説明

列車運行管理システム

【課題】連動装置で障害が発生したときに、進路制御装置や連動装置とは別に監視装置を用いずとも、進路制御装置が連動装置の送信する誤った情報を利用しない、高信頼多重化制御列車運行管理システムを提供する。
【解決手段】高信頼多重化制御列車運行管理システムは、制御対象40の制御を行う複数の連動装置20,21,22と、これらの連動装置に制御の指示を行う進路制御装置10とが送受信可能にネットワーク50により接続されている構成において、連動装置20,21,22のそれぞれは、自身の連動装置が認識する当該自身の連動装置の状態と自身以外の連動装置の状態との統合した連動装置状態情報を進路制御装置10に送信し、進路制御装置10は、複数の連動装置20,21,22のうちの連動装置20または21または22が送信する情報をもとに連動装置の状態判断を行い、情報の取捨選択をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車運行管理システムにおける複数の計算機を組み合わせた多重化制御システムに係り、特に、多重化された連動装置が障害を起こした際に列車運行管理システム全体として異常な挙動を起こさないように設計される、高信頼多重化制御列車運行管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
制御システムにおいて、列車の運行管理や電力系統制御・プラント制御などの高信頼が要求される用途では、制御出力を行う制御装置は稼働率と出力の信頼度を向上させるために多重化構成が採用される。多重化された制御装置を有する多重化制御システムでは、制御装置の異常を検知して装置構成を制御する構成制御処理を正しく行うことが求められている。
【0003】
このような多重化制御システムの技術として、例えば、特開平6−180690号公報(特許文献1)に記載された技術がある。この特許文献1の技術は、多重系構成の計算機群において、その計算機群から共通にアクセス可能な共有記憶装置を設け、この共有記憶装置に周期的に自計算機の時刻印情報を書き込むとともに、他計算機の時刻印情報をチェックして、計算機の異常を検知するようにしたものである。
【0004】
また、多重系構成の制御装置の構成制御の技術として、例えば、特開2001−167062号公報(特許文献2)に記載された技術がある。この特許文献2の技術では、多重系構成の計算機群において、計算機群とは別にシステム監視装置を設け、各計算機からシステム監視装置に周期的に運転情報を送信し、システム監視装置では計算機から運転情報を一定周期内に受信しないときに異常を検知するようにしたものである。
【0005】
また、多重化システムの保守支援装置の技術として、例えば、特開平1−276301号公報(特許文献3)に記載された技術がある。この特許文献3の技術では、各計算機システムからのロギング情報などの実績情報を共通の記憶手段に記憶し、システムの故障の徴候の有無を調べ、故障システムではなく健全なシステムに切り替えるようにしてシステム全体が故障に至らないようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−180690号公報
【特許文献2】特開2001−167062号公報
【特許文献3】特開平1−276301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述した特許文献1〜3では、それぞれ各計算機の情報を計算機相互もしくは計算機外部の監視装置で監視することで異常を検知する技術である。しかし、異常を検知して構成制御を行うシステムにおいて、装置の障害に対して100%正しい構成制御を行うことは難しい。よって、システム全体として異常な挙動を防ぐために、障害発生時の異常の伝播を抑えることが必要である。
【0008】
そこで、本発明は、このような課題である、列車運行管理システムにおいて障害発生時の異常の伝播を抑えるために成されたものであり、その代表的な目的は、連動装置で障害が発生したときに、進路制御装置や連動装置とは別に監視装置を用いずとも、進路制御装置が連動装置の送信する誤った情報を利用しない、高信頼多重化制御列車運行管理システムを提供することである。
【0009】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0011】
すなわち、代表的なものの概要は、制御対象の制御を行う多重化された複数の連動装置と、前記複数の連動装置に制御の指示を行う進路制御装置とを有し、前記複数の連動装置と前記進路制御装置とが送受信可能にネットワークにより接続されている高信頼多重化制御列車運行管理システムに適用される。この高信頼多重化制御列車運行管理システムにおいて、前記複数の連動装置のそれぞれは、自身の連動装置が認識する当該自身の連動装置の状態と自身以外の連動装置の状態との情報を前記進路制御装置に送信する。そして、前記進路制御装置は、前記複数の連動装置のうちの第1の連動装置が送信する情報をもとに前記複数の連動装置の状態判断を行い、前記複数の連動装置からの誤った情報を利用しないように情報の取捨選択をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0013】
