説明

刺繍データ作成装置、刺繍データ処理プログラム及びミシン

【課題】刺繍模様の配色を簡単に行え且つ刺繍模様の特徴に応じて多様な配色パターンを得ることができる刺繍データ作成装置、刺繍データ処理プログラム及びミシンを提供する。
【解決手段】刺繍データ作成装置において、予め定義されている複数色を記憶する記憶手段と、色別模様部毎に、記憶手段に記憶されている複数色の中から糸色データとして用いる色をランダムに抽出して割り当てる割当処理を行う制御装置とを備える。制御装置は、色別模様部の特徴を示す特徴量を算出し(ステップA2)、算出した特徴量に基づいて前記の割当処理を行う(ステップA6〜A29)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の色別模様部からなる刺繍模様をミシンにより縫製するための刺繍データを作成する刺繍データ作成装置、刺繍データ処理プログラム及びミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、刺繍データに基づいて刺繍模様を縫製するミシンがある。このようなミシンでは、ミシンに内蔵された記憶装置、或はROMカードやフレキシブルディスク等の外部の記憶装置に、複数の刺繍模様が記憶されている。ユーザは、複数の刺繍模様の中から、所望の刺繍模様を選択する。そして、ミシンでは、選択された刺繍模様の刺繍データを読み込んで、加工布を保持した刺繍枠を移送機構により移送させながら、加工布に刺繍模様を刺繍する。
【0003】
ところで、複数の色別模様部からなる刺繍模様の刺繍データは、色別模様部の色を特定する糸色データを含んでおり、各色別模様部は、糸色データとして予め設定された色(糸色)で縫製される。このため、各色別模様部の色が加工布たる生地の色と類似していると、当該色別模様部と生地の区別が分かり難いという問題が発生する。具体的には、「花」の刺繍模様を、花びらの色別模様部の色と同色の生地に縫製した場合、花びらと生地の区別が分かり難くなり、花びらが無い奇妙な刺繍模様であると見間違う虞がある。
そこで、刺繍データ作成装置には、予め好ましい色の組合せを示す配色データを記憶させておき、当該配色データと生地の色等を示す生地データとに基づいて、色別模様部の糸色データの色を設定するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−57262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の刺繍データ作成装置では、生地の色と配色データに基づき、刺繍模様の色別模様部の色が一義的に決定される。しかし、ユーザとしては、色別模様部の色が生地の色で制約されるのではなく、色別模様部の夫々について「規定の色」ではない好みの色や或いは奇抜な色で縫製したい場合もある。しかしながら、このような刺繍模様の色の指定を行うには、色別模様部のデータを1つ1つ読み出して該当する糸色データの確認や指定を行わなければならず、手間がかかり面倒である。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、刺繍模様の配色を簡単に行え且つ刺繍模様の特徴に応じて多様な配色パターンを得ることができる刺繍データ作成装置、刺繍データ処理プログラム及びミシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明の請求項1の刺繍データ作成装置は、複数の色別模様部からなる刺繍模様をミシンにより縫製するための刺繍データであって前記色別模様部の色を特定する糸色データを含む刺繍データを作成する刺繍データ作成装置において、予め定義されている複数色を記憶する記憶手段と、前記色別模様部毎に、前記記憶手段に記憶されている複数色の中から前記糸色データとして用いる色をランダムに抽出して割り当てる割当処理を行う割当手段と、前記色別模様部の特徴を示す特徴量を算出する算出手段とを備え、前記割当手段は、前記算出手段により算出された特徴量に基づいて前記割当処理を行うことを特徴とする。
【0008】
上記刺繍データ作成装置によれば、刺繍模様について、色別模様部の糸色データに対し割当処理により抽出した色を割り当ててランダムな配色を行うことができる。このため、糸色データの確認や指定といった面倒な作業を省略して、刺繍模様の配色を簡単に行うことができる。また、割当処理では、色別模様部の特徴量に基づき色を割り当てるため、刺繍模様全体として夫々の特徴に応じた多様な配色パターンを効率的に得ることができる。
【0009】
請求項2の刺繍データ作成装置では、請求項1の発明において、前記算出手段は、前記特徴量として前記色別模様部毎の針数又は面積を算出する第1算出手段を備え、前記割当手段は、前記第1算出手段により算出された前記色別模様部毎の針数又は面積に基づいて、前記割当処理を行うことを特徴とする。
請求項3の刺繍データ作成装置では、請求項1または2の発明において、前記複数色を複数のグループに配分する第1配分手段を備え、前記割当手段は、前記色別模様部毎に、前記第1配分手段で配分された夫々のグループの中から前記糸色データとして用いる色をランダムに抽出して割り当てる割当処理を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項4の刺繍データ作成装置では、請求項3の発明において、前記第1配分手段は、前記複数色を色の濃淡により複数のグループに配分し、前記割当手段は、前記針数又は面積が大きい色別模様部ほど前記グループのうち相対的に淡い色のグループの中からランダムに色を抽出し、前記針数又は面積が小さい色別模様部ほど前記グループのうち相対的に濃い色のグループの中からランダムに色を抽出することを特徴とする。
【0011】
請求項5の刺繍データ作成装置では、請求項1の発明において、前記算出手段は、前記特徴量として、前記色別模様部毎の針数又は面積を算出する第1算出手段と前記色別模様部の総数を算出する第2算出手段とを備え、前記割当手段は、前記第2算出手段により算出された前記色別模様部の総数に基づいて、前記割当処理を行うことを特徴とする。
請求項6の刺繍データ作成装置では、請求項5の発明において、前記第2算出手段により算出された前記色別模様部の総数に応じて、前記複数色を複数のグループに配分する第2配分手段を備え、前記割当手段は、前記色別模様部毎に、前記第2配分手段で配分された夫々のグループの中から前記糸色データとして用いる色をランダムに抽出して割り当てる割当処理を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項7の刺繍データ作成装置では、請求項6の発明において、前記第2配分手段は、前記複数色を色の濃淡により前記色別模様部の総数に応じた複数のグループに配分し、前記割当手段は、前記針数又は面積が大きい色別模様部ほど前記グループのうち相対的に淡い色のグループの中からランダムに色を抽出し、前記針数又は面積が小さい色別模様部ほど前記グループのうち相対的に濃い色のグループの中からランダムに色を抽出することを特徴とする。
【0013】
請求項8の刺繍データ処理プログラムは、請求項1から7までの何れかに記載の刺繍データ作成装置の各種処理手段として刺繍データ作成装置のコンピュータを機能させるためものである。よって、上記した請求項1から7までの発明と同様の効果を奏する。
