説明

制御装置、画像形成装置およびプログラム

【課題】画像形成装置において、記録媒体を供給する際の操作が画像形成に影響しないようにする。
【解決手段】制御部80は、レベルセンサ22により挿入口10に用紙ケース20が挿入されたと判断すると、その時刻に基づいて画像形成装置1に振動が生じる可能性が高い時刻である振動発生予測時期を予測する。そして、制御部80は、画像形成ユニット13が行っている露光処理が終了するまでの間に振動発生予測時期が到来すると判定した場合には、制御部80は、その露光処理を中止し、画像形成ユニット13をクリーニングするとともに、ベルトクリーナ49によって、中間転写ベルト41の表面をクリーニングする。そして、制御部80は、予測した振動発生予測時期に予め定められた待機時間を加算した時刻に露光処理を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、画像形成装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、大量印刷のために、例えば用紙トレイとか用紙ケースと呼ばれる、記録媒体の収容手段を複数備えているものがある。このような画像形成装置は、例えば、複数の挿入口を備え、用紙を収容した用紙ケースを各挿入口に挿入し、これらの用紙ケースのうちのいずれかから画像形成装置へ用紙を供給する。そして、1つの用紙ケースに収容されている用紙が無くなったとしても、画像形成エンジンに対する用紙の供給源を他の用紙ケースに切り替えることで、画像形成処理を継続可能となっている。こういった画像形成装置は、使用中の用紙ケースに収容されている記録媒体の残量を検知して、残量が少なくなったときにユーザに他の用紙ケースの準備するように指示することが一般的である。このような指示を受けると、ユーザは例えば他の用紙を挿入口に挿入するなどして、十分な量の用紙を準備する。
【0003】
ところで、電子写真方式の画像形成装置は、複写原稿から画像を読み取る工程や、画像を感光体上に静電潜像として形成する工程を行うべく、光学系の機構を備えている。これらの光学系機構は光源と照射対象との位置関係が変動するとその機能が果たせず、画像の乱れを生じさせる場合がある。
ところが、上述したようにユーザが他の用紙ケースを挿入する際に、例えば挿入口の奥の部材と用紙ケースとがぶつかったときの衝撃で画像形成装置に振動が発生し、上記の光源と照射対象との位置関係が変動することがある。これにより、画像に歪みや乱れが生じる。このような問題を解決する手段として、例えば特許文献1には、スキャナ読み取り中において給紙ユニットをロックする機構を設ける技術が記載されている。特許文献2には、振動検知センサを設け、トレイ昇降駆動速度が和らぐよう制御する技術が記載されている。特許文献3には、用紙の給紙方向を縦横に変更できる回転機構を設け、用紙がなくなることを検出するとサイズは同じで給紙方向が異なる給紙ユニットを、その給紙方向を変更して使用する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−77938号公報
【特許文献2】特開2007−106539号公報
【特許文献3】特開平4−112150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、画像形成装置において、記録媒体を供給する際の操作が画像形成に影響しないようにする制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明に係る制御装置は、記録媒体を収容する収容手段が挿入される挿入口に当該収容手段が挿入されたことを検知する検知手段と、前記検知手段が検知した時期に基づいて、振動が発生する振動発生時期を予測する予測手段と、前記挿入口に挿入された収容手段とは異なる記録媒体の供給源から供給される前記記録媒体に画像形成手段が画像を形成している期間中に、前記予測手段が予測した前記振動発生時期が到来するか否かを判定する判定手段と、前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定された場合に、当該画像の形成を行わせないように前記画像形成手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る制御装置は、記録媒体を収容する収容手段が挿入される挿入口に当該収容手段が挿入されたことを検知する検知手段と、前記検知手段が検知した時期に基づいて、振動が発生する振動発生時期を予測する予測手段と、前記挿入口に挿入された収容手段とは異なる記録媒体の供給源から供給される前記記録媒体に画像形成手段が画像を形成している期間中に、前記予測手段が予測した前記振動発生時期が到来するか否かを判定する判定手段と、前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定された場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様と、前記期間中に前記振動発生時期が到来しないと前記判定手段によって判定された場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様とを異ならせるように、前記記録媒体を排出する排出手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記制御手段は、前記画像形成手段が前記画像を形成する時期を、前記予測手段が予測した前記振動発生時期から予め定めた期間が経過するまで延期させるとよい。
【0009】
また、好ましくは、画像の種類のそれぞれに対応付けて、前記制御手段による制御を行うか否の指示を示す指示情報を記憶する記憶手段を具備し、前記制御手段は、前記画像形成手段が形成する画像の種類を特定し、前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定され、かつ、特定された前記画像の種類に対応付けて前記記憶手段により記憶された指示情報が、前記制御手段による制御を行う指示を示す場合に、当該画像の形成を行わせないように前記画像形成手段を制御するとよい。
【0010】
また、好ましくは、画像の種類のそれぞれに対応付けて、前記制御手段による制御を行うか否かの指示を示す指示情報を記憶する記憶手段を具備し、前記制御手段は、前記画像形成手段が形成する画像の種類を特定し、前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定され、かつ、特定された前記画像の種類に対応付けて前記記憶手段により記憶された指示情報が、前記制御手段による制御を行う指示を示す場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様と、前記期間中に前記振動発生時期が到来しないと前記判定手段によって判定された場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様とを異ならせるように、前記記録媒体を排出する排出手段を制御するとよい。