説明

制動装置及びエンジンの吸気制御装置

【課題】簡素な構成で、倍力装置の負圧室に十分な負圧を確保することができる制動装置及びその制動装置を備えたエンジンの吸気制御装置を提供する。
【解決手段】制動装置100において、枠部41と、枠部内を摺動する絞り部42と、絞り部42を付勢する付勢手段47と、枠部41と絞り部42とによって隔てられる空間を第1空気室45と第2空気室46とに仕切る隔壁44と、第1空気室45と負圧室32とを連通する第1負圧通路51と、第2空気室46と負圧室32とを連通する第2負圧通路52と、第1空気室45と吸気通路60に開口する連通路42Aと、を備え、負圧室32の負圧低下時には付勢手段47によって絞り部42を吸気通路側に押し出し絞り部42を通過する吸気の流速を速めることで、負圧室内の空気を吸気通路60に流出させ、負圧室32の負圧増大時には第2空気室46の負圧によって絞り部42を枠部41に収容させる、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動装置及びその制動装置を有するエンジンの吸気制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吸気負圧を利用してブレーキペダル操作を補助するアシスト力を発生させる気圧式の倍力装置を備えた制動装置が広く知られている。
【0003】
特許文献1には、吸気のベンチュリー効果によって負圧を発生させるエジェクタと、エジェクタの絞り部を通過する吸気の吸気流れを制御する制御バルブとを有する倍力装置を備えた制動装置が開示されている。この制動装置では、制御バルブを制御することによって、倍力装置の負圧室に負圧を確保する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−211385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の制動装置では、吸気通路とは別にエジェクタや制御バルブを設ける必要があり、構成が複雑となる。特に、制御バルブは部品点数が多く、構成が複雑である。
【0006】
また、吸気に異物が混入した場合には、エジェクタの絞り部に異物が詰まるおそれがあり、これにより負圧が発生しにくくなる可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、簡素な構成で、倍力装置の負圧室に十分な負圧を確保することができる制動装置及びその制動装置を備えたエンジンの吸気制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
【0009】
本発明は、負圧室(32)内の負圧を利用してブレーキペダル操作を補助する倍力装置(30)を有する制動装置(100)において、吸気通路(60)内を臨むように吸気通路(60)に形成される枠部(41)と、枠部(41)内を摺動し、吸気通路(60)の吸気流通面積を変更する絞り部(42)と、絞り部(42)を吸気通路側に押し出すように付勢する付勢手段(47)と、枠部(41)と絞り部(42)とによって隔てられる空間を第1空気室(45)と第2空気室(46)とに仕切り、枠部(41)の底面(41A)と絞り部(42)の底面(42B)とに接続して絞り部(42)の位置に応じて伸縮するように形成される隔壁(44)と、第1空気室(45)と負圧室(32)とを連通する第1負圧通路(51)と、第2空気室(46)と負圧室(32)とを連通する第2負圧通路(52)と、絞り部(42)に形成され、第1空気室(45)と吸気通路(60)に開口する連通路(42A)と、を備え、負圧室(32)の負圧低下時には付勢手段(47)によって絞り部(42)を吸気通路(60)側に押し出し、絞り部(42)を通過する吸気の流速を速めることで、負圧室(32)内の負圧が大きくなるように負圧室(32)内の空気を連通路(42A)を介して吸気通路(60)に流出させ、負圧室(32)の負圧増大時には第2空気室(46)の負圧によって付勢手段(47)に抗して絞り部(42)を枠部(41)に収容させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、付勢手段と第2空気室内の負圧とによって絞り部の位置を自動的に変更することで倍力装置の負圧室内に必要な負圧を発生させる構成であり、従来手法よりも少ない部品点数、つまり簡素な構成とすることができる。
【0011】
また、絞り部は、第2空気室内の負圧が大きくなると枠部内に収容されるので、吸気に異物が混入した場合であっても、絞り部と吸気通路との間に異物が詰まることがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態における車両用の制動装置の概略構成図である。
