説明

分析用デバイス、分析用デバイスを用いる分析装置、および液体試料成分測定方法

【課題】血液等の液体試料を、希釈液で一度に高倍率の希釈を行う際、移送ロス等により各々の液量のばらつきが大きくなり、正確な定量ができず、高精度な測定ができない。
【解決手段】液体試料収容室と、希釈液収容室と、第1の希釈液計量室と、第2の希釈液計量室と、前記第1の希釈液計量室から流入した前記希釈液と液体試料収容室から流入した前記液体試料とを混合する第1の混合室と、第2の希釈液計量室から流入した前記希釈液と前記第1の混合室から流入した希釈された液体試料とを混合する第2の混合室とを備えた分析用デバイスにより、液体試料を少量の希釈液で2段希釈し、正確な液体試料成分測定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的流体を光学的に分析する分析用デバイスに関するものであり、より詳細には、光学的分析装置で生物学的流体の成分測定に使用する分析用デバイスにおける生物学的流体の希釈方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、試料液の少量化、装置の小型化、短時間測定、多項目同時測定など市場からの要求も多く、血液等の試料液を、いろいろな分析試薬と反応させてその混合物を検出し、短時間で各種病気の進行度合いを検査できる高精度の分析装置が望まれている。
【0003】
液状試験試料中に存在する分析対象物の量を測定するための分析検定手法としては、分析試薬との分析反応を包含し、分光測定法を用いて分析する方法が知られている。これを用いた分析反応容器、もしくは装置は、ピペットの使用や、液状試験試料と分析試薬との混合、および加温放置のような、多数の煩雑な操作段階を必要とするイムノアッセイを実施するのに、特に有用である。
【0004】
従来、生物学的流体を光学的に分析する方法として、液体流路を形成したマイクロデバイスを用いて分析する方法が知られている。図11は、生物学的流体の分析に使われるマイクロデバイスに関するものであり、流体流路を形成したマイクロデバイス217は、回転装置200を使って遠心力を利用しながら、流体の制御をすることが可能で、サンプル溶液の計量、流体成分の遠心による分離、分離された流体成分の移送分配等を行うことができるため、種々の生物化学的な分析を行うことが可能な構成のものが公開されている。(例えば、特許文献1参照)
【0005】
具体的には、回転装置200は、試料入口ポ−ト202を有する試料受容容器203と、希釈剤が含まれている希釈室201とを有し、マイクロデバイス217の回転dによる遠心力を利用して、試料液を試料受容容器203から混合室205に移送し、希釈剤を希釈室201からポート204を介して混合室205に移送し、マイクロデバイス217の回転d、および減速により試料液と、希釈液とは混合され、一定時間経過すると、濃縮された試料液中の細胞成分が、混合室205の半径方向外周に形成されている細胞保持範囲206である分離室に収容される。その後、この細胞成分を含む液体は、流れ制限通路209を経て、分留室212に移送され、ここでさらに、マイクロデバイス217の回転d、および減速により、細胞成分を含む液体の細胞成分がより濃縮され、分留室212の半径方向の外側に形成されている細胞保持範囲211で保持される。一方、細胞のない液体は、分配通路内214、および分析室215の光学キュベット内へ移送され、ここで試料液の成分の分析が行われる。例えば、試料液は血液であり、細胞成分は血球成分である場合、混合室205と、分留室212とにより、血球成分を分離し取り除いた血漿成分を、効果的に抽出分配できる。
【特許文献1】特表平5−508709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1のような従来の技術では、試料液を、希釈液と混合させて数百倍以上に希釈させたい場合、試料受容容器203に収容される試料液の液量にもよるが、小型のマイクロデバイス217には、多量の希釈液を収容するスペースがなく、高倍率の希釈液の混合が行えないという問題がある。
【0007】
また、マイクロデバイス217を大型化して、多量の希釈液を収容できるようにしたとしても、高倍率の希釈を一度で行うため、多量の液状の希釈剤や、反応試薬が必要となり、マイクロデバイスの製造に対して、コストが高くなるという問題があった。
【0008】
さらに、試料液と、希釈液との混合を一度の混合操作で行う場合には、移送過程で生じる試料液、および希釈液の移送ロス等により、試料液、および希釈液の液量のばらつきの範囲も大きくなり、その結果、血液などの試料液、および希釈液の正確な定量・希釈ができなくなり、高精度な測定ができないという課題を有していた。
【0009】
さらに、前記特許文献1は、血漿成分のような、細胞成分が含まれない液体内の特定の成分を測定する方法であるので、血球成分(例えばヘモグロビン)のような、細胞成分内の特定の成分を希釈して測定する方法に対しては、何も示されていなく、利用できないという課題もあった。
【0010】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、血液試料などの液状試験試料に対して、少量の希釈液を混合させることによって、高倍率の希釈を行うとともに、高精度の希釈を行うことのできる分析用デバイス、および分析用デバイスが装着される分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来課題を解決するために、本発明にかかる分析用デバイスは、分析すべき液体試料を収容する液体試料収容室と、前記液体試料を希釈する希釈液を収容する希釈液収容室と、前記希釈液収容室と連結され、前記希釈液収容室から流入した前記希釈液を一定量計量保持する第1の希釈液計量室と、前記第1の希釈液計量室と連結され、前記第1の希釈液計量室で計量された過剰分の希釈液が流入され、前記過剰分の希釈液を一定量計量保持する第2の希釈液計量室と、前記液体試料収容室と、前記第1の希釈液計量室とに連結され、前記第1の希釈液計量室から流入した前記希釈液と、前記液体試料収容室から流入した前記液体試料とを混合する第1の混合室と、前記第2の希釈液計量室と、前記第1の混合室とに連結され、前記第2の希釈液計量室から流入した前記希釈液と、前記第1の混合室から流入した希釈された液体試料とを混合する第2の混合室とを備えたことを特徴とする。
【0012】
これにより、希釈液と液体試料との混合を2回に分けるので、少量の希釈液で高倍率の希釈を正確に行うことができる。
【0013】
また、本発明にかかる分析用デバイスは、分析すべき液体試料を収容する液体試料収容室と、前記液体試料を希釈する希釈液を収容する第1、および第2の希釈液収容室と、前記第1の希釈液収容室と連結され、前記第1の希釈液収容室から流入した前記希釈液を一定量計量保持する第1の希釈液計量室と、前記第2の希釈液収容室と連結され、前記第2の希釈液収容室から流入した前記希釈液を一定量計量保持する第2の希釈液計量室と、前記液体試料収容室と、前記第1の希釈液計量室とに連結され、前記第1の希釈液収容室から流入した前記希釈液と、前記液体試料収容室から流入した前記液体試料とを混合する前記第1の混合室と、前記第2の希釈液計量室と、前記第1の混合室とに連結され、前記第2の希釈液計量室から流入した前記希釈液と、前記第1の混合室から流入した希釈された液体試料とを混合する第2の混合室とを備えたことを特徴とする。
【0014】
これにより、希釈液と液体試料との混合を2回に分けるので、少量の希釈液で高倍率の希釈を正確に行え、かつ、希釈液収容室が2つあるので、所定量の希釈液を各希釈液収容室に注入しておけば、混合前の希釈液の定量を省くことができる。
【0015】
また、本発明にかかる分析用デバイスは、軸心周りに回転され、前記第1、および第2の希釈液計量室は、前記希釈液収容室あるいは前記第1、および第2の希釈液収容室のそれぞれに対して、軸心より遠い位置に配置されたことを特徴とする。
【0016】
これにより、さらに遠心力を活用して、希釈液を流路内にて移送することができる。
【0017】
また、本発明にかかる分析用デバイスは、前記第2の混合室に、液体試料と反応する反応試薬を保持させたことを特徴とする。
【0018】
これにより、希釈された液体試料と反応試薬とを反応させることにより、事前に特定の成分を測定しやすい状態にすることができる。
【0019】
また、本発明にかかる分析用デバイスは、前記第2の混合室と連結され、前記第2の混合室から移送される前記再希釈された液体試料中の特定の成分を、吸光度または濁度で測定する分析室を備えたことを特徴とする。
【0020】
これにより、再希釈された液体試料を、光学的測定手段により測定することができる。
【0021】
また、本発明にかかる分析用デバイスは、前記第2の混合室と、前記分析室とが、一体型であることを特徴とする。
【0022】
これにより、液体試料を再希釈した後、分析室へ移送させることなく、光学的測定手段により測定することができる。
【0023】
また、本発明にかかる分析用デバイスは、前記連結は、連結通路を介して連結されていることを特徴とする。
【0024】
これにより、分析用デバイスの回転および停止を繰り返しながら、液体試料および希釈液を順次連結通路にて移送することができる。
【0025】
また、本発明にかかる分析用デバイスは、前記第1の混合室と、前記第2の混合室との間に、希釈された液体試料を一定量計量保持する第2の計量流路を備えたことを特徴とする。
【0026】
これにより、第1の混合室で希釈された液体試料を、再希釈する前にあらかじめ定量し、正確な再希釈が行えるので、測定精度を向上することができる。
【0027】
また、本発明にかかる分析用デバイスは、前記第1の希釈液計量室と、前記第2の希釈液計量室との間に、ブランク室を備えたことを特徴とする。
【0028】
これにより、分析用デバイスの回転および停止によって、希釈液が、希釈された液体試料よりも先に、第2の混合室に移送されるのを防ぐことができる。
【0029】
また、本発明にかかる分析用デバイスは、前記第2の希釈液収容室と、前記第2の希釈液計量室との間に、ブランク室を備えたことを特徴とする。
【0030】
これにより、希釈液が、希釈された液体試料よりも先に、第2の混合室に移送されるのを防ぐことができる。
【0031】
また、本発明にかかる分析用デバイスは、前記液体試料収容室と、前記第1の混合室との間に、前記液体試料収容室から流入した前記液体試料を、遠心力を用いて低比重成分と、高比重成分とに分離する分離室を有することを特徴とする。
【0032】
