説明

前立腺細胞中のタンパク質チロシンキナーゼおよび/またはタンパク質チロシンキナーゼ経路と相互作用しかつ/またはそれを調節する化合物の活性を予測するためのポリヌクレオチドの同定

本発明は、タンパク質チロシンキナーゼ(例えばSrc、Fgr、Fyn、Yes、Blk、Hck、LckおよびLynなどのSrcチロシンキナーゼファミリーのメンバー、ならびに他のタンパク質チロシンキナーゼ、例えばBcr-abl、Jak、PDGFR、c-kitおよびEph受容体など)と相互作用し、それを調節(例えば阻害)する化合物による処置に対する細胞(例えば前立腺細胞株)の相対的固有感受性または抵抗性と相関することが発見されたポリヌクレオチドを記載する。これらのポリヌクレオチドは、その化合物に対する前立腺細胞株の抵抗性および感受性を予測するのに役立つことが示された。いくつかのポリヌクレオチドの発現レベルまたはリン酸化状態が、特定のタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤化合物による処置によって制御されることから、これらのポリヌクレオチドは、タンパク質チロシンキナーゼシグナル伝達経路、例えばSrcチロシンキナーゼに関与することが示される。その発現レベルが薬物感受性または薬物抵抗性と高く相関し、それらの化合物による処置によって調節される、そのようなポリヌクレオチドは、特にSrcチロシンキナーゼ経路などのタンパク質チロシンキナーゼ経路を介したシグナリングが疾患過程に関与する疾患領域(例えば前立腺がん)において、薬物応答を予測する方法に役立ち、疾患管理に予後指標または診断指標として役立つ、ポリヌクレオチド予測因子またはマーカーセットを構成する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-(2-クロロ-6-メチルフェニル)-2-[[6-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]-2-メチル-4-ピリミジニル]アミノ]-5-チアゾールカルボキサミドによる処置に対する細胞の応答を予測する発現パターンを持つ複数のポリヌクレオチドを含む予測因子セット。
【請求項2】
ポリヌクレオチドが、
a)表2に記載のポリヌクレオチド;
b)表2に記載の感受性予測因子ポリヌクレオチド;
c)表2に記載の抵抗性予測因子ポリヌクレオチド
d)表3に記載のポリヌクレオチド;
e)表3に記載の感受性予測因子ポリヌクレオチド;
f)表3に記載の抵抗性予測因子ポリヌクレオチド;
g)表4に記載のポリヌクレオチド;
h)表4に記載の感受性予測因子ポリヌクレオチド;
i)表4に記載の抵抗性予測因子ポリヌクレオチド;
j)表5に記載のポリヌクレオチド;
k)表5に記載の感受性予測因子ポリヌクレオチド;
l)表5に記載の抵抗性予測因子ポリヌクレオチド;
m)CK5、PSA、ARポリヌクレオチド;
n)PSAおよびARポリヌクレオチド;
o)CK5ポリヌクレオチド;
p)uPAポリヌクレオチド;
q)EPHA2ポリヌクレオチド;
r)PSAポリヌクレオチド;
s)ARポリヌクレオチド;および
t)上記ポリヌクレオチドの任意の組合せ
からなる群より選択される、請求項1に記載の予測因子セット。
【請求項3】
N-(2-クロロ-6-メチルフェニル)-2-[[6-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]-2-メチル-4-ピリミジニル]アミノ]-5-チアゾールカルボキサミドによる処置に対する細胞の応答を予測する発現パターンを持つ複数のポリペプチドを含む予測因子セット。
【請求項4】
ポリペプチドが、
a)表2に記載のポリペプチド;
b)表2に記載の感受性予測因子ポリペプチド;
c)表2に記載の抵抗性予測因子ポリペプチド
d)表3に記載のポリペプチド;
e)表3に記載の感受性予測因子ポリペプチド;
f)表3に記載の抵抗性予測因子ポリペプチド;
g)表4に記載のポリペプチド;
h)表4に記載の感受性予測因子ポリペプチド;
i)表4に記載の抵抗性予測因子ポリペプチド;
j)表5に記載のポリペプチド;
k)表5に記載の感受性予測因子ポリペプチド;
l)表5に記載の抵抗性予測因子ポリペプチド;
m)CK5、PSA、ARポリペプチド;
n)PSAおよびARポリペプチド;
o)CK5ポリペプチド;
p)uPAポリペプチド;
q)EPHA2ポリペプチド;
r)PSAポリペプチド;
s)ARポリペプチド;および
t)上記ポリペプチドの任意の組合せ
からなる群より選択される、請求項3に記載の予測因子セット。
【請求項5】
ある化合物が細胞の活性を調節できるかどうかを予測するための方法であって、
a)細胞の試料を取得するステップ;
b)前記細胞が複数のマーカーを発現させるかどうかを決定するステップ;および
c)前記マーカーの発現を、化合物の、前記細胞の活性を調節する能力と、相関させるステップ
を含む方法。
【請求項6】
複数のマーカーが請求項2に記載のポリヌクレオチドの1つ以上である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
複数のマーカーが請求項5に記載のポリペプチドの1つ以上である、請求項9に記載の方法。
【請求項8】
ある疾患状態に関連する細胞の化合物感受性または化合物抵抗性を予測するポリヌクレオチドおよびポリペプチドを同定する方法であって、
a)複数の細胞株を1つ以上の化合物に供するステップ;
b)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドのマイクロアレイの発現パターンを解析するステップ;および
c)前記マイクロアレイの前記発現パターンを使って、ある疾患状態に関連する細胞の感受性または抵抗性を予測するポリヌクレオチドまたはポリペプチドを選択するステップ
を含む方法。
【請求項9】
ある疾患状態についての処置を必要としている個体が、前記処置にうまく応答するだろうか応答しないだろうかを予測するための方法であって、
a)前記個体から細胞の試料を取得するステップ;
b)前記細胞が複数のマーカーを発現させるかどうかを決定するステップ;および
c)前記マーカーの発現を、個体の、前記処置に応答する能力と、相関させるステップ
を含む方法。
【請求項10】
疾患状態が前立腺がん、乳がん、または肺がんである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
タンパク質チロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドに結合しかつ/またはその活性を調節することができる候補化合物についてスクリーニングする方法であって、
a)試験化合物を請求項4に記載のポリペプチドと接触させること;および
b)ポリペプチドに結合しかつ/またはその活性を調節する試験化合物を候補化合物として選択すること
を含む方法。
【請求項12】
請求項4に記載の1つ以上のタンパク質チロシンキナーゼバイオマーカーポリペプチドの調節物質を投与することを含む、対象の前立腺がんを処置する方法。
【請求項13】
a)患者試料におけるカリクレイン3およびアンドロゲン受容体の発現レベルを測定すること(この場合、標準試料に観察されるレベルと比較して上昇したカリクレイン3および/またはアンドロゲン受容体の発現レベルは、前記タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対する少なくとも部分的な抵抗性を示し、標準試料に観察されるレベルと比較して減少したカリクレイン3および/またはアンドロゲン受容体の発現量は、前記タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対する感受性を示す);
