説明

力覚付与型入力装置

【課題】操作レバーを傾動させる操作と押下操作とを連続的に行えると共に、押下操作検出手段の配線が複雑化せず断線の虞もない力覚付与型入力装置を提供すること。
【解決手段】操作レバー2の傾動を検出する傾動操作検出手段10の信号に基づき、回転モータ3が操作レバー2に力覚を付与する力覚付与型入力装置において、自身のスライド移動を操作レバー2の傾動に変換する動作変換部を有するスライダ6と、スライダ6に昇降可能に装着されて側方へ押圧駆動部8aを突設した操作ノブ8と、押圧駆動部8aの昇降動作を検出する押下操作検出手段20、ドーム形状部7aや衝撃吸収部7bを有するラバーシート7とを備えた構成とする。操作ノブ8をスライド操作することで操作レバー2が傾動し、操作ノブ8を押下操作すると、押圧駆動部8aにより押下操作検出手段2のプランジャ21が下動されて検出スイッチ22を駆動すると共に、ドーム形状部7aがクリック感を生起する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動操作されて傾動する操作レバーに対して電気制御された力覚を付与する力覚付与型入力装置に係り、特に、傾動操作に加えて押下操作(プッシュ操作)が行える力覚付与型入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、エアコンやオーディオあるいはナビゲーション等の車載用制御機器の操作レバーを操作者が手動操作して機能調整等を行う際に、この操作レバーの操作量や操作方向に応じた抵抗力や推力等の外力を操作者に付与することにより、操作フィーリングを良好にして所望の操作が確実に行えるようにしたフォースフィードバック機能付きの力覚付与型入力装置が種々提案されている。かかる力覚付与型入力装置の一例として、従来より、操作者により手動操作される操作レバーと、この操作レバーを傾動可能に支持する支持基台と、操作レバーを傾動させるための外力を生起する回転モータと、操作レバーの傾動を検出するロータリエンコーダ等の検出手段とを備え、この検出手段の出力信号に基づいて回転モータの駆動を制御することにより、操作レバーに所望の力覚を付与するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−140844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述の如く構成された従来の力覚付与型入力装置において、操作者による押下操作(プッシュ操作)を検出できる機構を付設しておけば、例えば、操作レバーの傾動操作でメニュー選択等を行った後に、押下操作検出手段であるプッシュスイッチを押下操作して選択内容を決定するという使い方が可能となって利便性が向上する。その場合、操作レバーを傾動させる操作とプッシュスイッチを押し込む操作とを連続的に行えることが好ましいため、例えば、操作レバーに冠着した操作ノブの内部にプッシュスイッチを組み込んだり、操作レバーに操作ノブを昇降可能に取り付けて両者間にプッシュスイッチを組み込んでおくことが考えられる。しかしながら、このようにすると操作レバーの傾動操作に伴って操作ノブとプッシュスイッチも一緒に揺動することになるため、操作ノブに対する押下操作方向が操作レバーの傾動角度によって大きく変化してしまい、操作者が操作ノブを押下操作しにくくなるという問題が発生する。また、押下操作検出手段であるプッシュスイッチの配線を操作レバーの傾動動作に追従できるように引き回す必要があるため、配線構造を含めた電気的接続が複雑になってしまい、操作レバーや操作ノブに過大な操作力が作用した場合などに断線事故が起こりやすくなるという問題もあった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、操作レバーを傾動させる操作と押下操作とを連続的に行えると共に、押下操作検出手段の配線が複雑化せず断線の虞もない力覚付与型入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、操作ノブを介して傾動操作される操作レバーと、この操作レバーを傾動可能に支持する支持基台と、前記操作レバーを傾動させる外力を生起する回転モータと、前記操作レバーの傾動を検出する