説明

切替型光コネクタ箱

【課題】 サブグループ化光ファイバケーブル中のサブケーブルに内包された複数本の光ファイバコードを分岐接続またはスルー接続に容易に切り替えることができる切替型光コネクタ箱を提供する。
【解決手段】 複数本のサブケーブル5を内包したサブグループ化光ファイバケーブル4の通過口と光コネクタプラグ7Aを有する分岐用光ファイバコード7の導入口とを兼用する開口1Cを有し、サブケーブル5中の複数本の光ファイバコード6の切断部を収容する。各光ファイバコード6の切断端部にそれぞれ現場付け接続された複数の光コネクタプラグ10と、光コネクタプラグ10同士を接続可能な複数の光コネクタアダプタ11とが内蔵されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋内の光通信配線網に使用される光コネクタ箱に関し、詳しくは、サブグループ化光ファイバケーブル内のサブケーブルに内包された複数本の光ファイバコードを分岐接続またはスルー接続に容易に切り替えることができる切替型光コネクタ箱に関するものである。ここで、スルー接続とは、光コネクタ箱内に導入された光ファイバコードが分岐することなくそのまま光コネクタ箱の外へ導出される接続形態を意味する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ビルなどの屋内に光通信配線網を構築するには、図10に示すように、地階などに設置された光ファイバケーブル配線盤Aから引き出された例えば4本の光ファイバケーブルBが使用されている。この光ファイバケーブルBは、例えば12本の光ファイバコードを内包したものであり、各光ファイバケーブルBは、ビルを上下に貫通する情報通信配線スペースC内に挿通され、それぞれ各階のフロアに向けて敷設される。
【0003】前記4本の光ファイバケーブルBの端部は、前記情報通信配線スペースCから光通信配線網の構築を必要とする各階のフロアに引き出される。そして、光ファイバケーブルBの端部から露出された各光ファイバコード(図示省略)の端部は、融着接続部収納箱Dの中でそれぞれ片端光コネクタ付接続コードEに融着接続され、各接続コードEの先端の光コネクタプラグ(図示省略)は、コネクタ接続箱Fを介して各階のフロア側の光ファイバコードGにコネクタ接続される。
【0004】ところで、前述した光ファイバケーブルBを使用する従来の屋内の光通信配線網においては、光ファイバケーブル配線盤Aから光通信配線網の構築を必要とする各階のフロアに向けて光ファイバケーブルBを1本づつ情報通信配線スペースC内に敷設する必要がある。また、異なる階のフロア間に光通信配線網を構築するためには、異なる階の間の情報通信配線スペースC内に別途の光ファイバケーブルBを敷設して掛け渡す必要がある。いずれにしても、ビル内の光通信配線網の構築には、煩雑な施工が必要となる。
【0005】また、前述の光ファイバケーブルBを使用する従来の屋内の光通信配線網においては、光通信配線網の構築を必要とする各階のフロア毎に融着接続部収納箱Dおよびコネクタ接続箱Fを設置する必要があり、その設置スペースの無駄が指摘されている。
【0006】そこで、本件出願人は、ビルなどの屋内に光通信配線網を構築する際の施工が容易であり、しかも、光通信配線網の構築を必要とする各階のフロアに無駄なスペースを必要としない「光ファイバケーブル敷設構造」を特願平11−061036号として出願している。この光ファイバケーブル敷設構造においては、従来の4本の光ファイバケーブルBに代え、複数本の光ファイバコードを内包したサブケーブルが複数本内包されたサブグループ化光ファイバケーブルを使用している。そして、このサブグループ化光ファイバケーブル内の各光ファイバコードを、光通信配線網の構築を必要とする各階のフロア側の光ファイバコードに分岐型光コネクタ箱を介して分岐接続している。また、前記分岐型光コネクタ箱は、AC100V,AC200V等の電源をビル内の各階に供給するための電源供給ラインを収納するエレクトリック・パワー・シャフト(以後、EPSと略称する)内等に設置している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記の光ファイバケーブル敷設構造における分岐型光コネクタ箱は、サブグループ化光ファイバケーブル内の各光ファイバコードを地階の光ファイバケーブル配線盤から各階のフロア側の光ファイバコードに分岐接続するためのものであり、分岐接続のために切断されたサブグループ化光ファイバケーブル内の各光ファイバコードの上方部分はそのまま放置されており、有効に活用されていない。また、ビルの模様替えなどで光ファイバを延伸する場合には、ビルの地階等にある光ファイバケーブル配線盤を一旦経由した配線を行う必要がある。