請求項9のミシンは、請求項1から7までの何れかに記載の刺繍データ作成装置を備えたものである。よって、上記した請求項1から7までの発明と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の刺繍データ作成装置によれば、刺繍模様について、色別模様部の糸色データに対し割当処理により抽出した色を割り当ててランダムな配色を行うことができる。このため、糸色データの確認や指定といった面倒な作業を省略して、刺繍模様の配色を簡単に行うことができる。また、割当処理では、色別模様部の特徴量に基づき色を割り当てるため、刺繍模様全体として夫々の特徴に応じた多様な配色パターンを効率的に得ることができる。
【0015】
請求項2の刺繍データ作成装置によれば、請求項1の発明の効果に加え、第1算出手段により算出された色別模様部毎の針数又は面積に基づいて割当処理を実行する。このため、刺繍模様について、色別模様部毎の針数又は面積に応じた適切な配色パターンを効率よく得ることができる。
請求項3の刺繍データ作成装置によれば、請求項1または2の発明の効果に加え、色別模様部毎に、第1配分手段で配分された夫々のグループの中からランダムに色を抽出する。このように、第1配分手段により複数色を複数のグループに配分することで、割当処理において所期の配色を容易に得ることが可能となる。
【0016】
請求項4の刺繍データ作成装置によれば、請求項3の発明の効果に加え、針数又は面積が大きい色別模様部ほど相対的に淡い色の中からランダムに色を割り当て、針数又は面積が小さい色別模様部ほど相対的に濃い色の中からランダムに色を割り当てることができる。従って、刺繍模様についてランダムな配色としながらも、針数又は面積が小さい模様部ほど視認性の高い濃い色を割り当てることができ、全体として見映えの良い配色を行うことができる。
請求項5の刺繍データ作成装置は、請求項1の発明の効果に加え、第2算出手段により算出された色別模様部の総数、つまり刺繍模様を構成する色別模様部の数に応じて、刺繍模様の配色を簡単に行うことができる。
【0017】
請求項6の刺繍データ作成装置によれば、請求項5の発明の効果に加え、色別模様部の総数に応じて前記複数色を複数のグループに配分し、割当処理では、色別模様部毎に、配分した夫々のグループの中からランダムに色を抽出して割り当てる。従って、グループ毎に色の種類等を異ならせることで、色別模様部間で色の種類等が重複しないように割当処理を行うことができる。また、刺繍模様についてランダムな配色としながらも、色別模様部の数に応じた所期の配色を得ることができる。
【0018】
請求項7の刺繍データ作成装置によれば、請求項6の発明の効果に加え、第2配分手段は、前記複数色を色の濃淡により色別模様部の総数に応じた複数のグループに配分する。このため、針数又は面積が大きい色別模様部に相対的に淡い色を割り当て、針数又は面積が小さくなるに従い、その色別模様部に総数に応じて段階的に濃くなる色を割り当てることができる。よって、刺繍模様についてランダムな配色としながらも、色別模様部に総数に応じたグラデーションを示す色調を簡単に得ることができる。
【0019】
請求項8の刺繍データ処理プログラムは、請求項1から7までの何れかに記載の刺繍データ作成装置の各種処理手段として刺繍データ作成装置のコンピュータを機能させるためものである。よって、上記した請求項1から10までの発明と同様の効果を奏する。
請求項9のミシンは、請求項1から7までの何れかに記載の刺繍データ作成装置を備えたものである。よって、上記した請求項1から7までの発明と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態を示すミシンの外観斜視図
【図2】電気的構成を示すブロック図
【図3】ミシンのRAMの記憶領域を説明するための概念図
【図4】刺繍データの一例を示す図
【図5】刺繍データの作成時における第1色替画面の一例を示す図
【図6】色調設定画面の一例を示す図
【図7】拡大表示画面の一例を示す図
【図8】濃淡レベルテーブルの一例を示す図
【図9】刺繍データ作成処理における糸色データの設定に係るフローチャート
【図10】本発明の第2実施形態を示す図8相当図
【図11】図9相当図
【図12】本発明の第3実施形態を示す図9相当図
【図13】色別模様部の面積と配色される色の濃淡レベルとの関係を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
以下、本発明を家庭用ミシン(以下、ミシンMと称す)に適用した第1実施形態について、図1〜図9を参照しながら説明する。
図1において、ミシンMは、左右方向に延びるベッド部1と、ベッド部1の右端部から上方に立上がる脚柱部2と、脚柱部2の上部からに左方に延びるアーム部3とを一体に備えて構成されている。アーム部3内には、ミシン主軸(図示略)が左右方向に延びるように設けられていると共に、前記ミシン主軸を回転させるミシンモータ4(図2参照)が配設されている。尚、ミシンMに対して使用者(ユーザ)が位置する方向を前方とし、その反対方向を後方とする。また、脚柱部2が位置する側を右側とし、その反対側を左側とする。
【0022】
アーム部3の先端部には、縫針5を装着した針棒5aと、押え足6を備えた押え棒(図示略)とが設けられている。また、図示は省略するが、アーム部3内には、前記針棒をミシン主軸の回転に基づき上下動させる針棒駆動機構、針棒を布送り方向と直交する方向(左右方向)に揺動させる針棒揺動機構、天秤を針棒の上下動に同期して上下動させる天秤駆動機構、前記押え棒を上下動させる押え棒駆動機構等が配設されている。
アーム部3には、上面側を開閉するカバー3aが開閉可能に設けられている。カバー3aを開けた状態におけるアーム部3手前側の中央部には、糸駒10を収容するための収容部10aが設けられている。糸駒10から延びる上糸は、前記天秤等を含む糸供給経路を経由して縫針5に供給される。
【0023】
アーム部3の前面側には、縫製作業の起動と停止を指令する起動停止スイッチ8a等の各種のスイッチ類が設けられると共に、縫製速度(ミシン主軸の回転速度)を調節するための速度調節ツマミ8bが設けられている。
脚柱部2の前面には、大型で縦長形状をなしフルカラー表示が可能なディスプレイ9が設けられている。ディスプレイ9は、例えば液晶カラーディスプレイから構成されている。ディスプレイ9には、実用模様や刺繍模様等の種々の縫製模様、縫製作業に必要な各種の機能を実行させる機能名の他、後述する刺繍模様の色を設定するための設定画面等が表示される(図5参照)。また、ディスプレイ9の前面には、透明電極からなる複数のタッチキーを有するタッチパネル9a(図2参照)が設けられている。当該タッチキーがユーザの指又はタッチペン(図示略)で押圧操作されることで、前記の縫製模様の選択、各種機能の指示、各種のパラメータ等の設定が可能になっている。
脚柱部2の右側面には、各種の刺繍模様の刺繍データ等が記憶されているメモリカード11(図2にのみ図示)が挿入されるカードスロット12が設けられている。
【0024】
ベッド部1の上面には、図示しない針板が設けられている。また、いずれも図示は省略するが、ベッド部1内には、前記針板の下側に位置して、送り歯を上下方向及び前後方向に移動させる布送り機構、下糸ボビンを収容し縫針5と協働して縫目を形成する水平回転釜、上糸と下糸を切断する糸切り機構等が配設されている。
【0025】
ベッド部1の左側部分には、刺繍枠移送装置13が取外し可能に装着される。刺繍枠移送装置13は、ベッド部1の上面と同じ高さになる本体部14と、本体部14の上面部に左右方向に移動可能に設けられた可動部15とを備えている。可動部15には、刺繍枠16を着脱可能に連結するためのキャリッジ17が前後方向に移動可能に設けられている。刺繍枠16は、縫製対象たる加工布CLを保持する。刺繍枠移送装置13は、キャリッジ17を可動部15ごと左右方向に駆動させるX方向移送機構(図示略)と、キャリッジ17を前後方向に移動させるY方向移送機構(図示略)とを備えている。刺繍枠16は、前記刺繍模様の刺繍データに基づいて、X方向移送機構及びY方向移送機構の夫々の駆動モータ(後述するX軸モータ18及びY軸モータ19、図2参照)の駆動により、左右方向たるX方向、及び前後方向たるY方向へ移動される。
