説明

刺激応答性材料を有する形状可変部材の形態制御装置

【課題】本発明は、アクチュエータ機能は有し、かつ形態変化を制御しうる材料の制御装置を提供する。
【解決手段】本発明は、形状可変部材111の形態を制御する制御部120を備える。制御部120は、形状可変部材111が外力によって形状が変化した際に生じる物理量を検出するための物理量検出手段121と、前記物理量と前記外力の大きさとの対応関係をあらかじめ記憶した記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている対応関係に基づき、物理量検出手段121によって検出された物理量から前記外力の大きさを算出する算出手段123と、算出手段123によって算出された外力の大きさに応じて形状可変部材111の形態を目標とする形態へと変化させるための刺激源制御信号を出力する刺激源制御信号出力手段125と、刺激源制御信号出力手段125から出力された刺激源制御信号に基づき、形状可変部材111に電気刺激源を供与する刺激源供与手段130と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある物理量の変化に応答して他の物理量に変換する刺激応答性材料、およびその変換の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的に用いられている機械の駆動源としては、モータ、油圧式・空気圧式アクチュエータ等がある。このような駆動源は、駆動対象となる機械がどの程度の出力が要求されるかで、電気、油圧、空気圧等の駆動方式が採用される。
【0003】
例えば、特許文献1では、リクライニング機構を備えた車両用のシート装置が開示されている。この技術では、搭乗者の体重や体格に応じて、シートバック部の形状を機械的な機構により変化させている。
【特許文献1】特開平6−327539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のような技術では、機械的な機構を用いてシートバック部の形状を変形させているため、シート装置自体の重量が重く、さらに装置の設置スペースを広くとらなければならないという問題がある。このように、近年では、機械の複雑化、多様性により、種々の駆動源が混在し、装置の大型化やこれに伴う重量の増加、また必要な出力を得るために多大なエネルギーを必要とするものが多く、これを解決するための装置の開発が切望されている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであり、軽量かつコンパクトな構成で、外力の大きさに応じて部材の形態を変化させることが可能な装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明に係る形態制御装置は、外力による形状変化に応答して物理量を変化する、および/または物理量の変化に応答して形状変化を生ずる刺激応答性材料を有する形状可変部材が変形した際、これにより生じた物理量から前記形状可変部材に供与する刺激源を制御することにより、当該形状可変部材の形態を制御する装置である。この形態制御装置は、上記形状可変部材が外力によって形状が変化した際に生じる物理量を検出するための物理量検出手段と、前記物理量と前記外力の大きさとの対応関係をあらかじめ記憶した記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている対応関係に基づき、前記物理量検出手段によって検出された物理量から前記外力の大きさを算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された外力の大きさに応じて前記形状可変部材の形態を目標とする形態へと変化させるための刺激源制御信号を出力する刺激源制御信号出力手段と、前記刺激源制御信号出力手段から出力された刺激源制御信号に基づき、前記形状可変部材に電気刺激源を供与する刺激源供与手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
以上に構成された本発明によれば、刺激応答性材料を有する形状可変部材を用いて、これに供与する刺激源を比較的簡単な制御により前記形状可変部材の形態を変化させることができる。これにより、部材を駆動させるために機械的な機構を持たせることなく、軽量かつコンパクトな構造で外力の大きさに応じて、目標とする形状可変部材の形態へと変化させることができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の第一は、外力による形状変化に応答して物理量を変化する、および/または物理量の変化に応答して形状変化を生ずる刺激応答性材料を含む刺激応答性組成物である。
【0009】
これにより、本発明に係る刺激応答性組成物を例えば、椅子、寝具、車のシート、ハンドル部(例えば車両のステアリング)などに用いると、椅子、寝具、車のシート、ハンドル部などに印加する各個人の体重、荷重分布(体型などによる当該材料にかかる荷重分布)、握力などの物理量を他の物理量(例えば、静電容量、抵抗値など)に変化することができるため、当該他の物理量(例えば、静電容量、抵抗値など)の大きさや変化量などを検出することで、各個人の体重、握力、荷重分布などの物理量を測定することができる。したがって、当該刺激応答性組成物からの物理量(例えば、静電容量、抵抗値など)を検出し、かつ当該物理量(例えば、静電容量、抵抗値など)を刺激応答性組成物に送ることができるような制御部を本発明の刺激応答性組成物に接続すると、各個人の体重、体型による荷重分布に合わせて当該組成物自体も自在に形状変化を生じることができる。これにより、各個人の体型などにフィットする椅子、寝具、車のシート、ハンドル部などを提供することができると考えられる。
【0010】
本発明に係る刺激応答性材料を、本発明の形状可変部材に用いることが好ましく、また、本発明の刺激応答性材料としては、特に制限されるものではないが、刺激応答性高分子が好ましい。
【0011】
本明細書にかかる「刺激応答性材料」とは、温度、湿度、電気、外力、光、磁気等の外部刺激を材料に印加することで、当該外部刺激に応答して物理量が変化する、すなわち、溶解性変化、形状変化や抵抗値変化などを発生する材料のことを言う。それらの一例としては、温度に応答して形状変化する高分子ゲル(N−イソプロピルアクリルアミドゲルなど)、湿度に応答し形状変化するセルロースアセテート、電気刺激に応答するイオンゲル、導電性高分子、液晶エラストマー、光刺激に応答するアゾベンゼンを骨格に用いた材料、特に高分子等が挙げられる。
【0012】
例えば、これらの刺激応答性材料を布状としたものでは、刺激の印加により変形する。さらに本発明に係る刺激応答性材料、特に刺激応答性高分子には、導電性高分子、および液晶エラストマーからなる群から選択される少なくとも一つの材料を用いることが好ましく、これらは単独で用いても混合して用いてもよい。
【0013】
本発明に係る刺激応答性材料として導電性高分子を用いる場合の量は、刺激応答性組成物全体に対して10〜100質量%が好ましく、50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%が好ましい。
【0014】
本発明に係る刺激応答性材料として液晶エラストマーを用いる場合の量は、刺激応答性組成物全体に対して10〜100質量%が好ましく、50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%が好ましい。
【0015】
また、本発明に係る刺激応答性材料として導電性高分子と液晶エラストマーとを混合して用いる場合の混合比(導電性高分子/液晶エラストマー)は、0.2〜0.8が好ましく、0.3〜0.7がより好ましく、0.4〜0.6が特に好ましい。
【0016】
なお、本明細書における「液晶エラストマー」とは、ゲルやゴムと同様に、高分子鎖が架橋分子により結ばれたネットワーク構造を持つために、ゴム弾性有する特性、および液晶分子の配列による異方性があるため、液晶のような自由度が存在する特性の二つを有するものをいう。したがって、本発明に係る液晶エラストマーの構造は上記の二点の特性を持つものであれば特に制限されるものではなく、液晶エラストマー単独でもよく、エラストマーと液晶分子とが直接化学結合してもよく、エラストマーと液晶分子とが直接化学結合していなくてもよい。