【0008】このため、ビル内の模様替えなどにより、切断された各光ファイバコードの上方部分に対応する上階のフロアに新たな光通信配線網を追加して構築する際には、サブグループ化光ファイバケーブル中の余ったサブケーブル内の各光ファイバコードを利用し、切断箇所と光ファイバケーブル配線盤との間をパッチ接続する必要がある。サブグループ化光ファイバケーブルにこのような余剰のサブケーブルが無い場合には、切断箇所と光ファイバケーブル配線盤との間をパッチ接続する新たな光ファイバケーブルを敷設する必要があり、その施工には、多大な時間と費用が掛かるという問題がある。
【0009】本発明は、前記の分岐型光コネクタ箱における問題点を解消するためになされたものであり、サブグループ化光ファイバケーブル内のサブケーブルに内包された複数本の光ファイバコードを分岐接続またはスルー接続に容易に切り替えることができる切替型光コネクタ箱を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するため、本発明に係る切替型光コネクタ箱は、複数本のサブケーブルを内包したサブグループ化光ファイバケーブルの通過口と、光コネクタプラグを有する分岐用光ファイバコードの導入口とを有し、かつ、前記サブケーブルに内包された複数本の光ファイバコードの切断部を収容する光コネクタ箱であって、前記各光ファイバコードの切断端部に現場付け接続された光コネクタプラグと、前記光コネクタプラグ同士を接続する光コネクタアダプタとが内蔵されていることを特徴とする。
【0011】本発明の切替型光コネクタ箱では、サブケーブルに内包された光ファイバコードの切断端部の一方に現場付け接続された光コネクタプラグと、導入口から引込まれた分岐用光ファイバコードの光コネクタプラグとをそれぞれ光コネクタアダプタに差し込むことにより、サブケーブルに内包された光ファイバコードが分岐用光ファイバコードに分岐接続される。
【0012】また、光ファイバコードの切断端部の一方に現場付け接続された光コネクタプラグと、光ファイバコードの切断端部の他方に現場付け接続された光コネクタプラグとをそれぞれ光コネクタアダプタに差し込むことにより、切断された光ファイバコードが相互にスルー接続される。
【0013】本発明の切替型光コネクタ箱においては、前記光コネクタアダプタに接続コードを介して直列に接続される他の光コネクタアダプタが内蔵されていてもよい。この場合、光ファイバコードの切断端部の一方に現場付け接続された光コネクタプラグを一方の光コネクタアダプタに差し込み、導入口から引込まれた分岐用光ファイバコードの光コネクタプラグを他方の光コネクタアダプタに差し込み、各光コネクタアダプタ間を接続コードで接続することにより、サブケーブルに内包された光ファイバコードが接続コードを介して分岐用光ファイバコードに分岐接続される。
【0014】また、光ファイバコードの切断端部の一方に現場付け接続された光コネクタプラグを一方の光コネクタアダプタに差し込み、光ファイバコードの切断端部の他方に現場付け接続された光コネクタプラグを他方の光コネクタアダプタに差し込み、各光コネクタアダプタ間を接続コードで接続することにより、各光ファイバコードが接続コードを介して相互にスルー接続される。
【0015】さらに、一方の導入口から引込まれた分岐用光ファイバコードの光コネクタプラグを一方の光コネクタアダプタに差込み、他方の導入口から引込まれた分岐用光ファイバコードの光コネクタプラグを他方の光コネクタアダプタに差込み、各光コネクタアダプタ間を接続コードで接続することにより、一方の分岐用光ファイバコードと他方の分岐用光ファイバコードとが接続コードを介して相互にスルー接続される。
