説明

分析装置

【課題】ユーザによる試薬の交換が容易であり、しかも、装置を簡素化および小型化することが可能な分析装置を提供する。
【解決手段】この免疫分析装置1は、検体を吸引する検体分注アーム5と、試薬収容具300から試薬を吸引する試薬分注アーム9と、検体分注アーム5によって吸引された検体と、試薬分注アーム9によって吸引された試薬とを用いて調製される分析用試料を分析する制御装置4と、複数の試薬収容具300を保持する容器保持部と、試薬収容具300をユーザが載置するための載置台71を含み、載置台71が下降することにより、載置台71に載置された試薬収容具300を容器保持部に保持させ、載置台71が上昇することにより、容器保持部に保持されている試薬収容具300を載置台71に載置して容器保持部から取り出す昇降部70とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、分析装置に関し、特に、試薬収容具を保持する収容具保持部を備えた分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試薬テーブルに載置された複数の試薬容器(試薬収容具)から試薬を吸引して検体を分析する分析装置が知られている。このような分析装置においては、試薬交換が必要な場合には、ユーザが試薬テーブルから交換対象の試薬容器を取り外し、試薬テーブルの所定位置に新しい試薬を載置していた。しかしながら、このような分析装置では、試薬容器の収納部の内部に手を挿入する必要があり、試薬の交換作業が煩雑であった。
【0003】
このため、ユーザによる試薬交換を容易にすることが可能な分析装置が知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
【0004】
上記特許文献1には、試薬ボトルが配置された回転式試薬庫と、試薬ボトルを試薬庫へ供給する試薬ボトル供給機構と、試薬ボトルを試薬庫から排出する試薬ボトル排出機構とを備えた分析装置が開示されている。この分析装置は、このような構成を備えることによって、分析中に試薬ボトルを自動交換することができる。
【0005】
上記特許文献2には、試薬を設置するための試薬ディスクと、試薬ディスクとは別の位置に設けられた補充用試薬保管庫と、補充用試薬保管庫から試薬ディスクに試薬を搬送するための試薬保持手段とを備えた分析装置が開示されている。この分析装置は、このような構成を備えることによって、試薬交換を容易にしている。
【0006】
【特許文献1】特開平4−36658号公報
【特許文献2】特開2005−37171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載の分析装置では、試薬ボトルセットヤードから試薬庫に試薬を搬送するベルトライン機構、および、試薬庫から試薬ボトル排出ヤードに試薬を搬送するベルトライン機構が必要であるため、その構成が複雑になるという問題点がある。また、上記特許文献1に記載の分析装置では、試薬ボトルセットヤード、ベルトライン機構、および試薬ボトル排出ヤードを備えるためのスペースが必要であるため、装置が大型化するという問題点もある。
【0008】
また、特許文献2に記載の分析装置では、補充用試薬保管庫から試薬ディスクに試薬を搬送するために、試薬を三次元方向(XYZ方向)に搬送する機構(試薬保持手段)が必要であり、その構成が複雑である。また、上記特許文献2に記載の分析装置では、試薬保持手段や補充用試薬保管庫を備えるためのスペースが必要であるため、装置が大型化するという問題点もある。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ユーザによる試薬の交換が容易であり、しかも、装置を簡素化および小型化することが可能な分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0010】
この発明の第1の局面による分析装置は、試薬収容具から試薬を吸引する試薬吸引部と、検体と、試薬とを用いて調製される分析用試料を分析する分析部と、複数の試薬収容具を保持する収容具保持部と、試薬収容具をユーザが載置するための載置台を含み、載置台が下降することにより、載置台に載置された試薬収容具を収容具保持部に保持させ、載置台が上昇することにより、収容具保持部に保持されている試薬収容具を載置台に載置して収容具保持部から取り出す収容具昇降部とを備える。
【0011】
この第1の局面による分析装置では、上記のように、載置台を下降させることにより、載置台に載置された試薬収容具を収容具保持部に保持させ、載置台を上昇させることにより、収容具保持部に保持されている試薬収容具を載置台に載置して収容具保持部から取り出す収容具昇降部を設けることによって、補充用の試薬を保管するためのスペースが不要になるので、装置を小型化することができる。また、ユーザは、昇降する載置台に試薬収容具を載置することによって試薬の交換ができるので、試薬の交換の際、試薬容器の収納部の内部に手を挿入する必要がなくなる。これにより、容易に試薬の交換を行うことができる。
【0012】
この発明の第2の局面による分析装置は、試薬収容具から試薬を吸引する試薬吸引部と、検体と、試薬とを用いて調製された分析用試料を分析する分析部と、複数の試薬収容具を円環状に保持する収容具保持部と、収容具保持部の上方の載置位置で載置された試薬収容具を下降させ、収容具保持部に保持させる保持動作と、収容具保持部に保持された試薬収容具を収容具保持部の上方の取出位置まで上昇させる取出動作とを実行する収容具昇降部と、収容具保持部に円環状に保持された複数の試薬収容具を円環の中央を中心に回転させることによって、試薬収容具を、試薬収容具を取出位置まで上昇させるための上昇待機位置に移動させる回転部とを備える。
【0013】
この第2の局面による分析装置では、上記のように、収容具保持部の上方の載置位置でユーザによって載置された試薬収容具を下降させ、収容具保持部に保持させる保持動作と、収容具保持部に保持された試薬収容具を収容具保持部の上方の取出位置まで上昇させる取出動作とを実行する収容具昇降部を設けることによって、補充用の試薬を保管するためのスペースが不要になるので、装置を簡素化および小型化することができる。また、ユーザは、収容具保持部の上方に位置する載置位置で試薬収容具を載置することができるとともに、収容具保持部の上方に位置する取出位置で試薬収容具を取り出すことができるので、試薬の交換の際、試薬容器の収納部の内部に手を挿入する必要がなくなる。これにより、容易に試薬の交換を行うことができる。
【0014】
上記第2の局面による分析装置において、好ましくは、載置位置と、取出位置とは同じ位置である。このように構成すれば、収容具保持部に保持させる保持動作と、収容具保持部に保持された試薬収容具を収容具保持部の上方の取出位置まで上昇させる取出動作とを収容具昇降部が実行する際、収容具昇降部を載置位置と取出位置との2つの位置に移動させるだけで試薬の交換を行うことができるので、収容具昇降部の制御を容易に行うことができる。
【0015】
上記第2の局面による分析装置において、好ましくは、収容具昇降部は、試薬収容具を載置するための載置台と、載置位置と、上昇待機位置と、取出位置とに載置台を移動させる駆動部とを含む。このように構成すれば、試薬収容具を載置台に載置した状態で、駆動部によって載置台を保持位置と取出位置とに移動させることにより、容易に試薬収容具を交換することができる。
【0016】
