説明

制御された崩壊特性を有するフィルム製品

本発明は、一般的には、障壁と共に制御された崩壊特性を有するフィルム、特に、制御された水崩壊性のフィルムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本一部継続出願は、2004年3月3日に出願された米国特許出願第10/792,362号の便益を請求するものであり、その全文は、参照することによりあたかも本明細書に記載される如く、本明細書に取り込まれている。
本発明は、一般的には、制御された崩壊特性に加えて障壁も有するフィルム、特に、制御された水崩壊性のフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
技術的には、ストリップ(strip)、フィルム、パッチ(傷当て)等を含む様々な局所適用の製品が知られている。これらの製品は、保護フィルムが推奨される場所又は薬剤もしくは医薬品の保持が望ましい場所に特に有用である。
フィルム状の保護剤は、外傷又は表面開口があり保護が必要な状況において、特に望ましい。或いは、適用部位(例えば、経皮投与部位)の洗浄又は拭き取りにより薬剤又は医薬品が容易に除かれる場所では、薬剤又は医薬品の機械的保持が特に望ましくなる。
ごく最近、ストリップ又はフィルム状の製品が口腔ケアの分野で新たな人気を呼んでいる。特に、歯を白くする領域並びに薬剤及び医薬品の口腔経皮送達の領域で関心が寄せられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
様々なストリップ又はフィルム状の製品が開示されているにも拘らず、使用がより簡単な、そしてその様な異物を体の敏感な部分に粘着させることに伴う一般的な不便又は不快感を軽減した、改良フィルム又はフィルム様組成物の必要性が依然残されている。
前述のフィルム又はストリップ製品について見られる1つの欠点は、局所的又は全身的作用物質の送達が終了した後、フィルム又はストリップ製品を最終的に剥ぎ取り、又は別の方法で取り除いて廃棄しなければならない必要性に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この欠点に対する対処において、本発明者らは、精選された水不溶性ポリマー、及び可塑剤、水不溶性微粒子又はその混合物から成る群から選択される崩壊促進剤を含むフィルム組成物が、良好な保護特性と共に改善された崩壊特性を有するフィルム組成物を提供することを見出した。
従って本発明の1つの側面は、異物、薬物又は活性物質がフィルムの片側から反対側に通過するのを阻止するような保護特性を有する、改良されたフィルム製品を提供するものである。
本発明の別の側面は、水性環境において制御された(或いは、延長型の又は長期の)崩壊又は溶解特性を有する、フィルム製品を提供することである。
本発明の更に別の側面は、局所的又は全身的作用物質を送達するための、フィルム製品を提供することである。
本発明のなお更に別の側面は、フィルムが水性環境で、60分以内に、場合により45分以内に、場合により30分以内に、場合により15分以内に崩壊する局所的又は全身的作用物質を送達するための、フィルム製品を提供することである。
【0005】
本発明は、少なくとも1つの水不溶性ポリマー、可塑剤、水不溶性微粒子又はそれらの混合物から成る群から選択される崩壊促進剤、及び、場合により、水性環境において部分的に、大部分、又は完全に崩壊し得る少なくとも1つの局所的又は全身的作用物質を含むフィルム組成物に関する。本発明のフィルム組成物は、単層フィルムとして、又は1つ又はそれ以上の追加のフィルム層と併せて、二層又は多層フィルムを形成させた製品として使用することができる。
【発明の効果】
【0006】
1つの実施態様において、本発明のフィルムは、接着性物質及び局所的又は全身的作用物質を含む接着剤組成物を含む単層フィルムの形態をとることができる。次いで、本フィルムは、歯、粘膜又は他の皮膚若しくは口腔内の患部に貼り付けられ、口腔内液又は他の水性媒体の存在下で時間と共に崩壊することが可能になる。
【0007】
別の実施態様において、本発明のフィルムは、二層フィルムの第一層又は裏打ち層を形成し、その第二層目はLeungらの米国特許第6,596,298号及びXuらの同第6,419,903号に記載されている様な水溶性ポリマーフィルムであり、両特許の全文は、参照することにより本明細書に取り込まれている。次いで、この二層フィルムは、歯、経口粘膜又は他の皮膚若しくは口腔内の他の患部に貼り付けられ、口腔内液又は他の水性媒体の存在で時間と共に崩壊することが可能になる。
同様に、本発明のフィルムを多層フィルム内に組み込み、上記のように使用して本発明の便益を得ることができる。
上記フィルム組成物の使用法も、又、開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のフィルム組成物は、本明細書に記載した発明の本質的要素及び限定、並びに追加の又は任意のいずれかの成分、要素、或いは本明細書に記載の限定を含み、それらから成り、又はそれらから本質的に成ることができる。
全てのパーセント、部及び比率は、特に規定しない限り、本発明の濡れフィルム組成物の総重量を基準にしたものである。列挙した成分に関する重量は全て、作用物質の水準を基準にしたものであり、従って、特に規定しない限り、市販の材料に含まれる担体又は副生成物を含まない。
【0009】
本明細書に用いる用語の「安全で効果的な量」とは、本明細書に開示された便益を独立に含む、例えば、歯のホワイトニング、抗菌及び/又は鎮痛の便益等の明確な便益を有意に誘導するのに十分であるが、しかし、重篤な副作用を回避するのに十分な程度に少ない、即ち、当業者の正しい判断の範囲内である、妥当な便益対リスク比を与える、局所的又は全身的作用物質等の化合物又は組成物の量、を意味する。
【0010】
本明細書に用いる用語の「接着剤」とは、局所塗布又は投与する部位に貼りつく能力がある如何なる材料又は組成物をも意味し、粘膜接着剤、感圧接着剤(加圧により接着する)、湿潤接着剤(水の存在で接着する)及び粘着性又は粘着型接着剤(表面と迅速な接触により接着する)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
本明細書に用いる用語の「異物」とは、埃、感染性微生物等を意味する。
