説明

判定方法、制御方法、判定装置、パターン形成システム及びプログラム

【課題】フォーカスリングの交換時期を的確かつ迅速に判定することができる判定方法、制御方法、判定装置、パターン形成システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】基板上の膜をエッチングしてパターンを形成する際に、該パターンの面内均一性を高めるために該基板の周囲に配置されるフォーカスリングの交換時期を判定する判定方法において、前記パターンの形状又は寸法を測定する測定工程と、測定した前記パターンの形状又は寸法に基づいて、前記フォーカスリングの交換時期を判定する判定工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーカスリングの交換時期を判定する判定方法、制御方法、判定装置、パターン形成システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板上の膜をエッチングするプラズマ処理装置には、基板上に形成されるパターンの面内均一性(エッチングの均一性)を高めるために、基板を取り囲むフォーカスリングが設置されている(例えば、特許文献1、2)。フォーカスリングは使用時間経過に伴いプラズマによりエッチングされて消耗するため、基板上に形成されるパターンの面内均一性は低下する。そこで、フォーカスリングはその使用時間に応じて定期的に交換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−78208号公報
【特許文献2】特開2003−229408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フォーカスリングはフォーカスリングの消耗度を監視して交換されていない。そのため、フォーカスリングには、使用可能な状態で交換される場合又は消耗が激しいにもかかわらず交換されない場合がある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものである。その目的は、フォーカスリングの交換時期を的確かつ迅速に判定することができる判定方法、制御方法、判定装置、パターン形成システム及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る判定方法は、基板上の膜をエッチングしてパターンを形成する際に、該パターンの面内均一性を高めるために該基板の周囲に配置されるフォーカスリングの交換時期を判定する判定方法において、前記パターンの形状又は寸法を測定する測定工程と、測定した前記パターンの形状又は寸法に基づいて、前記フォーカスリングの交換時期を判定する判定工程とを備えることを特徴とする。
【0007】
本願に係る判定方法では、基板上の膜をエッチングして形成されたパターンの形状又は寸法を測定する。次に、測定した基板上のパターンの形状又は寸法に基づいて、パターンの面内均一性を高めるために基板の周囲に配置されるフォーカスリングの交換時期を判定する。
【0008】
本願に係る判定方法は、前記測定工程は前記パターンの複数の位置における形状又は寸法を測定し、前記判定工程は、前記パターンの複数の位置における形状又は寸法に関するデータのばらつきが所定の閾値より大きい場合、前記フォーカスリングの交換時期であると判定することを特徴とする。
【0009】
本願に係る判定方法では、パターンの複数の位置における形状又は寸法を測定する。次に、パターンの複数の位置における形状又は寸法に関するデータのばらつきが所定の閾値より大きい場合、フォーカスリングの交換時期であると判定する。
【0010】
本願に係る判定方法は、前記パターンの形状に関するデータは該パターンの側壁角度を含み、前記パターンの寸法に関するデータは該パターンにおける線幅又は線の高さを含むことを特徴とする。
【0011】
本願に係る判定方法では、パターンの形状に関するデータはパターンの側壁角度を含む。また、パターンの寸法に関するデータはパターンにおける線幅又は線の高さを含む。
【0012】
本願に係る判定方法は、前記フォーカスリングは複数種類のエッチング処理に使用するためのものであることを特徴とする。
【0013】
本願に係る判定方法では、フォーカスリングは複数種類のエッチング処理で使用される。
【0014】
本願に係る判定方法は、前記測定工程はスキャトロメトリ法により前記パターンの形状又は寸法を測定することを特徴とする。
【0015】
本願に係る判定方法では、パターンの形状又は寸法をスキャトロメトリ法により測定する。
【0016】
本願に係る制御方法は、基板上の膜をエッチングしてパターンを形成する際に、該パターンの面内均一性を高めるために該基板の周囲に配置されるフォーカスリングの温度を制御する制御方法において、前記フォーカスリングの温度を設定する設定工程と、前記パターンの形状又は寸法を測定する測定工程と、測定した前記パターンの形状又は寸法に基づいて、前記設定工程で設定したフォーカスリングの温度をフィードバック制御する制御工程とを備えることを特徴とする。
【0017】
本願に係る制御方法では、基板上の膜をエッチングして形成されたパターンの面内均一性を高めるために基板の周囲に配置されるフォーカスリングの温度を設定する。次に、パターンの形状又は寸法を測定する。そして、測定したパターンの形状又は寸法に基づいて、設定したフォーカスリングの温度をフィードバック制御する。
【0018】
本願に係る制御方法は、前記測定工程は前記パターンの複数の位置における形状又は寸法を測定し、前記制御工程は、前記パターンの複数の位置における形状又は寸法に関するデータのばらつきが所定の閾値より大きい場合、前記フォーカスリングの温度をフィードバック制御することを特徴とする。
【0019】
本願に係る制御方法では、パターンの複数の位置における形状又は寸法を測定する。次に、パターンの複数の位置における形状又は寸法に関するデータのばらつきが所定の閾値より大きい場合、フォーカスリングの温度をフィードバック制御する。
【0020】
本願に係る判定装置は、基板上の膜をエッチングしてパターンを形成する際に、該パターンの面内均一性を高めるために該基板の周囲に配置されるフォーカスリングの交換時期を判定する判定装置において、前記パターンの形状又は寸法を測定する測定手段と、該測定手段が測定した前記パターンの形状又は寸法に基づいて、前記フォーカスリングの交換時期を判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
本願に係る判定装置では、基板上の膜をエッチングして形成されるパターンの形状又は寸法を測定する。測定したパターンの形状又は寸法に基づいて、パターンの面内均一性を高めるために基板の周囲に配置されるフォーカスリングの交換時期を判定する。
【0022】
本願に係る判定装置は、前記測定手段は前記パターンの複数の位置における形状又は寸法を測定するようにしてあり、前記判定手段は、前記測定手段が測定したパターンの形状又は寸法に関するデータのばらつきが所定の閾値より大きい場合、前記フォーカスリングの交換時期であると判定するようにしてあることを特徴とする。
【0023】
本願に係る判定装置では、パターンの複数の位置における形状又は寸法を測定する。判定装置は、測定したパターンの複数の位置における形状又は寸法に関するデータのばらつきが所定の閾値より大きい場合、フォーカスリングの交換時期であると判定する。
【0024】
本願に係るパターン形成システムは、基板上の膜をエッチングしてパターンを形成する形成手段と、該形成手段が形成するパターンの面内均一性を高めるために前記基板の周囲に配置されるフォーカスリングと、該フォーカスリングの温度を制御する制御手段とを有するパターン形成装置、及び前記パターンの形状又は寸法を測定する測定手段と、該測定手段が測定したパターンの形状又は寸法に基づく情報を前記パターン形成装置に与える付与手段とを有する測定装置を含み、前記パターン形成装置は前記付与手段が与えた前記情報を受け付ける受付手段を有するパターン形成システムにおいて、前記制御手段は、前記受付手段が受け付けた前記情報に基づいて、前記フォーカスリングの温度をフィードバック制御するようにしてあることを特徴とする。
