加圧ガス導入装置、及び、中空部を有する成形品の射出成形方法
【課題】中空部の形成のために必要とされる一定圧力の加圧ガスを確実に導入することを可能にし、しかも、簡素な構造を有する加圧ガス導入装置を提供する。
【解決手段】加圧ガス導入装置は、加圧ガス供給源10と、加圧ガス計量部20と、加圧ガス供給源10から加圧ガス計量部20に加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路30と、加圧ガス計量部20から金型に設けられたキャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路32と、加圧ガス計量部20と第1加圧ガス供給路30との間に配置された加圧ガス供給弁31と、加圧ガス計量部20と第2加圧ガス供給路32との間に配置された加圧ガス排出制御弁33から構成され、加圧ガス計量部20は配管から成る。
【解決手段】加圧ガス導入装置は、加圧ガス供給源10と、加圧ガス計量部20と、加圧ガス供給源10から加圧ガス計量部20に加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路30と、加圧ガス計量部20から金型に設けられたキャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路32と、加圧ガス計量部20と第1加圧ガス供給路30との間に配置された加圧ガス供給弁31と、加圧ガス計量部20と第2加圧ガス供給路32との間に配置された加圧ガス排出制御弁33から構成され、加圧ガス計量部20は配管から成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧ガス導入装置、及び、かかる加圧ガス導入装置を使用した中空部を有する成形品の射出成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形法に基づき、金型に設けられたキャビティ内に射出された溶融樹脂内に加圧ガスを導入して、中空部を有する成形品を製造する従来の方法(以下、ガスインジェクション法と呼ぶ場合がある)において、キャビティ内に射出された溶融樹脂内に加圧ガスを導入する方法として、次の2つの方法が知られている。
【0003】
第1の方法にあっては、ピストン及び一定容量を有するシリンダーから成るピストン式コンプレッサーを使用して、1回の射出成形に必要なガス量(圧力と容積)を予めシリンダー内で計量する。射出成形に際しては、予めシリンダー内で計量して蓄えておいたガスを、シリンダー内のピストンの移動によって圧縮しながらキャビティ内の溶融樹脂内に導入して、成形品の内部に中空部を形成する。その後、ピストン位置をそのままの状態に保持して、中空部内部のガス圧力を保持する。このような方法を、以下、計量方式と呼ぶ。かかる計量方式が、例えば、特開昭60−24913号公報に開示されている。
【0004】
第2の方法にあっては、ガス源のガスを圧縮器で予め高圧に昇圧して、大容量の圧力容器に蓄えておき、射出成形に際しては、圧力容器の吐出側に設置された吐出弁や圧力調整弁等を介して、圧力容器内のガスをキャビティ内の溶融樹脂内に導入する。このような方法を、以下、定圧方式と呼ぶ。かかる定圧方式は、例えば、特開平1−128814号公報に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開昭60−24913号
【特許文献2】特開平1−128814号
【特許文献3】特開2004−42648
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術は、以下の問題点を有している。
【0007】
(1)計量方式の問題点
(1−1)シリンダーの容積は一定である。それ故、成形品の中空部の容積が大きい場合、最大ガス量を計量したとしても、所望の中空部の形成に必要とされるガス圧力を発生することができない場合がある。このような場合、品質良好なる成形品を得ることができない。
(1−2)溶融樹脂内に導入すべきガス量が多い場合、計量時、シリンダーに供給すべきガスの圧力を高める必要がある。しかしながら、多くの場合、ガス源としてガスボンベを使用するので、ガスボンベの消費効率が悪化する。即ち、ガスボンベの圧力が低下した場合には、それ以上ガスボンベを使用することができない。
(1−3)成形品に形成すべき中空部の容積が大きい場合、シリンダーの容積を大きくし、溶融樹脂内へ導入すべきガス量を多くする必要がある。それ故、中空部の容積に依存して、異なる能力のガス圧縮装置を用意しなければならないことがある。
(1−4)成形品に形成すべき中空部の容積が小さい場合、計量したガスの一部が無駄になり、経済性を悪化させる。
(1−5)1回の圧縮工程でガスを昇圧するため、圧縮比が大きくなる。従って、ピストン径、シリンダー内径、ピストンストロークを、1回の射出成形に必要な大きさに設計する必要がある。その結果、ガス圧縮装置の大型化をもたらし、高圧ガスのシール構造が複雑になり、しかも、ガス圧縮装置の製作費が高額になる。また、ピストンを作動させるための消費するエネルギーが大きい。
【0008】
(2) 定圧方式の問題点
(2−1)圧力容器内のガスの圧力を、キャビティ内の溶融樹脂に負荷するガスの圧力より高圧にする必要があるため、エネルギー効率が悪い。
(2−2)圧力容器内のガス圧力が常時高圧に保持されるため、圧力容器の爆発の危険性がある。
(2−3)キャビティ内の溶融樹脂内へガスを導入した後、形成された中空部からガスが外部に漏れ出した場合、圧力容器内の大量のガスが金型周辺に漂い、作業員への危険が危惧される。また、ガスインジェクション法では、通常、ガスとして窒素ガスが用いられる。それ故、作業雰囲気の窒素ガス濃度が急激に上昇した場合、作業員に対し酸欠状態を引き起こす危険性がある。
(2−4)安定して、一定量のガスをキャビティ内の溶融樹脂中に導入することが、困難な場合が多い。
【0009】
このような問題点を解決するための手段を、本出願人は、特開2004−42648にて提案した。この特開2004−42648に開示された、例えば、加圧ガス導入装置は、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の計量タンクと、
(C)該加圧ガス供給源から各計量タンクに加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路と、
(D)第1加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス供給弁と、
(E)各計量タンクから前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路と、
(F)各第2加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス排出制御弁、
から構成され、
成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき計量タンクの組合せを決定し、かかる決定に基づき各第2加圧ガス供給路に配置された加圧ガス排出制御弁の開閉を制御することを特徴とする。
【0010】
この特開2004−42648に開示された加圧ガス導入装置は、優れた加圧ガス導入装置であるが、計量タンクを高圧容器仕様とする必要があるため、計量タンクの作製コストが高く、保守に費用がかかる。また、計量タンクの仕様等が変更された場合には、新たに計量タンクを作製しなければならない。更には、計量タンクの設置スペースが必要とされる。
【0011】
従って、本発明の目的は、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形するに際して、中空部の形成のために必要とされる一定体積の加圧ガスを確実に導入することを可能にし、しかも、簡素な構造を有し、高圧容器仕様の計量タンクを使用することを必要としない加圧ガス導入装置、並びに、かかる加圧ガス導入装置を使用した中空部を有する成形品の射出成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る加圧ガス導入装置は、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源から加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路と、
(D)加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路と、
(E)加圧ガス計量部と第1加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給弁と、
(F)加圧ガス計量部と第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス排出制御弁、
から構成され、
加圧ガス計量部は、配管から成ることを特徴とする。
【0013】
本発明の第1の態様に係る加圧ガス導入装置において、加圧ガス計量部は1本の配管から成る構成とすることができるし、あるいは又、加圧ガス計量部はM本(但し、M≧2)の配管から成り、各配管の間には接続制御弁が配設されている構成とすることができる。
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る加圧ガス導入装置は、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路と、
(D)各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路と、
(E)各加圧ガス計量部と各第1加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給弁と、
(F)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス排出制御弁、
から構成され、
各加圧ガス計量部は、配管から成ることを特徴とする。
【0015】
本発明の第2の態様に係る加圧ガス導入装置において、各加圧ガス計量部は1本の配管から成る構成とすることができるし、あるいは又、各加圧ガス計量部はM本(但し、M≧2)の配管から成り、各配管の間には接続制御弁が配設されている構成とすることができる。
【0016】
上記の好ましい構成を含む本発明の第2の態様に係る加圧ガス導入装置においては、成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを決定し、かかる決定に基づき各加圧ガス排出制御弁の開閉を制御する構成とすることができる。
【0017】
更には、上記の各種好ましい構成を含む本発明の第2の態様に係る加圧ガス導入装置においては、加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間、若しくは、第1加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている構成とすることができ、これによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの圧力の最適化を図ることができるし、加圧ガスの効率的な使用を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて高圧の加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的低圧の加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。上記の各種好ましい構成を含む本発明の第1の態様に係る加圧ガス導入装置においても、同様とすることが好ましい。
【0018】
更には、上記の各種好ましい構成を含む本発明の第2の態様に係る加圧ガス導入装置においては、加圧ガス供給弁と加圧ガス供給源との間の第1加圧ガス供給路に、加圧ガス計量部の合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンクが配置されている構成とすることができ、これによって、各加圧ガス計量部への加圧ガスの供給を一層安定化することができる。そして、この場合、加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間、若しくは、加圧ガス蓄積タンクと加圧ガス計量部との間の第1加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている構成とすることもできる。これによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの圧力の最適化を図ることができるし、加圧ガスの効率的な使用を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて高圧の加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的低圧の加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。
【0019】
これらの各種の形態を含む本発明の第2の態様に係る加圧ガス導入装置においては、各第2加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に流量調整弁が配置されている構成とすることができる。これによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの導入速度の最適化を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて低速にて加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的高速にて加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。上記の各種好ましい構成を含む本発明の第1の態様に係る加圧ガス導入装置においても、同様とすることが好ましい。
【0020】
これらの各種の形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る加圧ガス導入装置においては、加圧ガス排出制御弁と加圧ガス供給弁とは、同時に開状態とはならない構成を採用することが望ましい。これによって、各加圧ガス計量部に、所定圧力の加圧ガスを確実に供給することができる。
【0021】
また、これらの各種の形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る加圧ガス導入装置においては、各加圧ガス排出制御弁は、同時に開状態となってもよいし、同時には開状態とならなくともよい(即ち、各加圧ガス排出制御弁を、順次、開状態とする)。要は、各加圧ガス計量部の容積、各加圧ガス計量部内の加圧ガス圧力、形成すべき中空部の容積等に基づき、どのような構成とするかを決定すればよい。
【0022】
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る加圧ガス導入装置は、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源に接続された第1加圧ガス供給路と、
(D)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該加圧ガス供給源から加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第2加圧ガス供給路と、
(E)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該第2加圧ガス供給路と連通し、加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第3加圧ガス供給路と、
(F)第1加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス供給弁と、
(G)加圧ガス計量部と第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給・排出制御弁と、
(H)第3加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス排出弁、
から構成され、
加圧ガス計量部は、配管から成ることを特徴とする。
【0023】
本発明の第3の態様に係る加圧ガス導入装置において、加圧ガス計量部は1本の配管から成る構成とすることができるし、あるいは又、加圧ガス計量部はM本(但し、M≧2)の配管から成り、各配管の間には接続制御弁が配設されている構成とすることができる。
【0024】
上記の目的を達成するための本発明の第4の態様に係る加圧ガス導入装置は、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源に接続された第1加圧ガス供給路と、
(D)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該加圧ガス供給源から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第2加圧ガス供給路と、
(E)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該第2加圧ガス供給路と連通し、各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第3加圧ガス供給路と、
(F)第1加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス供給弁と、
(G)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給・排出制御弁と、
(H)第3加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス排出弁、
から構成され、
各加圧ガス計量部は、配管から成ることを特徴とする。
【0025】
本発明の第4の態様に係る加圧ガス導入装置において、各加圧ガス計量部は1本の配管から成る構成とすることができるし、あるいは又、各加圧ガス計量部はM本(但し、M≧2)の配管から成り、各配管の間には接続制御弁が配設されている構成とすることができる。
【0026】
上記の好ましい構成を含む本発明の第4の態様に係る加圧ガス導入装置においては、成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを決定し、かかる決定に基づき各加圧ガス供給・排出制御弁の開閉を制御する構成とすることができる。
【0027】
更には、上記の各種好ましい構成を含む本発明の第4の態様に係る加圧ガス導入装置においては、加圧ガス供給弁と加圧ガス供給源との間の第1加圧ガス供給路に、加圧ガス計量部の合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンクが配置されている構成とすることができ、これによって、各加圧ガス計量部への加圧ガスの供給を一層安定化することができる。
【0028】
上記の形態を含む本発明の第4の態様に係る加圧ガス導入装置においては、各第2加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている構成とすることもできる。これによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの圧力の最適化を図ることができるし、加圧ガスの効率的な使用を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて高圧の加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的低圧の加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。あるいは又、各第2加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に流量調整弁が配置されている構成とすることができる。これによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの導入速度の最適化を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて低速にて加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的高速にて加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。上記の各種好ましい構成を含む本発明の第3の態様に係る加圧ガス導入装置においても、同様とすることが好ましい。
【0029】
上記の形態を含む本発明の第3の態様あるいは第4の態様に係る加圧ガス導入装置においては、加圧ガス供給弁を開状態とするとき、加圧ガス排出弁は閉状態にある構成を採用することが望ましい。これによって、各加圧ガス計量部に、所定圧力の加圧ガスを確実に供給することができる。
【0030】
また、これらの各種の形態を含む本発明の第4の態様に係る加圧ガス導入装置においては、各加圧ガス供給・排出制御弁は、同時に開状態となってもよいし、各加圧ガス供給・排出制御弁は、同時には開状態とならなくともよい(即ち、各加圧ガス供給・排出制御弁を、順次、開状態とする)。要は、各加圧ガス計量部の容積、各加圧ガス計量部内の加圧ガス圧力、形成すべき中空部の容積等に基づき、どのような構成とするかを決定すればよい。
【0031】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法は、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路と、
(D)各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路と、
(E)各加圧ガス計量部と各第1加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給弁と、
(F)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス排出制御弁、
から構成され、
加圧ガス計量部が配管から成る加圧ガス導入装置を使用し、
成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを予め決定しておき、
加圧ガス排出制御弁を閉状態とし、加圧ガス供給弁を開状態として、該組合わされた各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給した後、若しくは、加圧ガスの供給途中で、加圧ガス供給弁を閉状態とし、
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、
前記決定に基づき各加圧ガス排出制御弁を開状態として、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を形成することを特徴とする。
【0032】
本発明の第1の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法(以下、本発明の第1の態様に係る射出成形方法と呼ぶ)においては、各加圧ガス排出制御弁を同時に開状態としてもよいし、各加圧ガス排出制御弁を同時には開状態としなくともよい(即ち、各加圧ガス排出制御弁を、順次、開状態とする)。要は、各加圧ガス計量部の容積、各加圧ガス計量部内の加圧ガス圧力、形成すべき中空部の容積等に基づき、どのような構成とするかを決定すればよい。
【0033】
上記の各種の形態を含む本発明の第1の態様に係る射出成形方法においては、加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間、若しくは、第1加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することができる。
【0034】
あるいは又、加圧ガス供給弁と加圧ガス供給源との間の第1加圧ガス供給路に、加圧ガス計量部の合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンクが配置されている加圧ガス導入装置を使用することができる。そして、この場合、加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間、若しくは、加圧ガス蓄積タンクと加圧ガス計量部との間の第1加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することができる。
【0035】
更には、各第2加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に流量調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することもできる。
【0036】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法は、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源に接続された第1加圧ガス供給路と、
(D)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該加圧ガス供給源から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第2加圧ガス供給路と、
(E)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該第2加圧ガス供給路と連通し、各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第3加圧ガス供給路と、
(F)第1加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス供給弁と、
(G)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給・排出制御弁と、
(H)第3加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス排出弁、
から構成され、
加圧ガス計量部が配管から成る加圧ガス導入装置を使用し、
成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを予め決定しておき、
加圧ガス排出弁を閉状態とし、加圧ガス供給・排出制御弁及び加圧ガス供給弁を開状態として、該組合わされた各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給した後、若しくは、加圧ガスの供給途中で、加圧ガス供給・排出制御弁及び加圧ガス供給弁を閉状態とし、
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、
前記決定に基づき各加圧ガス供給・排出制御弁を開状態とし、且つ、加圧ガス排出弁を開状態として、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を形成することを特徴とする、中空部を有する。
【0037】
本発明の第2の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法(以下、本発明の第2の態様に係る射出成形方法と呼ぶ)においては、各加圧ガス供給・排出制御弁を、同時に開状態としてもよいし、各加圧ガス供給・排出制御弁を同時には開状態としなくともよい(即ち、各加圧ガス供給・排出制御弁を、順次、開状態とする)。要は、各加圧ガス計量部の容積、各加圧ガス計量部内の加圧ガス圧力、形成すべき中空部の容積等に基づき、どのような構成とするかを決定すればよい。
【0038】
上記の各種の形態を含む本発明の第2の態様に係る射出成形方法においては、加圧ガス供給弁と加圧ガス供給源との間の第1加圧ガス供給路に、加圧ガス計量部の合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンクが配置されている加圧ガス導入装置を使用することができる。そして、この場合、各第2加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することができる。更には、各第2加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に流量調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することができる。
【0039】
以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様〜第4の態様に係る加圧ガス導入装置、あるいは又、本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る射出成形方法にあっては、加圧ガスとして、常温でガス状の物質を使用することができるし、高圧下で液化したガスも使用可能である。具体的には、加圧窒素ガス、加圧二酸化炭素ガス、加圧空気、加圧ヘリウムガスを例示することができる。
【0040】