場合により、本発明のフィルム組成物は、透明である。本明細書に定義した用語の「透明」は、肉眼による観察で透明から半透明の範囲を指す。
本発明のフィルム組成物を、その必須成分及び任意の成分を含めて、以下に詳細に説明する。
【0012】
水不溶性ポリマー
本発明のフィルム組成物は、水不溶性ポリマーを含む。好適な水不溶性ポリマーとしては、水素化植物油;ウッド・ロジン及びガム・ロジンのような天然ロジン;トウモロコシタンパク質、えんどう豆タンパク質又は大豆タンパク質等の植物性タンパク質;水素化ヒマシ油;ポリ塩化ビニル;セラック;ポリウレタン;セルロース又はエチルセルロース等のセルロース誘導体;ワックス;Eudragit RSの商標で販売されているもののようなポリマー類又はそれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
本明細書で使われる好適な水素化植物油として、水素化した形態の、ベニバナ油、ヒマシ油、ココナッツ油、綿実油、カノーラ油、ニシン油、パーム核油、ヤシ油、ピーナッツ油、大豆油、菜種油、アマニ油、米ぬか油、松根油、ゴマ油、ひまわり種子油及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
本明細書で使う好適なワックス(蝋)の例としては、パラフィン、カルナバ・ワックス、カンデリラ・ワックス、サトウキビ・ワックス、蜜蝋、セチルエステル・ワックス、モンタン・ワックス、Glycowax(登録商標)、キャスター・ワックス、鯨蝋、セラック・ワックス、マイクロクリスタリン・ワックス、ワセリン及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
Eudragitポリマー類は、アクリレート系及びメタアクリレート系の高分子ラッカー物質である。Eudragit RL及びRSの商標で販売されているポリマーは、低含量の第四級アンモニウム基を持つアクリル酸及びメタアクリル酸エステルの共重合体を含む樹脂であり、Rohm Pharma GmbHの冊子「Eudragit」(1982)に記載されており、そこには、これらの製品の詳細な物理的及び化学的データが示されている。アンモニウム基は塩として存在し、ラッカーフィルムの透過性を生み出す。Eudragit RL及びRSは、pHに関係なく、それぞれ自由に透過する(RL)もの及び僅かに透過する(RS)ものである。更なる水不溶性ポリマーは、米国特許第6,183,777号;同第4,721,619号及び同第6,251,427号に詳述されており、その各々の全文は、参照することによって本明細書に組み込まれている。
上記のどの成分の混合物も、又、同様に使用できる。
【0016】
或る実施態様においては、水不溶性ポリマーに、「Pharmaceutical Glaze」の名称で販売され、Mantrose Haeser Co., Attleboro, Maから供給されているシェラックを含めることができる。
本発明のフィルム組成物に組み込まれた場合、水不溶性ポリマーは、濡れたフィルム組成物の約10質量%から約80質量%、場合により約15質量%から約40質量%、及び、場合により約20質量%から約35質量%の濃度で存在する。
【0017】
崩壊促進剤
可塑剤又は可塑化剤
本発明のフィルム組成物は、又、可塑剤又は可塑化剤、水不溶性粒子又はそれらの混合物から成る群から選択される、少なくとも1つの崩壊促進剤を含む。
好適な可塑剤の例として、クエン酸アルキルエステル、グリセロール・モノオレエート及びグリセロール・モノステアレート等のグリセロール・エステル、フタル酸アルキルエステル、セバシン酸アルキルエステル、ショ糖エステル、ソルビタン・エステル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、グリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール200から12,000及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な可塑剤として、ラウリル酸、ショ糖、ソルビトール、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、トリアセチン(三酢酸グリセリン)、ポロキサマ、リン酸アルキルアリール、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、ポリソルベート、ポリエチレングリコール類のCarbwax(登録商標)シリーズ(Union Carbide Corporation)及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
或る実施態様においては、可塑剤に、Lonza Inc., Fair Lawn, NJから供給される食用の油脂又は油のモノ及びジグリセリド、又はEastman Chemical Company, Kingsport, TN
から供給されるEastman Triacetin(食品用)を含めることができる。
【0018】
本発明のフィルム組成物に組み込まれた場合、可塑剤は、濡れたフィルム組成物の約0.1質量%から約10質量%、好ましくは約0.1質量%から約5質量%、最も好ましくは約0.5質量%から約1.5質量%の濃度で存在する。
【0019】
水不溶性粒子
崩壊促進剤も、又、水不溶性粒子であっても良い。多種多様な有機粉末及び無機粉末を、水不溶性粒子として使用することができる。