【0017】
本発明に係るエラストマーは特に制限されるものではないが、例えば、ポリシロキサン類、スチレン−共役ジエン共重合体エラストマー及びその水素添加物、エチレン−αオレフィン共重合体エラストマー及びエチレン−有機酸エステル共重合体エラストマー、ポリメタクリレート、ポリクロロアクリレート、ポリスチレン誘導体、ポリアクリレート、ポリホスファゼンを含むもの、およびこれらからなるコポリマーなどの中から選ばれた少なくとも一つのエラストマー成分が使用できる。好ましくは、ポリシロキサン類である。
【0018】
上記ポリシロキサン類の具体例としては、ポリメチルハイドロゲンシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチルハイドロゲンシロキサン、ポリジエチルシロキサンなどが挙げられる。シロキサン類は、大きな変形を得る上では、より好適である。
【0019】
上記スチレン−共役ジエン共重合体エラストマー及びその水素添加物の具体的例としては、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体及びそれら共重合体の水素添加物が挙げられる。ここで言う水素添加物とは共役ジエンの90%以上が水素添加されたものをいう。
【0020】
上記エチレン−αオレフィン共重合体エラストマーの具体的例としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1ブテン共重合体、エチレン−1ヘキセン共重合体等が挙げられる。上記エチレン−有機酸エステル共重合体エラストマーの具体的例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体等が挙げられる。
【0021】
また、この他には、室温においてガラス状態で存在するポリメタクリレート、ポリクロロアクリレートまたはポリスチレン誘導体や、室温において液晶状態で存在する好ましいエラストマーは、ポリアクリレート、ポリシロキサンまたはポリホスファゼンを含むもの、およびこれらからなるコポリマーが挙げられる。
【0022】
本発明に係る液晶分子は、特に制限されるものではなく、低分子(分子量500未満)であっても、高分子(分子量500以上10000未満)であってもよく、例えば、低分子の液晶分子としては、4−ペンチル−4’−シアノビフェニル(5CB)、4−ヘキシル−4’−シアノビフェニル(6CB)、4−ヘキシル−4’−シアノフェニルピリジン、4−ヘキシル−4’−プロピルフェニルシクロヘキサン、4−メチル−4’−プロピルジシクロヘキサン、4−ヘキシル−4’−メトキシジシクロヘキサン等などが挙げられ、高分子の液晶分子としては、シロキサン骨格に上記の低分子液晶を側鎖に持つものや、ビニル骨格に上記の低分子液晶を側鎖に持つものなどが挙げられる。
【0023】
また、本発明に係る液晶分子は、メソゲン基やメソゲンモノマーであってもよく、この場合当該メソゲン基を本発明に係るエラストマーや他の高分子と直接または間接的に化学結合させることで用いることができ、具体的には、メンゲンユニットの長軸に、例えば15個までの鎖構成員を有するアルキル、アルコキシおよびオキサアルキル基を含むもの、より具体的には4−ペンチル−4’−シアノビフェニル(5CB)、4−ヘキシル−4’−シアノビフェニル(6CB)、4−ヘキシル−4’−シアノフェニルピリジン、4−ヘキシル−4’−プロピルフェニルシクロヘキサン、4−メチル−4’−プロピルジシクロヘキサン、4−ヘキシル−4’−メトキシジシクロヘキサン等、が好ましく挙げられる。
【0024】
エラストマーは通常の、高分子の合成と同様に、例えば単純なランダム共重合、あるいは多官能性架橋剤分子とのランダムポリマー類似付加反応により合成される。
【0025】
また、別の方法では、メソゲンモノマーを官能性コモノマーと共重合して液晶コポリマーを形成し、それを第二反応工程で架橋剤によりネットワーク構造に変える方法もある。
【0026】
エラストマーに側鎖、直鎖で液晶骨格(メソゲン基)を含ませる量は、モル比で、骨格となる(エラストマー):(液晶骨格)=約1:1程度が、形状維持、駆動量を大きく出来る点で好ましい。実際に駆動が出来る範囲としては、10:1程度から1:10程度でも可能であるが、駆動できる量が小さくなったり、形状維持が難しくなったりする傾向にはある。
【0027】
本発明に係る導電性高分子は、導電性を示す高分子であれば特に制限されることはないが、具体的には、下記の化学式(1)〜(5)に示すようなアセチレン系、複素5員環系(モンマーとして、ピロールの他、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−ドデシルピロールなどの3−アルキルピロール;3,4−ジメチルピロール、3−メチル−4−ドデシルピロールなどの3,4−ジアルキルピロール;N−メチルピロール、N−ドデシルピロールなどのN−アルキルピロール;N−メチル−3−メチルピロール、N−エチル−3−ドデシルピロールなどのN−アルキル−3−アルキルピロール;3−カルボキシピロールなどを重合して得られたピロール系高分子、チオフェン系高分子、イソチアナフテン系高分子など)、フェニレン系、アニリン系の各導電性高分子やこれらの共重合体などが挙げられる(化学式(1)〜(5))。
化学式(1)
【0028】
【化1】

【0029】
化学式(2)
【0030】
【化2】

【0031】
化学式(3)
【0032】
【化3】

【0033】
化学式(4)
【0034】
【化4】

【0035】
化学式(5)
【0036】
【化5】

【0037】
なかでも、繊維として得やすい材料としては、チオフェン系導電性高分子のポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)にポリ4−スチレンサルフォネート(PSS)をドープしたPEDOT/PSS(Bayer社、Baytron P(登録))や、フェニレン系のポリパラフェニレンビニレン(PPV)などが挙げられる。
【0038】
さらに、上記導電性高分子において、その導電性にドーパントが劇的な効果をもたらすために、必要に応じてドーパントを前記導電性材料に添加することが好ましい。ここで用いられるドーパントとしては、塩化物イオン、臭化物イオンなどのハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロ硼酸イオン、六フッ化ヒ酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、チオシアン酸イオン、六フッ化ケイ酸イオン、燐酸イオン、フェニル燐酸イオン、六フッ化燐酸イオンなどの燐酸系イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トシレートイオン、エチルベンゼンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオンなどのアルキルベンゼンスルホン酸イオン、メチルスルホン酸イオン、エチルスルホン酸イオンなどのアルキルスルホン酸イオン、ポリアクリル酸イオン、ポリビニルスルホン酸イオン、ポリスチレンスルホン酸イオン、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)イオンなどの高分子イオンのうち、少なくとも一種のイオンが使用される。
【0039】
また、当該ドーパントの添加量は、導電性に効果を与える量であれば特に制限はされないが、通常、導電性高分子100質量部に対し、3〜50質量部、好ましくは10〜30質量部の範囲である。
【0040】
本発明に係る刺激応答性組成物は、刺激応答性材料を含み、必要に応じてバインダー、溶剤、およびその他添加物を含んでもよい。
【0041】
本発明に係る刺激応答性材料は、刺激応答性組成物の質量全体に対して10〜100質量%が好ましく、50〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%含有していることが特に好ましい。
【0042】
