説明

削岩用衝撃発生装置の制御装置及び方法

本発明は、衝撃要素を備えた衝撃発生装置が衝撃発生装置に接続したツールに衝撃波を伝達し、それにより衝撃波のエネルギーの一部をツールによって岩盤に伝達し、衝撃波のエネルギーの一部を反射し、反射エネルギーとして衝撃発生装置へ戻す削岩作業の制御方法に関する。本方法は、反射エネルギーを表す少なくとも一つのパラメータ値を発生する段階、及び上記衝撃波の立上り時間及び/又は上記衝撃波の長さを制御するように一つ又は複数の上記パラメータ値に少なくとも一部基いて上記衝撃要素と上記ツールとの相互作用を制御する段階を含む。本発明はまた、調整装置、衝撃発生装置及び掘削装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削岩用衝撃発生装置の制御装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
削岩において、一つ以上の穿孔ストリング構成要素を介して削岩装置に接続される穿孔ツールが用いられる。削岩は幾つかの方法で実施することができ、一般的な方法は、パーカッション穿孔法であり、前後方向に動く衝撃ピストンによって衝撃(インパルス)を発生するのに衝撃(インパルス)発生装置、打撃ツールが用いられる。衝撃ピストンは、衝撃パルスを穿孔ツールにそして岩盤伝達して衝撃波のエネルギーを供給するために、通常穿孔シャンクを介して穿孔ストリングを打撃する。衝撃ピストンは通常、液圧又は空気圧で駆動されるが、しかしその他の手段、例えば電気又はある形態の燃焼によって駆動され得る。
【0003】
別の種類の衝撃発生装置においては、衝撃波エネルギーは圧力インパルスとして発生され、これらの圧力インパルスは、上記のように前後方向に動くピストンによって解放運動エネルギーとして発生される代わりに、単に非常に小さな動きを行なう衝撃要素によってエネルギー貯蔵装置から穿孔ストリングへ伝達される。
【0004】
かかる装置の一例は、カウンタ圧力チャンバを用いて衝撃装置に予め負荷が掛けられ、そしてカウンタ圧力チャンバにおける圧力の急激な低下により衝撃要素によって穿孔ストリングにエネルギーが伝達される装置である。
【0005】
かかる装置の別の例は、カウンタ圧力チャンバを用いずに、衝撃要素の前方に作動チャンバが設けられ、そして衝撃波がエネルギー蓄積装置から作動チャンバへ圧力パルスの形態で高圧の圧力媒体を供給することにより発生される装置である。
【0006】
最新の公知の技術によれば、このような解決法は、比較的低エネルギーの衝撃波を発生し、そして穿孔の効率を維持するためには、各衝撃波における比較的低エネルギーは、比較的高い頻度(振動数)で発生される衝撃波によって補償される。
【0007】
上記の全ての衝撃発生装置のもつ問題点は、有効な衝撃エネルギーが十分に利用されないことにある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的及び最も重要な特徴
本発明の目的は、上記の問題点を解決する削岩作業を制御する方法を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、上記の問題点を解決する衝撃発生装置のおける調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これら及びその他の目的は、本発明によれば、請求項1に記載の方法及び請求項13に記載の制御装置によって達成される。
【0011】
本発明によれば、衝撃要素を備えた衝撃発生装置が衝撃発生装置に接続したツールに衝撃波を伝達し、それにより衝撃波のエネルギーの一部をツールによって岩盤に伝達し、衝撃波のエネルギーの一部を反射し、反射エネルギーとして衝撃発生装置へ戻す削岩作業の制御方法が提供される。本方法は、反射エネルギーを表す少なくとも一つのパラメータ値を発生する段階、及び上記衝撃波の立上り時間及び/又は上記衝撃波の長さを制御するように一つ又は複数の上記パラメータ値に少なくとも一部基いて上記衝撃要素と上記ツールとの相互作用を制御する段階を含む。これにより、衝撃波の形態が常に最新の状態に基いて制御でき、それにより、有害な反射エネルギーを予定の値以下の最小値に又は穿孔作業におけるその他の要求に関して決められた値に維持できるという利点が得られる。
【0012】
また衝撃波の振幅も制御できる。これにより、削岩装置の最適制御の大きな可能性がもたらされるという利点が得られる。
【0013】