【図2】制動装置の負圧発生装置の動作について説明する図である。
【図3】スロットル制御のメインルーチンについて説明するフローチャートである。
【図4】スロットル開度−吸気量特性線を示す図である。
【図5】第2実施形態の制動装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
【0014】
図1は、車両用の制動装置100の概略構成図である。
【0015】
制動装置100は、ブレーキペダル10と、マスターシリンダ20と、倍力装置30と、負圧発生装置40とを備える。
【0016】
ブレーキペダル10は、車室内に設けられ、運転者によって操作される。
【0017】
マスターシリンダ20は、ブレーキオイルをホイルシンダに圧送する装置である。ブレーキオイル圧は、ブレーキペダル10の踏込み量に応じて変化する。
【0018】
倍力装置30は、ブレーキペダル10とマスターシリンダ20との間に配置される。倍力装置30は、内部を変圧室31と負圧室32とに隔てるダイアフラム33と、プッシュロッド34とを備える。
【0019】
変圧室31は、大気弁35を介して外部と連通する。
【0020】
負圧室32は、第1負圧通路51及び第2負圧通路52を介して負圧発生装置40に連通する。負圧室32には、負圧発生装置40から負圧が導かれる。負圧室32は、プッシュロッド外周に設けられる真空弁36を介して変圧室31に連通する。
【0021】
プッシュロッド34は、倍力装置30内部を貫通する。プッシュロッド34の一端はブレーキペダル10に接続され、他端はマスターシリンダ20のピストンに接続される。プッシュロッド34は、連結部34Aを介してダイアフラム33に連結する。
【0022】
ブレーキペダル10が踏み込まれていない場合には、倍力装置30の大気弁35が閉弁して変圧室31と外部との連通が遮断され、真空弁36が開弁して変圧室31と負圧室32とが連通する。したがって変圧室31内の圧力と負圧室32内の圧力とは同じ負圧となる。
【0023】
これに対して、ブレーキペダル10が踏込まれた場合には、プッシュロッド34が図中左側に移動し、真空弁36が閉弁して変圧室31と負圧室32との連通が遮断され、大気弁35が開弁して変圧室31に大気が導入される。したがって、変圧室31内の圧力は大気圧となり、負圧室32内の圧力はブレーキペダル10を踏み込む前と同じ負圧のままとなる。これにより変圧室31と負圧室32との間に圧力差が生じ、この差圧がダイアフラム33に作用してプッシュロッド34を図中左側に移動させるときのアシスト力となる。
【0024】
このように倍力装置30は、負圧発生装置40からの負圧を倍力源として、運転者のブレーキペダル操作を補助する。
【0025】
負圧発生装置40は、エンジンに供給される吸気を流す吸気通路60に設けられる。負圧発生装置40は、倍力装置30の負圧室32の負圧状態に応じて負圧を発生させる装置であって、枠部41と絞り部42とを備える。
【0026】
枠部41は、円筒形状であって、吸気通路内部を臨むように吸気通路60に膨出して形成される。枠部41は、軸芯が吸気通路軸方向に対して直交するように形成される。
【0027】
絞り部42は、略円柱形状であって、枠部41に対して摺動可能に設けられる。絞り部42は、倍力装置30の負圧室32の負圧状態に応じて移動し、吸気通路60の吸気流通面積を変化させる。絞り部42の外周にはシール部材43が設けれ、このシール部材43によって絞り部42の外周と枠部41の内周との間がシールされる。
【0028】
絞り部42には連通路42Aが形成される。連通路42Aの一端は絞り部42の底面42Bに開口し、他端は先端面42Cに開口する。
【0029】
枠部41の内側は、隔壁44によって、第1空気室45と第2空気室46とに隔てられる。第1空気室45及び第2空気室46は、絞り部42の移動に応じて拡縮する。
【0030】
隔壁44は、筒状に形成され、一端が枠部41の底面41Aに接続し、他端が絞り部42の底面42Bに接続する。絞り部42の移動方向に隔壁44が伸縮できるように、隔壁44の側部は軸方向に沿って蛇腹状に形成される。
【0031】
第2空気室46内であって、枠部41の底面41Aと絞り部42の底面42Bとの間には、圧縮状態のバネ47が配置される。バネ47は、絞り部42を吸気通路60側に押し下げるように付勢する。
【0032】
第1空気室45は、絞り部42の連通路42Aを介して吸気通路60に連通するとともに、第1負圧通路51を介して倍力装置30の負圧室32に連通する。第1負圧通路51には、負圧室32側から第1空気室45側への空気の流れのみを許容する逆止弁51Aが設置される。
【0033】