また、本発明に係るバインダー、溶剤、およびその他添加物は、刺激応答性材料の質量全体に対して1〜30質量%含有していることが好ましく、1〜20質量%含有していることがより好ましく、1〜10質量%含有していることが特に好ましい。
【0043】
本発明における外力による形状変化に応答して物理量、例えば、静電容量や抵抗値に変換する際の発現メカニズムについて以下図1、および図2を参照して説明する。
【0044】
図1では、本発明に係る刺激応答性材料として液晶エラストマーを用いた模式図を示しており、図1においては液晶分子15(または液晶性を示す基とも称する)をエラストマー11aと混合して用いている。
【0045】
図1に示すように、エラストマー11aを用いた場合には、刺激応答性組成物1を有する形状可変部材中の液晶分子15(直鎖に液晶性を示す基が導入している場合、側鎖に液晶性を示す基が導入している場合、および低分子の液晶分子が高分子と直接化学結合していない場合にはかかわらない)は分極しているため、刺激応答性組成物1を有する形状可変部材に外力の印加があった場合(図2)には、立体的に変形することで形状変化が生じて、液晶分子15自体の配置も変化するため、この分極が傾き、電気容量の変化が観察される。
【0046】
後述するが、例えば、実施例1の材料仕様の1cm角、厚さ500μmの大きさサンプルに20Vかかっている際に荷重を1cmの面積に均一に印加した場合、厚さが400μm程度になり、電気容量が0.1nCから0.125nCへ変化する。それにより、電気容量が、5pFの変化として観察される(図36参照)。
【0047】
例えば膨潤させる低分子液晶10に、用いられる一般的な液晶(5CB,MBBA等)では、ソーヤ−タワー法による計測で数十nC/cmの値が観測される。これを用いた場合、本発明の布状材料で、十分に検出される能力を持つ。
【0048】
例えば、導電性高分子を用いた例では、導電性高分子を繊維状とすることで、例えば、端子に接続した当該繊維状の導電性高分子や、当該当該繊維状の導電性高分子を縦横に織り込んでなる布帛に対して、円形の圧子を用いて所定の力で押し付ける。所定の間隔でスライドさせ、各繊維状の導電性高分子の電流値の計時変化を測定する方法により、荷重に対して抵抗変化を読み取ることが出来る。
【0049】
本発明に係る刺激応答性材料として液晶エラストマーを用いた場合の例を以下説明する。本発明に適した液晶エラストマー11bは、基本的に図3に示すような、高分子鎖12に液晶分子の中心骨格であるメソゲン基が側鎖13として結合し、エラストマーの液晶相状態を生じるものが挙げられる。図4には高分子鎖12の直鎖中にメソゲン基12が含まれているもの、図5には高分子鎖12の側鎖13、および直鎖14の両方にメソゲン基が含まれている例を示す。
【0050】
また、図6は、高分子鎖12の側鎖13、および直鎖14の両方にメソゲン基が含まれているだけではなく、さらに低分子の液晶分子10を液晶エラストマー11bに含まれている。なお、低分子の液晶分子を使用する場合の含有量は、本発明に係る刺激応答性組成物の全体の質量に対して10〜80質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
【0051】
これらの液晶エラストマー11の骨格への低分子の液晶分子10の含ませ方は、含浸による方法も好適である。すなわち、予め重合させたエラストマーを低分子の液晶分子10からなる溶媒中に浸漬して、概ね1〜10日程度、低分子液晶10を含浸させ得ることができる(図6)。これらの形態でも、上記と同様の原理で、布状材料として機能する。この時に含浸させたことによる重量増加は、先述の予め混合しておく方法と同様に、もとの骨格材料の重量に対して数%から50%程度であることが好ましいが、特に限定は行わない。
【0052】
本発明に係る刺激応答性材料または刺激応答性組成物は、上記で説明したように、外力による形状変化に応答して物理量(例えば、静電容量、抵抗値)を変化し、かかる変化は可逆的変化である。さらに、本発明に係る刺激応答性材料または刺激応答性組成物は、一の物理量(例えば、電気刺激、電圧、電流)に応答して他の物理量(例えば、体積変化)を生じることができることが好ましい。換言すれば、本発明に係る刺激応答性材料または刺激応答性組成物に対してある物理量を供与すると、他の物理量に変換することができ、かつ当該他の物理量を本発明に係る刺激応答性材料または刺激応答性組成物に対して供与すると当該ある物理量に変換することができる、いわば“写像または関数”のような材料または組成物であるということができる。
【0053】
例えば本発明に係る刺激応答性組成物を、椅子などのシート部(いわゆるクッションなど)として用いる場合、布状材料に少なくとも一対の電極113a、113bが設置される(図12、13)ことがより好適である。
【0054】
この様に電極113a、113bを刺激応答性組成物1を有する形状可変部材に対して向かい合わせて設置し電圧印加することで、その電極間に電流が流れる、もしくは電界が発生する。液晶エラストマー11を用いた場合には、この電界に応じて液晶分子15が配列する。これに伴い、先述の温度刺激の場合と同様に、形状可変部材の変形が起こる。予め、液晶を配向させた状態で布状にしたものでは、配向軸に対して垂直方向の両面に電極113a、113を取り付けること(図7)で、より液晶分子(液晶性を示す基)15を大きく動かすことが出来るので、変位も大きく取り出すことが出来る。
このとき印加する電圧は、通常1〜100V程度がより好適ではあるが、刺激応答性組成物1を有する形状可変部材として薄い形状で用いる場合には、数mVから数百mVでも駆動できる。また、逆に厚い場合には、数kVでも駆動させることは可能であるが、ここでは特に限定は行わない。
【0055】
導電性高分子を用いた場合には、電流により変形が生じる。(その原理は、例えば特開2006−241613等に公開されている。)
電極の設置方向は、電流を全体に流すために、繊維の束状のものでは図8のように、織物状のものでは、図9のように設置するのが好ましいが、特に限定は行わない。
これらの電極を設置する方法としては、一般的に用いられる導電体を塗布する方法や、蒸着する方法等を適宜用いることが出来る。
【0056】
導電体としては、カーボン粉末(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ナーボンナノチューブ)や、金属(金、銀、銅等)の蒸着膜等が好適であるが特に限定は行わない。
【0057】
ここで、本発明に係る刺激応答性組成物を有する形状可変部材の応用例として、前記形状可変部材の形態を制御するための装置の実施形態を説明する。
【0058】
以下に、本発明に係る刺激応答性組成物を有する形状可変部材の形態を制御し得る装置(以下、「形態制御装置」と称する)について、第1実施形態〜第3実施形態に分けて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0059】
[第1実施形態]
図10〜図14は、本発明の第1実施形態に係る形態制御装置の説明に供する図である。図10は本実施の形態に係る形態制御装置の概略的な構成を示すブロック図を、図14は図10に示した形態制御装置の動作フローチャートを示し、このフローチャートは本実施の形態に係る形態制御装置の動作手順に相当するものでもある。図11〜図13は本実施の形態(第2実施形態、第3実施形態についても同様)に係る形態制御装置の各部の説明のために用いる図である。
【0060】
図10を参照して、本実施の形態に係る形態制御装置100について詳細に説明する。図10に示すように本実施の形態に係る形態制御装置100は、可変部110、制御部120、および刺激源供与部130を備えている。
【0061】
可変部110は、図11(a)、(b)に示すように、一対の電極113a、113bと、既に説明した刺激応答性組成物を有する形状可変部材111とから構成されている。電極113a、113bは形状可変部材111の一端部と他端部とに取り付けられ、これにより、可変部110がコンデンサと同じ機能を果たすようにしている。
【0062】
