説明

前車軸ブラケット、特に自動車に対する前車軸ブラケット

自動車に対する前車軸ブラケット(1)であって、この前車軸ブラケットにおいては、例えばウィッシュボーンまたはA−アームのような2つのホイール制御要素(7)の各々のうちの1つをスイベル搭載するための軸受けに対する2つの受容部または窪み(5、6)の各々、ならびに前車軸ブラケットの固定のための受容部(18、19、20)が、製造済みユニットとして、車両ボディ上の組み立て済みアセンブリ、ならびにステアリング機構の固定のための受容部または窪み(13)およびスタビライザーの固定のための受容部または窪み(15)およびヒンジ支柱の搭載のための受容部または窪み(14)のうちの一部と共に提供されており、前車軸ブラケットは、軽金属コンポーネントの形で製造されており、前車軸ブラケットは、受容部または窪みと一体であり、かつ受容部または窪みを互いに対して接続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に対する前車軸ブラケットに関する。そのようなブラケット(サブフレーム、フレーム、または補助フレームとも称される)は、それらに対してアセンブリおよび/または補助アセンブリ(例えば、車両ボディ上の組み立て済みのユニットまたはモジュール)が提供された後に、例えば自動車のボディ上に、および/または長手ビーム上に搭載される。
【背景技術】
【0002】
そのようなサブフレームまたは前車軸ブラケットには、例えばウィッシュボーンまたはA−アームのような2つのホイール制御要素の各々のうちの1つをスイベル搭載(swibel mount)するための軸受けに対する2つの受容部の各々、ならびにステアリング機構、スタビライザー、およびその他のアセンブリの固定のためのさらなる受容部または窪みが提供される。また、車両ボディ上の組み立て済みのアセンブリと共に製造済みのユニットとして自身を固定するためのその他の受容部または窪みを有するサブフレームが、特許文献1から公知である。
【0003】
そのようなサブフレームは、それらの製造が非常に複雑であるという不都合を有している。というのも、まず何より、長手ビームおよび側張りに対して、異なる輪郭が製造されなければならない(しかも内圧に対して脆い)からであり、さらには、異なるアセンブリに対する受容部およびサブフレームに対する受容部が、例えば、ネジ止めまたは溶接によって、シャーシ上に個別的に搭載されなければならず、例えば、側枠の端部における個々の受容部に再度の整形(例えば、平坦化)がなされる必要があるからである。
【特許文献1】独国特許発明第19920051号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、フレームおよびサブフレームのそれぞれの、公知のブラケットの不都合を除去し、これらの製造を単純化し、これらをコスト効率よく設計し、コンポーネントの数を減らし、それと共に、接合および組み立てのプロセスを減らし、扱いやすいものにし、車両そのものの重量およびフレームの重量を減らし、結果的に、輸送コストを節約し、さらには懸垂質量を低減させるという目的に基づいている。さらに、組み立て済みのユニットに対するアセンブリの組み立てが容易化され、自動車における組み立て済みのユニットの組み立てと同時に、コスト効率が良いものとなるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にしたがうと、これは、前車軸ブラケットにおいて達成される。この前車軸ブラケットは、例えば2つのウィッシュボーンまたはA−アームのような2つのホイール制御要素の各々のうちの1つをスイベル搭載するための軸受けに対する2つの受容部または窪みの各々、ならびに前車軸ブラケットの固定のための受容部または窪みが、製造済みユニットとして、車両ボディ上の組み立て済みのアセンブリ、ならびに
−ステアリング機構の固定のための受容部または窪み
−スタビライザーの固定のための受容部または窪み
−スイベル搭載部の支持のための受容部または窪み
のうちの一部を有しており、
前車軸ブラケットは、軽金属コンポーネントの形で製造されており、この前車軸ブラケットは、受容部または窪みと一体であり、かつ受容部または窪みを互いに対して接続している。
【0006】
軽金属として、アルミニウムまたはアルミニウム合金が使用されることが、有利であり得る。さらに、上記コンポーネント(すなわち、前車軸ブラケット)を、例えば傾斜金型鋳造(tilting permanent mold casting)プロセスのような、アルミニウム鋳造方法で製造することが有利であり得る。
【0007】
そのような前車軸ブラケットまたはサブフレームは、公知のブラケットと比較して、顕著にコスト効率が高い。というのも、フレームを形成している個別の部分どうしの接合、ならびに受容部の固定が省かれ、これにより、接合プロセスおよび組み立てプロセスが減らされるからである。驚くべきことに、本発明によって、重量を驚異的に軽減することもまた、可能である。これは、アルミニウムの単位体積質量がその有効物質に比べて優れていることによる。したがって、車両そのものの重量が軽減され得、車両および燃料が節約され得るだけではなく、輸送コストが、懸垂質量の軽減に加えて節約され得る。
【0008】