これにより、事前に不要な成分をとり除き、分離した成分を希釈することにより、測定しやすい状態にすることができる。
【0033】
また、本発明にかかる分析用デバイスは、前記分離室と、前記第1の混合室との間に、前記高比重成分を一定量計量保持する第1の計量流路を備えたことを特徴とする。
【0034】
これにより、分離室で分離した成分を、第1の混合室で希釈する前にあらかじめ定量し、正確な希釈が行えるので、測定精度を向上することができる。
【0035】
また、本発明にかかる前記分析用デバイスが装着される分析装置は、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させる回転駆動手段を備え、前記液体試料収容室に前記液体試料が収容され、前記希釈液収容室に前記希釈液が収容された状態で、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記希釈液を前記第1の希釈液計量室に移送し、残りの希釈液を前記第2の希釈液計量室に移送し、前記分析用デバイスの回転を停止させて、前記液体試料と前記第1の希釈液計量室内の前記希釈液とを、それぞれ前記第1の混合室の直前の連結通路に移送し、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記液体試料と前記第1の希釈液計量室内の前記希釈液とを、前記第1の混合室に移送して混合させ、前記分析用デバイスの回転を停止させて、希釈された液体試料と前記第2の希釈液計量室内の希釈液とを、それぞれ前記第2の混合室の直前の連結通路に移送し、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記希釈された液体試料と前記第2の希釈液計量室内の前記希釈液とを、前記第2の混合室に移送して混合させ、該再希釈された液体試料中の特定の成分を、吸光度または濁度で測定することを特徴とする。
【0036】
これにより、希釈液と液体試料との混合を2回に分け、少量の希釈液で液体試料を高倍率に希釈ができるので、液体試料中の特定の成分を、光学的測定手段により高精度で測定することができる。
【0037】
また、本発明にかかる前記分析用デバイスが装着される分析装置は、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させる回転駆動手段を備え、前記液体試料収容室に前記液体試料が収容され、前記希釈液収容室に前記希釈液が収容された状態で、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記液体試料を前記分離室に移送し、低比重成分と高比重成分とに分離し、前記希釈液を前記第1の希釈液計量室に移送し、残りの希釈液を前記ブランク室に移送し、前記分析用デバイスの回転を停止させて、前記高比重成分を前記第1の計量流路に移送し、前記第1の希釈液計量室内の前記希釈液を前記第1の混合室の直前の連結通路に移送し、前記ブランク室内の前記希釈液を前記第2の希釈液計量室の直前の連結通路に移送し、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記高比重成分と前記第1の希釈液計量室内の前記希釈液とを、前記第1の混合室に移送して混合させ、前記ブランク室内の前記希釈液を前記第2の希釈液計量室に移送し、前記分析用デバイスの回転を停止させて、希釈された液体試料を前記第2の計量流路に移送し、前記第2の希釈液計量室内の前記希釈液を前記第2の混合室の直前の連結通路に移送し、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記希釈された液体試料と前記第2の希釈液計量室内の前記希釈液とを、前記第2の混合室に移送して混合させ、前記分析用デバイスの回転を停止させて、再希釈された液体試料を前記分析室の直前の連結通路に移送し、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記再希釈された液体試料を前記分析室に移送し、該再希釈された液体試料中の特定の成分を、吸光度または濁度で測定することを特徴とする。
【0038】
これにより、液体試料を低比重成分と高比重成分とに分離させ、事前に不要な成分をとり除き、必要な成分のみを少量の液で高倍率に希釈させることにより、測定しやすい状態にでき、液体試料中の特定の成分を光学的測定手段により高精度で測定することができる。
【0039】
また、本発明にかかる前記分析用デバイスが装着される分析装置は、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させる回転駆動手段を備え、前記液体試料収容室に前記液体試料が収容され、前記第1および第2の希釈液収容室にそれぞれ前記希釈液が収容された状態で、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記第1の希釈液収容室内の前記希釈液を前記第1の希釈液計量室に移送し、前記第2の希釈液収容室内の前記希釈液を前記第2の希釈液計量室に移送し、前記分析用デバイスの回転を停止させて、前記液体試料と前記第1の希釈液計量室内の前記希釈液とを、それぞれ前記第1の混合室の直前の連結通路に移送し、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記液体試料と前記第1の希釈液計量室内の前記希釈液とを、前記第1の混合室に移送して混合させ、前記分析用デバイスの回転を停止させて、希釈された液体試料と前記第2の希釈液計量室内の前記希釈液とを、それぞれ前記第2の混合室の直前の連結通路に移送し、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記希釈された液体試料と前記第2の希釈液計量室内の前記希釈液とを、前記第2の混合室に移送して混合させ、該再希釈された液体試料中の特定の成分を、吸光度または濁度で測定することを特徴とする。
【0040】
これにより、希釈液と液体試料との混合を2回に分け、少量の希釈液で液体試料を高倍率に希釈ができるので、液体試料中の特定の成分を光学的測定手段により高精度で測定することができる。
【0041】
また、本発明にかかる前記分析用デバイスが装着される分析装置は、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させる回転駆動手段を備え、前記液体試料収容室に前記液体試料が収容され、前記第1および第2の希釈液収容室にそれぞれ前記希釈液が収容された状態で、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記液体試料を前記分離室に移送し、低比重成分と高比重成分とに分離し、前記第1の希釈液収容室内の前記希釈液を前記第1の希釈液計量室に移送し、前記第2の希釈液収容室内の前記希釈液を前記ブランク室に移送し、前記分析用デバイスの回転を停止させて、前記高比重成分を前記第1の計量流路に移送し、前記第1の希釈液計量室内の前記希釈液を前記第1の混合室の直前の連結通路に移送し、前記ブランク室内の前記希釈液を前記第2の希釈液計量室の直前の連結通路に移送し、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記高比重成分と前記第1の希釈液計量室内の前記希釈液とを前記第1の混合室に移送して混合させ、前記ブランク室内の前記希釈液を前記第2の希釈液計量室に移送し、前記分析用デバイスの回転を停止させて、希釈された液体試料を前記第2の計量流路に移送し、前記第2の希釈液計量室内の前記希釈液を前記第2の混合室の直前の連結通路に移送し、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記希釈された液体試料と前記第2の希釈液計量室内の前記希釈液とを前記第2の混合室に移送して混合させ、前記分析用デバイスの回転を停止させて、再希釈された液体試料を前記分析室の直前の連結通路に移送し、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記再希釈された液体試料を前記分析室に移送し、該再希釈された液体試料中の特定の成分を、吸光度または濁度で測定することを特徴とする。
【0042】
これにより、希釈低比重成分と高比重成分とを分離させ、事前に不要な成分をとり除き、必要な成分のみを少量の希釈液で高倍率に希釈させることにより、測定しやすい状態にでき、液体試料中の特定の成分を光学的測定手段により高精度で測定することができる。
【0043】
また、本発明にかかる上記分析用デバイスが装着される分析装置は、前記液体試料が、血球成分を有し、該血球成分を、前記希釈液との混合により溶血させ、前記吸光度での測定により、ヘモグロビンの濃度を測定することを特徴とする。
【0044】
これにより、液体試料を少量の希釈液で高倍率に希釈させ、ヘモグロビンの濃度を、光学的測定手段により高精度で測定することができる。
【0045】
また、本発明にかかる液体試料成分測定方法は、分析用デバイスに形成される液体試料収容室と、希釈液収容室とに、それぞれ所定容量の液体試料と、希釈液とが収容され、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させ、その遠心力を利用して、前記液体試料と、前記希釈液とを分析室に移送し、前記液体試料中の特定の成分を測定する液体試料成分測定方法であって、前記希釈液収容室から流入した前記希釈液を、前記希釈液収容室に連結された第1の希釈液計量室で一定量計量保持する工程と、前記第1の希釈液計量室で計量された過剰分の希釈液が、前記第1の希釈液計量室に連結されたブランク室に流入する工程と、前記過剰分の希釈液を、前記ブランク室に連結された第2の希釈液計量室で一定量計量保持する工程と、前記液体試料収容室から流入した前記液体試料と、前記第1の希釈液計量室から流入した前記希釈液とを、前記液体試料収容室と、前記第1の希釈液計量室とに連結された第1の混合室で混合する工程と、前記第1の混合室から流入した希釈された液体試料を、前記第1の混合室に連結された計量流路で一定量計量保持する工程と、前記第2の希釈液計量室から流入した前記希釈液と、前記計量流路から流入した希釈された液体試料とを、前記第2の希釈液計量室と、前記計量流路とに連結された第2の混合室で混合する工程とを備えたことを特徴とする。
【0046】
これにより、希釈液が、希釈された液体試料よりも先に第2の混合室に移送されるのを防ぎ、液体試料を少量の希釈液で正確に高倍率の希釈を行い、かつ、希釈された液体試料を、再希釈する前にあらかじめ定量して正確な再希釈ができるので、測定精度を向上することができる。