本明細書で有用な無機粉末として、アルミナ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、粘土、雲母、ケイ灰石、珪藻土、各種無機酸化物顔料、酸化クロム、酸化セリウム、アイアンレッド、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ(コロイダル又はヒュームド)、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化チタン、カーボンブラック及びそれらの混合物の微細粒子又は顆粒が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で有用な有機粉末として、例えば、架橋及び非架橋ポリマー粉末、有機顔料、荷電調節剤及びワックス類が挙げられる。架橋及び非架橋樹脂粉末として、例えば、スチレン系、アクリル系、メタクリル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、シリコン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、エポキシ系、ポリビニルブチラール系、ロジン系、テルペン系、フェノール系、メラミン系及びグアナミン系の樹脂粉末が挙げられるが、これらに限定されない。上記のいずれの有機又は無機粉末の混合物も、使用することができる。本発明において有用な更なる粒子は、米国特許第6,475,500号;同第5,611,885号及び同第4,847,199号に記載されており、これらの各々の全文は、参照することにより本明細書に組み込まれている。
【0021】
本発明の水不溶性粒子は、一般に10μm未満、場合により約0.01μmから約5μm、場合により約0.1μmから約1μm、及び場合により約0.1μmから約0.5μmの粒径を有する。
或る実施態様においては、不溶性粒子に、Cabot, Tuscola, Illから供給されるCabosil M-5(ヒュームド未処理シリカ)を含めることができる。
本発明のフィルム組成物に組み込まれた場合、水不溶性粒子は、濡れたフィルム組成物の約0.1質量%から約20質量%、場合により約0.5質量%から約15質量%、及び場合により約1質量%から約10質量%の濃度で存在する。
【0022】
本発明のフィルムが、多層又は二層フィルムの第一層又は裏打ち層を形成する場合、この第一層又は裏打ち層の厚さは、場合により約1μmから約20μm、場合により約3μmから約15μm、場合により約5μmから約12μmに変動しても良い。追加のいずれの層も、その厚さは第一層又は裏打ち層の厚さの範囲と同じか、又は約30μmから約150μm、場合により約45μmから約130μm、場合により約70μmから約120μmに変動しても良い。
【0023】
任意の成分
種々の局所的及び全身的作用物質も、又、本発明のフィルムに組み入れることができる。本明細書で用いる用語の「局所的及び全身的作用物質」には、治療的、予防的及び美容的に活性な物質又はそれらの組成物が含まれる。それらの物質が対処できる状態の例として、歯に対する外観及び構造的変化、ホワイトニング、汚れの漂白、汚れ除去、歯垢除去、歯石除去、虫歯の予防及び治療、炎症を起こした及び/又は出血する歯肉、粘膜外傷、損傷、潰瘍、アフタ性潰瘍、ヘルペス、歯膿瘍、歯及び/又は歯肉の痛み、歯過敏症(例えば、温度変化に対する)及び上記の状態及び微生物繁殖等の他の原因で起こる口臭の除去が挙げられるが、その1つ又はそれ以上に限定されない。又、本発明のフィルムは、一般に、口唇及び皮膚の外傷、損傷、潰瘍、ヘルペス等の治療及び/又は予防に有用である。
【0024】
口腔内及び周辺に用いる好適な局所作用物質には、一般に口腔に使用して安全であると考えられ、口腔の健康全般に変化を与える物質が含まれる。本発明における局所的な口腔ケア作用物質の水準は、一般に濡れたフィルムの約0.01質量%から約40質量%、又は、場合により約0.1質量%から約20質量%にすることができる。
本発明の局所的な口腔ケア作用物質には、既にこの分野で開示された多くの作用物質が含まれる。以下に示すものは、本発明で使用することができる口腔ケア作用物質の非包括的なリストである。
精油を、本発明のフィルム中に含ませても、又は塗付(associated with)してもよい。本明細書で用いる好適な精油は、Leungらの米国特許第6,596,298号に詳述されており、その全文は、既に参照することにより本明細書に組み込まれている。
【0025】
歯のホワイトニング作用物質を、本発明のフィルムに含ませることができる。ホワイトニングのための好適な作用物質は、シュウ酸塩、過酸化物、金属亜塩素酸塩、パーフォレート(perforate)、パーカーボネート、ペルオキシ酸及びその混合物から成る群から選択される。好適な過酸化物化合物としては、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化ナトリウム、過酸化カルバミド、過酸化尿素、過炭酸ナトリウム及びそれらの混合物が挙げられる。場合により、過酸化物は過酸化水素である。好適な金属亜塩素酸塩には、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム及び亜塩素酸カリウムが挙げられる。更なるホワイトニング作用物質は次亜塩素酸塩及び二酸化塩素でも良い。好ましい亜塩素酸塩は亜塩素酸ナトリウムである。ホワイトニング作用物質の効果は、場合により、触媒、即ち、2成分過酸化物触媒系の作用で高めることができる。有用なホワイトニング剤としての触媒又は触媒的試薬は、McLaughlin, Geraldの米国特許第6,440,396号に記載されており、その全文は、参照することにより本明細書に組み込まれている。
【0026】
過酸化物作用物質を組み込む場合、本発明のフィルム組成物は、場合により、過酸化物作用物質の安定化剤を含んでも良い。本明細書で用いるのに好適な過酸化物作用物質の安定化剤には、PEG40又はPEG600等のポリエチレングリコール;クエン酸亜鉛等の亜鉛塩;ポリオキシアルキレン・ブロックポリマー(例えば、Pluronics);アミノカルボン酸又はその塩;グリセロール;Blue #1又はGreen #3等の染料;リン酸、リン酸ナトリウム又は酸性ピロリン酸ナトリウム等のホスフェート;塩化第一スズ等のスズ塩;スズ酸ナトリウム;クエン酸;エチドロン酸;Carbopol(登録商標)シリーズ、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその混合物等のカルボマー又はカルボキシポリメチレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書で有用な抗歯石剤には、ホスフェートが含まれる。ホスフェートとしては、ピロホスフェート、ポリホスフェート、ポリホスホネート及びそれらの混合物が挙げられる。ピロホスフェートは、歯科治療製品に使われるものの中で、最も良く知られている。歯に送達されるピロリン酸イオンは、ピロリン酸塩に由来する。本組成物に有用なピロリン酸塩には、ピロリン酸二アルカリ金属塩、ピロリン酸四アルカリ金属塩及びそれらの混合物が挙げられる。酸性ピロリン酸ナトリウム(Na2227)、ピロリン酸四ナトリウム(Na427)及びピロリン酸四カリウム(K427)の水和物と同様、無水物も好ましい。抗結石性ホスフェートには、ピロリン酸カリウム及びナトリウム;トリポリリン酸ナトリウム;エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホネート、1−アザシクロヘプタン−1,1−ジホスホネート、及び直鎖アルキルジホスホネート等のジホスホネート;直鎖カルボン酸並びにクエン酸のナトリウム及び亜鉛塩が挙げられる。