検出手段とを備え、前記検出手段の出力信号に基づいて前記回転モータの駆動を制御することにより前記操作レバーに力覚を付与するようにした力覚付与型入力装置において、前記操作レバーの傾動をスライド方向に変換する動作変換部を有して前記支持基台上にスライド移動可能に搭載されたスライダと、前記支持基台に保持された押下操作検出手段とを備え、前記操作ノブが前記スライダに昇降可能に装着されていると共に、この操作ノブに前記スライダのスライド移動方向に沿って突出する押圧駆動部が設けられており、前記操作ノブの押圧操作に伴う前記押圧駆動部の昇降動作が前記押下操作検出手段によって検出されるように構成にした。
【0007】
このように構成された力覚付与型入力装置では、操作者が操作ノブをスライド操作することにより、スライダを介して操作レバーを傾動させることができるため、操作レバーの傾動角度に拘らず、操作ノブをスライド移動方向と直交する向きに押下操作することができ、操作ノブが押下操作されたか否かを押下操作検出手段にて検出することができる。したがって、操作レバーを傾動させる操作と押下操作検出手段のアクチュエータを押し込む操作とが操作ノブを介して連続的に円滑に行えることになって、操作性が良好となる。また、押下操作検出手段を揺動させることなく安定した姿勢に保持できるため、押下操作検出手段の配線の引き回しが複雑化せず断線等も回避しやすい。
【0008】
上記の構成において、押下操作検出手段が、押圧駆動部に当接する方向へ弾性付勢された昇降可能なプランジャと、このプランジャの昇降動作を検出する検出スイッチとを備えており、押圧駆動部が、スライダのスライド移動方向と平行に延在してプランジャに常時当接する駆動平坦面を有していると、操作ノブの押下操作に必要な作動力がスライド位置によってばらつく虞がなくなり、かつ、操作ノブの押下操作後にプランジャの付勢力によって操作ノブを元の高さ位置まで押し上げることができるため、押下操作が一層円滑に行えるようになる。
【0009】
また、上記の構成において、操作ノブとスライダとの間に弾性クリック部材が介設されていると、操作ノブの押下操作時に弾性クリック部材によって明瞭なクリック感を生起させることができると共に、押下操作後に弾性クリック部材がプランジャの付勢力と協働して操作ノブを元の高さ位置まで押し上げることになるため、操作性を一層向上させることができる。
【0010】
この場合において、弾性クリック部材がドーム形状部を有するラバーシートからなると、部品コストや組立コストを低減できて好ましい。また、スライダのスライド移動方向の外側部を固定部材のストッパ部で位置規制することにより、該スライダのスライド方向の移動範囲が規定されるようになっている場合において、ラバーシートの一部をスライダの外側部と重なり合う位置まで延出させて衝撃吸収部となせば、操作ノブのスライド操作時に懸念される衝撃や異音の発生をラバーシートの衝撃吸収部で抑制することができ、しかも部品点数も増加しないため好ましい。さらに、衝撃吸収部とラバーシートの残余の部分との間にスリットを設けておくと、衝撃吸収部がストッパ部に当接して弾性変形した場合でも、ラバーシートのドーム形状部が影響を受ける可能性が低くなるため、押下操作時に生起されるクリック感に悪影響が及びにくくなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の力覚付与型入力装置は、自身のスライド移動を操作レバーの傾動に変換する動作変換部を有するスライダと、操作ノブが押下操作されたことを検出する押下操作検出手段とを備えており、スライダに昇降可能に装着された操作ノブが押下操作検出手段を押下操作可能な押圧駆動部を有しているため、操作者が操作ノブをスライド操作することにより、スライダを介して操作レバーを傾動させることができると共に、操作レバーの傾動角度に拘らず操作ノブをスライド移動方向と直交する向きに押下操作して所要の信号を取り出すことができる。したがって、操作レバーを傾動させる操作と押下操作検出手段のアクチュエータを押し込む操作とが操作ノブを介して連続的に円滑に行えることになって、操作性が良好となる。また、押下操作検出手段を揺動させることなく安定した姿勢に保持できるため、押下操作検出手段の配線の引き回しが複雑化せず断線等も回避しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態例に係る力覚付与型入力装置の断面図である。