上記試薬昇降部が載置台と駆動部とを含む構成において、好ましくは、試薬交換の指示を受け付ける交換指示受付手段をさらに備え、交換指示受付手段が試薬交換の指示を受け付けると、駆動部による載置台の移動を実行する。このように構成すれば、交換指示受付手段によって試薬の交換の指示を受け付けた時に載置台の移動が実行されるので、ユーザが所望するときに、交換指示受付手段に試薬の交換を指示することによって、試薬の交換を行うことができる。
【0017】
この場合、好ましくは、載置台は、交換指示受付手段が試薬交換の指示を受け付けるまでは載置位置に配置されており、交換指示受付手段が試薬交換の指示を受け付けると、駆動部は、載置台を載置位置から上昇待機位置に移動させ、その後、上昇待機位置から取出位置に移動させる。このように構成すれば、交換指示受付手段が試薬の交換を受け付けるまでは、載置台が載置位置に配置されているので、ユーザは、載置台が載置位置まで上昇するのを待つことなく新しい試薬収容具を載置台に載置することができる。したがって、ユーザが試薬の交換を指示してから新しい試薬収容具が収容具保持部に保持されるまでの時間を短縮することができる。これにより、試薬の交換のために検体の分析を中断する時間を短縮することができる。
【0018】
上記試薬昇降部が載置台と駆動部とを含む構成において、好ましくは、収容具保持部は、試薬収容具の底面を支持し、かつ、載置台が昇降したときに載置台を通過させることが可能に構成された支持部を含み、収容具昇降部は、試薬収容具を載置した載置台が支持部よりも下方まで降下することにより試薬収容具を支持部に支持させ、試薬収容具を支持している支持部の下方から載置台が上昇することにより試薬収容具を支持部から取り出す。このように構成すれば、載置台の下降動作に伴って試薬収容具が支持部に支持されるとともに、載置台の上昇動作に伴って試薬収容具が載置台に載置されるので、試薬収容具を試薬保持部と載置台との間で移動するための機構を別途設けることなく、載置台に載置された試薬収容具を収容具保持部に保持させることができる。
【0019】
上記試薬昇降部が載置台と駆動部とを含む構成において、好ましくは、収容具保持部に保持された試薬収容具を冷却するための冷却部と、試薬収容具が通過可能な大きさの収容具出入口を有し、冷却部、収容具保持部、および収容具保持部に保持された試薬収容具を収納する収納部とをさらに備え、駆動部は、試薬収容具が収容具出入口を通過するように載置台を移動させる。このように構成すれば、収容具保持部の上部を蓋部により覆いながら、試薬昇降部による試薬収容具の交換を行うことができる。これにより、試薬の交換を可能にしつつ、冷却部による冷却を効率的に行うことができる。
【0020】
この発明の第3の局面による分析装置は、試薬収容具から試薬を吸引する試薬吸引部と、検体と、試薬とを用いて調製される分析用試料を分析する分析部と、複数の試薬収容具を保持する収容具保持部と、試薬収容具を載置するための載置台と、収容具保持部の上方にある、試薬収容具の載置および取り出しのための第1位置と、第1位置の下方にある、試薬収容具の収容具保持部への保持のための第2位置とに載置台を移動させる駆動部とを備える。
【0021】
この第3の局面による分析装置では、上記のように、試薬収容具を載置するための載置台と、収容具保持部の上方にあり、試薬収容具の載置および取り出しのための第1位置と、第1位置の下方にあり、試薬収容具の収容具保持部への保持のための第2位置とに載置台を移動させる駆動部とを設けることによって、補充用の試薬を保管するためのスペースが不要になるので、装置を簡素化および小型化することができる。また、ユーザは、載置台の第1位置で試薬収容具の載置および取出しを行うことができるとともに、第2位置で試薬収容具を収容具保持部に保持させることができるので、試薬の交換の際、試薬容器の収納部の内部に手を挿入する必要がなくなる。これにより、容易に試薬の交換を行うことができる。また、載置台を第1位置と第2位置との2つの位置に移動させるだけで試薬の交換を行うことができるので、駆動部の制御を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
まず、図1〜図6を参照して、本発明の一実施形態による免疫分析装置1の全体構成について説明する。
【0024】
本発明の一実施形態による免疫分析装置1は、血液などの検体を用いてB型肝炎、C型肝炎、腫瘍マーカおよび甲状腺ホルモンなど種々の項目の検査を行うための装置である。この免疫分析装置1では、測定対象である血液などの検体に含まれる抗原に結合した捕捉抗体(R1試薬)に磁性粒子(R2試薬)を結合させた後に、結合(Bound)した抗原、捕捉抗体および磁性粒子をBF(Bound Free)分離部14(図1および図2参照)の磁石(図示せず)に引き寄せることにより、未反応(Free)の捕捉抗体を含むR1試薬を除去する。そして、磁性粒子が結合した抗原と標識抗体(R3試薬)とを結合させた後に、結合(Bound)した磁性粒子、抗原および標識抗体をBF分離部14の磁石に引き寄せることにより、未反応(Free)の標識抗体を含むR3試薬を除去する。さらに、標識抗体との反応過程で発光する発光基質(R5試薬)を添加した後、標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量を測定する。このような過程を経て、標識抗体に結合する検体に含まれる抗原または抗体を定量的に測定している。
【0025】
この免疫分析装置1は、図1および図2に示すように、測定機構部2と、測定機構部2の前面側に配置された検体搬送部(サンプラ)3と、測定機構部2に電気的に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)からなる制御装置4とを備えている。また、測定機構部2は、検体分注アーム5と、試薬設置部6および7と、試薬分注アーム8、9および10と、1次反応部11および2次反応部12と、キュベット供給部13と、BF分離部14と、検出部15とから構成されている。また、図3に示すように、測定機構部2における各機構(各種分注アーム、試薬設置部6および試薬設置部7など)は、測定機構部2に設けられた制御部2aにより制御されている。具体的には、制御部2aは、試薬設置部7に設けられた各種センサ(センサ60d、60g、70a、70b、70c、70dおよび原点検知センサ60eなど)の信号を受信するとともに、試薬設置部7に設けられた各種駆動源(ステッピングモータ53、63およびモータ76など)の駆動を制御している。また、搬送機構部3も制御部2aによって制御される。なお、各種分注アーム、各種センサおよび各種駆動源については後に詳細に説明する。
【0026】
制御部2aは、図4に示すように、CPU2bと、ROM2cと、RAM2dと、通信インターフェース2eとから主として構成されている。
【0027】
CPU2bは、ROM2cに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM2dに読み出されたコンピュータプログラムを実行することが可能である。ROM2cは、CPU2bに実行させるためのコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータなどを記憶している。RAM2dは、ROM2cに記憶しているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU2bの作業領域として利用される。
【0028】
通信インターフェース2eは、制御装置4に接続されており、検体の光学的な情報(標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量のデータ)を制御装置4に送信するとともに、制御装置4の制御部4aからの信号を受信するための機能を果たす。また、通信インターフェース2eは、搬送機構部3および測定機構部2の各部を駆動するためのCPU2bからの指令を送信するための機能を有する。