本発明にしたがう前車軸ブラケットはさらに、受容部に対する窪み、および有利にも補強フィンによって囲まれたものであり得る(例えば、組み立て目的のための)その他の窪み、およびホイール制御部材の軸受けのための受容部が、アームとして形成され得る。これにより、ホイール制御要素の各々に対する2つの受容部のうちの1つは、この受容部が、ホイール制御要素における1つの軸受けを囲んでいるU字型の搭載部に対する少なくともほぼ車両の長手方向に間隔を空けられた少なくとも2つの受容部要素を有していること、ならびにホイール制御要素の各々の軸受けに対する受容部のうちの第2のものは、長手の車両方向において上記受容部から間隔が空けられており、第2の受容部は、ホイール制御要素の軸頭として形成されたその他のものの軸受けの役目を果たしており、ホイール制御要素の軸受けの軸頭が、少なくともほぼ長手の車両方向に走っていることが有利である。
【0009】
一体的な第2の支持部を含むアーム上に、車両ボディ上へのブラケットの固定のための固定手段に対する第1の受容部または窪みを提供することが、特に有利であり得、この受容部が、この第2の受容部のベースボディから傾いた向きの側部に提供されることが、有利であり得る。
【0010】
本発明のさらなる設計にしたがうと、第2の受容部を含んでいるアームは、2つの補強フィンを含んでおり、第2の受容部から延びており、アームを囲っており、ベースボディに合流している。これにより、1つの補強フィンが、第2の受容部を支持しているアームの第1の受容部から傾いた向きの側部の上を走っており、ベースボディに合流することが有利であり得る。第2の受容部を支持しているアームの第1の支持部から傾いた向きの側部の上のその他の補強フィンが、車両ボディ上へのブラケットの固定のための固定手段に対する第2の受容部の領域に合流することが有利であり得る。
【0011】
最適な構造強度の値は、最小限の材料配備で、そのような設計によって実現され得る。
【0012】
第2の受容部を支持し、ベースボディから延びているアームは、ダブルT字断面を有していることが有利であり得る。
【0013】
その他の軸受けに対する第2の受容部と、シャーシ上へのブラケットの固定のための固定手段に対する第2の受容部または窪みとの間のアームが、少なくともほぼこのアームの横を延びているさらなる補強フィンを有していることが、さらに有利であり得る。
【0014】
最適な構造強度の値は、最小限の材料配備で、そのような設計によって実現され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、図面に示されている例示的な実施形態に基づいて、より詳細に説明される。
【0016】
ここで、前車軸ブラケット1は、ベース2を有しており、このベースは、補強リブ3、4によって囲まれている。これはさらに、ホイール制御要素の軸受けに対する、長手車両軸Fの両側の軸受け受容部5、6のそれぞれ、車両軸Fの各側部のウィッシュボーンまたはAアーム7を有している。そして、ウィッシュボーン7の1つの軸受け8に対する受容部5は、2つのアーム受容部要素5a、5bによって形成されており、これらの受容部要素は、ベースボディ1から延びている各アーム9、10において提供されている。
【0017】
ウィッシュボーン7上の第2の軸受け11に対する第2の軸受け受容部6もまた、アーム12上に提供されている。前車軸ブラケット1は、ステアリング機構の固定のためのさらなる受容部または窪み13をも有している。
【0018】
さらに、スタビライザーの固定のためのヒンジ支柱および受容部または窪み15の搭載のために、ブラケット1において、受容部14が提供されている。
【0019】
アーム12は、補強フィン16、17によって囲まれている。このアームは、ベースボディから延びており、軸受け受容部6において終端している。
【0020】
ブラケットはさらに、車両の長手軸Fの両側の各々において、車両ボディ上へとブラケットを搭載するための固定手段に対して提供された、第1、第2、および第3の受容部または窪み、すなわち、受容部または窪み18、19、および20を有している。車両ボディ上へとブラケットを固定するため固定手段に対する第1の受容部または窪み18は、アーム16上に、すなわち、ベースボディから傾いた向きの受容部6の側部に配置されている。
【0021】
受容部フィン16は、車両本体上へのブラケットの固定のための固定手段に対する第2の受容部と直接的に合流している。
【0022】
第3の受容部20は、アーム10から延びているアーム21において提供されており、このアームはまた、第1の軸受け受容部5の受容部材5bをも含んでいる。
【0023】
2つの補強リブ16および17を有するアーム12は、ダブルT字型(double−T−shaped)の断面を有しており、さらには、第2の軸受け受容部6の受容部18から傾いた向きの側部に、少なくともほぼブラケット12の横を走っている補強フィン22を有している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(記載なし)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に対する前車軸ブラケットであって、該前車軸ブラケットにおいて、例えばウィッシュボーンまたはA−アームのような2つのホイール制御要素の各々のうちの1つのスイベル搭載のための軸受けに対する2つの受容部または窪みの各々、ならびに該前車軸ブラケットの固定のための受容部が、製造済みユニットとして、車両ボディ上の組み立て済みアセンブリ、ならびに