【0028】
ピロリン酸塩の代わりに又は併用して使われ得る薬剤には、ポリアクリレートを含む合成アニオンポリマー及び無水マレイン酸又はマレイン酸とメチルビニルエーテルとの共重合体のような物質(例えば、Gaffarらの米国特許第4,627,977号(その全文が参照することによって本明細書に組み込まれている)に記載されているGantrez)、並びに、例えば、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、クエン酸亜鉛・三水和物、ポリホスフェート(例えば、トリポリホスフェート;ヘキサメタホスフェート)、ジホスホネート(例えば、EHDP、AMP)、ポリペプチド(ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸等)及びそれらの混合物等の材料が含まれる。
【0029】
虫歯予防薬として、1つ又はそれ以上のフッ素イオン源を本フィルム組成物に組み入れることができる。フッ素イオンは、この目的のために多くの口腔ケア組成物中に含まれており、同様に、同じ方法で本発明に組み入れることができる。その様なフッ素イオン源の詳細な例は、Nairらの米国特許第6,121,315号に記載されており、その全文が、参照することによって本明細書に組み込まれている。
【0030】
又、本明細書で有用なものとして、歯の減感剤がある。本発明で使われる歯の減感剤には、硝酸カリウム、クエン酸、クエン酸塩、塩化ストロンチウム等、並びに業界で公知の他の減感剤が挙げられる。本発明の歯のホワイトニング組成物に含まれる他の減感剤の量は、硝酸カリウムの濃度、所望する強さ及び目標とする治療期間によって変動して良い。従って、もし仮に含まれるなら、別の減感剤は歯の減感組成物の約0.1質量%から約10質量%の範囲の量で含まれるのが好ましく、より好ましくは、濡れたフィルム組成物の約1質量%から約7質量%の範囲である。
【0031】
抗菌剤も、又、口腔薬又は局所皮膚及び/又は全身作用物質として、本発明のフィルム組成物内に存在させることができる。その様な薬剤には、通常トリクロサンと呼ばれる5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−フェノール、クロルヘキシジン、アレキシジン、ヘキセチジン、サンギナリン、塩化ベンザルコニウム、サリチルアミド、臭化ドミフェン、塩化セチルピリジウム(CPC)、塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);塩化N−テトラデシル−4−エチルピリジニウム(TDEPC);オクテニジン;デルモピノール、オクタピノール、及び他のピペリジノ誘導体、ナイアシン製剤;亜鉛/スズイオン剤;オーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシシリン、ミノサイクリン及びメトロニダゾール等の抗生物質;及び上記抗菌剤の類似体、誘導体及び塩並びにそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
抗炎症剤も、又、口腔薬又は局所皮膚及び/又は全身作用物質として、本発明のフィルム組成物内に存在させることができる。その様な薬剤には、プロピオン酸誘導体、酢酸誘導体、フェナミン酸誘導体、ビフェニルカルボン酸誘導体及びオキシカム等の非ステロイド性抗炎症剤、即ち、NSAIDが挙げられるが、これらに限定されない。これらのNSAIDの全ては、1991年1月15日発行のSunshineらの米国特許第4,985,459号に詳細に記載されており、その全文は、参照することによって本明細書に組み込まれている。有用なNSAIDの例には、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミクロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロクス酸及びそれらの混合物が挙げられる。同様に有用なのは、ハイドロコルチゾン等のようなステロイド性抗炎症薬、及びメロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、エトリコキシブ又はそれらの混合物のようなシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤である。上記のどの抗炎症剤の混合物も使用することができる。
【0033】
麻酔薬も、又、本明細書に組み入れることができる。好適な麻酔薬の例には、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、ブタカイン、塩酸ジブカイン、ジクロニン、リドカイン、メピバカイン、プロカイン、プロパニジド、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポフォール、塩酸プロポキシカイン、プソイドコカイン、塩酸テトラカイン及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