【0029】
検体搬送部3は、図1および図2に示すように、検体を収容した複数の試験管100が載置されたラック101を、検体分注アーム5が検体を吸引する吸引位置1aに対応する位置まで搬送するように構成されている。この検体搬送部3は、未処理の検体を収容した試験管100が載置されたラック101をセットするためのラックセット部3aと、分注処理済みの検体を収容した試験管100が載置されたラック101を貯留するためのラック貯留部3bとを有している。そして、未処理の検体を収容した試験管100を検体分注アーム5の吸引位置1aに対応する位置まで搬送することにより、検体分注アーム5により試験管100内の血液などの検体の吸引が行われ、その後、その試験管100を載置したラック101がラック貯留部3bに貯留されるように構成されている。
【0030】
制御装置4(図1参照)は、パーソナルコンピュータ(PC)などからなり、CPU、ROM、RAMなどからなる制御部4aと、表示部4bと、キーボード4cとを含んでいる。また、表示部4bは、検出部15から送信されたデジタル信号のデータを分析して得られた分析結果などを表示するために設けられている。また、本実施形態では、制御装置4において、後述する試薬収容具300の交換、追加および取出しの指示を行うことが可能に構成されている。
【0031】
次に、制御装置4の構成について説明する。制御装置4は、図5に示すように、制御部4aと、表示部4bと、キーボード4cとから主として構成されたコンピュータ401によって構成されている。制御部4aは、CPU401aと、ROM401bと、RAM401cと、ハードディスク401dと、読出装置401eと、入出力インタフェース401fと、通信インタフェース401gと、画像出力インタフェース401hとから主として構成されている。CPU401a、ROM401b、RAM401c、ハードディスク401d、読出装置401e、入出力インタフェース401f、通信インタフェース401g、および画像出力インタフェース401hは、バス401iによって接続されている。
【0032】
CPU401aは、ROM401bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM401cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム404aをCPU401aが実行することにより、コンピュータ401が制御装置4として機能する。
【0033】
ROM401bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU401aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータなどが記録されている。
【0034】
RAM401cは、SRAMまたはDRAMなどによって構成されている。RAM401cは、ROM401bおよびハードディスク401dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401aの作業領域として利用される。
【0035】
ハードディスク401dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU401aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。本実施形態に係る免疫分析用のアプリケーションプログラム404aも、このハードディスク401dにインストールされている。
【0036】
読出装置401eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体404に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体404には、免疫分析用のアプリケーションプログラム404aが格納されており、コンピュータ401がその可搬型記録媒体404からアプリケーションプログラム404aを読み出し、そのアプリケーションプログラム404aをハードディスク401dにインストールすることが可能である。
【0037】
なお、上記アプリケーションプログラム404aは、可搬型記録媒体404によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ401と通信可能に接続された外部の機器から上記電気通信回線を通じて提供することも可能である。たとえば、上記アプリケーションプログラム404aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ401がアクセスして、そのアプリケーションプログラム404aをダウンロードし、これをハードディスク401dにインストールすることも可能である。
【0038】
また、ハードディスク401dには、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、第1実施形態に係るアプリケーションプログラム404aは上記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0039】
入出力インタフェース401fは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース401fには、キーボード4cが接続されており、ユーザがそのキーボード4cを使用することにより、コンピュータ401にデータを入力することが可能である。
【0040】
通信インタフェース401gは、たとえば、Ethernet(登録商標)インタフェースである。コンピュータ401は、その通信インタフェース401gにより、所定の通信プロトコルを使用して測定機構部2との間でデータの送受信が可能である。
【0041】
画像出力インタフェース401hは、LCDまたはCRTなどで構成された表示部4bに接続されており、CPU401aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部4bに出力するようになっている。表示部4bは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0042】
また、制御部4aのハードディスク401dにインストールされた免疫分析用のアプリケーションプログラム404aは、測定機構部2の検出部15から送信された測定用試料の発光量(デジタル信号のデータ)を用いて、測定用試料の抗原または抗体の量を測定している。
【0043】
検体分注アーム5(図1および図2参照)は、検体搬送部3により吸引位置1aに搬送された試験管100内の検体を、後述する1次反応部11の回転テーブル部11aの保持部11bに保持されるキュベット150内に分注する機能を有している。この検体分注アーム5は、図1および図2に示すように、モータ5aと、モータ5aに接続される駆動伝達部5bと、駆動伝達部5bに軸5cを介して取り付けられるアーム部5dとを含んでいる。駆動伝達部5bは、モータ5aからの駆動力によりアーム部5dを、軸5cを中心に回動させるとともに、上下方向(Z方向)に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部5dの先端部には、検体の吸引および吐出を行うピペット5eが設けられている。
【0044】
試薬設置部6(図1および図2参照)は、捕捉抗体を含むR1試薬が収容される試薬容器および標識抗体を含むR3試薬が収容される試薬容器を保持する試薬収容具を設置するために設けられている。この試薬設置部6は、図1に示すように、試薬収容具が保持される試薬保持部20と、試薬保持部20に取り付けられる蓋部30と、試薬保持部20内の試薬収容具を蓋部30に設けられた孔30aを介して交換するための昇降部40とを含んでいる。