b)患者試料におけるサイトケラチン5の発現レベルを測定すること(この場合、標準試料に観察されるレベルと比較して減少したサイトケラチン5の発現レベルは、前記タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対する少なくとも部分的な抵抗性を示し、標準試料に観察されるレベルと比較して上昇したサイトケラチン5の発現量は、前記タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対する感受性を示す);
c)患者試料が前立腺細胞系統に関する基底細胞タイプ表現型の徴候を示すかどうかを決定すること(この場合、そのような徴候の存在は、前記タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対する感受性を示す);
d)患者試料におけるカリクレイン3、アンドロゲン受容体、およびサイトケラチン5の発現レベルを測定すること(この場合、標準試料に観察されるレベルと比較して上昇したカリクレイン3および/またはアンドロゲン受容体の発現レベルならびに標準試料に観察されるレベルと比較して減少した発現レベルは、前記タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対する少なくとも部分的な抵抗性を示し、標準試料に観察されるレベルと比較して減少したカリクレイン3および/またはアンドロゲン受容体の発現量ならびに標準試料に観察されるレベルと比較して上昇したサイトケラチン5の発現レベルは、前記タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対する感受性を示す);
e)患者試料におけるSCEL、ANXA3、CST6、LAMC2、ZBED2、EREG、AXL、FHL2、PLAU、および/またはARNTL2の発現レベルを測定すること(この場合、標準試料に観察されるレベルと比較して減少したSCEL、ANXA3、CST6、LAMC2、ZBED2、EREG、AXL、FHL2、PLAU、および/またはARNTL2の発現レベルは、前記タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対する少なくとも部分的な抵抗性を示し、標準試料に観察されるレベルと比較して上昇したSCEL、ANXA3、CST6、LAMC2、ZBED2、EREG、AXL、FHL2、PLAU、および/またはARNTL2の発現量は、前記タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対する感受性を示す);
f)患者試料におけるEPHA2の発現レベルを測定すること(この場合、標準試料に観察されるレベルと比較して減少したEPHA2の発現レベルは、前記タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対する少なくとも部分的な抵抗性を示し、標準試料に観察されるレベルと比較して上昇したEPHA2の発現量は、前記タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対する感受性を示す);および
g)患者試料におけるUPAの発現レベルを測定すること(この場合、標準試料に観察されるレベルと比較して減少したUPAの発現レベルは、前記タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対する少なくとも部分的な抵抗性を示し、標準試料に観察されるレベルと比較して上昇したUPAの発現量は、前記タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対する感受性を示す)
からなる群より選択される方法を使って、患者がN-(2-クロロ-6-メチルフェニル)-2-[[6-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]-2-メチル-4-ピリミジニル]アミノ]-5-チアゾールカルボキサミドなどのタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対して応答性でありうるかどうかを予測する方法。
【請求項14】
がんを患っている患者のための処置レジメンを確立する方法であって、請求項5、6、7、8、9、10、11、12、または13のいずれか一項に従って、患者が、N-(2-クロロ-6-メチルフェニル)-2-[[6-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]-2-メチル-4-ピリミジニル]アミノ]-5-チアゾールカルボキサミドなどのタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対して応答性であると予測されるかどうかを決定するステップと、患者試料が前記タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対して抵抗性であると予測される場合には、より攻撃的な処置レジメンを適用し、患者試料が前記タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対して感受性であると予測される場合には、典型的な処置レジメンを適用するステップとを含む方法。
【請求項15】
がんを患っている患者のタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対する応答性を予測するために代用マーカーを使用する方法であって、N-(2-クロロ-6-メチルフェニル)-2-[[6-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]-2-メチル-4-ピリミジニル]アミノ]-5-チアゾールカルボキサミドなどのタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤の投与前と投与後の両方で予測的ポリヌクレオチドまたはポリペプチドマーカーの発現レベルを比較するステップを含み、前記投与が無かった場合と比較して前記投与後の前記予測的マーカーの発現量の減少は、前記患者が前記タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤に対して応答性であることを示し、前記予測的マーカーが、表2、3、4、または5に記載の1つ以上の感受性マーカーによって表される方法。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図1】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−517510(P2010−517510A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545639(P2009−545639)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/050495
【国際公開番号】WO2008/086342
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.サランラップ
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】