【0047】
また、本発明にかかる液体試料成分測定方法は、分析用デバイスに形成される液体試料収容室と、第1、および第2の希釈液収容室とに、それぞれ所定容量の液体試料と、希釈液とが収容され、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させ、その遠心力を利用して、前記液体試料と、前記希釈液とを分析室に移送し、前記液体試料中の特定の成分を測定する測定方法であって、前記第1の希釈液収容室から流入した前記希釈液を、前記第1の希釈液収容室に連結された第1の希釈液計量室に一定量計量保持する工程と、前記第2の希釈液収容室から流入した前記希釈液を、前記第2の希釈液収容室に連結された第2の希釈液計量室に一定量計量保持する工程と、前記液体試料収容室から流入した前記液体試料と、前記第1の希釈液計量室から流入した前記希釈液とを、前記液体試料収容室と、前記第1の希釈液計量室とに連結された第1の混合室で混合する工程と、前記第1の混合室から流入した希釈された液体試料を、前記第1の混合室に連結された計量流路で一定量計量保持する工程と、前記第2の希釈液計量室から流入した前記希釈液と、前記計量流路から流入した希釈された液体試料とを、前記第2の希釈液計量室と、前記計量流路とに連結された第2の混合室で混合する工程とを備えたことを特徴とする。
【0048】
これにより、希釈液が、希釈された液体試料よりも先に第2の混合室に移送されるのを防ぎ、液体試料を少量の希釈液で正確に高倍率の希釈を行い、かつ、希釈された液体試料を、再希釈する前にあらかじめ定量して正確な再希釈ができるので、測定精度を向上することができる。
【0049】
また、本発明にかかる液体試料成分測定方法は、前記液体試料収容室と、第1の混合室との間の分離室で、前記液体試料を、低比重成分と、高比重成分とに分離する工程を備えたことを特徴とする。
【0050】
これにより、事前に不要な成分をとり除き、必要な成分のみを少量の希釈液で高倍率に希釈させて測定しやすい状態にでき、液体試料中の特定の成分を、光学的測定手段により高精度で測定することができる。
【0051】
また、本発明にかかる液体試料成分測定方法は、前記分離室と、前記第1の混合室との間の計量流路で、前記高比重成分を、一定量計量保持する工程を備えたことを特徴とする。
【0052】
これにより、分離室で分離した成分を、第1の混合室で希釈する前にあらかじめ定量して、正確な希釈ができるので、測定精度を向上することができる。
【0053】
また、本発明にかかる液体試料成分測定方法は、前記第2の混合室で再希釈された液体試料中の特定の成分を、吸光度または濁度で測定する工程を備えたことを特徴とする。
【0054】
これにより、正確に高倍率の希釈が行われた液体試料を、光学的測定手段により、高精度で測定することができる。
【0055】
また、本発明にかかる液体試料成分測定方法は、前記液体試料が、血球成分を有し、前記吸光度での測定により、ヘモグロビンの濃度を測定することを特徴とする。
【0056】
これにより、血球成分を、少量の希釈液を用いて正確に高倍率の希釈を行い、ヘモグロビンの濃度を、光学的測定手段により高精度で測定することができる。
【発明の効果】
【0057】
本発明にかかる分析用デバイスによれば、液体試料収容室と、希釈液収容室と、液体試料を遠心分離する分離室と、希釈液を計量保持する第1、および第2の希釈液計量室と、希釈液を保持するブランク室と、液体試料または希釈された液体試料を計量保持する第1、および第2の計量流路と、希釈液と液体試料とを混合する第1の混合室と、希釈液と希釈された液体試料とを混合する第2の混合室と、再希釈された試料液を吸光度等で測定する分析室とを備えたので、事前に不要な成分を取り除き、分離した成分と希釈液とを2回に分けて混合し、少量の希釈液で高倍率の希釈を正確に行うことができ、希釈ばらつきを抑えた高精度な測定を行える分析用デバイスを提供することができる。
【0058】
また、本発明にかかる前記分析用デバイスを装着する分析装置によれば、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させる回転手段を備え、該回転手段によって前記分析用デバイスの軸心周りの回転、および停止を繰り返し、液体試料と希釈液とを前記分析用デバイスの室、および連結通路に移送させ、液体試料を2段階に希釈して、その中の特定の成分を吸光度等で測定するので、事前に不要な成分を取り除き、分離した成分と希釈液とを2回に分けて混合し、少量の希釈液で高倍率の希釈を正確に行い、希釈ばらつきを抑えた高精度な測定を行うことのできる、小型で低コストな分析装置を提供することができる。
【0059】
また、本発明にかかる液体試料成分測定方法によれば、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させ、希釈液を第1の希釈液計量室で一定量計量保持する工程と、過剰分の希釈液がブランク室に流入する工程と、希釈液を第2の希釈液計量室で一定量計量保持する工程と、液体試料を分離室で低比重成分と高比重成分とに分離する工程と、前記高比重成分を一定量計量保持する工程と、希釈液と液体試料とを第1の混合室で混合する工程と、希釈された液体試料を計量流路で一定量計量保持する工程と、希釈液と希釈された液体試料とを第2の混合室で混合する工程と、再希釈された液体試料中の特定の成分を、吸光度または濁度で測定する工程とを備えたので、事前に不要な成分を取り除き、分離した成分と希釈液とを2回に分けて混合し、少量の希釈液で正確に高倍率の希釈をして、希釈ばらつきを抑えた高精度な測定を短時間で行うことができる液体試料成分測定方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下に、本発明にかかる2段希釈を行う分析用デバイスについて、実施の形態を、図面とともに詳細に説明する。
【0061】
以下の実施の形態1では、まず、分析に必要な量の液体試料と希釈液とが移送されていく基本的な移送プロセスを説明し、次に、液体試料の容量のばらつきがどれだけ測定CVに影響するかを、ヘモグロビンの濃度の測定結果のばらつきが改善された例で説明し、実施の形態2では、希釈液収容室が2つ備えられている分析用デバイスの例を説明する。
【0062】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1による分析用デバイスについて、図面に基づいて説明する。
【0063】
図1は、本実施の形態1の分析用デバイスである分析用パネル40を、外観図で示したものである。
【0064】
図2(a)、および図2(b)は、本実施の形態1の分析用デバイスである分析用パネル40の構成を、分解斜視図で示したものである。図10(b)は、分析用デバイスである分析用パネル40の断面図である。該分析用パネル40は、上部基板1と、下部基板2とを、接着層3により貼り合わせて構成されており、基板1、および基板2の材料としては、易成形性、高生産性、低価格の面からプラスチックを使用しているが、ガラス、シリコンウェハー、金属、セラミックなど接合できる材料であれば、特にこれに制限されない。
【0065】
図2(b)に示された、下部基板2に形成される流路、および室は、凹凸のあるマイクロチャネルパターンを射出成形により作製される。図3は、図2(b)の下部基板2を拡大した図であり、下部基板2の1つの面には、注入口44を形成している片面と、分析するために注入口44より注入された液体試料を保持する液体試料収容室9と、液体試料を遠心分離し高比重成分と低比重成分とに分離する分離室10と、分離された高比重成分を一定量計量保持するための第1の計量流路13と、分離時に分離室10と計量流路13との間に残った低比重成分を排除するための溢流流路12および溢流室15と、分離時に分離室10に残った低比重成分を排除するための液体試料溢流室17と、希釈液を保持する第1の希釈液収容室22と、希釈液を定量する第1の希釈液計量室23と、第1の希釈液計量室23から流入した希釈液を一時保持するためのブランク室24と、前記高比重成分と希釈液とを混合・攪拌する第1の混合室16と、ブランク室24から流入した希釈液を定量する第2の希釈液計量室30と、希釈された高比重成分を、再度希釈液と混合・攪拌し特定の成分を吸光度または濁度で測定する第2の混合室32とを備えている。
【0066】
また、第1の希釈液計量室23とブランク室24とは毛細管流路25で、ブランク室24と第2の希釈液計量室30とは連結通路29で、第2の希釈液計量室30と第2の混合室32とは連結通路31で、第1の希釈液計量室23と第1の混合室16とは連結通路26で、分離室10と溢流流路12とは連結通路11で、第1の混合室16と第2の混合室32とは第2の計量流路27で、分離室10と液体試料溢流室17とはサイフォン構造をもつ連結通路14で、それぞれ連結されている。連結通路11および連結通路14は分離室10の半径方向最外方位置で連結している。
【0067】
また、液体試料収容室9には空気口8、第1の計量流路13には空気口19と空気口20、溢流流路12には空気口18、溢流室15には空気口33、液体試料溢流室17には空気口46、第1の希釈液収容室22には空気口21、第1の希釈液計量室23には空気口47、ブランク室24には空気口48、第1の混合室16には空気口49、第2の希釈液計量室30には空気口50、第2の計量流路27には空気口28、第2の混合室32には空気口51が、それぞれ備えられて大気などの外気と通じている。つまり、希釈液、および液体試料が流入し、流れやすいように空気孔が設けられている。
【0068】
また、図2(a)の上部基板1の1つの面には、注入口44の片面が構成されており、該上部基板1と、図2(b)の下部基板2とを接合することで、注入口44、液体試料収容室9、分離室10、第1の希釈液収容室22、第1の混合室16、第2の混合室32、連結通路31、毛細管流路25などの流路や、室は、所定の大きさの間隙を有する空洞が形成され、毛細管力による液体試料の移送を行う、あるいは、所定量の液量を保持するなど、それぞれの機能が働くようになっている。
【0069】
図10(c)は、本実施の形態1における分析用デバイスである分析用パネル40が、分析用パネル保持部材41に装着される様子を示した外観斜視図であり、1つの分析用パネル40が、分析用パネル保持部材41に装着されており、本分析装置400側の回転駆動手段により、分析用パネル保持部材41、および分析用パネル40が、軸心42の所定の方向cに回転される。注入口44は、パネル本体の一側面より軸心42方向に突出した形状にすることにより、指先などによる点着がしやすくなり、点着時に注入口44以外の位置に指などが接触して血液が付着するのを防ぐようにしている。