【図2】図1の力覚付与型入力装置の外観形状を示す斜視図である。
【図3】図1,2の力覚付与型入力装置から操作ノブを取り外して示す平面図である。
【図4】図1の矢印A方向から見た力覚付与型入力装置の側面図である。
【図5】図1の操作ノブをスライド操作後に押下操作した状態を示す力覚付与型入力装置の断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態例に係る力覚付与型入力装置の内部構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。まず、本発明の第1実施形態例に係る力覚付与型入力装置について、図1〜図5を参照しつつ説明する。
【0014】
これらの図に示す力覚付与型入力装置は、上面側に開口1aを有する箱形の支持基台1と、支持基台1に傾動可能に支持された操作レバー2と、回転軸3aを有する回転モータ3と、回転軸3aに固着された取付部材4と、操作レバー2の傾動を検出するための傾動操作検出手段10(コード板11およびフォトインタラプタ12)と、上方を臨む収納凹所5aや開口1aに対向する開口5bを有して支持基台1上に固定されたホルダ5と、収納凹所5aに搭載されて図1の左右方向へスライド移動可能なスライダ6と、ドーム形状部7aを有してスライダ6の鍔部6b上に載置されたラバーシート7と、スライダ6の中央凸部6aに昇降可能に装着されて側方へ押圧駆動部8aを突設した操作ノブ8と、操作ノブ8が押下操作されたことを検出するための押下操作検出手段20(板ばね9とプランジャ21および検出スイッチ22)とを備えている。回転モータ3や傾動操作検出手段10等は支持基台1の内部に収納されており、操作レバー2は開口1a,5bを貫通して収納凹所5a内へ突出している。また、押下操作検出手段20はホルダ5の取付穴5cに収納されている。
【0015】
操作レバー2の下端部は取付部材4に取り付けられており、取付部材4の軸心が操作レバー2の傾動中心となっている。操作レバー2の上端部はスライダ6の底面側に設けられた凹部6c内に摺動自在に挿入されており、スライダ6をスライド移動させると操作レバー2が傾動するようになっている。つまり、スライダ6の凹部6cと操作レバー2の上端部とによって、スライダ6のスライド移動を操作レバー2の傾動に変換する動作変換部が構成されている。スライダ6の中央凸部6aには操作ノブ8が被せてあるので、操作ノブ8のスライド操作によって操作レバー2が傾動操作されることになる。そして、操作レバー2が傾動すると、取付部材4と一体的に回転モータ3の回転軸3aやコード板11が回転するため、コード板11の回転情報がフォトインタラプタ12によって検出され、フォトインタラプタ12から出力された検知信号が図示せぬ制御部に取り込まれる。この制御部は操作レバー2の傾動方向と傾動角度(傾動量)を演算すると共に、メモリに記憶されたデータやプログラムに基づく制御信号を回転モータ3に出力する。この制御信号は操作レバー2を介して操作ノブ8に付与される力覚に対応する信号であり、信号の種類としては振動の発生や作動力(抵抗力や推力)の変更等がある。
【0016】
図4に示すように、スライダ6の底面には突条摺動部6dが突設されており、ホルダ5の収納凹所5aの内底面には、この突条摺動部6dのスライド移動を案内する直線状のガイド溝5dが設けられている。また、図3に示すように、収納凹所5aを包囲するホルダ5の内側面のうち、ガイド溝5dの長手方向両端と隣接している一対の内側面はスライダ6のスライド移動方向の外側面6eを位置規制可能なストッパ部5eとなっており、これら一対のストッパ部5eによってスライダ6のスライダ方向の移動範囲が規定されている。
【0017】