上気道作用物質も、又、本明細書で使うことができる。その様な作用物質の例には、充血緩和剤使用として全身的又は局所的に投与される交感神経様作用薬があり、プロピルヘキセドリン、フェニレフリン、フェニルプロパノラミン、プソイドエフェドリン、塩酸ナファゾリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸キシロメタゾリン及び塩酸エチルノルエピネフリン;抗ヒスタミン剤は、クロロフェニラミン、ブロモフェニラミン、クレマスチン、ケトチフェン、アザタジン、ロラタジン、テルフェナジン、セチリジン、アステミゾール、タジフィリン、レボカバスチン、ジフェンヒドラミン、テメラスチン、エトロチフェン、アクリバスチン、アゼラスチン、エバスチン、メキタジン、ミゾラスチン、レボセチリジン、フランカルボン酸モメタゾン、カレバスチン、ラマトロバン、デスロラタジン、ノベラスチン、セレノチフェン、アリナスチン、エフレチリジン、トリトクアリン、ノラステミゾール、タゴリジン、エピナスチン、アクリバスチン及びそれらの混合物;デキストロメトルファン、ベンゾナテート及びギフネシン等の鎮咳薬、及びそれらの混合物が挙げられる。他の有用な上気道作用物質は米国特許第4,619,934号に記載されており、その全文は、参照することによって本明細書に組み込まれている。
【0035】
胃腸作用物質も組み入れることができる。好適な胃腸作用物質の例には、アトロピン、クリジニウム及びジシクロミンを含む抗コリン作用薬;水酸化アルミニウム、次サリチル酸ビスマス、ラニチジンクエン酸ビスマス、次クエン酸ビスマス、次硝酸ビスマス、オクタ硫酸ショ糖アルミニウム又はオクタ硫酸ショ糖ビスマス等の多硫酸糖のアルミニウム又はビスマス塩等の塩基性ビスマス塩、シメチコン、炭酸カルシウム及びマガルドレートを含む制酸剤(他の制酸剤の例は、21CFR 331, 11に記載されており、これは参照することにより本明細書に組み込まれている);シメチジン、ファモチジン、ニザチジン及びラニチジンを含むH(2)受容体アンタゴニスト;ビサコジル、ピコスルフェート及びカサントロールを含む便秘薬(他の便秘薬の例は、Federal Registry, Vol. 50, No. 10, Jan. 15, 1985, pp. 2152-58に記載されており、この文献は参照することにより本明細書に組み込まれている);スクラルフェート及びスクラルフェート湿潤ゲルを含む胃保護剤;シサプリド、メトクロプラミド及びエイサプロドを含む胃運動及び運動促進剤;オメプラゾール、ランゾプラゾールを含むプロトンポンプ阻害剤;及びジフェノキシレート及びロペラミドを含む下痢止め薬;アモキシシリン、メトロニダゾール、エリスロマイシン、又はニトロフラントイン等の潰瘍誘導性生物Heliobacter pyloriに対する静菌又は殺菌作用を持つ薬剤及び米国特許第5,256,684号(その全文は参照することにより本明細書に組み込まれている)に公開され、H. pyloriを治療する他の薬剤;アミロペクチン、カラギーナン、硫酸デキストリン、イノシトール六リン酸、又は他の類似薬剤及びそれらの混合物を含む、潰瘍及び他の胃腸疾患の治療に有用なポリアニオン性の材料が挙げられる。
【0036】
栄養素は、口腔の状態を改善するので、本発明の口腔ケア物質又は組成物に含めることができる。栄養素の例としては、ミネラル、ビタミン、経口栄養補給剤、経腸栄養補給剤及びそれらの混合物が挙げられる。
ニコチン等の禁煙剤も、又、本発明のフィルム組成物に組み入れることができる。
単一の酵素又は数種の適合する酵素の組み合わせも、又、本発明の口腔ケア物質又は組成物に含めることができる。
酵素は、生体装置における化学反応の生物学的触媒である。酵素は基質と結合し、中間体の酵素−基質複合体を形成する。次に、この複合体は反応生成物と特異的な酵素機能を保った遊離の酵素に変換される。
【0037】
酵素は、口腔の洗浄に使うと幾つかの利点がある。プロテアーゼは、歯の表面に吸着し薄膜となり、歯垢の第一層を形成する唾液タンパク質を分解する。プロテアーゼは、リパーゼと共に、細菌の細胞壁及び膜の構造成分を形成するタンパク質及び脂質を溶解して細菌を死滅させる。デキストラナーゼは、微生物付着のためのマトリックスを形成する細菌により産生される有機骨格構造を崩壊させる。プロテアーゼ及びアミラーゼは、プラーク形成の予防だけでなく、カルシウムを結合する炭水化物−タンパク質複合体を分解することによって石化を抑え、結石の進行を防止する。本発明に有用な酵素としては、市販の、プロテアーゼ、グルカノヒドロラーゼ、エンドグリコシダーゼ、アミラーゼ、ムタナーゼ、リパーゼ及びムチナーゼ又はそれらの適合する混合物が挙げられる。好ましいのは、プロテアーゼ、デキストラナーゼ、エンドグリコシダーゼ及びムタナーゼであり、最も好ましいのはパパイン、エンドグリコシダーゼ、リゾチーム又はデキストラナーゼとムタナーゼの混合物である。
【0038】
本発明に用いることができる他の材料には、一般に知られる口内及び咽喉頭用の製品が含まれる。それらの製品には、抗真菌剤、抗生物質及び鎮痛剤が挙げられるが、これらに限定されない。抗酸化剤は、一般に、本発明の組成物のような組成物に有用であると認識されている。本発明の口腔ケア組成物又は物質に含めてもよい抗酸化剤には、ビタミンE、アスコルビン酸、尿酸、カロチノイド、ビタミンA、フラボノイド及びポリフェノール、ハーブ系抗酸化剤、メラトニン、アミノインドール、リポ酸及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
ヒスタミン−(H−2)受容体アンタゴニスト化合物(H−2アンタゴニスト)は、本発明の口腔ケア組成物に使うことができる。本明細書で使う、選択的H−2アンタゴニストはH−2受容体を遮断する化合物であり、ヒスタミン−(H−1)受容体の遮断に対して有意な活性を持たない。
更なる有用な作用物質は、米国特許第6,638,528号に記載されており、その全文は参照することにより本明細書に組み込まれている。
又、もう1つの担体材料を、本発明のフィルム組成物に加えることができる。それらの材料は、上に述べた特性以外の特性のための付加的な成分として添加されるもので、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール等の湿潤剤が含まれる。フィルム組成物は、その物質の放出及び/又は活性を変えるための、例えば触媒及び/又は強化剤等の、1つ又はそれ以上の物質増強剤と共に、その物質それ自体を含んでもよい。
【0039】