【0025】
本願に係るパターン形成システムでは、基板上の膜をエッチングしてパターンを形成するパターン形成装置と、パターンの形状又は寸法を測定する測定装置とが含まれる。パターン形成装置は、パターンの面内均一性を高めるために基板の周囲に配置されるフォーカスリングと、フォーカスリングの温度を制御する制御手段とを有する。測定装置は、測定したパターンの形状又は寸法に基づく情報を、パターン形成装置に与える。パターン形成装置は、測定装置から与えられたパターンの形状又は寸法に基づく情報を受け付ける。パターン形成装置の制御手段は、受け付けたパターンの形状又は寸法に基づく情報に基づいてフォーカスリングの温度をフィードバック制御する。
【0026】
本願に係るパターン形成システムは、前記測定手段は前記パターンの複数の位置における形状又は寸法を測定するようにしてあり、前記付与手段は、前記測定手段が測定したパターンの形状又は寸法に関するデータのばらつきが所定の閾値より大きい場合、該ばらつきに関する情報を前記パターン形成装置に与えるようにしてあり、前記受付手段は前記ばらつきに関する情報を受け付けるようにしてあり、前記制御手段は、前記受付手段が受け付けた前記ばらつきに関する情報に基づいて、前記フォーカスリングの温度をフィードバック制御するようにしてあることを特徴とする。
【0027】
本願に係るパターン形成システムでは、測定装置はパターンの複数の位置における形状又は寸法を測定する。測定装置は、測定したパターンの複数の位置における形状又は寸法に関するデータのばらつきが所定の閾値より大きい場合、このデータのばらつきに関する情報をパターン形成装置に与える。パターン形成装置は、このデータのばらつきに関する情報を測定装置から受け付ける。パターン形成装置は、受け付けたこのデータのばらつきに関する情報に基づいて、フォーカスリングの温度をフィードバック制御する。
【0028】
本願に係るパターン形成システムは、前記パターン形成装置は複数種類のエッチング処理を行うプラズマ処理装置であることを特徴とする。
【0029】
本願に係るパターン形成システムでは、パターン形成装置は複数種類のエッチング処理を行うプラズマ処理装置である。
【0030】
本願に係るプログラムは、基板上の膜をエッチングしてパターンを形成する際に、該パターンの面内均一性を高めるために該基板の周囲に配置されるフォーカスリングの交換時期を判定する処理をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、前記パターンの複数の位置における形状又は寸法が記憶された記憶部から前記形状又は寸法を読み出し、読み出した前記形状又は寸法に関するデータのばらつきを算出し、算出した前記形状又は寸法に関するデータのばらつきが所定の閾値より大きい場合、前記フォーカスリングの交換時期であると判定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0031】
本願に係るプログラムでは、基板上の膜をエッチングして形成されたパターンの複数の位置における形状又は寸法が記憶された記憶部から、パターンの複数の位置における形状又は寸法を読み出す処理をコンピュータに実行させる。プログラムは、読み出したパターンの複数の位置における形状又は寸法に関するデータのばらつきを算出する処理をコンピュータに実行させる。プログラムは、算出した複数の位置における形状又は寸法に関するデータのばらつきが所定の閾値より大きい場合、パターンの面内均一性を高めるために基板の周囲に配置されるフォーカスリングの交換時期であると判定する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0032】
本願に係る判定方法等によれば、フォーカスリングの交換時期を的確かつ迅速に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】分光エリプソメータの構成例を示すブロック図である。
【図2】ウエハ面内における測定箇所のレイアウトを示す説明図である。
【図3】モデルの計算に用いるパラメータの一部を示す説明図である。
【図4】パターンの線幅に関する測定結果の一例を示す説明図である。
【図5】パターンのSWAに関する測定結果の一例を示す説明図である。
【図6】パターンのHeightに関する測定結果の一例を示す説明図である。
【図7】フォーカスリングの交換を通知する処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】パターンの線幅に関する測定結果の一例を示す説明図である。
【図9】基板処理システムの構成例を示す説明図である。
【図10】コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【図11】パターンの線幅に関する測定結果の一例を示す説明図である。
【図12】パターンのSWAに関する測定結果の一例を示す説明図である。
【図13】パターンのHeightに関する測定結果の一例を示す説明図である。
【図14】フォーカスリングの温度を制御する処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施の形態について、その図面を参照して説明する。
本願に係る判定装置(測定装置)は、プラズマ処理装置がウエハ(基板)上の膜をエッチングすることにより形成したパターン(エッチングパターン)の面内均一性を測定する。ここでのパターンの面内均一性は、例えばパターンの寸法(CD:Critical Dimension)又は形状に関する面内均一性である。判定装置は、測定したパターンの面内均一性が所定の閾値を超えた場合、プラズマ処理装置が有するフォーカスリングの交換時期を判定する。
【0035】
判定装置は、スキャトロメトリ(scatterometory)法によりパターンの寸法又は形状を測定する。光波散乱計測法であるスキャトロメトリ法には、例えば分光エリプソ法(Ellipsometry, Spectroscopic Ellipsometry)、反射率測定法(Reflectometry, Spectroscopic Reflectometry)、偏光反射率測定法(Polarized Spectroscopic Reflectometry)等がある。以下では、スキャトロメトリ法の一例として、分光エリプソ法を利用した判定装置について説明する。
なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0036】
実施の形態1
分光エリプソメータ(判定装置、測定装置)は、プラズマ処理装置内部又はプラズマ処理装置外部に設けられる。実施の形態1では、プラズマ処理装置の外部に分光エリプソメータを設ける例を説明する。分光エリプソメータには回転検光子型、回転補償子型、位相変調器型等があり、いずれの型の分光エリプソメータが利用されてもよい。以下では、位相変調器型を例に挙げる。
【0037】
図1は、分光エリプソメータ1の構成例を示すブロック図である。
分光エリプソメータ1は、キセノンランプ11、光照射器12、ステージ13、光取得器14、分光器(測定手段)15、データ取込機16、モータ制御機17及びコンピュータ18を含む。分光エリプソメータ1は、ステージ13上に載置されたウエハW上のパターンの寸法及び形状を計測する。パターンは、フォトレジストをマスクとして、ウエハW上に成膜された膜をエッチングすることにより形成されている。
なお、ウエハWの直上には、シリコン酸化膜(SiO2 )等が積層されていてもよい。さらに、当該シリコン酸化膜の上側にアモルファスシリコン膜、ポリシリコン膜又はシリコン窒化膜(Si3 4 )等が積層されていてもよい。
【0038】
分光エリプソメータ1は、ウエハWに偏光した光を照射するとともに、ウエハWで反射した光を取得して反射光の偏光状態を測定し、測定結果とウエハW上のパターンに応じたモデルとに基づきウエハW上のパターンの寸法及び形状を解析する。なお、ウエハW以外に、化合物半導体基板、単層又は多層のエピ膜、絶縁体膜、サファイヤ基板又はガラス基板等を基板としてもよい。