【0070】
また、分析用パネル40の試験片は、回転、および信号の読み取りを制御するための情報領域(トラック情報、アドレス情報等)を含んでいてもよく、あるいは、含んでいなくてもよい。
【0071】
また、分析用パネル40の構造は、着脱可能に構成された試験片(パネル状)であってもよく、分析装置の回転するプレート(図示せず)に、この試験片を直接取り付けることができるような構造にしてもよい。
【0072】
次に、本発明の実施の形態1における分析用パネル40について、その寸法的なことを中心に補足説明する。
【0073】
本実施の形態1では、基板1および基板2の厚みは、1mm〜5mmで形成しているが、特に制限は無く、流路や、室を形成可能な厚みであればよい。また、基板1および基板2には、流路内の粘性抵抗を減らし流体移動をしやすくするために親水性処理を行っているが、これは、ガラス等の親水性材料を用いたり、成形時に界面活性剤、親水性ポリマー、シリカゲルのような、親水性粉末などの親水化剤を添加させて材料表面に親水性を付与させるようにしてもよい。親水性処理方法としては、プラズマ、コロナ、オゾン、フッ素等の活性ガスを用いた表面処理方法や、界面活性剤による表面処理が挙げられる。ここで、親水性とは、水との接触角が90度未満のことをいい、より好ましくは、接触角40度未満である。
【0074】
また、本実施の形態1では、接着剤を用いて、基板1と基板2とを接合しているが、これは使用する材料に応じて、溶融接合、陽極接合などの接合方法で接合してもよい。
【0075】
また、液体試料収容室9、分離室10、液体試料溢流室17、溢流室15、希釈液収容室22、第1、および第2の希釈液計量室23、30、ブランク室24、第1、および第2の混合室16、32、測定セル32の深さは、それぞれ0.3mm〜2mmで形成しているが、これは液体試料、および希釈液の量や、吸光度測定するための条件(光路長、測定波長、液体試料の反応濃度、試薬の種類等)によって適宜調整可能である。
【0076】
また、液体試料収容室9と、分離室10は、同じ深さにして連結しているが、注入時に、液体試料が分離室10へ流入するのを防ぐために、分離室10に空気孔を設け、深さ50μm〜200μmの毛細管流路で連結してもよい。
【0077】
また、連結通路11、および連結通路14は、通路幅を0.5mm〜2mm、深さを50μm〜200μmで形成しているが、分析用パネル40の回転停止時に発生する毛細管力により、連結通路11、および連結通路14内を液体試料で充填できるものであれば、特にこれに制限されない。
【0078】
さらに、分離室10の大きさ、連結通路11と溢流流路12との連結位置、連結通路14のサイフォンの屈曲点位置等については、分析用パネル40を回転させて、液体試料収容室9から分離室10に移送させた際に、液体試料が連結通路11と溢流流路12との連結位置、および連結通路14のサイフォンの屈曲点を超えて流出しないように、あらかじめ計量される液体試料の量から最適化されている。
【0079】
また、溢流流路12は、該溢流流路12よりも外周方向にある溢流室15と連結され、第1の計量流路13は、該第1の計量流路13よりも外周方向にある第1の混合室16と連結されている。第1の計量流路13、および溢流流路12の深さは、50μm〜200μmで形成されている。
【0080】
また、本実施の形態1では、図4(b)に示すように、液体試料を分離室10で遠心分離した際に、溢流流路12と分離室10をつなぐ連結通路11の内周部分に、低比重成分35が存在し、そのまま、第1の計量流路13に流入すると、高比重成分36の濃度が低下し、測定精度のばらつきの要因となるため、図5(a)に示すように、溢流流路12と第1の計量流路13の分岐点において、溢流流路12と溢流室15との結合部34における溢流流路12の開口面積を、第1の計量流路13の開口面積よりも大きくすることで、液体成分35が優先して選択的に溢流流路12に流入するようにしている。ここでは、溢流流路12の第1の計量流路13に対する開口面積の比率は、1.5倍〜5倍にしてある。
【0081】
また、第1の混合室16に連結されている連結通路26は、第1の希釈液計量室23の半径方向最外方の位置で連結され、第2の混合室32に連結されているサイフォン形状を有する第2の計量流路27は、第1の混合室16の半径方向最外方の位置で連結されている。
【0082】
また、希釈液収容室22と、第1の希釈液計量室23とを同じ深さにして連結しているが、注入時に、希釈液が第1の希釈液計量室23へ流入するのを防ぐために、深さ50μm〜200μmの毛細管流路で、希釈液収容室22と第1の希釈液計量室23とを連結してもよい。
【0083】
また、第2の希釈液計量室30に連結しているサイフォン形状を有する連結通路29は、ブランク室24の半径方向最外方に位置する場所で連結されている。第2の希釈液計量室30には、希釈液が流入しやすいように空気孔50が設けられている。また、毛細管流路25、および連結通路26、29の幅を0.5mm〜2mm、深さを50μm〜200μmで形成しているが、これは、毛細管力で毛細管流路25、および連結通路26、29内を希釈液で充填できるものであれば、特にこれに制限されない。
【0084】
また、第2の混合室32に連結されているサイフォン形状を有する連結通路31は、第2の希釈液計量室30の半径方向最外方に位置する場所で連結されている。第2の混合室32には、希釈液が流入しやすいように空気孔51が設けられている。また、第2の計量流路27、および連結通路31は、通路幅を0.5mm〜2mm、深さを50μm〜200μmで形成しているが、これは、毛細管力で第2の計量流路27、および連結通路31内を液で充填できるのであれば、特にこれに制限されない。第2の計量流路27は、調整により許容体積が決定されるため、必要な液量を保持することができる。
【0085】
次に、本発明の実施の形態1における、上記分析用パネル40を装着して分析を行う分析装置400について説明する。
【0086】
図10(a)において、上記した分析用パネル40は、本分析装置400の回転駆動手段であるモータ102の回転軸上に装着されている分析用パネル保持部材41の上部へ装着され、モータ102を回転駆動させて、分析用パネル40が装着されている該分析用パネル保持部材41を軸心42周りに回転駆動させることができる。本分析装置400は、その用途に応じて、分析用パネル40内のチャンバ(図示せず)、および流路(図示せず)の構成により、軸心42周りの回転によって発生する遠心力を用いて、該分析用パネル40内の液を移送したり遠心分離したりする遠心分離機にもなり得るものである。なお、本実施の形態1では、分析用パネル40を分析装置400の分析用パネル保持部材41に装着しているが、その分析用パネル40の形状は、利便的には扇形状が良いが、立方体形状や、その他の形状のものでもよく、また、これらの分析用パネル40を、複数個同時に、分析装置400に装着することも可能である。
【0087】
本分析装置400は、分析用パネル保持部材41を、モータ102によりc方向に回転駆動させながら、レーザ光源103よりレーザ光を、該分析装置400の分析用パネル保持部材41に装着されている分析用パネル40の測定部(図示せず)に向けて照射する。レーザ光源103は、トラバースモータ104で駆動される送りねじ105に螺合しており、サーボコントロール回路106が、レーザ光源103を任意の測定箇所に配置できるように、トラバースモータ104を駆動して、レーザ光源103を分析用パネル保持部材41の径方向に移動できる。
【0088】
分析用パネル保持部材41の上部には、レーザ光源103から照射したレーザ光のうち、分析用パネル保持部材41を透過した透過光の光量を検出するフォトディテクタ(PD)107、該フォトディテクタ(PD)107の出力のゲインを調整する調整回路108、該調整回路108の出力を、A/D変換するA/D変換器109、該A/D変換されたデータを処理する透過光量信号処理回路110、該透過光量信号処理回路110で得られたデータを保存するメモリ113、これらを制御するCPU111、および分析された結果を表示する表示部112を有している。
【0089】
なお、本実施の形態1では、光ディスクの光学スキャン技術は、特に用いていないが、レーザ光源103の分析用パネル40への照射に関しては、分析用パネル40に位置情報が記録された領域を設けることによって、トラバースモータ104による駆動だけでなく、レーザ光源103の内部に設けられたトラッキングアクチェータ(図示せず)によっても、レーザ光の光路を分析用パネル40の面方向に必要に応じて併せて駆動して位置制御をしながら、正確に分析用パネル40のトラックをトレースできるような構成としてもよい。
【0090】
後述するように、上記分析用パネル40を分析装置400の分析用パネル保持部材41に装着させ、これを軸心42周りに回転させることにより、その回転による遠心力を利用して、上記分析用パネル40内で、液体試料と希釈液とを流体移送させて混合し、その混合液中の特定の成分を光学的に測定することができる。
【0091】
次に、本実施の形態1の分析用パネル40、および分析装置400の動作である該分析用パネル40において液体試料を移送するプロセス、特に液体試料から高比重成分を分離して取り出し、希釈液と混合していくプロセスについて、図3〜図6を用いて説明する。
【0092】
図3は、図2(b)の拡大図であり、分析用パネル40の内部に液体試料や、希釈液が何も注入されていない状態の流路構成を表したものである。
【0093】
まず、この分析用パネル40の第1の希釈液収容室22に、あらかじめ所定の希釈液を直接注入するか、もしくは希釈液が入った開放可能な希釈容器(図示せず)を設置する。
【0094】
その後、液体試料を供給するために、この分析用パネル40を分析用パネル保持部材41から取り外した状態で、分析用パネル40の一側面より軸心42方向に突出した注入口44に液体試料を点着させると、点着直後に、液体試料は毛細管現象などにより液体試料収容室9に所定量だけ注入され、図4(a)のような状態になる(点着部は図示せず)。
【0095】