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、記録媒体を収容する収容手段が挿入される挿入口に当該収容手段が挿入されたことを検知する検知手段と、前記検知手段が検知した時期に基づいて、振動が発生する振動発生時期を予測する予測手段と、前記挿入口に挿入された収容手段とは異なる記録媒体の供給源から供給される前記記録媒体に前記画像形成手段が画像を形成している期間中に、前記予測手段が予測した前記振動発生時期が到来するか否かを判定する判定手段と、前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定された場合に、当該画像の形成を行わせないように前記画像形成手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記画像形成手段は、像保持体と、前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像形成手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、前記現像手段によって現像された画像を記録媒体に転写する転写手段と、を有し、前記制御手段は、前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定された場合に、清掃手段によって前記像保持体の表面または前記転写手段を清掃させるとよい。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像形成手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、前記現像手段によって現像された画像を記録媒体に転写する転写手段と、前記転写手段により画像が転写された前記記録媒体を複数の排出先のいずれかに排出する排出手段と、前記供給手段から前記転写手段へ前記記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記記録媒体の位置を検出する検出手段と、を有し、前記記録媒体に前記画像を形成する画像形成手段と、記録媒体を収容する収容手段が挿入される挿入口に当該収容手段が挿入されたことを検知する検知手段と、前記検知手段が検知した時期に基づいて、振動が発生する振動発生時期を予測する予測手段と、前記挿入口に挿入された収容手段とは異なる記録媒体の供給源から供給される前記記録媒体に前記画像形成手段が画像を形成している期間中に、前記予測手段が予測した前記振動発生時期が到来するか否かを判定する判定手段と、前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定され、かつ、前記検出手段により検出された前記記録媒体の位置が予め定められた位置にある場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様と、前記期間中に前記振動発生時期が到来しないと前記判定手段によって判定された場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様とを異ならせるように、前記記録媒体を排出する排出手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0014】
好ましくは、前記画像形成手段は、前記収容手段に収容された前記記録媒体を上方に持ち上げる持上手段と、対向する位置にある物体が閾値よりも高い位置にあることを検知するレベル検知手段とを備え、前記レベル検知手段は、前記記録媒体を収容する収容手段が前記挿入口の奥まで挿入されている場合には、前記持上手段により持ち上げられた記録媒体が閾値よりも高い位置にあることを検知するとともに、前記収容手段が前記挿入口の奥まで挿入されていない場合には、前記収容手段の上縁が閾値よりも高い位置にあることを検知することにより、前記挿入口に当該収容手段が挿入されたことを検知する前記検知手段を兼ねるとよい。
【0015】
また、本発明に係るプログラムは、記録媒体を収容する収容手段が挿入される挿入口に当該収容手段が挿入されたことを検知する検知手段を具備する画像形成装置のコンピュータを、前記検知手段が検知した時期に基づいて、振動が発生する振動発生時期を予測する予測手段と、前記挿入口に挿入された収容手段とは異なる記録媒体の供給源から供給される前記記録媒体に画像形成手段が画像を形成している期間中に、前記予測手段が予測した前記振動発生時期が到来するか否かを判定する判定手段と、前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定された場合に、当該画像の形成を行わせないように前記画像形成手段を制御する制御手段として機能させるためのプログラムである。
【0016】
また、本発明に係るプログラムは、記録媒体を収容する収容手段が挿入される挿入口に当該収容手段が挿入されたことを検知する検知手段を具備する画像形成装置のコンピュータを、前記検知手段が検知した時期に基づいて、振動が発生する振動発生時期を予測する予測手段と、前記挿入口に挿入された収容手段とは異なる記録媒体の供給源から供給される前記記録媒体に画像形成手段が画像を形成している期間中に、前記予測手段が予測した前記振動発生時期が到来するか否かを判定する判定手段と、前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定された場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様と、前記期間中に前記振動発生時期が到来しないと前記判定手段によって判定された場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様とを異ならせるように、前記記録媒体を排出する排出手段を制御する制御手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1に係る制御装置によれば、画像形成装置において、記録媒体を供給する際の操作が画像形成に影響しないようにすることができる。
本発明の請求項2に係る制御装置によれば、画像形成装置において、記録媒体を供給する際の操作が画像形成に影響した場合に、その画像形成が行われた記録媒体を他の記録媒体と識別することができる。
本発明の請求項3に係る制御装置によれば、画像形成装置において、記録媒体を供給する際の操作による影響がなくなった後で、画像形成を行うことができる。
本発明の請求項4に係る制御装置によれば、画像形成装置において、記録媒体を供給する際の操作により画像形成に及ぼす影響が大きいと予測される種類の画像に対してのみ、その操作がその画像形成に影響しないようにすることができる。
本発明の請求項5に係る制御装置によれば、画像形成装置において、記録媒体を供給する際の操作により画像形成に及ぼす影響が大きいと予測される種類の画像に対してのみ、その画像形成が行われた記録媒体を他の記録媒体と識別することができる。
本発明の請求項6に係る画像形成装置によれば、記録媒体を供給する際の操作が画像形成に影響しないようにすることができる。
本発明の請求項7に係る画像形成装置によれば、記録媒体を供給する際の操作が画像形成に影響した場合に、その影響を消滅させることができる。
本発明の請求項8に係る画像形成装置によれば、記録媒体を供給する際の操作が画像形成に影響した場合に、その画像形成が行われた記録媒体を他の記録媒体と識別することができる。
本発明の請求項9に係る画像形成装置によれば、記録媒体を供給する際の操作が画像形成に影響しないようにするとともに、装置を構成する部品点数を低減させることができる。