すなわち、代表的なものによって得られる効果は、連動装置で障害が発生したときに、進路制御装置や連動装置とは別に監視装置を用いずとも、進路制御装置が連動装置の送信する誤った情報を利用しない、高信頼多重化制御列車運行管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る高信頼多重化制御列車運行管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明の一実施の形態に係る高信頼多重化制御列車運行管理システムの連動装置が生成する連動装置状態情報の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る高信頼多重化制御列車運行管理システムの情報共有モジュールが蓄積する統合した連動装置状態情報の一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る高信頼多重化制御列車運行管理システムの進路制御装置が連動装置状態情報を利用し、連動装置の状態を判断するフローの一例を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る高信頼多重化制御列車運行管理システムにおいて、進路制御装置が連動装置から取得する情報を正常として利用するシーケンスの一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る高信頼多重化制御列車運行管理システムにおいて、進路制御装置が連動装置から取得する情報を異常として利用しないシーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数の実施の形態またはセクションに分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0016】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0017】
[本発明の実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る高信頼多重化制御列車運行管理システム(一例として、()内に対応する構成要素、符号などを付記)は、制御対象(40)の制御を行う多重化された複数の連動装置(20,21,22)と、前記複数の連動装置に制御の指示を行う進路制御装置(10)とを有し、前記複数の連動装置と前記進路制御装置とが送受信可能にネットワーク(50)により接続されている高信頼多重化制御列車運行管理システムに適用される。この高信頼多重化制御列車運行管理システムにおいて、前記複数の連動装置のそれぞれは、自身の連動装置が認識する当該自身の連動装置の状態と自身以外の連動装置の状態との情報(連動装置状態情報200,210,220)を前記進路制御装置に送信する。そして、前記進路制御装置は、前記複数の連動装置のうちの第1の連動装置が送信する情報をもとに前記複数の連動装置の状態判断を行い、前記複数の連動装置からの誤った情報を利用しないように情報の取捨選択をすることを特徴とする。
【0018】
さらに好適には、前記複数の連動装置のそれぞれ自身の連動装置が認識する当該自身の連動装置の状態と自身以外の連動装置の状態との情報を含む、前記複数の連動装置がそれぞれ認識する前記複数の連動装置の状態の情報(統合した連動装置状態情報300)を蓄積する情報共有モジュール(30)をさらに有する。そして、前記複数の連動装置のそれぞれは、前記情報共有モジュールから、前記複数の連動装置がそれぞれ認識する前記複数の連動装置の状態の情報を取得して、前記進路制御装置に送信する。そして、前記進路制御装置は、前記第1の連動装置が送信する情報に含まれる、前記複数の連動装置がそれぞれ認識する前記複数の連動装置の状態の情報を用いて前記複数の連動装置の状態判断を行い、前記複数の連動装置からの誤った情報を利用しないように情報の取捨選択をすることを特徴とする。
【0019】
さらに好適には、前記進路制御装置は、前記第1の連動装置が送信する情報に含まれる、前記複数の連動装置がそれぞれ認識する前記複数の連動装置の状態の情報が、前記第1の連動装置以外の連動装置と異なる時には、前記第1の連動装置からの情報を利用しないことを特徴とする。
【0020】
さらに好適には、前記第1の連動装置は、1台(20または21または22)であることを特徴とする。
【0021】
上述した本発明の実施の形態の概要に基づいた本発明の一実施の形態を、以下において図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
[本発明の一実施の形態]