操作ノブ8の押圧駆動部8aの下面は、スライダ6のスライド移動方向と平行に延在してプランジャ21の上端に常時当接可能な大きさの駆動平坦面8bとなっている。このプランジャ21は板ばね9の中央部に嵌着されており、板ばね9の長手方向両端部はホルダ5に立設された支柱部5fに保持されている。そして、操作ノブ8をラバーシート7のドーム形状部7aの弾性力や板ばね9の付勢力に抗して下方へ押し込むと、図5に示すように、操作ノブ8はスライダ6の中央凸部6aに沿って下降し、押圧駆動部8aがプランジャ21を下動させる。このプランジャ21はアクチュエータとして組み込まれたものであり、プランジャ21が所定ストローク下動すると検出スイッチ22を駆動してオン動作させるため、この検出スイッチ22から出力される検知信号によって操作ノブ8の押下操作が検出されるようになっている。なお、押圧駆動部8aの駆動平坦面8bには、操作ノブ8のスライド位置に拘らずプランジャ21との当接が維持できる面積が確保されている。
【0018】
ラバーシート7の長手方向両端部には、スライダ6のスライド移動方向の外側面6eと重なり合う舌片状の衝撃吸収部7bが一対ずつ延設されている。これらの衝撃吸収部7bは、操作レバー2を傾動させるために操作ノブ8をスライド操作したときに、スライダ6の外側面6eがホルダ5のストッパ部5eに直接当接しないようにするためのものであり、衝撃吸収部7bの緩衝効果によって衝撃や異音の発生を大幅に軽減することができる。ドーム形状部7aはラバーシート7の長手方向両端近傍にそれぞれ突設されている。このドーム形状部7aは座屈変形時にクリック感を生起するという公知のものであり、本実施形態例においては、操作ノブ8の押下操作が確実に行われたことを操作者の手指に感得させるための弾性クリック部材として設けられている。また、図3に示すように、ラバーシート7の長手方向両端部には、各衝撃吸収部7bとドーム形状部7aとの間にそれぞれスリット7cが形成されているため、衝撃吸収部7bがストッパ部5eに衝突して弾性変形したとしても、この弾性変形はスリット7cで遮断されてドーム形状部7aまで弾性変形することはない。
【0019】
次に、このように構成された力覚付与型入力装置の動作について説明する。
【0020】
まず、力覚付与型入力装置のシステムを起動(電源オン)させると、前述した制御部が回転モータ3を制御して操作レバー2を中立位置に自動復帰させるため、スライダ6と操作ノブ8は図1〜図3に示す初期位置に配置される。この状態で操作者が操作ノブ8をスライド操作すると、スライダ6が操作ノブ8と一体的にスライド移動し、このスライド移動が動作変換部を介して操作レバー2の傾動に変換されるため、操作レバー2が傾動する。そして、かかる操作レバー2の傾動動作に連動して回転軸3aとコード板11が一体的に回転し、このコード板11の回転情報がフォトインタラプタ12によって検出されるため、フォトインタラプタ12から出力された検知信号が制御部に取り込まれる。
【0021】
フォトインタラプタ12からの検知信号に基づいて、制御部は操作レバー2の傾動方向と傾動角度を演算すると共に、回転モータ3に所定の制御信号を出力する。そして、操作レバー2が所定方向へ所定量だけ傾動操作されたときに、回転モータ3が駆動制御され、傾動操作を阻害する抵抗力や傾動操作を助長する推力あるいは振動等の外力が、回転モータ3から操作レバー2に付与される。すなわち、操作ノブ8を介して操作レバー2を傾動操作している操作者の手指に、抵抗力や推力あるいは振動等の外力が適宜選択されてフィードバックされるようになっている。
【0022】
また、操作ノブ8をスライド操作して操作レバー2を傾動させた状態で、この操作ノブ8を操作者が下方へ押し込むと、図5に示すように、操作レバー2の押圧駆動部8aが板ばね9の付勢力に抗してプランジャ21を押し下げるため、所定ストローク下動したプランジャ21が検出スイッチ22を駆動してオン動作させる。これにより、検出スイッチ22から前記制御部へ検知信号が出力されて、操作ノブ8に対する押下操作が検出されるため、例えば、操作ノブ8のスライド操作(操作レバー2の傾動操作)でメニュー選択等を行った後に、操作ノブ8の押下操作で選択内容を決定するという使い方が可能となる。なお、かかる操作ノブ8の押下操作時にラバーシート7のドーム形状部7aが操作ノブ8に押し撓められて座屈変形するため、ドーム形状部7aからクリック感が生起され、このクリック感によって操作者は押圧操作が確実に行われたことを手指で感得することができる。
【0023】