本発明の請求項10に係るプログラムによれば、画像形成装置において、記録媒体を供給する際の操作が画像形成に影響しないようにすることができる。
本発明の請求項11に係るプログラムによれば、画像形成装置において、記録媒体を供給する際の操作が画像形成に影響した場合に、その画像形成が行われた記録媒体を他の記録媒体と識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】記録媒体供給部の用紙ケースを説明するための図である。
【図3】画像形成ユニットの構成を示した図である。
【図4】記録媒体供給部における用紙ケースの挿入状態を示す図である。
【図5】ノイズフィルタ処理の動作を示すフローチャートである。
【図6】レベルセンサおよび用紙ケース検知センサの測定値と記憶値の経時変化を示す図である。
【図7】制御部による画像形成装置の振動予測制御の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による実施形態を説明する。
ここでは、本発明の実施の一態様として、中間転写ベルトといわゆるタンデムエンジンを備えた電子写真方式のプリンタ(画像形成装置)を例示して説明するが、本発明はこの態様に限定されるものではない。
【0020】
[A.構成]
[A−1.画像形成装置の全体構成]
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を示す図である。同図に示すように、画像形成装置1は、記録媒体供給部12と、画像形成ユニット13Y,13M,13C,13K(以下、特に区別の必要がない場合は、これらを総称して「画像形成ユニット13」と記す)と、転写ユニット14と、搬送装置15と、定着部16と、切替装置17および制御部80を備えている。これらの各構成は、制御部80によって制御されている。この制御部80は、CPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の記憶装置を内蔵し、CPUが記憶装置に記憶されているプログラムをRAM(Random Access Memory)に読み込んで実行することにより、画像形成装置1全体を制御する。なお、符号のY,M,C,Kはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーに対応した構成であることを意味している。
【0021】
記録媒体供給部12は、A3やA4などの予め定められたサイズにカットされた用紙を収容する。記録媒体供給部12に収容されている用紙は、制御部80の指示により1枚ずつ取り出され、用紙搬送路を経由して転写ユニット14へと搬送される。転写ユニット14は、制御部80から指示される画像を用紙上に形成する。すなわち用紙はその上に画像が形成される記録媒体の一例である。なお、記録媒体は用紙に限らず、例えば樹脂製のシートなどであってもよい。搬送装置15は、用紙が転写ユニット14の中間転写ベルト41から画像を転写される位置よりも下流かつ定着部16よりも上流の位置に設けられており、転写ユニット14によって画像を転写された用紙を定着部16へ挿入する。定着部16は、加熱ロールと支持ロールとを備え、用紙上に転写された画像を定着させる。切替装置17は、定着部16を経た用紙の搬送経路を切り替える。以下、画像形成装置1の主要な構成について詳細を説明する。
【0022】
[A−2.記録媒体供給部の構成]
記録媒体供給部12の詳細を図1および図2を用いて説明する。以下の説明において、符号のA,Bは画像形成装置1の異なる2箇所に設けられた各構成要素を意味し、特に区別の必要がない場合は省略する。図1に示すように画像形成装置1には、図中右側に向かって開口した2つの挿入口10A、10Bが設けられている。これら挿入口10A、10Bには、それぞれ用紙ケース20A、20Bが挿入されている。
【0023】
図2は、記録媒体供給部12の用紙ケース20を説明するための図である。用紙ケース20は、図中右側に設けられた前板と、図中左側に設けられた奥板200と、これらの下端同士を連結する底板と、図示しない側板とを有しており、これらが組み合わされて天井が開口部になっている箱状の容器になっている。図2(a)に示すように、用紙ケース20は矢線D2方向に挿入されている。この用紙ケース20には、用紙Pが収容されており、この用紙Pは用紙ピックアップローラ24によって1枚ずつ取り出され、用紙搬送路を構成するローラ群により、図2に破線で示す搬送経路を通じて転写ユニット14へ搬送される。
【0024】
レベルセンサ22は、用紙ケース20内に積み重ねられた用紙の最上部の高さを検知するセンサである。このレベルセンサ22は、画像形成装置1の予め決められた位置に固定されており、レベルセンサ22の対向する位置に用紙Pがあるか否かを検知する。ここではレベルセンサ22として反射型センサを用いる。具体的には例えば、レベルセンサ22は電磁波を用紙の最上部へ予め定めた間隔でパルスとして照射し、反射波を受け取って、照射時から受取時までの経過時間に基づいてレベルセンサ22と用紙Pの表面との距離を測定する。なお、電磁波としては赤外線や可視光線を用いてもよく、また、電磁波に替えて超音波を用いてもよい。そして、このレベルセンサ22は、用紙最上部の高さが、図2(b)に示した位置Lvを超えた場合に「ON信号」を出力し、超えない場合には「ON信号」を出力しないように構成されている。すなわち、レベルセンサ22が出力するこの「ON信号」とは、位置Lvよりも高い位置に物体が存在することを示す信号である。リフト21は用紙ケース20の底に備えられ、高さ方向に伸縮可能に構成された昇降装置である。このリフト21の上には用紙Pが積み重ねられる。そしてリフト21は、レベルセンサ22の出力する信号を受けた制御部80の制御により、最上部の用紙Pの表面位置が位置Lvになるように、用紙Pをリフトアップする。
【0025】
用紙ケース検知センサ23は、用紙ケース20が決められた位置にあることを検知するセンサである。例えば、用紙ケース検知センサ23は、付勢力が与えられることにより互いに離間している2つの電極接点を有しており、その付勢力に抗する外力が加わったときに電気接点同士が接触して通電することにより、上述の検知を行う。用紙ケース20が図2(a)に示す矢線D2方向に挿入されると、用紙ケース20の奥板200の背面200rが用紙ケース検知センサ23に突き当たり押圧するので、用紙ケース検知センサ23は「ON信号」を出力する。なお、用紙ケース20の奥板200の矢線D2方向における幅はx1であり、レベルセンサ22と用紙ケース検知センサ23との距離はx2である。
レジロール26は、転写ユニット14へ用紙Pを搬送するロールである。用紙センサ25は、用紙Pがレジロール26まで搬送されたことを検知するセンサである。例えば、用紙センサ25は、光学センサなどであり、対向する位置に備えた光源から、搬送経路に向けて照射された光が遮られることにより、この搬送経路に用紙Pがあることを検知する。用紙センサ25は搬送経路に用紙Pがあることを検知すると「ON信号」を出力する。
【0026】
[A−3.画像形成ユニットの構成]