本実施の形態では、高信頼多重化制御列車運行管理システムにおける連動装置を3台として説明するものとする。本実施の形態に係る高信頼多重化制御列車運行管理システムは、多重化(1系の連動装置、2系の連動装置、3系の連動装置)された連動装置が障害を起こした際に列車運行管理システム全体として異常な挙動を起こさないように設計されるものである。
【0023】
<高信頼多重化制御列車運行管理システムの構成>
図1〜図3を用いて、本実施の形態に係る高信頼多重化制御列車運行管理システムの構成について説明する。図1は、高信頼多重化制御列車運行管理システムのシステム構成の一例を示す図である。図2(a)〜(c)は、高信頼多重化制御列車運行管理システムの連動装置が生成する連動装置状態情報の一例を示す図である。図3は、高信頼多重化制御列車運行管理システムの情報共有モジュールが蓄積する統合した連動装置状態情報の一例を示す図である。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態の高信頼多重化制御列車運行管理システムは、進路制御装置10、複数台の連動装置20〜22、情報共有モジュール30、制御対象40から構成される。この高信頼多重化制御列車運行管理システムにおいて、進路制御装置10と複数台の連動装置20〜22のすべてがネットワーク50により接続されている。また、連動装置20〜22には情報共有モジュール30が接続されている。
【0025】
複数台の連動装置20〜22は、すべてが制御対象40と接続され、制御対象40の制御を行う装置である。これらの連動装置20〜22は、例えば計算機からなり、CPUなどを含む演算処理制御部、メモリなどを含む記憶部、キーボードやディスプレイなどを含む入出力部、イーサネット(登録商標)などのネットワークと接続するためのインタフェース部などから構成されている。
【0026】
進路制御装置10は、連動装置20〜22から得られる情報をもとに、ネットワーク50を介して連動装置20〜22へ制御の指示を行う装置である。この進路制御装置10は、例えば連動装置20〜22と比較して大型の計算機からなり、CPUなどを含む演算処理制御部、メモリなどを含む記憶部、キーボードやディスプレイなどを含む入出力部、イーサネット(登録商標)などのネットワークと接続するためのインタフェース部などから構成されている。
【0027】
連動装置20〜22は、それぞれ他の連動装置の状態情報を保持する。例えば、図2(a)に示すように、連動装置20は、連動装置20の装置状態のみならず、連動装置21および22の状態を保持する。すなわち、1系(連動装置20)の連動装置状態情報200として、1系の認識する1系の状態情報201、1系の認識する2系(連動装置21)の状態情報202、1系の認識する3系(連動装置22)の状態情報203を保持する。
【0028】
同様に、図2(b)に示すように、連動装置21は、2系の連動装置状態情報210として、2系の認識する1系の状態情報211、2系の認識する2系の状態情報212、2系の認識する3系の状態情報213を保持する。図2(c)に示すように、連動装置22は、3系の連動装置状態情報220として、3系の認識する1系の状態情報221、3系の認識する2系の状態情報222、3系の認識する3系の状態情報223を保持する。
【0029】
情報共有モジュール30は、連動装置20〜22の出力と制御対象40の情報を蓄積する。例えば、図3に示すように、情報共有モジュール30は、統合した連動装置状態情報300として、1系の認識する1系の状態情報201、1系の認識する2系の状態情報202、1系の認識する3系の状態情報203、2系の認識する1系の状態情報211、2系の認識する2系の状態情報212、2系の認識する3系の状態情報213、3系の認識する1系の状態情報221、3系の認識する2系の状態情報222、3系の認識する3系の状態情報223を蓄積する。
【0030】
連動装置20〜22のそれぞれは、この情報共有モジュール30から、図3に示すような、自装置以外も含めた連動装置20〜22の保持する情報を取得することができる。そして、連動装置20〜22のそれぞれは、この図3に示すような情報を進路制御装置10に送信することができる。
【0031】
以上のように構成される高信頼多重化制御列車運行管理システムにおいて、連動装置20〜22が制御する制御対象40には、例えば、列車の進入許可/進入禁止/停止などを知らせる信号灯、列車の進入線路を切り替える転てつ機、列車の接近を知らせる警報機などがある。これらの制御対象40である信号灯、転てつ機、警報機などの状態情報としては、それぞれの状態を制御するための制御情報や、それぞれの状態を表示するための表示情報などがある。
【0032】
<高信頼多重化制御列車運行管理システムの動作>