この可変部110に対して外部から電極113aと電極113bとに電電気刺激源(例えば電圧)を印加すれば、その電極間に電流が流れ、または電界が発生する。形状可変部材111が外力(以下、「荷重」と称する)により変形した場合には、形状可変部材111中の液晶性を示す基15(図1参照)が分極しているため、この分極が傾くことにより可変部110の静電容量が変化することになる(図2参照)。このように、可変部110は、形状可変部材111に電極113a、113bを取り付けて、実質的にコンデンサと同じ機能を発揮させることにより、形状可変部材111が荷重により変形した際に生じる静電容量の変化を、後述する制御部120(物理量検出部121)により検出することができる構成となっている。
【0063】
制御部120は、形状可変部材111が外力により生じる物理量、具体的には形状可変部材111が外力(以下、「荷重」と称する)をより変形した際の静電容量に基づき、形状可変部材111の形態を目標とする形態に変化させるための刺激源制御信号を出力するものであり、この制御部120は、物理量検出手段、算出手段、および刺激源制御信号出力手段として機能を併せ持っている。
【0064】
制御部120は、図示はしていないが、ROM、RAM、CPUを含んで構成されたマイクロコンピュータであって、前記刺激源制御信号を出力するための各制御部として、物理量検出部121、荷重算出部123、および制御信号出力部125を備えている。
【0065】
物理量検出部121は、形状可変部材111が荷重により変形した際に生じる物理量を検出するものであり、物理量検出手段として機能する。具体的には、物理量検出部121は、形状可変部材111が荷重により変形した際に生じる静電容量の検出し、その検出情報を荷重算出部123に送信する。前記検出情報には、荷重により変形した後の形状可変部材111の静電容量または静電容量の変化量が含まれる。
【0066】
ここで、荷重により変形した際に生じる可変部110の静電容量(以下、説明の便宜上、「形状可変部材111の静電容量」と称して説明する)の変化を検出する方法は、既に公知であるので詳細な説明は省略するが、例えば、物理量検出部121に既知の抵抗値を有する抵抗器Rと可変部110(コンデンサCに相当する)とを接続したRC回路を設けて、可変部110の両端の電圧波形の過渡現象を監視することにより静電容量の変化を検出することができる。この場合、物理量検出部121は、上記過度現象を利用して前記RC回路の時定数τを算出することにより、荷重により変形した後の形状可変部材111の静電容量を算出する。なお、形状可変部材111の静電容量の算出は、「時定数τ=抵抗値R×静電容量C」の関係に基づく。
【0067】
また、上記方法とは異なり、既知のインダクタンスLを有するコイルと可変部110とを接続したLC共振回路を設けて、形状可変部材111が荷重により変形した際に生じる静電容量の変化を検出しても良い。この場合、交流電圧(交番電界)を印加して前記LC共振回路の共振周波数の変化を検出し、周波数の変化を静電容量の変化として捉えることにより、荷重により変形した後の形状可変部材111の静電容量を算出する。
【0068】
さらにまた、上記各方法とは異なり、ソーヤタワー回路(Sawyer−Tower Circuit)を用いた方法(ソーヤタワー法)により電荷密度を測定し、荷重により変形した後の形状可変部材111の静電容量の変化を検出することができる。ソーヤタワー法を用いた場合、例えば膨潤させる低分子液晶10に用いられる一般的な液晶(例えば5CB、MBBA等)では、数十nC/cmのオーダーで電荷蜜度の変化を検出することができる。この場合、電荷密度の変化量に基づき、荷重により変形した後の形状可変部材111の静電容量を算出することができる。
【0069】
荷重算出部123は、物理量検出部121からの前記検出情報に基づき、形状可変部材111に作用する荷重の大きさを算出するものであり、算出手段として機能する。前記荷重の大きさは、形状可変部材111に作用する荷重の大きさと物理量検出部121からの検出情報との対応関係を示す荷重算出テーブルや演算式に基づき算出される。なお、上記荷重算出テーブルや演算式が記述されたプログラムは、前記ROM(記憶手段に相当する)に格納されている。
【0070】
ここで、図12を参照して、形状可変部材111の静電容量に基づく形状可変部材111に作用する荷重の算出方法を説明する。本発明では、図12に示すグラフのように、形状可変部材111の静電容量と形状可変部材111に作用する荷重との対応関係を、テーブルとしてまたは演算式として制御プログラムに記述し、これに基づいて上記荷重の大きさを算出している。上記静電容量と荷重との対応関係は、実験やシミュレーションを通じてあらかじめ取得することができる。
【0071】
制御信号出力部125は、荷重算出部123により算出された荷重の大きさに基づき、形状可変部材111を前記目標とする形態へと変化させるための前記刺激源制御信号を出力するものであり、刺激源制御信号出力手段として機能する。制御信号出力部125は、荷重算出部123により算出された荷重の大きさと後述する刺激源供与部130が生成すべき電気刺激源の大きさとが対応付けて記憶された刺激源制御信号生成テーブルや演算式を参照して、前記刺激源制御信号を生成し出力するように構成されている。前記刺激源制御信号には、電気刺激源の大きさを指示する情報が含まれる。
【0072】
なお、本実施の形態では、外力により変形した際に生じる物理量として、形状可変部材111の静電容量を検出する構成としているが、このような構成に限られることはない。例えば、上述した導電性高分子を用いて繊維状の形状可変部材を形成した場合、上記繊維状の形状可変部材が外力により変形した際に生じる抵抗値の変化を検出して、これに基づき外力の大きさを算出するように構成しても良い。上記抵抗値の検出は、繊維状の形状可変部材の電流値の計時変化を測定しても良いし、ひずみゲージを取り付けて形状可変部材の抵抗値の変化を検出するように構成しても良い。例えば、ひずみゲージにより前記抵抗値の変化を検出し、検出された抵抗値から形状可変部材が受ける荷重を算出する場合、ひずみゲージにより検出された抵抗値から形状可変部材のひずみ量を算出し、ひずみ量から荷重の大きさを算出することができる。なお、ひずみ量から前記外力の大きさを算出する方法は、既に公知であるので詳細な説明は省略するが、例えば、前記繊維状の形状可変部材の荷重(または応力)−ひずみ曲線等をあらかじめ実験等により取得しおき、この対応関係から荷重の大きさを算出する。
【0073】
ここで、図13を参照して、本実施の形態に係る形態制御装置における荷重に基づく形状可変部材111の変位量の算出方法を説明する。本発明では、図13に示すグラフのように、荷重と必要とする形状可変部材111の変形量(形態を変形させるための変位量)との対応関係を、テーブルとしてまたは演算式として制御プログラムに記述し、これに基づいて形状可変部材111を目的とする形態へと変化させるために必要な変形量を算出している。上記荷重と要求される変形量との対応関係は、実験やシミュレーションを通じてあらかじめ取得することができる。
【0074】
刺激源供与部130は、前記刺激源制御信号に基づき、形状可変部材111に電気刺激源を供与するものであり、刺激源供与手段として機能する。刺激源供与部130は、電気刺激源を生成することができるものであれば特に限定されず、公知の電気刺激装置を用いることができる。なお、本実施の形態の刺激源供与部130は、電気刺激源として、電圧を電極113a、113bに印加し、形状可変部材111の形態を目的とする形態に変化させている。
【0075】
以上のように構成された形態制御装置100は、形状可変部材111に荷重が作用した場合、その荷重により形状可変部材111が変形することによって生じる物理量に基づき前記荷重の大きさを算出し、その算出された荷重の大きさに応じた電気刺激源を形状可変部材111に供与するようにしている。
【0076】
次に、以上のように構成された本発明の第1実施形態に係る形態制御装置100の動作手順を図14にしたがって詳細に説明する。図14は、第1実施形態に係る形態制御装置100の動作手順を示すフローチャートである。
【0077】
まず、物理量検出部121は、形状可変部材111の静電容量が変化したか否かを判断する(ステップS10)。物理量検出部121は、形状可変部材111の静電容量の変化を検出するまで本処理を繰り返す(ステップS10:NO)一方、形状可変部材111の静電容量の変化を検出した場合(ステップS10:YES)、荷重により変形した形状可変部材111の静電容量を算出し(ステップS11)、その情報を荷重算出部123に送信する。