次に、分析用パネル40を、分析用パネル保持部材41に装着して、分析用パネル40を、分析用パネル保持部材41ごと回転させて遠心力を発生させると、希釈液収容室22の希釈液を、連結している第1の希釈液計量室23に移送することができる。このとき、第1の希釈液計量室23は、第1の希釈液計量室23より半径方向内方に配置されたブランク室24の流入口と、毛細管流路25を介して連結され、第1の混合室16とは、サイフォン形状の連結通路26で連結されている。図4(b)に示すように、連結通路26内の希釈液は、分析用パネル40の回転中心からブランク室24の流入口と、毛細管流路25との界面までの半径方向の距離に相当する位置までしか充填されない。つまり、第1の希釈液計量室23で定量される希釈液以外の、残りの希釈液は、溢流分としてブランク室24に移送されるということになる。なお、前記サイフォン形状の連結通路26は、分析用パネル40の回転中心からブランク室24の流入口と、毛細管流路25との界面までの距離より内方に配置される曲管を備えている。
【0096】
一方、液体試料収容室9は、分離室10と連結しているので、液体試料は、分離室10に移送されるが、図4(b)に示すように、高速回転で数分間回転させることで、液体試料を低比重成分35と、高比重成分36とに分離することが可能である。例えば、血液の場合、回転数を4000rpm〜6000rpmに設定し、1分〜5分間回転させることで、血漿と、血球もしくは高ヘマトクリット血液(血球成分の比率が高い血液)とに分離することができ、分離室10、連結通路11、連結通路14において、外周側の領域には血球成分である高比重成分36が集まり、内周側の領域には血漿成分である低比重成分35が集まる。このとき、分析用パネル40の回転中心と、分離室10、連結通路11、および連結通路14のそれぞれの界面との距離が等しい位置まで分離した液体試料が充填される。これは、連結通路11、および連結通路14は、分離室10が一定量の液体試料を保持する時の液面よりも内周位置に屈曲点を形成しているため、図3(b)に示すように、遠心力によって液体試料収容室9から移送された液体試料は、分離室10、および連結通路11、連結通路14内に保持される。
【0097】
次に、分析用パネル40の回転を停止すると、図5(a)に示すように、連結通路26内と、連結通路29内には、毛細管力が働き、第1の希釈液計量室23の希釈液は、第1の混合室の直前の連結通路26まで移送されて該通路26は希釈液で満たされ、ブランク室24の希釈液は、第2の希釈液計量室30の直前の連結通路29まで移送されて該通路29は希釈液で満たされる。これは、第1の混合室16の深さは、連結通路26より深いので、ここに発生する毛細管力が連結通路26の毛細管力に比べて極めて小さいため、第1の希釈液計量室23中にあった希釈液は、第1の混合室16内には流入されず、また、第2の希釈液計量室30の深さは、連結通路29より深いので、ここに発生する毛細管力は、連結通路29の毛細管力に比べて極めて小さいため、ブランク室にあった希釈液は、第2の希釈液計量室30内には流入されないことになる。
【0098】
一方、毛細管力によって、分離室10内の分離された高比重成分36、もしくは高濃度の高比重成分溶液は、第1の計量流路13、および溢流流路12内に充填されているが、回転を停止すると、連結通路11内で分離されて、内周側の領域に集まっている低比重成分35の全てが、優先的に毛細管力により溢流流路12に移送されるが、溢流室15の深さが深く形成されているので、低比重成分35は、図5(a)に示すように、溢流室15内へは移送されず、溢流流路12と、溢流室15との間の結合部34内に保持される。その後、図5(b)に示すように、連結通路11と、分離室10で分離されている高比重成分36が、溢流流路12を経由して第1の計量流路13へ移送される。つまり、高比重成分36だけを第1の計量流路13に効率よく移送できる。また、空気孔18、空気孔19、空気孔20が密閉された状態で、溢流室15に設けた空気孔33より、溢流流路12、および連結通路11内の空気を吸引ポンプなどで吸引すれば、その吸引によってできる圧力差により、連結通路11内に存在する低比重成分35を、より確実に結合部34へ移送できる。
【0099】
また、分離室10内の液体試料は、液体試料溢流室17の直前の連結通路14まで移送され、該通路14は液体試料で満たされる。
【0100】
次に、分析用パネル40を回転させて遠心力を加えることで、第1の計量流路13内に保持されている高比重成分36と、第1の希釈液計量室23、および連結通路26内に保持されている希釈液とは、図6(a)に示すように、遠心力、およびサイフォン効果で第1の混合室16に移送され、ブランク室24、および連結通路29内に保持されていた希釈液は、第2の希釈液計量室30に移送され、溢流流路12に充填されていた低比重成分35を多く含んだ液体試料は、溢流室15に移送され、分離室10と連結通路14に保持されていた高比重成分36と、低比重成分35とを含んだ残りの液体試料は、液体試料溢流室17にそれぞれ移送される。これは、空気孔19から空気が混入して第1の計量流路13と、溢流流路12の境界に圧力がかかり、繋がっていた液は、空気孔19の位置で破断されることにより、空気孔19から空気孔20の間に充填されていた高比重成分36が、第1の混合室16に流入され、同様に、空気孔18と、空気孔19の位置で破断されることにより、空気孔18の位置から空気孔19の位置間に充填されていた液体成分35が、溢流室15に流入されることを示す。また、第1の混合室16内に流入した高比重成分36、および希釈液は、第1の混合室16内に保持された状態で、回転の加減速や、回転停止中の液の拡散によって混合される。
【0101】
また、空気孔18の位置から分離室10の間の連結通路11内に充填されていた液体試料は、遠心力によって分離室10内に戻されながら、連結通路14を介して液体試料溢流室17へ移送される。これは、分離室10内に残留する液体試料が、毛細管力によって再び第1の計量流路13や、溢流流路12に流入して、次の回転時に第1の混合室16へ流入して、第1の混合室16内の液の混合比がかわるのを防ぐために、連結通路14のサイフォン効果によって、分離室10内の液体試料を、液体試料溢流室17に排出している。
【0102】
次に、再び、分析用パネル40の回転を停止すると、図6(b)に示すように、連結通路31内と、第2の計量流路27内には毛細管力が働き、第2の希釈液計量室30内の希釈液は、第2の混合室32の入り口の直前の連結通路31まで移送されて該通路31は希釈液で満たされ、第1の混合室16内の希釈された高比重成分38は、第2の混合室32の入り口の直前の第2の計量流路27まで移送されて該流路27は希釈された高比重成分38で満たされる。
【0103】
次に、分析用パネル40を再度回転させることで、図6(c)に示すように、第2の希釈液計量室30、および連結通路31内に保持されている希釈液は、第2の混合室32に移送され、第2の計量流路27に充填された液は、空気孔28から空気が混入して破断し、空気孔28から第2の混合室32の間に充填されていた希釈された高比重成分38が、第2の混合室32に流入する。第2の混合室32内に流入した希釈された高比重成分38は、希釈液と混合される。その後、測定機能を有する第2の混合室32において、再希釈された高比重成分39中の特定の成分を吸光度で測定する。
【0104】
また、第2の混合室32と、測定セル32を別々に設けたり、液体試料と反応させる試薬を第2の混合室等に保持したり、攪拌するための攪拌室等を設けるなどして、測定項目に応じ、最良の分析用パネルに改良することも可能である。
【0105】
図10(b)は、図10(a)の分析装置400の分析用パネル保持部材41に分析用パネル40を装着した状態で、測定機能をもつ第2の混合室32での光学的測定を拡大した拡大断面図であるが、第2の混合室32にレーザ光源103からレーザ光を照射して、フォトディテクタ(PD)107にてその透過光の光量を測定することで、再希釈された高比重成分39の反応状態により吸光度が変化するため、再希釈された高比重成分39の反応状態を容易に分析することができる。
【0106】
また、本実施の形態1では、液体試料中の特定の成分を吸光度により測定する構成を示しているが、濁度により測定する構成としても、同様に液体試料の分析が可能である。
【0107】
さらに、本実施の形態1では、2段に分けた希釈を行っているが、2段希釈に限らず、希釈する回数は、分析の目的や、分析デバイスにあわせて構成すればよく、3段以上の希釈に分けることも可能である。
【0108】
次に、上記のような構成の分析用パネル40、分析装置400、および測定方法を用いて、希釈液と液体試料とを、毛細管力と遠心力により移送し、測定する場合の効果、特に希釈液の液量について説明する。
【0109】
図8は、図3〜図6を用いて説明した、本実施の形態1における分析用パネル40において液体試料を移送するプロセス、特に液体試料から高比重成分を分離して取り出し、希釈液と混合していくプロセスを簡略化したフローチャートであり、分析に用いる希釈液と、液体試料との移送過程で、液量(体積)がどのように移送されていくのかを、具体的に表したものである。
【0110】
本実施の形態1では、2.0μLの液体試料を、希釈液により600倍に希釈する例を挙げている。この場合、第1の混合室16で10倍希釈を行った後、第2の混合室32で60倍希釈を行うことにより、希釈回数を2段階に分けて行うことによって、600倍希釈を達成させる。
【0111】
液体試料収容室9には、10.0μLの液体試料を、注入、もしくは点着し、希釈液収容室22には、140.0μLの希釈液が収容されており、前記分析用パネル40の回転、および停止により、順次、液体試料と、希釈液が、移送されていく。第1の計量流路13で、液体試料の高比重成分36は、2.0μLに定量され、第1の希釈液計量室23により、希釈液は、18.0μL定量される。第1の計量流路13で定量された2.0μLの高比重成分36と、第1の希釈液計量室23で定量された18.0μLの希釈液は、それぞれ第1の混合室16に移送されて混合されるので、希釈された液体試料の容量は、20.0μLとなる。
【0112】
次に、第1の混合室16で希釈された20.0μLの高比重成分36は、第2の計量流路27により2.0μLだけ定量され、一方、ブランク室24経由で移送されてきた希釈液は、第2の希釈液計量室30で118.0μLだけ定量される。第2の計量流路27で定量された2.0μLの希釈された高比重成分36と、第2の希釈液計量室30で定量された118.0μLの希釈液は、それぞれ第2の混合室に移送され混合されるので、再度、希釈された高比重成分36の容量は、120.0μLとなる。
【0113】
第1の混合室16での1段目の希釈工程では、18.0μLの希釈液を用い、その後、希釈した高比重成分36を2.0μL分だけ定量し、さらにその後、第2の混合室32での2段目の希釈工程では、118.0μLの希釈液を用いていることになるので、最低限必要な希釈液の合計は136.0μLとなる。
【0114】