この後、操作者が操作ノブ8に対する押下操作力を取り除くと、板ばね9の付勢力とドーム形状部7aの弾性力とによって操作ノブ8は元の高さ位置まで押し上げられるため、押下操作前の状態に自動復帰する。なお、操作ノブ8をスライド操作していない初期位置(図1〜図3の状態)において押下操作した場合の動作も上記と同様である。
【0024】
以上説明したように本実施形態例に係る力覚付与型入力装置においては、操作者が操作ノブ8をスライド操作することにより、スライダ6を介して操作レバー2を傾動させることができるため、操作レバー2の傾動角度に拘らず、操作ノブ8をスライド移動方向と直交する向きに押下操作することができ、操作ノブ8が押下操作されたか否かを押下操作検出手段20にて検出することができる。したがって、操作レバー2を傾動させる操作とプランジャ21を下動させる操作とが、操作ノブ8を介して連続的に円滑に行えることとなり、良好な操作性が期待できる。また、押下操作検出手段20の構成要素であるプランジャ21や検出スイッチ22を支持基台1上で揺動させることなく安定した姿勢に保持できるため、検出スイッチ22の配線の引き回しは複雑化せず断線等も回避しやすい。
【0025】
また、本実施形態例においては、操作ノブ8の押下操作時にプランジャ21を押し込む押圧駆動部8aが、スライダ6のスライド移動方向と平行に延在してプランジャ21に常時当接可能な大きさの駆動平坦面8bを有しているため、操作ノブ8の押下操作に必要な作動力が該操作ノブ8やスライダ6のスライド位置によってばらつく虞がない。しかも、操作ノブ8の押下操作時にはドーム形状部7aがクリック感を生起し、かつ、押下操作後にその操作力を取り除くと、板ばね9とドーム形状部7aとが協働して操作ノブ8を元の高さ位置まで押し上げるため自動復帰も確実である。したがって、こうした点からも押下操作しやすい力覚付与型入力装置となっている。
【0026】
また、本実施形態例においては、操作ノブ8をスライド操作したときにスライダ6の外側面6eがホルダ5のストッパ部5eに直接当接しないようにするため、ラバーシート7にスライダ6の外側面6eと重なり合う舌片状の衝撃吸収部7bが延設してある。それゆえ、この衝撃吸収部7bの緩衝効果によって、操作ノブ8のスライド操作時に懸念される衝撃や異音の発生が大幅に軽減されている。しかも、ドーム形状部7aを有するラバーシート7の一部に衝撃吸収部7bが設けられているので、緩衝効果を付加しても部品点数が増加することはない。さらに、ラバーシート7にスリット7cが形成されているため、衝撃吸収部7bがストッパ部5eに衝突して弾性変形してもドーム形状部7aに悪影響が及ぶことはない。このようにドーム形状部7aや衝撃吸収部7bを有するラバーシート7を用いると、力覚付与型入力装置の部品コストや組立コストが低減できるため好ましい。
【0027】
なお、上記の第1実施形態例では、スライド操作方向が一次元の力覚付与型入力装置に押下操作検出手段を設けた場合について説明したが、スライド操作方向が二次元であっても同様の押下操作検出手段を設けることはできる。
【0028】
例えば、図6に示す本発明の第2実施形態例においては、支持基台1の内部に、回転モータ3や傾動操作検出手段10と同様に組み合わされた回転モータ13や傾動操作検出手段14が収納されており、回転モータ3の回転軸にはギヤ15が固着され、回転モータ13の回転軸にはギヤ16が固着されている。また、支持基台1の内部には駆動体16を介して操作レバー2に回転駆動される駆動レバー17,18が収納されており、これら駆動レバー17,18はギヤ15,16にそれぞれ噛合している。回転モータ3,13の各回転軸は互いに直交しており、一方の駆動レバー17は回転モータ3の回転軸と平行な軸17aを中心に回転可能であり、他方の駆動レバー18は回転モータ13の回転軸と平行な軸18aを中心に回転可能である。そして、操作レバー2が図6の左右方向へ傾動すると、駆動レバー18は回転しないが駆動レバー17が回転駆動されてギヤ15を回転させるため、傾動操作検出手段10の検知信号に基づいて制御部(図示せず)が操作レバー2の傾動方向と傾動角度を演算し、この制御部からの制御信号で回転モータ3が駆動されて操作レバー2に所要の力覚が付与されるようになっている。また、操作レバー2が図6の上下方向へ傾動すると、駆動レバー17は回転しないが駆動レバー18が回転駆動されてギヤ16を回転させるため、傾動操作検出手段14の検知信号に基づいて制御部が操作レバー2の傾動方向と傾動角度を演算し、この制御部からの制御信号で回転モータ13が駆動されて操作レバー2に所要の力覚が付与されるようになっている。