【0016】本発明の切替型光コネクタ箱において、前記光コネクタアダプタを着脱自在に固定する光コネクタホルダが内蔵されていると、各光コネクタアダプタを整列して配置できるので好ましい。また、この光コネクタホルダが面ファスナを介して切替型光コネクタ箱の内面に固定されていると、その固定位置を容易に変更できるので好ましい。さらに、前記サブグループ化光ファイバケーブルから露出する各サブケーブルおよび前記サブケーブルから露出する各光ファイバコードが面ファスナを介して切替型光コネクタ箱の内面に固定されていると、各サブケーブルおよび各光ファイバコードの固定位置を容易に変更できるので好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係る切替型光コネクタ箱の実施の形態を説明する。参照する図面において、図1は第1実施形態の切替型光コネクタ箱が使用される光ファイバケーブル敷設構造の概念図、図2は第1実施形態の切替型光コネクタ箱を通過するサブグループ化光ファイバケーブルの構造を示す断面図、図3は第1実施形態の切替型光コネクタ箱の内部構造および光ファイバコードの分岐接続の状況を示す斜視図、図4は第1実施形態の切替型光コネクタ箱に内蔵される光コネクタの斜視図、図5は第1実施形態の切替型光コネクタ箱に内蔵される光コネクタプラグの現場付け接続処理を示す側面図である。
【0018】図1に示すように、第1実施形態の切替型光コネクタ箱1は、例えばビルの地階に配置された配線盤2からEPS(エレクトリック・パワー・シャフト)3を通してビルの所定階まで敷設されるサブグループ化光ファイバケーブル4の所定箇所、すなわち、各階(1F,2F,3F…nF)のフロアからEPS3の開口を通して作業可能な箇所にそれぞれ配設される。
【0019】前記サブグループ化光ファイバケーブル4は、外径が例えば16.5mmであり、図2に示すように、中心部に合成樹脂製の抗張力ワイヤ4Aが配置され、その周囲に配置された例えば4本のサブケーブル5がパラ系アラミド繊維を含む抗張力充填材4Bなどで埋められ、この抗張力充填材4Bの外周が合成樹脂製の3次外皮4Cで被覆された断面構造を有する。また、前記サブケーブル5は、例えば12本の光ファイバコード6がパラ系アラミド繊維などの抗張力繊維5Aに覆われ、その外周が合成樹脂製の2次外皮5Bで被覆された断面構造を有する。そして、各光ファイバコード6は、中心部に配置された1本の光ファイバ素線6Aが合成樹脂製の被覆材6Bおよびその外周の1次外皮6Cで被覆された断面構造を有する。
【0020】第1実施形態の切替型光コネクタ箱1は、厚さが30mm程度であって、幅が70mm前後、長さが700〜1300mm程度に設定されている。この切替型光コネクタ箱1は、図3に示すように、前記サブグループ化光ファイバケーブル4の抗張力充填材4Bおよび3次外皮4Cが剥ぎ取られた部分、すなわち、サブケーブル5および光ファイバコード6が露出する部分を収容する合成樹脂製の上部カバー1Aと下部カバー1Bとで構成されている。上部カバー1Aは長手方向に沿う両側の側壁が切り欠かれた形状を呈し、下部カバー1Bは長手方向の両端部の側壁が切り欠かれた形状を呈している。そして、上部カバー1Aと下部カバー1Bとは図示しない適宜の係止手段によって開閉自在に構成されている。
【0021】前記切替型光コネクタ箱1には、前記サブグループ化光ファイバケーブル4を長手方向に沿って通過させる通過口およびビルの各階のフロアに敷設された分岐用光ファイバコード7の導入口を兼用する開口1C,1Cが上部カバー1Aの長手方向両端部の側壁1D,1Dに形成されている。この開口1C,1Cは、図示の例では前記側壁1D,1Dの略全面に渡る四角の切欠きとして形成されているが、形状、大きさ、配置などは、サブグループ化光ファイバケーブル4を通過させ、分岐用光ファイバコード7を導入する機能を損なわない限り、適宜変更することができる。