つまり、2.0μLの高比重成分36を、希釈液により600倍に希釈する場合、1段のみで希釈する従来技術の場合では、1198.0μLが必要とされるが、本実施の形態1では、136.0μLの少量の希釈液で600倍希釈が可能となり、約88%の希釈液を削減できることになり、少量の希釈液で高倍率の希釈ができるという効果が得られる。
【0115】
なお、本実施の形態1では、希釈液収容室22に収容されている希釈液の容量は、140.0μLとなっており、第1の希釈液計量室23で定量される希釈液18.0μLと、第2の希釈液軽量室30で定量される希釈液118.0μLとの混合した容量136.0μLより4.0μL程多くなっているが、これは、希釈液の移送の過程における移送ロス等を、あらかじめ考慮したものとなっている。
【0116】
以下に、本実施の形態1の分析用パネル40および分析装置400を用いて、液体試料として全血を分析対象とした場合の2段希釈について具体的に説明する。
【0117】
液体試料である全血の移送方法、および測定方法は、図3〜図6、図10で示して説明した前述の方法と同様である。液体試料として全血を用いているため、点着により、注入口44から液体試料収容室9に注入された全血が分離室10に移送されると、分離室10での分離工程によって、高比重成分36としての血球成分と、低比重成分35としての血漿成分とに分離されることになる。この分離された血球成分は、第1の混合室16と、第2の混合室32の工程で、それぞれ2回に分けて希釈され、2段希釈された血球成分のヘモグロビンA1cの濃度を、光学的測定手段により測定する。
【0118】
また、液体試料が全血であるので、第1の混合室16、および第2の混合室32での希釈工程で、希釈液と、血球成分とを混合することで、血球細胞が破壊されて溶血し、血球内のヘモグロビンを外に露出させた状態で、第2の混合室32にて吸光度を測定することで、血液中のヘモグロビン濃度を測定することもできる。
【0119】
次に、本実施の形態1による、液体試料である全血の2段希釈、および測定についての効果を具体的に説明する。
【0120】
一般的に、希釈前に定量する過程の段階で、血液の粘性度等によって、全血の定量の精度が悪くなる。
【0121】
例えば、希釈を行う際に、全血の定量で10%の誤差が生じたとすると、第1の計量流路13で2.0μL定量されるべきところが、1.8μL〜2.2μLとなり、これが18.0μLの希釈液と、第1の混合室16で混合されると、液体試料の希釈倍率は11.0〜9.2倍となり、その後、第2の計量流路27で希釈された液体試料を、2.0μLに定量し、次に、この希釈された液体試料2.0μL(高比重成分)と、希釈液118.0μLとが、第2の混合室32で混合されると、液体試料はさらに60倍希釈される。なお、第1の混合室で希釈された液体試料は粘性度が低くなっており、正確な定量が可能である。この結果、2段希釈では希釈ばらつきが551〜660倍となる。
【0122】
一方、従来技術の1段で600倍希釈を行った場合には、液体試料1.8μL〜2.2μLと、希釈液1198.0μLとを、混合することになるので、希釈倍率は、546〜667倍というばらつきが生じる。つまり、1段階のみで希釈する工程よりも、2段階で希釈する方が、希釈倍率のばらつきを少なくすることができ、さらに、以降の光学的測定手段による測定において、血球成分のヘモグロビンA1cの濃度を精度良く測定することができる。
【0123】
図9(a)は、本実施の形態1による分析用パネル40において、希釈液と、血液の血球成分との混合時に発生する希釈ばらつきが、光学的測定時の測定CVに対して、どの程度影響を与えるかを確認したものである。これは、ヘモグロビンA1cの濃度を横軸、吸光度変化量を縦軸として表したものであり、吸光度変化量が0.16〜0.96とした時の測定レンジと、検量線の傾きを示す。
【0124】
本実験では、初期の吸光度と、試薬と反応した後の吸光度との差より、血液中に含まれるヘモグロビンA1cの濃度を算出する。例えば、レンジ域Bを測定する場合、希釈倍率のばらつきが20%の場合は、ばらつきを考慮して保障すべきレンジ域はAで示される範囲が必要である。一方、希釈倍率のばらつきが0%の場合には、保障すべきレンジ域は、測定したいレンジ域Bで示される範囲でよい。
【0125】
このように、希釈ばらつきが大きくなるほど、検体の保障すべきレンジ域が広がる。測定値のダイナミックレンジには、限界があるため、このレンジ域をカバーするためには、検量線の傾きを小さくせざるを得なくなる。その結果、CVが悪化する。これに対しては、吸光度変化量に対して、ヘモグロビンA1cの濃度の変化量を抑え、検量線の傾きを大きくすることで、CVを良くすることができる。
【0126】
ここで、吸光度変化量は、試薬の構成により決定するが、検量線の傾きを大きくするためには、測定レンジが狭いほうが有利である。これは本実施の形態1による2段階で希釈する方が、従来技術による1段階のみで希釈するより、希釈のばらつきが減少してCVの悪化が改善されたことを表す。
【0127】
つまり、本実施の形態1によれば、単に、少量の希釈液で希釈できるだけでなく、ヘモグロビンA1c、あるいはヘモグロビンの濃度の光学的測定においても、希釈液によるばらつきの誤差が改善され、高精度な測定ができるものである。
【0128】
なお、本発明では、10倍と60倍に分けて希釈したが、用途に応じてどのように分けて希釈してもよいが、好ましくは、1段目の希釈率を、2段目の希釈率より低くした方が、ヘモグロビンの濃度の光学的測定結果の希釈液によるばらつきの誤差を改善できる傾向が、実験結果からは得られた。
【0129】
図9(b)に、レンジ幅と、CVの関係を示した。レンジ幅が広がるほど、同じ測定系では、CVが悪化する。今回の実験においては、バラツキ幅を10%狭めることにより、CVは0.65%低下した。なお、本実験は、日立製分光器(U2800)において37℃の環境にて行った。
【0130】
以上のように、本実施の形態1においては、分析すべき液体試料と希釈液とを収容された分析用パネルを、分析装置の分析用パネル保持部材に装着して回転および停止させ、このとき発生する遠心力および毛細管力を利用することにより、液体試料を高比重成分と低比重成分とに分離し、分離された高比重成分と希釈液とを混合させ、希釈された高比重成分を作成し、次に該希釈された高比重成分と希釈液とを混合させ、再希釈された高比重成分を作成するので、事前に不要な成分を取り除き、分離した成分と希釈液とを2回に分けて混合し、少量の希釈液で正確に高倍率の希釈を行い、希釈ばらつきを抑えた高精度な測定を、分析用パネルの一連の移送プロセスの中において簡易に行うことができる。
【0131】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2における、分析用デバイスである分析用パネル60のマイクロチャネル構成を示す平面図である。
【0132】
本実施の形態2の分析用パネル60について、前記実施の形態1の分析用パネル40と同じ構成部分には同じ符号を付し、以下に説明する。
【0133】
図7に示すように、本発明の実施の形態2における、分析用デバイスである分析用パネル60のマイクロチャネル構成は、分析するために必要な量の液体試料を注入/収容するための液体試料収容室9と、液体試料を遠心分離し、高比重成分と、低比重成分とに分離する分離室10と、分離された高比重成分を、一定量計量保持するための計量流路13と、分離時に、分離室10と計量流路13との間に残った低比重成分を排除するための溢流流路12と、液体試料を、希釈、または特定の試薬と反応させるための希釈液を注入/収容するための第1の希釈液収容室22、および第2の希釈液収容室37と、希釈液を一定量計量保持するための第1の希釈液計量室23、および第2の希釈液計量室30と、液体試料と、希釈液とを混合/攪拌するための第1の混合室16、および第2の混合室32と、再希釈された液体試料内の特定の成分を、吸光度、または濁度で測定するための測定セル32とで構成されている。また、第2の混合室32内には、液体試料と反応する反応試薬を保持させておくこともできる。
【0134】
また、前記実施の形態1の分析用パネル40では、第1の希釈液収容室22内の希釈液が、第1の希釈液計量室23、毛細管流路25、ブランク室24、および連結通路29をそれぞれ介して、第2の希釈液計量室24に流入する構成としていたが、本実施の形態2の分析用パネル60では、第1の希釈液収容室22と、第2の希釈液収容室37との2つの独立した希釈液収容室を設けており、第2の希釈液収容室37内の希釈液が、連結通路29を介して、第2の希釈液計量室24に流入する構成としている。
【0135】
また、本実施の形態2では、第2の混合室32と、測定セル32とは一体型の構成としているが、第2の混合室32と、測定セル32とを連結通路で連結した別々の室とする構成としてもよい。
【0136】
次に、本実施の形態2の分析用パネル60の動作について説明する。
【0137】
図7に示す、第1の希釈液収容室22は、第1の希釈液計量室23と連結しており、希釈液を注入/収容し、分析用パネル60を回転させることで、希釈液を第1の希釈液計量室23に移送することができる。同様に、第2の希釈液収容室37は、第2の希釈液計量室30と連結しており、希釈液を注入/収容し、分析用パネル60を回転させることで、希釈液を第2の希釈液計量室30に移送することができる。
【0138】
液体試料を分析用パネル60に点着し、分析用パネル60を分析装置400の分析用パネル支持部材41に装着して、該分析用パネル60の軸心周りの回転および停止を繰り返して、液体試料および希釈液を移送し2段希釈を行い、液体試料中の特定の成分を吸光度または濁度で測定する方法は、前記実施の形態1において、分析用パネル40を分析装置400に装着して行う方法と同様である。
【0139】
また、分析用パネル60の回転および停止により、希釈液が、液体試料より先に第2の混合室32へ移送されるのを防ぐために、第2の希釈液収容室37と、第2の希釈液計量室30との間にブランク室を設けることにより、希釈液と、希釈された液体試料とが第2の混合室へ移送するタイミングをあわせることができる。
【0140】
さらに、本実施の形態2の分析用パネル60において、第1希釈液計量室23、および第2の希釈液計量室30を設けない構成とすることもできる。この場合は、あらかじめ必要な量の希釈液を計量して、第1の希釈液収容室22、および第2の希釈液収容室37にそれぞれ収容しておくことで、分析用パネル60内での希釈液の定量工程を省略することができる。
【0141】