図1に示す画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kは、それぞれ対応するカラートナーを用いて画像データに応じた画像を形成し、中間転写ベルト41に重ねて転写する。この画像データは、図示せぬ画像読取装置によって原画像が読み取られたものであってもよいし、図示せぬコンピュータ装置から送信されてきたデータに基づいて生成されたものであってもよい。画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kのそれぞれは用いるトナーが異なるのみであって、その構成に大きな差異はない。以下、特に区別する必要がない場合には、トナーの色を示す符号末尾のアルファベットを省略して「画像形成ユニット13」とする。
【0027】
図3は、画像形成ユニット13の構成を示した図である。同図に示すように、画像形成ユニット13は、感光体ドラム31と、ローラ帯電器32と、露光装置33と、現像器34と、一次転写ロール35と、ドラムクリーナ36と、除電装置37を備えている。感光体ドラム31は電荷発生層や電荷輸送層を有する像保持体であり、図示しない駆動部により図中の矢線D3の方向に回転させられる。ローラ帯電器32は感光体ドラム31の表面を帯電させる。露光装置33はレーザ発光源やポリゴンミラー等(いずれも図示せず)を備え、制御部80の制御の下、画像データに応じたレーザ光を、ローラ帯電器32により帯電させられた後の感光体ドラム31に向けて照射する。現像器34はY,M,C,Kのいずれかの色のトナーと、フェライト粉などの磁性キャリアを含む二成分現像剤を収容する。そして現像器34に形成された磁気ブラシの穂先が感光体ドラム31の表面に接触することで、トナーは感光体ドラム31表面で露光装置33により露光された部分、すなわち静電潜像の画線部に付着し、感光体ドラム31に画像が形成(現像)される。
【0028】
一次転写ロール35は転写ユニット14の中間転写ベルト41が感光体ドラム31と対向する位置において予め定めた電位差を生じさせ、この電位差によって中間転写ベルト41に画像を転写する。ドラムクリーナ36は、画像の転写後に感光体ドラム31の表面に残留している未転写のトナーを取り除く。除電装置37は感光体ドラム31表面を除電する。即ち、ドラムクリーナ36および除電装置37は、次の画像形成に備えて、感光体ドラム31から不要なトナーや電荷を除去するものである。
【0029】
[A−4.転写ユニットの構成]
図1に戻って転写ユニット14の構成を説明する。転写ユニット14は、中間転写ベルト41と、二次転写ロール42と、ベルト搬送ロール43と、バックアップロール44とを備えており、画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kによって形成された画像を用紙に転写する転写手段である。中間転写ベルト41は無端のベルト部材であり、ベルト搬送ロール43およびバックアップロール44はこの中間転写ベルト41を張架する。ベルト搬送ロール43およびバックアップロール44の少なくとも1つには駆動部(図示せず)が備えられており、中間転写ベルト41を図中の矢線D1方向に移動させる。なお、駆動部を有さないベルト搬送ロール43またはバックアップロール44は中間転写ベルト41の移動に従動して回転する。中間転写ベルト41が図中の矢線D1方向に移動して回転することにより、転写ユニット14が転写した画像は二次転写ロール42とバックアップロール44とにより形成されるニップ領域に移動される。二次転写ロール42は、中間転写ベルト41との電位差によって、中間転写ベルト41上の画像を記録媒体供給部12から搬送されてきた用紙に転写させる。ベルトクリーナ49は、中間転写ベルト41の表面に残留している未転写のトナーを取り除く。
【0030】
[A−5.切替装置の構成]
転写ユニット14から排出され、搬送装置15と定着部16を経た用紙Pは、切替装置17に供給される。切替装置17は制御部80の制御の下、用紙Pを2箇所の排出先のいずれかに振り分ける。具体的には、制御部80により制御されたガイド71の角度に応じて、ガイド71を通過する用紙Pがローラ72Aまたはローラ72Bのいずれか一方に導かれる。そして、ローラ72Aにより搬送された用紙Pは排出部73Aに、ローラ72Bにより搬送された用紙Pは排出部73Bに、それぞれ排出される。ここでは、排出部73Bは正常に画像形成された用紙を排出する排出部であるとし、排出部73Aはそれ以外の用紙(例えば、ミスコピーされた用紙)を排出する排出部であるとする。
【0031】
[B.動作]
次に画像形成装置1の動作について説明する。
[B−1.記録媒体供給部の動作]
図4は、記録媒体供給部12における用紙ケース20の挿入状態を示す図である。用紙ケース20は挿入口10(図4において図示せず)から挿入され、図に示す矢線D41方向に移動している。図4(a)に示すように、用紙ケース20の奥板200の背面200rがレベルセンサ22に差し掛かると、レベルセンサ22は位置Lvよりも高い位置に物体が存在することを示す「ON信号」を出力する。そして、図4(b)に示すように、用紙ケース20が矢線D42方向に移動して、奥板200の前面200fがレベルセンサ22を通り過ぎると、レベルセンサ22は「ON信号」を出力しなくなる。用紙ケース20が図4(a)および図4(b)のいずれの位置にある場合にも、用紙ケース検知センサ23には用紙ケース20の奥板200が接触していないので、用紙ケース検知センサ23は、「ON信号」を出力しない。図4(c)に示すように、用紙ケース20が矢線D43方向に移動して、用紙ケース検知センサ23に奥板200の背面200rが接触すると、用紙ケース検知センサ23は「ON信号」を出力する。
【0032】
[B−2.ノイズフィルタの動作]
レベルセンサ22および用紙ケース検知センサ23はいずれも、100ミリ秒間隔で用紙ケース20の検出を行っている。これらのセンサは、何らかのノイズを受け取り誤まった検出結果を出力することがあり得るため、以下に説明するノイズフィルタ処理を行っている。図5はこのノイズフィルタ処理の動作を示すフローチャートである。まず、制御部80は、上記のセンサから受け取った測定値を記憶値としてRAMに記憶する(ステップS101)。そして、タイマのクロックに基づいて100ミリ秒間隔ごとに割り込み信号を受けると制御部80はセンサから新たに測定値を受け取り(ステップS102)、その測定値がRAMに記憶した記憶値と異なるか否かを判断する(ステップS103)。例えば、RAMに記憶された記憶値が「ON信号」を示す「ON」であり、新しく受け取った測定値が「ON信号」ではない信号を示す「OFF」であるならば(ステップS103;YES)、制御部80は処理をステップS104に進める。ステップS104では、制御部80は、RAMに記憶するパラメータとして「回数」を1増加させる(ステップS104)。この「回数」とはRAMに記憶した記憶値と測定により新たに受け取った測定値とが異なる回数を示すパラメータであり、初期状態では「0」が設定されている。
【0033】