【0039】
分光エリプソメータ1は、一対の光照射器12及び光取得器14を備える測定器を含む測定解析系の部分と、駆動系の部分とに大別される。
分光エリプソメータ1は、測定解析系の部分として、キセノンランプ11及び光照射器12を、第1光ファイバケーブル1aで接続する。分光エリプソメータ1は、ステージ13上に載置したウエハWへ偏光した状態の光を照射するとともに、ウエハWで反射した光を光取得器14で取り込む。光取得器14は、第2光ファイバケーブル1bを介して分光器15に接続されている。分光器15は、波長毎に測定を行い、測定結果をアナログ信号としてデータ取込機16へ伝送する。データ取込機16は、アナログ信号を所要値に変換してコンピュータ18へ伝送する。コンピュータ18はパターンの解析を行う。
【0040】
なお、分光エリプソメータ1の光照射器12及び光取得器14は、ウエハWに対する光の入射角度φと反射角度φとが所定の同角度になるように固定されている。しかし、光照射器12及び光取得器14は、ウエハWに対する光の入射角度φ及び反射角度φが同角度である状態を維持しながら、入射角度φ及び反射角度φを変化させるように移動してもよい。
【0041】
分光エリプソメータ1は、駆動系部分として、ステージ13及び分光器15に第1モータM1〜第3モータM3を夫々設けている。分光エリプソメータ1は、第1モータM1〜第3モータM3の駆動をコンピュータ18に接続したモータ制御機17で制御することで、ステージ13及び分光器15を測定に応じた適切な位置、姿勢に変更する。モータ制御機17は、コンピュータ18から出力される指示に基づき、第1モータM1〜第3モータM3の駆動制御を行う。
【0042】
キセノンランプ11は光源であり、複数の波長成分を含む白色光を発生し、発生した白色光を光照射器12へ第1光ファイバケーブル1aを介して送る。光照射器12は、内部に偏光子12aを有しており、白色光を偏光子12aで偏光し、偏光状態の光をウエハWへ照射する。
【0043】
ステージ13は、移動レール部(図示せず)に摺動可能に配置されており、第1モータM1及び第2モータM2の駆動により、図1中のx軸方向、y軸方向(図1の紙面に直交する方向)へ夫々移動可能である。ステージ13の移動により、ステージ13上のウエハWへ光を入射させる箇所を適宜変更し、ウエハWの面分析を行う。ウエハWを載置するステージ13面は、光の反射を防止するため黒色に着色されている。
なお、本実施の形態においては、ステージ13をx軸方向及びy軸方向に動かす例を挙げて説明するが、これに限るものではない。例えば、ステージ13を固定し、光照射器12及び光取得器14を動かし、照射位置をx軸方向及びy軸方向に移動させるようにしてもよい。その他、ステージ13と、光照射器12及び光取得器14との双方を、x軸方向及びy軸方向に移動させるようにしてもよい。
【0044】
光取得器14は、ウエハWで反射した光を取得し、取得した光の偏光状態を測定する。光取得器14は、PEM(Photo Elastic Modulator:光弾性変調器)14a及び検光子(Analyzer)14bを内蔵し、ウエハWで反射された光を、PEM14aを介して検光子14bへ導いている。なお、光取得器14に内蔵されたPEM14aは、取り込んだ光を所要周波数(例えば50kHz)で位相変調することにより直線偏光から楕円偏光を得ている。また、検光子14bは、PEM14aで位相変調された各種偏光の中から選択的に偏光を取得して測定する。
【0045】
分光器15は、反射ミラー、回折格子、フォトマルチプライヤー(PMT:光電子倍増管)及び制御ユニット等を内蔵し、光取得器14から第2光ファイバケーブル1bを通じて送られた光を反射ミラーで反射して回折格子へ導いている。回折格子は第3モータM3により角度を変更し、出射する光の波長を可変する。分光器15の内部へ進んだ光はPMTで増幅され、光の量が少ない場合でも、測定された信号(光)を安定化させる。また、制御ユニットは、測定された波長に応じたアナログ信号を生成し、データ取込機16へ送出する処理を行う。
【0046】
データ取込機16は、分光器15からの信号に基づき反射光の偏光状態(p偏光、s偏光)を示す振幅比Ψ及び位相差Δを波長毎に算出し、算出した結果をコンピュータ18へ送出する。なお、振幅比Ψ及び位相差Δには、p偏光の振幅反射係数Rp及びs偏光の振幅反射係数Rsに対し、以下の数式(1)の関係が成立する。
Rp/Rs=tanΨ・exp(i・Δ)・・・(1)
ただし、iは虚数単位である(以下同様)。また、Rp/Rsは偏光変化量ρという。
【0047】
コンピュータ18は、CPU(Central Processing Unit)(判定手段)181、RAM(Random Access Memory)182、入力部183、表示部184、記憶部185、ディスクドライブ186及び通信部(付与手段)187を含む。CPU181は、バスを介してコンピュータ18のハードウェア各部と接続されている。CPU181は、ハードウェア各部を制御するとともに、記憶部185に格納された各種プログラムに従って、種々のソフトウェア処理を実行する。
【0048】
RAM182は、半導体素子等であり、CPU181の指示に従い必要な情報の書き込み及び読み出しを行う。入力部183は、キーボード及びマウス、又はタッチパネル等の入力デバイスである。表示部184は、例えば液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。
【0049】
記憶部185は、例えばハードディスク又は大容量メモリであり、解析用のプログラム及びステージ13の移動制御用のプログラム等の各種プログラムを予め記憶する。
記憶部185は、その他、ライブラリ1L、閾値及びプログラム1Pを記憶する。ライブラリ1Lは、パターンの寸法及び形状等のパラメータに基づいて予め算出された各波長における振幅比Ψ及び位相差Δを記憶したファイルである。コンピュータ18は、データ取込機16で得られた偏光状態の振幅比Ψ及び位相差Δと、ライブラリ1Lに記憶されたモデルの振幅比Ψ及び位相差Δとをフィッティングし、モデルの振幅比Ψ及び位相差Δに対応するパターンの寸法及び形状を特定する。
【0050】
閾値は、フォーカスリングの交換を判定するための数値である。プログラム1Pは、測定されたパターンの寸法及び形状に関する数値のばらつきが閾値より大きい場合、表示部184にフォーカスリングの交換に関する通知を表示する。閾値は、成果物であるデバイスに対して要求される精度に関係し、デバイスの種類、世代等によって変更されてよい。
【0051】
ディスクドライブ186は、外部の記録媒体であるCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc、登録商標)等の光ディスク1dから情報を読み込み、光ディスク1dに情報を記録する。
【0052】
通信部187は、外部のコンピュータと通信をするインタフェースである。通信部187は、LAN(Local Area Network)、インターネット、電話回線等に接続されていてもよい。
【0053】
次に、分光エリプソメータ1の動作について説明する。
プラズマ装置によりエッチングされたウエハWを分光エリプソメータ1のステージ13に載置する。ウエハWの直径は、例えば300mmである。パターンを構成する膜は、例えば有機膜である。有機膜は、多層であってもよく、一部の層は例えばSiを含んでいてもよい。
【0054】
キセノンランプ11は、白色光を放射する。光照射器12は、キセノンランプ11が照射した白色光を直線偏光に変換し、変換した直線偏光をウエハWに照射する。光取得器14は、ウエハWで反射した光を取得し、取得した光の偏光状態を測定する。分光器15は、光取得器14により測定された波長に応じたアナログ信号を生成してデータ取込機16へ送出する。データ取込機16は、分光器15からの信号に基づき、p偏光、s偏光の振幅比Ψ及び位相差Δを波長毎に算出し、算出した結果をコンピュータ18へ送出する。コンピュータ18は、測定値を記憶部185に記憶する。
なお、測定に係る波長の範囲は、例えば250nm〜750nmである。