本発明の第2の態様に係る加圧ガス導入装置、あるいは又、本発明の第1の態様に係る射出成形方法にあっては、加圧ガス計量部の数をN(N≧2)としたとき、加圧ガス供給源(あるいは加圧ガス蓄積タンク)と加圧ガス計量部とを結ぶ第1加圧ガス供給路の数をNとしてもよいし、加圧ガス供給源(あるいは加圧ガス蓄積タンク)から1本の第1加圧ガス供給路を延ばし、途中でN本の第1加圧ガス供給路に分岐させてもよい。加圧ガス供給弁は、N本の第1加圧ガス供給路とN個の加圧ガス計量部の組において、第1加圧ガス供給路と加圧ガス計量部との間に配設されている。また、圧力調整弁は、前者の場合、N本の第1加圧ガス供給路に配置すればよいし、後者の場合、分岐したN本の第1加圧ガス供給路に配置すればよいし、あるいは又、加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間に配置すればよい。N本の第2加圧ガス供給路は、N個の加圧ガス計量部から延び、1本の第2加圧ガス供給路に纏められ、加圧ガス導入ノズルに接続される。加圧ガス導入ノズルは、金型に配置されている。加圧ガス導入ノズルは、キャビティに開口していてもよいし、ゲート部に開口していてもよいし、射出成形機に備えられた射出用シリンダーとキャビティとを結ぶ樹脂流路に開口していてもよいし、射出用シリンダーの先端部に開口していてもよい。加圧ガス排出制御弁は、N本の第2加圧ガス供給路とN個の加圧ガス計量部の組において、第2加圧ガス供給路と加圧ガス計量部との間に配設されている。
【0041】
本発明の第4の態様に係る加圧ガス導入装置、あるいは又、本発明の第2の態様に係る射出成形方法にあっては、第1加圧ガス供給路の末端に接続された第2加圧ガス供給路の数をN本としてもよいし、第1加圧ガス供給路の末端に接続された第2加圧ガス供給路の数を1本とし、途中でN本の第2加圧ガス供給路に分岐させてもよい。加圧ガス供給・排出制御弁は、N本の第2加圧ガス供給路とN個の加圧ガス計量部の組において、第2加圧ガス供給路と加圧ガス計量部との間に配設されている。また、圧力調整弁、流量調整弁は、前者の場合、N本の第2加圧ガス供給路に配置すればよいし、後者の場合、分岐したN本の第2加圧ガス供給路に配置すればよい。第1加圧ガス供給路の末端に接続された第3加圧ガス供給路の数は1本とすることが、構成の簡素化といった観点から好ましい。第3加圧ガス供給路は加圧ガス導入ノズルに接続される。加圧ガス導入ノズルは、金型に配置されている。加圧ガス導入ノズルは、キャビティに開口していてもよいし、ゲート部に開口していてもよいし、射出成形機に備えられた射出用シリンダーとキャビティとを結ぶ樹脂流路に開口していてもよいし、射出用シリンダーの先端部に開口していてもよい。
【0042】
各加圧ガス計量部の容積、数(1、M、N、あるいは、N×M)は、形成すべき中空部の容積に基づき、適宜、決定すればよい。各加圧ガス計量部の容積(V)は同じであってもよいし、異なっていてもよい。後者の場合、最も容積の小さい加圧ガス計量部の容積をV0としたとき、第n番目(n=2,3・・・,N)の加圧ガス計量部の容積Vnは、2(n-1)V0を満足することが、構成の簡素化といった観点から好ましいが、これに限定するものではない。
【0043】
本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る射出成形方法にあっては、金型に設けられたキャビティ内に射出する溶融樹脂の量は、キャビティを完全に満たす量であってもよいし(所謂、フルショット法の採用)、キャビティを完全には満たさない量であってもよい(所謂、ショートショット法の採用)。キャビティ内の溶融樹脂内への加圧ガスの導入開始の時点は、キャビティ内への溶融樹脂の射出中であってもよいし、射出完了と同時であってもよいし、射出完了から一定時間経過後であってもよい。
【0044】
加圧ガス計量部を構成する配管(以下、便宜上、計量配管と呼ぶ場合がある)として、具体的には、JIS G3454−1988に規定された圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG370,STPG410)、JIS G3455−1988に規定された高圧配管用炭素鋼鋼管(STS370,STS410,STS480)、JIS G3456−2004に規定された高温配管用炭素鋼鋼管(STPT370,STPT410,STPT480)、JIS G3458−1988に規定された配管用合金鋼鋼管(STPA12,STPA20,STPA22,STPA23,STPA24,STPA25,STPA26)、JIS G3459−2004に規定された配管用ステンレス鋼管に規定されたもの、あるいは、これらのJIS規格類似の外国規格である、ASTM A155、BS 778、DIN 9871、又は、API 5L等に規定されたものを用いればよい。計量配管の材質、内径、外径、長さ等の仕様は、上記の規格に則り、しかも、計量配管に要求される仕様に基づき、決定すればよい。計量配管の内容積として10cm2以上、計量配管の内径として10mm以下を例示することができるが、これに限定するものではない。あるいは又、計量配管とは、内径が0.1mm乃至30mmであり、外径が1mm乃至50mmであるものを指す。
【0045】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様〜第4の態様に係る加圧ガス導入装置、及び、本発明の第1の態様〜第2の態様に係る射出成形方法(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)において、金型、加圧ガス供給源、加圧ガス蓄積タンク、第1加圧ガス供給路、第2加圧ガス供給路、第3加圧ガス供給路、加圧ガス供給弁、加圧ガス排出制御弁、加圧ガス供給・排出制御弁、加圧ガス排出弁、圧力調整弁、流量調整弁、接続制御弁は、周知の構成、構造とすることができる。また、加圧ガス供給弁、加圧ガス排出制御弁、加圧ガス供給・排出制御弁、加圧ガス排出弁、圧力調整弁、流量調整弁、接続制御弁の制御も、周知の制御装置を用いればよい。
【0046】
本発明において、各配管の間に接続制御弁が配設されている構成とする場合、配管と接続制御弁とを直接的に接続してもよいし、第1接続路と第2接続路とを準備し、第1接続路と第2接続路との間に接続制御弁を配設し、配管と第1接続路、配管と第2接続路とをフランジ等を用いて接続してもよい。また、本発明における1本の配管には、継手等で結合(連結)された配管も含まれる。
【0047】
本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る射出成形方法での使用に適した樹脂として、結晶性熱可塑性樹脂や非晶性熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;ポリオキシメチレン(ポリアセタール,POM)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂;メタクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;液晶ポリマーを例示することができる。
【0048】
更には、ポリマーアロイ材料から成る熱可塑性樹脂を用いることができる。ここで、ポリマーアロイ材料は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたもの、又は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を化学的に結合させたブロック共重合体若しくはグラフト共重合体から成る。ポリマーアロイ材料は、単独の熱可塑性樹脂のそれぞれが有する特有な性能を合わせ持つことができる高機能材料として広く使用されている。少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料を構成する熱可塑性樹脂として、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;メタクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;変性PPE樹脂;ポリブチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂を挙げることができる。2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのポリマーアロイ材料を例示することができる。尚、このような樹脂の組合せを、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂と表記する。以下においても同様である。更に、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、ポリカーボネート樹脂/PET樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂、ポリカーボネート樹脂/ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂/PET樹脂、変性PPE樹脂/HIPS樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミド系樹脂、変性PPE樹脂/PBT樹脂/PET樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミドMXD6樹脂、ポリオキシメチレン樹脂/ポリウレタン樹脂、PBT樹脂/PET樹脂を例示することができる。
【0049】
尚、以上に説明した各種の熱可塑性樹脂に、添加剤や、充填剤、強化剤を加えることもできる。
【0050】
尚、添加剤として、可塑剤;安定剤;酸化防止剤:紫外線吸収剤;ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド等の有機ニッケル化合物、ヒンダードアミン系化合物等の紫外線安定剤;帯電防止剤;難燃剤;バイナジン、プリベントール、チアベンダゾール等の防かび剤;流動パラフィン、ポリエチレンワックス、脂肪酸アマイド等の滑剤;ADCA等の有機発泡剤;透明核剤;有機顔料、無機顔料といった各種の着色剤;架橋剤;アクリルグラフトポリマー、MBS等の耐衝撃強化剤を挙げることができる。
【0051】
可塑剤として、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル等のフタル酸類;リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリクレシル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル類;オレイン酸ブチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸−n−ヘキシン、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル等の脂肪酸塩基エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート等のアルコールエステル類;クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸ジブチル等のオキシ酸エステル類;トリメリット系可塑剤;ポリエステル系可塑剤;エポキシ系;塩化パラフィン系可塑剤を挙げることができる。
【0052】
安定剤として、ジ−n−オクチルスズ化合物、ジ−n−ブチルスズ化合物、ジメチルスズ化合物等の有機スズ系安定剤;三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、ケイ酸鉛等の鉛化合物系安定剤;カドミウム石けん、鉛石けん、亜鉛石けん等の金属石けん系安定剤;リン酸トリスノニル;リン酸トリスノニルフェニル等を挙げることができる。
【0053】
酸化防止剤として、ジブチルクレゾール、ブチルヒドロキシアニソール等のフェノール系酸化防止剤;メチレンビス(メチルブチルフェノール)、チオビス(メチルブチルフェノール)等のビスフェノール系酸化防止剤;トリス(メチルヒドロキシブチルフェニル)ブタン、トコフェノール等のポリフェノール系酸化防止剤;ジミリスチルチオジプロピオネート等の有機イオウ化合物;トリス(モノ/ジノニルフェニル)ホスファイト等の有機リン化合物を挙げることができる。
【0054】
紫外線吸収剤として、サリチル酸フェニル、サリチル酸ブチルフェニル等のサリチル酸系紫外線吸収剤;ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;(ヒドロキシメチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;アクリル酸エチルヘキシルシアノジフェノニル等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0055】
帯電防止剤として、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミン、ポリ(オキシエチレン)アルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤系帯電防止剤;アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等の陰イオン界面活性剤系帯電防止剤;第4級アンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤系帯電防止剤;両性系界面活性剤;電導性樹脂を挙げることができる。
【0056】
難燃剤として、テトラブロモビスフェノールA、ポリブロモビフェノール、ビス(ヒドロキシジブロモフェニル)プロパン、塩化パラフィン等のハロゲン系難燃剤;リン酸アンモニウム、リン酸トリクレジル等のリン系難燃剤;三酸化アンチモン;赤リン;酸化スズ等を挙げることができる。
【0057】
また、充填剤、強化剤として、無機系材料;ステンレス鋼繊維、高強度アモルファス金属繊維、ステンレス箔、スチール箔、銅箔等の金属系材料;高分子ポリエチレン繊維、高強力ポリアレート繊維、パラ系全芳香族ポリアミド繊維、アラミド繊維、PEEK繊維、PEI繊維、PPS繊維、フッ素樹脂繊維、フェノール樹脂繊維、ビニロン繊維、ポリアセタール繊維等の有機系材料;粉系を挙げることができる。
【0058】
無機系の充填剤、強化剤として、ガラス繊維、ガラス長繊維、石英ガラス繊維等のガラス系材料;PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、グラファイトウィスカ等の炭素系材料;炭化ケイ素繊維、炭化ケイ素連続繊維、炭化ケイ素ウィスカ、炭化ケイ素ウィスカシート等の炭化ケイ素系材料;ボロン繊維といったボロン系材料;Si−Ti−C−O繊維といったSi−Ti−C−O系材料;チタン酸カリウム繊維、チタン酸カリウムウィスカ、チタン酸カリウム系導電性ウィスカ等のチタン酸カリウム系材料;窒化ケイ素ウィスカ、窒化ケイ素ウィスカシート等の窒化ケイ素系材料;硫酸カルシウムウィスカといった硫酸カルシウム系材料を挙げることができる。
【0059】
粉系の充填剤、強化剤として、マイカフレーク、マイカ粉、シラスバルーン、シリカ微粉、タルク粉、水酸化アルミニウム粉、水酸化マグネシウム粉末、マグネシウムシリケート粉末、硫酸カルシウム微粉、球状中空ガラス粉、金属化粉、高純度合成シリカ微粉、二硫化タングステン粉末、タングステンカーバイト粉、ジルコニア微粉、ジルコニア系微粉末、部分安定化ジルコニア粉末、アルミナ-ジルコニア複合粉末、複合金属粉末、鉄粉、アルミニウム粉、モリブデン金属粉、タングステン粉、窒化アルミニウム粉末、ナイロン微粒子粉、シリコーン樹脂微粉末、スピネル粉末、アモルファス合金粉末、アルミフレーク、ガラスフレークを挙げることができる。
【0060】
本発明の第2の態様、第4の態様に係る加圧ガス導入装置、あるいは、本発明の第1の態様、第2の態様に係る射出成形方法において、N個の加圧ガス計量部を用い、成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを決定し、かかる決定に基づき加圧ガスの溶融樹脂内への導入を制御すれば、加圧ガス導入装置の構成、構造が簡素であるにも拘わらず、中空部の形成のために必要とされる一定体積の加圧ガスを確実に導入することが可能となる。
【発明の効果】
【0061】
本発明においては、加圧ガス計量部を配管から構成するので、加圧ガス計量部の製造コストの低減、加圧ガス導入装置の保守費用の低減を図ることができる。また、配管は或る程度、自由に曲げることができるので、加圧ガス計量部の形状を高い自由度にて決定することができ、装置スペースを縮小することができ、スペースの有効利用を図ることができる。しかも、配管の長さや内径を変えることで、加圧ガス計量部の容積を自由に変更できる。また、加圧ガス計量部の製造のためには、配管を在庫しておくだけでよい。しかも、配管抵抗が存在するので、万一、加圧ガス計量部が破損したときでも、急激な圧力開放が生じ難いし、加圧ガス供給時に急激な昇圧が生じ難く、圧力制御精度が高くなる。
【0062】
加えて、本発明の第2の態様、第4の態様に係る加圧ガス導入装置、あるいは、本発明の第1の態様、第2の態様に係る射出成形方法においては、加圧ガス導入装置の構成、構造が簡素であるにも拘わらず、成形品における中空部の形成のために必要とされる一定体積の加圧ガスを、キャビティ内の溶融樹脂中に確実に導入することが可能となる。また、ガスの消費量も最小限で済み、経済的である。更には、成形品の中空部の容積の大小に拘わらず、加圧ガス導入装置を含む1台の射出成形装置で各種の成形品を成形することが可能となる。また、計量方式のようにシリンダーから成るピストン式コンプレッサーを使用することが無いので、保守も容易であるし、消費エネルギーも少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
【実施例1】
【0064】
実施例1は、本発明の第1の態様に係る加圧ガス導入装置に関する。実施例1の加圧ガス導入装置の概念図を、図1の(A)に示す。
【0065】
この実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例19における加圧ガス導入装置は、図示しない金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置である。
【0066】
そして、加圧ガス導入装置は、
(A)加圧ガス供給源10と、
(B)加圧ガス計量部と、
(C)加圧ガス供給源10から加圧ガス計量部に加圧ガス(具体的には、加圧窒素ガス)を供給するための第1加圧ガス供給路30と、
(D)加圧ガス計量部からキャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路32と、
(E)加圧ガス計量部と第1加圧ガス供給路30との間に配置された加圧ガス供給弁31と、
(F)加圧ガス計量部と第2加圧ガス供給路32との間に配置された加圧ガス排出制御弁33、
から構成されている。
【0067】
加圧ガス計量部は、配管(計量配管20)から成る。実施例1にあっては、加圧ガス計量部は1本の計量配管20から構成されている。JIS G3459−2004にて規定された実施例1における計量配管20(材質:SUS 316)の具体的な仕様を、以下の表1に示す。尚、他の実施例においても、計量配管は、このJIS規格に則っている。また、図面においては、計量配管を直線状に描いているが、実際には、ループ状(螺旋状)としている。以下の実施例においても同様である。
【0068】
[表1]
【0069】
尚、加圧ガス供給源10はコンプレッサーから成り、第1加圧ガス供給路30及び第2加圧ガス供給路32は、ステンレス鋼(SUS 316)から成り、加圧ガス供給弁31及び加圧ガス排出制御弁33は周知の電磁弁から成る。
【0070】
また、実施例1にあっては、加圧ガス供給源10から延びる第1加圧ガス供給路30の途中に逆止弁11が配置されている。第2加圧ガス供給路32は、加圧ガスを導入するための加圧ガス導入ノズル(図示せず)に接続されている。ここで、加圧ガス導入ノズルは、金型に配置され、キャビティに開口している。尚、各第2加圧ガス供給路32に、必要に応じて逆止弁を配置しておくことが、加圧ガスの加圧ガス計量部である計量配管20への逆流を防止するといった観点から好ましい。以下に説明する実施例においても同様である。
【0071】
そして、実施例1、あるいは、後述する実施例2から実施例19にあっては、成形品(体積約150cm3)に中空部(体積約40cm3)を形成し、且つ、ひけの無い外観が良好な成形品を得るために加圧ガスを導入する。
【0072】
以下、実施例1の射出成形方法を説明する。
【0073】
[工程−100]
先ず、加圧ガス排出制御弁33を閉状態とし、加圧ガス供給弁31を開状態として、加圧ガス計量部である計量配管20に加圧ガスを供給する。供給完了後、加圧ガス供給弁31を閉状態とする。計量配管20内の加圧ガス(加圧窒素ガス)の圧力を2×107Pa(200kgf/cm2)とした。
【0074】
[工程−110]
この状態で、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。射出条件を、以下の表2に例示する。尚、樹脂として、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製の変性ポリフェニレンエーテル樹脂(商品名:ユピエースAH40)を使用した。以下の実施例2〜実施例19においても、同じ樹脂を使用し、射出条件も表2に例示した射出条件と同様とした。
【0075】
[表2]
樹脂温度:270゜C
金型温度:80゜C
射出時間:6.0秒
射出量 :約110cm3
【0076】
[工程−120]
溶融樹脂の射出完了と同時に、加圧ガス排出制御弁33を開状態とする。これによって、加圧ガス計量部である計量配管20に蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路32及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。
【0077】
[工程−130]
溶融樹脂の射出開始から30秒後に、加圧ガス排出制御弁33を閉状態とし、溶融樹脂の射出開始から35秒後に、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、溶融樹脂の射出開始から60秒後に、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。尚、中空部内の加圧ガスを大気中に放出するためには、例えば、加圧ガス導入ノズルを後退させて、キャビティ内の樹脂と加圧ガス導入ノズルとの間に隙間を設ければよい。
【実施例2】
【0078】
実施例2は、実施例1の変形である。実施例1にあっては、加圧ガス計量部を1本の計量配管から構成した。一方、実施例2にあっては、加圧ガス導入装置の概念図を図1の(B)に示すように、加圧ガス計量部は、M本(但し、M≧2であり、実施例2にあっては2本)の計量配管20a,20bから成り、各計量配管20a,20bの間には接続制御弁38が配設されている。ここで、計量配管20a,20bの具体的な仕様を、上記の表1に示す。尚、実施例2にあっては、加圧ガス計量部を構成する計量配管の数を2個としたが、これに限定するものではない。
【0079】
以上の点を除き、実施例2の加圧ガス導入装置は、実施例1にて説明した加圧ガス導入装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【0080】
このように、加圧ガス計量部をM本の計量配管から構成することで、成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき、下流側から何本の計量配管を使用するかを決定し、加圧ガス計量部の容積を適宜変更することができる。この場合、使用しない計量配管の上流側に接続されている加圧ガス供給弁及び接続制御弁を常に開状態とし、使用する計量配管の一番上流側の弁を加圧ガス供給弁とすればよい。また、各接続制御弁は常に開状態としてもよいし、開閉を制御してもよい。例えば、加圧ガス排出制御弁を開状態にしてから、各接続制御弁を下流側から順次開状態とする。こうして、順次、加圧ガスをキャビティ内の溶融樹脂内に導入することによって、大量の加圧ガスを同時に導入する場合と比較して、加圧ガス導入ノズル近傍の溶融樹脂を吹き飛ばすことなく、安定した加圧ガスの導入を行うことが可能となる。
【0081】
以下、実施例2の射出成形方法を説明する。
【0082】
[工程−200]
先ず、加圧ガス排出制御弁33を閉状態とし、加圧ガス供給弁31及び接続制御弁38を開状態として、加圧ガス計量部である計量配管20a,20bに加圧ガスを供給する。供給完了後、加圧ガス供給弁31を閉状態とする。計量配管20a,20bの加圧ガス(加圧窒素ガス)の圧力を、実施例1と同様とした。
【0083】
[工程−210]
この状態で、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。射出条件を、上記の表2と同様とした。
【0084】
[工程−220]
溶融樹脂の射出完了と同時に、加圧ガス排出制御弁33を開状態とする。これによって、計量配管20a,20bに蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路32及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。
【0085】
[工程−230]
その後、実施例1の[工程−130]と同様にして、加圧ガス排出制御弁33を閉状態とし、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。
【実施例3】
【0086】
実施例3は、本発明の第2の態様に係る加圧ガス導入装置、及び、本発明の第1の態様に係る射出成形方法に関する。実施例3の加圧ガス導入装置の概念図を、図2の(A)に示す。
【0087】
この加圧ガス導入装置も、図示しない金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置である。
【0088】
そして、加圧ガス導入装置は、
(A)加圧ガス供給源10と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)加圧ガス供給源10から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路30と、
(D)各加圧ガス計量部からキャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガス(具体的には、加圧窒素ガス)を導入するための第2加圧ガス供給路32と、
(E)各加圧ガス計量部と各第1加圧ガス供給路30との間に配置された加圧ガス供給弁31A,31B,31Cと、
(F)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路32との間に配置された加圧ガス排出制御弁33A,33B,33C、
から構成されている。
【0089】
そして、各加圧ガス計量部は、1本の配管(計量配管20A,20B,20C)から成る。尚、実施例3、あるいは、後述する実施例5〜実施例10にあっては、加圧ガス計量部(計量配管)の数を3個としたが、これに限定するものではない。
【0090】
実施例3にあっては、加圧ガス供給源10から1本の第1加圧ガス供給路30を延ばし、途中で3本の第1加圧ガス供給路30に分岐させている。加圧ガス供給弁31A,31B,31Cは、分岐した3本の第1加圧ガス供給路30と計量配管20A,20B,20Cとの間に配置されている。加圧ガス供給源10から延びる1本の第1加圧ガス供給路30の途中に逆止弁11が配置されている。3本の第2加圧ガス供給路32が、3個の加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20Cから延び、1本の第2加圧ガス供給路32に纏められ、加圧ガス導入ノズル(図示せず)に接続されている。加圧ガス導入ノズルは、金型に配置され、キャビティに開口している。加圧ガス排出制御弁33A,33B,33Cは、3個の加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20Cと3本の第2加圧ガス供給路32との間に配置されている。尚、各第2加圧ガス供給路32に、必要に応じて逆止弁を配置しておくことが、加圧ガスの加圧ガス計量部への逆流を防止するといった観点から好ましい。
【0091】
最も容積の小さい加圧ガス計量部である計量配管20Aの容積をV0(=50cm3)としたとき、第n番目(n=2,3)の計量配管の容積Vnを、2(n-1)V0とした。計量配管20A,20B,20Cの具体的な仕様を、上記の表1に示す。尚、以下の実施例にあっても、特段に断りの無い限り、計量配管20A,20B,20Cの具体的な仕様を表1に示す仕様とした。
【0092】
実施例3の加圧ガス導入装置にあっては、成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20Cの組合せを決定し、かかる決定に基づき各加圧ガス排出制御弁33A,33B,33Cの開閉を制御する。
【0093】
以下、図3の(A)、(B)及び図4の(A)、(B)を参照して、実施例3の射出成形方法を説明するが、高い圧力の加圧ガスを蓄えた状態の加圧ガス計量部(計量配管)には、クロスハッチングを付し、低い圧力の加圧ガスを蓄えた状態の加圧ガス計量部(計量配管)には、単なるハッチングを付し、使用していない加圧ガス計量部(計量配管)にはハッチングを付していない。尚、射出成形方法を説明する他の図においても同様である。