【0045】
試薬設置部7(図1および図2参照)は、磁性粒子を含むR2試薬が収容される試薬容器を保持する試薬収容具300(図6参照)を設置するために設けられている。試薬設置部7の構造については後に詳細に説明する。
【0046】
試薬分注アーム8(図1および図2参照)は、試薬設置部6に設置される試薬収容具内のR1試薬を吸引するとともに、その吸引したR1試薬を1次反応部11の検体が分注されたキュベット150内に分注するための機能を有している。この試薬分注アーム8は、モータ8aと、モータ8aに接続される駆動伝達部8bと、駆動伝達部8bに軸8cを介して取り付けられたアーム部8dとを含んでいる。駆動伝達部8bは、モータ8aからの駆動力により軸8cを中心にアーム部8dを回動させるとともに、上下方向に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部8dの先端部には、試薬収容具内のR1試薬の吸引および吐出を行うためのピペット8e(図1参照)が取り付けられている。すなわち、ピペット8eは、試薬設置部6に設置された試薬収容具内のR1試薬を吸引した後、吸引したR1試薬を1次反応部11の検体が分注されたキュベット150内に分注するように構成されている。
【0047】
試薬分注アーム9(図1および図2参照)は、試薬設置部7に設置される試薬収容具300内のR2試薬を1次反応部11の検体およびR1試薬が分注されたキュベット150内に分注するための機能を有している。この試薬分注アーム9は、モータ9aと、モータ9aに接続される駆動伝達部9bと、駆動伝達部9bに軸9cを介して取り付けられたアーム部9dとを含んでいる。駆動伝達部9bは、モータ9aからの駆動力により、軸9cを中心にアーム部9dを回動させるとともに、上下方向に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部9dの先端部には、試薬収容具300内のR2試薬の吸引および吐出を行うためのピペット9e(図1参照)が取り付けられている。したがって、ピペット9eは、試薬設置部7の試薬収容具300内のR2試薬を吸引した後、吸引したR2試薬を1次反応部11の検体およびR1試薬が分注されたキュベット150内に分注するように構成されている。
【0048】
試薬分注アーム10(図1および図2参照)は、試薬設置部6に設置される試薬収容具内のR3試薬を吸引するとともに、その吸引されたR3試薬を2次反応部12の検体、R1試薬およびR2試薬が分注されたキュベット150内に分注するための機能を有している。この試薬分注アーム10は、モータ10aと、モータ10aに接続される駆動伝達部10bと、駆動伝達部10bに軸10cを介して取り付けられたアーム部10dとを含んでいる。駆動伝達部10bは、モータ10aからの駆動力により、軸10cを中心にアーム部10dを回動させるとともに、上下方向に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部10dの先端部には、試薬収容具内のR3試薬の吸引および吐出を行うためのピペット10e(図1参照)が取り付けられている。すなわち、ピペット10eは、試薬設置部6の試薬収容具内のR3試薬を吸引した後、吸引したR3試薬を2次反応部12の検体、R1試薬およびR2試薬が分注されたキュベット150内に分注される。
【0049】
1次反応部11は、図1および図2に示すように、回転テーブル部11aの保持部11bに保持されるキュベット150を所定の期間(本実施形態では、18秒)毎に所定の角度だけ回転移送するとともに、キュベット150内の検体、R1試薬およびR2試薬を攪拌するために設けられている。つまり、1次反応部11は、キュベット150内で磁性粒子を有するR2試薬と検体中の抗原とを反応させるために設けられている。この1次反応部11は、検体とR1試薬およびR2試薬とが収容されるキュベット150を回転方向に搬送するための回転テーブル部11aと、キュベット150内の検体、R1試薬およびR2試薬を攪拌するとともに、攪拌された検体、R1試薬およびR2試薬が収容されたキュベット150を後述するBF分離部14(図1および図2参照)に搬送する容器搬送部11cとから構成されている。
【0050】
また、回転テーブル部11aは、保持部11bに保持されたキュベット150を18秒毎に所定の角度だけ回転移送するように構成されている。そのため、免疫分析装置1の各種装置(検体分注アーム5や試薬分注アーム8および9など)は、回転テーブル部11aにより所定の位置に移送されたタイミングで、移送された所定の位置のキュベット150に対して動作するように制御されている。
【0051】
また、容器搬送部11cは、回転テーブル部11aの中心部分に回転可能に設置されている。この容器搬送部11cは、回転テーブル部11aの保持部11bに保持されるキュベット150を把持するとともにキュベット150内の試料を攪拌する機能を有している。さらに、容器搬送部11cは、検体、R1試薬およびR2試薬を攪拌してインキュベーションした試料を収容したキュベット150をBF分離部14(図1および図2参照)に搬送する機能も有している。
【0052】
2次反応部12(図1および図2参照)は、1次反応部11と同様の構成を有しており、回転テーブル部12aの保持部12bに保持されるキュベット150を所定の期間(本実施形態では、18秒)毎に所定の角度だけ回転移送するとともに、キュベット150内の検体、R1試薬、R2試薬、R3試薬およびR5試薬を攪拌するために設けられている。つまり、2次反応部12は、キュベット150内で標識抗体を有するR3試薬と検体中の抗原とを反応させるとともに、発光基質を有するR5試薬とR3試薬の標識抗体とを反応させるために設けられている。なお、R5試薬は、2次反応部12の近傍に設けられたR5試薬分注アーム(図示せず)により、2次反応部12の検体、R1試薬、R2試薬およびR3試薬が収容されたキュベット150内に分注されるように構成されている。この2次反応部12は、検体、R1試薬、R2試薬、R3試薬およびR5試薬が収容されるキュベット150を回転方向に搬送するための回転テーブル部12aと、キュベット150内の検体、R1試薬、R2試薬、R3試薬およびR5試薬を攪拌するとともに、攪拌された検体などが収容されたキュベット150をBF分離部14に搬送する容器搬送部12cとから構成されている。さらに、容器搬送部12cは、BF分離部14により処理されたキュベット150を再び回転テーブル部12aの保持部12bに搬送する機能を有している。なお、2次反応部12の詳細構造は、1次反応部11と同様であるので、その説明を省略する。
【0053】
キュベット供給部13(図1および図2参照)は、複数のキュベット150を1次反応部11の回転テーブル部11aの保持部11bに順次供給することが可能なように構成されている。
【0054】
BF分離部14は、1次反応部11の容器搬送部11cによって搬送されたキュベット150内の試料から未反応のR1試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離する機能と、2次反応部12の容器搬送部12cによって搬送されたキュベット150(図1参照)内の試料から未反応のR3試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離する機能とを有する。
【0055】