第2空気室は、第2負圧通路52を介して倍力装置30の負圧室32に連通する。
【0034】
上記のように構成される負圧発生装置40の下流側の吸気通路60には、エアフローメータ61と、スロットルバルブ62とが設けられる。
【0035】
エアフローメータ61は、負圧発生装置40よりも下流側の吸気通路60に設置される。エアフローメータ61は、熱線式のエアフローメータであって、エンジンに供給される吸気の吸気流量を検出する。
【0036】
スロットルバルブ62は、エアフローメータ61よりも下流側の吸気通路60に設置される。スロットルバルブ62は、吸気通路60の吸気流通面積を変化させることで、エンジンに導入される吸気の吸気量を調整する。
【0037】
スロットルバルブ62のスロットル開度は、コントローラ70によって制御される。
【0038】
コントローラ70は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。
【0039】
コントローラ70には、エアフローメータ61と、スロットル開度を検出するスロットル開度センサ63とからの検出データがそれぞれ信号として入力する。コントローラ70は、これらの入力信号に基づいてスロットルバルブ62のスロットル開度を制御する。
【0040】
制動装置100では、ブレーキペダル10を踏込むと倍力装置30の変圧室31に大気圧が導入されるため、ブレーキペダル10が操作されるたびに負圧室32内の負圧は低下する。負圧室32内の負圧が低下すると倍力装置30におけるアシスト力が低下してしまうが、制動装置100では負圧室32内の圧力状態に応じて負圧発生装置40によって負圧を発生させるのでアシスト力の低下を抑制できる。
【0041】
図2を参照して、負圧発生装置40の動作について説明する。図2(A)は倍力装置30の負圧室32内の負圧が低下している場合を示し、図2(B)は倍力装置30の負圧室32内に十分に大きな負圧が確保されている場合を示す。
【0042】
ブレーキペダル10が操作されて倍力装置30の負圧室32内の負圧が低下すると、負圧発生装置40の絞り部42が、図2(A)に示すようにバネ47の反力によって吸気通路60側に押し出される。第1空気室45及び第2空気室46が拡大して絞り部42が押し出されると、吸気通路60の吸気流通面積が低下する。そうすると絞り部42の先端面42Cを通過する吸気の流速が高速化され、先端面42C側の連通路42Aの開口部分に負圧が発生する。これにより第1空気室45や第2空気室46、倍力装置30の負圧室32の内部の空気が吸気通路60側に吸い出され、倍力装置30の負圧室32内の負圧が大きくなる。第1負圧通路51には逆止弁51Aが設けられているので、負圧室32は負圧状態に維持される。
【0043】
倍力装置30の負圧室32内の負圧が大きくなると、負圧発生装置40の第2空気室46内の負圧も増大する。第2空気室46内の負圧が大きくなると、図2(B)に示すようにバネ47の反力に抗して絞り部42が枠部41内に引き込まれる。第1空気室45及び第2空気室46が縮小して絞り部42が枠部41内に収容されると、吸気通路60の吸気流通面積が増加するので、絞り部42による吸気流れの阻害が抑制される。絞り部42の全体が枠部41に収容された状態では、絞り部42の先端面42C側の連通路42Aの開口部分にはほとんど負圧が発生しない。
【0044】
制動装置100では、倍力装置30の負圧室32内の負圧が低下した場合に、負圧発生装置40によって自動的に負圧を発生させるので、倍力装置30のアシスト力が低下しないように負圧室32内を負圧状態に維持することができる。
【0045】
ところで、制動装置100を備えたエンジンでは、負圧発生装置40の下流側の吸気通路60にスロットルバルブ62が設けられる。そのためスロットル開度が一定開度に制御されていても、負圧発生装置40の絞り部42の位置に応じてエンジンに供給される吸気量が変化してしまう。つまり、絞り部42が吸気通路60側に突出している場合には吸気流れが阻害されて吸気量が低下し、エンジンの出力性能が悪化してしまう。
【0046】
そこで、本実施形態では、絞り部42が吸気通路60側に突出している場合にはスロットル開度を増大させることで、エンジンの出力性能の悪化の抑制を図る。
【0047】
図3は、コントローラ70が実行するスロットル制御のメインルーチンについて説明するフローチャートである。このメインルーチンは、エンジン運転中に一定間隔、例えば10ms間隔で繰り返し実行される。
【0048】
ステップ101では、コントローラ70は、吸気量検出値Qvとスロットル開度検出値THvとを算出し、ステップS102の処理を実行する。
【0049】
吸気量検出値Qvは、エアフローメータ61の検出値に基づいて算出される。また、スロットル開度検出値THvは、スロットル開度センサ63の検出値に基づいて算出される。