【0055】
図2は、ウエハW面内における測定箇所のレイアウトを示す説明図である。ウエハWの表面を約100個の正方形領域に分割し、1つの正方形領域の略中央が1つの測定箇所になる。
ある正方形領域での測定が終了した場合、分光エリプソメータ1はモータ制御機17の制御により、ステージ13をx軸方向又はy軸方向に移動し、直線偏光が照射される測定箇所を隣の正方形領域に変更する。図2における矢印のように、測定箇所は例えばx軸方向に変更される。測定箇所がウエハWの縁又はウエハWの外部まで達した場合、ステージ13をy軸方向に1正方形分だけ移動した後、測定箇所は再びウエハWの一端から他端までx軸方向に1正方形単位で変更される。
なお、測定箇所である正方形領域の略中央部がウエハWの外部(図2の×)に変更された場合、測定は行われない。また、測定箇所がウエハWの縁近傍になる場合(例えば、ウエハWの縁から中心方向へ向かって1〜2mmまでの領域)、測定は行われないか又は当該測定値は採用されない。
【0056】
ウエハW上の全ての測定が終了し、測定データがコンピュータ18の記憶部185に記憶された場合、CPU181は測定された振幅比Ψ及び位相差Δと、ライブラリ1Lに記憶された振幅比Ψ及び位相差Δとのフィッティングをする。そして、ライブラリ1Lに記憶された振幅比Ψ及び位相差Δに対応するパターンの寸法及び形状を、全測定箇所について特定し、記憶部185に記憶する。
【0057】
図3は、モデルの計算に用いるパラメータの一部を示す説明図である。図3は、ウエハW及びパターンの断面を示している。パターンモデルの計算に用いるパラメータは、TCD(Top CD)、BCD(Bottom CD)、Height、複素屈折率N、膜厚dである。ただし、複素屈折率Nは、予め測定した値が用いられる。複素屈折率Nを予め測定する手段は、分光エリプソメータ1でもよいし、分光エリプソメータ1以外の装置でもよい。
【0058】
TCD及びBCDは、パターンを構成する線幅である。TCDは線の上辺寸法であり、BCDは線の底辺寸法である。なお、MCDは、TCDとBCDとの平均である。Heightは、エッチングにより形成された線の高さ又はパターンを構成する溝の深さである。
TCD、BCD及びHeightから線の側壁角であるSWA(side wall angle)が算出される。SWAの値をθとした場合、θは次の数式(2)で示される。
【0059】
【数1】

【0060】
膜厚dは、ウエハW上の膜の厚さである。図3の例では、膜厚dはHeightと同じである。しかし、多層膜がウエハWに成膜され、エッチングがウエハW表面まで及ばない場合、膜厚dはHeightより大きな値となる。
【0061】
ライブラリ1Lには、モデルの振幅比Ψ及び位相差Δと、モデルを構築する元となったTCD、BCD及びHeightとが対応付けて記憶されている。MCD又はSWAは、測定から決定されたTCD、BCD及びHeightから算出されてもよいし、予め計算してライブラリ1Lに記憶されていてもよい。以下では、ライブラリ1Lには、モデルの振幅比Ψ及び位相差Δと、TCD、BCD及びHeight並びに予め算出されたMCD又はSWAとが、対応付けられて記憶されているものとする。
【0062】
CPU181は、測定された振幅比Ψ及び位相差Δと、ライブラリ1Lに記憶された振幅比Ψ及び位相差Δとの差である誤差関数の値が最小になるモデルを検索する。そして、CPU181は、誤差関数の値が最小になるモデルに対応するTCD、BCD、Height、MCD及びSWAを取得する。CPU181は、取得したTCD、BCD、Height、MCD及びSWAを記憶部185に記憶する。
【0063】
なお、測定されるパターンの形状は、裾引き、トップ丸みを含んでよい。また、測定されるパターンの寸法及び形状は、上記に限らず、膜、穴、突起、溝等の寸法及び形状であってもよい。例えば、穴の場合の寸法及び形状は、穴径、穴深さ、穴ピッチ、穴の内壁の傾斜角度、穴の内壁の曲率等である。例えば、溝の場合の寸法及び形状は、溝幅、溝深さ、側壁角度、溝ピッチ、溝の側壁の曲率等である。これらの寸法及び形状を測定するためには、膜、穴、突起、溝等の構造を有するモデルを作成し、ライブラリ1Lに記憶しておく。
【0064】
次に、使用時間が異なる2つのフォーカスリングを用いてエッチングされたパターンに関して、測定結果の一例を説明する。
図4は、パターンの線幅に関する測定結果の一例を示す説明図である。図4Aは、使用時間が10時間未満であるフォーカスリングを用いてエッチングされたパターンの線幅に関する測定結果を示している。図4Bは、使用時間が550時間であるフォーカスリングを用いてエッチングされたパターンの線幅に関する測定結果を示している。フォーカスリングの高さは、図4Aの場合、4.0mmであり、図4Bの場合、3.1mmであった。
【0065】
図4A及び図4Bの縦軸は、シフトCDであり、単位はnmである。ここでのシフトCDは、エッチング後のMCDとエッチング前のMCDとの差分である。エッチング後の線幅から線幅のばらつきを評価する場合、エッチング前の線幅の影響が入ってくる。そこで、図4ではエッチング前の線幅の影響を排除するために、エッチング後のMCDからエッチング前のMCDを引いたシフトCDを縦軸にしている。シフトCDは、フォーカスリングの消耗度の違いによるパターンの寸法及び形状の違いを比較する上で、有益である。
図4A及び図4Bの横軸は、ウエハW上の測定位置を示し、単位はmmである。図4A及び図4Bの横軸の0mmは、ウエハWの中心である。ウエハWの半径に依存して中心からウエハWの縁までの各位置が数値で示されている。ここでのウエハWの半径は150mmである。
【0066】
図4A及び図4Bを比較した場合、パターンの面内均一性は、フォーカスリングの使用時間に相関している。フォーカスリングの使用時間が10時間未満である場合、シフトCDはウエハWの位置に関係なく、ほぼ一定である。他方、フォーカスリングの使用時間が550時間である場合、シフトCDはウエハWの中心から縁へ向かって小さくなり、縁付近ではシフトCDが若干大きくなっている。ウエハWの縁から中心に向かって30mmまでの領域では、シフトCDに2nmの差異が認められる。
【0067】
図5は、パターンのSWAに関する測定結果の一例を示す説明図である。図5A及び図5Bにおけるフォーカスリングの条件は、夫々図4A及び図4Bにおけるフォーカスリングの条件と同じである。図5A及び図5Bの縦軸は、SWAであり、単位は度である。図5A及び図5Bの横軸は、図4A及び図4Bの横軸と同じである。
図5A及び図5Bを比較した場合、フォーカスリングの使用時間が10時間未満であるとき、SWAはウエハWの位置に関係なく、ほぼ一定である。他方、フォーカスリングの使用時間が550時間である場合、SWAの面内均一性は低くなっている。ウエハWの縁から中心へ向かって10mm〜30mmまでの領域では、縁側へ向かってSWAは小さくなり、準テーパの方向に変化する。しかし、最外周の縁部では、SWAは内側より大きくなり、逆テーパの方向へ変化する。
【0068】
図6は、パターンのHeightに関する測定結果の一例を示す説明図である。図6A及び図6Bにおけるフォーカスリングの条件は、夫々図4A及び図4Bにおけるフォーカスリングの条件と同じである。図6A及び図6Bの縦軸は、Heightであり、単位はnmである。図6A及び図6Bの横軸は、図4A及び図4Bの横軸と同じである。
図6A及び図6Bを比較した場合、フォーカスリングの使用時間が10時間未満であるとき、HeightはウエハWの位置によって多少ばらついているが、面内均一性が低いとまでいえない。他方、フォーカスリングの使用時間が550時間である場合、Heightの面内均一性は低くなっている。ウエハWの中心から縁へ向かってHeightは小さくなる傾向がある。また、縁から中心へ向かって30mmまでの領域では、Heightのばらつきが他の領域に比べて大きい。
【0069】
以上の測定結果から、使用時間が550時間であるフォーカスリングを用いてエッチングが行われたパターンの寸法及び形状に関する測定値は、ウエハWの縁から中心へ向かって概ね50mmまでの領域においてばらつきが大きくなることがわかる。そこで、フォーカスリングの交換条件として、ウエハWの縁から中心へ向かって約50mmまでの領域におけるシフトCDのばらつきが例えば1nmより大きくなった場合が挙げられる。