検出部15(図1および図2参照)は、所定の処理が行なわれた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を光電子増倍管(Photo Multiplier Tube)で取得することにより、その検体に含まれる抗原の量を測定するために設けられている。
【0056】
次に、図6〜図18を参照して、本発明の一実施形態による免疫分析装置1の試薬設置部7および試薬設置部7に設置される試薬収容具300の構造を説明する。
【0057】
この試薬設置部7は、図6に示すように、試薬収容具300を円環状に並べて保持する円筒形状の試薬保持部50と、試薬保持部50に開閉可能に取り付けられる蓋部60と、円筒形状の試薬保持部50の側面(外壁部51)に取り付けられる昇降部70とを含んでいる。また、試薬設置部7の底部にはペルチエ素子(図示せず)が取り付けられており、試薬設置部7の内部は約15℃に保たれている。
【0058】
試薬保持部50は、図7および図8に示すように、円筒状の外壁部51と、中心に設けられる回転可能な回転軸52と、回転軸52を回転させるためのステッピングモータ53と、ステッピングモータ53の駆動力を回転軸52に伝達するためのベルト54(図8参照)とを含んでいる。外壁部51の内面には全面に渡って断熱材(図示せず)が取り付けられており、試薬保持部50内部の温度を低温(約15℃)に保っている。また、ステッピングモータ53の駆動力は、図8に示すように、ステッピングモータ53により回転するプーリ53aと、回転軸52に同軸上に固定されるプーリ52aとにより、ベルト54を介して回転軸52に伝達されるように構成されている。
【0059】
また、回転軸52には、複数の試薬収容具300を円環状に保持するためのラック600が固定的に取り付けられている。ラック600に試薬収容具300を保持させた状態で回転軸52を回転させることにより、試薬収容具300が保持されたラック600が回転されるので、吸引する試薬を保持する試薬収容具300を後述する蓋部60の孔60bおよび入出孔60cの下方に移動させることが可能である。このラック600は、図9に示すように、ラック600の中心に設けられ、回転軸52が挿入される挿入部601と、挿入部601を中心に円環状に形成され、試薬収容具300を保持するための複数の保持部602と、挿入部601の上方に突出するように設けられた原点検知片603とを含む。保持部602は、仕切板602aと支持部602bとにより構成されている。仕切板602aは、挿入部601から半径方向に放射状に延びるように所定の角度間隔で複数設けられている。支持部602bは、仕切板602aの互いに対向する部分の下部および挿入部501の下部に、内側に突出するように設けられている。各試薬収容具300は、一対の仕切板602aにより挟まれる空間に支持部602bにより底部323(図18参照)の周縁部が支持されるように配置される。また、図8に示すように、保持部602の上部、下部および半径方向の外側部を開放端とすることにより、試薬収容具300を昇降させるための昇降部70の載置台71およびアーム72がラック600の保持部602に接触することなく昇降可能に構成されている。
【0060】
また、蓋部60は、図6に示すように、試薬保持部50にヒンジ部60aを介して開閉可能に取り付けられている。この蓋部60は、試薬設置部7内の温度が低温(15℃)に保たれるように外気を遮断するとともに、試薬設置部7内の試薬を外部から吸引可能で、かつ、試薬収容具300を試薬設置部7内に出し入れ可能なように構成されている。具体的には、蓋部60は、図10および図11に示すように、試薬収容具300の試薬容器310(図16および図17参照)から試薬を吸引する際に試薬分注アーム9のピペット9eが挿入される孔60bと、試薬収容具300を試薬設置部7から昇降部70によって出し入れするための入出孔60cとを含んでいる。また、蓋部60は、孔60bの下方に配置された試薬収容具300のスライド蓋322(図16および図17参照)を開閉可能な開閉部材61と、開閉部材61をスライド可能に支持する直動ガイド62と、開閉部材61を往復駆動するステッピングモータ63とを含んでいる。また、蓋部60には、試薬収容具300がラック600の保持部602に保持されているか否かを検知するための反射型のセンサ60dと、ラック600の原点位置を検知するための透過型の原点検知センサ60eと、開閉部材61の原点位置を検知するための透過型のセンサ60fと、後述する昇降部70の載置台71に載置された試薬収容具300を検知するための透過型のセンサ60gとが設けられている。センサ60dは、蓋部60の裏面側に向かって光を照射可能なように蓋部60の表面側に配置されており、原点検知センサ60eは、蓋部60の裏面側に配置されている。また、センサ60fは、蓋部60の表面側に配置されている。また、センサ60gは、入出孔60cを跨ぐように蓋部60の表面側に配置されている。
【0061】
また、図11に示すように、開閉部材61は、開閉部材31と同様に二股の係合片61aを有する。また、試薬収容具300がスライド蓋322が閉まった状態で孔60bの下方に配置された場合には、試薬収容具300のスライド蓋322の係合片322a(図16参照)が開閉部材61の二股の係合片61aの間に位置するように構成されている。また、蓋部60の裏面の孔60bの近傍には一対のガイド片60hが取り付けられている。この一対のガイド片60hは、試薬収容具300のスライド蓋322が開いた状態で孔60bの下方に配置された場合に、回転軸52の回転によってスライド蓋322の係合片322aに当接してガイドすることにより、スライド蓋322の係合片322aを開閉部材61の二股の係合片61aの間に位置させる機能を有する。
【0062】
また、反射型のセンサ60dは、ラック600の保持部602に試薬収容具300が保持されているか否かを検出するように構成されている。また、透過型の原点検知センサ30eは、ラック600に設けられた原点検知片603を検知することにより、回転するラック600の原点位置を検知する機能を有する。
【0063】
ここで、本実施形態では、昇降部70は、試薬設置部7内に試薬収容具300を出し入れするために設けられている。昇降部70は、図12〜図14に示すように、試薬収容具300が載置される載置台71と、載置台71を支持するアーム72と、アーム72を支持する支持部材73と、支持部材73が固定されるスライダ74およびスライダ74を上下方向にスライド可能に支持するガイドレール75からなる直動ガイドと、モータ76と、モータ76の駆動力を伝達するためのベルト77と、ブラケット78とを含んでいる。また、ブラケット78には、3つの透過型のセンサ70a、70bおよび70cと、反射型のセンサ70dとが取り付けられている。
【0064】
載置台71は、試薬収容具300を載置した状態で下降することにより、ラック600の保持部602に試薬収容具300を保持させる機能を有する。また、載置台71は、試薬収容具300を保持する保持部602の下方から上昇することにより、保持部602の試薬収容具300を持ち上げて、蓋部60の入出孔60cから取り出す機能を有する。また、載置台71には、試薬収容具300の底部323に設けられたリブ323a(図18参照)と係合可能な十字形状の溝71aが設けられている。また、図15に示すように、アーム72は、外壁部51に設けられた上下方向に延びる孔51aを介して、試薬保持部50の外部に設けられたモータ76の駆動力により載置台71を上下方向に移動させる機能を有する。
【0065】
なお、孔51aには、孔51aに対応するスリットが設けられた弾性材料からなる閉塞部材(図示せず)が取り付けられている。アーム72は、スリットを介して載置台71を支持している。この閉塞部材により、アーム52の移動を妨げることなく、孔51aから容器保持部50内の冷気が外部に漏れるのが抑制される。