【0094】
実施例3にあっては、成形品に中空部を形成し、且つ、ひけの無い外観が良好な成形品を得るために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部(計量配管)の組合せを予め決定しておく。具体的には、加圧ガス計量部である計量配管20A及び計量配管20Bを使用する。
【0095】
[工程−300]
先ず、図3の(A)に示すように、加圧ガス排出制御弁33A,33B,33Cを閉状態とし、加圧ガス供給弁31A,31Bを開状態として(計量配管20Cは使用しないので、加圧ガス供給弁31Cは閉状態である)、組合わされた各加圧ガス計量部である計量配管20A,20Bに加圧ガスを供給する。供給完了後、加圧ガス供給弁31A,31Bを閉状態とする(図3の(B)参照)。計量配管20A,20B内の加圧ガス(加圧窒素ガス)の圧力を2×107Pa(200kgf/cm2)とした。
【0096】
[工程−310]
この状態で、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。射出条件は、上記の表2のとおりとした。
【0097】
[工程−320]
溶融樹脂の射出完了と同時に、先の決定に基づき、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを開状態とする。尚、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを同時に開状態とする。この状態を、図4の(A)に示す。これによって、計量配管20A,20Bに蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路32及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。
【0098】
[工程−330]
溶融樹脂の射出開始から30秒後に、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを閉状態とし(図4の(B)参照)、溶融樹脂の射出開始から35秒後に、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、溶融樹脂の射出開始から60秒後に、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。尚、中空部内の加圧ガスを大気中に放出するためには、例えば、加圧ガス導入ノズルを後退させて、キャビティ内の樹脂と加圧ガス導入ノズルとの間に隙間を設ければよい。
【実施例4】
【0099】
実施例4は、実施例3の変形である。実施例3にあっては、各加圧ガス計量部を1本の計量配管から構成した。一方、実施例4にあっては、加圧ガス導入装置の概念図を図2の(B)に示すように、各加圧ガス計量部のぞれぞれは、M本(但し、M≧2であり、実施例4にあっては2本)の計量配管から成り、各配管の間には接続制御弁が配設されている。具体的には、計量配管20Aを構成する計量配管20A1と計量配管20A2との間には接続制御弁38Aが配設されており、計量配管20Bを構成する計量配管20B1と計量配管20B2との間には接続制御弁38Bが配設されており、計量配管20Cを構成する計量配管20C1と計量配管20C2との間には接続制御弁38Cが配設されている。計量配管20A1,20A2,20B1,20B2,20C1,20C2の具体的な仕様を、上記の表1に示す。尚、実施例4にあっては、各加圧ガス計量部を構成する計量配管の数を2個としたが、これに限定するものではない。
【0100】
以上の点を除き、実施例4の加圧ガス導入装置は、実施例3にて説明した加圧ガス導入装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【0101】
実施例4にあっても、成形品に中空部を形成し、且つ、ひけの無い外観が良好な成形品を得るために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部(計量配管)の組合せを予め決定しておく。具体的には、加圧ガス計量部である計量配管20A1,20A2及び計量配管20B1,20B2を使用する。
【0102】
以下、実施例4の射出成形方法を説明する。
【0103】
[工程−400]
先ず、加圧ガス排出制御弁33A,33B,33Cを閉状態とし、加圧ガス供給弁31A,31B、及び、接続制御弁38A,38Bを開状態として(計量配管20Cは使用しないので、加圧ガス供給弁31C、接続制御弁38Cは閉状態である)、組合わされた各加圧ガス計量部である計量配管20A1,20A2,20B1,20B2に加圧ガスを供給する。供給完了後、加圧ガス供給弁31A,31Bを閉状態とする。計量配管20A1,20A2,20B1,20B2内の加圧ガス(加圧窒素ガス)の圧力を2×107Pa(200kgf/cm2)とした。
【0104】
[工程−410]
この状態で、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。射出条件は、上記の表2のとおりとした。
【0105】
[工程−420]
溶融樹脂の射出完了と同時に、先の決定に基づき、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを開状態とする。尚、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを同時に開状態とする。これによって、計量配管20A1,20A2,20B1,20B2に蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路32及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。
【0106】
[工程−430]
その後、実施例3の[工程−330]と同様にして、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを閉状態とし、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。
【実施例5】
【0107】
実施例5は、実施例3の変形である。実施例3においては、[工程−320]において各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを同時に開状態としたが、実施例5においては、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを、同時には開状態としない。即ち、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを、順次、開状態とする。具体的には、溶融樹脂の射出完了と同時に、先の決定に基づき、先ず、加圧ガス排出制御弁33Aを開状態とする(図5の(A)参照)。加圧ガス排出制御弁33Aを開状態としてから、5秒経過後に、加圧ガス排出制御弁33Bを開状態とする(図5の(B)参照)。こうして、順次、加圧ガスをキャビティ内の溶融樹脂内に導入することによって、大量の加圧ガスを同時に導入する場合と比較して、加圧ガス導入ノズル近傍の溶融樹脂を吹き飛ばすことなく、安定した加圧ガスの導入を行うことが可能となる。
【実施例6】
【0108】
実施例6も、実施例3の変形である。実施例3においては、[工程−330]において、中空部内の加圧ガスを大気中に放出した。一方、実施例6にあっては、中空部内の加圧ガスを、加圧ガス計量部である計量配管20Cに回収する。具体的には、溶融樹脂の射出開始から25秒後に、加圧ガス排出制御弁33Cを開状態とし、キャビティ内の樹脂の内部に形成された中空部における加圧ガスを計量配管20Cに回収する。加圧ガス排出制御弁33Cを開状態とする前、及び、開状態とした後の状態を、それぞれ、図6の(A)、(B)に示す。そして、溶融樹脂の射出開始から30秒後に、各加圧ガス排出制御弁33A,33B,33Cを閉状態とし(図7参照)、溶融樹脂の射出開始から31秒後に、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、溶融樹脂の射出開始から60秒後に、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。尚、計量配管20C内の加圧ガスは、図示しない回収ラインを介して、加圧ガス供給源10に送ればよい。
【実施例7】
【0109】
実施例7も、実施例3の変形である。図8に示すように、実施例7にあっても、加圧ガス供給源10から1本の第1加圧ガス供給路30を延ばし、途中で3本の第1加圧ガス供給路30に分岐させている。そして、加圧ガス供給制御弁12を分岐前の1本の第1加圧ガス供給路30に配置している。更には、分岐された3本の第1加圧ガス供給路30と計量配管20A,20B,20Cとの間には、逆止弁タイプの加圧ガス供給弁34A,34B,34Cが配置されている。加圧ガス導入装置のその他の構成は、実施例3と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0110】
以下、図9の(A)、(B)及び図10の(A)、(B)を参照して、実施例7の射出成形方法を説明する。
【0111】
実施例7にあっては、実施例3と同じ成形品を成形する。従って、加圧ガス計量部である計量配管20A及び計量配管20Bを使用する。
【0112】
[工程−700]
先ず、図9の(A)に示すように、加圧ガス排出制御弁33A,33B,33Cを閉状態とし、加圧ガス供給制御弁12を開状態として、組合わされた各計量配管20A,20Bに加圧ガスを供給する。尚、本来は使用しない計量配管20Cにも加圧ガスが供給される。供給完了後、加圧ガス供給制御弁12を閉状態とする(図9の(B)参照)。計量配管20A,20B内の加圧ガスの圧力は、実施例3と同様である。
【0113】
[工程−710]
この状態で、実施例3の[工程−310]と同様にして、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。
【0114】
[工程−720]
溶融樹脂の射出完了と同時に、先の決定に基づき、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを開状態とする。尚、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを同時に開状態とする。この状態を、図10の(A)に示す。これによって、計量配管20A,20Bに蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路32及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。尚、実施例5と同様に、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを同時には開状態としなくともよい。即ち、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを、順次、開状態としてもよい。
【0115】
[工程−730]
その後、実施例3の[工程−330]と同様にして、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを閉状態とし(図10の(B)参照)、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。
【実施例8】
【0116】
実施例8も、実施例3の変形である。図11に示すように、実施例8においては、加圧ガス供給弁31A,31B,31Cと加圧ガス供給源10との間(より具体的には、逆止弁11と加圧ガス供給源10との間)の第1加圧ガス供給路30に、加圧ガス計量部20A,20B,20Cの合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンク13が配置されている。
【0117】
あるいは又、実施例7の変形とすることもできる。即ち、図12に示すように、加圧ガス供給制御弁12と加圧ガス供給源10との間の第1加圧ガス供給路30に、加圧ガス計量部20A,20B,20Cの合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンク13が配置されている構成とすることもできる。
【0118】
この点を除き、加圧ガス導入装置のその他の構成は、実施例3あるいは実施例7と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、射出成形方法も、実施例3あるいは実施例7、更には、実施例5あるいは実施例6と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例9】
【0119】
実施例9も、実施例3の変形である。実施例9においては、図13の(A)に示すように、加圧ガス供給弁31A,31B,31Cと加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20Cとの間に、計量配管20A,20B,20C毎に圧力調整弁35A,35B,35Cが配置されている。尚、加圧ガス供給弁31A,31B,31Cと圧力調整弁35A,35B,35Cとは接続用配管39によって接続され、計量配管20A,20B,20Cは、圧力調整弁35A,35B,35Cに取り付けられている。
【0120】
あるいは又、実施例7の変形とすることもできる。即ち、図13の(B)に示すように、逆止弁タイプの加圧ガス供給弁34A,34B,34Cと加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20Cとの間に、計量配管20A,20B,20C毎に圧力調整弁35A,35B,35Cが配置されている。尚、加圧ガス供給弁34A,34B,34Cと圧力調整弁35A,35B,35Cとは接続用配管39によって接続され、計量配管20A,20B,20Cは、圧力調整弁35A,35B,35Cに接続されている。
【0121】
このように圧力調整弁35A,35B,35Cを配置することによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの圧力の最適化を図ることができるし、加圧ガスの効率的な使用を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて高圧の加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的低圧の加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。
【0122】
尚、図14に示すように、加圧ガス供給弁31A,31B,31Cと加圧ガス供給源10との間(より具体的には、逆止弁11と加圧ガス供給源10との間)の第1加圧ガス供給路30に、加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20Cの合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンク13が配置されている構成とすることもできるし、図15に示すように、加圧ガス供給制御弁12と加圧ガス供給源10との間の第1加圧ガス供給路30に、加圧ガス計量部20A,20B,20Cの合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンク13が配置されている構成とすることもできる。
【0123】
尚、3本の第1加圧ガス供給路30の途中に、各計量配管20A,20B,20C毎に、圧力調整弁35A,35B,35Cを配置してもよい。
【0124】
加圧ガス導入装置のその他の構成は、実施例3あるいは実施例7と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、射出成形方法も、実施例3あるいは実施例7、更には、実施例5あるいは実施例6と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例10】
【0125】
実施例10も、実施例3の変形である。図16の(A)に示すように、実施例10においては、各第2加圧ガス供給路32の途中に、更に、各加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20C毎に流量調整弁36A,36B,36Cが配置されている。これによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの導入速度の最適化を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて低速にて加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的高速にて加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。
【0126】
あるいは又、図16の(B)に示すように、実施例7の変形とすることもできる。
【0127】
加圧ガス導入装置のその他の構成は、実施例3あるいは実施例7と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、射出成形方法も、実施例3あるいは実施例7、更には、実施例5あるいは実施例6と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0128】
また、実施例8にて説明した加圧ガス蓄積タンク13を配置した構成とすることもできるし、実施例9にて説明した圧力調整弁35A,35B,35Cを実施例10に適用することもできる。
【実施例11】
【0129】
実施例11は、本発明の第3の態様に係る加圧ガス導入装置に関する。実施例11の加圧ガス導入装置の概念図を、図17の(A)に示す。
【0130】
この実施例11の加圧ガス導入装置も、図示しない金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置である。
【0131】
そして、加圧ガス導入装置は、
(A)加圧ガス供給源10と、
(B)加圧ガス計量部と、
(C)加圧ガス供給源10に接続された第1加圧ガス供給路40と、
(D)第1加圧ガス供給路40の末端41に接続され、加圧ガス供給源10から加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第2加圧ガス供給路42と、
(E)第1加圧ガス供給路40の末端41に接続され、第2加圧ガス供給路42と連通し、加圧ガス計量部からキャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第3加圧ガス供給路44と、
(F)第1加圧ガス供給路40の途中に配置された加圧ガス供給弁15と、
(G)加圧ガス計量部と第2加圧ガス供給路42との間に配置された加圧ガス供給・排出制御弁43と、
(H)第3加圧ガス供給路44の途中に配置された加圧ガス排出弁45、
から構成されている。
【0132】
加圧ガス計量部は、配管(計量配管20)から成る。実施例11にあっては、加圧ガス計量部は1本の計量配管20から構成されている。計量配管20の具体的な仕様を、上記の表1に示すが、計量配管20の一端は閉塞状態とされている。
【0133】
尚、加圧ガス供給源10はコンプレッサーから成り、第1加圧ガス供給路40、第2加圧ガス供給路42及び第3加圧ガス供給路44は、第1加圧ガス供給路30と同じ材質から成り、加圧ガス供給・排出制御弁43及び加圧ガス排出弁45は周知の電磁弁から成る。
【0134】
また、実施例11にあっては、加圧ガス供給源10から延びる第1加圧ガス供給路40の途中に逆止弁14が配置されている。第3加圧ガス供給路44は、加圧ガス排出弁45を介して、加圧ガスを導入するための加圧ガス導入ノズル(図示せず)に接続されている。ここで、加圧ガス導入ノズルは、金型に配置され、キャビティに開口している。尚、各第3加圧ガス供給路44に、必要に応じて逆止弁を配置しておくことが、加圧ガスの加圧ガス計量部である計量配管20への逆流を防止するといった観点から好ましい。以下に説明する実施例においても同様である。
【0135】
以下、実施例11の射出成形方法を説明する。
【0136】
[工程−1100]
先ず、加圧ガス排出弁45を閉状態とし、加圧ガス供給・排出制御弁43及び加圧ガス供給弁15を開状態として、加圧ガス計量部である計量配管20に加圧ガスを供給する。供給完了後、加圧ガス供給・排出制御弁43及び加圧ガス供給弁15を閉状態とする。計量配管20内の加圧ガスの圧力を実施例1と同じとした。
【0137】
[工程−1110]
この状態で、実施例1の[工程−110]と同様にして、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。
【0138】
[工程−1120]
溶融樹脂の射出完了と同時に、加圧ガス供給・排出制御弁43を開状態とし、且つ、第3加圧ガス供給路44に配置された加圧ガス排出弁45を開状態とする。これによって、加圧ガス計量部である計量配管20に蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路42、第3加圧ガス供給路44及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。
【0139】
[工程−1130]
その後、実施例1の[工程−130]と同様にして、加圧ガス供給・排出制御弁43及び加圧ガス排出弁45を閉状態とし、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。
【実施例12】
【0140】
実施例12は、実施例11の変形である。実施例11にあっては、加圧ガス計量部を1本の計量配管から構成した。一方、実施例12にあっては、加圧ガス導入装置の概念図を図17の(B)に示すように、加圧ガス計量部は、M本(但し、M≧2であり、実施例12にあっては2本)の計量配管20a,20bから成り、各計量配管20a,20bの間には接続制御弁48が配設されている。ここで、計量配管20a,20bの具体的な仕様を、上記の表1に示す。尚、実施例12にあっては、加圧ガス計量部を構成する計量配管の数を2個としたが、これに限定するものではない。
【0141】
以上の点を除き、実施例12の加圧ガス導入装置は、実施例11にて説明した加圧ガス導入装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【0142】
以下、実施例12の射出成形方法を説明する。
【0143】
[工程−1200]
先ず、加圧ガス排出弁45を閉状態とし、加圧ガス供給・排出制御弁43、接続制御弁48及び加圧ガス供給弁15を開状態として、加圧ガス計量部である計量配管20a,20bに加圧ガスを供給する。供給完了後、加圧ガス供給・排出制御弁43及び加圧ガス供給弁15を閉状態とする。計量配管20a,20b内の加圧ガスの圧力を実施例11と同じとした。
【0144】
[工程−1210]
この状態で、実施例11の[工程−1110]と同様にして、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。
【0145】
[工程−1220]
溶融樹脂の射出完了と同時に、加圧ガス供給・排出制御弁43を開状態とし、且つ、第3加圧ガス供給路44に配置された加圧ガス排出弁45を開状態とする。これによって、加圧ガス計量部である計量配管20a,20bに蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路42、第3加圧ガス供給路44及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。
【0146】
[工程−1230]
その後、実施例1の[工程−130]と同様にして、加圧ガス供給・排出制御弁43及び加圧ガス排出弁45を閉状態とし、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。
【実施例13】
【0147】
実施例13は、本発明の第4の態様に係る加圧ガス導入装置、及び、本発明の第2の態様に係る射出成形方法に関する。実施例13の加圧ガス導入装置の概念図を、図18の(A)に示す。
【0148】
この加圧ガス導入装置も、図示しない金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置である。
【0149】
そして、加圧ガス導入装置は、
(A)加圧ガス供給源10と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)加圧ガス供給源10に接続された第1加圧ガス供給路40と、
(D)第1加圧ガス供給路40の末端41に接続され、加圧ガス供給源10から各加圧ガス計量部に加圧ガス(具体的には、加圧窒素ガス)を供給するための第2加圧ガス供給路42と、
(E)第1加圧ガス供給路40の末端41に接続され、第2加圧ガス供給路42と連通し、各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第3加圧ガス供給路44と、
(F)第1加圧ガス供給路40の途中に配置された加圧ガス供給弁15と、
(G)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路42との間に配置された加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B,43Cと、
(H)第3加圧ガス供給路44の途中に配置された加圧ガス排出弁45、
から構成されている。
【0150】
そして、各加圧ガス計量部は、実施例3と同様に、1本の配管(計量配管20A,20B,20C)から成る。計量配管20A,20B,20Cの具体的な仕様を、上記の表1に示すが、計量配管20A,20B,20Cの一端は閉塞状態とされている。尚、実施例13、あるいは、後述する実施例15〜実施例19にあっては、加圧ガス計量部(計量配管)の数を3個としたが、これに限定するものではない。
【0151】
実施例13にあっては、第1加圧ガス供給路40の末端41に接続された第2加圧ガス供給路42の数を1本とし、途中で3本の第2加圧ガス供給路42に分岐させている。加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B,43Cは、分岐した3本の第2加圧ガス供給路42と、計量配管20A,20B,20Cとの間に配置されている。第1加圧ガス供給路40の末端41に接続された第3加圧ガス供給路44の数は1本である。第3加圧ガス供給路44は加圧ガス導入ノズル(図示せず)に接続されている。加圧ガス導入ノズルは、金型に配置され、キャビティに開口している。また、加圧ガス供給源10と加圧ガス供給弁15との間の第1加圧ガス供給路40に、逆止弁14が配置されている。
【0152】
実施例13の加圧ガス導入装置にあっても、成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20Cの組合せを決定し、かかる決定に基づき各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B,43Cの開閉を制御する。実施例13にあっては、具体的には、加圧ガス計量部である計量配管20A及び計量配管20Bを使用する。
【0153】
以下、図19の(A)、(B)及び図20の(A)、(B)を参照して、実施例13の射出成形方法を説明する。
【0154】
[工程−1300]
先ず、図19の(A)に示すように、加圧ガス排出弁45を閉状態とし、加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B及び加圧ガス供給弁15を開状態として、組合わされた各加圧ガス計量部である計量配管20A,20Bに加圧ガスを供給する。供給完了後、加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B及び加圧ガス供給弁15を閉状態とする(図19の(B)参照)。計量配管20A,20B内の加圧ガスの圧力を実施例3と同じとした。
【0155】
[工程−1310]
この状態で、実施例3の[工程−310]と同様にして、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。
【0156】
[工程−1320]
溶融樹脂の射出完了と同時に、先の決定に基づき各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43Bを開状態とし、且つ、第3加圧ガス供給路44に配置された加圧ガス排出弁45を開状態とする。尚、各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43Bを同時に開状態とする。この状態を、図20の(A)に示す。これによって、加圧ガス計量部である計量配管20A,20Bに蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路42、第3加圧ガス供給路44及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。
【0157】
[工程−1330]
その後、実施例3の[工程−330]と同様にして、各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B及び加圧ガス排出弁45を閉状態とし(図20の(B)参照)、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。