以上のように、本実施の形態2においては、分析用パネル内に第1、および第2の希釈液収容室の2つの独立した希釈液収容室を設けることにより、事前に不要な成分を取り除き、分離した成分と、希釈液とを2回に分けて混合し、少量の希釈液で、正確に高倍率の希釈をして、希釈ばらつきを抑えた高精度な測定を行うことができ、かつ、該分析用パネル内の希釈液計量室を設けない構成とした場合は、あらかじめ所定量の希釈液を計量し、第1、および第2の希釈液収容室に注入しておくことで、混合前の希釈液の定量工程を省くことができ、簡単な構成の分析用パネルにより、短時間で高精度な測定を行える分析装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明にかかる分析用デバイス、分析用デバイスを用いる分析装置、および液体試料成分測定方法は、液体試料を少量の希釈液で、高精度に高倍率希釈することができる効果を有しており、高倍率希釈が必要な分析用デバイスにおける液体試料の短時間での希釈法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の実施の形態1における分析用パネル40の構成を示す外観図
【図2(a)】本発明の実施の形態1における分析用パネル40の構成を示す分解斜視図
【図2(b)】本発明の実施の形態1における分析用パネル40の構成を示す分解斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における分析用パネル40を拡大した平面図
【図4(a)】本発明の実施の形態1における分析用パネル40の移送プロセスを説明するための平面図
【図4(b)】本発明の実施の形態1における分析用パネル40の移送プロセスを説明するための平面図
【図5(a)】本発明の実施の形態1における分析用パネル40の移送プロセスを説明するための平面図
【図5(b)】本発明の実施の形態1における分析用パネル40の移送プロセスを説明するための平面図
【図6(a)】本発明の実施の形態1における分析用パネル40の移送プロセスを説明するための平面図
【図6(b)】本発明の実施の形態1における分析用パネル40の移送プロセスを説明するための平面図
【図6(c)】本発明の実施の形態1における分析用パネル40の移送プロセスを説明するための平面図
【図7】本発明の実施の形態2における分析用パネル60を拡大した平面図
【図8】本発明の実施の形態1における液量の移送プロセスを説明するためのフローチャート図
【図9(a)】本発明の実施の形態1による分析用パネル40において、液体試料の定量性のばらつきが、光学的測定CVに及ぼす影響を示すグラフを示す図
【図9(b)】本発明の実施の形態1による分析用パネル40において、液体試料の定量性のばらつきが、光学的測定CVに及ぼす影響を示すグラフを示す図
【図10(a)】本発明の実施の形態1における分析用パネル40を装着した分析装置400の概略図
【図10(b)】本発明の実施の形態1における分析用パネル40を装着した分析装置400の拡大断面図
【図10(c)】本発明の実施の形態1における分析用パネル40を装着した分析装置400の外観斜視図
【図11】従来技術の生物学的流体の分析に使われる流体流路を形成したマイクロデバイスを示す図
【符号の説明】
【0144】
1 上部基板
2 下部基板
3 接着層
4 流路
8 空気孔
9 液体試料収容室
10 分離室
11 連結通路
12 溢流流路
13 第1の計量流路
14 連結通路
15 溢流室
16 第1の混合室
17 液体試料溢流室
18 空気孔
19 空気孔
20 空気孔
21 空気口
22 第1の希釈液収容室
23 第1の希釈液計量室
24 ブランク室
25 毛細管流路
26 連結通路
27 第2の計量流路
28 空気孔
29 連結通路
30 第2の希釈液計量室
31 連結通路
32 第2の混合室および測定セル
33 空気孔
34 結合部
35 低比重成分
36 高比重成分
37 第2の希釈液収容室
38 希釈された高比重成分
39 再希釈された高比重成分
40 分析用パネル
41 分析用パネル保持部材
42 軸心
44 注入口
46 空気孔
47 空気孔
48 空気孔
49 空気孔
50 空気孔
51 空気孔
60 分析用パネル
102 モータ
103 レーザ光源
104 トラバースモータ
105 送りねじ
106 サーボコントロール回路
107 フォトディテクタ(PD)
108 調整回路
109 A/D変換器
110 透過光量信号処理回路
111 CPU
112 表示部
113 メモリ
200 回転装置
201 希釈室
202 試料入口ポート
203 試料受容容器
204 ポート
205 混合室
206 細胞保持範囲
209 流れ制限通路
211 細胞保持範囲
212 分留室
214 分配通路
215 分析室
217 マイクロデバイス
400 分析装置
c,d 回転

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析すべき液体試料を収容する液体試料収容室と、
前記液体試料を希釈する希釈液を収容する希釈液収容室と、
前記希釈液収容室と連結され、前記希釈液収容室から流入した前記希釈液を一定量計量保持する第1の希釈液計量室と、
前記第1の希釈液計量室と連結され、前記第1の希釈液計量室で計量された過剰分の希釈液が流入され、前記過剰分の希釈液を一定量計量保持する第2の希釈液計量室と、
前記液体試料収容室と、前記第1の希釈液計量室とに連結され、前記第1の希釈液計量室から流入した前記希釈液と、前記液体試料収容室から流入した前記液体試料とを混合する第1の混合室と、
前記第2の希釈液計量室と、前記第1の混合室とに連結され、前記第2の希釈液計量室から流入した前記希釈液と、前記第1の混合室から流入した希釈された液体試料とを混合する第2の混合室とを備えた、
ことを特徴とする分析用デバイス。
【請求項2】
分析すべき液体試料を収容する液体試料収容室と、
前記液体試料を希釈する希釈液を収容する第1、および第2の希釈液収容室と、
前記第1の希釈液収容室と連結され、前記第1の希釈液収容室から流入した前記希釈液を一定量計量保持する第1の希釈液計量室と、
前記第2の希釈液収容室と連結され、前記第2の希釈液収容室から流入した前記希釈液を一定量計量保持する第2の希釈液計量室と、
前記液体試料収容室と、前記第1の希釈液計量室とに連結され、前記第1の希釈液収容室から流入した前記希釈液と、前記液体試料収容室から流入した前記液体試料とを混合する前記第1の混合室と、
前記第2の希釈液計量室と、前記第1の混合室とに連結され、前記第2の希釈液計量室から流入した前記希釈液と、前記第1の混合室から流入した希釈された液体試料とを混合する第2の混合室とを備えた、
ことを特徴とする分析用デバイス。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の分析用デバイスにおいて、
前記分析用デバイスは、軸心周りに回転され、前記第1、および第2の希釈液計量室は、前記希釈液収容室あるいは前記第1、および第2の希釈液収容室のそれぞれに対して、軸心より遠い位置に配置された、
ことを特徴とする分析用デバイス。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の分析用デバイスにおいて、
前記第2の混合室に、液体試料と反応する反応試薬を保持させた、
ことを特徴とする分析用デバイス。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の分析用デバイスにおいて、
前記第2の混合室と連結され、前記第2の混合室から移送される前記再希釈された液体試料中の特定の成分を、吸光度または濁度で測定する分析室を備えた、
ことを特徴とする分析用デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の分析用デバイスにおいて、
前記第2の混合室と、前記分析室とが、一体型である、
ことを特徴とする分析用デバイス。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の分析用デバイスにおいて、
前記連結は、連結通路を介して連結されている、
ことを特徴とする分析用デバイス。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の分析用デバイスにおいて、
前記第1の混合室と、前記第2の混合室との間に、希釈された液体試料を一定量計量保持する第2の計量流路を備えた、
ことを特徴とする分析用デバイス。
【請求項9】
請求項1、請求項3ないし請求項8のいずれかに記載の分析用デバイスにおいて、
前記第1の希釈液計量室と、前記第2の希釈液計量室との間に、ブランク室を備えた、
ことを特徴とする分析用デバイス。
【請求項10】
請求項2ないし請求項8のいずれかに記載の分析用デバイスにおいて、
前記第2の希釈液収容室と、前記第2の希釈液計量室との間に、ブランク室を備えた、
ことを特徴とする分析用デバイス。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の分析用デバイスにおいて、
前記液体試料収容室と、前記第1の混合室との間に、前記液体試料収容室から流入した前記液体試料を、遠心力を用いて低比重成分と、高比重成分とに分離する分離室を備えた、
ことを特徴とする分析用デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載の分析用デバイスにおいて、
前記分離室と、前記第1の混合室との間に、前記高比重成分を一定量計量保持する第1の計量流路を備えた、
ことを特徴とする分析用デバイス。
【請求項13】
請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の分析用デバイスを装着する分析装置であって、
前記分析用デバイスを軸心周りに回転させる回転駆動手段を備え、
前記液体試料収容室に前記液体試料が収容され、前記希釈液収容室に前記希釈液が収容された状態で、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記希釈液を前記第1の希釈液計量室に移送し、残りの希釈液を前記第2の希釈液計量室に移送し、
前記分析用デバイスの回転を停止させて、前記液体試料と前記第1の希釈液計量室内の前記希釈液とを、それぞれ前記第1の混合室の直前の連結通路に移送し、
前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記液体試料と前記第1の希釈液計量室内の前記希釈液とを、前記第1の混合室に移送して混合させ、
前記分析用デバイスの回転を停止させて、希釈された液体試料と前記第2の希釈液計量室内の希釈液とを、それぞれ前記第2の混合室の直前の連結通路に移送し、