次に、制御部80は、RAMに記憶した「回数」と実行しているプログラムにより予め定められた「閾値」とを比較する(ステップS105)。この結果、「回数」が「閾値」を超えていないのであれば(ステップS105;NO)、制御部80は、処理をステップS102へ戻す。そして、「回数」が「閾値」を超えているのであれば(ステップS105;YES)、制御部80は、処理をステップS106へ進める。ステップS106においては、制御部80は、「回数」をリセット、すなわち「回数」に「0」を設定し(ステップS106)、処理をステップS101に戻す。一方、ステップS103において、ステップS102で受け取った測定値がRAMに記憶した記憶値と異なっていない、すなわち同じであると判断した場合には(ステップS103;NO)、制御部80は、ステップS104およびステップS105を行わずに処理をステップS106へ進める。例えば「閾値」が「5」の場合には、測定値と記憶値とを比較するステップS102において、100ミリ秒の経過を待ってから比較を行っているので、測定値が「0」〜「5」の5回に亘り、100ミリ秒が経過する。すなわち、この場合、測定値が最初に変化してから記憶値が切り替えられるまでに、5×100=500ミリ秒が経過する。
【0034】
図6は、レベルセンサ22および用紙ケース検知センサ23の測定値と記憶値の経時変化を示す図である。この図において、横軸は時間を表しており、図の右方向が時間の進行方向である。同図に示す破線は各センサの測定値を示し、実線は記憶値を示している。各線は上の線が「ON」を表しており、下の線が「OFF」を表している。例えば、時刻t1では、用紙ケース検知センサ23においては、測定値および記憶値のいずれもが「OFF」であり、レベルセンサ22においては、記憶値が「OFF」であって、測定値が「ON」になっている。すなわち、時刻t1において用紙ケース20は図4(a)に示す位置、つまり用紙ケース20の奥板200の背面200rがレベルセンサ22に差し掛かる位置にある。ここで、レベルセンサ22には、閾値としてn1が予め定められており、最初に測定値が「ON」になってからn1回の測定が行われ、そのいずれの測定値もが「ON」であったときに記憶値が「ON」になる。この記憶値が「ON」に書き換えられる時刻は図に示すようにt2である。ここで、レベルセンサ22の測定間隔は上述したように100ミリ秒であるため、時刻t1から時刻t2までの時間Δtf1は、n1×100ミリ
秒である。このように、連続して同じ測定値が続いていることをもって、制御部80はこれらのセンサの測定値を確定し記憶値を書き換えているので、ノイズによる測定値の誤った変動は除去される。
【0035】
ここで、時刻t3において、用紙ケース20は図4(b)に示す位置、つまり奥板200の前面200fがレベルセンサ22を通り過ぎる位置にあり、この後、測定値及び記憶値がともに「OFF」となる時刻はt4である。そして、用紙ケース検知センサ23の測定値が「ON」になる瞬間は時刻t5である。これは、用紙ケース20の奥板200の背面200rが用紙ケース検知センサ23に突き当たり押圧する瞬間であり、用紙ケース20の運動量が大きいと画像形成装置1に振動が発生する。時刻t4から時刻t5までの経過時間Δtmは用紙ケース20が挿入される速度に依存するが、予め実験を行って実測値
の平均値を設定するなどにより、このΔtmの標準値としてΔTMが決定されている。
【0036】
[B−3.振動予測制御の動作]
図7は、制御部80による画像形成装置1の振動予測制御の動作を示すフローチャートである。制御部80は、用紙ケース検知センサ23の記憶値がONであるか否かを判定し(ステップS201)、ONであると判定したならば(ステップS201;YES)、処理をステップS207へ進め、露光処理を開始する。一方、用紙ケース検知センサ23の記憶値がONでないと判定したならば(ステップS201;NO)、レベルセンサ22の記憶値がONであるか否かを判定する(ステップS202)。制御部80は、ステップS202においてレベルセンサ22の記憶値がONでないと判定すると(ステップS202;NO)、処理をステップS201へ戻す。一方、レベルセンサ22の記憶値がONであると判定すると(ステップS202;YES)、制御部80は、さらにレベルセンサ22の記憶値がONであるか否かを判定し(ステップS203)、レベルセンサ22の記憶値がONであると判定する間(ステップS203;YES)、この判定を繰り返す。そして、ステップS203においてレベルセンサ22がONでなくなったと判定すると(ステップS203;NO)、これにより制御部80は、挿入口10に用紙ケース20が挿入されたと判断する。すなわち、レベルセンサ22は、記録媒体を収容する収容手段が挿入される挿入口に当該収容手段が挿入されたことを検知する検知手段の一例である。そして、制御部80は、その時刻に基づいて画像形成装置1に振動が生じる可能性が高い時刻である振動発生予測時期tpを予測する(ステップS204)。この振動発生予測時期tpは、時刻t4に上述した経過時間Δtmの標準値(例えば、10000回の実測値の平均など
)であるΔTMを加算することで得られる時刻である。すなわち、制御部80は、レベル
センサ22が検知した時期に基づいて、振動が発生する振動発生時期を予測する予測手段の一例であり、振動発生予測時期tpは、次の式で表される。
tp=t4+ΔTM
【0037】
振動発生予測時期tpを予測すると、制御部80は、画像形成ユニット13が露光処理を行っているか否か判定する(ステップS205)。画像形成ユニット13が露光処理を行っていないと判定すると(ステップS205;NO)、制御部80は、ステップS204で予測した振動発生予測時期tpが到来するまでの間に、次の露光処理を終えられるか否かを判定する(ステップS206)。制御部80は画像形成ユニット13を制御する際に、1つのページについて画像形成処理を行う毎にページシンクと呼ばれる同期信号を発生させており、また、1ページ分の露光処理に必要な時間についての情報は、予めROMに記憶されている。したがって、具体的には、制御部80は、この同期信号を発生させた時刻や露光処理に必要な時間についての情報に基づいて露光処理が終了する時刻を算出し、ステップS206の判定を行う。振動発生予測時期tpまでに露光処理を終えられると判定した場合には(ステップS206;YES)、制御部80は露光処理を開始する(ステップS207)。一方、振動発生予測時期tpまでに露光処理を終えられないと判定した場合には(ステップS206;NO)、処理をステップS212へ進め、露光処理を延期する。すなわち、制御部80は、画像形成手段が記録媒体に画像を形成している期間中に振動発生時期が到来すると判定された場合に、当該画像の形成を行わせないように画像形成手段を制御する制御手段の一例である。
【0038】
ステップS205において、画像形成ユニット13が露光処理を行っていると判定すると(ステップS205;YES)、制御部80は、その露光処理が終了するまでの間に振動発生予測時期tpが到来するか否かを判定する(ステップS208)。この判定もステップS206の判定と同様、上述した同期信号などに基づいて露光処理が終了する時刻を算出して行う。そして、その露光処理が終了するまでの間に振動発生予測時期tpが到来しないと判定した場合には(ステップS208;NO)、制御部80は、この振動予測制御を終了する。これにより、ステップS205で行っていると判定された露光処理はそのまま行われ、転写処理などを経てレベルセンサ22が検知した用紙ケース20とは異なる用紙の供給源(例えば、他の用紙ケース20)から供給される用紙に画像が形成される。
【0039】