少なくとも一つの減衰チャンバにおける少なくとも一つの減衰圧力は反射エネルギーを表す量を構成し得る。代わりに、反射エネルギーを表す量は一つ以上のひずみ計のひずみを構成し得る。これにより、反射を簡単な仕方で読取ることができるという利点が得られる。
【0014】
反射エネルギーを表す一つ又は複数の値f、予定の間隔で及び/又は各又はある特定の衝撃波を発生する際に、連続的に変化して発生され得る。これにより、調整のための最新の入力パラメータが常に利用できるという利点が得られる。
【0015】
本発明はまた、衝撃発生装置及び掘削装置に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1aには本発明において有利に用いることのできる削岩装置用衝撃発生装置10を示している。動作中、衝撃発生装置10は、穿孔バイト11のような穿孔ツールに、一つ以上のストリング構成要素12a、12bから成る穿孔ストリング12を介して接続される。穿孔作業中、岩盤14を破砕するために衝撃波の形態のエネルギーは穿孔ストリング12へ伝達され、そして穿孔ストリング構成要素12a、12bから穿孔ストリング構成要素12a、12bへそして最後に穿孔バイト11を介して岩盤14へ伝達される。
【0017】
図示装置10において、前後方向に動くピストンは衝撃波を発生するのに用いられないが、しかし代わりに、衝撃ピストン15の形態の負荷衝撃要素が用いられ、この要素は圧力領域16に対して作用する圧力媒体の影響で穿孔ストリング12の反対側のハウジング17の端部に向って押圧される。動作中、チャンバ18は制御装置20を介して加圧され、それでチャンバ18内の圧力が圧力領域16に作用して衝撃ピストン15をハウジング17の後方端部19に向って押圧する。従って、チャンバ18はカウンタ圧力チャンバとして機能する。
【0018】
公知の技術では、制御装置20における制御弁はカウンタ圧力チャンバ18における圧力を瞬時に低減させるために急激に開放される。その際、衝撃ピストン15は元の長さまで伸張し、位置エネルギーを衝撃波の形態で穿孔ストリング12へ伝達する。圧力のこの急激な低減より、普通の衝撃ピストンによって発生される衝撃波と本質的に同じ形態すなわち図2aに示すように、主として矩形の衝撃波が発生され、穿孔ストリングを介して穿孔バイト11に伝播し、岩盤14へ伝達される。しかし、岩盤14の特性のために、衝撃波の全てのエネルギーは、衝撃波の立上り時間が短い(図2aのτ参照、図2aにおいてτは明瞭にするため誇張されており、τは相当に短くでき、すなわち縁部は相当に急にできる)ために岩盤によって吸収されないが、しかし代わりに、供給されるエネルギーの一部は反射され、穿孔ストリング12を介して衝撃発生装置10に戻される。岩盤衝撃による穿孔鋼からの反射は減衰チャンバ22及び減衰ピストン23を用いて減衰される。これらの作用は当業者には周知である。減衰チャンバにおける減衰圧力は、衝撃ピストン15が穿孔ストリング12を打撃する際に穿孔バイト11が岩盤に接触するのを保証するために用いられ得る。反射が減衰されても、これらの反射はなお削岩装置及び穿孔ストリングに悪影響し、種々の構成要素を摩滅させ、結果として重大な損傷を生じさせ得ることになる。
【0019】
しかし、図1aに示す本発明による調整装置30によって、これらの有害な反射は相当に低減され得る。急激に行われる圧力の低下の代わりに、図示装置10の制御装置20の開放が制御され得、すなわち、制御装置20は、カウンタ圧力チャンバ18における圧力の低減を制御できる。制御弁20を用いてカウンタ圧力チャンバ18の開放を制御することにより、穿孔ストリング及び従って穿孔バイトに誘起した衝撃波の立上り時間を制御することができる。これは、穿孔バイトが岩盤に伝達できる力が穿孔バイトの圧入の深さに応じて変化するので、非常に有利である。
【0020】
図2bには、典型的な形態の岩盤に対する圧入深さの関数として圧入力の例を示している。図2bに見られるように、穿孔バイトが岩盤へ伝達できる圧入力は衝撃の瞬時には本質的にゼロ(d=0)であり、そして衝撃波がその終端に達しそして圧入が最大(d=dmax)に達するまで圧入深さとともに指数関数的に増大し、従ってさらに圧入するためのエネルギーはもはやなく、その後圧入力は急速にゼロに降下し、そして図2bに見られるように、穿孔バイトは岩盤の弾性及び/又は反射によって僅かに後方へ動かされる。
【0021】
