色の重合性組成物の塗布液を調製した。
・着色剤(顔料分散液) 200部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤) 19.20部
・乳酸エチル(溶剤) 36.67部
・樹脂(メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体(モル比=60/22/18)の40%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液) 33.51部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合性化合物) 12.20部
・p−メトキシフェノール(重合禁止剤) 0.0061部
・フッ素系界面活性剤(F−475、大日本インキ化学工業(株)製)
0.83部
・光重合開始剤(トリハロメチルトリアジン系の光重合開始剤) 0.586部
【0321】
−液晶表示装置用カラーフィルタの作製−
前記実施例1で作製した遮光性フィルタをブラックマトリックスとし、該ブラックマトリックス上に、前記赤色(R)用着色重合性組成物R−1を用いて、実施例1に記載の方法と同じ要領で80μm×80μmの赤色(R)の着色パターンを形成した。さらに、同様にして緑色(G)用着色重合性組成物G−1を用いて緑色(G)、及び青色(B)用着色重合性組成物B−1を用いて青色(B)の有彩色着色パターンを順次形成して液晶表示装置用のブラックマトリクスを有するカラーフィルタを作製した。
【0322】
−評価−
得られたカラーフィルタにITO透明電極、配向膜等の加工を施し、液晶表示装置を設けた。本発明の重合性組成物を用いたカラーフィルタは塗布面の均一性が良好で、液晶表示装置は表示ムラも無く、画質は良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0323】
【図1】ブラックマトリクスの平面図
【図2】ブラックマトリクスの断面図 1: パターンエッジ 2: ステップ 10: ブラックマトリクス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)遮光顔料、(B)ラジカル重合可能な基を少なくとも1つの末端に有し、且つ遮光顔料に吸着する基を他の末端に有する分散剤、および、(C)溶媒を含む分散組成物。
【請求項2】
(B)ラジカル重合可能な基を少なくとも1つの末端に有し、且つ遮光顔料に吸着する基を他の末端に有する分散剤が、ポリエーテル連結基、およびポリエステル連結基の少なくとも一方の末端にラジカル重合可能な基を有する分散剤である請求項1に記載の分散組成物。
【請求項3】
(B)ラジカル重合可能な基を少なくとも1つの末端に有し、且つ遮光顔料に吸着する基を他の末端に有する分散剤が、下記一般式(1)で表される化合物である請求項1または請求項2に記載の分散組成物。
【化1】


一般式(1)中、Bはアリル基、または(メタ)アクリロイル基を表し、Q及びQはそれぞれ独立に単結合、または二価の連結基を表し、Qはアルキレン基を表し、Mはリン酸基、カルボン酸基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、およびイミノ基から選ばれる1種以上を有する有機基を表す。aは0〜20の整数、bは0〜100の整数をそれぞれ表し、且つ、(a+b)が5〜100の範囲である。nは1〜4の整数を、pは2〜8の整数を、それぞれ表す。
【請求項4】
(B)ラジカル重合可能な基を少なくとも1つの末端に有し、且つ遮光顔料に吸着する基を他の末端に有する分散剤が、下記一般式(2)、または一般式(3)で表される化合物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の分散組成物。
【化2】


一般式(2)、および、一般式(3)中、B、およびBはそれぞれ独立にアリル基、または(メタ)アクリロイル基を表し、Q、Q、Q、およびQはそれぞれ独立に単結合、または二価の連結基を表し、Q、およびQはそれぞれ独立にアルキレン基を表し、Mは(n1+m1)価の有機基、Mは単結合、または(n2+m2)価の有機基を表す。a1、およびa2はそれぞれ独立に0〜20の整数を表し、b1、およびb2はそれぞれ独立に0〜100の整数を表し、且つ(a1+b1)が5〜100であり、(a2+b2)が5〜100の範囲である。m1、m2、n1、およびn2はそれぞれ独立に1〜4の整数を表し、q、およびrはそれぞれ独立に2〜8の整数を表す。
【請求項5】
(B)ラジカル重合可能な基を少なくとも1つの末端に有し、且つ遮光顔料に吸着する基を他の末端に有する分散剤が、下記一般式(4)または一般式(5)で表される化合物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の分散組成物。
【化3】


一般式(4)、および、一般式(5)中、B、およびBはそれぞれ独立にアリル基、(メタ)アクリロイル基を表し、Q10、およびQ14はそれぞれ独立に単結合、または二価の連結基を表し、Q11、およびQ15はそれぞれ独立にアルキレン基を表し、Q12、Q16、およびQ17はそれぞれ独立に二価の連結基を表す。Q13はn3価の連結基を表し、Q18は、n4価の連結基を表す。a3、およびa4はそれぞれ独立に0〜20の整数を表し、b3、およびb4はそれぞれ独立に0〜100の整数を表し、且つ(a3+b3)が5〜100、(a4+b4)が5〜100の範囲である。n3、およびn4はそれぞれ独立に2〜6の整数を表し、m4は0〜10の整数を表し、s、およびtはそれぞれ独立に2〜8の整数を表す。
【請求項6】
(A)遮光顔料が、チタンブラックである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の分散組成物。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の分散組成物、および(D)重合開始剤を含む重合性組成物。
【請求項8】
(D)重合開始剤が、オキシム系重合開始剤である請求項7に記載の重合性組成物。
【請求項9】
基板上に、請求項7または請求項8に記載の重合性組成物を用いてなる着色パターンを有する遮光性カラーフィルタ。
【請求項10】
請求項9に記載の遮光性カラーフィルタを備えた固体撮像素子。
【請求項11】
請求項9に記載の遮光性カラーフィルタを備えた液晶表示装置。
【請求項12】
下記一般式(2)、一般式(4)、または一般式(5)で表されることを特徴とする分散剤。
【化4】


【化5】


一般式(2)、一般式(4)、および一般式(5)中、B、B、およびBはそれぞれ独立にアリル基、または(メタ)アクリロイル基を表す。Q、Q、Q10、およびQ14はそれぞれ独立に単結合、または二価の連結基を表し、Q、Q11、およびQ15はアルキレン基を表し、Q12、Q16、およびQ17はそれぞれ独立に二価の連結基を表す。Q13はn3価の連結基を表し、Q18は、n4価の連結基を表す。Mは(n1+m1)価の有機基を表し、a1は1〜20の整数を表し、a3、およびa4はそれぞれ独立に0〜20の整数を表す。b1、b3、およびb4はそれぞれ独立に0〜100の整数を表し、且つ(a1+b1)が5〜100の範囲であり、(a3+b3)が5〜100の範囲であり、(a4+b4)が5〜100の範囲である。m1は1〜4の整数、n1は1〜4の整数、m4は0〜10の整数、n3、およびn4はそれぞれ独立に2〜6の整数、q、s、およびtはそれぞれ独立に2〜8の整数をそれぞれ表す。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−138251(P2010−138251A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314800(P2008−314800)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】