前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記希釈された液体試料と前記第2の希釈液計量室内の前記希釈液とを、前記第2の混合室に移送して混合させ、
該再希釈された液体試料中の特定の成分を、吸光度または濁度で測定する、
ことを特徴とする分析装置。
【請求項14】
請求項8、請求項9、請求項11、請求項12のいずれかに記載の分析用デバイスを装着する分析装置であって、
前記分析用デバイスを軸心周りに回転させる回転駆動手段を備え、
前記液体試料収容室に前記液体試料が収容され、前記希釈液収容室に前記希釈液が収容された状態で、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記液体試料を前記分離室に移送し、低比重成分と高比重成分とに分離し、前記希釈液を前記第1の希釈液計量室に移送し、残りの希釈液を前記ブランク室に移送し、
前記分析用デバイスの回転を停止させて、前記高比重成分を前記第1の計量流路に移送し、前記第1の希釈液計量室内の前記希釈液を前記第1の混合室の直前の連結通路に移送し、前記ブランク室内の前記希釈液を前記第2の希釈液計量室の直前の連結通路に移送し、
前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記高比重成分と前記第1の希釈液計量室内の前記希釈液とを、前記第1の混合室に移送して混合させ、前記ブランク室内の前記希釈液を前記第2の希釈液計量室に移送し、
前記分析用デバイスの回転を停止させて、希釈された液体試料を前記第2の計量流路に移送し、前記第2の希釈液計量室内の前記希釈液を前記第2の混合室の直前の連結通路に移送し、
前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記希釈された液体試料と前記第2の希釈液計量室内の前記希釈液とを、前記第2の混合室に移送して混合させ、
前記分析用デバイスの回転を停止させて、再希釈された液体試料を前記分析室の直前の連結通路に移送し、
前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記再希釈された液体試料を前記分析室に移送し、
該再希釈された液体試料中の特定の成分を、吸光度または濁度で測定する、
ことを特徴とする分析装置。
【請求項15】
請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の分析用デバイスを装着する分析装置であって、
前記分析用デバイスを軸心周りに回転させる回転駆動手段を備え、
前記液体試料収容室に前記液体試料が収容され、前記第1および第2の希釈液収容室にそれぞれ前記希釈液が収容された状態で、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記第1の希釈液収容室内の前記希釈液を前記第1の希釈液計量室に移送し、前記第2の希釈液収容室内の前記希釈液を前記第2の希釈液計量室に移送し、
前記分析用デバイスの回転を停止させて、前記液体試料と前記第1の希釈液計量室内の前記希釈液とを、それぞれ前記第1の混合室の直前の連結通路に移送し、
前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記液体試料と前記第1の希釈液計量室内の前記希釈液とを、前記第1の混合室に移送して混合させ、
前記分析用デバイスの回転を停止させて、希釈された液体試料と前記第2の希釈液計量室内の前記希釈液とを、それぞれ前記第2の混合室の直前の連結通路に移送し、
前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記希釈された液体試料と前記第2の希釈液計量室内の前記希釈液とを、前記第2の混合室に移送して混合させ、
該再希釈された液体試料中の特定の成分を、吸光度または濁度で測定する、
ことを特徴とする分析装置。
【請求項16】
請求項8、請求項10ないし請求項12のいずれかに記載の分析用デバイスを装着する分析装置であって、
前記分析用デバイスを軸心周りに回転させる回転駆動手段を備え、
前記液体試料収容室に前記液体試料が収容され、前記第1および第2の希釈液収容室にそれぞれ前記希釈液が収容された状態で、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記液体試料を前記分離室に移送し、低比重成分と高比重成分とに分離し、前記第1の希釈液収容室内の前記希釈液を前記第1の希釈液計量室に移送し、前記第2の希釈液収容室内の前記希釈液を前記ブランク室に移送し、
前記分析用デバイスの回転を停止させて、前記高比重成分を前記第1の計量流路に移送し、前記第1の希釈液計量室内の前記希釈液を前記第1の混合室の直前の連結通路に移送し、前記ブランク室内の前記希釈液を前記第2の希釈液計量室の直前の連結通路に移送し、
前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記高比重成分と前記第1の希釈液計量室内の前記希釈液とを前記第1の混合室に移送して混合させ、前記ブランク室内の前記希釈液を前記第2の希釈液計量室に移送し、
前記分析用デバイスの回転を停止させて、希釈された液体試料を前記第2の計量流路に移送し、前記第2の希釈液計量室内の前記希釈液を前記第2の混合室の直前の連結通路に移送し、
前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記希釈された液体試料と前記第2の希釈液計量室内の前記希釈液とを前記第2の混合室に移送して混合させ、
前記分析用デバイスの回転を停止させて、再希釈された液体試料を前記分析室の直前の連結通路に移送し、
前記分析用デバイスを軸心周りに回転させて、前記再希釈された液体試料を前記分析室に移送し、
該再希釈された液体試料中の特定の成分を、吸光度または濁度で測定する、
ことを特徴とする分析装置。
【請求項17】
請求項13ないし請求項16のいずれかに記載の分析装置において、
前記液体試料が、血球成分を有し、該血球成分を、前記希釈液との混合により溶血させ、前記吸光度での測定により、ヘモグロビンの濃度を測定する、
ことを特徴とする分析装置。
【請求項18】
分析用デバイスに形成される液体試料収容室と、希釈液収容室とに、それぞれ所定容量の液体試料と、希釈液とが収容され、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させ、その遠心力を利用して、前記液体試料と、前記希釈液とを分析室に移送し、前記液体試料中の特定の成分を測定する液体試料成分測定方法であって、
前記希釈液収容室から流入した前記希釈液を、前記希釈液収容室に連結された第1の希釈液計量室で一定量計量保持する工程と、
前記第1の希釈液計量室で計量された過剰分の希釈液が、前記第1の希釈液計量室に連結されたブランク室に流入する工程と、
前記過剰分の希釈液を、前記ブランク室に連結された第2の希釈液計量室で一定量計量保持する工程と、
前記液体試料収容室から流入した前記液体試料と、前記第1の希釈液計量室から流入した前記希釈液とを、前記液体試料収容室と、前記第1の希釈液計量室とに連結された第1の混合室で混合する工程と、
前記第1の混合室から流入した希釈された液体試料を、前記第1の混合室に連結された計量流路で一定量計量保持する工程と、
前記第2の希釈液計量室から流入した前記希釈液と、前記計量流路から流入した希釈された液体試料とを、前記第2の希釈液計量室と、前記計量流路とに連結された第2の混合室で混合する工程とを備えた、
ことを特徴とする液体試料成分測定方法。
【請求項19】
分析用デバイスに形成される液体試料収容室と、第1、および第2の希釈液収容室とに、それぞれ所定容量の液体試料と、希釈液とが収容され、前記分析用デバイスを軸心周りに回転させ、その遠心力を利用して、前記液体試料と、前記希釈液とを分析室に移送し、前記液体試料中の特定の成分を測定する測定方法であって、
前記第1の希釈液収容室から流入した前記希釈液を、前記第1の希釈液収容室に連結された第1の希釈液計量室に一定量計量保持する工程と、
前記第2の希釈液収容室から流入した前記希釈液を、前記第2の希釈液収容室に連結された第2の希釈液計量室に一定量計量保持する工程と、
前記液体試料収容室から流入した前記液体試料と、前記第1の希釈液計量室から流入した前記希釈液とを、前記液体試料収容室と、前記第1の希釈液計量室とに連結された第1の混合室で混合する工程と、
前記第1の混合室から流入した希釈された液体試料を、前記第1の混合室に連結された計量流路で一定量計量保持する工程と、
前記第2の希釈液計量室から流入した前記希釈液と、前記計量流路から流入した希釈された液体試料とを、前記第2の希釈液計量室と、前記計量流路とに連結された第2の混合室で混合する工程とを備えた、
ことを特徴とする液体試料成分測定方法。
【請求項20】
請求項18または請求項19に記載の測定方法において、
前記液体試料収容室と、第1の混合室との間の分離室で、前記液体試料を、低比重成分と、高比重成分とに分離する工程を備えた、
ことを特徴とする液体試料成分測定方法。
【請求項21】
請求項20に記載の測定方法において、
前記分離室と、前記第1の混合室との間の計量流路で、前記高比重成分を、一定量計量保持する工程を備えた、
ことを特徴とする液体試料成分測定方法。
【請求項22】
請求項18ないし請求項21のいずれかに記載の測定方法において、
前記第2の混合室で再希釈された液体試料中の特定の成分を、吸光度または濁度で測定する工程を備えた、
ことを特徴とする液体試料成分測定方法。
【請求項23】
請求項22に記載の測定方法において、
前記液体試料が、血球成分を有し、前記吸光度での測定により、ヘモグロビンの濃度を測定する、
ことを特徴とする液体試料成分測定方法。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図6(c)】
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【図7】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図10(c)】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−14529(P2009−14529A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177189(P2007−177189)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】