本発明のフィルム組成物は、更に、例えばフィルム表面に堆積又はフィルム本体に浸透させる香料、顔料等の付加的な物質を含んでもよい。局所的又は全身的作用物質は、好ましくは歯のホワイトニング物質である。歯のホワイトニング物質は、過酸化物含有ゲルの形態をとってもよい。好適なゲルは、過酸化水素又は有機過酸化物等の過酸化物を含んだグリセロールに基づくことができる。好適なゲルは、米国特許出願第3,657,413号に公開されたもので、例えば、PROXIGELの商標でThe Block Drug Company (USA) (GlaxoSmithKline plcによる吸収以降)から販売されているものである。他の好適な過酸化物含有ゲルは、例えば、上に引用した技術文献に公開されている。このフィルムは、その表面に堆積した局所的又は全身的作用物質を有することができる。
【0040】
pH調整剤も、ゲルの保存安定性を最適化するため、及び本物質を口腔組織に対して安全にするために添加することができる。それらのpH調整剤、即ち、緩衝化剤は、口腔ケア物質のpHを調整するのに好適な材料であればよい。好適な材料には、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、タンニン酸ナトリウム、トリエタノールアミン、クエン酸、塩酸、クエン酸ナトリウム及びそれらの混合物が挙げられる。pH調整剤は、物質又は組成物のpHを好適な値、例えば、約4.5から約11に、好ましくは約5.5から約8.5に、そしてより好ましくは約6から約7に調製するのに十分な量が添加される。pH調整剤は、一般に、口腔ケア物質の約0.01質量%から約15質量%、好ましくは約0.05質量%から約5質量%の量で存在する。
【0041】
例えば、ゲルは、上記したように、1つの層としてフィルム層の表面に堆積させることができる。或いは、ゲルは、上記のフィルム層に吸収させても、フィルム材のバルク中に浸透させても、又は、多層フィルムの層間に堆積させても良い。
上記のように、物質をフィルム材の表面に堆積させる方法には、例えばサイロスクリーン(silo screen)印刷等の印刷、含浸ローラー間の通過、ポンプ及びノズルによる注入、噴霧、浸漬等が知られている。同様に、物質をフィルム材のバルクに含浸させる方法として、例えば、本物質を先ずストリップ原料に混合し次いでストリップを形成させる方法、又は物質がストリップ内に浸透して行く条件下でストリップを物質に暴露する方法が知られている。或いは、フィルム材の1例として発泡材、特に連続気泡発泡材があり、本物質を、発泡体の気泡内に導入することにより、ストリップ材中に含浸させることができる。
【0042】
もう1つの別の実施態様において、本発明のフィルムは、二層フィルムの第一層又は裏打ち層を形成し、その第二層目はLeungらの米国特許第6,596,298号及びXuらの同第6,419,903号に記載されている様な水溶性ポリマーフィルムであり、両特許の全文は参照することにより本明細書に組み込まれている。次いで、二層フィルムは、歯、口腔粘膜又は他の皮膚或いは口腔内の患部に貼られ、口腔内液又は他の水性媒体の存在で時間と共に崩壊することができる。
又、本発明のフィルム層は、Repkaらの米国特許第6,375,963B1号(その全文は、参照することにより本明細書に取り込まれている)に記載されている様な、熱熔融押出し技術を用いて製造することができる。
【0043】
本発明のデバイスには、1つ又はそれ以上の目視可能な記号、例えば、指示事項、商標、会社ロゴ、着色領域、使用者がデバイスを適正な配置で歯に粘着させるための補助になる明瞭な線又は切れ込み等の位置合わせの特徴を付けることができる。その様な位置合わせの特徴には、例えば、デバイスを歯に粘着させておく間、本デバイスのどちら側を上にして接着すべきか、又は一対のデバイスの、どちらが上歯用でどちらが下歯用かを使用者に示す記号等が含まれる。この方法は、デバイスを、見た目に魅力的に及び/又は使用をより容易なものにし得る。その様な記号は、例えばシルクスクリーン印刷、インクジェット印刷等の従来の印刷又はエンボス加工によって、吸収材の層が付いている面の反対側の、塑性変形可能な材料の表面に付けることができる。
【0044】
この表面にその様な明瞭な記号が付けられれば、場合により、例えばそれを保護するために、被覆層で記号を覆うことができる。この被覆層は、この層を通して明瞭な記号が見えるように、透明又は半透明が良い。それらの被覆層は、場合により、被覆層の材料をフィルムに接触させ、例えばロールがけ等の圧力によってフィルムに付与することができる。
【0045】
局所的又は全身的作用物質の送達法
本発明は、局所的な活性又は適正な全身的吸収のために、局所的又は全身的作用物質の保持が要求される部位に使うことができる。本発明のフィルム組成物は、歯の表面のホワイトニングに特に有用である。一般に、歯のホワイトニング作用物質の送達は、歯又は歯肉に対して安全で有効な量の作用物質を含む本発明のフィルムを、局所的に貼付することを包含し、その方法は、米国特許第5,894,017号;同第5,891,453号;同第6,045,811号及び同第6,419,906号に記載されており、その各々は、全文が参照することにより本明細書に取り込まれている。貼付の頻度及び使用期間は、必要な又は所望する治療の水準、例えば歯のホワイトニングの程度及び/又は局所的な創傷治癒の程度/望ましい消毒によって、非常に異なる。
【0046】
パッチとして皮膚又は粘膜に貼付する場合、本発明のフィルムは、より集中的な治療を必要とする問題の皮膚領域のため、又は薬剤を経皮送達するために有用である。パッチは、密封性、半密封性又は非密封性であっても良い。本発明の局所的又は全身的作用物質は、フィルムの内部に含ませるか又は表面に被覆させるか、或いはフィルムを貼付する前に皮膚に塗布することができる。又、本フィルムは、貼付部位が乾燥したときに膜が形成されるように、湿らせて貼付することができる。本フィルムは、又、BurkettらのPTC国際特許公報第9701313号に記載されているような、発熱反応の化学開始剤のような作用物質を含むことができる。場合により、本フィルムは、夜間療法として、夜に貼付することができる。有用な経皮送達システムの例は、米国特許第3,598,122号;同第3,598,123号;同第3,731,683号;同第3,797,494号;同第4,286,592号;同第4,314,557号;同第4,379,454号;同第4,435,180号;同第4,559,222号;同第4,568,343号;同第4,573,999号;同第4,588,580号;同第4,645,502号;同第4,704,282号;同第4,816,258号;同第4,849,226号;同第4,908,027号;同第4,943,435号及び同第5,004,610号に記載されており、それらの全ては、全文が参照することにより本明細書に組み込まれている。一般の経皮送達に関連する作用物質は、米国特許第5,843,468号及び同第5,853,751号に記載されており、その両者は、それらの全文が参照することにより本明細書に組み込まれている。