【0050】
ステップS102では、コントローラ70は、スロットル開度検出値THvに基づいて、絞り部42が全て枠部41内に収容されている時の吸気量(以下「最大吸気量」という)Qmaxを算出する。
【0051】
コントローラ70は、図4に示すようにスロットル開度−吸気量特性線をエンジン運転状態ごとに記憶している。線Aは絞り部42が全て枠部41内に収容されている時のスロットル開度−吸気量特性線であり、この線Aに基づいて最大吸気量Qmaxを算出する。
【0052】
なお、コントローラ70は、線B〜線Dに示すように絞り部42が吸気通路側に突出している場合のスロットル開度−吸気量特性線についても記憶している。線Dは、絞り部42が最も吸気通路側に突出している場合の吸気量特性線である。
【0053】
図3に戻り、ステップS103では、コントローラ70は、吸気量検出値Qvが最大吸気量Qmaxよりも小さいか否かを判定する。
【0054】
吸気量検出値Qvが最大吸気量Qmaxよりも小さい場合には、コントローラ70は、絞り部42が吸気通路60側に突出していると判定してステップS104の処理を実行する。それ以外の場合には、コントローラ70はスロットル開度を補正することなく処理を終了する。
【0055】
ステップS104では、コントローラ70は、吸気量が最大吸気量Qmaxとなるようにスロットル開度を増大させる。
【0056】
つまり、図4に示すように、吸気量検出値Qvとスロットル開度検出値THvとから負圧発生装置40の現在の絞り部位置における吸気量特性線を選び、その吸気量特性線において吸気量が最大吸気量Qmaxとなるようにスロットル開度を増大させる。負圧発生装置40の絞り部42が吸気通路60側に突出している場合にはスロットル開度を増大させるので、吸気量低下を抑制することができる。
【0057】
以上により、本実施形態では、下記の効果を得ることができる。
【0058】
制動装置100の負圧発生装置40では、倍力装置30の負圧室32内の負圧が低下した場合に、バネ47の反力によって絞り部42が吸気通路60側に押し出し、絞り部42の先端面42Cを通過する吸気の流速を早めるので、連通路42Aの開口部分に負圧を発生させることができ、負圧室32内の負圧を増大させることができる。倍力装置30の負圧室32内の負圧が増大して、負圧発生装置40の第2空気室46内の負圧が大きくなると、バネ47の反力に抗して絞り部42が枠部41内に収容されるので、絞り部42が吸気流れを阻害するのを抑制できる。
【0059】
負圧発生装置40は、バネ47と第2空気室46内の負圧とによって絞り部42の位置を自動的に変更することで必要な負圧を発生させる構成であり、従来手法よりも少ない部品点数、つまり簡素な構成とすることができる。また、負圧発生装置40の絞り部42は、第2空気室46内の負圧が大きくなると枠部41内に収容されるので、吸気に異物が混入した場合であっても、絞り部42と吸気通路60との間に異物が詰まることがない。
【0060】
負圧発生装置40をエアフローメータ61の下流側に設けると、負圧発生時に倍力装置30の負圧室32から吸い出される空気に起因してエアフローメータ61の測定精度が悪化する。本実施形態では、負圧発生装置40の下流側にエアフローメータ61を設置するので、エアフローメータ61の測定精度の悪化を抑制することができる。
【0061】
エアフローメータ61及びスロットルバルブ62の上流側の吸気通路60に設けられる負圧発生装置40を有する制動装置100を備えたエンジンの吸気制御装置では、絞り部42が吸気通路60側に押し出されている時に、吸気量検出値Qvとスロットル開度検出値THvとに基づいてスロット開度を増大させるように制御するので、負圧発生時における吸気量の低下を抑え、エンジン出力性能の悪化を抑制することができる。
【0062】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の制動装置100の概略構成図である。
【0063】
第2実施形態の制動装置100は、第1実施形態とほぼ同様の構成であるが、負圧発生装置40の枠部41及び絞り部42の構成において相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0064】
図5に示すように、負圧発生装置40の枠部41には、絞り部42の移動方向に連通管41Bが形成される。
【0065】
連通管41Bは、一端が第1負圧通路51と接続するように枠部41に形成され、他端が絞り部42の連通路42A内に挿入されるように形成される。連通管41Bの他端側の外周にはシール部材48が設けられ、このシール部材48によって連通管41Bの外周と連通路42Aの内周との間がシールされる。したがって、倍力装置30の負圧室32は、第1負圧通路51と連通管41Bと連通路42Aとを介して吸気通路60に連通する。