また、フォーカスリングの交換条件として、ウエハWの縁から中心へ向かって約50mmまでの領域におけるSWAのばらつきが例えば0.15度より大きくなった場合が挙げられる。さらに、フォーカスリングの交換条件として、ウエハWの縁から中心へ向かって約50mmまでの領域におけるHeightのばらつきが例えば6nmより大きくなった場合が挙げられる。
フォーカスリングの交換を判定するためのパターンの測定領域は、より好ましくは、ウエハWの縁から中心へ向かって約10mm〜30mmの領域である。
【0070】
なお、上記のばらつきは、測定値の最大値と最小値との差、すなわちデータの範囲である。しかし、ばらつきとして、分散、標準偏差、不偏分散、平均偏差等が用いられてもよいことは勿論である。また、ばらつきを求める対象の寸法に、TCD又はBCDが含まれてもよい。
【0071】
CPU181は、記憶部185に記憶したTCD、BCD、Height、MCD及びSWAについて、全測定値のばらつき及びウエハWの縁から中心へ向かって50mmまでの領域における測定値のばらつき、ウエハWの縁から中心へ向かって50mm〜100mmの領域における測定値のばらつき等を算出する。CPU181は、算出した測定値のばらつきを記憶部185に記憶する。
CPU181は、算出したばらつきを予め記憶部185に記憶された閾値と比較する。CPU181は、算出したばらつきが閾値より大きい場合、フォーカスリングを交換すべきである旨のメッセージを表示部184に表示する。
【0072】
図7は、フォーカスリングの交換を通知する処理の手順を示すフローチャートである。なお、各測定箇所における測定済みのTCD、BCD、Height、MCD及びSWAが、記憶部185に記憶されているものとする。
CPU181は、記憶部185からTCD、BCD、Height、MCD及びSWAを読み出す(ステップS101)。ステップS101において、エッチング前後のTCD、BCDが記憶部185に記憶されている場合、CPU181はTCD、BCDに関するシフトCDを求めてもよい。あるいは、CPU18はMCDに関するシフトCDを求めてもよい。
【0073】
CPU181は、TCD、BCD、Height、MCD及びSWAのばらつきを算出し、記憶部185に記憶する(ステップS102)。ステップS102において、CPU181が算出するばらつきは、ウエハWの全領域における測定値を対象としてもよいし、特定の領域における測定値を対象としてもよい。また、CPU181が算出するばらつきは、複数の特定の領域における測定値を対象としてもよい。
【0074】
CPU181は、算出したばらつきが閾値より大きいか否か判定する(ステップS103)。CPU181は、算出したばらつきが閾値より大きくないと判定した場合(ステップS103:NO)、処理を終了する。CPU181は、算出したばらつきが閾値より大きいと判定した場合(ステップS103:YES)、フォーカスリングの交換時期に関する情報を生成する(ステップS104)。ステップS104においてCPU181が生成する情報は、例えばフォーカスリングの交換を促すメッセージである。なお、ステップS104において、CPU181はフォーカスリングの交換を促す音声データを生成してもよい。CPU181は、生成した情報を表示部184に表示し(ステップS105)、処理を終了する。
【0075】
フォーカスリングは、累積エッチング時間が基準時間に達した場合、交換されている。しかし、フォーカスリングの消耗をモニタしてフォーカスリングを交換してはいない。そのため、フォーカスリングがまだ使用可能であっても、フォーカスリングを交換してしまう場合、無駄なコストが生じる。
また、フォーカスリングの消耗が激しいにも関わらず、交換の基準時間に達していない場合、フォーカスリングは交換されない。かかる場合、エッチング処理後の面内均一性は担保されず、結果として最終製品である半導体デバイスに求められる目標特性は得られなくなる。多くの場合、プラズマ処理装置に設定されるエッチングのレシピは1種類ではなく、複数種類であるため、フォーカスリングの消耗速度は一定ではない。そのため、基準時間によるフォーカスリングの交換には、おのずと限界がある。
【0076】
分光エリプソメータ1によれば、製品であるウエハW上のパターンの寸法及び形状を短時間で正確に測定することができる。フォーカスリングの消耗による影響はパターンの面内均一性の低下として現れるため、分光エリプソメータ1はパターンの面内均一性をモニタすることにより、フォーカスリングの交換時期を正確に判定することができる。
【0077】
面内均一性のパラメータの一つである線幅がCD−SEM(Scanning Electron Microscope)を用いて測定されることがある。
しかしながら、CD−SEMでは、ウエハWの法線方向から線幅を測定するため、パターンの断面形状を測定することはできない。また、CD−SEMによる測定精度及び測定時間は、求められるパターンの品質要求及び製造コストに対して十分とはいえない。さらに、CD−SEMによってパターンに照射される電子ビームは、パターンを損傷させてしまう。
【0078】
図8は、パターンの線幅に関する測定結果の一例を示す説明図である。図8は、図4と同じ試料について、CD−SEMにより測定されたシフトCDの分布を示している。図8A及び図8Bにおけるフォーカスリングの条件は、夫々図4A及び図4Bにおけるフォーカスリングの条件と同じである。図8A及び図8Bの縦軸及び横軸は、夫々図4A及び図4Bの縦軸及び横軸と同じである。
図4A及び図4Bと図8A及び図8Bとを比較した場合、分光エリプソメータ1の方がCD−SEMよりもシフトCDの測定精度が格段に高いことがわかる。図8では、パターンのシフトCDのばらつきよりも測定値のばらつきが余りにも大きく、面内のシフトCDの変化が分からない。
図4及び図8より、分光エリプソメータ1がいかにフォーカスリングの交換を判定する能力に優れているかが分かる。また、分光エリプソメータ1はパターンの形状を非破壊で測定することができる。
【0079】
フォーカスリングの交換時期の判定は、パターンの寸法又は形状に関する数値のばらつきの他に、測定されたパターンの寸法又は形状に関する数値の値そのものに基づいてもよい。例えば、ウエハWの縁領域におけるBCD又はSWAが所定の閾値より大きい場合に、CPU181はフォーカスリングの交換時期であると判定してもよい。
【0080】
実施の形態2
実施の形態2は、分光エリプソメータ1が測定したパターンの寸法又は形状に基づいて、プラズマ処理装置に備えられたフォーカスリングの温度をフィードバック制御する形態に関する。
【0081】
図9は、基板処理システム2の構成例を示す説明図である。基板処理システム(パターン形成システム)2は、基板処理装置及び分光エリプソメータ1を含む。基板処理装置は、例えばプラズマ処理装置(パターン形成装置)20である。プラズマ処理装置20は、ウエハW上の膜に対してエッチング処理を施し、パターンを形成する。プラズマ処理装置20と分光エリプソメータ1とは、ウエハWが通過可能なシャッタ(図示せず)を介して接合されている。エッチング処理後のウエハWは、図示しない搬送機構によりプラズマ処理装置20から分光エリプソメータ1に搬送される。分光エリプソメータ1は、プラズマ処理装置20により形成されたパターンの寸法及び形状を測定する。
【0082】
プラズマ処理装置20は、処理容器(チャンバ)21、サセプタ22、支持台23、フォーカスリング24、静電チャック25、調温ガス供給部26、排気装置27、シャワーヘッド28、処理ガス供給部29及びコンピュータ30を含む。
処理容器21は、円筒型をなし、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属から構成されている。処理容器21は保安接地されている。
【0083】