ステアリング機構の固定のための受容部または窪み、
スタビライザーの固定のための受容部または窪み、
ヒンジ支柱の搭載のための受容部または窪み
のうちの少なくとも一部と共に提供されており、
該前車軸ブラケットは、軽金属コンポーネントの形で製造されており、該前車軸ブラケットは、該受容部または窪みと一体であり、かつ該受容部または窪みを互いに対して接続している、前車軸ブラケット。
【請求項2】
前記軽金属は、アルミニウム合金であることを特徴とする、前車軸ブラケット、特に請求項1に記載の前車軸ブラケット。
【請求項3】
前記コンポーネントは、傾斜金型鋳造プロセスのようなアルミニウム鋳造プロセスにおいて製造されることを特徴とする、前車軸ブラケット、特に請求項1または請求項2に記載の前車軸ブラケット。
【請求項4】
前記ブラケットは、前記窪みまたは受容部、そして利用可能な場合には、例えばアセンブリの窪みのようなその他の窪みを除いて、ほぼ連続的であるベースボディを有しており、該ベースボディは、補強フィンによって囲まれており、前記ホイール制御要素の軸受けに対する受容部が、アーム上に提供されていることを特徴とする、前車軸ブラケット、特に請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の前車軸ブラケット。
【請求項5】
前記ホイール制御要素の各々の軸受けに対する受容部のうちの1つは、該ホイール制御要素に対する1つの軸受けを囲んでいるU字型の搭載部に対する少なくともほぼ前記車両の長手方向において間隔を空けられた2つの受容部要素を有していること、ならびに該ホイール制御要素の各々の該軸受けに対する該受容部のうちの第2のものは、該受容部要素から長手の車両方向において間隔を空けられており、該第2の受容部は、該ホイール制御要素の軸頭として形成された軸受けの役目を果たしていることを特徴とする、前車軸ブラケット、特に請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の前車軸ブラケット。
【請求項6】
前記第2の受容部を含む前記アーム上に、第1の受容部が、前記車両ボディ上への前記ブラケットの固定のための固定手段に対して提供されていることを特徴とする、前車軸ブラケット、特に請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の前車軸ブラケット。
【請求項7】
前記固定手段に対する前記第1の受容部は、前記第2の受容部の前記ベースボディから傾いた向きの側部に提供されていることを特徴とする、前車軸ブラケット、特に請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の前車軸ブラケット。
【請求項8】
前記第2の受容部を含んでいる前記アームは、2つの補強フィンを含んでおり、該2つの補強フィンは、該第2の受容部から延び、該アームを囲っており、該ベースボディに合流していることを特徴とする、前車軸ブラケット、特に請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の前車軸ブラケット。
【請求項9】
第1の補強フィンが、前記第2の受容部を支持している前記アームの前記第1の受容部から傾いた向きの側部の上を延びており、前記ベースボディに合流していることを特徴とする、前車軸ブラケット、特に請求項8に記載の前車軸ブラケット。
【請求項10】
前記車両ボディ上への前記ブラケットの固定のための搭載部の固定手段に対する第2の受容部または窪みの領域において第2の受容部を支持しているアームの第1の支持部から傾いた向きの側部の上のさらなる補強フィンが、前記ベースボディに合流していることを特徴とする、前車軸ブラケット、特に請求項8または請求項9に記載の前車軸ブラケット。
【請求項11】
前記第2の受容部を支持し、前記ベースボディから延びている前記アームは、ダブルT字断面を有している、前車軸ブラケット、特に請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の前車軸ブラケット。
【請求項12】
前記第2の軸受けの前記受容部に対する前記第2の受容部または窪みと、シャーシ上への前記ブラケットの固定のための前記固定手段に対する前記第2の受容部または窪みとの間のアーム12は、少なくともほぼ前記アームの横を延びているさらなる補強フィンを有していることを特徴とする、前車軸ブラケット、特に請求項11に記載の前車軸ブラケット。

【図1】
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【公表番号】特表2009−507694(P2009−507694A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529464(P2008−529464)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【国際出願番号】PCT/DE2006/001582
【国際公開番号】WO2007/031060
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(508040511)カーエスエム キャスティングス ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】