【0066】
また、図14に示すように、支持部材73に設けられた二股の固定片73aがベルト77を挟んでベルト77に固定されている。これにより、モータ76の駆動力がベルト77を介して支持部材73に伝達される。また、支持部材73には検知片73bが突出して設けられている。この検知片73bがセンサ70a、70bおよび70cに検知されることにより、載置台71の上下方向の位置が検知されるように構成されている。具体的には、検知片73bがセンサ70aに検知された時には、載置台71は、試薬収容具300の載置および取出が可能な載置・取出位置(上死点)に位置している。また、検知片73bがセンサ70bに検知された時には、載置台71は、ラック600の保持部602の下方(下死点)に位置している。載置台71は、下死点に位置するときにラック600に保持された試薬収容具300の下方に配置され、これにより、ラック600が回転することが可能に構成されている。また、ラック600と下死点との間には、所定のクリアランス領域が設けられており、センサ70cは、検知片73bを検知する。これにより、制御部2aは、載置台71が、ラック600の保持部602と下死点との間のクリアランス領域に位置することを認識することができる。これにより、載置台71がクリアランス領域に位置するときに、ラック600を回転させることにより載置台71とラック600とが接触することが回避される。また、ベルト77は、モータ76の回転軸(図示せず)と同軸上に設けられたプーリ(図示せず)と、上方に設けられたプーリ77aとにより回転駆動されるように構成されている。
【0067】
また、反射型のセンサ70dは、外壁部51に設けられた孔51b(図15参照)を介して、ラック600の保持部602に保持された試薬収容具300を検知することにより、試薬収容具300の交換が正常に行なわれたか否かを監視している。
【0068】
また、試薬収容具300は、図16〜図18に示すように、R2試薬が収容される試薬容器310と、試薬容器310を収納するケース320とからなる。ケース320の上面321には、試薬容器310を密閉するためのスライド蓋322が設けられている。スライド蓋322には、開閉部材61の二股の係合部61aと係合する係合片322aが設けられている。また、ケース320の底面323には、昇降部70の載置台71の溝71aと係合する十字形状のリブ323aが設けられている。また、ケース320の側面324には、試薬容器310に収容されている試薬の量を視認可能にするためのスリット324a(図17参照)が設けられている。
【0069】
なお、試薬設置部6は、試薬収容具が2つのR1試薬およびR2試薬の2つの試薬容器を含むことに対応して蓋部30に開閉機構が2つ設けられていることなどを除き、試薬設置部7と同様の構成を有するので説明を省略する。
【0070】
次に、図8、図10および図19〜図22を参照して、本実施形態による免疫分析装置1の試薬設置部7における試薬収容具300の追加、交換および取出動作を説明する。
【0071】
図10に示すように、載置台71は、待機状態において、載置・取出位置(センサ70aがONの状態)に配置されている。試薬収容具300を追加する場合には、まず、図19および図21に示すように、ユーザが載置台71に試薬収容具300を載置する。
【0072】
この状態で、ユーザが制御装置4により試薬の追加の指示を行うと、試薬収容具300の追加が開始される。試薬収容具300の追加が開始されると、ステッピングモータ53(図8参照)の駆動によりラック600が回転されて、試薬収容具300が保持されていない保持部602が蓋部60の入出孔60cの下方に移動される。その後、図20に示すように、モータ76の駆動により載置台71の下方への移動が開始される。そして、図22に示すように、載置台71が保持部602の支持部602bを通過する際に、試薬収容具300の底面323の周縁部が支持部602bによって支持されて、試薬収容具300は保持部602に保持される。
【0073】
そして、検知片73bがセンサ70bにより検知されると、モータ76の駆動が停止される。この状態で、ステッピングモータ53の駆動によりラック600が回転されて、試薬収容具300を保持していない保持部602が入出孔60cの下方(下死点にある載置台71の上方)の待機位置に移動される。そして、モータ76の駆動により載置台71の上方への移動が開始される。載置台71は、試薬収容具300を保持していない保持部602を通過する。そして、載置台71は、センサ70aが検知片73bを検知するまで上昇されて、載置・取出位置に配置される。本実施形態では、このようにして試薬収容具300の追加が行われる。
【0074】
また、試薬収容具300を交換する場合には、ユーザが、試薬収容具300を載置・取出位置にある載置台41に載置した後、制御装置4により交換の指示を行なう。これにより、載置台71が下降して、試薬収容具300がラック600に保持されるとともに、載置台71は下死点(センサ70bがONの状態)まで移動する。
【0075】
この後、ステッピングモータ53の駆動によりラック600が回転されて、交換対象の試薬収容具300を保持している保持部602が入出孔60cの下方(下死点にある載置台71の上方)に移動される。そして、モータ76の駆動により載置台71の上方への移動が開始される。上昇する載置台71は、保持部602の支持部602bに支持されている試薬収容具300を持ち上げて、さらに上昇する。そして、載置台71は、センサ70aが検知片73bを検知するまで上昇されて、載置・取出位置に配置される。これにより、交換対象の試薬収容具300が、試薬設置部7の外部に取り出される。本実施形態では、このようにして試薬収容具300の交換が行われる。
【0076】
また、試薬収容具300を取り出す場合には、制御装置4により取出しの指示を行なう。まず、ステッピングモータ53の駆動によりラック600が回転されて、試薬収容具300を保持していない保持部602が入出孔60cの下方(下死点にある載置台71の上方)に移動される。そして、載置台71が、試薬収容具300が保持されていない保持部602を通過して下死点(センサ70bがONの状態)まで移動される。この後、ラック600が回転されて、取出し対象の試薬収容具300を保持する保持部602が載置台71の上方に移動される。この後、載置台71が上昇することにより、取出し対象の試薬収容具300が試薬設置部7の外部に取り出される。
【0077】
なお、試薬設置部6における試薬収容具の交換、追加および取出しも、試薬設置部7における試薬収容具300の場合と同様に行なわれるので、説明を省略する。
【0078】
次に、図1、図8、図11、図23および図24を参照して、本実施形態による試薬収容具300から試薬分注アーム9のピペット9eにより試薬を吸引する吸引動作を説明する。
【0079】
まず、試薬保持部50の回転軸52(図8参照)が試薬収容具300を保持するラック600を回転させることにより、吸引対象の試薬を収容した試薬容器310を含む試薬収容具300が蓋部60の孔60bの下方に移動される。試薬収容具300が蓋部60の孔60bの下方に移動する際、試薬収容具300のスライド蓋322が閉まっている場合には、図23に示すように、スライド蓋322の係合片322aが蓋部60の開閉部材61の二股の係合部61aの間に配置される。また、試薬収容具300が蓋部60の孔60bの下方に移動する際、試薬収容具300のスライド蓋322が開いている場合には、スライド蓋322の係合片322aは、蓋部60の孔60bの近傍に配置されたガイド片60h(図11参照)によりガイドされて開閉部材61の二股の係合部61aの間に配置される。