【0078】
次に、荷重算出部123は、ステップS11の処理で算出された形状可変部材111の静電容量に基づき、形状可変部材111に作用する荷重の大きさを算出する(ステップS12)。前記荷重の大きさは、上述した荷重算出テーブルを参照して行われる。
【0079】
次に、制御信号出力部125は、ステップS12の処理で算出された荷重の大きさに基づき、刺激源制御信号を出力する(ステップS13)。前記刺激源制御信号は、上述した刺激源制御信号生成テーブルを参照して行われる。
【0080】
次に、刺激源供与部130は、刺激源制御部125から送信された刺激源制御信号に基づき、形状可変部材111に電気刺激源を供与し(ステップS14)、処理を終了する。このとき、形状可変部材111は、刺激源供与部130からの電気刺激源を受けて、その電気刺激の大きさに応じた形状に変化する。この結果、目的とする形態に形状可変部材111を変化させることができる。
【0081】
以上のように構成された本実施の形態に係る形態制御装置100によれば、比較的簡単な制御方法により、形状可変部材111の形態を制御することができるようになる。この結果、機械的な構造を用いた器機よりもエネルギー消費を格段に抑え、外力に応じて、形状可変部材の形態を目的とする形態へと変化させることができる。
【0082】
ここで、図19に示すように、可変部110を車両のシートクッション50に設けた例を挙げて説明する。図19は、複数の可変部110をマトリックス状に組み合わせたものを車両のシートクッション50に設けた例を示す図である。また、本実施の形態に係る形態制御装置100を、例えば、図20に示すように、車両のシートクッション50に適用した場合、搭乗者の体重や体格等に応じたシート座面の上昇や下降を、複雑な機構を用いることなく行うことができる。また、本発明に係る形態制御装置100は、車両に搭載されるバッテリーを用いて形状可変部材111に供与するための電気刺激源を出力するように構成することができる。この場合、刺激源供与部130は、上記バッテリーから安定化電源装置(図示はしていない)を通じて、電気刺激源(電圧)を生成することができるので、車両に搭載された部品を用いて簡単に電気刺激源を得ることができる。この結果、本発明の形態制御装置を車両に搭載した場合であっても、車内の空間を確保することができるようにしつつ、エネルギー消費を格段に抑えることができる。さらに、形状可変部材111は軽量であるため、これを車両に適用させた場合、燃費を向上させることができるという利点がある。
【0083】
[第2実施形態]
図15および図16は、本発明の第2実施形態に係る形態制御装置200の説明に供する図である。図15は第2実施形態に係る形態制御装置200の概略的な構成を示すブロック図を、図16は図15に示した形態制御装置200の動作フローチャートを示し、このフローチャートは本実施の形態に係る形態制御装置200の動作手順に相当するものである。
【0084】
第1実施形態と第2実施形態とでは、図10に対応する図15において、制御部220に閾値判定部221が設けている点だけが異なっている。その他の構成要素は図10と全く同じであるので共通する構成要素の説明は重複記載を避けるため省略する。また、図16において、図10と異なる構成要素を設けたことにより各構成要素の機能が異なる点は、その異なる点を説明する。また、図15において、図10に示した構成要素と対応する構成要素には、同じ参照番号を付してある。
【0085】
本実施の形態における形態制御装置200は、第1実施形態のように、単に荷重を受けた場合に電気刺激源を供与する形態制御装置100とは異なり、形状可変部材111があらかじめ設定された閾値に達する荷重を受けた場合にのみ、刺激源制御信号を出力するように構成されている。以下に、本実施の形態に係る形態制御装置200について詳細に説明する。
【0086】
図15に示すように本実施の形態に係る形態制御装置200は、形状可変部材111、制御部220、および刺激源供与部130を備えている。本実施の形態における制御部220は、前記刺激源制御信号を生成し出力するための各制御部として、物理量検出部121、荷重算出部123、閾値判定部211、および制御信号出力部125を備えている。
【0087】
閾値判定部221は、荷重算出部123により算出された荷重が所定の閾値に達したか否かを判定するものであり、閾値判定手段として機能する。前記所定の閾値は、目的に応じて任意に設定することができる。
【0088】
刺激源制御信号出力部125は、閾値判定部221により所定の閾値に達したと判定された場合、形状可変部材111を前記目標とする形態へと変化させるための刺激源制御信号を生成し出力する。
【0089】
次に、以上のように構成された本発明の第2実施形態に係る形態制御装置200の動作手順を図16にしたがって詳細に説明する。なお、図16のフローチャートは、図14のフローチャートと比較してS23の処理が実行される点が異なっている。したがって、図14のフローチャートと同一の処理内容の説明については、適宜省略して説明する。
【0090】
まず、物理量検出部121は、形状可変部材111の静電容量が変化したか否かを判断する(ステップS20)。物理量検出部121は、形状可変部材111の静電容量の変化を検出するまで本処理を繰り返す(ステップS20:NO)一方、形状可変部材111の静電容量の変化を検出した場合(ステップS20:YES)、荷重により変形した形状可変部材111の静電容量を算出し(ステップS21)、その情報を荷重算出部123に送信する。
【0091】
次に、荷重算出部123は、ステップS21の処理で算出された形状可変部材111の静電容量に基づき、形状可変部材111に作用する荷重の大きさを算出する(ステップS22)。
【0092】
次に、閾値判定部221は、ステップ22の処理で算出された荷重の大きさが所定の閾値に達したか否かを判定する(ステップS23)。前記所定の閾値に達していない場合(ステップS23:NO)、そのまま処理を終了し、前記所定の閾値に達した場合(ステップS23:YES)、次に制御信号出力部125は、ステップS22の処理で算出された荷重に基づき、刺激源制御信号を生成し出力する(ステップS24)。
【0093】
次に、刺激源供与部130は、刺激源制御部125からの刺激源制御信号に基づき、形状可変部材111に電気刺激源(電圧)を供与し(ステップS25)、処理を終了する。このとき、形状可変部材111は、刺激源供与部130からの電気刺激源を受けて、その電気刺激源の大きさに応じた形状に変化する。この結果、目的とする形態に形状可変部材111を変化させることができる。
【0094】
以上のように構成された形態制御装置200は、第1実施形態とは異なり、外力の大きさが所定の閾値に達した場合、形状可変部材111に電気刺激源を供与して、形状可変部材111を目的とする形態に変化させるように制御することができる。本実施の形態では、前記閾値を利用目的に応じて適宜変更することができるが、ここでは、図19に示すように、可変部110を車両のシートクッション50に設けた例を挙げて説明する。図19に示すように可変部110を車両のシートクッション50に適用し、図20に示すように、搭乗者の体重や体格に応じたシート座面の上昇や下降を行うことを目的として本発明を適用する場合、搭乗者の体重に応じて形状可変部材111を変形させることができるような閾値を設定しておく。このようにすれば、体重が軽い搭乗者がシートクッション50に座った場合には、そのまま座面が下降する一方、体重が重い搭乗者がシートクッション50に座った場合には、搭乗者の体重に応じて座面に設けられた形状可変部材110に電気刺激源を供与して変形させ、機械的な機構を用いることなく、座面を所望する位置にまで上昇させることができ、適度なホールド感を搭乗者に与えることができるようになる。
【0095】
同様に、図21に示すような多人数用のシート(例えば乗用車の後部座席)に本発明を適用する場合、搭乗者の個々の体重や体格に応じて座面を必要な分だけ収縮させたり、膨張させたりすることができる。この結果、搭乗者が複数人いても、各搭乗者に適度なホールド感を搭乗者に与えることができるようになる。
【0096】
[第3実施形態]