【0022】前記開口1C,1C付近に臨む下部カバー1Bの両端部の内底面には、合成樹脂製の結束バンド8,8が両端部を自由にした状態で固定されている。そして、この結束バンド8,8により、サブグループ化光ファイバケーブル4の3次外皮4Cが剥ぎ取られていない部分の端部が下部カバー1Bの内底面に着脱自在に固定されている。
【0023】また、サブグループ化光ファイバケーブル4の3次外皮4Cが剥ぎ取られた部分に露出するサブケーブル5と、1本のサブケーブル5の2次外皮5Bが剥ぎ取られた部分に露出する各光ファイバコード6とを下部カバー1Bの内底面に着脱自在に固定するため、下部カバー1Bの内底面には、雌型面ファスナ9Aと、これに着脱自在に係止される帯状の雄型面ファスナ9Bとが付設されている。
【0024】前記雌型面ファスナ9Aは、下部カバー1Bの内底面の略全域に接着されている。一方、雄型面ファスナ9Bは、下部カバー1Bの幅寸法に対応した長さの帯状を呈し、その一端部が下部カバー1Bの片側の側壁1E近傍の内底面に接着されている。なお、図示の例では、3本の帯状の雄型面ファスナ9Bが下部カバー1Bの長手方向に所定間隔を開けて配置されているが、その本数は適宜増減することができる。また、下部カバー1Bに接着されていない短い帯状の雄型面ファスナ9Cを補助的に使用してもよい。
【0025】前記サブグループ化光ファイバケーブル4の3次外皮4Cが剥ぎ取られた部分に露出する4本のサブケーブル5のうち1本は、切替型光コネクタ箱1の長手方向の中央部で切断され、その切断端部は、後述の光コネクタプラグ10を接続するために適当な長さ切り落とされている。そして、切断されたサブケーブル5の2次外皮5Bが剥ぎ取られた部分に露出する12本の光ファイバコード6(図3では4本のみを図示し、他の8本は図示を省略している。)の切断端部には、図4に示すように、それぞれ光コネクタプラグ10が現場付け接続されている。
【0026】光コネクタプラグ10の現場付け接続は、図5に示すように、光コネクタプラグ10内のフェルール10Aに光ファイバコード6の切断端部を挿通し、その切断端部の1次外皮6Cを剥いて露出させた光ファイバ素線6Aの端部を、予めフェルール10Aに仕込まれた光ファイバ素線10Bの基端部に現場で融着処理することにより行われる。この光ファイバ素線10Bの先端面10Cは、コネクタ接続可能なように予め研磨されている。なお、前記光コネクタプラグ10およびその融着処理に使用する融着機は、シーメンス株式会社から製品名フューズライト・コネクタおよびフューズライト融着機として市販されている(「FuseLite」はシーメンス株式会社の登録商標である)。
【0027】図4に示すように、光ファイバコード6の一方の切断端部に接続された光コネクタプラグ10と、分岐用光ファイバコード7の端部に予め装着された光コネクタプラグ7Aまたは光ファイバコード6の他方の切断端部に接続された光コネクタプラグ10とを接続するため、切替型光コネクタ箱1内には、複数の光コネクタアダプタ11が内蔵されている。また、これらの光コネクタアダプタ11を2個づつ着脱自在に装着する複数の光コネクタホルダ12が切替型光コネクタ箱1に内蔵されている。この光コネクタホルダ12は、上面が開口した断面コの字状に形成され、その下面には、下部カバー1B側の雌型面ファスナ9Aに着脱自在に係止される雄型面ファスナ9Dが接着されている。
【0028】次に、以上のように構成された第1実施形態の切替型光コネクタ箱1の使用例を説明する。この切替型光コネクタ箱1を使用してサブグループ化光ファイバケーブル4内の切断されたサブケーブル5から露出する各光ファイバコード6をビルの各階のフロアに敷設された分岐用光ファイバコード7に分岐接続するには、まず、図3に示すように、各光ファイバコード6の切断端部の一方、すなわち、ビルの地階に配置された配線盤2側に光接続されている一方の切断端部に予め現場付け接続された各光コネクタプラグ10を光コネクタアダプタ11の一方の側に差し込む。また、前記分岐用光ファイバコード7の光コネクタプラグ7Aを有する端部を切替型光コネクタ箱1の下部カバー1B上に引き込み、その光コネクタプラグ7Aを光コネクタアダプタ11の他方の側に差し込む。この接続作業により、配線盤2側に光接続されている各光ファイバコード6は、光コネクタプラグ10,光コネクタアダプタ11,光コネクタプラグ7Aからなる光コネクタを介して各階のフロアに敷設された各分岐用光ファイバコード7に分岐接続される。