図2cには、公知の技術による装置の場合の反射波を示している。穿孔バイトの圧入力が衝撃の瞬時にはゼロ又は本質的にゼロであるので、この瞬時における反射波の振幅は原則として引張波としての入射衝撃波の振幅に相応している。衝撃波の縁部が図2aに示すように非常に急である場合には、これは、反射波が非常に高く、従って有害な初期振幅をもつことを意味する。
【0022】
調整中、衝撃波が岩盤を打撃する時の結果としての反射の大きさに関する情報が必要とされる。この反射は、反射波が削岩機に達する時に減衰チャンバ22において生じる圧力の変化から読取られ得る。特に、減衰チャンバに現われる最大圧力変化は反射波の振幅に直接関係している。動作において、調整装置30は、減衰チャンバ22における減衰圧力を表わす測定値を連続して又はある特定の間隔で受ける。必要な場合には、測定値は調整装置30又は調整装置30に接続した測定値変換装置(図示していない)において適当な量に変換され得る。減衰圧力は適当な仕方で例えば測定、検知又は監視中に読取られ得る。減衰圧力を適切に読取る精確な仕方は、当業者知られた知識を構成している。そして得られた測定値は、前の測定で得られた減衰圧力の値、例えば前の衝撃波の反射と比較され、衝撃波の立上り時間及び/又は長さ及び/又は振幅は、制御装置20を用いて、入ってくる衝撃における比較に基いて調整される。
【0023】
減衰圧力は好ましくは、連続して、若しくはある特定の衝撃波の反射に基いて衝撃波の形態すなわち立上り時間及び/又は長さ及び/又は振幅の調整が直ぐ次の衝撃波の発生時に既に行われ得るような繰り返し間隔で測定される。しかし、衝撃波が非常に高い頻度(振動数)を用いて発生される場合には、新たな調整パラメータの計算は次の衝撃波の発生時には終了されず、恐らくその後に続く衝撃波が或いはさらに後の衝撃波まで終了されないことが可能であり得る。
【0024】
反射の精確な値を得るためには、減衰圧力は、単に圧力の変化の大きさを読取るのではなく、極めて頻繁に読取られ得、それで反射波の形態を表示することができる。このようにして、反射エネルギーの大きさの精確な値は、得られた波形の数値アルゴリズムを行うことによって得られ得る。
【0025】
減衰圧力を用いた反射を測定する代わりの方法として、例えばひずみ計を用いて行うこともできる。ひずみ計は、反射波によって引張応力/圧縮応力に晒される削岩装置の適当な部分に装着される。最適な位置は穿孔ストリング上である。しかし、これは、穿孔ストリングがしばしば通常の仕方で穿孔中に回転され、そして規則的な間隔で伸長構成要素が設けられるので実施し難い。従って位置決めは、機械毎に異なり得、そして正確には用いられるどの位置にどのように精確に位置決めするかは当業者の知識の範囲内である。本発明の本質的な点は、反射の出現を表わす信号が得られることにある。ひずみ計を用いる場合には、上述のように、反射波の出現の波形表示を得ることもできる。
【0026】
さらに調整装置は、反射エネルギーを常に最小化するように配列され得る。この種の調整では、穿孔は、調整してない衝撃波を用いて開始され得る。すなわち、この実施形態では、総体的に調整されない圧力の低減が用いられ(代わりに、最小化調整は予定の立上り時間及び/又は衝撃波の長さ及び/又は衝撃波の振幅で開始され、調整装置30の記憶装置には種々の形式の岩盤についての種々の予定の初期値が記憶されえる)、その後、穿孔が開始されると、調整装置は、反射エネルギーを表わす測定値を連続して又はある特定の時間に得て、制御装置20へ制御信号を伝送し、これらの測定値に基いて衝撃波の形態を調整する。例えば、調整は、衝撃波の縁部の傾きが漸次増大され、すなわちカウンタ圧力チャンバの圧力の低減の持続時間がある特定の値Δtだけ連続して増加するようにされ得、それにより圧力の低減時間はt=tΔtであり、ここでtは、前の調整時、例えば反射エネルギー(すなわち数値アルゴリズム又は測定した減衰圧力変化によって計算した反射エネルギー)を表わす値が所望の方向に影響される限り、前の衝撃時の圧力の低減時間である。反射が最小値に達すると、すなわち圧力の低減の持続時間の増大が更なる低減(縁部の大きな傾き)に繋がらないと、調整はほぼ所望の値に保持され得る。反射エネルギーを最小化する際には、衝撃波の縁部が、圧入速度を実質的に低下させるような長い時間形成される危険がある。このため、調整は、代わりに、反射エネルギーの予定の最高値及び/又は最高許容反射振幅でなされ得る。予定の値は、例えば、作業者によって入力され得る。ほぼ予定の値に調整する際に、縁部時間は当然低減することができ、すなわち、圧力の低減の上記時間は低減されることになる。縁部の傾きを前方又は後方へ調整することによって、常に、反射エネルギーが所望の値又は所望の値以下に保たれることが保証され得る。例示実施形態では、制御装置20は絞り弁として機能し得、絞り弁の開放は制御された絞り作用によって制御される。図2d及び図2eには、調整した衝撃波形及びかかる衝撃波の反射が示されている。