【実施例14】
【0158】
実施例14は、実施例13の変形である。実施例13にあっては、各加圧ガス計量部を1本の計量配管から構成した。一方、実施例14にあっては、加圧ガス導入装置の概念図を図18の(B)に示すように、各加圧ガス計量部のぞれぞれは、M本(但し、M≧2であり、実施例14にあっては2本)の計量配管から成り、各配管の間には接続制御弁が配設されている。具体的には、計量配管20Aを構成する計量配管20A1と計量配管20A2との間には接続制御弁48Aが配設されており、計量配管20Bを構成する計量配管20B1と計量配管20B2との間には接続制御弁48Bが配設されており、計量配管20Cを構成する計量配管20C1と計量配管20C2との間には接続制御弁48Cが配設されている。計量配管20A1,20A2,20B1,20B2,20C1,20C2の具体的な仕様を、上記の表1に示す。尚、実施例14にあっては、各加圧ガス計量部を構成する計量配管の数を2個としたが、これに限定するものではない。
【0159】
以上の点を除き、実施例14の加圧ガス導入装置は、実施例13にて説明した加圧ガス導入装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【0160】
実施例14にあっても、成形品に中空部を形成し、且つ、ひけの無い外観が良好な成形品を得るために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部(計量配管)の組合せを予め決定しておく。具体的には、加圧ガス計量部である計量配管20A1,20A2及び計量配管20B1,20B2を使用する。
【0161】
以下、実施例14の射出成形方法を説明する。
【0162】
[工程−1400]
先ず、加圧ガス排出弁45を閉状態とし、加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B、接続制御弁48A,48B及び加圧ガス供給弁15を開状態として、組合わされた各加圧ガス計量部である計量配管20A1,20A2及び計量配管20B1,20B2に加圧ガスを供給する。供給完了後、加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B及び加圧ガス供給弁15を閉状態とする。計量配管20A1,20A2及び計量配管20B1,20B2内の加圧ガスの圧力を実施例13と同じとした。
【0163】
[工程−1410]
この状態で、実施例3の[工程−310]と同様にして、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。
【0164】
[工程−1420]
溶融樹脂の射出完了と同時に、先の決定に基づき各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43Bを開状態とし、且つ、第3加圧ガス供給路44に配置された加圧ガス排出弁45を開状態とする。尚、各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43Bを同時に開状態とする。これによって、加圧ガス計量部である計量配管20A1,20A2及び計量配管20B1,20B2に蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路42、第3加圧ガス供給路44及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。
【0165】
[工程−1430]
その後、実施例3の[工程−330]と同様にして、各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B及び加圧ガス排出弁45を閉状態とし、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。
【実施例15】
【0166】
実施例15は、実施例13の変形である。実施例13においては、[工程−1320]において各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43Bを同時に開状態としたが、実施例15においては、各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43Bを、同時には開状態としない。即ち、各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43Bを、順次、開状態とする。具体的には、溶融樹脂の射出完了と同時に、先の決定に基づき、先ず、加圧ガス供給・排出制御弁43Aを開状態とし、且つ、第3加圧ガス供給路44に配置された加圧ガス排出弁45を開状態とする(図21の(A)参照)。加圧ガス供給・排出制御弁43Aを開状態としてから、5秒経過後に、加圧ガス供給・排出制御弁43Bを開状態とする(図21の(B)参照)。これによって、実施例5において説明したと同様の効果を得ることができる。
【実施例16】
【0167】
実施例16も、実施例13の変形である。実施例13においては、[工程−1330]において、中空部内の加圧ガスを大気中に放出した。一方、実施例16にあっては、中空部内の加圧ガスを、加圧ガス計量部である計量配管20Cに回収する。具体的には、溶融樹脂の射出開始から25秒後に、加圧ガス供給・排出制御弁43Cを開状態とし、キャビティ内の樹脂の内部に形成された中空部における加圧ガスを計量配管20Cに回収する。加圧ガス供給・排出制御弁43Cを開状態とする前、及び、開状態とした後の状態を、それぞれ、図22の(A)、(B)に示す。そして、溶融樹脂の射出開始から30秒後に、各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B,43Cを閉状態とし(図23参照)、溶融樹脂の射出開始から31秒後に、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、溶融樹脂の射出開始から60秒後に、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。尚、計量配管20C内の加圧ガスは、図示しない回収ラインを介して、加圧ガス供給源10に送ればよい。
【実施例17】
【0168】
実施例17も、実施例13の変形である。図24に示すように、実施例17においては、加圧ガス供給弁15と加圧ガス供給源10との間(より具体的には、逆止弁14と加圧ガス供給源10との間)の第1加圧ガス供給路40に、加圧ガス計量部20A,20B,20Cの合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンク13が配置されている。
【0169】
この点を除き、加圧ガス導入装置のその他の構成は、実施例13と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、射出成形方法も、実施例13あるいは実施例15、実施例16と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例18】
【0170】
実施例18も、実施例13の変形である。実施例18においては、図25に示すように、3本の第2加圧ガス供給路42の途中に、更に、各加圧ガス計量部20A,20B,20C毎に圧力調整弁46A,46B,46Cが配置されている。
【0171】
このように圧力調整弁46A,46B,46Cを配置することによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの圧力の最適化を図ることができるし、加圧ガスの効率的な使用を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて高圧の加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的低圧の加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。
【0172】
計量配管20A,20B,20Cと加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B,43Cとの間に圧力調整弁を配置してもよい。この場合、加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B,43Cと圧力調整弁とを接続用配管によって接続し、計量配管20A,20B,20Cを圧力調整弁に取り付ければよい。
【0173】
図26に示すように、加圧ガス供給弁15と加圧ガス供給源10との間(より具体的には、逆止弁14と加圧ガス供給源10との間)の第1加圧ガス供給路40に、加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20Cの合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンク13が配置されている構成とすることもできる。
【0174】
加圧ガス導入装置のその他の構成は、実施例13と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、射出成形方法も、実施例13〜実施例16と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例19】
【0175】
実施例19も、実施例13の変形である。図27に示すように、実施例19においては、各第2加圧ガス供給路42の途中に、更に、各加圧ガス計量部20A,20B,20C毎に流量調整弁47A,47B,47Cが配置されている。これによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの導入速度の最適化を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて低速にて加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的高速にて加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。
【0176】
加圧ガス導入装置のその他の構成は、実施例13と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、射出成形方法も、実施例13〜実施例16と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0177】
また、実施例17にて説明した加圧ガス蓄積タンク13を配置した構成とすることもできる。更には、実施例18にて説明したと同様に、例えば、3本の第2加圧ガス供給路42の途中に、各加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20C毎に圧力調整弁46A,46B,46Cを配置してもよい。
【0178】
以上、本発明を、実施例に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例にて説明した加圧ガス導入装置の構造、実施例にて使用した熱可塑性樹脂、射出成形条件、成形品の大きさ等は例示であり、適宜変更することができる。実施例においては、1台の加圧ガス導入装置で1つの金型に加圧ガスを供給する構成を説明したが、このような構成に限定されるものではない。図28には、1台の加圧ガス導入装置で複数(図示した例では2つ)の金型に加圧ガスを供給する構成を示す。尚、図28には、実施例3の加圧ガス導入装置を示したが、他の実施例における加圧ガス導入装置を適用することができることは云うまでもない。
【0179】
実施例4にて説明した計量配管の構成、構造を、実施例5〜実施例10に適用することができるし、実施例14にて説明した計量配管の構成、構造を、実施例15〜実施例19に適用することができる。また、計量配管に圧力計あるいは圧力センサーを取り付け、圧力計あるいは圧力センサーの測定圧力値が所定の圧力となったならば(即ち、加圧ガスを供給した後)、あるいは、所定の圧力となる前に(即ち、加圧ガスの供給途中で)、加圧ガス供給弁あるいは加圧ガス供給・排出制御弁を閉状態とし、計量配管への加圧ガスの供給を遮断してもよい。圧力計あるいは圧力センサーは、計量配管の上流側に配設してもよいし、計量配管の下流側に配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】図1の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1及び実施例2の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図2】図2の(A)は、実施例3の加圧ガス導入装置の概念図であり、図2の(B)は、実施例4の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図3】図3の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例3の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図4】図4の(A)及び(B)は、それぞれ、図3の(B)に引き続き、実施例3の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図5】図5の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例5の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図6】図6の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例6の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図7】図7は、図6の(B)に引き続き、実施例6の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図8】図8は、実施例7の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図9】図9の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例7の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図10】図10の(A)及び(B)は、それぞれ、図9の(B)に引き続き、実施例7の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図11】図11は、実施例8の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図12】図12は、実施例8の加圧ガス導入装置の変形例の概念図である。
【図13】図13の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例9の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図14】図14は、実施例9の加圧ガス導入装置の変形例の概念図である。
【図15】図15は、実施例9の加圧ガス導入装置の別の変形例の概念図である。
【図16】図16の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例10の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図17】図17の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例11及び実施例12の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図18】図18の(A)は、実施例13の加圧ガス導入装置の概念図であり、図18の(B)は、実施例14の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図19】図19の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例13の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図20】図20の(A)及び(B)は、それぞれ、図19の(B)に引き続き、実施例13の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図21】図21の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例15の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図22】図22の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例16の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図23】図23は、図22の(B)に引き続き、実施例16の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図24】図24は、実施例17の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図25】図25は、実施例18の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図26】図26は、実施例18の加圧ガス導入装置の変形例の概念図である。
【図27】図27は、実施例19の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図28】図28は、1台の加圧ガス導入装置で複数(図示した例では2つ)の金型に加圧ガスを供給する構成を示す概念図である。
【符号の説明】
【0181】
10・・・加圧ガス供給源、11・・・逆止弁、12・・・加圧ガス供給制御弁、13・・・加圧ガス蓄積タンク、14・・・逆止弁、15・・・加圧ガス供給弁、20,20a,20b,20A,20B,20C・・・加圧ガス計量部(計量配管)、30,30・・・第1加圧ガス供給路、31,31A,31B,31C,34A,34B,34C・・・加圧ガス供給弁、32・・・第2加圧ガス供給路、33,33A,33B,33C・・・加圧ガス排出制御弁、35A,35B,35C・・・圧力調整弁、36A,36B,36C・・・流量調整弁、38,38A,38B,38C・・・接続制御弁、39・・・接続用配管、40・・・第1加圧ガス供給路、41・・・第1加圧ガス供給路の末端、42・・・第2加圧ガス供給路、43A,43B,43C・・・加圧ガス供給・排出制御弁、44・・・第3加圧ガス供給路、45・・・加圧ガス排出弁、46A,46B,46C・・・圧力調整弁、47A,47B,47C・・・流量調整弁、48,48A,48B,48C・・・接続制御弁
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧ガス導入装置、及び、かかる加圧ガス導入装置を使用した中空部を有する成形品の射出成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形法に基づき、金型に設けられたキャビティ内に射出された溶融樹脂内に加圧ガスを導入して、中空部を有する成形品を製造する従来の方法(以下、ガスインジェクション法と呼ぶ場合がある)において、キャビティ内に射出された溶融樹脂内に加圧ガスを導入する方法として、次の2つの方法が知られている。
【0003】
第1の方法にあっては、ピストン及び一定容量を有するシリンダーから成るピストン式コンプレッサーを使用して、1回の射出成形に必要なガス量(圧力と容積)を予めシリンダー内で計量する。射出成形に際しては、予めシリンダー内で計量して蓄えておいたガスを、シリンダー内のピストンの移動によって圧縮しながらキャビティ内の溶融樹脂内に導入して、成形品の内部に中空部を形成する。その後、ピストン位置をそのままの状態に保持して、中空部内部のガス圧力を保持する。このような方法を、以下、計量方式と呼ぶ。かかる計量方式が、例えば、特開昭60−24913号公報に開示されている。
【0004】
第2の方法にあっては、ガス源のガスを圧縮器で予め高圧に昇圧して、大容量の圧力容器に蓄えておき、射出成形に際しては、圧力容器の吐出側に設置された吐出弁や圧力調整弁等を介して、圧力容器内のガスをキャビティ内の溶融樹脂内に導入する。このような方法を、以下、定圧方式と呼ぶ。かかる定圧方式は、例えば、特開平1−128814号公報に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開昭60−24913号
【特許文献2】特開平1−128814号
【特許文献3】特開2004−42648
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術は、以下の問題点を有している。
【0007】
(1)計量方式の問題点
(1−1)シリンダーの容積は一定である。それ故、成形品の中空部の容積が大きい場合、最大ガス量を計量したとしても、所望の中空部の形成に必要とされるガス圧力を発生することができない場合がある。このような場合、品質良好なる成形品を得ることができない。
(1−2)溶融樹脂内に導入すべきガス量が多い場合、計量時、シリンダーに供給すべきガスの圧力を高める必要がある。しかしながら、多くの場合、ガス源としてガスボンベを使用するので、ガスボンベの消費効率が悪化する。即ち、ガスボンベの圧力が低下した場合には、それ以上ガスボンベを使用することができない。
(1−3)成形品に形成すべき中空部の容積が大きい場合、シリンダーの容積を大きくし、溶融樹脂内へ導入すべきガス量を多くする必要がある。それ故、中空部の容積に依存して、異なる能力のガス圧縮装置を用意しなければならないことがある。
(1−4)成形品に形成すべき中空部の容積が小さい場合、計量したガスの一部が無駄になり、経済性を悪化させる。
(1−5)1回の圧縮工程でガスを昇圧するため、圧縮比が大きくなる。従って、ピストン径、シリンダー内径、ピストンストロークを、1回の射出成形に必要な大きさに設計する必要がある。その結果、ガス圧縮装置の大型化をもたらし、高圧ガスのシール構造が複雑になり、しかも、ガス圧縮装置の製作費が高額になる。また、ピストンを作動させるための消費するエネルギーが大きい。
【0008】
(2) 定圧方式の問題点
(2−1)圧力容器内のガスの圧力を、キャビティ内の溶融樹脂に負荷するガスの圧力より高圧にする必要があるため、エネルギー効率が悪い。
(2−2)圧力容器内のガス圧力が常時高圧に保持されるため、圧力容器の爆発の危険性がある。
(2−3)キャビティ内の溶融樹脂内へガスを導入した後、形成された中空部からガスが外部に漏れ出した場合、圧力容器内の大量のガスが金型周辺に漂い、作業員への危険が危惧される。また、ガスインジェクション法では、通常、ガスとして窒素ガスが用いられる。それ故、作業雰囲気の窒素ガス濃度が急激に上昇した場合、作業員に対し酸欠状態を引き起こす危険性がある。
(2−4)安定して、一定量のガスをキャビティ内の溶融樹脂中に導入することが、困難な場合が多い。
【0009】
このような問題点を解決するための手段を、本出願人は、特開2004−42648にて提案した。この特開2004−42648に開示された、例えば、加圧ガス導入装置は、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の計量タンクと、
(C)該加圧ガス供給源から各計量タンクに加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路と、
(D)第1加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス供給弁と、
(E)各計量タンクから前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路と、
(F)各第2加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス排出制御弁、
から構成され、
成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき計量タンクの組合せを決定し、かかる決定に基づき各第2加圧ガス供給路に配置された加圧ガス排出制御弁の開閉を制御することを特徴とする。
【0010】
この特開2004−42648に開示された加圧ガス導入装置は、優れた加圧ガス導入装置であるが、計量タンクを高圧容器仕様とする必要があるため、計量タンクの作製コストが高く、保守に費用がかかる。また、計量タンクの仕様等が変更された場合には、新たに計量タンクを作製しなければならない。更には、計量タンクの設置スペースが必要とされる。
【0011】
従って、本発明の目的は、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形するに際して、中空部の形成のために必要とされる一定体積の加圧ガスを確実に導入することを可能にし、しかも、簡素な構造を有し、高圧容器仕様の計量タンクを使用することを必要としない加圧ガス導入装置、並びに、かかる加圧ガス導入装置を使用した中空部を有する成形品の射出成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る加圧ガス導入装置は、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源から加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路と、
(D)加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路と、
(E)加圧ガス計量部と第1加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給弁と、
(F)加圧ガス計量部と第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス排出制御弁、
から構成され、
加圧ガス計量部は、配管から成ることを特徴とする。
【0013】
本発明の第1の態様に係る加圧ガス導入装置において、加圧ガス計量部は1本の配管から成る構成とすることができるし、あるいは又、加圧ガス計量部はM本(但し、M≧2)の配管から成り、各配管の間には接続制御弁が配設されている構成とすることができる。
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る加圧ガス導入装置は、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路と、
(D)各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路と、
(E)各加圧ガス計量部と各第1加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給弁と、
(F)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス排出制御弁、
から構成され、
各加圧ガス計量部は、配管から成ることを特徴とする。
【0015】
本発明の第2の態様に係る加圧ガス導入装置において、各加圧ガス計量部は1本の配管から成る構成とすることができるし、あるいは又、各加圧ガス計量部はM本(但し、M≧2)の配管から成り、各配管の間には接続制御弁が配設されている構成とすることができる。
【0016】
上記の好ましい構成を含む本発明の第2の態様に係る加圧ガス導入装置においては、成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを決定し、かかる決定に基づき各加圧ガス排出制御弁の開閉を制御する構成とすることができる。
【0017】
更には、上記の各種好ましい構成を含む本発明の第2の態様に係る加圧ガス導入装置においては、加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間、若しくは、第1加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている構成とすることができ、これによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの圧力の最適化を図ることができるし、加圧ガスの効率的な使用を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて高圧の加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的低圧の加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。上記の各種好ましい構成を含む本発明の第1の態様に係る加圧ガス導入装置においても、同様とすることが好ましい。
【0018】