【0029】次に、各光コネクタアダプタ11を装着した各光コネクタホルダ12を切替型光コネクタ箱1の下部カバー1Bの内底面に固定する。すなわち、各光コネクタホルダ12の下面に接着された雄型面ファスナ9Dを下部カバー1Bの内底面に接着された雌型面ファスナ9Aに押し付けて固定する。この場合、各光コネクタホルダ12は、下部カバー1Bの内底面に対して着脱自在であるから、光ファイバコード6および分岐用光ファイバコード7の引き回しに無理の無い個所を選択して固定することができる。
【0030】続いて、3本の帯状の雄型面ファスナ9Bを使用して各光ファイバコード6および各分岐用光ファイバコード7を下部カバー1Bの雌型面ファスナ9Aとの間に挟持する。その際、短い帯状の雄型面ファスナ9Cを補助的に使用して、光コネクタプラグ10近傍の各光ファイバコード6および光コネクタプラグ7A近傍の各分岐用光ファイバコード7を下部カバー1Bの雌型面ファスナ9Aとの間に挟持するのが好ましい。
【0031】その後、下部カバー1Bに上部カバー1Aを被せて切替型光コネクタ箱1を閉じた状態とすることにより、光ファイバコード6と分岐用光ファイバコード7との分岐接続の作業が完了する。
【0032】図6は、第1実施形態の切替型光コネクタ箱1を使用して、前記サブケーブル5から露出する各光ファイバコード6を、ビルの各階のフロアに敷設された2系統の分岐用光ファイバコード7に分岐接続する使用例を示している。この使用例では、複数の光コネクタアダプタ11を2つのグループに分け、一方のグループの各光コネクタアダプタ11は、図3と同様に、配線盤2につながる切断された一方の各光ファイバコード6側の各光コネクタプラグ10と、上方の階のフロアに敷設された第1系統の各分岐用光ファイバコード7側の各光コネクタプラグ7Aとを光接続している。また、他方のグループの各光コネクタアダプタ11は、下方階のフロアに敷設された第2系統の各分岐用光ファイバコード7側の各光コネクタプラグ7Aと、切断された他方の各光ファイバコード6側の各光コネクタプラグ10とを光接続している。
【0033】図6に示す第1実施形態の切替型光コネクタ箱1の使用例では、各階のフロアに敷設された2系統の各分岐用光ファイバコード7のうち、第1系統の各分岐用光ファイバコード7は、切断された一方の各光ファイバコード6を介して配線盤2側へ光接続され、第2系統の各分岐用光ファイバコード7は、切断された他方の各光ファイバコード6を介して上方の階のフロア側へ光接続される。従って、上方の階に対応して設置された他の切替型光コネクタ箱1により、他方の各光ファイバコード6を上方の階のフロアに敷設された各分岐用光ファイバコード7に分岐接続すれば、異なる階のフロア間に光通信配線網を簡単に構成することができる。
【0034】図7は、第1実施形態の切替型光コネクタ箱1を使用して前記サブケーブル5から露出する各光ファイバコード6の切断端部を相互にスルー接続する使用例を示している。この使用例では、切断された一方の各光ファイバコード6側の各光コネクタプラグ10と、他方の各光ファイバコード6側の各光コネクタプラグ10とを各光コネクタアダプタ11を介して相互に光接続している。
【0035】図7に示す第1実施形態の切替型光コネクタ箱1の使用例では、切断された一方の各光ファイバコード6と他方の各光ファイバコード6とが相互にスルー接続されるため、上方階または下方階のフロアへの光通信配線網の構築および再構築を極めて簡単に行うことができる。
【0036】図8は、本発明の第2実施形態に係る切替型光コネクタ箱20の内部構造を示している。この第2実施形態の切替型光コネクタ箱20は、第1実施形態の切替型光コネクタ箱1と略同様に構成されているため、同様の構成部分については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0037】第2実施形態の切替型光コネクタ箱20には、前記複数の光コネクタアダプタ11に複数のパッチコード(接続コード)21を介して接続される他の複数の光コネクタアダプタ22が内蔵されている。前記パッチコード21は、前記光コネクタプラグ7A,10と同様の光コネクタプラグが予め両端部に装着された比較的短い光接続用のコードである。また、各光コネクタアダプタ22は前記光コネクタアダプタ11と同様に構成されており、前記光コネクタホルダ12に着脱自在に固定される。