【0027】
縁部の傾きを調整する別の例として、代わりに衝撃波の長さを調整してもよい。これは、カウンタ圧力チャンバ内の圧力をある特定の残留圧力まで低下させ、そして弁を閉じ及び/又は弁を用いて圧力を所望のレベルに維持することによって行われる。所望の圧力への圧力の低減は急激であり得る。チャンバ内の圧力は、例えば、一定のレベルに保たれ得る。圧力の低減の行われる圧力を連続して増減することによって、反射エネルギーは上記のように調整され得る。
【0028】
しかし、上記の調整は、有利には、圧入速度に基く調整と組合わされ得る。この場合、調整装置にはまた、圧入速度を表わす測定値を受ける手段が設けられる。圧入速度の測定の仕方は当業者には周知であり、例えば送りモータへの流れを測定すること又は送りビーム沿ってどのくらい早く動くかを検知するセンサーを衝撃発生装置にも受けることによって得られ得、送りビームに沿って通常穿孔作業中動く。反射の測定に加えて圧入速度を測定することによって、調整方法は、衝撃波の形状を制御することによって、ある仕方で削岩装置の最適動作が得られるように反射エネルギーと圧入速度との関係の平衡を取るのに用いられ得る。単に反射エネルギーが測定され、調整中に用いられるだけである場合には、圧入速度が実質的に低減されるような長い時間において衝撃波の縁部が形成される危険がある。
【0029】
また、反射エネルギーの読取りと同時に又は反射エネルギーの読取りに関連して圧入速度を読取ることによって、圧入速度は前の値と比較され得、そして圧入速度が実質的に低下し、同時に反射が僅かに低減されることが示される場合には、調整は、設定された閾値以下に反射エネルギーを維持して、例えば反射エネルギーが予定の値に維持されると同時に、最大圧入速度を達成するために、上記閾値以下に維持した反射エネルギーで圧力の低減時間を変えるようにされ得る。インパルス(衝撃)当たりの圧入速度は上記に従って測定され得るが、圧入速度は、圧入速度の信頼できる測定を得るために、比較的間隔をあけて反射、例えば各五番目の衝撃波、各十番目の衝撃波を読取る、或いはさらに間隔をあけて読取るようにされ得、すなわち、任意の数のインパルス当たりの圧入速度が測定され得る。
【0030】
こうして調整が“最適”点のまわりで振動している時に、衝撃波の長さ及び振幅は、圧入速度をさらに改善するために、調整され得る。これは、上記の例において、制御装置20を用いてチャンバ内の圧力を低減し、そして圧力をある特定の残留圧力に維持することによって達成され得る。代わりに、制御装置において圧力レベルを測定してもよい。制御装置20を制御することによって、衝撃波の時間及び振幅及び形成及び応力の開放は自由に調整される。代わりに、調整は、当然、逆の仕方で実施され得、すなわち、衝撃波の長さ及び振幅が先ず最初に調整され、その後、縁部の立上り時間が調整される。
【0031】
また、調整アルゴリズムを設けることも可能であり、衝撃波の立上り時間、振幅及び長さは、低反射で最大の圧入速度を得るために、ある予定のアルゴリズムに従って同時に調整される。最適点が見出されると、調整はほぼこの最適点に維持され得る。調整はさらに、規則的な間隔で新たな良好な動作点を得るようにされ得る。あるアルゴリズムに従って衝撃波の形状を調整する間に、穿孔された孔の真直ぐさ及び穿孔ストリングの締付けトルクのような、圧入速度以外の性能が含まれ得る。
【0032】
上記の調整はまた、反射エネルギーと例えば圧入速度との間の重み付け関係を最適化するようにされ得、すなわち量は種々の重み付けがなされ、重み付けの結果は最小のレベルに調整される。例えば、作業者は最新の優先順序に関連して(例えば反射エネルギー、孔の真直ぐさ、生産性、作業寿命に関して)異なる性能に対する任意の重み付けを選択できる。岩盤パラメータすなわち衝撃波形の適切な値も入力され得る。
【0033】