サセプタ22は、ウエハWを載置する円盤状の載置台であり、処理容器21内部に配置されている。サセプタ22には高周波電源22aが接続されており、サセプタ22は下部電極として作用する。サセプタ22内部には、サセプタ22底面中央からサセプタ22周縁の上面まで伸びるガス通路22bが設けられている。
支持台23は、処理容器21の底面からサセプタ22を支持する円筒形部材である。
【0084】
フォーカスリング24は、ウエハWの直径よりも大きな内径を有するリング状部材である。フォーカスリング24は、サセプタ22の上面の周縁部に配置される。フォーカスリング24は、ウエハW上の異なる位置のパターンに対してエッチングレートに差が生じないようにする部材であり、パターンの面内均一性を高めるための部材である。フォーカスリング24の材質は、例えばSi、SiC、C(ガラス状炭素)、SiO2 、Al2 3 等である。
【0085】
フォーカスリング24には、温度センサ24a及びヒータ24bが埋め込まれている。温度センサ24aは、フォーカスリング24の測定温度に関する信号をコンピュータ30に送信する。また、ヒータ24bは図示しない電源から電力供給を受け、フォーカスリング24を加熱する。
【0086】
静電チャック25は、ウエハWが載置されるサセプタ22上面及びフォーカスリング24の底面と接するサセプタ22上面に設けられている。静電チャック25は、ウエハW及びフォーカスリング24をサセプタ22に吸着させる。なお、フォーカスリング24と接する静電チャック25には、下から上に伸びるガス通路22bと重なる部分に開口が設けられている。
【0087】
支持台23内部には、処理容器21底面を貫通し、サセプタ22内部のガス通路22bに達するガス導入管23aが設けられている。
調温ガス供給部26は、フォーカスリング24を冷却する調温ガスを蓄積する。ここでの調温ガスは、例えばHe(ヘリウム)ガス等の熱伝導性ガスである。調温ガス供給部26には、ガス導入管23aが接続されている。
【0088】
調温ガス供給部26からガス導入管23aに流出される調温ガスは、ガス通路22bを経て、静電チャック25とフォーカスリング24との接触境界に供給される。そして、調温ガスはフォーカスリング24を冷却する。
【0089】
排気装置27は、処理容器21底部に設けられた排気口21aと、排気管27aを介して接続されている。排気装置27は、溜め込み式のクライオポンプ、ターボ分子ポンプ等の高真空ポンプを有し、処理容器21内部を所望の真空度まで減圧する。
【0090】
シャワーヘッド28は、処理容器21の天井に設けられており、処理ガス供給部29から処理ガスを処理容器21に導入する。シャワーヘッド28は、接地電位である上部電極でもある。シャワーヘッド28とサセプタ22との間の空間において、処理ガスはプラズマ化され、プラズマ化された処理ガスはウエハW上の膜に対してエッチングを行う。なお、処理ガスは一般には複数種類のガスが混合したガスである。
【0091】
図10は、コンピュータ30の構成例を示すブロック図である。コンピュータは、CPU(制御手段)31、RAM32、入力部33、表示部34、記憶部35、ディスクドライブ36及び通信部(受付手段)37を含む。
【0092】
CPU31は、バスを介してコンピュータ30のハードウェア各部と接続されている。CPU31は、ハードウェア各部を制御するとともに、記憶部35に格納された各種プログラムに従って、種々のソフトウェア処理を実行する。
CPU31は、ヒータ24bによるフォーカスリング24の加熱を制御する。また、CPU31は、ガス導入管23aに設けられた図示しないバルブを制御することにより、フォーカスリング24の冷却を制御する。
【0093】
RAM32は、半導体素子等であり、CPU31の指示に従い必要な情報の書き込み及び読み出しを行う。入力部33は、キーボード及びマウス、又はタッチパネル等の入力デバイスである。表示部34は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等である。
【0094】
記憶部35は、例えばハードディスク又は大容量メモリであり、レシピ1R及びプログラム2Pを予め記憶する。レシピ1Rは、プラズマ処理装置20において所定の処理を施す際の処理の手順を規定するデータである。レシピ1Rには、1又は複数の処理ステップが含まれ、各処理ステップ毎にプロセス条件が予め夫々のパラメータとして設定されている。例えば、当該パラメータは、フォーカスリング24の温度、プロセス温度、プロセス圧力、ガス流量、処理時間等を含む。
【0095】
CPU31は、プログラム2Pを実行することにより、レシピ1Rに従ってプラズマ処理装置20による処理を制御する。プログラム2Pは、分光エリプソメータ1からの信号に基づいて、フォーカスリング24の温度を制御する処理を含む。
【0096】
ディスクドライブ36は、外部の記録媒体であるCD、DVD、BD等の光ディスク1dから情報を読み込み、光ディスク1dに情報を記録する。
【0097】
通信部37は、分光エリプソメータ1のコンピュータ18と通信をするインタフェースである。通信部37は、LAN、インターネット、電話回線等に接続されていてもよい。
【0098】
次に、基板処理システム2の動作について説明する。
フォトレジストが塗布された有機膜を有するウエハWを、図示しない搬送機構によりサセプタ22の上に載置する。ウエハWは、フォーカスリング24に接触、又は乗り上げないように静電チャック25を介してサセプタ22上に載置される。静電チャック25により、ウエハW及びフォーカスリング24は、サセプタ22に吸着される。
【0099】
処理ガス供給部29から混合ガスである処理ガスを処理容器21に所定の流量及び流量比で導入する。排気装置27により処理容器21内部の圧力を設定値にする。また、CPU31により、フォーカスリング24の温度がレシピ1Rに従って設定される。なお、分光エリプソメータ1によるパターン測定前は、フォーカスリング24の温度は制御されなくてもよい。
高周波電源22aから電圧をサセプタ22に印加した場合、処理ガスは解離し、プラズマとなる。このプラズマによりウエハW上の有機膜はエッチングされ、パターンが形成される。
【0100】
プラズマ処理装置20と分光エリプソメータ1との間のシャッタを開ける。エッチングが終了したウエハWは、図示しない搬送機構によりプラズマ処理装置20から分光エリプソメータ1に搬送される。分光エリプソメータ1は、プラズマ処理装置20により形成されたパターンの寸法及び形状を測定する。
【0101】
コンピュータ18のCPU181は、測定した寸法又は形状に関する数値のばらつきが閾値より大きいか否か判定する。
ここでの閾値は、プラズマ処理装置20のフォーカスリング24の温度制御を行うか否かを判定する基準となる閾値である。この閾値は、実施の形態1における閾値と同じでもよいし、異なっていてもよい。この閾値が実施の形態1と同じ閾値である場合、フォーカスリング24は交換されず、温度に関してフィードバック制御を受けながら使用され続ける。これにより、フォーカスリング24の寿命が伸ばされる。例えば、この閾値が実施の形態1における閾値より小さい場合、フォーカスリング24を交換する必要はなく、低下したパターンの面内均一性を高めるべく、フォーカスリング24の温度がフィードバック制御される。
【0102】
上記の閾値と比較されるばらつきは、ウエハWの全領域におけるばらつきでもよいし、特定領域のばらつきでもよい。例えば、ウエハWの縁領域のばらつきを閾値と比較してもよい。
なお、ばらつきは、データの範囲、分散、標準偏差、不偏分散、平均偏差等、何でもよい。当該閾値を、予め記憶部185に記憶しておく。
【0103】
CPU181は、算出したばらつきが所定の閾値より大きい場合、パターンのばらつきを示す情報をプラズマ処理装置20のコンピュータ30に与える。コンピュータ30のCPU31は、コンピュータ18からの情報を受け付けた場合、受け付けたばらつきの情報に基づいて、レシピ1Rから新たなエッチング条件を検索する。CPU31は、プラズマ処理装置20に検索した新たなエッチング条件を設定する。これにより、フォーカスリング24の温度は、新たなエッチング条件に従い、それまでの温度とは異なる温度又は同じ温度に調整される。