一方、その露光処理が終了するまでの間に振動発生予測時期tpが到来すると判定した場合には(ステップS208;YES)、制御部80は、その露光処理を中止し、ドラムクリーナ36および除電装置37によって、感光体ドラム31の表面をクリーニングするとともに、ベルトクリーナ49によって、中間転写ベルト41の表面をクリーニングする(ステップS209)。次に、制御部80は、用紙センサ25が「ON信号」を出力しているか否かを判定し(ステップS210)、「ON信号」を出力していると判定した場合には(ステップS210;YES)、切替装置17のガイド71を駆動させて、ミスコピー用の排出部である排出部73Aへ用紙を導き、1ページの用紙が排出部73Aへ導かれた後にガイド71を元に戻して(ステップS211)、処理をステップS212へ進める。これにより、ミスコピーは通常のコピーと異なる態様で排出される。すなわち、制御部80は、画像形成手段が記録媒体に画像を形成している期間中に振動発生時期が到来すると判定された場合に、当該画像が形成された記録媒体を排出する態様と、前記期間中に前記振動発生時期が到来しないと前記判定手段によって判定された場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様とを異ならせるように、前記記録媒体を排出する排出手段を制御する制御手段の一例である。
【0040】
一方、用紙センサ25が「ON信号」を出力していないと判定すると(ステップS210;NO)、制御部80は処理を直接ステップS212へ進める。ステップS212において、制御部80は、ステップS204で予測した振動発生予測時期tpに予め定められた待機時間Δtを加算した時刻に露光処理を再開する。これにより露光処理を行う時期は
時刻(tp+Δt)まで延期される。すなわち、制御部80は、画像形成手段が画像を形
成する時期を、予測した振動発生時期から予め定めた期間が経過するまで延期させる制御手段の一例である。
【0041】
上述した動作により、画像形成装置1は、記録媒体供給部12において用紙を収容している用紙ケース20を画像形成装置1に挿入する動作を検知し、この動作により画像形成装置1に振動が発生する時刻を予測して、その時刻に露光処理が行われていない場合には次に行う露光処理を予測した時刻よりも先に延期し、すでに露光処理が行われている場合には、その露光処理を中止し、さらに、その露光処理によってすでに用紙に画像が形成されている場合には、この用紙を他の用紙と識別可能に仕分けして、振動発生による画像形成への影響を抑制する。
【0042】
[C.変形例]
上述した実施形態を次の例のように変形してもよい。また、これらの変形例を組み合わせてもよい。
(1)上述した実施形態では、予測した振動発生予測時期tpに応じて延期する処理は露光処理であったが、画像形成装置1がスキャナなどの光学読取装置を備えている場合にあっては、予測した振動発生予測時期tpに応じて画像の読取処理を延期するようにしてもよい。要するに、振動に影響されやすい処理を行う際に、その処理が行われている間に振動が発生すると予測される場合には、その処理を延期したり、その処理によって得られた記録媒体を識別可能に仕分けしたりすることで、振動による影響を抑制することができればよい。なお、振動に影響されやすい処理としては上述したスキャナによる画像読取処理の他に、例えば、カメラ(デジタルスティルカメラやビデオカメラなど)による画像取得処理も含まれる。
また、振動は、特に光学系機構に対して大きな影響を及ぼすが、現像や転写に対する影響も全くゼロではない。そこで、細緻な画像を形成するような場合には、画像形成装置1は、現像や転写を行っている期間に振動発生時期が到来すると判定した場合には、画像形成処理を行わないようにしてもよい。要するに、画像形成装置1の制御部80は、用紙に画像を形成している期間中に振動発生時期が到来すると判定した場合には、画像形成処理を行わないようにしてもよい。
【0043】
(2)上述した実施形態では、振動発生予測時期tpにおいて露光処理が行われると予測された場合や実際に行われた場合に、その露光処理を中止して画像形成ユニット13や転写ユニット14のクリーニングを行ったり、画像形成ユニット13による露光処理を延期させたり、画像形成された用紙を他の用紙と識別可能に仕分けしたりする処理を行ったが、制御部80は、これらの処理を行うか否かをその画像の種類に応じて決定してもよい。例えば、画像が黒色のトナーのみで形成されている場合や、トナーの使用量を抑えるモードが設定されている場合、また、画像が文字テキストのみで構成されている場合や、その文字のフォントサイズが予め定められた大きさよりも大きい場合などには、制御部80は振動による画像形成への影響が少ないと判断し、ガイド71を駆動しないようにしてもよい。この態様において、制御部80は、画像の種類を示す情報を画像形成を行う際に取得すればよい。
【0044】
(3)上述した実施形態では、レベルセンサ22として反射型センサを用いていたが、透過型センサを用いてもよい。具体的には、レベルセンサ22は位置Lvにおいて用紙ケース20の一方の側面から赤外線レーザなどの光線を照射し、他方の側面に備えたセンサでこれを受けて、光線が遮られたら「ON信号」を発生させるようにしてもよい。なお、レベルセンサ22は一つではなく、複数設けてもよい。また、レベルセンサ22とは別に、用紙ケース20が挿入口10から挿入されている途中であることを検知するセンサを設けてもよい。上述の実施形態のようにレベルセンサ22に、用紙ケース20の挿入動作を検知する機能を兼ね備えさせることにより、画像形成装置1の部品点数が低減する。
【0045】
(4)また、用紙ピックアップローラ24がレベルセンサ22を兼ねてもよい。この場合、用紙ピックアップローラ24は下向きの付勢力を受けて、その下方側の端部が位置Lvよりも下の位置へ押し下げられている。そして、用紙表面や用紙ケース20の奥板200などにより用紙ピックアップローラ24が上向きに押し上げられたときに、用紙ピックアップローラ24に備えられた2つの電極接点が接触することで、この付勢力に対する抗力を検知して「ON信号」を発生させるようにしてもよい。
【0046】
(5)また、上述した実施形態では、用紙ケース検知センサ23は外力を検知するセンサであったが、電磁波または超音波などを用いたセンサを用いてもよい。このセンサには上述したような反射型センサおよび透過型センサのいずれを用いてもよい。なお、用紙ケース検知センサ23は一つではなく、複数設けてもよい。
【0047】
(6)上述した実施形態では、記録材としてA3やA4などの予め定められたサイズにカットされた用紙を用いていたが、記録材は用紙に限らず、樹脂製のシートなどでもよく、カットされていないロール状の用紙を用いてもよい。
【0048】
(7)上述した実施形態では、Y,M,C,Kのトナーを用いたが、透明トナーや発泡トナーを使用してもよい。なお、画像形成装置1はカラーの画像を形成する必要は無く、例えば、黒色のみのトナーを用いる画像形成装置であってもよい。
【0049】
(8)上述した実施形態では、時刻t4から時刻t5までの経過時間Δtmの標準値とし
て予めΔTMが決定されており、制御部80は、時刻t4にこのΔTMを加算することに
よって振動発生予測時期tpを予測していたが、測定値が変化した時刻に応じて振動発生予測時期tpを予測してもよい。例えば、用紙ケース20の奥板200の厚みはx1である。また、時刻t1において、奥板200の背面200rはレベルセンサ22に差し掛かる位置にあり、時刻t3において、奥板200の前面200fはレベルセンサ22を通り過ぎる位置にある。したがって、時刻t1から時刻t3までの用紙ケース20の平均移動速度vは以下の式で表される。