【0026】
続いて、ミシンMの制御系の構成について、図2のブロック図を参照しながら説明する。
制御装置21は、マイクロコンピュータを主体に構成されており、内部にCPU22、ROM23、RAM24、EEPROM25、カードスロット12、入出力インターフェース27a,27b(I/O)、それらを結ぶバス28等を有する。入力インターフェース27aには、起動停止スイッチ8a、タッチパネル9aが接続されている。出力インターフェース27bには、ミシンモータ4、X軸モータ18、Y軸モータ19、ディスプレイ9を夫々駆動する駆動回路31,32,33,34が接続されている。制御装置21、ディスプレイ9及び駆動回路34は、表示手段に相当する。また、制御装置21、タッチパネル9a、ディスプレイ9、駆動回路34等から、刺繍データ作成装置30が構成される。
【0027】
ROM23は、刺繍データ、縫製制御プログラム、刺繍縫製に用いられる複数種類の糸に関する全ての情報であって後述の糸の色情報や品番等を含む全糸情報テーブル、及びディスプレイ9の液晶ディスプレイを制御する表示制御プログラムを記憶している。また、ROM23には、刺繍データを作成するための各種処理手段としてコンピュータを機能させるための刺繍データ処理プログラムが記憶されている。尚、これら各種のプログラムやデータは、EEPROM25等を含む他の内部記憶手段や、メモリカード11等の外部記憶手段に記憶されてもよい。例えば刺繍データ処理プログラムが外部記憶手段に記憶されている場合、制御装置21は、当該プログラムをRAM24上に読み込んで実行する。
【0028】
RAM24は記憶手段として、上記のプログラムやデータ、タッチパネル9aの操作等で入力された各種の設定値、制御装置21で演算された演算結果等を一時的に記憶するための記憶領域を有する。詳細には、図3に示すように、RAM24には、プログラム記憶領域241、設定記憶領域242、刺繍データ記憶領域243、フラグ記憶領域244、縫製条件記憶領域245、色情報記憶領域246、画像表示データ記憶領域247、作業領域248、抽出データ記憶領域249等、複数の記憶領域が設けられている。プログラム記憶領域241は、ROM23等から読み出された各種のプログラムを記憶する。設定記憶領域242は、プログラムの実行の際に参照される設定値やテーブル等を記憶する。刺繍データ記憶領域243は、刺繍データ作成時の元(基準)となるデータを記憶する。フラグ記憶領域244は、プログラムの実行の際に使用される各種フラグを記憶する。縫製条件記憶領域245は、刺繍模様を縫製する際の各種縫製条件を記憶する。
【0029】
色情報記憶領域246は、刺繍模様の配色に用いられるデータを記憶する濃淡別バッファを備える。詳しくは後述するように、濃淡別バッファは、当該データについて色の濃淡レベル毎に複数のグループに分けて記憶するための記憶領域として構成されている。また、抽出データ記憶領域249は、ランダムに抽出した色を一次的に記憶する。尚、画像表示データ記憶領域247は、ディスプレイ9に表示する画面の画像データや表示設定を記憶し、作業領域248は、各種のプログラムの実行時に設定値等を予備的に記憶する。
【0030】
前記刺繍模様の一例として、図7に示すディスプレイ9の画面103に表示された「花」の刺繍模様40を説明する。刺繍模様40は、例えば複数個(x個)の色別模様部である第1模様部401〜第x模様部40xからなる。具体的には例えば、花の細部を表現する第1模様部401は紫の糸色で縫製され、花びらを構成する第2模様部402はバラ色の糸色で縫製され、茎を構成する第3模様部403はマゼンタの糸色で縫製される。このように、模様部401〜40xは、夫々に色が設定される色別模様部であるが、相互に異なる色でなくてもよい。
【0031】
刺繍データは、刺繍模様をミシンMにより縫製するためのデータであり、複数個の色別模様部データからなる。例えば、図4に示すように、刺繍模様40の刺繍データの場合には、模様部401〜40x毎に設定された複数の針落ち位置データと、当該模様部401〜40xの縫製順序を特定するための縫製順序データ(模様1〜模様x)と、糸色データを含む。糸色データは、色別模様部毎に色を特定するために付されるデータであり、後述の割当手段により各色情報の中から色が割り当てられる。
【0032】
ここで、図4における一番上の縫製順序データ「模様1」は最初に縫製される順序を特定するもので、これに対応する「紫」は、実際には例えばRGB値で示される糸色データである。また、針落ち位置データ「Xa0、Ya0」…「XaN、YaN」は、紫の糸色に対応する縫針が順次針落ちする座標位置である。これと同様に、縫製順序が2番目以降の刺繍データについても、縫製順序データ「模様2」〜「模様x」と、糸色データ「バラ色」〜「マゼンタ」と、針落ち位置データ「XbN、YbN」〜「XxN、YxN」とが夫々含まれる。また、刺繍データは、ディスプレイ9に表示する画像データ(例えばbmp等の画像データ)(図示略)を含み、刺繍模様の画像は各糸色データに割り当てられた色でディスプレイ9に表示される。
【0033】
EEPROM25には、前記糸色データとして割り当てられる複数色の情報(色情報)が記憶されている。色情報は、例えば、ミシンMにおいて使用可能な糸駒10の糸色に関する情報であって、RGB値で予め定義されている。具体的には、64色分のRGB値と当該RGB値に夫々対応付けられた1〜64のパレット別色番号とからなる第1パレットテーブル(図5の第1カラーパレット53参照)がEEPROM25に記憶されている。また、第1パレットテーブルとは別に、前記色情報の中から予めユーザにより選択された複数の色が、第2パレットテーブル(図示略)としてEEPROM25に記憶されている。第2パレットテーブルは、例えば、最大で300色分のRGB値、及び当該RGB値に夫々対応付けられた1〜300のパレット別色番号を、ユーザの好みに応じて設定が可能なカスタムパレットテーブルである。
【0034】
また、本実施形態では、RGB値の他、当該RGB値に対応するHSV空間における色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Value)により定義されるHSV値が用いられる。HSV値は、制御装置21によってRGB値に基づき公知の算出方法により演算される値で、色相値H、彩度値S、及び明度値Vで表される。この場合、色相とは赤、紫、青等の色の種類で、Hの値は例えば0〜360の範囲にある。彩度は色の鮮やかさで、Sの値は例えば0.0〜1.0の範囲つまり0%から100%で表される(図8参照)。明度は色の明るさで、Vの値は例えば0.0〜1.0の範囲にある。
【0035】
次に、刺繍データの作成、特には糸色データの配色に際し、ディスプレイ9に表示される画面について図5〜図7も参照しながら説明する。ここで、図5〜図7は、ディスプレイ9における各表示画面101〜103を説明するための図である。ここで、各表示画面101〜103における刺繍模様の画像や第1カラーパレット53等は、ディスプレイ9が液晶カラーディスプレイであることから、多数色を表示可能である。
【0036】