図17および図18は、本発明の第3実施形態に係る形態制御装置300の説明に供する図である。図17は第3実施形態に係る形態制御装置300の概略的な構成を示すブロック図を、図18は図17に示した形態制御装置の動作フローチャートを示し、このフローチャートは本実施の形態に係る形態制御装置の動作手順に相当するものである。
【0097】
第1実施形態と第3実施形態とでは、図10に対応する図17において、制御部120に対応する制御部320に目標到達判定部321が設けられている点が異なっている。その他の構成要素は、図10と全く同じであるので共通する構成要素の説明は重複記載を避けるため省略する。また、図17において、図10と異なる構成要素を設けたことによって各構成要素の機能が異なる点は、その異なる点のみ説明する。また、図17において、図10に示した構成要素と対応する構成要素には、同じ参照番号を付してある。
【0098】
本実施の形態における形態制御装置300は、第1実施形態とは異なり、刺激源供与部130により形状可変部材111に電気刺激源が供与された後、当該電気刺激源により変形した形状可変部材111の物理量が目標とする物理量に達していない場合に、当該目標とする物理量に達するまで、新たな前記刺激源制御信号を生成し出力するように構成されている。以下に、本実施の形態に係る形態制御装置300について詳細に説明する。
【0099】
図17に示すように本実施の形態に係る形態制御装置300は、可変部110、制御部320、および刺激源供与部130を備えている。本実施の形態における制御部320は、前記刺激源制御信号を生成し出力するための各制御部として、物理量検出部121、荷重算出部123、目標到達判定部321、および制御信号出力部125、を備えている。
【0100】
目標到達判定部321は、刺激源供与部130により電気刺激源が供与された後、物理量検出部121で再び検出された物理量(形状可変部材111の静電容量)に基づき、形状可変部材111が目標とする形態に変形したか否かを判定するものであり、目標到達判定手段として機能する。
【0101】
具体的には、目標到達判定部321は、刺激源供与部130により電気刺激源が供与された後の物理量検出部121で検出された形状可変部材111の静電容量と、目標とする形態に形状可変部材111が変形したと仮定した場合における形状可変部材111の静電容量(以下、「目標静電容量」と称する)とを比較し、形状可変部材111が目標とする形態に変形したか否かを判定する。なお、上記比較判定は、電気刺激源が供与されるたびに行われ、目標到達判定部321は、目標到達判定テーブル(図示はしていない)を参照して比較判定を行う。この目標到達判定テーブルには、形状可変部材111に作用する荷重の大きさと目標静電容量とが対応付けて記憶されている。したがって、目標到達判定部321は、今回の比較判定処理が終了した後、物理量検出部121に再度、形状可変部材の静電容量を検出するように指示するための制御信号を出力する機能も有している。なお、上記比較判定処理は、電気刺激源が供与されるたびに行われる。
【0102】
制御信号出力部125は、目標到達判定部321により形状可変部材111が目標とする形態に変形したと判定されるまで、物理量検出部121で検出された静電容量に基づき、新たな刺激源制御信号を生成し出力する。
【0103】
次に、以上のように構成された本発明の第3実施形態に係る形態制御装置300の動作手順を図18にしたがって詳細に説明する。なお、図18のフローチャートは、図14のフローチャートと比較してS35の処理が実行される点が異なっている。したがって、図14のフローチャートと同一の処理内容の説明については適宜省略して説明する。
【0104】
まず、物理量検出部121は、形状可変部材111の静電容量が変化したか否かを判断する(ステップS30)。物理量検出部121は、形状可変部材111の静電容量の変化を検出するまで本処理を繰り返す(ステップS30:NO)一方、形状可変部材111の静電容量の変化を検出した場合(ステップS30:YES)、荷重により変形した形状可変部材111の静電容量を算出し(ステップS31)、その情報を荷重算出部123に送信する。
【0105】
次に、荷重算出部123は、ステップS21の処理で算出された形状可変部材111の静電容量に基づき、形状可変部材111に作用する荷重の大きさを算出する(ステップS32)。
【0106】
次に、制御信号出力部125は、ステップS32の処理で算出された荷重の大きさに基づき、刺激源制御信号を出力する(ステップS33)。
【0107】
次に、刺激源供与部130は、刺激源制御部125から送信された刺激源制御信号に基づき、形状可変部材111に電気刺激源を供与する(ステップS34)。
【0108】
次に、目標到達判定部321は、刺激源供与部130により電気刺激が供与された後の物理量検出部121で検出された形状可変部材111の静電容量と、目標とする形態に形状可変部材111が変形したと仮定した場合における形状可変部材111の静電容量(目標静電容量)とを比較する(ステップS35)。比較した結果が目標静電容量に達していないと判定した場合(ステップS35:NO)、物理量検出部121に再度、形状可変部材の静電容量を検出し、再びステップS31〜S34の処理を行うように指示をして、ステップS31の処理に戻り、目標とする静電容量となるまでステップS31〜S35の処理を繰り返す。一方、比較した結果が目標静電容量に達したと判定した場合(ステップS35:YES)、処理を終了する。
【0109】
なお、複数回ステップS35の処理を繰り返しても目標とする静電容量に達しない場合には、ステップS33の処理中に、今回出力した刺激源制御信号に基づく電気刺激源により変化した形状可変部材111の静電容量と目標値との静電容量差を算出し、次回出力するための刺激源制御信号を修正するための処理を含ませても良い。この場合、今回形状可変部材111に供与された電気刺激源により得られた静電容量と目標とする静電容量とを比較して、次回の形状可変部材111に供与する電気刺激源の大きさを算出する。具体的には、次回のステップS33の処理において、今回出力した刺激源制御信号を記憶しておき、電気刺激源が形状可変部材111に供与された後の前記静電容量と目標とする静電容量との静電容量差に基づき、前記静電容量差を無くすために必要な電気刺激源を算出し、必要とする電気刺激源を得るための刺激源制御信号を生成する。この新たな刺激源制御信号は、制御部120のROMに前記静電容量差を無くすため補正値が記憶された新規刺激源生成テーブルを格納しておき、これを参照して生成するように構成すれば良い。なお、前記新規刺激源生成テーブルに記憶されたデータは、実験等により求めておくことが好ましい。
【0110】
以上のように構成された形態制御装置300は、形状可変部材111が目標とする形態に変形するまで形状可変部材111に電気刺激源を供与するようにしたフィードバック制御機能を備えている。この結果、より正確に形状可変部材111の形態を目標とする形態に変化させるようことができるようになる。
【0111】
なお、第1実施形態〜第3実施形態では、図22に示すように、単一の可変部110を複数用いて並列的に形態を制御することや、荷重が直接的に作用する部分だけではなく、荷重が作用する部分の周囲の他の部分を変形させるように形態を制御するように構成しても良い。例えば、図22(a)では、搭乗者の臀部に当接している可変部110に対して制御するように構成しているが、これに対し、図22(b)に示すように、荷重が作用している部分を検出して、これらの周囲の可変部110(図22(b)に示すように、搭乗者の臀部と当接している可変部110間の他の可変部110を変形させることにより、所望の形態を得るように構成しても良い。
【0112】
また、上述した実施形態では、本発明を車両のシートクッション50に用いた例を挙げて説明したがこれに限らず、家具(例えば椅子、寝具)や建材(例えば、壁材や床材)等、動的や静的な荷重が作用する部位に設けても良い。
【0113】
また、上述したように、車両用のシートクッションとしてそのまま適用するのではなく、形状可変部材111を物体を覆うための表皮材として用い、この表皮材を例えば車両のシートクッション体に適用しても良い。この場、形状可変部材111を布状に形成して前記表皮材として用い、この表皮材に電極を接続して可変部110を構成する。なお、前記物体としては、車両用のシートクッションの他、車両用のステアリングホイール、家具、建材等が挙げられる。