上記のために、記憶部35のレシピ1Rに、フォーカスリング24の温度を含むエッチング条件とパターンのばらつきとを対応付けて記憶しておく。例えば、あるばらつきと、そのばらつきを低減させるエッチング条件とを対応付けてレシピ1Rに記憶しておく。
なお、CPU181はパターンのばらつきを表示部184に表示し、ユーザがマニュアル操作でフォーカスリング24の温度を含むエッチング条件をプラズマ処理装置20に設定してもよい。
【0104】
CPU31は、温度センサ24aが示すフォーカスリング24の温度をモニタしながら、ヒータ24bによる加熱と調温ガスによる冷却とを実行し、フォーカスリング24の温度を制御する。CPU31は、新たなエッチング条件に従い、フォーカスリング24の温度以外の条件(例えば、プロセス温度、プロセス圧力、ガス流量、処理時間等)も調整する。
なお、CPU31が実行するフォーカスリング24の温度制御は、エッチング処理の開始から終了までの間、一定温度に保つものであってもよいし、温度を変化させるものであってもよい。
【0105】
図11は、パターンの線幅に関する測定結果の一例を示す説明図である。図11A及び11Bは、使用時間が10時間未満であるフォーカスリング24を用いてエッチングされたパターンの線幅に関する測定結果を示している。フォーカスリング24の温度は、図11Aの場合、37.2℃であり、図11Bの場合、66.2℃である。
【0106】
図11A及び図11Bの縦軸は、シフトCDであり、単位はnmである。ここでのシフトCDは、図4A及び図4BのシフトCDと同じである。図11A及び図11Bの横軸は、ウエハW上の測定位置を示し、単位はmmである。すなわち、図11A及び図11Bの横軸は、図4A及び図4Bの横軸と同じである。
【0107】
図11A及び図11Bを比較した場合、シフトCDの面内均一性は、フォーカスリング24の温度がより高い方が若干高い。例えば、フォーカスリング24の温度がより低い図11Aの場合、ウエハWの縁から中心へ向かって10mmまでの領域において、シフトCDの値は他の領域よりも約2nm小さい。
【0108】
図12は、パターンのSWAに関する測定結果の一例を示す説明図である。図12A及び図12Bにおけるフォーカスリングの温度条件は、夫々図11A及び図11Bにおけるフォーカスリングの温度条件と同じである。図12A及び図12Bの縦軸は、SWAであり、単位は度である。すなわち、図12A及び図12Bの縦軸及び横軸は、夫々図5A及び図5Bの縦軸及び横軸と同じである。
図12A及び図12Bを比較した場合、フォーカスリング24の温度が低い方がSWAに関する面内均一性は高い。フォーカスリング24の温度がより高い図12Bの場合、ウエハWの縁から中心へ向かって50mmまでの領域において、SWAが他の領域に比べて約0.3度小さくなる。他方、フォーカスリング24の温度がより低い図12Aの場合、SWAの面内均一性が高く、ウエハWの縁から中心へ向かって50mmまでの領域においても、線の側壁は垂直に近い。
【0109】
図13は、パターンのHeightに関する測定結果の一例を示す説明図である。図13A及び図13Bにおけるフォーカスリングの温度条件は、夫々図11A及び図11Bにおけるフォーカスリングの温度条件と同じである。図13A及び図13Bの縦軸及び横軸は、Heightであり、単位はnmである。すなわち、図13A及び図13Bの縦軸及び横軸は、図6A及び図6Bの横軸と同じである。
図13A及び図13Bを比較した場合、フォーカスリング24の温度の違いによるHeightの面内均一性の差はほとんど認められない。
【0110】
以上の測定結果から、フォーカスリング24の温度がパターンの面内均一性に関係することは明らかである。ただし、パターンの面内均一性を高めるためには、単純にフォーカスリング24の温度を上げればよいとか、下げればよいとはいえず、パターンの寸法又は形状に関するパラメータによって温度は高い方がよかったり、低い方がよかったりする。例えば、図11、図12及び図13のパターンの面内均一性を総合的に高めるために、フォーカスリング24の温度を37.2℃と66.2℃との間に変更することが考えられる。
図11、図12及び図13は一実験例である。エッチング条件には様々な多様性がある。パターンの寸法及び形状のばらつきと、当該ばらつきを小さくするフォーカスリング24の温度及び他のパラメータを含むエッチング条件とを対応付けて、レシピ1Rに記憶しておく。
【0111】
図14は、フォーカスリング24の温度を制御する処理の手順を示すフローチャートである。なお、パターンのTCD、BCD、MCD、Height及びSWAは、記憶部185に記憶されているものとする。
分光エリプソメータ1のCPU181は、TCD、BCD、MCD、Height及びSWAを記憶部185から読み出す(ステップS201)。CPU181は、TCD、BCD、Height、MCD及びSWAのばらつきを算出し、記憶部185に記憶する(ステップS202)。
【0112】
CPU181は、算出したばらつきが閾値より大きいか否か判定する(ステップS203)。CPU181は、算出したばらつきが閾値より大きくないと判定した場合(ステップS203:NO)、処理を終了する。CPU181は、算出したばらつきが閾値より大きいと判定した場合(ステップS203:YES)、ばらつきに関する情報をプラズマ処理装置20に与える(ステップS204)。
【0113】
プラズマ処理装置のCPU31は、ばらつきに関する情報を受け付け、受け付けたばらつきに基づいて、レシピ1Rを検索する(ステップS205)。CPU31は、ヒットしたフォーカスリング24の新たな温度を取得する(ステップS206)。CPU31は、取得した新たな温度に基づいて、フォーカスリング24の温度をフィードバック制御し(ステップS207)、処理を終了する。
【0114】
基板処理システム2によれば、ウエハW上のパターンの寸法又は形状に関する数値のばらつきに基づいて、フォーカスリング24の温度をフィードバック制御する。フォーカスリング24の温度をフィードバック制御することにより、パターンの面内均一性を高めることができ、フォーカスリング24の寿命を更に伸ばすことができる。
【0115】
パターンの寸法又は形状に関する数値のばらつきは、分光エリプソメータ1のコンピュータ18が算出する。しかし、分光エリプソメータ1からプラズマ処理装置20へパターンの寸法又は形状に関する数値を送信し、プラズマ処理装置20のコンピュータ30がパターンの寸法又は形状に関する数値のばらつきを算出してもよい。
【0116】
分光エリプソメータ1はコンピュータ18により制御され、プラズマ処理装置20はコンピュータ30により制御される。しかし、分光エリプソメータ1とプラズマ処理装置20とを1台のコンピュータで制御してもよい。かかる場合、1台のコンピュータの記憶部にプログラム1P、2P、ライブラリ1L、レシピ1Rを記憶させておく。
【0117】
測定した寸法又は形状に関する数値のばらつきではなく、測定した寸法又は形状に関する数値そのものに基づいて、フォーカスリング24の温度をフィードバック制御してもよい。
例えば、ウエハWの縁領域のBCDが、ウエハWの中心でのBCDに比べて閾値を超えて変化した場合、フォーカスリング24の温度をフィードバック制御してもよい。あるいは、ウエハWの縁領域のSWAが、ウエハWの中心でのSWAに比べて閾値を超えて変化した場合、フォーカスリング24の温度をフィードバック制御してもよい。
【0118】
本実施の形態では、パターンの寸法又は形状に関する数値のばらつきに基づいて、フォーカスリング24の温度をフィードバック制御した。しかし、制御される対象はウエハWであってもよい。サセプタ22上部に複数の温度センサ、ヒータ等を埋設するとともに、調温ガスが流通するガス通路22bの出口をウエハWが接するサセプタ22の上面に複数設ける。ガス通路22bの出口が重なる静電チャック25の部分に開口を設ける。これにより、調温ガスは静電チャック25とウエハWとの接触境界に供給される。そして、CPU31は、温度センサからの測定温度に基づいて、ウエハWに対してヒータによる加熱と調温ガスによる冷却を制御する。その際に、CPU11は、パターンの寸法又は形状に関する数値のばらつきを参照して、ウエハWの温度分布を制御する。