【0038】第2実施形態の切替型光コネクタ箱20によれば、図8に示すように、切断された一方の各光ファイバコード6側の各光コネクタプラグ10を一方の光コネクタアダプタ11に差し込み、開口1Cから引込まれた各分岐用光ファイバコード7側の各光コネクタプラグ7Aを他方の光コネクタアダプタ22に差し込み、さらに、パッチコード21の両端の各光コネクタプラグを各光コネクタアダプタ11,12に差し込むことにより、配線盤2側に光接続されている各光ファイバコード6を各階のフロアに敷設された各分岐用光ファイバコード7に各パッチコード21を介して分岐接続することができる。
【0039】図9は、第2実施形態の切替型光コネクタ箱20を使用して前記サブケーブル5から露出する各光ファイバコード6の切断端部を相互にスルー接続する使用例を示している。この使用例では、切断された一方の各光ファイバコード6側の各光コネクタプラグ10を一方の光コネクタアダプタ11に差し込み、他方の各光ファイバコード6側の各光コネクタプラグ10を他方の光コネクタアダプタ22に差し込み、さらに、パッチコード21の両端の各光コネクタプラグを各光コネクタアダプタ11,12に差し込むことにより、切断された一方の各光ファイバコード6側の各光コネクタプラグ10と、他方の各光ファイバコード6側の各光コネクタプラグ10とを各パッチコード21を介して相互に光接続している。
【0040】図9に示す第2実施形態の切替型光コネクタ箱20の使用例では、切断された一方の各光ファイバコード6と他方の各光ファイバコード6とが相互にスルー接続されるため、上方階または下方階のフロアへの光通信配線網の構築および再構築を極めて簡単に行うことができる。
【0041】なお、図示省略したが、第2実施形態の切替型光コネクタ箱20によれば、一方の開口1Cから引込まれた各分岐用光ファイバコード7の各光コネクタプラグ7Aを一方の光コネクタアダプタ11に差込み、他方の開口1Cから引込まれた各分岐用光ファイバコード7の各光コネクタプラグ7Aを他方の光コネクタアダプタ22に差込み、さらに、パッチコード21の両端の各光コネクタプラグを各光コネクタアダプタ11,12に差し込むことにより、一方の各分岐用光ファイバコード7と他方の各分岐用光ファイバコード7とを各パッチコード21を介して相互にスルー接続することができる。
【0042】また、上述した第1および第2の各実施形態では、本発明による切替型光コネクタ箱1および20を、建物の複数階の間にわったて設けられたEPS3といったケーブルスペースに収容した場合について説明した。しかし、本発明による切替型光コネクタ箱1および20は、このようなケーブルスペースに収容されるとは限らず、例えば、建物のある階のフロアのフリーアクセス内または天井ラック上に放射状に予め敷設されたサブグループ化光ファイバケーブルの任意の箇所に設けられることもある。
【0043】切替型光コネクタ箱1および20をこのようにフロアのフリーアクセス内または天井ラック上で使用する構成にすると、フロアの模様替えなどにおいて、放射状に敷設されたサブグループ化光ファイバケーブルから取る光入出力の取り出し口は、切替型光コネクタ箱1および20のサブグループ化光ファイバケーブルへの設置工事をケーブルの敷設当初または敷設後に行うだけで、上述したスルー接続か分岐接続かの切り替えによって任意の場所に変えられる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る切替型光コネクタ箱では、サブケーブルに内包された光ファイバコードの切断端部の一方に現場付け接続された光コネクタプラグと、導入口から引込まれた分岐用光ファイバコードの光コネクタプラグとをそれぞれ光コネクタアダプタに差し込むことにより、サブケーブルに内包された光ファイバコードが分岐用光ファイバコードに分岐接続される。また、光ファイバコードの切断端部の一方に現場付け接続された光コネクタプラグと、光ファイバコードの切断端部の他方に現場付け接続された光コネクタプラグとをそれぞれ光コネクタアダプタに差し込むことにより、切断された光ファイバコードが相互にスルー接続される。