【0114】
形状可変部材111を物体を覆うための表皮材として用いる場合、図23に示すように、形状可変部材111の伸縮方向に対して両端部で固定する固定部60を設けることが好ましい。図24に示すように固定部60がない場合であっても、形状可変部材111の形態を変形させることは可能であるが、十分に本発明の機能を活かすことができない。この理由としては、例えば上面側から荷重が作用している場合、形状可変部材111が変形する際、図24に示すように下面側に力が逃げてしまい、荷重が直接作用する上面側に対しての変位量や変位に伴う応力を効果的に取り出すことができないからである。したがって、図23(a)、(b)のように、下面側に力が逃げないように形状可変部材111を固定する固定部60を設け、形状可変部材111が下面側に変位しないように、具体的には、形状可変部材111の伸縮方向に沿って下面側の端部を固定する固定部60を設けることが好ましい(図23(c)参照)。
【実施例】
【0115】
以下、本発明に係る形態制御装置を実施例に基づき詳細に説明する。なお、以下の実施例は発明の理解を容易にするために記載したものであって、本発明の技術的範囲はこの実施例の記載に限定されるものではない。以下に説明する実施例および比較例では、本発明を車両に適用した。
【0116】
<実施例1>
実施例1では、形状可変部材を形成する刺激応答性組成物を構成する刺激応答性高分子として、1,2−ジメチル−ジヒドロゲン−ジシロキサン(1,2−dimethyl−dihydrogen−disiloxane)を30mol、側鎖の液晶性を示す基として、4−ブチル−3−エニロキシベンゾイックアシッド 4−メトキシフェニルエステル(4−but−3−enyloxybenzoic acid 4−methoxyphenyl ester)を54mol、直鎖成分として、1−(4−ヒドロキシ−4‘−ビフェニル)−2−[4−(10−ウンデセニロキシ)フェニル]ブタン(1−(4−hydroxy−4‘−biphenyl)−2−[4−(10−undecenyloxy)phenyl]butane)を6mol用い、50℃環境下で72時間、緩やかに架橋を行い、50mm角、厚さ500μmのフィルムを得た。得られたフィルムを、低分子液晶の4−ペンチル−4’−シアノビフェニル(5CB)中に10日間浸漬し、およそ75mm角、厚さ1000μmの低分子液晶で膨潤させたフィルムを得た。さらにこの膨潤フィルムの表面に、カーボン粉末(アセチレンブラック)を100℃のホットプレスを用いて、1MPaの圧力で10分間、圧着した。得られた形状可変部材111は布状材料とした。
【0117】
これにより得られた形状可変部材に対し、刺激源供与部130として入力インターフェースを備える直流安定化電源を用い、形状可変部材に電極で挟んで電線(銅線、直径0.05mm)により電気的に接続した。また、前記直流安定化電源と入出力インターフェースから構成される制御部120とを電気的に接続した。なお、制御部120の物理量検出部121には、電気容量測定器((株)エヌエフ回路ブロック社製、LCRメーターZM2353)を用いた。
【0118】
この布状材料に、底面の直径が1.13cm、底面積が1cmである丸状底面の10g、20g、40g分銅をのせた。この変位量をレーザー変位計で測定したところ、図13に示すグラフを得た。また、実施例1の布状材料仕様の1cm角、厚さ500μmの大きさサンプルに荷重を1cmの面積に均一に作用し、20Vの電圧が印加されている場合、その厚さが400μm程度になり、電気容量が0.1nCから0.125nCへ変化する。それにより、電気容量が、5pFの変化として観測され、図12に示すグラフを得た。これを膨潤させる低分子液晶に用いられる一般的な液晶(5CB,MBBA等)では、ソーヤタワー法による計測で数十nC/cmの値が観測される。これを用いた場合、本発明の布状材料で、十分に検出される能力を持つ。
【0119】
<実施例2>
実施例1で得た形状可変部材を15mm幅に切断して15mm×75mmの帯状とし、それぞれに実施例1と同様の手法で電極を設置し、5単位の形状可変部材を並べ、布状材料とした。(図25参照)そして、形態制御装置の制御として、荷重を受けた形状可変部材に隣接した他の形状可変部材を変位させる制御を行った。
【0120】
<実施例3>
実施例1で得た形状可変部材を3×3のマトリクス状に9単位を並べ、225mm角の布状とし、それぞれに実施例1と同様の手法で電極を設置し、9単位の形状可変部材からなる布状材料とした。(図26参照)液晶性を示す基の配向方向の両端を固定端とし、シートクッションの表皮材として搭乗者の臀部があたる部分に設置し、クッション体を得た(図19参照)。形態制御装置の制御として、最大荷重を受けている2単位の形状可変部材間に存在する形状可変部材を変位させる制御を行った。
【0121】
<実施例4>
実施例1で得た形状可変部材を15mm幅に切断して15mm×75mmの帯状とし、それぞれに実施例1と同様の手法で電極を設置し、7×2のマトリクス状に14単位を並べ、布状材料とした(図27参照)。液晶性を示す基の配向方向の両端を固定端とし、車両のシートクッションの表皮材として搭乗者の背中があたる部分に設置し、クッション体を得た(図28参照)。形態制御装置の制御として、最大荷重を受けている2単位の形状可変部材間に存在する形状可変部材を変位させる制御を行った。
【0122】
<実施例5>
実施例1で得た形状可変部材を15mm幅に切断して10mm×75mmの帯状とし、それぞれに実施例1と同様の手法で電極を設置し、7単位の形状可変部材を並べ、布状材料とした。(図29参照)。液晶性を示す基の配向方向の両端がまとまるように、ステアリング70に巻きつけて2セット配置した(図30参照)。形態制御装置の制御として、最大荷重を受けている2単位の形状可変部材間に存在する形状可変部材を変位させる制御を行った。
【0123】
<実施例6>
実施例6では、形状可変部材を形成する刺激応答性組成物に用いる刺激応答性高分子として、導電性高分子繊維からなる布帛を用いた。この導電性高分子からなる布帛は、湿式紡糸法を利用し、溶媒相にアセトンなどの有機溶媒を用い、前記導電性高分子の水分散液をマイクロシリンジから所望の速度で押し出すことによって、任意の太さの導電性高分子繊維を得た後、前記導電性高分子繊維の導電率をJIS K 7194(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)に準拠して測定し、得られた導電性高分子繊維を揃えて、複数束ねバンドルし、次いで、必要によりこのバンドル表面に、水系ポリエステルエマルジョンを表面に塗布し、乾燥させた後、所定の被覆したバンドルから織物を形成する方法で作製した。この布帛を浮薄を繊維、布帛を75mm角、厚さ1000μmに切り出し、図16に示すように、電極を設置した以外は、実施例1と同様に布状材料とした。
【0124】
<実施例7>
実施例6の布状材料を実施例3と同様の大きさに切り出し、これを組み合わせて9単位の布状材料とし、車両のシートクッションに設置し、車両用部品とした。
【0125】
<実施例8>
実施例6の布状材料を実施例4と同様の大きさに切り出し、これを組み合わせて7単位の布状材料とし、車両のシートクッションに設置し、車両用部品とした。
【0126】
<比較例1>
布状センサとして、アイシン精機製着座センサを用意し、通電を行いレーザー変位計でアクチュエート能を測定したが、変位は得られなかった。
<比較例2>
アクチュエータとして、富士セラミックス製の平面状ピエゾアクチュエータを用意し、センシング能を測定したが、応答は得られなかった。
【0127】
<比較例3>
比較例1と比較例2を組合せ、車両のシートクッションに設置し、評価に用いた。
【0128】
なお、各実施例、各比較例の変位量は、図31に示す反射型のレーザー変位計(キーエンス社製LB−300)500を用いて評価した。図31に示すように、布状材料の両端に止め点を設けた評価装置を用いた。各実施例、比較例サンプルを止め点で締結部材により固定、そのサンプルの中央部に分銅をのせ、その変位量を、上述の反射型のレーザー変位計を用いて評価した。この評価した結果を表1に示す。
表1
【0129】
【表1】

【0130】