更には、上記の各種好ましい構成を含む本発明の第2の態様に係る加圧ガス導入装置においては、加圧ガス供給弁と加圧ガス供給源との間の第1加圧ガス供給路に、加圧ガス計量部の合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンクが配置されている構成とすることができ、これによって、各加圧ガス計量部への加圧ガスの供給を一層安定化することができる。そして、この場合、加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間、若しくは、加圧ガス蓄積タンクと加圧ガス計量部との間の第1加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている構成とすることもできる。これによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの圧力の最適化を図ることができるし、加圧ガスの効率的な使用を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて高圧の加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的低圧の加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。
【0019】
これらの各種の形態を含む本発明の第2の態様に係る加圧ガス導入装置においては、各第2加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に流量調整弁が配置されている構成とすることができる。これによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの導入速度の最適化を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて低速にて加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的高速にて加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。上記の各種好ましい構成を含む本発明の第1の態様に係る加圧ガス導入装置においても、同様とすることが好ましい。
【0020】
これらの各種の形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る加圧ガス導入装置においては、加圧ガス排出制御弁と加圧ガス供給弁とは、同時に開状態とはならない構成を採用することが望ましい。これによって、各加圧ガス計量部に、所定圧力の加圧ガスを確実に供給することができる。
【0021】
また、これらの各種の形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る加圧ガス導入装置においては、各加圧ガス排出制御弁は、同時に開状態となってもよいし、同時には開状態とならなくともよい(即ち、各加圧ガス排出制御弁を、順次、開状態とする)。要は、各加圧ガス計量部の容積、各加圧ガス計量部内の加圧ガス圧力、形成すべき中空部の容積等に基づき、どのような構成とするかを決定すればよい。
【0022】
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る加圧ガス導入装置は、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源に接続された第1加圧ガス供給路と、
(D)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該加圧ガス供給源から加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第2加圧ガス供給路と、
(E)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該第2加圧ガス供給路と連通し、加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第3加圧ガス供給路と、
(F)第1加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス供給弁と、
(G)加圧ガス計量部と第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給・排出制御弁と、
(H)第3加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス排出弁、
から構成され、
加圧ガス計量部は、配管から成ることを特徴とする。
【0023】
本発明の第3の態様に係る加圧ガス導入装置において、加圧ガス計量部は1本の配管から成る構成とすることができるし、あるいは又、加圧ガス計量部はM本(但し、M≧2)の配管から成り、各配管の間には接続制御弁が配設されている構成とすることができる。
【0024】
上記の目的を達成するための本発明の第4の態様に係る加圧ガス導入装置は、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源に接続された第1加圧ガス供給路と、
(D)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該加圧ガス供給源から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第2加圧ガス供給路と、
(E)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該第2加圧ガス供給路と連通し、各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第3加圧ガス供給路と、
(F)第1加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス供給弁と、
(G)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給・排出制御弁と、
(H)第3加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス排出弁、
から構成され、
各加圧ガス計量部は、配管から成ることを特徴とする。
【0025】
本発明の第4の態様に係る加圧ガス導入装置において、各加圧ガス計量部は1本の配管から成る構成とすることができるし、あるいは又、各加圧ガス計量部はM本(但し、M≧2)の配管から成り、各配管の間には接続制御弁が配設されている構成とすることができる。
【0026】
上記の好ましい構成を含む本発明の第4の態様に係る加圧ガス導入装置においては、成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを決定し、かかる決定に基づき各加圧ガス供給・排出制御弁の開閉を制御する構成とすることができる。
【0027】
更には、上記の各種好ましい構成を含む本発明の第4の態様に係る加圧ガス導入装置においては、加圧ガス供給弁と加圧ガス供給源との間の第1加圧ガス供給路に、加圧ガス計量部の合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンクが配置されている構成とすることができ、これによって、各加圧ガス計量部への加圧ガスの供給を一層安定化することができる。
【0028】
上記の形態を含む本発明の第4の態様に係る加圧ガス導入装置においては、各第2加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている構成とすることもできる。これによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの圧力の最適化を図ることができるし、加圧ガスの効率的な使用を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて高圧の加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的低圧の加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。あるいは又、各第2加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に流量調整弁が配置されている構成とすることができる。これによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの導入速度の最適化を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて低速にて加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的高速にて加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。上記の各種好ましい構成を含む本発明の第3の態様に係る加圧ガス導入装置においても、同様とすることが好ましい。
【0029】
上記の形態を含む本発明の第3の態様あるいは第4の態様に係る加圧ガス導入装置においては、加圧ガス供給弁を開状態とするとき、加圧ガス排出弁は閉状態にある構成を採用することが望ましい。これによって、各加圧ガス計量部に、所定圧力の加圧ガスを確実に供給することができる。
【0030】
また、これらの各種の形態を含む本発明の第4の態様に係る加圧ガス導入装置においては、各加圧ガス供給・排出制御弁は、同時に開状態となってもよいし、各加圧ガス供給・排出制御弁は、同時には開状態とならなくともよい(即ち、各加圧ガス供給・排出制御弁を、順次、開状態とする)。要は、各加圧ガス計量部の容積、各加圧ガス計量部内の加圧ガス圧力、形成すべき中空部の容積等に基づき、どのような構成とするかを決定すればよい。
【0031】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法は、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路と、
(D)各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路と、
(E)各加圧ガス計量部と各第1加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給弁と、
(F)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス排出制御弁、
から構成され、
加圧ガス計量部が配管から成る加圧ガス導入装置を使用し、
成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを予め決定しておき、
加圧ガス排出制御弁を閉状態とし、加圧ガス供給弁を開状態として、該組合わされた各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給した後、若しくは、加圧ガスの供給途中で、加圧ガス供給弁を閉状態とし、
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、
前記決定に基づき各加圧ガス排出制御弁を開状態として、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を形成することを特徴とする。
【0032】
本発明の第1の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法(以下、本発明の第1の態様に係る射出成形方法と呼ぶ)においては、各加圧ガス排出制御弁を同時に開状態としてもよいし、各加圧ガス排出制御弁を同時には開状態としなくともよい(即ち、各加圧ガス排出制御弁を、順次、開状態とする)。要は、各加圧ガス計量部の容積、各加圧ガス計量部内の加圧ガス圧力、形成すべき中空部の容積等に基づき、どのような構成とするかを決定すればよい。
【0033】
上記の各種の形態を含む本発明の第1の態様に係る射出成形方法においては、加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間、若しくは、第1加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することができる。
【0034】
あるいは又、加圧ガス供給弁と加圧ガス供給源との間の第1加圧ガス供給路に、加圧ガス計量部の合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンクが配置されている加圧ガス導入装置を使用することができる。そして、この場合、加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間、若しくは、加圧ガス蓄積タンクと加圧ガス計量部との間の第1加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することができる。
【0035】
更には、各第2加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に流量調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することもできる。
【0036】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法は、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源に接続された第1加圧ガス供給路と、
(D)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該加圧ガス供給源から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第2加圧ガス供給路と、
(E)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該第2加圧ガス供給路と連通し、各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第3加圧ガス供給路と、
(F)第1加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス供給弁と、
(G)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給・排出制御弁と、
(H)第3加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス排出弁、
から構成され、
加圧ガス計量部が配管から成る加圧ガス導入装置を使用し、
成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを予め決定しておき、
加圧ガス排出弁を閉状態とし、加圧ガス供給・排出制御弁及び加圧ガス供給弁を開状態として、該組合わされた各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給した後、若しくは、加圧ガスの供給途中で、加圧ガス供給・排出制御弁及び加圧ガス供給弁を閉状態とし、
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、
前記決定に基づき各加圧ガス供給・排出制御弁を開状態とし、且つ、加圧ガス排出弁を開状態として、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を形成することを特徴とする、中空部を有する。
【0037】
本発明の第2の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法(以下、本発明の第2の態様に係る射出成形方法と呼ぶ)においては、各加圧ガス供給・排出制御弁を、同時に開状態としてもよいし、各加圧ガス供給・排出制御弁を同時には開状態としなくともよい(即ち、各加圧ガス供給・排出制御弁を、順次、開状態とする)。要は、各加圧ガス計量部の容積、各加圧ガス計量部内の加圧ガス圧力、形成すべき中空部の容積等に基づき、どのような構成とするかを決定すればよい。
【0038】
上記の各種の形態を含む本発明の第2の態様に係る射出成形方法においては、加圧ガス供給弁と加圧ガス供給源との間の第1加圧ガス供給路に、加圧ガス計量部の合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンクが配置されている加圧ガス導入装置を使用することができる。そして、この場合、各第2加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することができる。更には、各第2加圧ガス供給路の途中に、更に、各加圧ガス計量部毎に流量調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することができる。
【0039】
以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様〜第4の態様に係る加圧ガス導入装置、あるいは又、本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る射出成形方法にあっては、加圧ガスとして、常温でガス状の物質を使用することができるし、高圧下で液化したガスも使用可能である。具体的には、加圧窒素ガス、加圧二酸化炭素ガス、加圧空気、加圧ヘリウムガスを例示することができる。
【0040】
本発明の第2の態様に係る加圧ガス導入装置、あるいは又、本発明の第1の態様に係る射出成形方法にあっては、加圧ガス計量部の数をN(N≧2)としたとき、加圧ガス供給源(あるいは加圧ガス蓄積タンク)と加圧ガス計量部とを結ぶ第1加圧ガス供給路の数をNとしてもよいし、加圧ガス供給源(あるいは加圧ガス蓄積タンク)から1本の第1加圧ガス供給路を延ばし、途中でN本の第1加圧ガス供給路に分岐させてもよい。加圧ガス供給弁は、N本の第1加圧ガス供給路とN個の加圧ガス計量部の組において、第1加圧ガス供給路と加圧ガス計量部との間に配設されている。また、圧力調整弁は、前者の場合、N本の第1加圧ガス供給路に配置すればよいし、後者の場合、分岐したN本の第1加圧ガス供給路に配置すればよいし、あるいは又、加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間に配置すればよい。N本の第2加圧ガス供給路は、N個の加圧ガス計量部から延び、1本の第2加圧ガス供給路に纏められ、加圧ガス導入ノズルに接続される。加圧ガス導入ノズルは、金型に配置されている。加圧ガス導入ノズルは、キャビティに開口していてもよいし、ゲート部に開口していてもよいし、射出成形機に備えられた射出用シリンダーとキャビティとを結ぶ樹脂流路に開口していてもよいし、射出用シリンダーの先端部に開口していてもよい。加圧ガス排出制御弁は、N本の第2加圧ガス供給路とN個の加圧ガス計量部の組において、第2加圧ガス供給路と加圧ガス計量部との間に配設されている。
【0041】
本発明の第4の態様に係る加圧ガス導入装置、あるいは又、本発明の第2の態様に係る射出成形方法にあっては、第1加圧ガス供給路の末端に接続された第2加圧ガス供給路の数をN本としてもよいし、第1加圧ガス供給路の末端に接続された第2加圧ガス供給路の数を1本とし、途中でN本の第2加圧ガス供給路に分岐させてもよい。加圧ガス供給・排出制御弁は、N本の第2加圧ガス供給路とN個の加圧ガス計量部の組において、第2加圧ガス供給路と加圧ガス計量部との間に配設されている。また、圧力調整弁、流量調整弁は、前者の場合、N本の第2加圧ガス供給路に配置すればよいし、後者の場合、分岐したN本の第2加圧ガス供給路に配置すればよい。第1加圧ガス供給路の末端に接続された第3加圧ガス供給路の数は1本とすることが、構成の簡素化といった観点から好ましい。第3加圧ガス供給路は加圧ガス導入ノズルに接続される。加圧ガス導入ノズルは、金型に配置されている。加圧ガス導入ノズルは、キャビティに開口していてもよいし、ゲート部に開口していてもよいし、射出成形機に備えられた射出用シリンダーとキャビティとを結ぶ樹脂流路に開口していてもよいし、射出用シリンダーの先端部に開口していてもよい。
【0042】
各加圧ガス計量部の容積、数(1、M、N、あるいは、N×M)は、形成すべき中空部の容積に基づき、適宜、決定すればよい。各加圧ガス計量部の容積(V)は同じであってもよいし、異なっていてもよい。後者の場合、最も容積の小さい加圧ガス計量部の容積をV0としたとき、第n番目(n=2,3・・・,N)の加圧ガス計量部の容積Vnは、2(n-1)V0を満足することが、構成の簡素化といった観点から好ましいが、これに限定するものではない。
【0043】
本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る射出成形方法にあっては、金型に設けられたキャビティ内に射出する溶融樹脂の量は、キャビティを完全に満たす量であってもよいし(所謂、フルショット法の採用)、キャビティを完全には満たさない量であってもよい(所謂、ショートショット法の採用)。キャビティ内の溶融樹脂内への加圧ガスの導入開始の時点は、キャビティ内への溶融樹脂の射出中であってもよいし、射出完了と同時であってもよいし、射出完了から一定時間経過後であってもよい。
【0044】
加圧ガス計量部を構成する配管(以下、便宜上、計量配管と呼ぶ場合がある)として、具体的には、JIS G3454−1988に規定された圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG370,STPG410)、JIS G3455−1988に規定された高圧配管用炭素鋼鋼管(STS370,STS410,STS480)、JIS G3456−2004に規定された高温配管用炭素鋼鋼管(STPT370,STPT410,STPT480)、JIS G3458−1988に規定された配管用合金鋼鋼管(STPA12,STPA20,STPA22,STPA23,STPA24,STPA25,STPA26)、JIS G3459−2004に規定された配管用ステンレス鋼管に規定されたもの、あるいは、これらのJIS規格類似の外国規格である、ASTM A155、BS 778、DIN 9871、又は、API 5L等に規定されたものを用いればよい。計量配管の材質、内径、外径、長さ等の仕様は、上記の規格に則り、しかも、計量配管に要求される仕様に基づき、決定すればよい。計量配管の内容積として10cm2以上、計量配管の内径として10mm以下を例示することができるが、これに限定するものではない。あるいは又、計量配管とは、内径が0.1mm乃至30mmであり、外径が1mm乃至50mmであるものを指す。
【0045】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様〜第4の態様に係る加圧ガス導入装置、及び、本発明の第1の態様〜第2の態様に係る射出成形方法(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)において、金型、加圧ガス供給源、加圧ガス蓄積タンク、第1加圧ガス供給路、第2加圧ガス供給路、第3加圧ガス供給路、加圧ガス供給弁、加圧ガス排出制御弁、加圧ガス供給・排出制御弁、加圧ガス排出弁、圧力調整弁、流量調整弁、接続制御弁は、周知の構成、構造とすることができる。また、加圧ガス供給弁、加圧ガス排出制御弁、加圧ガス供給・排出制御弁、加圧ガス排出弁、圧力調整弁、流量調整弁、接続制御弁の制御も、周知の制御装置を用いればよい。
【0046】
本発明において、各配管の間に接続制御弁が配設されている構成とする場合、配管と接続制御弁とを直接的に接続してもよいし、第1接続路と第2接続路とを準備し、第1接続路と第2接続路との間に接続制御弁を配設し、配管と第1接続路、配管と第2接続路とをフランジ等を用いて接続してもよい。また、本発明における1本の配管には、継手等で結合(連結)された配管も含まれる。
【0047】
本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る射出成形方法での使用に適した樹脂として、結晶性熱可塑性樹脂や非晶性熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;ポリオキシメチレン(ポリアセタール,POM)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂;メタクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;液晶ポリマーを例示することができる。
【0048】
更には、ポリマーアロイ材料から成る熱可塑性樹脂を用いることができる。ここで、ポリマーアロイ材料は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたもの、又は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を化学的に結合させたブロック共重合体若しくはグラフト共重合体から成る。ポリマーアロイ材料は、単独の熱可塑性樹脂のそれぞれが有する特有な性能を合わせ持つことができる高機能材料として広く使用されている。少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料を構成する熱可塑性樹脂として、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;メタクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;変性PPE樹脂;ポリブチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂を挙げることができる。2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのポリマーアロイ材料を例示することができる。尚、このような樹脂の組合せを、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂と表記する。以下においても同様である。更に、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、ポリカーボネート樹脂/PET樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂、ポリカーボネート樹脂/ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂/PET樹脂、変性PPE樹脂/HIPS樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミド系樹脂、変性PPE樹脂/PBT樹脂/PET樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミドMXD6樹脂、ポリオキシメチレン樹脂/ポリウレタン樹脂、PBT樹脂/PET樹脂を例示することができる。
【0049】
尚、以上に説明した各種の熱可塑性樹脂に、添加剤や、充填剤、強化剤を加えることもできる。
【0050】
尚、添加剤として、可塑剤;安定剤;酸化防止剤:紫外線吸収剤;ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド等の有機ニッケル化合物、ヒンダードアミン系化合物等の紫外線安定剤;帯電防止剤;難燃剤;バイナジン、プリベントール、チアベンダゾール等の防かび剤;流動パラフィン、ポリエチレンワックス、脂肪酸アマイド等の滑剤;ADCA等の有機発泡剤;透明核剤;有機顔料、無機顔料といった各種の着色剤;架橋剤;アクリルグラフトポリマー、MBS等の耐衝撃強化剤を挙げることができる。
【0051】
可塑剤として、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル等のフタル酸類;リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリクレシル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル類;オレイン酸ブチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸−n−ヘキシン、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル等の脂肪酸塩基エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート等のアルコールエステル類;クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸ジブチル等のオキシ酸エステル類;トリメリット系可塑剤;ポリエステル系可塑剤;エポキシ系;塩化パラフィン系可塑剤を挙げることができる。
【0052】
安定剤として、ジ−n−オクチルスズ化合物、ジ−n−ブチルスズ化合物、ジメチルスズ化合物等の有機スズ系安定剤;三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、ケイ酸鉛等の鉛化合物系安定剤;カドミウム石けん、鉛石けん、亜鉛石けん等の金属石けん系安定剤;リン酸トリスノニル;リン酸トリスノニルフェニル等を挙げることができる。
【0053】
酸化防止剤として、ジブチルクレゾール、ブチルヒドロキシアニソール等のフェノール系酸化防止剤;メチレンビス(メチルブチルフェノール)、チオビス(メチルブチルフェノール)等のビスフェノール系酸化防止剤;トリス(メチルヒドロキシブチルフェニル)ブタン、トコフェノール等のポリフェノール系酸化防止剤;ジミリスチルチオジプロピオネート等の有機イオウ化合物;トリス(モノ/ジノニルフェニル)ホスファイト等の有機リン化合物を挙げることができる。
【0054】