図4〜図6を用いて、本実施の形態に係る高信頼多重化制御列車運行管理システムの動作について説明する。図4は、高信頼多重化制御列車運行管理システムの進路制御装置が連動装置状態情報を利用し、連動装置の状態を判断するフローの一例を示す図である。図5は、進路制御装置が連動装置から取得する情報を正常として利用するシーケンスの一例を示す図である。図6は、進路制御装置が連動装置から取得する情報を異常として利用しないシーケンスの一例を示す図である。ここでは、連動装置20〜22のうち、連動装置20を主にして説明するが、連動装置21および22においても同様である。
【0033】
以下において、本実施の形態に係る高信頼多重化制御列車運行管理システムにおける処理の流れを説明する。
【0034】
(1)連動装置20〜22は、それぞれすべてが制御対象40から取得した状態の情報(図2)を情報共有モジュール30に送信する(ステップS1)。これにより、情報共有モジュール30には、状態情報が統合(図3)されて蓄積される(ステップS2)。
【0035】
(2)連動装置20〜22は、それぞれすべてが情報共有モジュール30から、統合されて蓄積された連動装置20〜22が認識する連動装置20〜22の状態の情報を取得する(ステップS3)。例えば、図5および図6では、連動装置20の例を示している。
【0036】
(3)連動装置20〜22は、情報共有モジュール30から取得した、統合されて蓄積された連動装置20〜22が認識する連動装置20〜22の状態の情報を、ネットワーク50を介して進路制御装置10に送信する(ステップS4)。例えば、図5および図6では、連動装置20の例を示している。
【0037】
(4)進路制御装置10は、連動装置20〜22からネットワーク50を介して送信される情報を受信する(ステップS5)。例えば、図5および図6に示すように、連動装置20から送信される情報を取得する場合、図4に示すように、連動装置20の保持する1系の連動装置状態情報200(201〜203)、連動装置21の保持する2系の連動装置状態情報210(211〜213)、連動装置22の保持する3系の連動装置状態情報220(221〜223)を受信する。
【0038】
(5)進路制御装置10は、連動装置20〜22から受信した連動装置状態情報200,210,220から連動装置20の状態を判断し、取得する情報の取捨選択を行う(ステップS6)。例えば、図5および図6に示すように、連動装置20から送信される情報を取得したときに、図4に示すように、連動装置20の保持する1系の連動装置状態情報200のみが他の連動装置21,22の保持する2系、3系の連動装置状態情報210,220と異なる場合には、進路制御装置10は連動装置20から取得する情報を利用しない。
【0039】
(6)進路制御装置10は、連動装置20から取得する情報を利用しない場合には、図6に示すように、状態判断において連動装置20が異常と判断し、連動装置20への通常の制御指示の指示送信は行わない。一方、連動装置20の保持する連動装置状態情報200が他の連動装置21,22の保持する連動装置状態情報210,220と同じで、連動装置20から取得する情報を利用する場合には、進路制御装置10は、図5に示すように、状態判断において連動装置20が正常と判断し、連動装置20への通常の制御指示の指示送信を行う(ステップS7)。
【0040】
なお、図5および図6では連動装置20を例に示したが、連動装置20以外の連動装置21または22の場合も同様に、連動装置21または22の保持する連動装置状態情報210または220が他の連動装置の保持する連動装置状態情報と異なる場合には、進路制御装置10は連動装置21または22から取得する情報を利用せずに、連動装置21または22への指示送信は行わず、一方、同じ場合には、連動装置21または22から取得する情報を利用し、連動装置21または22への指示送信を行う。
【0041】
<本実施の形態の効果>
以上説明したように、本実施の形態に係る高信頼多重化制御列車運行管理システムによれば、制御対象40の制御を行う複数の連動装置20,21,22と、これらの連動装置に制御の指示を行う進路制御装置10とが送受信可能にネットワーク50により接続されている構成において、連動装置20,21,22のそれぞれは、自身の連動装置が認識する当該自身の連動装置の状態と自身以外の連動装置の状態との連動装置状態情報200,210,220を進路制御装置10に送信することで、進路制御装置10は、複数の連動装置20,21,22のうちの連動装置20または21または22が送信する情報をもとに連動装置の状態判断を行い、情報の取捨選択をすることができる。
【0042】
さらに、連動装置20,21,22のそれぞれは、情報共有モジュール30から、連動装置20,21,22がそれぞれ認識する連動装置20,21,22の状態の統合した連動装置状態情報300を取得して進路制御装置10に送信することで、進路制御装置10は、連動装置20または21または22が送信する情報に含まれる統合した連動装置状態情報300を用いて連動装置の状態判断を行うことができる。
【0043】
さらに、進路制御装置10は、連動装置20または21または22自身が送信する情報に含まれる連動装置状態情報200,210,220が、自身以外の連動装置と異なる時には、自身の連動装置からの情報を利用しないようにすることができる。