【0045】また、本発明の切替型光コネクタ箱において、前記光コネクタアダプタに接続コードを介して直列に接続される他の光コネクタアダプタが内蔵されている場合、光ファイバコードの切断端部の一方に現場付け接続された光コネクタプラグを一方の光コネクタアダプタに差し込み、導入口から引込まれた分岐用光ファイバコードの光コネクタプラグを他方の光コネクタアダプタに差し込み、各光コネクタアダプタ間を接続コードで接続することにより、サブケーブルに内包された光ファイバコードが接続コードを介して分岐用光ファイバコードに分岐接続される。また、光ファイバコードの切断端部の一方に現場付け接続された光コネクタプラグを一方の光コネクタアダプタに差し込み、光ファイバコードの切断端部の他方に現場付け接続された光コネクタプラグを他方の光コネクタアダプタに差し込み、各光コネクタアダプタ間を接続コードで接続することにより、各光ファイバコードが接続コードを介して相互にスルー接続される。さらに、一方の導入口から引込まれた分岐用光ファイバコードの光コネクタプラグを一方の光コネクタアダプタに差込み、他方の導入口から引込まれた分岐用光ファイバコードの光コネクタプラグを他方の光コネクタアダプタに差込み、各光コネクタアダプタ間を接続コードで接続することにより、一方の分岐用光ファイバコードと他方の分岐用光ファイバコードとが接続コードを介して相互にスルー接続される。
【0046】本発明の切替型光コネクタ箱において、前記光コネクタアダプタを着脱自在に固定する光コネクタホルダが内蔵されていると、各光コネクタアダプタを整列して配置できるので好ましい。また、この光コネクタホルダが面ファスナを介して切替型光コネクタ箱の内面に固定されていると、その固定位置を容易に変更できるので好ましい。さらに、前記サブグループ化光ファイバケーブルから露出する各サブケーブルおよび前記サブケーブルから露出する各光ファイバコードが面ファスナを介して切替型光コネクタ箱の内面に固定されていると、各サブケーブルおよび各光ファイバコードの固定位置を容易に変更できるので好ましい。
【0047】従って、本発明の切替型光コネクタ箱によれば、サブグループ化光ファイバケーブル内のサブケーブルに内包された複数本の光ファイバコードを分岐接続またはスルー接続に容易に切り替えることができる。その結果、本発明の切替型光コネクタ箱をビルの各階のフロアに対応してEPSといったケーブルスペース内の複数箇所に設置すれば、各階のフロアへの光通信配線網の構築および再構築、並びに、各階のフロア間の光通信配線網の構築および再構築を極めて簡単に行うことができる。また、従来では各階のフロアに必要であった設置スペースの無駄を解消することができる。
【0048】また、本発明の切替型光コネクタ箱を同一階のフロアのフリーアクセス内や天井ラック上の複数箇所に設置すれば、分岐用光ファイバコードが接続される各機器の配置がフロアの模様替え等によって変更された場合にも、これに容易に対応して各機器に接続される分岐用光ファイバコードを確実にサブグループ化光ファイバケーブル内の光ファイバコードに接続することができる。
【0049】さらに、サブグループ化光ファイバケーブルをフロアの各所を通るように放射状に敷設すれば、本発明の切替型光コネクタ箱を適所に設置するだけで、フロアの所望の箇所に分岐用光ファイバコードを延出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態および第2実施形態の切替型光コネクタ箱が使用される光ファイバケーブル敷設構造の概念図である。
【図2】第1実施形態および第2実施形態の切替型光コネクタ箱を通過するサブグループ化光ファイバケーブルの構造を示す断面図である。
【図3】第1実施形態の切替型光コネクタ箱の内部構造および光ファイバコードの分岐接続の状況を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態の切替型光コネクタ箱に内蔵される光コネクタの斜視図である。