紫外線吸収剤として、サリチル酸フェニル、サリチル酸ブチルフェニル等のサリチル酸系紫外線吸収剤;ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;(ヒドロキシメチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;アクリル酸エチルヘキシルシアノジフェノニル等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0055】
帯電防止剤として、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミン、ポリ(オキシエチレン)アルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤系帯電防止剤;アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等の陰イオン界面活性剤系帯電防止剤;第4級アンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤系帯電防止剤;両性系界面活性剤;電導性樹脂を挙げることができる。
【0056】
難燃剤として、テトラブロモビスフェノールA、ポリブロモビフェノール、ビス(ヒドロキシジブロモフェニル)プロパン、塩化パラフィン等のハロゲン系難燃剤;リン酸アンモニウム、リン酸トリクレジル等のリン系難燃剤;三酸化アンチモン;赤リン;酸化スズ等を挙げることができる。
【0057】
また、充填剤、強化剤として、無機系材料;ステンレス鋼繊維、高強度アモルファス金属繊維、ステンレス箔、スチール箔、銅箔等の金属系材料;高分子ポリエチレン繊維、高強力ポリアレート繊維、パラ系全芳香族ポリアミド繊維、アラミド繊維、PEEK繊維、PEI繊維、PPS繊維、フッ素樹脂繊維、フェノール樹脂繊維、ビニロン繊維、ポリアセタール繊維等の有機系材料;粉系を挙げることができる。
【0058】
無機系の充填剤、強化剤として、ガラス繊維、ガラス長繊維、石英ガラス繊維等のガラス系材料;PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、グラファイトウィスカ等の炭素系材料;炭化ケイ素繊維、炭化ケイ素連続繊維、炭化ケイ素ウィスカ、炭化ケイ素ウィスカシート等の炭化ケイ素系材料;ボロン繊維といったボロン系材料;Si−Ti−C−O繊維といったSi−Ti−C−O系材料;チタン酸カリウム繊維、チタン酸カリウムウィスカ、チタン酸カリウム系導電性ウィスカ等のチタン酸カリウム系材料;窒化ケイ素ウィスカ、窒化ケイ素ウィスカシート等の窒化ケイ素系材料;硫酸カルシウムウィスカといった硫酸カルシウム系材料を挙げることができる。
【0059】
粉系の充填剤、強化剤として、マイカフレーク、マイカ粉、シラスバルーン、シリカ微粉、タルク粉、水酸化アルミニウム粉、水酸化マグネシウム粉末、マグネシウムシリケート粉末、硫酸カルシウム微粉、球状中空ガラス粉、金属化粉、高純度合成シリカ微粉、二硫化タングステン粉末、タングステンカーバイト粉、ジルコニア微粉、ジルコニア系微粉末、部分安定化ジルコニア粉末、アルミナ-ジルコニア複合粉末、複合金属粉末、鉄粉、アルミニウム粉、モリブデン金属粉、タングステン粉、窒化アルミニウム粉末、ナイロン微粒子粉、シリコーン樹脂微粉末、スピネル粉末、アモルファス合金粉末、アルミフレーク、ガラスフレークを挙げることができる。
【0060】
本発明の第2の態様、第4の態様に係る加圧ガス導入装置、あるいは、本発明の第1の態様、第2の態様に係る射出成形方法において、N個の加圧ガス計量部を用い、成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを決定し、かかる決定に基づき加圧ガスの溶融樹脂内への導入を制御すれば、加圧ガス導入装置の構成、構造が簡素であるにも拘わらず、中空部の形成のために必要とされる一定体積の加圧ガスを確実に導入することが可能となる。
【発明の効果】
【0061】
本発明においては、加圧ガス計量部を配管から構成するので、加圧ガス計量部の製造コストの低減、加圧ガス導入装置の保守費用の低減を図ることができる。また、配管は或る程度、自由に曲げることができるので、加圧ガス計量部の形状を高い自由度にて決定することができ、装置スペースを縮小することができ、スペースの有効利用を図ることができる。しかも、配管の長さや内径を変えることで、加圧ガス計量部の容積を自由に変更できる。また、加圧ガス計量部の製造のためには、配管を在庫しておくだけでよい。しかも、配管抵抗が存在するので、万一、加圧ガス計量部が破損したときでも、急激な圧力開放が生じ難いし、加圧ガス供給時に急激な昇圧が生じ難く、圧力制御精度が高くなる。
【0062】
加えて、本発明の第2の態様、第4の態様に係る加圧ガス導入装置、あるいは、本発明の第1の態様、第2の態様に係る射出成形方法においては、加圧ガス導入装置の構成、構造が簡素であるにも拘わらず、成形品における中空部の形成のために必要とされる一定体積の加圧ガスを、キャビティ内の溶融樹脂中に確実に導入することが可能となる。また、ガスの消費量も最小限で済み、経済的である。更には、成形品の中空部の容積の大小に拘わらず、加圧ガス導入装置を含む1台の射出成形装置で各種の成形品を成形することが可能となる。また、計量方式のようにシリンダーから成るピストン式コンプレッサーを使用することが無いので、保守も容易であるし、消費エネルギーも少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
【実施例1】
【0064】
実施例1は、本発明の第1の態様に係る加圧ガス導入装置に関する。実施例1の加圧ガス導入装置の概念図を、図1の(A)に示す。
【0065】
この実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例19における加圧ガス導入装置は、図示しない金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置である。
【0066】
そして、加圧ガス導入装置は、
(A)加圧ガス供給源10と、
(B)加圧ガス計量部と、
(C)加圧ガス供給源10から加圧ガス計量部に加圧ガス(具体的には、加圧窒素ガス)を供給するための第1加圧ガス供給路30と、
(D)加圧ガス計量部からキャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路32と、
(E)加圧ガス計量部と第1加圧ガス供給路30との間に配置された加圧ガス供給弁31と、
(F)加圧ガス計量部と第2加圧ガス供給路32との間に配置された加圧ガス排出制御弁33、
から構成されている。
【0067】
加圧ガス計量部は、配管(計量配管20)から成る。実施例1にあっては、加圧ガス計量部は1本の計量配管20から構成されている。JIS G3459−2004にて規定された実施例1における計量配管20(材質:SUS 316)の具体的な仕様を、以下の表1に示す。尚、他の実施例においても、計量配管は、このJIS規格に則っている。また、図面においては、計量配管を直線状に描いているが、実際には、ループ状(螺旋状)としている。以下の実施例においても同様である。
【0068】
[表1]
【0069】
尚、加圧ガス供給源10はコンプレッサーから成り、第1加圧ガス供給路30及び第2加圧ガス供給路32は、ステンレス鋼(SUS 316)から成り、加圧ガス供給弁31及び加圧ガス排出制御弁33は周知の電磁弁から成る。
【0070】
また、実施例1にあっては、加圧ガス供給源10から延びる第1加圧ガス供給路30の途中に逆止弁11が配置されている。第2加圧ガス供給路32は、加圧ガスを導入するための加圧ガス導入ノズル(図示せず)に接続されている。ここで、加圧ガス導入ノズルは、金型に配置され、キャビティに開口している。尚、各第2加圧ガス供給路32に、必要に応じて逆止弁を配置しておくことが、加圧ガスの加圧ガス計量部である計量配管20への逆流を防止するといった観点から好ましい。以下に説明する実施例においても同様である。
【0071】
そして、実施例1、あるいは、後述する実施例2から実施例19にあっては、成形品(体積約150cm3)に中空部(体積約40cm3)を形成し、且つ、ひけの無い外観が良好な成形品を得るために加圧ガスを導入する。
【0072】
以下、実施例1の射出成形方法を説明する。
【0073】
[工程−100]
先ず、加圧ガス排出制御弁33を閉状態とし、加圧ガス供給弁31を開状態として、加圧ガス計量部である計量配管20に加圧ガスを供給する。供給完了後、加圧ガス供給弁31を閉状態とする。計量配管20内の加圧ガス(加圧窒素ガス)の圧力を2×107Pa(200kgf/cm2)とした。
【0074】
[工程−110]
この状態で、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。射出条件を、以下の表2に例示する。尚、樹脂として、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製の変性ポリフェニレンエーテル樹脂(商品名:ユピエースAH40)を使用した。以下の実施例2〜実施例19においても、同じ樹脂を使用し、射出条件も表2に例示した射出条件と同様とした。
【0075】
[表2]
樹脂温度:270゜C
金型温度:80゜C
射出時間:6.0秒
射出量 :約110cm3
【0076】
[工程−120]
溶融樹脂の射出完了と同時に、加圧ガス排出制御弁33を開状態とする。これによって、加圧ガス計量部である計量配管20に蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路32及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。
【0077】
[工程−130]
溶融樹脂の射出開始から30秒後に、加圧ガス排出制御弁33を閉状態とし、溶融樹脂の射出開始から35秒後に、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、溶融樹脂の射出開始から60秒後に、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。尚、中空部内の加圧ガスを大気中に放出するためには、例えば、加圧ガス導入ノズルを後退させて、キャビティ内の樹脂と加圧ガス導入ノズルとの間に隙間を設ければよい。
【実施例2】
【0078】
実施例2は、実施例1の変形である。実施例1にあっては、加圧ガス計量部を1本の計量配管から構成した。一方、実施例2にあっては、加圧ガス導入装置の概念図を図1の(B)に示すように、加圧ガス計量部は、M本(但し、M≧2であり、実施例2にあっては2本)の計量配管20a,20bから成り、各計量配管20a,20bの間には接続制御弁38が配設されている。ここで、計量配管20a,20bの具体的な仕様を、上記の表1に示す。尚、実施例2にあっては、加圧ガス計量部を構成する計量配管の数を2個としたが、これに限定するものではない。
【0079】
以上の点を除き、実施例2の加圧ガス導入装置は、実施例1にて説明した加圧ガス導入装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【0080】
このように、加圧ガス計量部をM本の計量配管から構成することで、成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき、下流側から何本の計量配管を使用するかを決定し、加圧ガス計量部の容積を適宜変更することができる。この場合、使用しない計量配管の上流側に接続されている加圧ガス供給弁及び接続制御弁を常に開状態とし、使用する計量配管の一番上流側の弁を加圧ガス供給弁とすればよい。また、各接続制御弁は常に開状態としてもよいし、開閉を制御してもよい。例えば、加圧ガス排出制御弁を開状態にしてから、各接続制御弁を下流側から順次開状態とする。こうして、順次、加圧ガスをキャビティ内の溶融樹脂内に導入することによって、大量の加圧ガスを同時に導入する場合と比較して、加圧ガス導入ノズル近傍の溶融樹脂を吹き飛ばすことなく、安定した加圧ガスの導入を行うことが可能となる。
【0081】
以下、実施例2の射出成形方法を説明する。
【0082】
[工程−200]
先ず、加圧ガス排出制御弁33を閉状態とし、加圧ガス供給弁31及び接続制御弁38を開状態として、加圧ガス計量部である計量配管20a,20bに加圧ガスを供給する。供給完了後、加圧ガス供給弁31を閉状態とする。計量配管20a,20bの加圧ガス(加圧窒素ガス)の圧力を、実施例1と同様とした。
【0083】
[工程−210]
この状態で、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。射出条件を、上記の表2と同様とした。
【0084】
[工程−220]
溶融樹脂の射出完了と同時に、加圧ガス排出制御弁33を開状態とする。これによって、計量配管20a,20bに蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路32及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。
【0085】
[工程−230]
その後、実施例1の[工程−130]と同様にして、加圧ガス排出制御弁33を閉状態とし、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。
【実施例3】
【0086】
実施例3は、本発明の第2の態様に係る加圧ガス導入装置、及び、本発明の第1の態様に係る射出成形方法に関する。実施例3の加圧ガス導入装置の概念図を、図2の(A)に示す。
【0087】
この加圧ガス導入装置も、図示しない金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置である。
【0088】
そして、加圧ガス導入装置は、
(A)加圧ガス供給源10と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)加圧ガス供給源10から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路30と、
(D)各加圧ガス計量部からキャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガス(具体的には、加圧窒素ガス)を導入するための第2加圧ガス供給路32と、
(E)各加圧ガス計量部と各第1加圧ガス供給路30との間に配置された加圧ガス供給弁31A,31B,31Cと、
(F)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路32との間に配置された加圧ガス排出制御弁33A,33B,33C、
から構成されている。
【0089】
そして、各加圧ガス計量部は、1本の配管(計量配管20A,20B,20C)から成る。尚、実施例3、あるいは、後述する実施例5〜実施例10にあっては、加圧ガス計量部(計量配管)の数を3個としたが、これに限定するものではない。
【0090】
実施例3にあっては、加圧ガス供給源10から1本の第1加圧ガス供給路30を延ばし、途中で3本の第1加圧ガス供給路30に分岐させている。加圧ガス供給弁31A,31B,31Cは、分岐した3本の第1加圧ガス供給路30と計量配管20A,20B,20Cとの間に配置されている。加圧ガス供給源10から延びる1本の第1加圧ガス供給路30の途中に逆止弁11が配置されている。3本の第2加圧ガス供給路32が、3個の加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20Cから延び、1本の第2加圧ガス供給路32に纏められ、加圧ガス導入ノズル(図示せず)に接続されている。加圧ガス導入ノズルは、金型に配置され、キャビティに開口している。加圧ガス排出制御弁33A,33B,33Cは、3個の加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20Cと3本の第2加圧ガス供給路32との間に配置されている。尚、各第2加圧ガス供給路32に、必要に応じて逆止弁を配置しておくことが、加圧ガスの加圧ガス計量部への逆流を防止するといった観点から好ましい。
【0091】
最も容積の小さい加圧ガス計量部である計量配管20Aの容積をV0(=50cm3)としたとき、第n番目(n=2,3)の計量配管の容積Vnを、2(n-1)V0とした。計量配管20A,20B,20Cの具体的な仕様を、上記の表1に示す。尚、以下の実施例にあっても、特段に断りの無い限り、計量配管20A,20B,20Cの具体的な仕様を表1に示す仕様とした。
【0092】
実施例3の加圧ガス導入装置にあっては、成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20Cの組合せを決定し、かかる決定に基づき各加圧ガス排出制御弁33A,33B,33Cの開閉を制御する。
【0093】
以下、図3の(A)、(B)及び図4の(A)、(B)を参照して、実施例3の射出成形方法を説明するが、高い圧力の加圧ガスを蓄えた状態の加圧ガス計量部(計量配管)には、クロスハッチングを付し、低い圧力の加圧ガスを蓄えた状態の加圧ガス計量部(計量配管)には、単なるハッチングを付し、使用していない加圧ガス計量部(計量配管)にはハッチングを付していない。尚、射出成形方法を説明する他の図においても同様である。
【0094】
実施例3にあっては、成形品に中空部を形成し、且つ、ひけの無い外観が良好な成形品を得るために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部(計量配管)の組合せを予め決定しておく。具体的には、加圧ガス計量部である計量配管20A及び計量配管20Bを使用する。
【0095】
[工程−300]
先ず、図3の(A)に示すように、加圧ガス排出制御弁33A,33B,33Cを閉状態とし、加圧ガス供給弁31A,31Bを開状態として(計量配管20Cは使用しないので、加圧ガス供給弁31Cは閉状態である)、組合わされた各加圧ガス計量部である計量配管20A,20Bに加圧ガスを供給する。供給完了後、加圧ガス供給弁31A,31Bを閉状態とする(図3の(B)参照)。計量配管20A,20B内の加圧ガス(加圧窒素ガス)の圧力を2×107Pa(200kgf/cm2)とした。
【0096】
[工程−310]
この状態で、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。射出条件は、上記の表2のとおりとした。
【0097】
[工程−320]
溶融樹脂の射出完了と同時に、先の決定に基づき、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを開状態とする。尚、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを同時に開状態とする。この状態を、図4の(A)に示す。これによって、計量配管20A,20Bに蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路32及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。
【0098】
[工程−330]
溶融樹脂の射出開始から30秒後に、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを閉状態とし(図4の(B)参照)、溶融樹脂の射出開始から35秒後に、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、溶融樹脂の射出開始から60秒後に、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。尚、中空部内の加圧ガスを大気中に放出するためには、例えば、加圧ガス導入ノズルを後退させて、キャビティ内の樹脂と加圧ガス導入ノズルとの間に隙間を設ければよい。
【実施例4】
【0099】
実施例4は、実施例3の変形である。実施例3にあっては、各加圧ガス計量部を1本の計量配管から構成した。一方、実施例4にあっては、加圧ガス導入装置の概念図を図2の(B)に示すように、各加圧ガス計量部のぞれぞれは、M本(但し、M≧2であり、実施例4にあっては2本)の計量配管から成り、各配管の間には接続制御弁が配設されている。具体的には、計量配管20Aを構成する計量配管20A1と計量配管20A2との間には接続制御弁38Aが配設されており、計量配管20Bを構成する計量配管20B1と計量配管20B2との間には接続制御弁38Bが配設されており、計量配管20Cを構成する計量配管20C1と計量配管20C2との間には接続制御弁38Cが配設されている。計量配管20A1,20A2,20B1,20B2,20C1,20C2の具体的な仕様を、上記の表1に示す。尚、実施例4にあっては、各加圧ガス計量部を構成する計量配管の数を2個としたが、これに限定するものではない。
【0100】
以上の点を除き、実施例4の加圧ガス導入装置は、実施例3にて説明した加圧ガス導入装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【0101】
実施例4にあっても、成形品に中空部を形成し、且つ、ひけの無い外観が良好な成形品を得るために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部(計量配管)の組合せを予め決定しておく。具体的には、加圧ガス計量部である計量配管20A1,20A2及び計量配管20B1,20B2を使用する。
【0102】
以下、実施例4の射出成形方法を説明する。
【0103】
[工程−400]
先ず、加圧ガス排出制御弁33A,33B,33Cを閉状態とし、加圧ガス供給弁31A,31B、及び、接続制御弁38A,38Bを開状態として(計量配管20Cは使用しないので、加圧ガス供給弁31C、接続制御弁38Cは閉状態である)、組合わされた各加圧ガス計量部である計量配管20A1,20A2,20B1,20B2に加圧ガスを供給する。供給完了後、加圧ガス供給弁31A,31Bを閉状態とする。計量配管20A1,20A2,20B1,20B2内の加圧ガス(加圧窒素ガス)の圧力を2×107Pa(200kgf/cm2)とした。
【0104】
[工程−410]
この状態で、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。射出条件は、上記の表2のとおりとした。
【0105】
[工程−420]
溶融樹脂の射出完了と同時に、先の決定に基づき、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを開状態とする。尚、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを同時に開状態とする。これによって、計量配管20A1,20A2,20B1,20B2に蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路32及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。
【0106】
[工程−430]
その後、実施例3の[工程−330]と同様にして、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを閉状態とし、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。
【実施例5】
【0107】
実施例5は、実施例3の変形である。実施例3においては、[工程−320]において各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを同時に開状態としたが、実施例5においては、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを、同時には開状態としない。即ち、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを、順次、開状態とする。具体的には、溶融樹脂の射出完了と同時に、先の決定に基づき、先ず、加圧ガス排出制御弁33Aを開状態とする(図5の(A)参照)。加圧ガス排出制御弁33Aを開状態としてから、5秒経過後に、加圧ガス排出制御弁33Bを開状態とする(図5の(B)参照)。こうして、順次、加圧ガスをキャビティ内の溶融樹脂内に導入することによって、大量の加圧ガスを同時に導入する場合と比較して、加圧ガス導入ノズル近傍の溶融樹脂を吹き飛ばすことなく、安定した加圧ガスの導入を行うことが可能となる。
【実施例6】
【0108】
実施例6も、実施例3の変形である。実施例3においては、[工程−330]において、中空部内の加圧ガスを大気中に放出した。一方、実施例6にあっては、中空部内の加圧ガスを、加圧ガス計量部である計量配管20Cに回収する。具体的には、溶融樹脂の射出開始から25秒後に、加圧ガス排出制御弁33Cを開状態とし、キャビティ内の樹脂の内部に形成された中空部における加圧ガスを計量配管20Cに回収する。加圧ガス排出制御弁33Cを開状態とする前、及び、開状態とした後の状態を、それぞれ、図6の(A)、(B)に示す。そして、溶融樹脂の射出開始から30秒後に、各加圧ガス排出制御弁33A,33B,33Cを閉状態とし(図7参照)、溶融樹脂の射出開始から31秒後に、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、溶融樹脂の射出開始から60秒後に、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。尚、計量配管20C内の加圧ガスは、図示しない回収ラインを介して、加圧ガス供給源10に送ればよい。
【実施例7】
【0109】
実施例7も、実施例3の変形である。図8に示すように、実施例7にあっても、加圧ガス供給源10から1本の第1加圧ガス供給路30を延ばし、途中で3本の第1加圧ガス供給路30に分岐させている。そして、加圧ガス供給制御弁12を分岐前の1本の第1加圧ガス供給路30に配置している。更には、分岐された3本の第1加圧ガス供給路30と計量配管20A,20B,20Cとの間には、逆止弁タイプの加圧ガス供給弁34A,34B,34Cが配置されている。加圧ガス導入装置のその他の構成は、実施例3と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0110】
以下、図9の(A)、(B)及び図10の(A)、(B)を参照して、実施例7の射出成形方法を説明する。
【0111】
実施例7にあっては、実施例3と同じ成形品を成形する。従って、加圧ガス計量部である計量配管20A及び計量配管20Bを使用する。
【0112】
[工程−700]
先ず、図9の(A)に示すように、加圧ガス排出制御弁33A,33B,33Cを閉状態とし、加圧ガス供給制御弁12を開状態として、組合わされた各計量配管20A,20Bに加圧ガスを供給する。尚、本来は使用しない計量配管20Cにも加圧ガスが供給される。供給完了後、加圧ガス供給制御弁12を閉状態とする(図9の(B)参照)。計量配管20A,20B内の加圧ガスの圧力は、実施例3と同様である。
【0113】
[工程−710]
この状態で、実施例3の[工程−310]と同様にして、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。
【0114】
[工程−720]
溶融樹脂の射出完了と同時に、先の決定に基づき、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを開状態とする。尚、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを同時に開状態とする。この状態を、図10の(A)に示す。これによって、計量配管20A,20Bに蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路32及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。尚、実施例5と同様に、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを同時には開状態としなくともよい。即ち、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを、順次、開状態としてもよい。
【0115】
[工程−730]
その後、実施例3の[工程−330]と同様にして、各加圧ガス排出制御弁33A,33Bを閉状態とし(図10の(B)参照)、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。
【実施例8】
【0116】
実施例8も、実施例3の変形である。図11に示すように、実施例8においては、加圧ガス供給弁31A,31B,31Cと加圧ガス供給源10との間(より具体的には、逆止弁11と加圧ガス供給源10との間)の第1加圧ガス供給路30に、加圧ガス計量部20A,20B,20Cの合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンク13が配置されている。
【0117】
あるいは又、実施例7の変形とすることもできる。即ち、図12に示すように、加圧ガス供給制御弁12と加圧ガス供給源10との間の第1加圧ガス供給路30に、加圧ガス計量部20A,20B,20Cの合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンク13が配置されている構成とすることもできる。