図5は、糸色データの配色の際に表示される第1色替画面101を例示している。第1色替画面101には、プレビュー画像領域51及び糸色データ指定領域52の他、前記第1カラーパレット53、複数のパレット選択キー54a,54b、シャッフルキー55が設けられている。プレビュー画像領域51に表示されるプレビュー画像は、ユーザにより選択された刺繍模様について該当する刺繍データにより刺繍を行った場合に、どのような刺繍結果となるのかを示す画像である。
【0037】
第1色替画面101では、糸色に係る各種の設定が可能とされる。具体的には、糸色データ指定領域52には、プレビュー画像領域51の刺繍模様の色別模様部毎に対応する色が、その糸駒52aのイラストと共に示されている。ユーザは、糸駒52aに対応する前記タッチキーを押圧操作(以後、タッチ操作と称す)することで、第1カラーパレット53の中からユーザの所望する色を色別模様部毎に指定することができる。例えば、第1カラーパレット53の最上段の1列は、左から順に前記第1パレットテーブルのパレット別色番号1〜8のRGB値が夫々割り当てられている。このように、第1カラーパレット53は、上段から下段にわたって第1パレットテーブルの色情報が段毎に8つずつ対応するように配置された64色のパレットである。
【0038】
尚、図示は省略するが、第1色替画面101とは別に、第2カラーパレットが設けられた第2色替画面が用意されている。第2色替画面の第2カラーパレットは、前記色情報のRGB値に基づいて、300の升目のパレットに最大で300色の色の配置が可能で、前記の第2パレットテーブルに対応する。一対のパレット選択キー54a,54bがタッチ操作されることで、第1色替画面101と第2色替画面との間で切り換わる。シャッフルキー55がタッチ操作されることで図6に示す色調設定画面102に切り換わる。
【0039】
色調設定画面102には、第1色替画面101と同様にプレビュー画像領域51等が設けられると共に、第1カラーパレット53に代えて、カテゴリ設定部58、ランダムキー58aが設けられている。ランダムキー58aは、前記複数のパレットテーブルのうちの何れかのパレットテーブルの中から、糸色データ毎にランダムに色を抽出して配色を行うためのキーである。ランダムキー58aのタッチ操作により、糸色データとして用いる色をランダムに抽出して各模様部401〜40xに割り当てる割当処理が実行される。尚、カテゴリ設定部58には、「ビビッド」「ソフト」「グラデーション」の夫々のキー58b,58c,58dが設けられている。これら「ビビッド」「ソフト」「グラデーション」は、前記色情報を複数のカテゴリ別に分類するためのものである。「ビビッド」のカテゴリに属する複数の色は、彩度値が比較的高くて鮮やかである。「ソフト」のカテゴリに属する複数の色は、彩度値にあまり差が無く柔らかな印象を与える。「グラデーション」のカテゴリに属する複数の色は、所定の色の色相値を中心値として所定範囲内の色相値にある。
【0040】
前記ランダムキー58aのタッチ操作により、前記割当処理が実行された後、図7に示す拡大表示画面103に切り換わる。拡大表示画面103では、拡大画像領域65、クローズキー66、セットキー67等が設けられている。拡大画像領域65には、刺繍模様が、割当処理により割り当てられた色で拡大表示される。クローズキー66がタッチ操作されると色調設定画面102に戻る。また、セットキー67がタッチ操作されると、当該刺繍模様の刺繍データがEEPROM25に記憶されると共に、前記第1色替画面101に戻る。
【0041】
さて、本実施形態の制御装置21は、第1模様部401〜第x模様部40xに関する特徴を示す特徴量を算出する算出手段として構成されている。そして、制御装置21は、算出した特徴量に基づいて割当処理を行うことで、ユーザによる前述した色の指定を不要としながらも、刺繍模様の特徴に応じた多様な配色パターンを簡単に得ることができる。
【0042】
即ち、制御装置21は、刺繍データの針落ち位置データを参照して、第1模様部401の針数n1、第2模様部402の針数n2、…、第i模様部の針数ni、第(i+1)模様部の針数n(i+1)、…、第x模様部40xの針数nxを取得する。これら針数n1、n2、…、ni、n(i+1)、…、nxの全てを合計して刺繍模様40の総針数Nを算出する。
【0043】
一方、図8に示すように、例えば前記彩度値Sに基づいて濃淡レベルLVを判別するための濃淡レベルテーブルがEEPROM25に記憶されている。濃淡レベルテーブルにおいて、彩度値Sは複数のレベル(例えばレベルLV1〜10)に区分されている。この場合、彩度値Sが0%超10%以下の範囲を濃淡レベルLV1、10%超20%以下の範囲を濃淡レベルLV2、…、90%超100%以下の範囲を濃淡レベルLV10に設定している。尚、詳しい説明は省略するが、彩度値Sが0%の無彩色(白、黒、灰色)については、明度値Vに基づいて濃淡レベルLVが判別されるようになっており、例えば白は濃淡レベルLV1に、黒は濃淡レベルLV10に区分される。また、濃淡レベルは、彩度値や明度値に基づく区分に限定するものではなく、RGB値を利用して設定すればよい。
【0044】
前記制御装置21は、各針数n1〜nxと濃淡レベルLVを対応付けるべく、刺繍模様40の総針数Nを、濃淡レベルLVの区分数(例えば10)で除算した針数単位UNを算出する(UN=N/10)。各模様部401〜40xは、夫々の針数n1〜nxに基づき針数単位UN毎に10段階に区分けされる。そして、以下の作用説明で述べるように、制御装置21は、該当する針数n1〜nxの区分と前記濃淡別バッファのデータに基づいて、相対的に針数が小さい模様部に濃淡レベルLVの高い色を割り当て、針数が大きい模様部に濃淡レベルLVの低い色を割り当てる(図9のステップA6〜参照)。こうして、針数n1〜nxに係る情報は、各模様部401〜40xの特徴を示す特徴量として把握される。
【0045】
また、制御装置21は、前記濃淡別バッファ(RAM24の色情報記憶領域246)に、第1或は第2パレットテーブルに対応する64色分、或は300色分のRGB値を、濃淡レベル毎にLV1〜10のグループに分けて記憶させる。この場合、濃淡別バッファには、各グループに属する複数色のRGB値が、当該RGB値に夫々対応付けられた濃淡別色番号と共に記憶される。こうして、制御装置21は、第1或は第2パレットテーブルの色を、濃淡により複数のグループに配分する第1配分手段として構成されている。
【0046】
そして、制御装置21は乱数発生手段として、濃淡別色番号の最大値を引数とする関数を用いて乱数を発生させる。本実施形態では、前記割当処理の際に、RAM24の濃淡別バッファを参照し、該当する濃淡レベルLVに属する色の数の範囲で乱数を発生させる。制御装置21は、その乱数を利用して当該濃淡レベルLVに属する色の中からランダムに色を抽出する。
【0047】
次に、刺繍データ処理プログラムの動作について、前記糸色データに関する配色を中心に図9を参照しながら説明する。図9は、刺繍データ処理プログラムに基づいて制御装置21が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0048】
ユーザは、タッチパネル9aをタッチ操作して、ROM23から刺繍データを読み取り、その刺繍データに従ってディスプレイ9の模様選択画面(図示略)を表示する。模様選択画面における複数の刺繍模様の中から、所望の刺繍模様をタッチ操作により選択する。そして、当該刺繍模様の刺繍データを作成するためのメニュー画面から、図5の第1色替画面101に切り換えて、刺繍模様の配色を行うための設定処理を行う。第1色替画面101においてパレット選択キー54bがタッチ操作されると、第1色替画面101から前記第2色替画面に遷移する。これにより、ランダム配色に使用するパレットを、第1カラーパレット53から第2カラーパレットに切り換えることができる。また、シャッフルキー55がタッチ操作されると、第1色替画面101或は第2色替画面から色調設定画面102に遷移する。そして、色調設定画面102において「ランダム」キー58aがタッチ操作されると、ステップA1の色分け処理が開始される。