上記の説明において、調整は、カウンタ圧力チャンバの圧力の低減の時間を調整することによって行われてきた。図1aの衝撃発生装置から離れて、本発明を有利に利用できるカウンタ圧力チャンバを備えた他の多数の衝撃発生装置が設けられ、また上記カウンタ圧力チャンバにおける圧力の低減を行う種々の仕方がある。例えば英文の発明の名称“Control device”で本発明と同じ出願日のスウェーデン国特許出願第 号には、カウンタ圧力チャンバを備えた装置の種々の例が示されており、またこれらの装置の圧力の低減どのように調整され得るかを示している。また、英文の発明の名称“Impuls generator and a method for generating impulses”で本発明と同じ出願日のスウェーデン国特許出願第 号には、カウンタ圧力チャンバを備えた他の装置の例が示されている。これら装置及び方法の全ては、本発明による調整に用いられ得る。
【0034】
上記後者の出願の装置は図1bに示され、そしてカウンタ圧力チャンバ2とは別に、衝撃要素3に対して作用する第2チャンバ4を備えている。本装置はさらに、主チャンバ5を備え、この主チャンバ5は好ましくは普遍的に加圧されており、圧力は、例えば一定の圧力を維持するように調整されるポンプのような圧力源を備えることによって得られる。チャンバ4は圧力形成チャンバを構成している。カウンタ圧力チャンバ2及び圧力形成チャンバ4を順次に又は並列に加圧し、そして加圧したカウンタ圧力チャンバ2により圧力形成チャンバ4を圧力解放することによって、加圧したカウンタ圧力チャンバ2内の圧力は、圧力形成チャンバ4が開放される際に増加する。この装置のその他の点については、図1bに示す装置として動作するが、しかしカウンタ圧力チャンバ2内には一様な比較的高い圧力が得られ得、その結果一様な大きな調整可能性が得られる。
【0035】
上記では、衝撃波の形状がカウンタ圧力チャンバ内の圧力の低減を制御することによってどのように調整され得るかを示してきた。このようにして衝撃波の形状を制御する他に、本発明は当然、衝撃波の形状を調整し得る任意の衝撃発生装置で用いられ得る。図3aには、そのような装置40の例を示している。この装置においてはカウンタ圧力チャンバは用いられないが、しかし作動チャンバ42は衝撃ピストン41の前方に配置され、そして衝撃波は、エネルギー蓄積装置43から作動チャンバ42へ圧力パルスの形態で高い圧力の圧力媒体を供給することによって発生され、エネルギー蓄積装置43は、衝撃発生装置40内に、又は好ましくは種々の横断面寸法をもつ三つの通路44〜46を介して衝撃発生装置40外に配置され得る。
【0036】
作動チャンバ42及びエネルギー蓄積装置43の間の一方又は両方の接続を開放することにより、圧力パルスが作動チャンバにおける圧力増大によって得られ、それにより衝撃ピストンにおいて圧縮応力を生じさせ、この圧縮応力は衝撃波として穿孔ストリングに伝達される。エネルギー蓄積装置43は、作動チャンバへの圧力媒体の伝達が上記エネルギー蓄積装置における圧力の大き過ぎる低下を生じさせないような寸法のものであり得る。
【0037】
衝撃波が発生されると、作動チャンバ42とエネルギー蓄積装置との間の接続通路は閉じられ、そして作動チャンバにおける圧力は、作動チャンバ42と圧力容器48との間の接続通路46を開放することにより低減される。圧力容器は実質的に圧力解放される。その後、作動チャンバ42と圧力容器48との間の接続通路は閉じられ、そして新たな行程が行われ得る(作動チャンバは、次のパルス発生の開始時に圧力解放され、又は実質的に圧力解放される)。エネルギー蓄積装置43と作動チャンバ42との間の接続通路が開放されると、この衝撃波の一部は、圧力媒体波が作動チャンバ42に到達する際に、負の圧力波としてエネルギー蓄積装置43へ反射し、負の圧力波はエネルギー蓄積装置において、再反射され、作動チャンバに向う新たな正の波が生じる。このプロセスは、エネルギー蓄積装置と作動チャンバとの間の圧力の差がなくなるまで、続く。通路44〜46の距離すなわち長さ、及び種々の通路44〜46の開放間の時間差を変えることによって、これらの圧力波及び圧力反射は圧力形成に利用され得、それにより衝撃波を形成できる。
【0038】