【0047】
〔実施例〕
以下の実施例で説明するフィルム組成物は、本発明のフィルム組成物の特定の実施態様を説明するものであり、これに限定することを意図するものでない。当業者による他の変更は、本発明の精神及び範囲を超えることなく行うことができる。
例示した全てのフィルム組成物は、従来の製剤技術及び混合技術によって製造することができる。成分量は質量パーセントで記載し、希釈剤、増量剤等の副次的な材料は除外した。従って、記載された処方には、記載された成分及びその成分に関連する何らかの副次的な材料が含まれる。
【実施例1】
【0048】
以下は、本発明の単体フィルムの一例である。
【表1】

【0049】
好適なビーカー内で、ザイン、シリカ、アルコール、グリセリン及び水を、均一で均質になるまで混合した。
ビーカーの内容物を、室温で非粘着表面又はシート上に、所望する厚さに流延し、発明品を形成した。
【実施例2】
【0050】
以下は、本発明の単体フィルムの一例である。
【表2】

【0051】
好適なビーカー内で、Capol 150、シリカ及びアルコールを均一で均質になるまで混合した。
ビーカーの内容物を、非粘着表面又はシート上に、所望する厚さに室温で流延し、発明品を形成した。
【実施例3】
【0052】
以下は、本発明の塗布フィルムを形成する組成物の一例である。
【表3】

【0053】
好適なビーカー内で、薬用釉薬(Pharmaceutical Glaze)、ステアリン酸マグネシウム、トリアセチン及びアルコールを、均一で均質になるまで混合した。
次いで、ビーカーの内容物を、後に消費者が、塗布フィルムとして、皮膚、歯又は口腔粘膜に塗布するための好適な密封容器に入れた。
【実施例4】
【0054】
以下は、本発明の二層の歯のホワイトニングフィルムの一例である。
【表4】

【0055】
好適なビーカー(Aビーカー)に、水、スクラロース、リン酸二水素カリウムを加え、混合物が均質になるまで混ぜ合わせた。
別のビーカー(Bビーカー)で、キサンタン・ガム、ローカストビーン・ガム、カラギーナン、プルラン及びプラスドンK−90を乾燥混合し、混合物が均質になるまで混ぜ合わせた。Bビーカーの内容物を、急速に混合又は攪拌しながらAビーカーに混ぜ込んだ。併せた混合物は、ガムが水和するまで混ぜ合わせた。併せた混合物に、攪拌しながら、過酸化水素をゆっくり加えた。
別のビーカー(Cビーカー)で、香味料、ポリソルベート80、グリセリン及びAtmos 300を、溶解して均一になるまで混ぜ合わせた。Cビーカーの内容物をAビーカーに注ぎ入れ、混合物が均一で均質になるまで混ぜ合わせた。次に、1.0N水酸化ナトリウムを用いて、pHを約5.5に調整した。
更に別のビーカー(Dビーカー)で、薬用釉薬、Cabosil、アルコール及びステアリン酸グリセリルを、均一で均質になるまで混ぜ合わせた。
次いで、Dビーカーの内容物を、非粘着面に室温で所望する厚さに流延し、発明フィルム、即ち、二層の歯のホワイトニングフィルムの第一層を形成した。
次いで、Aビーカーの内容物を、上記の第一層の上に所望する厚さに室温で流延し、二層の歯のホワイトニングフィルムの第二層を形成した。
【実施例5】
【0056】
以下は、本発明の二層の歯のホワイトニングフィルムの一例である。
【表5】

【0057】
好適なビーカー(Aビーカー)に、水、スクラロース、リン酸二水素カリウムを加え、混合物が均質になるまで混ぜ合わせた。
別のビーカー(Bビーカー)で、キサンタン・ガム、ローカストビーン・ガム、カラギーナン及びプラスドンK−90を乾燥混合し、混合物が均質になるまで混ぜ合わせた。Bビーカーの内容物を、急速に混合又は攪拌しながらAビーカーに混ぜ込んだ。併せた混合物は、ガムが水和するまで混ぜ合わせた。併せた混合物に、攪拌しながら、過酸化水素をゆっくり加えた。
別のビーカー(Cビーカー)で、香味料、ポリソルベート80、グリセリン及びAtmos 300を、溶解して均一になるまで混ぜ合わせた。次いで、Cビーカーの内容物をAビーカーに注ぎ入れ、混合物が均一で均質になるまで混ぜ合わせた。次いで、1.0N水酸化ナトリウムを用いて、pHを約5.5に調整した。
更に別のビーカー(Dビーカー)で、薬用釉薬、Cabosil、アルコール及びステアリン酸グリセリルを、均一で均質になるまで混ぜ合わせた。
次いで、Dビーカーの内容物を、非粘着面に所望する厚さに室温で流延し、発明フィルム、即ち、二層の歯のホワイトニングフィルムの第一層を形成した。
次いで、Aビーカーの内容物を、上記の第一層の上に室温で所望する厚さに流延し、二層の歯のホワイトニングフィルムの第二層を形成した。
【実施例6】
【0058】
以下は、本発明の二層の歯のホワイトニングフィルムの1例である。
【表6】

【0059】
好適なビーカー(Aビーカー)に、水、スクラロース、リン酸二水素カリウムを加え、混合物が均質になるまで混ぜ合わせた。
別のビーカー(Bビーカー)で、キサンタン・ガム、ローカストビーン・ガム、プルラン及びプラスドンK−90を乾燥混合し、混合物が均質になるまで混ぜ合わせた。Bビーカーの内容物を、急速に混合又は攪拌しながらAビーカーに混ぜ込んだ。併せた混合物は、ガムが水和するまで混ぜ合わせた。併せた混合物に、攪拌しながら、過酸化水素をゆっくり加えた。
別のビーカー(Cビーカー)で、香味料、ポリソルベート80、グリセリン及びAtmos300を、溶解して均一になるまで混ぜ合わせた。次いで、Cビーカーの内容物をAビーカーに注ぎ入れ、混合物が均一で均質になるまで混ぜ合わせた。次いで、1.0N水酸化ナトリウムを用いて、pHを約5.5に調整した。
更に別のビーカー(Dビーカー)で、薬用釉薬、Cabosil、アルコール及びステアリン酸グリセリルを、均一で均質になるまで混ぜ合わせた。
次いで、Dビーカーの内容物を、非粘着面に目的の厚さに室温で流延し、発明フィルム、即ち、二層の歯ホワイトニングフィルムの第一層を形成した。