【0049】
即ち、制御装置21は、前記第1色替画面101から色調設定画面102に遷移した場合、第1カラーパレット53が選定されていると判断し、その第1パレットテーブルのパレット別色番号1に対応するRGB値を読み出す。また、制御装置21は、読み出したRGB値に基づいてHSV値を演算し、前記濃淡レベルテーブルを照合する(図8参照)。これにより、パレット別色番号1の色は、該当する濃淡レベルLVにおける新たな濃淡別色番号1の色として色情報記憶領域246の濃淡別バッファに記憶される。パレット別色番号が2以降の色についてもRGB値が読み出され、該当する濃淡レベルLV別に新たに濃淡別色番号が付与されて、濃淡別バッファに記憶される。こうして、第1カラーパレット53内の64色について、濃淡レベルLV1〜10のグループ毎に濃淡別色番号が新たに付与されて濃淡別バッファに記憶され、ステップA1の初期設定処理を終了する。
【0050】
ステップA1において、配色に用いるパレットとして前記第2カラーパレットが設定されている場合、第1カラーパレット53と同様の処理が行われる。つまり、第2色替画面から色調設定画面102に遷移した場合、第2カラーパレット内の300色分について、濃淡レベルLV1〜10別に配分されたRGB値と、当該RGB値に対応づけられた濃淡別色番号とが濃淡別バッファに記憶される。
【0051】
ステップA2では、選択した刺繍模様について前記針落ち位置データを参照し、特徴量として色別模様部の各針数n1、…、ni、…、nxを取得する。次いで、刺繍データを参照して刺繍模様を構成する色別模様部の総数xを取得する(ステップA3)。また、各針数n1〜nxを合計した刺繍模様の総針数Nを、濃淡レベルの区分数である10で除算することで、針数単位UN(=N/10)を求める(ステップA4)。そして、制御装置21は、色別模様部の前記縫製順序に対応するカウンタiを1に設定し(ステップA5)、色別模様部毎に、上記した特徴量や濃淡別バッファのデータに基づいてランダムに配色する割当処理を実行する(ステップA6〜)。
【0052】
このステップA6以降について、具体的な例を仮定して詳述する。例えば、刺繍模様40の総針数Nが1000針であり、従って針数単位UNが100針で表わされるものとする。この場合、ステップA6において第1模様部401の針数n1が、100針(UN)以下か否かが判断される。針数n1が100針以下の場合(ステップA6にてYES)、制御装置21は、RAM24の濃淡別バッファを参照し、濃淡レベルLV10に属する色の総数の範囲内で乱数を発生させる(ステップA16)。色の総数つまり濃淡別色番号の最大値が例えば7の場合、1〜7の範囲で乱数を発生させる。次いで、制御装置21は、濃淡レベルLV10において発生した乱数と一致する濃淡別色番号を照合し、該当する濃淡別色番号に対応する色(RGB値)を抽出する。
【0053】
これにより、針数n1が最も小さい第1模様部401に対して、最も濃い濃淡レベルLV10に属する色の中から糸色データとして用いる色がランダムに抽出される(図7参照)。こうして、最初に抽出された色は、第1模様部401に割り当てる色として、そのまま(ステップA26にてYES)RAM24の抽出データ記憶領域249に記憶される(ステップA27)。
【0054】
抽出した色が抽出データ記憶領域249に記憶されると、その都度、カウンタiをi=i+1に更新する(ステップA28)。また、2色目以降の抽出についても(ステップA29にてYES)、ステップA6以降の割当処理が実行される。即ち、第2模様部402の針数n2が100針(UN)以下か否かが判断され、針数n2が100針を超える場合(ステップA6にてNO)、200針(2UN)以下か否かが判断される(ステップA7)。こうして、制御装置21は、第2模様部402の針数n2が、100針(針数単位UN)毎に増加するように設定された針数の範囲の何れに属するかを判断する。そして、ステップA6〜A15の何れかのステップで該当する針数の範囲があると判断した場合(YES)、その針数n2に応じた濃淡レベルLVの色の中からランダムに色が抽出される。本実施形態では、ステップA15、A25に示すように、針数nが大きい色別模様部ほど相対的に濃淡レベルの低いグループ(例えばLV1)の中からランダムに色を抽出する。また、上記した第1模様部401のように針数nが小さい色別模様部ほど相対的に濃淡レベルの高いグループ(例えばLV10)の中からランダムに色を抽出する。
【0055】
上記ステップA6及びA16、ステップA7及びA17、…、並びにステップA15及びA25の何れかを実行し、既に抽出した色と重複する場合には再び色が抽出される(ステップA26にてNO、ステップA29にてYES)。抽出した色が重複しない場合には、抽出した色の保存とiの加算が行われる(ステップA27、A28)。こうして、加算された色別模様部の数iが、その総数xを超えた(ステップA29にてNO)」と判断されるまで、ステップA6〜A29の範囲で割当処理が繰り返し実行される。これにより、抽出データ記憶領域249には、割当処理で割り当てられた夫々の色が、互いに重複することなく各模様部401〜40xに対応付けられて記憶され、割当処理を終了(リターン)する。
【0056】
その後、図7に示すように、刺繍模様40が各色別模様部に割り当てられた色で拡大表示画面103に表示される。刺繍模様40は、上記の割当処理を経て、針数nが大きい色別模様部ほど(同図の符号40x参照)相対的に淡い色が割り当てられ、針数nが小さい色別模様部ほど(同図の符号401参照)ほど相対的に濃い色が割り当てられる。尚、後述するように、色別模様部において面積が大きいほど針数nが大きくなり、面積が小さいほど針数nが小さくなるのが一般的である。
拡大表示画面103におけるセットキー67がタッチ操作されると、当該刺繍模様の刺繍データがEEPROM25に記憶されると共に、前記第1色替画面101に戻る。一方、クローズキー66がタッチ操作されると色調設定画面102に戻ることから、再度ランダム配色処理を行うことができる。
【0057】
上記したステップA5〜A29の実行に係る制御装置21は、前記糸色データとして用いる色をランダムに抽出して割り当てる割当手段に相当する。また、制御装置21は、第1算出手段として前記ステップA2で針数nに係る特徴量を算出すると共に、第2算出手段として前記ステップA3で色別模様部の総数xを算出する。
【0058】
以上のように刺繍データ作成装置30において、制御装置21は、色別模様部の特徴量を算出し、その特徴量に基づいて前記割当処理を実行するように構成されている。また、刺繍模様について、色別模様部の糸色データに対し割当処理により抽出した色を割り当ててランダムな配色を行うことができる。このため、糸色データの確認や指定といった面倒な作業を省略して、刺繍模様の配色を簡単に行うことができる。特に、割当処理では、色別模様部の特徴量に基づき色を割り当てるため、刺繍模様全体として夫々の特徴に応じた多様な配色パターンを効率的に得ることができる。
【0059】
前記制御装置21は、第1算出手段として色別模様部毎の針数nを算出し、当該針数nに基づいて割当処理を実行する。これにより、刺繍模様について、色別模様部毎の針数nに応じた適切な配色パターンを効率よく得ることができる。
前記制御装置21は、第1配分手段として前記濃淡別バッファに複数色を複数のグループ(例えばレベルLV1〜10)に配分して記憶させ、夫々のグループの中からランダムに色を抽出する。このように、複数色を複数のグループに配分することで、割当処理において所期の配色を容易に得ることが可能となる。