v=x1/(t3−t1)
この用紙ケース20が等速直線運動で画像形成装置1に挿入されていると仮定するならば、時刻t1から奥板200の背面200rが用紙ケース検知センサ23に突き当たり押圧する瞬間(すなわち、振動発生予測時期tp)までの間に、この背面200rは、レベルセンサ22と用紙ケース検知センサ23との間の距離x2を進むので、振動発生予測時期tpは以下の式で表される。
tp=t1+x2/v
つまり、これらの式に基づいて振動発生予測時期tpを予測すればよい。なお、用紙ケース20の運動は等速直線運動以外の他の運動モデルで仮定されてもよい。例えば複数設けたレベルセンサ22によって用紙ケース20の運動の加速度を測定し、用紙ケース20が等加速度運動をしていると仮定して振動発生予測時期tpを予測してもよい。
【0050】
(9)上述した実施形態では、ステップS212において、制御部80は、ステップS204で予測した振動発生予測時期tpに予め定められた待機時間Δtを加算した時刻に露
光処理を再開することで、露光処理を行う時期を延期していたが、この延期される時期はこれに限られない。例えば、制御部80は、用紙ケース20の奥板200の背面200rが用紙ケース検知センサ23に突き当たり押圧する瞬間である時刻t5に予め定められた待機時間Δtを加算した時刻に露光処理を再開するようにしてもよい。このようにすれば
、実際に振動が発生した時刻から十分な待機時間を経た後に露光処理が再開されるから、露光処理に対する振動の影響が確実に低減する。
【0051】
(10)上述した実施形態では、ステップS211において、制御部80は切替装置17のガイド71を駆動させて、ミスコピー用の排出部である排出部73Aへ用紙を導いていたが、制御部80は、画像形成手段が記録媒体に画像を形成している期間中に振動発生時期が到来すると判定された場合に、当該画像が形成された記録媒体を排出する態様と、前記期間中に前記振動発生時期が到来しないと前記判定手段によって判定された場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様とを異ならせるように、前記記録媒体を排出する排出手段を制御するのであればどのような制御をしてもよい。例えば、ステップS211において、制御部80は排出装置を制御して、排出する用紙を回転させたり、用紙表面に平行で排出方向に垂直な方向にずらしたり、折り目をつけたりした上で排出部に排出させてもよい。要するに、排出されるミスコピーと通常のコピーとが識別可能であればよい。
【0052】
(11)上述した実施形態では、制御部80は、図5に示したフローに従ったノイズフィルタ処理を行っていたが、ノイズフィルタ処理は行わなくてもよい。この場合、測定値がそのまま記憶値として用いられる。また、レベルセンサ22および用紙ケース検知センサ23はいずれも、100ミリ秒間隔で用紙ケース20の検出を行っていたが、この間隔は100ミリ秒に限られない。さらに、これらのセンサは上述した周期的な検出ではなく、連続的な検出を行ってもよい。
【0053】
(12)画像形成装置1の制御部80によって実行される各プログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードさせることも可能である。なお、このような制御を行う制御手段としては種々の装置を適用することができ、例えば、専用のプロセッサなどを用いてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…画像形成装置、10…挿入口、12…記録媒体供給部、13…画像形成ユニット、14…転写ユニット、15…搬送装置、16…定着部、17…切替装置、20…用紙ケース、200…奥板、21…リフト、22…レベルセンサ、23…用紙ケース検知センサ、24…用紙ピックアップローラ、25…用紙センサ、26…レジロール、31…感光体ドラム、32…ローラ帯電器、33…露光装置、34…現像器、35…一次転写ロール、36…ドラムクリーナ、37…除電装置、41…中間転写ベルト、42…二次転写ロール、43…ベルト搬送ロール、44…バックアップロール、49…ベルトクリーナ、71…ガイド、72…ローラ、73…排出部、80…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を収容する収容手段が挿入される挿入口に当該収容手段が挿入されたことを検知する検知手段と、
前記検知手段が検知した時期に基づいて、振動が発生する振動発生時期を予測する予測手段と、
前記挿入口に挿入された収容手段とは異なる記録媒体の供給源から供給される前記記録媒体に画像形成手段が画像を形成している期間中に、前記予測手段が予測した前記振動発生時期が到来するか否かを判定する判定手段と、
前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定された場合に、当該画像の形成を行わせないように前記画像形成手段を制御する制御手段と
を具備することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
記録媒体を収容する収容手段が挿入される挿入口に当該収容手段が挿入されたことを検知する検知手段と、
前記検知手段が検知した時期に基づいて、振動が発生する振動発生時期を予測する予測手段と、
前記挿入口に挿入された収容手段とは異なる記録媒体の供給源から供給される前記記録媒体に画像形成手段が画像を形成している期間中に、前記予測手段が予測した前記振動発生時期が到来するか否かを判定する判定手段と、
前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定された場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様と、前記期間中に前記振動発生時期が到来しないと前記判定手段によって判定された場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様とを異ならせるように、前記記録媒体を排出する排出手段を制御する制御手段と
を具備することを特徴とする制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記画像形成手段が前記画像を形成する時期を、前記予測手段が予測した前記振動発生時期から予め定めた期間が経過するまで延期させる
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
画像の種類のそれぞれに対応付けて、前記制御手段による制御を行うか否の指示を示す指示情報を記憶する記憶手段を具備し、
前記制御手段は、前記画像形成手段が形成する画像の種類を特定し、前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定され、かつ、特定された前記画像の種類に対応付けて前記記憶手段により記憶された指示情報が、前記制御手段による制御を行う指示を示す場合に、当該画像の形成を行わせないように前記画像形成手段を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
画像の種類のそれぞれに対応付けて、前記制御手段による制御を行うか否かの指示を示す指示情報を記憶する記憶手段を具備し、