【0029】
したがって、この第2実施形態例においても、前述した第1実施形態例と同様に、操作レバー2の上端部をスライダの底面側の凹部に摺動自在に挿入し、このスライダに操作ノブを昇降可能に装着しておけば、操作ノブを介してスライダを二次元の面内でスライド移動させることによって操作レバー2が傾動し、スライド移動方向に応じて駆動レバー17や駆動レバー18を回転させることができる。そのため、操作ノブやスライダのスライド位置に拘らず、操作ノブを下方へ押し込んでプランジャを所定ストローク下動させるという押下操作を常に円滑に行うことが可能となる。ただし、この第2実施形態例のように、操作ノブやスライダを二次元の面内でスライド移動させる場合には、前記ガイド溝は不要であり、ラバーシートの衝撃吸収部はスライド移動方向すべてに延設しておくことが好ましい。
【符号の説明】
【0030】
1 支持基台
2 操作レバー
3,13 回転モータ
4 取付部材
5 ホルダ
5e ストッパ部
6 スライダ
6c 凹部(動作変換部)
6e 外側面
7 ラバーシート
7a ドーム形状部
7b 衝撃吸収部
7c スリット
8 操作ノブ
8a 押圧駆動部
8b 駆動平坦面
9 板ばね
10,14 傾動操作検出手段
11 コード板
12 フォトインタラプタ
15,16 ギヤ
17,18 駆動レバー
20 押下操作検出手段
21 プランジャ
22 検出スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ノブを介して傾動操作される操作レバーと、この操作レバーを傾動可能に支持する支持基台と、前記操作レバーを傾動させる外力を生起する回転モータと、前記操作レバーの傾動を検出する検出手段とを備え、前記検出手段の出力信号に基づいて前記回転モータの駆動を制御することにより前記操作レバーに力覚を付与するようにした力覚付与型入力装置であって、
前記操作レバーの傾動をスライド方向に変換する動作変換部を有して前記支持基台上にスライド移動可能に搭載されたスライダと、前記支持基台に保持された押下操作検出手段とを備え、
前記操作ノブが前記スライダに昇降可能に装着されていると共に、この操作ノブに前記スライダのスライド移動方向に沿って突出する押圧駆動部が設けられており、前記操作ノブの押圧操作に伴う前記押圧駆動部の昇降動作が前記押下操作検出手段によって検出されるようにしたことを特徴とする力覚付与型入力装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記押下操作検出手段が、前記押圧駆動部に当接する方向へ弾性付勢された昇降可能なプランジャと、このプランジャの昇降動作を検出する検出スイッチとを備えており、前記押圧駆動部が、前記スライダのスライド移動方向と平行に延在して前記プランジャに常時当接する駆動平坦面を有していることを特徴とする力覚付与型入力装置。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記操作ノブと前記スライダとの間に弾性クリック部材が介設されていることを特徴とする力覚付与型入力装置。
【請求項4】
請求項3の記載において、前記弾性クリック部材がドーム形状部を有するラバーシートからなることを特徴とする力覚付与型入力装置。
【請求項5】
請求項4の記載において、前記ラバーシートの一部を前記スライダの外側部と重なり合う位置まで延出させて衝撃吸収部となしたことを特徴とする力覚付与型入力装置。
【請求項6】
請求項5の記載において、前記衝撃吸収部と前記ラバーシートの残余の部分との間にスリットを設けたことを特徴とする力覚付与型入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−28637(P2011−28637A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175502(P2009−175502)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】