【0060】
前記制御装置21は、前記複数色を色の濃淡により複数のグループに配分し、針数nが大きい色別模様部ほど相対的に淡い色のグループの中からランダムに色を抽出し、針数nが小さい色別模様部ほど相対的に濃い色のグループの中からランダムに色を抽出する。従って、刺繍模様についてランダムな配色としながらも、針数nが小さい色別模様部ほど視認性の高い濃い色を割り当てることができ、全体として見映えの良い配色を行うことができる。
【0061】
また、複数のグループは、色の濃淡レベルが順次高くなるLV1〜10に区分けされていることから、刺繍模様の配色について色別模様部間で当該グループ数に応じたグラデーションを示す色調を得ることができる。
前記制御装置21は、第2算出手段として色別模様部の総数xを算出し、当該総数xに基づいて割当処理を行う。従って、色別模様部の総数xの大小に応じて刺繍模様の配色を簡単に行うことができる。
【0062】
尚、表示手段たるディスプレイ9において、刺繍模様が各色別模様部の糸色データに割り当てられた色で表示される。従って、作成した刺繍データについて、色別模様部の色を視覚的に容易に把握することができる。
【0063】
<第2実施形態>
図10、図11は、本発明の第2実施形態を示すものであり、第1実施形態と異なるところを説明する。
本第2実施形態の濃淡レベルテーブルでは、図10に示すように濃淡レベルLVの区分数が前記色別模様部の総数xと一致するように設定される。従って、濃淡レベルテーブルにおける彩度値Sは、色別模様部の総数xで区分(除算)した彩度単位USで表わされる。これにより、彩度値Sは、同図で濃淡レベルを示すLV1、2、…、i、…、xと対応する彩度単位0〜US、US〜2US、…、(i−1)US〜iUS、…、(x−1)US〜100%の範囲で夫々区分される。
【0064】
以下、当該濃淡レベルテーブルを作成する処理と、作成した濃淡レベルテーブルに基づく割当処理について、図11を参照しながら説明する。図11は、第1実施形態の図9に相当する処理手順を示すフローチャートである。
制御装置21は、色調設定画面102において「ランダム」キー58aがタッチ操作されると、選択した刺繍データを参照して色別模様部の総数xを取得する(ステップB1)。次いで、彩度値Sについて、色別模様部の総数xで区分(除算)して彩度単位USを求める。これにより、濃淡レベルが色別模様部の総数xと一致するように所定の彩度単位US(濃度単位)で区分した濃淡レベルテーブルを作成すると共に、色分け処理を実行する(ステップB2、図10参照)。
【0065】
前記色分け処理では、第1カラーパレット53内の64色、或は第2カラーパレット内の300色分について、濃淡レベルLV1〜x別に配分する。この場合、第1或は第2カラーパレット内の複数色を、色の濃淡により色別模様部の総数xに応じたx個の濃淡レベルLVに配分したRGB値と、当該濃淡レベルLV毎にRGB値に対応付けられた濃淡別色番号とが濃淡別バッファに記憶される。
【0066】
ステップB3では、選択した刺繍模様について前記針落ち位置データを参照し、特徴量として各色別模様部の針数n1〜nxを取得する。また、制御装置21は、選択した刺繍模様、つまりRAM24に読み出した刺繍データについて、前記縫製順序データを針数n1〜nxに基づき変更する(ステップB4)。具体的には、例えば、図4にて縫製順序iを示す模様1〜模様xを、針数nの大きい順に並び替えたi´に更新する。尚、針数n1〜nx間で数値が一致する場合、制御装置21は、元の縫製順序iに従い針数nに係る順序を決定する。
【0067】
そして、制御装置21は、色別模様部間における針数nの順序に係るカウンタi´を1に設定する(ステップB5)。これにより、色別模様部毎に、針数nの大きい順に付されたi´と濃淡別バッファのデータに基づいてランダムに配色する割当処理を実行する(ステップB6〜)。
【0068】
具体的には、例えば、刺繍模様40が5つの模様部401〜40x(総数x=5)で構成されているものと仮定する。よって、図10の濃淡レベルテーブルにおいて、彩度値Sが総数xと一致する5つに区分されることで、彩度単位USは20%に設定される。この場合、ステップB6においてi´が1か否か、つまり針数nが最も大きい色別模様部か否かが判断される(ステップB6)。最も針数nが大きい第5模様部40xのとき(YES)、制御装置21は、RAM24の濃淡別バッファを参照し、濃淡レベルLV1に属する色の総数の範囲内で乱数を発生させる(ステップB16)。また、制御装置21は、濃淡レベルLV10において発生した乱数と一致する濃淡別色番号を照合し、該当する濃淡別色番号の色を抽出する。
【0069】
これにより、針数nが最も大きい第5模様部40xに対して、最も淡い濃淡レベルLV1に属する色、つまり彩度値Sが0%超20%以下の色がランダムに抽出される。こうして、針数nxが最も大きい第5模様部40xに割り当てる色が最初に抽出されて、そのままRAM24の抽出データ記憶領域249に記憶される(ステップB26)。
【0070】
抽出した色が抽出データ記憶領域249に記憶されると、その都度、カウンタi´をi´=i´+1に更新する(ステップB27)。また、針数nが2番目に大きい色別模様部についても(ステップB28にてYES)、ステップB6以降の割当処理が実行される。即ち、針数nが2番目に大きい色別模様部に対して(ステップB6にてNO、ステップB7にてYES)、2番目に淡い濃淡レベルLV2のグループに属する色の中からランダムに色が抽出される(ステップB17)。抽出した色は当該色別模様部と対応付けられて抽出データ記憶領域249に保存されると共に、iの加算が行われる(ステップB26、B27)。
【0071】
こうして、本実施形態では、針数nが大きい順にステップB6及びB16、ステップB7及びB17、…、が順次実行されて、最後にステップB15及びB25が実行される。ステップB15及びB25では、最も針数n1が小さい第1模様部401に対し、最も濃い濃淡レベルLV5に属する色の中からランダムに色が抽出される。これにより、抽出データ記憶領域249には、割当処理で割り当てられた夫々の色が、互いに重複することなく各模様部401〜40xに対応付けられて記憶され、割当処理を終了(リターン)する。
【0072】
以上のように、本第2実施形態の制御装置21は、色別模様部の総数xに応じて前記複数色を複数のグループ(LV1〜x)に配分する第2配分手段として構成されている。また、割当処理では、色別模様部毎に、第2配分手段で配分された夫々のグループの中からランダムに色を抽出して割り当てる。よって、グループ毎に色の種類等を異ならせることで、色別模様部間で色の種類等が重複しないように割当処理を行うことができる。また、刺繍模様についてランダムな配色としながらも、色別模様部の数に応じた所期の配色を得ることができる。
【0073】
制御装置21は、第2配分手段として、前記複数色を濃淡により前記色別模様部の総数xに応じた複数のグループに配分する(ステップB1,B2)。また、割当処理では、針数nが大きい色別模様部ほど前記グループ(LV1〜x)のうち相対的に淡い色のグループ(例えばLV1)の中からランダムに色を抽出し、針数が小さい色別模様部ほど前記グループのうち相対的に濃い色のグループ(例えばLVx)の中からランダムに色を抽出する。よって、刺繍模様についてランダムな配色としながらも、色別模様部に総数に応じたグラデーションを示す色調を簡単に得ることができる(図7参照)。
【0074】