【図5】第1実施形態および第2実施形態の切替型光コネクタ箱に内蔵される光コネクタプラグの現場付け接続処理を示す側面図である。
【図6】第1実施形態の切替型光コネクタ箱の内部構造および光ファイバコードの他の分岐接続の状況を示す斜視図である。
【図7】第1実施形態の切替型光コネクタ箱の内部構造および光ファイバコードのスルー接続の状況を示す斜視図である。
【図8】第2実施形態の切替型光コネクタ箱の内部構造および光ファイバコードの分岐接続の状況を示す斜視図である。
【図9】第2実施形態の切替型光コネクタ箱の内部構造および光ファイバコードのスルー接続の状況を示す斜視図である。
【図10】従来の光ファイバケーブル敷設構造の概念図である。
【符号の説明】
1,20…切替型光コネクタ箱
1A…上部カバー
1B…下部カバー
1C…開口
4…サブグループ化光ファイバケーブル
5…サブケーブル
6…光ファイバコード
6A…光ファイバ素子
7…分岐用光ファイバコード
7A,10…光コネクタプラグ
9A…雌型面ファスナ
9B,9C,9D…雄型面ファスナ
11,22…光コネクタアダプタ
12…光コネクタホルダ
21…パッチコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数本のサブケーブルを内包したサブグループ化光ファイバケーブルの通過口と、光コネクタプラグを有する分岐用光ファイバコードの導入口とを有し、かつ、前記サブケーブルに内包された複数本の光ファイバコードの切断部を収容する光コネクタ箱であって、前記各光ファイバコードの切断端部に現場付け接続された光コネクタプラグと、前記光コネクタプラグ同士を接続する光コネクタアダプタとが内蔵されていることを特徴とする切替型光コネクタ箱。
【請求項2】 前記光コネクタアダプタに接続コードを介して直列に接続される他の光コネクタアダプタがさらに内蔵されていることを特徴とする請求項1に記載の切替型光コネクタ箱。
【請求項3】 前記光コネクタアダプタを着脱自在に固定する光コネクタホルダがさらに内蔵されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切替型光コネクタ箱。
【請求項4】 前記光コネクタホルダが面ファスナを介して切替型光コネクタ箱の内面に固定されていることを特徴とする請求項3に記載の切替型光コネクタ箱。
【請求項5】 前記サブグループ化光ファイバケーブルから露出する各サブケーブルおよび前記サブケーブルから露出する各光ファイバコードが面ファスナを介して切替型光コネクタ箱の内面に固定されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の切替型光コネクタ箱。
【請求項6】 前記切替型光コネクタ箱は、建物の複数階の間にわったて設けられたケーブルスペースに収容されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の切替型光コネクタ箱。
【請求項7】 前記切替型光コネクタ箱は、建物のある階のフロアのフリーアクセス内または天井ラック上に放射状に敷設されたサブグループ化光ファイバケーブルの任意の箇所に設けられることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の切替型光コネクタ箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図10】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2001−201651(P2001−201651A)
【公開日】平成13年7月27日(2001.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−8545(P2000−8545)
【出願日】平成12年1月18日(2000.1.18)
【出願人】(000205661)大崎電気工業株式会社 (61)
【Fターム(参考)】