本発明によれば、調整は、上述のように、調整装置49によって行われるが、カウンタ圧力チャンバにおける圧力の低減を調整する代わりに、それぞれの通路44〜46を開放する仕方が調整され、すなわち、どの通路を最初に開放し、いかなる時間差をもって通路を開放するかにある。さらに、通路44〜46の長さは調整され得、すなわち長さの調整は通路44〜46に変位可能なスリーブ44a、45a、46aを設けることによって行われ得、これらのスリーブはエネルギー蓄積装置43内へ比較的長く又は比較的短く伸ばすことができるようにされている。変位可能性は図面に両方向矢印で示されており、スリーブ44a、45a、46aは異なる位置に示されている。点線円内の領域は、明瞭にするために拡大して図示されている。スリーブの変位機構は、当業者が適当な仕方でかかる機構を構成できると考えられるので、図示していない。このようにして作動チャンバにおける圧力増大を制御することにより、所望の衝撃波形状が得られ得る。必要な入力パラメータは上記のように、すなわち、例えば、減衰チャンバ(図示していない)の圧力を測定することによって又はひずみ計を用いることによって得られ得る。調整装置49において異なる通路の長さ及び時間差設定及びこれらの設定の各々に対する衝撃波の縁部の結果として立上り時間の表が設けられ得る。表を用いることにより、縁部の傾きは衝撃波の反射に基いて所望の方向(すなわち一層平坦又は急激)に制御され得る。
【0039】
別の実施形態では、図3aにおける作動チャンバ内の圧力増大は図1a及び図1bにおけるカウンタ圧力チャンバの圧力の低減と同じ仕方で、すなわち例えば、絞りを介して作動チャンバ内の圧力を制御可能に増大させる絞り弁を用いて調整され得る。
【0040】
別の代わりの実施形態では、本質的に圧力解放した容器48は、エネルギー蓄積装置43の圧力に比較して低いある特定の圧力に加圧され得る。これは、結果として、作動チャンバ42が常に加圧され、それにより減衰チャンバとして作用できることになり、このことは、行程後の作動チャンバにおける圧力/圧力変化が上記したものに従って調整用の入力パラメータを得るのに用いられ得る。
【0041】
当業者には明らかなように、エネルギー蓄積装置と作動チャンバとの間の通路の数は当然任意であり、好ましくは種々の横断面寸法をもつ通路が多くなればなるほど、より多くの調整可能性が得られる。
【0042】
図3bには、図3aにおける装置の変形例を示し、単一圧力をもつただ一つのエネルギー蓄積装置43を用いる代わりに、異なる作動圧力をもつ三つのエネルギー蓄積装置53a、53b、53cが用いられる。エネルギー蓄積装置53a、53b、53cを順次に接続すること、例えば最初に最も圧力の低い蓄積装置を接続することによって、衝撃波の構造を調整する別の可能性が達成され、例えば階段状にされる。当然、各エネルギー蓄積装置53a、53b、53cは、調整可能な長さの通路54〜56によって或いは上記による二つ以上の通路によって、作動チャンネル52に接続され得る。従ってこの実施形態では、衝撃波の形状を極めて自由に調整できる。当然、圧力の異なる任意の数のエネルギー蓄積装置を利用できる。調整装置59を用いた衝撃波の形態の調整は好ましくは、この場合も表に記載された値に基いて行われる。
【0043】
以上、本発明が適用できる適当な衝撃発生装置の多数の例について説明してきたが、しかし当業者には認められるように、本発明は当然、一つ(又はそれ以上)のカウンタ圧力チャンバにおける圧力の低減を用いて衝撃波を発生する任意の衝撃発生装置で用いられ得る。上記で説明した衝撃穿孔は当然、穿孔要素の穿孔バイトが各行程において新たな岩盤に遭遇する(すなわち前の衝撃で形成された孔において接触しない)穿孔を達成するために通常の仕方で穿孔ストリングの回転と組合せられ得る。
【0044】
さらに、上記の説明において、衝撃振動数については何も記載していないが、当然、掘削装置手段を最大に利用するために衝撃振動数はできる限り高いのが望ましい。しかし、上記の調整は当然衝撃周波数の調整と組合せられ得、これは特につば処理中および真直ぐさの要求が全体として高い場合に重要である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1a】本発明の好ましい実施形態による衝撃発生装置用の制御及び調整装置を示す概略図。
【図1b】本発明が有利に利用され得る装置の一例を示す図。
【図2a】衝撃波及び反射波の波形の一例を示すグラフ。
【図2b】衝撃波及び反射波の波形の別の例を示すグラフ。
【図2c】衝撃波及び反射波の波形の別の例を示すグラフ。
【図2e】衝撃波及び反射波の波形の別の例を示すグラフ。
【図3a】本発明による別の制御及び調整装置の例を示す概略図。
【図3b】本発明による別の制御及び調整装置の例を示す概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃要素を備えた衝撃発生装置が衝撃発生装置に接続したツールに衝撃波を伝達し、それにより衝撃波のエネルギーの一部をツールによって岩盤に伝達し、衝撃波のエネルギーの一部を反射し、反射エネルギーとして衝撃発生装置へ戻す削岩作業の制御方法において、