本実施形態では、色別模様部の総数xと配分するグループの数(LV1〜x)が一致し、且つ色別模様部毎に異なるグループから色を抽出する。このため、各グループに属する色を満遍なく割り当てることができ、全てのグループ(濃淡レベル)の色を活用した好適な割当処理を行うことができる。
【0075】
<第3実施形態>
図12は、本発明の第3実施形態を示すものであり、第1実施形態と異なるところを説明する。図12は、第1実施形態の図9に相当する処理手順を示すフローチャートである。
前記タッチパネル9aをタッチ操作して所望の刺繍模様を選択し、「ランダム」キー58aをタッチ操作すると、色分け処理が開始される(ステップC1)。色分け処理では、前記ステップA1と同様に、第1カラーパレット53内の64色或は第2カラーパレット内の300色分について、濃淡レベルLV1〜10別に配分されたRGB値と、当該RGB値に対応づけられた濃淡別色番号とが濃淡別バッファに記憶される。
【0076】
ステップC2では、選択した刺繍模様について前記針落ち位置データを参照し、特徴量として色別模様部の夫々の針数n1〜nxを取得する。次いで、制御装置21は、ステップC1で配分された濃淡別バッファを参照し、濃淡レベルLV10に属する色の総数の範囲内で乱数を発生させる(ステップC3)。そして、濃淡レベルLV10において発生した乱数と一致する濃淡別色番号を照合し、該当する濃淡別色番号の色を抽出する。
ステップC3で抽出した色は、針数nが最も小さい色別模様部に対して、割り当てられる(ステップC4)。こうして、針数nが最も小さい色別模様部に、最も濃い色が属するグループ(LV10)の中からランダムに抽出した色を対応付けて、RAM24の抽出データ記憶領域249に記憶する。
【0077】
ここで、例えば複数の色別模様部のうち、第1模様部401の針数n1が最も小さく、第x模様部40xの針数nxが最も大きいものとする。この場合、最大針数たるnxから最小針数たるn1を減算し、その減算値を濃淡レベル数(例えば10)で除算して、針数単位Un(=(nx−n1)/10)を算出する(ステップC5)。そして、制御装置21は、色別模様部の前記縫製順序に対応するカウンタiを1に設定し(ステップC6)、色別模様部毎に、針数単位Unや濃淡別バッファのデータ等に基づいてランダムに配色する割当処理を実行する(ステップC7〜)。
即ち先ず、第1模様部401については、既にステップC3,C4で針数nが最も小さい色別模様部として色が割り当てられている(ステップC7にてYES)。従って、カウンタiをi=i+1に更新し(ステップC32)、第2模様部402について(ステップC33にてYES、ステップC7にてNO)、割当処理を実行する。
【0078】
ステップC8では、第2模様部402の針数n2が、最小針数たるn1を超え且つ当該最小針数n1に針数単位Unを加算した針数(n1+Un)の範囲にあるか否かを判断する。針数n2がn1を超え且つ(n1+Un)以下の場合(ステップC8にてYES)、制御装置21は、濃淡別バッファを参照し、濃淡レベルLV10に属する色の総数の範囲内で乱数を発生させる(ステップC18)。また、制御装置21は、濃淡レベルLV10において発生した乱数と一致する濃淡別色番号を照合し、該当する濃淡別色番号の色を抽出する。
【0079】
ステップC29において、制御装置21は、ステップC18で抽出した色が、最小針数n1の第1模様部401に割り当てた色より淡いか否かを、夫々の彩度値Sを比較することで判断する。抽出した色の方が濃い場合には(ステップC29にてNO)、ステップC18で淡い色を抽出するまで、ステップC7,C8,C18,C29,C33を繰り返し実行する。抽出した色の方が淡いと判断した場合(ステップC29にてYES)、その色は、既に抽出した色と重複しないことを条件に(ステップC30にてYES)、第2模様部402に対応付けられて、RAM24の抽出データ記憶領域249に記憶される(ステップC31)。
【0080】
こうして、本実施形態では、先ず針数nが最も小さい第1模様部401に対する割当処理を行い、その色より淡い色を他の模様部402〜40xに対して割り当てる割当処理を行う。後者の割当処理では、他の模様部402〜40xの色を、夫々の針数nの値に基づいて、ステップC8及びC18、ステップC9及びC19、…、並びにステップC17及びC27の何れかのステップを実行することで抽出する。そして、ステップC18〜C27の何れかのステップで抽出した色が、最小針数n1の第1模様部401の色より淡く(ステップC29にてYES)、既に抽出した色と重複しない場合には(ステップC30にてYES)、抽出した色の保存とiの加算が行われる(ステップC31、C32)。こうして、加算された色別模様部の数iが、その総数xを超えた(ステップC33にてNO)」と判断されるまで、ステップC7〜C32の範囲で割当処理が繰り返し実行される。これにより、抽出データ記憶領域249には、割当処理で割り当てられた夫々の色が、互いに重複することなく各模様部401〜40xに対応付けられて記憶され、割当処理を終了(リターン)する。
【0081】
以上のように、本第3実施形態の制御装置21は、先ず針数nが最も小さい第1模様部401に最も濃い色のグループ(LV10)の中からランダムに色を抽出し、その色より淡い色を他の模様部402〜40xに対して割り当てる割当処理を行う(ステップC3、C4、C7、C29)。これによれば、刺繍模様を構成する色別模様部の色のうち、最も濃い色を、最も針数nが小さい色別模様部に確実に割り当てることができる。
【0082】
第1実施形態の針数単位UNは、各針数n1〜nxを合計した総針数Nを、濃淡レベルの区分数(例えば10)で除算した単位である(UN=N/10)。このため、最も小さい針数n1がN/10の値より大きい場合、その色別模様部には、最も濃い色のグループ(LV10)から色が抽出されないこととなる。これに対し、本第3実施形態の針数単位Unは、針数の範囲n1〜nxを、濃淡レベルの区分数と一致するように区分する単位((nx−n1)/10)で表わされる。従って、針数単位Unに基づいて、濃淡レベルと色別模様部の対応付けを行うことで(ステップC8〜C17)、最も濃い色のグループと最も淡い色のグループとの双方から色を抽出できる。従って、刺繍模様についてランダムな配色としながらも、常に最も濃い色と淡い色を割り当てて、より見映えの良い配色を行うことができる。
【0083】
<その他の実施形態>
上記第1〜3実施形態では、特徴量として色別模様部毎の針数nや色別模様部の総数xを算出したが、特徴量として色別模様部の面積を算出してもよい。
具体的には、図9に示す第1実施形態のフローチャートにおいて、各色別模様部の面積の値を特徴量として適用する。この場合、制御装置21は、図9のステップA2に代えて、例えば前記針落ち位置データの座標データに基づき、模様部401〜40x毎に面積を夫々算出する処理を実行する。また、ステップA4に代えて、色別模様部の各面積を合計した総面積を濃淡レベルの区分数(例えば10)で除算することで、面積単位を求める処理を行う。
【0084】
ここで、面積単位の値をDとした場合、ステップA6では色別模様部の面積の値がD以下か否かが判断され、ステップA7では、色別模様部の面積の値がDを超え且つ2D以下か否かが判断される。こうして、ステップA6〜A15に代えて、面積単位に基づき濃淡別バッファのデータと対応付ける処理を実行する。色別模様部において面積Dと針数nは前述した相関関係があることから、面積Dを特徴量として割当処理を実行した場合でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