【0044】
このように、進路制御装置10が連動装置20,21,22のうち1台から情報を取得した場合に、その連動装置から送信される情報のみを用いて情報の取捨選択を行うことができる。これにより、連動装置20,21,22で障害が発生した場合に、進路制御装置10は障害が発生した連動装置から得る誤った情報を利用しないため、システム全体の健全性を向上させることができる。また、多重化された連動装置20,21,22が障害を起こした際に、障害発生時の異常の伝播を抑えて、システム全体として異常な挙動を防ぐことができる。
【0045】
この結果、連動装置20,21,22で障害が発生したときに、進路制御装置10や連動装置20,21,22とは別に監視装置を用いずとも、進路制御装置10が連動装置20,21,22の送信する誤った情報を利用しない、高信頼多重化制御列車運行管理システムを提供することができる。
【0046】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の列車運行管理システムにおける複数の計算機を組み合わせた多重化制御システムは、特に、多重化された連動装置が障害を起こした際に列車運行管理システム全体として異常な挙動を起こさないように設計される、高信頼多重化制御列車運行管理システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
10…進路制御装置、20〜22…連動装置、30…情報共有モジュール、40…制御対象、50…ネットワーク、
200…1系の連動装置状態情報、201…1系の認識する1系の状態情報、202…1系の認識する2系の状態情報、203…1系の認識する3系の状態情報、
210…2系の連動装置状態情報、211…2系の認識する1系の状態情報、212…2系の認識する2系の状態情報、213…2系の認識する3系の状態情報、
220…3系の連動装置状態情報、221…3系の認識する1系の状態情報、222…3系の認識する2系の状態情報、223…3系の認識する3系の状態情報、
300…統合した連動装置状態情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の制御を行う多重化された複数の連動装置と、前記複数の連動装置に制御の指示を行う進路制御装置とを有し、前記複数の連動装置と前記進路制御装置とが送受信可能にネットワークにより接続されている列車運行管理システムであって、
前記複数の連動装置のそれぞれは、自身の連動装置が認識する当該自身の連動装置の状態と自身以外の連動装置の状態との情報を前記進路制御装置に送信し、
前記進路制御装置は、前記複数の連動装置のうちの第1の連動装置が送信する情報をもとに前記複数の連動装置の状態判断を行い、前記複数の連動装置からの誤った情報を利用しないように情報の取捨選択をすることを特徴とする列車運行管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の列車運行管理システムにおいて、
前記複数の連動装置のそれぞれ自身の連動装置が認識する当該自身の連動装置の状態と自身以外の連動装置の状態との情報を含む、前記複数の連動装置がそれぞれ認識する前記複数の連動装置の状態の情報を蓄積する情報共有モジュールをさらに有し、
前記複数の連動装置のそれぞれは、前記情報共有モジュールから、前記複数の連動装置がそれぞれ認識する前記複数の連動装置の状態の情報を取得して、前記進路制御装置に送信し、
前記進路制御装置は、前記第1の連動装置が送信する情報に含まれる、前記複数の連動装置がそれぞれ認識する前記複数の連動装置の状態の情報を用いて前記複数の連動装置の状態判断を行い、前記複数の連動装置からの誤った情報を利用しないように情報の取捨選択をすることを特徴とする列車運行管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の列車運行管理システムにおいて、
前記進路制御装置は、前記第1の連動装置が送信する情報に含まれる、前記複数の連動装置がそれぞれ認識する前記複数の連動装置の状態の情報が、前記第1の連動装置以外の連動装置と異なる時には、前記第1の連動装置からの情報を利用しないことを特徴とする列車運行管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の列車運行管理システムにおいて、
前記第1の連動装置は、1台であることを特徴とする列車運行管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−88893(P2013−88893A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226564(P2011−226564)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】