【0118】
この点を除き、加圧ガス導入装置のその他の構成は、実施例3あるいは実施例7と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、射出成形方法も、実施例3あるいは実施例7、更には、実施例5あるいは実施例6と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例9】
【0119】
実施例9も、実施例3の変形である。実施例9においては、図13の(A)に示すように、加圧ガス供給弁31A,31B,31Cと加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20Cとの間に、計量配管20A,20B,20C毎に圧力調整弁35A,35B,35Cが配置されている。尚、加圧ガス供給弁31A,31B,31Cと圧力調整弁35A,35B,35Cとは接続用配管39によって接続され、計量配管20A,20B,20Cは、圧力調整弁35A,35B,35Cに取り付けられている。
【0120】
あるいは又、実施例7の変形とすることもできる。即ち、図13の(B)に示すように、逆止弁タイプの加圧ガス供給弁34A,34B,34Cと加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20Cとの間に、計量配管20A,20B,20C毎に圧力調整弁35A,35B,35Cが配置されている。尚、加圧ガス供給弁34A,34B,34Cと圧力調整弁35A,35B,35Cとは接続用配管39によって接続され、計量配管20A,20B,20Cは、圧力調整弁35A,35B,35Cに接続されている。
【0121】
このように圧力調整弁35A,35B,35Cを配置することによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの圧力の最適化を図ることができるし、加圧ガスの効率的な使用を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて高圧の加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的低圧の加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。
【0122】
尚、図14に示すように、加圧ガス供給弁31A,31B,31Cと加圧ガス供給源10との間(より具体的には、逆止弁11と加圧ガス供給源10との間)の第1加圧ガス供給路30に、加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20Cの合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンク13が配置されている構成とすることもできるし、図15に示すように、加圧ガス供給制御弁12と加圧ガス供給源10との間の第1加圧ガス供給路30に、加圧ガス計量部20A,20B,20Cの合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンク13が配置されている構成とすることもできる。
【0123】
尚、3本の第1加圧ガス供給路30の途中に、各計量配管20A,20B,20C毎に、圧力調整弁35A,35B,35Cを配置してもよい。
【0124】
加圧ガス導入装置のその他の構成は、実施例3あるいは実施例7と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、射出成形方法も、実施例3あるいは実施例7、更には、実施例5あるいは実施例6と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例10】
【0125】
実施例10も、実施例3の変形である。図16の(A)に示すように、実施例10においては、各第2加圧ガス供給路32の途中に、更に、各加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20C毎に流量調整弁36A,36B,36Cが配置されている。これによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの導入速度の最適化を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて低速にて加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的高速にて加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。
【0126】
あるいは又、図16の(B)に示すように、実施例7の変形とすることもできる。
【0127】
加圧ガス導入装置のその他の構成は、実施例3あるいは実施例7と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、射出成形方法も、実施例3あるいは実施例7、更には、実施例5あるいは実施例6と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0128】
また、実施例8にて説明した加圧ガス蓄積タンク13を配置した構成とすることもできるし、実施例9にて説明した圧力調整弁35A,35B,35Cを実施例10に適用することもできる。
【実施例11】
【0129】
実施例11は、本発明の第3の態様に係る加圧ガス導入装置に関する。実施例11の加圧ガス導入装置の概念図を、図17の(A)に示す。
【0130】
この実施例11の加圧ガス導入装置も、図示しない金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置である。
【0131】
そして、加圧ガス導入装置は、
(A)加圧ガス供給源10と、
(B)加圧ガス計量部と、
(C)加圧ガス供給源10に接続された第1加圧ガス供給路40と、
(D)第1加圧ガス供給路40の末端41に接続され、加圧ガス供給源10から加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第2加圧ガス供給路42と、
(E)第1加圧ガス供給路40の末端41に接続され、第2加圧ガス供給路42と連通し、加圧ガス計量部からキャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第3加圧ガス供給路44と、
(F)第1加圧ガス供給路40の途中に配置された加圧ガス供給弁15と、
(G)加圧ガス計量部と第2加圧ガス供給路42との間に配置された加圧ガス供給・排出制御弁43と、
(H)第3加圧ガス供給路44の途中に配置された加圧ガス排出弁45、
から構成されている。
【0132】
加圧ガス計量部は、配管(計量配管20)から成る。実施例11にあっては、加圧ガス計量部は1本の計量配管20から構成されている。計量配管20の具体的な仕様を、上記の表1に示すが、計量配管20の一端は閉塞状態とされている。
【0133】
尚、加圧ガス供給源10はコンプレッサーから成り、第1加圧ガス供給路40、第2加圧ガス供給路42及び第3加圧ガス供給路44は、第1加圧ガス供給路30と同じ材質から成り、加圧ガス供給・排出制御弁43及び加圧ガス排出弁45は周知の電磁弁から成る。
【0134】
また、実施例11にあっては、加圧ガス供給源10から延びる第1加圧ガス供給路40の途中に逆止弁14が配置されている。第3加圧ガス供給路44は、加圧ガス排出弁45を介して、加圧ガスを導入するための加圧ガス導入ノズル(図示せず)に接続されている。ここで、加圧ガス導入ノズルは、金型に配置され、キャビティに開口している。尚、各第3加圧ガス供給路44に、必要に応じて逆止弁を配置しておくことが、加圧ガスの加圧ガス計量部である計量配管20への逆流を防止するといった観点から好ましい。以下に説明する実施例においても同様である。
【0135】
以下、実施例11の射出成形方法を説明する。
【0136】
[工程−1100]
先ず、加圧ガス排出弁45を閉状態とし、加圧ガス供給・排出制御弁43及び加圧ガス供給弁15を開状態として、加圧ガス計量部である計量配管20に加圧ガスを供給する。供給完了後、加圧ガス供給・排出制御弁43及び加圧ガス供給弁15を閉状態とする。計量配管20内の加圧ガスの圧力を実施例1と同じとした。
【0137】
[工程−1110]
この状態で、実施例1の[工程−110]と同様にして、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。
【0138】
[工程−1120]
溶融樹脂の射出完了と同時に、加圧ガス供給・排出制御弁43を開状態とし、且つ、第3加圧ガス供給路44に配置された加圧ガス排出弁45を開状態とする。これによって、加圧ガス計量部である計量配管20に蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路42、第3加圧ガス供給路44及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。
【0139】
[工程−1130]
その後、実施例1の[工程−130]と同様にして、加圧ガス供給・排出制御弁43及び加圧ガス排出弁45を閉状態とし、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。
【実施例12】
【0140】
実施例12は、実施例11の変形である。実施例11にあっては、加圧ガス計量部を1本の計量配管から構成した。一方、実施例12にあっては、加圧ガス導入装置の概念図を図17の(B)に示すように、加圧ガス計量部は、M本(但し、M≧2であり、実施例12にあっては2本)の計量配管20a,20bから成り、各計量配管20a,20bの間には接続制御弁48が配設されている。ここで、計量配管20a,20bの具体的な仕様を、上記の表1に示す。尚、実施例12にあっては、加圧ガス計量部を構成する計量配管の数を2個としたが、これに限定するものではない。
【0141】
以上の点を除き、実施例12の加圧ガス導入装置は、実施例11にて説明した加圧ガス導入装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【0142】
以下、実施例12の射出成形方法を説明する。
【0143】
[工程−1200]
先ず、加圧ガス排出弁45を閉状態とし、加圧ガス供給・排出制御弁43、接続制御弁48及び加圧ガス供給弁15を開状態として、加圧ガス計量部である計量配管20a,20bに加圧ガスを供給する。供給完了後、加圧ガス供給・排出制御弁43及び加圧ガス供給弁15を閉状態とする。計量配管20a,20b内の加圧ガスの圧力を実施例11と同じとした。
【0144】
[工程−1210]
この状態で、実施例11の[工程−1110]と同様にして、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。
【0145】
[工程−1220]
溶融樹脂の射出完了と同時に、加圧ガス供給・排出制御弁43を開状態とし、且つ、第3加圧ガス供給路44に配置された加圧ガス排出弁45を開状態とする。これによって、加圧ガス計量部である計量配管20a,20bに蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路42、第3加圧ガス供給路44及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。
【0146】
[工程−1230]
その後、実施例1の[工程−130]と同様にして、加圧ガス供給・排出制御弁43及び加圧ガス排出弁45を閉状態とし、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。
【実施例13】
【0147】
実施例13は、本発明の第4の態様に係る加圧ガス導入装置、及び、本発明の第2の態様に係る射出成形方法に関する。実施例13の加圧ガス導入装置の概念図を、図18の(A)に示す。
【0148】
この加圧ガス導入装置も、図示しない金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置である。
【0149】
そして、加圧ガス導入装置は、
(A)加圧ガス供給源10と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)加圧ガス供給源10に接続された第1加圧ガス供給路40と、
(D)第1加圧ガス供給路40の末端41に接続され、加圧ガス供給源10から各加圧ガス計量部に加圧ガス(具体的には、加圧窒素ガス)を供給するための第2加圧ガス供給路42と、
(E)第1加圧ガス供給路40の末端41に接続され、第2加圧ガス供給路42と連通し、各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第3加圧ガス供給路44と、
(F)第1加圧ガス供給路40の途中に配置された加圧ガス供給弁15と、
(G)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路42との間に配置された加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B,43Cと、
(H)第3加圧ガス供給路44の途中に配置された加圧ガス排出弁45、
から構成されている。
【0150】
そして、各加圧ガス計量部は、実施例3と同様に、1本の配管(計量配管20A,20B,20C)から成る。計量配管20A,20B,20Cの具体的な仕様を、上記の表1に示すが、計量配管20A,20B,20Cの一端は閉塞状態とされている。尚、実施例13、あるいは、後述する実施例15〜実施例19にあっては、加圧ガス計量部(計量配管)の数を3個としたが、これに限定するものではない。
【0151】
実施例13にあっては、第1加圧ガス供給路40の末端41に接続された第2加圧ガス供給路42の数を1本とし、途中で3本の第2加圧ガス供給路42に分岐させている。加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B,43Cは、分岐した3本の第2加圧ガス供給路42と、計量配管20A,20B,20Cとの間に配置されている。第1加圧ガス供給路40の末端41に接続された第3加圧ガス供給路44の数は1本である。第3加圧ガス供給路44は加圧ガス導入ノズル(図示せず)に接続されている。加圧ガス導入ノズルは、金型に配置され、キャビティに開口している。また、加圧ガス供給源10と加圧ガス供給弁15との間の第1加圧ガス供給路40に、逆止弁14が配置されている。
【0152】
実施例13の加圧ガス導入装置にあっても、成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20Cの組合せを決定し、かかる決定に基づき各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B,43Cの開閉を制御する。実施例13にあっては、具体的には、加圧ガス計量部である計量配管20A及び計量配管20Bを使用する。
【0153】
以下、図19の(A)、(B)及び図20の(A)、(B)を参照して、実施例13の射出成形方法を説明する。
【0154】
[工程−1300]
先ず、図19の(A)に示すように、加圧ガス排出弁45を閉状態とし、加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B及び加圧ガス供給弁15を開状態として、組合わされた各加圧ガス計量部である計量配管20A,20Bに加圧ガスを供給する。供給完了後、加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B及び加圧ガス供給弁15を閉状態とする(図19の(B)参照)。計量配管20A,20B内の加圧ガスの圧力を実施例3と同じとした。
【0155】
[工程−1310]
この状態で、実施例3の[工程−310]と同様にして、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。
【0156】
[工程−1320]
溶融樹脂の射出完了と同時に、先の決定に基づき各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43Bを開状態とし、且つ、第3加圧ガス供給路44に配置された加圧ガス排出弁45を開状態とする。尚、各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43Bを同時に開状態とする。この状態を、図20の(A)に示す。これによって、加圧ガス計量部である計量配管20A,20Bに蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路42、第3加圧ガス供給路44及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。
【0157】
[工程−1330]
その後、実施例3の[工程−330]と同様にして、各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B及び加圧ガス排出弁45を閉状態とし(図20の(B)参照)、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。
【実施例14】
【0158】
実施例14は、実施例13の変形である。実施例13にあっては、各加圧ガス計量部を1本の計量配管から構成した。一方、実施例14にあっては、加圧ガス導入装置の概念図を図18の(B)に示すように、各加圧ガス計量部のぞれぞれは、M本(但し、M≧2であり、実施例14にあっては2本)の計量配管から成り、各配管の間には接続制御弁が配設されている。具体的には、計量配管20Aを構成する計量配管20A1と計量配管20A2との間には接続制御弁48Aが配設されており、計量配管20Bを構成する計量配管20B1と計量配管20B2との間には接続制御弁48Bが配設されており、計量配管20Cを構成する計量配管20C1と計量配管20C2との間には接続制御弁48Cが配設されている。計量配管20A1,20A2,20B1,20B2,20C1,20C2の具体的な仕様を、上記の表1に示す。尚、実施例14にあっては、各加圧ガス計量部を構成する計量配管の数を2個としたが、これに限定するものではない。
【0159】
以上の点を除き、実施例14の加圧ガス導入装置は、実施例13にて説明した加圧ガス導入装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【0160】
実施例14にあっても、成形品に中空部を形成し、且つ、ひけの無い外観が良好な成形品を得るために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部(計量配管)の組合せを予め決定しておく。具体的には、加圧ガス計量部である計量配管20A1,20A2及び計量配管20B1,20B2を使用する。
【0161】
以下、実施例14の射出成形方法を説明する。
【0162】
[工程−1400]
先ず、加圧ガス排出弁45を閉状態とし、加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B、接続制御弁48A,48B及び加圧ガス供給弁15を開状態として、組合わされた各加圧ガス計量部である計量配管20A1,20A2及び計量配管20B1,20B2に加圧ガスを供給する。供給完了後、加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B及び加圧ガス供給弁15を閉状態とする。計量配管20A1,20A2及び計量配管20B1,20B2内の加圧ガスの圧力を実施例13と同じとした。
【0163】
[工程−1410]
この状態で、実施例3の[工程−310]と同様にして、金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出する。
【0164】
[工程−1420]
溶融樹脂の射出完了と同時に、先の決定に基づき各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43Bを開状態とし、且つ、第3加圧ガス供給路44に配置された加圧ガス排出弁45を開状態とする。尚、各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43Bを同時に開状態とする。これによって、加圧ガス計量部である計量配管20A1,20A2及び計量配管20B1,20B2に蓄えられていた加圧ガスが、第2加圧ガス供給路42、第3加圧ガス供給路44及び加圧ガス導入ノズルを介して、キャビティ内の溶融樹脂内に導入され、中空部が形成される。
【0165】
[工程−1430]
その後、実施例3の[工程−330]と同様にして、各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B及び加圧ガス排出弁45を閉状態とし、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。
【実施例15】
【0166】
実施例15は、実施例13の変形である。実施例13においては、[工程−1320]において各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43Bを同時に開状態としたが、実施例15においては、各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43Bを、同時には開状態としない。即ち、各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43Bを、順次、開状態とする。具体的には、溶融樹脂の射出完了と同時に、先の決定に基づき、先ず、加圧ガス供給・排出制御弁43Aを開状態とし、且つ、第3加圧ガス供給路44に配置された加圧ガス排出弁45を開状態とする(図21の(A)参照)。加圧ガス供給・排出制御弁43Aを開状態としてから、5秒経過後に、加圧ガス供給・排出制御弁43Bを開状態とする(図21の(B)参照)。これによって、実施例5において説明したと同様の効果を得ることができる。
【実施例16】
【0167】
実施例16も、実施例13の変形である。実施例13においては、[工程−1330]において、中空部内の加圧ガスを大気中に放出した。一方、実施例16にあっては、中空部内の加圧ガスを、加圧ガス計量部である計量配管20Cに回収する。具体的には、溶融樹脂の射出開始から25秒後に、加圧ガス供給・排出制御弁43Cを開状態とし、キャビティ内の樹脂の内部に形成された中空部における加圧ガスを計量配管20Cに回収する。加圧ガス供給・排出制御弁43Cを開状態とする前、及び、開状態とした後の状態を、それぞれ、図22の(A)、(B)に示す。そして、溶融樹脂の射出開始から30秒後に、各加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B,43Cを閉状態とし(図23参照)、溶融樹脂の射出開始から31秒後に、中空部内の加圧ガスを大気中に放出し、溶融樹脂の射出開始から60秒後に、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部が形成されていた。尚、計量配管20C内の加圧ガスは、図示しない回収ラインを介して、加圧ガス供給源10に送ればよい。
【実施例17】
【0168】
実施例17も、実施例13の変形である。図24に示すように、実施例17においては、加圧ガス供給弁15と加圧ガス供給源10との間(より具体的には、逆止弁14と加圧ガス供給源10との間)の第1加圧ガス供給路40に、加圧ガス計量部20A,20B,20Cの合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンク13が配置されている。
【0169】
この点を除き、加圧ガス導入装置のその他の構成は、実施例13と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、射出成形方法も、実施例13あるいは実施例15、実施例16と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例18】
【0170】
実施例18も、実施例13の変形である。実施例18においては、図25に示すように、3本の第2加圧ガス供給路42の途中に、更に、各加圧ガス計量部20A,20B,20C毎に圧力調整弁46A,46B,46Cが配置されている。
【0171】
このように圧力調整弁46A,46B,46Cを配置することによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの圧力の最適化を図ることができるし、加圧ガスの効率的な使用を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて高圧の加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的低圧の加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。
【0172】
計量配管20A,20B,20Cと加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B,43Cとの間に圧力調整弁を配置してもよい。この場合、加圧ガス供給・排出制御弁43A,43B,43Cと圧力調整弁とを接続用配管によって接続し、計量配管20A,20B,20Cを圧力調整弁に取り付ければよい。
【0173】
図26に示すように、加圧ガス供給弁15と加圧ガス供給源10との間(より具体的には、逆止弁14と加圧ガス供給源10との間)の第1加圧ガス供給路40に、加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20Cの合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンク13が配置されている構成とすることもできる。
【0174】
加圧ガス導入装置のその他の構成は、実施例13と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、射出成形方法も、実施例13〜実施例16と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例19】
【0175】
実施例19も、実施例13の変形である。図27に示すように、実施例19においては、各第2加圧ガス供給路42の途中に、更に、各加圧ガス計量部20A,20B,20C毎に流量調整弁47A,47B,47Cが配置されている。これによって、キャビティ内の溶融樹脂内に導入すべき加圧ガスの導入速度の最適化を図ることができる。即ち、例えば、キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入する初期段階においては、或る加圧ガス計量部を用いて低速にて加圧ガスを導入し、初期段階が経過した後、他の加圧ガス計量部を用いて比較的高速にて加圧ガスを導入するといった構成を採用することができる。
【0176】
加圧ガス導入装置のその他の構成は、実施例13と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、射出成形方法も、実施例13〜実施例16と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0177】
また、実施例17にて説明した加圧ガス蓄積タンク13を配置した構成とすることもできる。更には、実施例18にて説明したと同様に、例えば、3本の第2加圧ガス供給路42の途中に、各加圧ガス計量部である計量配管20A,20B,20C毎に圧力調整弁46A,46B,46Cを配置してもよい。
【0178】
以上、本発明を、実施例に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例にて説明した加圧ガス導入装置の構造、実施例にて使用した熱可塑性樹脂、射出成形条件、成形品の大きさ等は例示であり、適宜変更することができる。実施例においては、1台の加圧ガス導入装置で1つの金型に加圧ガスを供給する構成を説明したが、このような構成に限定されるものではない。図28には、1台の加圧ガス導入装置で複数(図示した例では2つ)の金型に加圧ガスを供給する構成を示す。尚、図28には、実施例3の加圧ガス導入装置を示したが、他の実施例における加圧ガス導入装置を適用することができることは云うまでもない。
【0179】