次いで、Aビーカーの内容物を、上記の第一層の上に所望する厚さに室温で流延し、二層の歯のホワイトニングフィルムの第二層を形成した。
【実施例7】
【0060】
以下は、本発明の二層の歯のホワイトニングフィルムの1例である。
【表7】

【0061】
好適なビーカー(Aビーカー)に、水、スクラロース、リン酸二水素カリウムを加え、混合物が均質になるまで混ぜ合わせた。
別のビーカー(Bビーカー)で、澱粉ゴム、アラビアゴム、プルラン及びプラスドンK−90を乾燥混合し、混合物が均質になるまで混ぜ合わせた。Bビーカーの内容物を、急速に混合又は攪拌しながらAビーカーに混ぜ込んだ。併せた混合物は、ガムが水和するまで混ぜ合わせた。併せた混合物に、攪拌しながら、過酸化水素をゆっくり加えた。
別のビーカー(Cビーカー)で、香味料、ポリソルベート80、グリセリン及びAtmos300を、溶解して均一になるまで混ぜ合わせた。次に、Cビーカーの内容物をAビーカーに注ぎ入れ、混合物が均一で均質になるまで混ぜ合わせた。次いで、1.0N水酸化ナトリウムを用いて、pHを約5.5に調整した。
更に別のビーカー(Dビーカー)で、薬用釉薬、Cabosil、アルコール及びステアリン酸グリセリルを、均一で均質になるまで混ぜ合わせた。
次いで、Dビーカーの内容物を、非粘着面に所望する厚さに室温で流延し、発明フィルム、即ち、二層の歯のホワイトニングフィルムの第一層を形成した。
次いで、Aビーカーの内容物を、上記の第一層の上に所望する厚さに室温で流延し、二層の歯のホワイトニングフィルムの第二層を形成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つの水不溶性ポリマー;
b)少なくとも1つの、水不溶性微粒子、可塑剤及びその混合物から成る群から選択される崩壊促進剤;
c)場合により、少なくとも1つの局所的又は全身的作用物質;
を含む、フィルムが水性環境において崩壊し得るフィルム組成物。
【請求項2】
水不溶性ポリマーが、水素化植物油、水素化ヒマシ油、塩化ポリビニル、セラック、ポリウレタン、セルロース誘導体、ガム・ロジン、ウッド・ロジン、ワックス、アクリレート及びメタクリレートポリマー、アクリル酸及びメタクリル酸エステルの共重合体又はそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載のフィルム組成物。
【請求項3】
水不溶性ポリマーがセラックである、請求項2に記載のフィルム組成物。
【請求項4】
可塑剤が、クエン酸アルキルエステル、グリセロール・エステル、フタル酸アルキルエステル、セバシン酸アルキルエステル、ショ糖エステル、ソルビタン・エステル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、グリコール、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、ポロキサマー、リン酸アルキルアリール、ポリエチレングリコール200から12,000及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載のフィルム組成物。
【請求項5】
可塑剤がグリセロール・モノステアレートである、請求項4に記載のフィルム組成物。
【請求項6】
水不溶性微粒子が、アルミナ、タルク、二酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、粘土、雲母、ケイ灰石、珪藻土、各種無機酸化物顔料、酸化クロム、酸化セリウム、アイアンレッド、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化チタン、カーボンブラック及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載のフィルム組成物。
【請求項7】
水不溶性ポリマーがヒュームド・シリカである、請求項6に記載のフィルム組成物。
【請求項8】
少なくとも1つの局所的又は全身的作用物質を更に含む、請求項1に記載のフィルム組成物。
【請求項9】
局所的又は全身的作用物質が、ホワイトニング剤、抗歯石剤、フッ素イオン源、抗菌剤、抗炎症剤、上気道薬、胃腸薬、酵素、抗真菌剤、抗生物質、鎮痛剤、ヒスタミン・アンタゴニスト及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載のフィルム組成物。
【請求項10】
少なくとも一層が、
a)少なくとも1つの水不溶性ポリマー;
b)水不溶性微粒子、可塑剤又はその混合物から成る群から選択される少なくとも1つの崩壊促進剤;そして
c)場合により、少なくとも1つの局所的又は全身的作用物質;
を含み、水性環境において崩壊し得る、少なくとも2つのフィルム層を含む多層フィルム組成物。
【請求項11】
少なくとも1つの局所的又は全身的作用物質を更に含む、請求項10に記載のフィルム組成物。
【請求項12】
局所的又は全身的作用物質が、ホワイトニング剤、抗歯石剤、フッ素イオン源、抗菌剤、抗炎症剤、上気道薬、胃腸薬、酵素、抗真菌剤、抗生物質、鎮痛剤、ヒスタミン・アンタゴニスト及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項11に記載のフィルム組成物。
【請求項13】
局所的又は全身的作用物質がホワイトニング剤である、請求項12に記載のフィルム組成物。
【請求項14】
ホワイトニング剤が、過酸化物、金属亜塩素酸塩、パーフォレート、パーカーボネート、ペルオキシ酸及びその混合物から成る群から選択される、請求項13記載のフィルム組成物。
【請求項15】
ホワイトニング剤が過酸化水素である、請求項14に記載のフィルム組成物。

【公表番号】特表2007−526296(P2007−526296A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501366(P2007−501366)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000451
【国際公開番号】WO2005/092272
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミテッド ライアビリティー カンパニー (167)
【Fターム(参考)】