エッチングレートは被エッチング対象物の温度に依存するため、ウエハWの温度分布を制御することにより、パターンの面内均一性を高めることができる。なお、フォーカスリング24及びウエハWの温度を同時に制御してもよい。
【0119】
分光エリプソメータ1を動作させるためのプログラム1Pは、ディスクドライブ186に光ディスク1dを読み取らせて記憶部185に記録してもよい。また、プログラム1Pは、通信部187を介して接続される外部の情報処理装置又は記録装置(図示せず)からダウンロードすることも可能である。あるいは、また、プログラム1Pを記録したフラッシュメモリ等の半導体メモリ1cが分光エリプソメータ1内に実装されてもよい。
【0120】
プラズマ処理装置20を動作させるためのプログラム2Pは、ディスクドライブ36に光ディスク1dを読み取らせて記憶部35に記録してもよい。また、プログラム2Pは、通信部37を介して接続される外部の情報処理装置又は記録装置(図示せず)からダウンロードすることも可能である。あるいは、また、プログラム2Pを記録したフラッシュメモリ等の半導体メモリ1cがプラズマ処理装置20内に実装されてもよい。
【0121】
実施の形態2は以上の如きであり、その他は実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0122】
1 分光エリプソメータ(判定装置、測定装置)
12 光照射器
14 光取得器
15 分光器(測定手段)
18 コンピュータ
181 CPU(判定手段)
184 表示部
185 記憶部
187 通信部(付与手段)
2 基板処理システム(パターン形成システムシステム)
20 プラズマ処理装置(パターン形成装置)
31 CPU(制御手段)
37 通知部(受付手段)
24 フォーカスリング
W ウエハ
1L ライブラリ
1R レシピ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の膜をエッチングしてパターンを形成する際に、該パターンの面内均一性を高めるために該基板の周囲に配置されるフォーカスリングの交換時期を判定する判定方法において、
前記パターンの形状又は寸法を測定する測定工程と、
測定した前記パターンの形状又は寸法に基づいて、前記フォーカスリングの交換時期を判定する判定工程と
を備える
ことを特徴とする判定方法。
【請求項2】
前記測定工程は前記パターンの複数の位置における形状又は寸法を測定し、
前記判定工程は、前記パターンの複数の位置における形状又は寸法に関するデータのばらつきが所定の閾値より大きい場合、前記フォーカスリングの交換時期であると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の判定方法。
【請求項3】
前記パターンの形状に関するデータは該パターンの側壁角度を含み、
前記パターンの寸法に関するデータは該パターンにおける線幅又は線の高さを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の判定方法。
【請求項4】
前記フォーカスリングは複数種類のエッチング処理に使用するためのものである
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の判定方法。
【請求項5】
前記測定工程はスキャトロメトリ法により前記パターンの形状又は寸法を測定する
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の判定方法。
【請求項6】
基板上の膜をエッチングしてパターンを形成する際に、該パターンの面内均一性を高めるために該基板の周囲に配置されるフォーカスリングの温度を制御する制御方法において、
前記フォーカスリングの温度を設定する設定工程と、
前記パターンの形状又は寸法を測定する測定工程と、
測定した前記パターンの形状又は寸法に基づいて、前記設定工程で設定したフォーカスリングの温度をフィードバック制御する制御工程と
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項7】
前記測定工程は前記パターンの複数の位置における形状又は寸法を測定し、
前記制御工程は、前記パターンの複数の位置における形状又は寸法に関するデータのばらつきが所定の閾値より大きい場合、前記フォーカスリングの温度をフィードバック制御する
ことを特徴とする請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
基板上の膜をエッチングしてパターンを形成する際に、該パターンの面内均一性を高めるために該基板の周囲に配置されるフォーカスリングの交換時期を判定する判定装置において、
前記パターンの形状又は寸法を測定する測定手段と、
該測定手段が測定した前記パターンの形状又は寸法に基づいて、前記フォーカスリングの交換時期を判定する判定手段と
を備える
ことを特徴とする判定装置。
【請求項9】
前記測定手段は前記パターンの複数の位置における形状又は寸法を測定するようにしてあり、
前記判定手段は、前記測定手段が測定したパターンの形状又は寸法に関するデータのばらつきが所定の閾値より大きい場合、前記フォーカスリングの交換時期であると判定するようにしてある
ことを特徴とする請求項8に記載の判定装置。
【請求項10】
基板上の膜をエッチングしてパターンを形成する形成手段と、
該形成手段が形成するパターンの面内均一性を高めるために前記基板の周囲に配置されるフォーカスリングと、
該フォーカスリングの温度を制御する制御手段と
を有するパターン形成装置、及び
前記パターンの形状又は寸法を測定する測定手段と、
該測定手段が測定したパターンの形状又は寸法に基づく情報を前記パターン形成装置に与える付与手段と
を有する測定装置
を含み、
前記パターン形成装置は前記付与手段が与えた前記情報を受け付ける受付手段を有するパターン形成システムにおいて、
前記制御手段は、前記受付手段が受け付けた前記情報に基づいて、前記フォーカスリングの温度をフィードバック制御するようにしてある
ことを特徴とするパターン形成システム。
【請求項11】
前記測定手段は前記パターンの複数の位置における形状又は寸法を測定するようにしてあり、
前記付与手段は、前記測定手段が測定したパターンの形状又は寸法に関するデータのばらつきが所定の閾値より大きい場合、該ばらつきに関する情報を前記パターン形成装置に与えるようにしてあり、
前記受付手段は前記ばらつきに関する情報を受け付けるようにしてあり、
前記制御手段は、前記受付手段が受け付けた前記ばらつきに関する情報に基づいて、前記フォーカスリングの温度をフィードバック制御するようにしてある
ことを特徴とする請求項10に記載のパターン形成システム。
【請求項12】
前記パターン形成装置は複数種類のエッチング処理を行うプラズマ処理装置である
ことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のパターン形成システム。
【請求項13】
基板上の膜をエッチングしてパターンを形成する際に、該パターンの面内均一性を高めるために該基板の周囲に配置されるフォーカスリングの交換時期を判定する処理をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
前記パターンの複数の位置における形状又は寸法が記憶された記憶部から前記形状又は寸法を読み出し、
読み出した前記形状又は寸法に関するデータのばらつきを算出し、
算出した前記形状又は寸法に関するデータのばらつきが所定の閾値より大きい場合、前記フォーカスリングの交換時期であると判定する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−204806(P2012−204806A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70947(P2011−70947)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】