反射エネルギーを表す少なくとも一つのパラメータ値を発生すること、及び
上記衝撃波の立上り時間及び/又は長さを制御するように一つ又は複数の上記パラメータ値に少なくとも一部基いて上記衝撃要素と上記ツールとの相互作用を調整すること
を特徴とする制御方法。
【請求項2】
上記衝撃要素と上記ツールとの上記相互作用が、反射エネルギーを最少化するように調整されることを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
上記衝撃波の振幅が制御されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
上記一つ又は複数のパラメータ値が、反射エネルギーを表す量の検知、監視、測定又は計算によって発生されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項5】
反射エネルギーを表す量が少なくとも一つの減衰チャンバにおける少なくとも一つの減衰圧力から成ることを特徴とする請求項4に記載の制御方法。
【請求項6】
上記調整が圧入速度に基いて行われることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項7】
反射エネルギーを表す上記一つ又は複数のパラメータ値が、予定の間隔で及び/又は各又はある特定の衝撃波を発生する際に、連続的に変化して発生されることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項8】
上記衝撃発生装置が、衝撃要素に対して作用するカウンタ圧力チャンバ及び上記カウンタ圧力チャンバ内の圧力を下げる手段を備え、また上記衝撃要素と上記ツールとの相互作用の調整が、上記カウンタ圧力チャンバ内の圧力を下げる調整を含んでいることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項9】
上記衝撃発生装置が、加圧するようにされた液体体積を受ける少なくとも一つの作動チャンバを備え、また上記衝撃要素と上記ツールとの相互作用の調整が、作動チャンバ及びエネルギー蓄積装置の間の少なくとも一つの通路の調整を含み、また流入通路の長さ及び/又は横断面が調整されることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項10】
調整可能な長さ及び/又は調整可能な横断面をもつ多数の流入通路が、上記エネルギー蓄積装置を上記作動チャンバに接続し、また流入通路が、順次に及び/又は並列に開放されることを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】
異なる圧力レベルをもつ多数のエネルギー蓄積装置が、流入通路を介して上記作動チャンバに接続され、また作動チャンバにおける圧力形成が、上記多数のエネルギー蓄積装置と上記作動チャンバとの間の通路を順次開放することによって調整されることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の制御方法。
【請求項12】
衝撃発生装置が、多数の衝撃ピストンから成る衝撃要素を備え、衝撃要素とツールとの相互作用の調整が、上記相互作用に関与する衝撃ピストンを制御することによって行われることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項13】
ツールに衝撃波を誘起する衝撃発生装置における調整装置であって、上記衝撃発生装置が衝撃波を上記ツールに伝達する衝撃要素を備え、それにより動作時に衝撃波のエネルギーの一部がツールによって岩盤に伝達され、衝撃波のエネルギーの一部が反射され、そして反射エネルギーとして衝撃発生装置へ戻される調整装置において、
反射エネルギーを表す少なくとも一つのパラメータ値を発生する手段と、
上記衝撃波の立上り時間及び/又は長さを制御するように一つ又は複数の上記パラメータ値に少なくとも一部基いて上記衝撃要素と上記ツールとの相互作用を調整する手段と
を有することを特徴とする調整装置。
【請求項14】
反射エネルギーを最少化するように上記衝撃要素と上記ツールとの上記相互作用を調整する手段を有することを特徴とする請求項13に記載の調整装置。
【請求項15】