表1から分かるように、各実施例によると、荷重の検出と形状の変形をひとつの形状可変部材で行うことにより、共通の電源、制御部を除く容積、重量で比較しても、機械的な機構を有するものより、重量、容積とも小さく、同等以上の機能が得られることが分かる。
【0131】
また、ピエゾアクチュエータを用いたり、空気圧クッションを用いたりしたものでは、座り心地の悪化や異物感が感じられたが、これと比較して、本実施例における布状材料を車両のシートクッション、背部を支持するシートバック等に設置した場合、本発明の形状可変部材は有機材料から構成されており、また剛体でもないことから、触っても違和感はなく、形態制御を行うことで、ホールド感や座りやすさを感じることが出来た。
【0132】
実施例5のステアリング70に設置したものでは、従来のアクチュエータではスペースが確保することができなかったが、センサ、アクチュエータを兼ねた本発明の形態制御装置により、手の握り(人間の握力)具合に応じて形状可変部材の形態を制御することにより、ステアリングが握りやすくなった。これも、本発明の布状材料を用いていることにより、触った際の違和感はない。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、機能性材料、すなわち外部刺激に応答して可逆的に変化しうる材料、その変化の制御に関する技術分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の刺激応答性組成物の模式図である。
【図2】本発明の刺激応答性組成物が外力により変形した模式図である。
【図3】本発明の刺激応答性組成物の組成を示す好適な一例を示す模式図である。
【図4】本発明の刺激応答性組成物の組成を示す好適な一例を示す模式図である。
【図5】本発明の刺激応答性組成物の組成を示す好適な一例を示す模式図である。
【図6】本発明の刺激応答性組成物の組成を示す好適な一例を示す模式図である。
【図7】本発明の刺激応答性組成物に電極を取り付けた形状可変部材の模式図である。
【図8】本発明の刺激応答性組成物に電極を取り付けた形状可変部材の好適な一例を示す模式図である。
【図9】本発明の刺激応答性組成物に電極を取り付けた形状可変部材の好適な一例を示す模式図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る形態制御装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図11】本発明に係る形態制御装置の各部の説明のために用いる図である。
【図12】本発明に係る形態制御装置の各部の説明のために用いる図である。
【図13】本発明に係る形態制御装置の各部の説明のために用いる図である。
【図14】本発明の第1実施形態に係る形態制御装置の動作フローチャートである。
【図15】本発明の第2実施形態に係る形態制御装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係る形態制御装置の動作フローチャートである。
【図17】本発明の第3実施形態に係る形態制御装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の第3実施形態に係る形態制御装置の動作フローチャートである。
【図19】本発明を車両の構成部品に適用した応用例の一例を示す図である。
【図20】本発明を車両の構成部品に適用した応用例の一例を示す図である。
【図21】本発明を車両の構成部品に適用した応用例の一例を示す図である。
【図22】本発明を車両の構成部品に適用した応用例の一例を示す図である。
【図23】本発明を車両の構成部品に適用した応用例の一例を示す図である。
【図24】本発明を車両の構成部品に適用した応用例の一例を示す図である。
【図25】本発明の実施例に係る形状可変部材の説明に用いる図である。
【図26】本発明の実施例に係る形状可変部材の説明に用いる図である。
【図27】本発明の実施例に係る形状可変部材の説明に用いる図である。
【図28】本発明の実施例に係る形状可変部材の説明に用いる図である。
【図29】本発明の実施例に係る形状可変部材の説明に用いる図である。
【図30】本発明の実施例に係る形状可変部材の説明に用いる図である。
【図31】形状可変部材の変位量を計測する変位計の説明に用いる図である。
【符号の説明】
【0135】
1 刺激応答性組成物、
10 低分子の液晶分子、
11a エラストマー、
11b 液晶エラストマー、
12 高分子鎖、
13 側鎖、
14 直鎖、
15 液晶分子または液晶性を示す基、
110 可変部
111 形状可変部材、
113a、113b 電極、
120 制御部、
121 物理量検出部、
123 荷重算出部、
125 制御信号出力部、
130 刺激源供与部、
221 閾値判定部、
321 目標到達判定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外力による形状変化に応答して物理量を変化する、および/または物理量の変化に応答して形状変化を生ずる刺激応答性材料を有する形状可変部材と、
前記形状可変部材が外力によって形状が変化した際に生じる物理量を検出するための物理量検出手段と、
前記物理量と前記外力の大きさとの対応関係をあらかじめ記憶した記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている対応関係に基づき、前記物理量検出手段によって検出された物理量から前記外力の大きさを算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された外力の大きさに応じて前記形状可変部材の形態を目標とする形態へと変化させるための刺激源制御信号を出力する刺激源制御信号出力手段と、
前記刺激源制御信号出力手段から出力された刺激源制御信号に基づき、前記形状可変部材に電気刺激源を供与する刺激源供与手段と、
を備えることを特徴する形態制御装置。
【請求項2】
さらに、前記算出手段によって算出された外力の大きさがあらかじめ定められた閾値に達したか否かを判定する閾値判定手段を備え、
前記刺激源制御信号出力手段は、前記閾値判定手段によって前記閾値に達したと判定された場合、前記算出手段によって算出された外力の大きさに応じた前記刺激源制御信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の形態制御装置。
【請求項3】
さらに、前記電気刺激源が供与された直後の前記物理量検出手段で検出された物理量に基づき、前記形状可変部材が目標とする形態に変形したか否かを判定する目標到達判定手段を備え、
前記刺激源制御信号出力手段は、前記目標到達判定手段によって前記形状可変部材が目標とする形態に変形していないと判定された場合、新たな前記刺激源制御信号を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の形態制御装置。
【請求項4】
前記形状可変部材は物体を覆うための表皮材であって、前記刺激応答性材料は、導電性高分子および液晶エラストマーの少なくとも1つを含む布状材料であることを特徴とする請求項2に記載の形態制御装置。
【請求項5】
前記表皮材を前記物体に覆う場合、前記表皮材が電気刺激源を受けることによる形状変化に伴う変位方向に対して、その変位方向の一部を束縛するための固定部を設けたことを特徴とする請求項4に記載の形態制御装置。
【請求項6】
前記物体は、クッション体であることを特徴とする請求項4または5に記載の形態制御装置。
【請求項7】
前記クッション体は、搭乗者が座席する車両のシート用のクッション体であることを特徴とする請求項6に記載の形態制御装置。
【請求項8】
前記物体は、車両用のステアリングホイールであることを特徴とする請求項4または5に記載の形態制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate


【公開番号】特開2009−208647(P2009−208647A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54021(P2008−54021)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】