【0066】
上記のように制動装置100の負圧発生装置40の枠部41及び絞り部42を構成しても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
負圧発生装置40では、絞り部42は枠部41の側壁と連通管41Bに沿って摺動するので、移動方向に対して絞り部42を滑らかにスライドさせることができる。
【0068】
また、負圧発生装置40では、連通管41Bの外周にシール部材48を設けるので、第1実施形態のように絞り部の周囲にシール部材を設ける場合と比べてシーリング範囲を狭くすることができ、連通管41Bと連通路42Aとのシール性能を高めることができる。これにより負圧発生時に倍力装置30の負圧室32内の空気をより効率的に吸い出すことが可能となる。
【0069】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【符号の説明】
【0070】
100 制動装置
10 ブレーキペダル
20 マスターシリンダ
30 倍力装置
31 変圧室
32 負圧室
40 負圧発生装置
41 枠部
41B 連通管
42 絞り部
42A 連通路
43、48 シール部材
44 隔壁
45 第1空気室
46 第2空気室
47 バネ(付勢手段)
51 第1負圧通路
51A 逆止弁
52 第2負圧通路
60 吸気通路
61 エアフローメータ
62 スロットルバルブ
70 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負圧室内の負圧を利用してブレーキペダル操作を補助する倍力装置を有する制動装置において、
吸気通路内を臨むように吸気通路に形成される枠部と、
前記枠部内を摺動し、前記吸気通路の吸気流通面積を変更する絞り部と、
前記絞り部を吸気通路側に押し出すように付勢する付勢手段と、
前記枠部と前記絞り部とによって隔てられる空間を第1空気室と第2空気室とに仕切り、前記枠部の底面と前記絞り部の底面とに接続して前記絞り部の位置に応じて伸縮するように形成される隔壁と、
前記第1空気室と前記負圧室とを連通する第1負圧通路と、
前記第2空気室と前記負圧室とを連通する第2負圧通路と、
前記絞り部に形成され、前記第1空気室と前記吸気通路に開口する連通路と、を備え、
前記負圧室の負圧低下時には前記付勢手段によって前記絞り部を吸気通路側に押し出し、前記絞り部を通過する吸気の流速を速めることで、前記負圧室内の負圧が大きくなるように前記負圧室内の空気を前記連通路を介して前記吸気通路に流出させ、前記負圧室の負圧増大時には前記第2空気室の負圧によって前記付勢手段に抗して前記絞り部を前記枠部に収容させる、
ことを特徴とする制動装置。
【請求項2】
前記枠部には、前記負圧室から第1空気室側へ流れる空気を前記連通路に流すように、一端が前記第1負圧通路に接続され、他端が前記連通路の内部に挿入される連通管が形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の制動装置。
【請求項3】
前記第1負圧通路には、前記負圧室から第1空気室側への空気の流れのみを許容する逆止弁が設けられる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の制動装置。
【請求項4】
前記枠部よりも下流側の前記吸気通路には、エアフローメータが設けられる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の制動装置。
【請求項5】
前記エアフローメータよりも下流側の前記吸気通路には、スロットルバルブが設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の制動装置。
【請求項6】
請求項5に記載の制動装置を備えたエンジンの吸気制御装置において、
前記付勢手段によって前記絞り部が吸気通路側に押し出さされている時に、スロットルバルブ開度検出値と前記吸気量検出値とに基づいて前記スロットルバルブ開度を増大制御するスロットル制御手段を備える、
ことを特徴とするエンジンの吸気制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−188820(P2010−188820A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34326(P2009−34326)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】