さらに、上記衝撃波の振幅を制御する手段を有することを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の調整装置。
【請求項16】
上記一つ又は複数のパラメータ値を発生する上記手段が、反射エネルギーを表す量を検知、監視、測定又は計算する手段を備えていることを特徴とする請求項13〜請求項15のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項17】
反射エネルギーを表す量が少なくとも一つの減衰チャンバにおける少なくとも一つの減衰圧力から成ることを特徴とする請求項16に記載の調整装置。
【請求項18】
さらに、圧入速度に基いて上記調整を行う手段を有することを特徴とする請求項13〜請求項17のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項19】
反射エネルギーを表すデータを取り出す手段が、予定の間隔で及び/又は各又はある特定の衝撃波を発生する際に、連続的に変化して上記一つ又は複数のパラメータ値を発生する手段を備えていることを特徴とする請求項13〜請求項18のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項20】
上記衝撃発生装置が、加圧するようにされた第1液体体積を受ける衝撃要素に対して作用するカウンタ圧力チャンバ及び上記カウンタ圧力チャンバ内の圧力を下げる手段を備え、また上記衝撃要素と上記ツールとの相互作用を調整する上記手段が、上記カウンタ圧力チャンバ内の圧力の低下を調整する調整手段を含む制御装置を備えていることを特徴とする請求項13〜請求項19のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項21】
さらに、加圧するようにされた第2液体体積を受ける圧力形成チャンバを構成する、上記衝撃手段に作用する第2チャンバを有し、圧力形成チャンバを加圧する際に上記衝撃手段が上記ツールからの方向へ動き、動作時に、上記圧力形成チャンバの圧力を解放する際には加圧されたカウンタ圧力チャンバ内の圧力が増加することを特徴とする請求項20に記載の調整装置。
【請求項22】
上記衝撃発生装置が、加圧するようにされた液体体積を受ける少なくとも一つの作動チャンバを備え、また衝撃要素とツールとの相互作用を調整する手段が、上記作動チャンバ及びエネルギー蓄積装置の間の少なくとも一つの通路を調整する手段を含み、また流入通路の長さ及び/又は横断面が調整されることを特徴とする請求項13〜請求項19のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項23】
調整可能な長さ及び/又は調整可能な横断面をもつ多数の流入通路が、上記エネルギー蓄積装置を上記作動チャンバに接続し、また衝撃要素とツールとの相互作用を調整する上記手段が、順次に及び/又は並列に流入通路を開放する手段を備えていることを特徴とする請求項22に記載の調整装置。
【請求項24】
異なる圧力レベルをもつ多数のエネルギー蓄積装置が、流入通路を介して上記作動チャンバに接続され、また上記多数のエネルギー蓄積装置と上記作動チャンバとの間の通路を順次開放することによって作動チャンバにおける圧力形成を調整する手段を備えていることを特徴とする請求項22又は請求項23に記載の調整装置。
【請求項25】
上記調整手段がコンピュータのような計算手段を備えていることを特徴とする請求項13〜請求項24のいずれか一項に記載の調整装置。
【請求項26】
請求項13〜請求項25のいずれか一項に記載の調整装置を有することを特徴とする衝撃発生装置。
【請求項27】
請求項13〜請求項25のいずれか一項に記載の調整装置を有することを特徴とする掘削装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2008−542587(P2008−542587A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513405(P2008−513405)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000581
【国際公開番号】WO2006/126933
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(398056193)アトラス コプコ ロツク ドリルス アクチボラグ (66)
【Fターム(参考)】