【0080】
この状態で、ステッピングモータ63により開閉部材61が矢印A方向にスライドされることにより、図24に示すように、スライド蓋322の係合片322aが二股の係合部61aとともに矢印A方向にスライドされてスライド蓋322が開状態となる。これにより、試薬分注アーム9のピペット9eを試薬容器310の内部に挿入することが可能となる。また、ピペット9eは、モータ9aおよび駆動伝達部9bによる回動により蓋部60の孔60bの上方に移動されており、スライド蓋322の開状態でピペット9eが下降することによりピペット9eが孔60bを介して試薬容器310の内部に挿入されて、試薬が吸引される。
【0081】
そして、試薬を吸引したピペット9eは、モータ9aおよび駆動伝達部9bにより上昇するとともに回動されて、1次反応部11(図1参照)の上方に移動される。そして、1次反応部11のキュベット150に試薬容器310から吸引した試薬が分注される。
【0082】
また、試薬の吸引が終了した後、回動部材61がステッピングモータ63により矢印B方向に移動されることによって、スライド蓋322の係合片322aが二股の係合部61aとともに矢印B方向にスライドされる。これにより、スライド蓋322が閉められて、試薬が密閉状態となる。これにより、ラック600が回転されて試薬収容具300が移動される際などにも、試薬の密閉状態が保持される。
【0083】
本実施形態では、上記のように、載置・取出位置(センサ70aがONの状態)にある載置台71に試薬収容具300を載置した状態で載置台71を下降させてラック600の保持部602に試薬収容具300を保持させるように構成している。また、下死点(センサ70bがONの状態)にある載置台71の上方に試薬収容具300を保持するラック600の保持部602を配置し、載置台71を上昇させることにより試薬収容具300を持ち上げて、試薬設置部7の外部に取り出すように構成している。このように構成することによって、免疫分析装置1を簡素化および小型化することができる。また、ユーザは、載置・取出位置にある載置台71に試薬収容具300を載置および取出しを行なうことができるので、試薬収容具300の交換の際、試薬設置部7内に手を挿入する必要がなくなる。これにより、容易に試薬の交換を行うことができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置4により試薬収容具300の交換、追加および取出の指示が行われた時に、モータ76による載置台71の移動が実行されるように構成することによって、ユーザが所望するときに、制御装置4により試薬の交換を指示することによって、試薬の交換を行うことができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、載置台71を、制御装置4による試薬収容具300の交換、追加の指示を受け付けるまでは載置・取出位置に待機させ、交換、追加および取出しの指示を受け付けると、昇降部70が試薬収容具300の交換、追加および取出しを行なうように構成することによって、通常、載置台71が載置・取出位置に待機しているので、ユーザは、載置台71が載置位置まで上昇するのを待つことなく試薬収容具300の交換、追加を行うことができる。したがって、ユーザが試薬収容具300の交換および追加を指示してから新しい試薬収容具300がラック600の保持部602に保持されるまでの時間を短縮することができる。これにより、試薬の交換および追加のために検体の分析を中断する時間を短縮することができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、複数の試薬収容具300を円環状に保持するラック600を回転可能に構成することによって、ラック600に円環状に保持された複数の試薬収容具300のそれぞれを載置台71の通過経路に配置することができる。これにより、ラック600に保持された複数の試薬収容具300の交換を行うことができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、ラック600に、試薬収容具300の底面323を支持し、かつ、載置台71が昇降したときに載置台71を通過させることが可能に構成された支持部602bを設けることによって、載置台71の下降動作に伴って試薬収容具300が支持部602bに支持されるとともに、載置台71の上昇動作に伴って試薬収容具300が載置台71に持ち上げられて取り出される。これにより、試薬収容具300をラック600と載置台71との間で移動するための機構を別途設けることなく、載置台71に載置された試薬収容具300をラック600に保持させることができる。
【0088】
また、本実施形態では、上記のように、ペルチエ素子により試薬設置部7の内部を冷却し、蓋部60に試薬収容具300が通過可能な大きさの入出孔60cを設けて、入出孔60cから試薬収容具300の出し入れを行なうように構成することによって、試薬収容具300の交換を可能にしつつ、ペルチエ素子による冷却を効率的に行うことができる。
【0089】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0090】
たとえば、上記実施形態では、本発明を免疫分析装置1に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、生化学分析装置および血液凝固測定装置などの他の分析装置に適用してもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、載置台71を載置・取出位置に待機させ、試薬交換の指示を受け付けると、載置台71が下降して新しい試薬収容具300をラック600に保持させて、その後、載置台71が上昇して古い試薬収容具300を取り出すように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、載置台71をラック600の下方に待機させ、試薬交換の指示を受け付けると、載置台71が上昇して古い試薬収容具300を取り出して、その後、ユーザにより新しい試薬収容具300が載置された状態で、載置台71が下降することにより試薬収容具300をラック600に保持させるように構成してもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、試薬設置部7に、昇降部70を1つだけ設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、試薬設置部に昇降部を2つ設けてもよい。この場合、2つの昇降部のうち、一方は追加専用の昇降部で、他方が取出し専用の昇降部としてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、ユーザが制御装置4により交換の指示を行った場合に昇降部70により試薬収容具300の交換、追加および取出しが行われる例を示したが、本発明はこれに限らず、制御部に試薬の使用量を記憶させておき、使用量が所定量を超えた場合に試薬の交換が必要であると判断し、自動的に交換対象の試薬収容具を取り出すように構成してもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、蓋部60に設けた入出孔60cを介して試薬収容具300の交換を行う例を示したが、本発明はこれに限らず、蓋部の載置台に対応する位置にシャッターを設け、交換を行う際には、ユーザはシャッターの上に試薬収容具を載置するように構成してもよい。この構成では、試薬の交換または追加が指示されると、シャッターが開くとともに、シャッターの直下に位置する載置台に試薬収容具が載置される。このような構成にすることより、試薬設置部における試薬の冷却をより効率的に行うことができる。