前記制御手段は、前記画像形成手段が形成する画像の種類を特定し、前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定され、かつ、特定された前記画像の種類に対応付けて前記記憶手段により記憶された指示情報が、前記制御手段による制御を行う指示を示す場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様と、前記期間中に前記振動発生時期が到来しないと前記判定手段によって判定された場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様とを異ならせるように、前記記録媒体を排出する排出手段を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項6】
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
記録媒体を収容する収容手段が挿入される挿入口に当該収容手段が挿入されたことを検知する検知手段と、
前記検知手段が検知した時期に基づいて、振動が発生する振動発生時期を予測する予測手段と、
前記挿入口に挿入された収容手段とは異なる記録媒体の供給源から供給される前記記録媒体に前記画像形成手段が画像を形成している期間中に、前記予測手段が予測した前記振動発生時期が到来するか否かを判定する判定手段と、
前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定された場合に、当該画像の形成を行わせないように前記画像形成手段を制御する制御手段と
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成手段は、像保持体と、前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像形成手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、前記現像手段によって現像された画像を記録媒体に転写する転写手段と、を有し、
前記制御手段は、前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定された場合に、清掃手段によって前記像保持体の表面または前記転写手段を清掃させる
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
像保持体と、前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像形成手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、前記現像手段によって現像された画像を記録媒体に転写する転写手段と、前記転写手段により画像が転写された前記記録媒体を複数の排出先のいずれかに排出する排出手段と、前記供給手段から前記転写手段へ前記記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記記録媒体の位置を検出する検出手段と、を有し、前記記録媒体に前記画像を形成する画像形成手段と、
記録媒体を収容する収容手段が挿入される挿入口に当該収容手段が挿入されたことを検知する検知手段と、
前記検知手段が検知した時期に基づいて、振動が発生する振動発生時期を予測する予測手段と、
前記挿入口に挿入された収容手段とは異なる記録媒体の供給源から供給される前記記録媒体に前記画像形成手段が画像を形成している期間中に、前記予測手段が予測した前記振動発生時期が到来するか否かを判定する判定手段と、
前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定され、かつ、前記検出手段により検出された前記記録媒体の位置が予め定められた位置にある場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様と、前記期間中に前記振動発生時期が到来しないと前記判定手段によって判定された場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様とを異ならせるように、前記記録媒体を排出する排出手段を制御する制御手段と
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成手段は、
前記収容手段に収容された前記記録媒体を上方に持ち上げる持上手段と、
対向する位置にある物体が閾値よりも高い位置にあることを検知するレベル検知手段とを備え、
前記レベル検知手段は、
前記記録媒体を収容する収容手段が前記挿入口の奥まで挿入されている場合には、前記持上手段により持ち上げられた記録媒体が閾値よりも高い位置にあることを検知するとともに、前記収容手段が前記挿入口の奥まで挿入されていない場合には、前記収容手段の上縁が閾値よりも高い位置にあることを検知することにより、前記挿入口に当該収容手段が挿入されたことを検知する前記検知手段を兼ねる
ことを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
記録媒体を収容する収容手段が挿入される挿入口に当該収容手段が挿入されたことを検知する検知手段を具備する画像形成装置のコンピュータを、
前記検知手段が検知した時期に基づいて、振動が発生する振動発生時期を予測する予測手段と、
前記挿入口に挿入された収容手段とは異なる記録媒体の供給源から供給される前記記録媒体に画像形成手段が画像を形成している期間中に、前記予測手段が予測した前記振動発生時期が到来するか否かを判定する判定手段と、
前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定された場合に、当該画像の形成を行わせないように前記画像形成手段を制御する制御手段と
して機能させるためのプログラム。
【請求項11】
記録媒体を収容する収容手段が挿入される挿入口に当該収容手段が挿入されたことを検知する検知手段を具備する画像形成装置のコンピュータを、
前記検知手段が検知した時期に基づいて、振動が発生する振動発生時期を予測する予測手段と、
前記挿入口に挿入された収容手段とは異なる記録媒体の供給源から供給される前記記録媒体に画像形成手段が画像を形成している期間中に、前記予測手段が予測した前記振動発生時期が到来するか否かを判定する判定手段と、
前記画像形成手段が前記記録媒体に画像を形成している期間中に前記振動発生時期が到来すると前記判定手段によって判定された場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様と、前記期間中に前記振動発生時期が到来しないと前記判定手段によって判定された場合に、当該画像が形成された前記記録媒体を排出する態様とを異ならせるように、前記記録媒体を排出する排出手段を制御する制御手段と
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−197729(P2010−197729A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42629(P2009−42629)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】