図13は、上記した各面積の値Dを特徴量として割当処理を実行した場合における、当該面積Dと配色される色の濃淡レベルとの関係を示す概略図である。同図に示すように、ランダムな配色を前提としていることから所定範囲の分布をもつ一方、面積Dが大きい色別模様部ほど相対的に淡い色が割り当てられ、面積Dが小さい色別模様部ほど相対的に濃い色が割り当てられることが分かる。
【0086】
図11に示す第2実施形態のフローチャートにおいて、各面積の値Dを特徴量として適用する。この場合、制御装置21は、図11のステップB3に代えて、例えば針落ち位置データに基づき、模様部401〜40x毎に面積Dを夫々算出する処理を実行する。また、ステップB4に代えて、例えば、縫製順序iを示す模様1〜模様xを、面積Dの大きい順に並び替えたi´に更新する処理を行う。尚、同じ面積の色別模様部が複数個ある場合には、制御装置21は、元の縫製順序iに従って順序を決定する。
【0087】
また、制御装置21は、ステップB5で面積Dの順序に係るカウンタi´を1に設定する。そして、ステップB6〜B25に代えて、色別模様部毎に面積Dの大きい順に付されたi´と濃淡別バッファのデータに基づいてランダムに配色する割当処理を実行する。これにより、濃淡レベルLV1とLV10の双方のグループの中から確実に色が割り当てることができる等、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。このため、配色される色の分布範囲(図13にて長円で囲う範囲)を、同図にて上下に拡げることが可能となる。
【0088】
図12に示す第3実施形態のフローチャートにおいて、各面積の値Dを特徴量として適用する。この場合、制御装置21は、図12のステップC2に代えて、例えば針落ち位置データに基づき、模様部401〜40x毎に面積Dを夫々算出する処理を実行する。また、ステップC4に代えて、例えば、ステップC3で抽出した色を、面積Dが最も小さい色別模様部に対して割り当てる処理を行う。また、ステップC5に代えて、各面積Dのうち最大面積から最小面積を減算し、その減算値を濃淡レベル数(例えば10)で除算した、面積単位(=(最大面積−最小面積)/10)を算出する処理を行う。
そして、ステップC7以降では、最小針数n1を最小面積、最大針数nxを最大面積、針数単位Unを前記面積単位と夫々読み替えた割当処理を実行する。これにより、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。従って、常に最も濃い色のグループと最も淡い色のグループとの双方から色を抽出することができ、配色される色の分布範囲(図13にて長円で囲う範囲)を、同図にて上下に拡げることが可能となる。
【0089】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。刺繍データ作成装置はミシンMに備えられる構成に限定するものではなく、所謂パーソナルコンピュータである装置本体(専用機でもよい)と、この装置本体に接続されるマウス、キーボード、メモリカードコネクタ、ディスプレイ等から構成してもよい。
【0090】
記憶手段は、RAM24に限定されるものではなく、ミシン或は刺繍データ作成装置に内蔵される他の内部記憶手段や、ミシン或は刺繍データ作成装置に着脱可能に装着される外部記憶手段でもよい。本実施形態と異なり、ミシンと刺繍データ作成装置とが別体で構成される場合、ミシンと刺繍データ作成装置とを有線又は無線で接続し、データを送受信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0091】
M ミシン
21 制御装置(割当手段、第1算出手段、第2算出手段、第1配分手段、第2配分手段)
24 記憶手段
30 刺繍データ作成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色別模様部からなる刺繍模様をミシンにより縫製するための刺繍データであって前記色別模様部の色を特定する糸色データを含む刺繍データを作成する刺繍データ作成装置において、
予め定義されている複数色を記憶する記憶手段と、
前記色別模様部毎に、前記記憶手段に記憶されている複数色の中から前記糸色データとして用いる色をランダムに抽出して割り当てる割当処理を行う割当手段と、
前記色別模様部の特徴を示す特徴量を算出する算出手段とを備え、
前記割当手段は、前記算出手段により算出された特徴量に基づいて前記割当処理を行うことを特徴とする刺繍データ作成装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記特徴量として前記色別模様部毎の針数又は面積を算出する第1算出手段を備え、
前記割当手段は、前記第1算出手段により算出された前記色別模様部毎の針数又は面積に基づいて、前記割当処理を行うことを特徴とする請求項1記載の刺繍データ作成装置。
【請求項3】
前記複数色を複数のグループに配分する第1配分手段を備え、
前記割当手段は、前記色別模様部毎に、前記第1配分手段で配分された夫々のグループの中から前記糸色データとして用いる色をランダムに抽出して割り当てる割当処理を行うことを特徴とする請求項1または2記載の刺繍データ作成装置。
【請求項4】
前記第1配分手段は、前記複数色を色の濃淡により複数のグループに配分し、
前記割当手段は、前記針数又は面積が大きい色別模様部ほど前記グループのうち相対的に淡い色のグループの中からランダムに色を抽出し、前記針数又は面積が小さい色別模様部ほど前記グループのうち相対的に濃い色のグループの中からランダムに色を抽出することを特徴とする請求項3記載の刺繍データ作成装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記特徴量として、前記色別模様部毎の針数又は面積を算出する第1算出手段と前記色別模様部の総数を算出する第2算出手段とを備え、
前記割当手段は、前記第2算出手段により算出された前記色別模様部の総数に基づいて、前記割当処理を行うことを特徴とする請求項1記載の刺繍データ作成装置。
【請求項6】
前記第2算出手段により算出された前記色別模様部の総数に応じて、前記複数色を複数のグループに配分する第2配分手段を備え、
前記割当手段は、前記色別模様部毎に、前記第2配分手段で配分された夫々のグループの中から前記糸色データとして用いる色をランダムに抽出して割り当てる割当処理を行うことを特徴とする請求項5記載の刺繍データ作成装置。
【請求項7】
前記第2配分手段は、前記複数色を色の濃淡により前記色別模様部の総数に応じた複数のグループに配分し、
前記割当手段は、前記針数又は面積が大きい色別模様部ほど前記グループのうち相対的に淡い色のグループの中からランダムに色を抽出し、前記針数又は面積が小さい色別模様部ほど前記グループのうち相対的に濃い色のグループの中からランダムに色を抽出することを特徴とする請求項6記載の刺繍データ作成装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れかに記載の刺繍データ作成装置の各種処理手段として、刺繍データ作成装置のコンピュータを機能させるための刺繍データ処理プログラム。
【請求項9】
請求項1から7の何れかに記載の刺繍データ作成装置を備えたことを特徴とするミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−34489(P2013−34489A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170143(P2011−170143)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】