【0095】
また、上記実施形態では、試薬収容具の載置位置および取り出し位置は、ともに載置台71の上死点であるが、これら2つの位置を異なる位置としてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、試薬収容具300は、ケース320に試薬容器310が収納され、試薬容器310にR2試薬が収容されているが、試薬容器310はケース320に収納される必要はなく、試薬容器310そのものを試薬収容具としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施形態による免疫分析装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した免疫分析装置の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態による免疫分析装置の測定機構部の制御部を含むブロック図である。
【図4】図3に示した測定機構部の制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態による免疫分析装置の制御装置を示すブロック図である。
【図6】図1に示した試薬設置部の全体構成を示す斜視図である。
【図7】図6に示した試薬設置部の試薬保持部を示す斜視図である。
【図8】図7に示した試薬設置部の試薬保持部の平面図である。
【図9】本発明の一実施形態による免疫分析装置において使用される試薬収容具を保持するためのラックを示す斜視図である。
【図10】図6に示した試薬設置部を示す斜視図である。
【図11】図10に示した試薬設置部の蓋部の裏面を示す斜視図である。
【図12】一実施形態による昇降部を示す斜視図である。
【図13】一実施形態による昇降部を示す斜視図である。
【図14】一実施形態による昇降部を示す平面図である。
【図15】一実施形態による試薬保持部の外壁部に設けられた孔を示す斜視図である。
【図16】本発明の一実施形態による免疫分析装置において使用される試薬収容具の外観図である。
【図17】本発明の一実施形態による免疫分析装置において使用される試薬収容具の外観図である。
【図18】図16に示した試薬収容具の底面を示す斜視図である。
【図19】一実施形態による免疫分析装置の昇降部の載置台が載置・取出位置に位置した状態を示す斜視図である。
【図20】一実施形態による免疫分析装置の昇降部の載置台が下死点に位置した状態を示す斜視図である。
【図21】図19の100−100線に沿った断面図である。
【図22】図20の200−200線に沿った断面図である。
【図23】試薬を吸引する際、試薬収容具のスライド蓋が閉まった状態を示す断面図である。
【図24】試薬を吸引する際、試薬収容具のスライド蓋が開いた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0098】
1 免疫分析装置(分析装置)
4 制御装置(分析部、交換指示受付手段)
8、9、10 試薬分注アーム(試薬吸引部)
60c 入出孔(収容具出入口)
70 昇降部(収容具昇降部)
71 載置台
76 モータ(駆動部)
300 試薬収容具
323 底面
602 保持部(支持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬収容具から試薬を吸引する試薬吸引部と、
検体と、試薬とを用いて調製される分析用試料を分析する分析部と、
複数の前記試薬収容具を保持する収容具保持部と、
前記試薬収容具を載置するための載置台を含み、前記載置台が下降することにより、前記載置台に載置された試薬収容具を前記収容具保持部に保持させ、前記載置台が上昇することにより、前記収容具保持部に保持されている試薬収容具を前記載置台に載置して前記収容具保持部から取り出す収容具昇降部とを備える、分析装置。
【請求項2】
試薬収容具から試薬を吸引する試薬吸引部と、
検体と、試薬とを用いて調製された分析用試料を分析する分析部と、
複数の前記試薬収容具を円環状に保持する収容具保持部と、
前記収容具保持部の上方の載置位置で載置された試薬収容具を下降させ、前記収容具保持部に保持させる保持動作と、前記収容具保持部に保持された試薬収容具を前記収容具保持部の上方の取出位置まで上昇させる取出動作とを実行する収容具昇降部と、
前記収容具保持部に円環状に保持された複数の前記試薬収容具を前記円環の中央を中心に回転させることによって、前記試薬収容具を、前記試薬収容具を前記取出位置まで上昇させるための上昇待機位置に移動させる回転部とを備える、分析装置。
【請求項3】
前記載置位置と、前記取出位置とは同じ位置である、請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記収容具昇降部は、
前記試薬収容具を載置するための載置台と、
前記載置位置と、前記上昇待機位置と、前記取出位置とに前記載置台を移動させる駆動部とを含む、請求項2または3に記載の分析装置。
【請求項5】
試薬交換の指示を受け付ける交換指示受付手段をさらに備え、
前記交換指示受付手段が前記試薬交換の指示を受け付けると、前記駆動部による前記載置台の移動を実行する、請求項4に記載の分析装置。
【請求項6】
前記載置台は、前記交換指示受付手段が前記試薬交換の指示を受け付けるまでは前記載置位置に配置されており、
前記交換指示受付手段が前記試薬交換の指示を受け付けると、前記駆動部は、前記載置台を前記載置位置から前記上昇待機位置に移動させ、その後、前記上昇待機位置から前記取出位置に移動させる、請求項5に記載の分析装置。
【請求項7】
前記収容具保持部は、前記試薬収容具の底面を支持し、かつ、前記載置台が昇降したときに前記載置台を通過させることが可能に構成された支持部を含み、
前記収容具昇降部は、前記試薬収容具を載置した前記載置台が前記支持部よりも下方まで降下することにより前記試薬収容具を前記支持部に支持させ、前記試薬収容具を支持している前記支持部の下方から前記載置台が上昇することにより前記試薬収容具を前記支持部から取り出す、請求項4〜6のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項8】
前記収容具保持部に保持された試薬収容具を冷却するための冷却部と、
前記試薬収容具が通過可能な大きさの収容具出入口を有し、前記冷却部、前記収容具保持部、および前記収容具保持部に保持された試薬収容具を収納する収納部とをさらに備え、
前記駆動部は、前記試薬収容具が前記収容具出入口を通過するように前記載置台を移動させる、請求項4〜7のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項9】
試薬収容具から試薬を吸引する試薬吸引部と、
検体と、試薬とを用いて調製される分析用試料を分析する分析部と、
複数の前記試薬収容具を保持する収容具保持部と、
前記試薬収容具を載置するための載置台と、
前記収容具保持部の上方にある、前記試薬収容具の載置および取り出しのための第1位置と、前記第1位置の下方にある、前記試薬収容具の前記収容具保持部への保持のための第2位置とに前記載置台を移動させる駆動部とを備える、分析装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−96201(P2008−96201A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276537(P2006−276537)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】