実施例4にて説明した計量配管の構成、構造を、実施例5〜実施例10に適用することができるし、実施例14にて説明した計量配管の構成、構造を、実施例15〜実施例19に適用することができる。また、計量配管に圧力計あるいは圧力センサーを取り付け、圧力計あるいは圧力センサーの測定圧力値が所定の圧力となったならば(即ち、加圧ガスを供給した後)、あるいは、所定の圧力となる前に(即ち、加圧ガスの供給途中で)、加圧ガス供給弁あるいは加圧ガス供給・排出制御弁を閉状態とし、計量配管への加圧ガスの供給を遮断してもよい。圧力計あるいは圧力センサーは、計量配管の上流側に配設してもよいし、計量配管の下流側に配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】図1の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1及び実施例2の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図2】図2の(A)は、実施例3の加圧ガス導入装置の概念図であり、図2の(B)は、実施例4の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図3】図3の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例3の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図4】図4の(A)及び(B)は、それぞれ、図3の(B)に引き続き、実施例3の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図5】図5の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例5の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図6】図6の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例6の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図7】図7は、図6の(B)に引き続き、実施例6の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図8】図8は、実施例7の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図9】図9の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例7の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図10】図10の(A)及び(B)は、それぞれ、図9の(B)に引き続き、実施例7の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図11】図11は、実施例8の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図12】図12は、実施例8の加圧ガス導入装置の変形例の概念図である。
【図13】図13の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例9の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図14】図14は、実施例9の加圧ガス導入装置の変形例の概念図である。
【図15】図15は、実施例9の加圧ガス導入装置の別の変形例の概念図である。
【図16】図16の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例10の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図17】図17の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例11及び実施例12の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図18】図18の(A)は、実施例13の加圧ガス導入装置の概念図であり、図18の(B)は、実施例14の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図19】図19の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例13の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図20】図20の(A)及び(B)は、それぞれ、図19の(B)に引き続き、実施例13の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図21】図21の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例15の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図22】図22の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例16の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図23】図23は、図22の(B)に引き続き、実施例16の射出成形方法を説明するための加圧ガス導入装置の概念図である。
【図24】図24は、実施例17の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図25】図25は、実施例18の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図26】図26は、実施例18の加圧ガス導入装置の変形例の概念図である。
【図27】図27は、実施例19の加圧ガス導入装置の概念図である。
【図28】図28は、1台の加圧ガス導入装置で複数(図示した例では2つ)の金型に加圧ガスを供給する構成を示す概念図である。
【符号の説明】
【0181】
10・・・加圧ガス供給源、11・・・逆止弁、12・・・加圧ガス供給制御弁、13・・・加圧ガス蓄積タンク、14・・・逆止弁、15・・・加圧ガス供給弁、20,20a,20b,20A,20B,20C・・・加圧ガス計量部(計量配管)、30,30・・・第1加圧ガス供給路、31,31A,31B,31C,34A,34B,34C・・・加圧ガス供給弁、32・・・第2加圧ガス供給路、33,33A,33B,33C・・・加圧ガス排出制御弁、35A,35B,35C・・・圧力調整弁、36A,36B,36C・・・流量調整弁、38,38A,38B,38C・・・接続制御弁、39・・・接続用配管、40・・・第1加圧ガス供給路、41・・・第1加圧ガス供給路の末端、42・・・第2加圧ガス供給路、43A,43B,43C・・・加圧ガス供給・排出制御弁、44・・・第3加圧ガス供給路、45・・・加圧ガス排出弁、46A,46B,46C・・・圧力調整弁、47A,47B,47C・・・流量調整弁、48,48A,48B,48C・・・接続制御弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源から加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路と、
(D)加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路と、
(E)加圧ガス計量部と第1加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給弁と、
(F)加圧ガス計量部と第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス排出制御弁、
から構成され、
加圧ガス計量部は、配管から成ることを特徴とする加圧ガス導入装置。
【請求項2】
加圧ガス計量部は、1本の配管から成ることを特徴とする請求項1に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項3】
加圧ガス計量部は、M本(但し、M≧2)の配管から成り、
各配管の間には接続制御弁が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項4】
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路と、
(D)各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路と、
(E)各加圧ガス計量部と各第1加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給弁と、
(F)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス排出制御弁、
から構成され、
各加圧ガス計量部は、配管から成ることを特徴とする加圧ガス導入装置。
【請求項5】
各加圧ガス計量部は、1本の配管から成ることを特徴とする請求項4に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項6】
各加圧ガス計量部は、M本(但し、M≧2)の配管から成り、
各配管の間には接続制御弁が配設されていることを特徴とする請求項4に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項7】
成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを決定し、かかる決定に基づき各加圧ガス排出制御弁の開閉を制御することを特徴とする請求項4に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項8】
加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間、若しくは、第1加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されていることを特徴とする請求項4に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項9】
加圧ガス供給弁と加圧ガス供給源との間の第1加圧ガス供給路には、加圧ガス計量部の合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンクが配置されていることを特徴とする請求項4に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項10】
加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間、若しくは、加圧ガス蓄積タンクと加圧ガス計量部との間の第1加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されていることを特徴とする請求項9に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項11】
各第2加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に流量調整弁が配置されていることを特徴とする請求項4乃至請求項10のいずれか1項に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項12】
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源に接続された第1加圧ガス供給路と、
(D)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該加圧ガス供給源から加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第2加圧ガス供給路と、
(E)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該第2加圧ガス供給路と連通し、加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第3加圧ガス供給路と、
(F)第1加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス供給弁と、
(G)加圧ガス計量部と第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給・排出制御弁と、
(H)第3加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス排出弁、
から構成され、
加圧ガス計量部は、配管から成ることを特徴とする加圧ガス導入装置。
【請求項13】
加圧ガス計量部は、1本の配管から成ることを特徴とする請求項12に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項14】
加圧ガス計量部は、M本(但し、M≧2)の配管から成り、
各配管の間には接続制御弁が配設されていることを特徴とする請求項12に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項15】
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源に接続された第1加圧ガス供給路と、
(D)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該加圧ガス供給源から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第2加圧ガス供給路と、
(E)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該第2加圧ガス供給路と連通し、各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第3加圧ガス供給路と、
(F)第1加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス供給弁と、
(G)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給・排出制御弁と、
(H)第3加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス排出弁、
から構成され、
各加圧ガス計量部は、配管から成ることを特徴とする加圧ガス導入装置。
【請求項16】
各加圧ガス計量部は、1本の配管から成ることを特徴とする請求項15に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項17】
各加圧ガス計量部は、M本(但し、M≧2)の配管から成り、
各配管の間には接続制御弁が配設されていることを特徴とする請求項15に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項18】
成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを決定し、かかる決定に基づき各加圧ガス供給・排出制御弁の開閉を制御することを特徴とする請求項15に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項19】
加圧ガス供給弁と加圧ガス供給源との間の第1加圧ガス供給路には、加圧ガス計量部の合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンクが配置されていることを特徴とする請求項15に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項20】
各第2加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されていることを特徴とする請求項15又は請求項19に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項21】
各第2加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に流量調整弁が配置されていることを特徴とする請求項15又は請求項19に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項22】
加圧ガスは、加圧窒素ガス、加圧二酸化炭素ガス、又は、加圧空気であることを特徴とする請求項1乃至請求項21のいずれか1項に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項23】
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路と、
(D)各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路と、
(E)各加圧ガス計量部と各第1加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給弁と、
(F)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス排出制御弁、
から構成され、
加圧ガス計量部が配管から成る加圧ガス導入装置を使用し、
成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを予め決定しておき、
加圧ガス排出制御弁を閉状態とし、加圧ガス供給弁を開状態として、該組合わされた各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給した後、若しくは、加圧ガスの供給途中で、加圧ガス供給弁を閉状態とし、
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、
前記決定に基づき各加圧ガス排出制御弁を開状態として、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を形成することを特徴とする、中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項24】
各加圧ガス排出制御弁を同時に開状態とすることを特徴とする請求項23に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項25】
各加圧ガス排出制御弁を、同時には開状態としないことを特徴とする請求項23に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項26】
加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間、若しくは、第1加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することを特徴とする請求項23乃至請求項25のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項27】
加圧ガス供給弁と加圧ガス供給源との間の第1加圧ガス供給路には、加圧ガス計量部の合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンクが配置されている加圧ガス導入装置を使用することを特徴とする請求項23乃至請求項25のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項28】
加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間、若しくは、加圧ガス蓄積タンクと加圧ガス計量部との間の第1加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することを特徴とする請求項27に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項29】
各第2加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に流量調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することを特徴とする請求項23乃至請求項28のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項30】
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源に接続された第1加圧ガス供給路と、
(D)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該加圧ガス供給源から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第2加圧ガス供給路と、
(E)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該第2加圧ガス供給路と連通し、各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第3加圧ガス供給路と、
(F)第1加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス供給弁と、
(G)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給・排出制御弁と、
(H)第3加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス排出弁、
から構成され、
加圧ガス計量部が配管から成る加圧ガス導入装置を使用し、
成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを予め決定しておき、
加圧ガス排出弁を閉状態とし、加圧ガス供給・排出制御弁及び加圧ガス供給弁を開状態として、該組合わされた各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給した後、若しくは、加圧ガスの供給途中で、加圧ガス供給・排出制御弁及び加圧ガス供給弁を閉状態とし、
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、
前記決定に基づき各加圧ガス供給・排出制御弁を開状態とし、且つ、加圧ガス排出弁を開状態として、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を形成することを特徴とする、中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項31】
各加圧ガス供給・排出制御弁を、同時に開状態とすることを特徴とする請求項30に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項32】
各加圧ガス供給・排出制御弁を、同時には開状態としないことを特徴とする請求項30に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項33】
加圧ガス供給弁と加圧ガス供給源との間の第1加圧ガス供給路には、加圧ガス計量部の合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンクが配置されている加圧ガス導入装置を使用することを特徴とする請求項30乃至請求項32のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項34】
各第2加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することを特徴とする請求項30乃至請求項33のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項35】
各第2加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に流量調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することを特徴とする請求項30乃至請求項33のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項36】
加圧ガスは、加圧窒素ガス、加圧二酸化炭素ガス、又は、加圧空気であることを特徴とする請求項23乃至請求項35のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項1】
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源から加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路と、
(D)加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路と、
(E)加圧ガス計量部と第1加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給弁と、
(F)加圧ガス計量部と第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス排出制御弁、
から構成され、
加圧ガス計量部は、配管から成ることを特徴とする加圧ガス導入装置。
【請求項2】
加圧ガス計量部は、1本の配管から成ることを特徴とする請求項1に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項3】
加圧ガス計量部は、M本(但し、M≧2)の配管から成り、
各配管の間には接続制御弁が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項4】
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路と、
(D)各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路と、
(E)各加圧ガス計量部と各第1加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給弁と、
(F)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス排出制御弁、
から構成され、
各加圧ガス計量部は、配管から成ることを特徴とする加圧ガス導入装置。
【請求項5】
各加圧ガス計量部は、1本の配管から成ることを特徴とする請求項4に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項6】
各加圧ガス計量部は、M本(但し、M≧2)の配管から成り、
各配管の間には接続制御弁が配設されていることを特徴とする請求項4に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項7】
成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを決定し、かかる決定に基づき各加圧ガス排出制御弁の開閉を制御することを特徴とする請求項4に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項8】
加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間、若しくは、第1加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されていることを特徴とする請求項4に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項9】
加圧ガス供給弁と加圧ガス供給源との間の第1加圧ガス供給路には、加圧ガス計量部の合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンクが配置されていることを特徴とする請求項4に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項10】
加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間、若しくは、加圧ガス蓄積タンクと加圧ガス計量部との間の第1加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されていることを特徴とする請求項9に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項11】
各第2加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に流量調整弁が配置されていることを特徴とする請求項4乃至請求項10のいずれか1項に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項12】
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源に接続された第1加圧ガス供給路と、
(D)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該加圧ガス供給源から加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第2加圧ガス供給路と、
(E)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該第2加圧ガス供給路と連通し、加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第3加圧ガス供給路と、
(F)第1加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス供給弁と、
(G)加圧ガス計量部と第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給・排出制御弁と、
(H)第3加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス排出弁、
から構成され、
加圧ガス計量部は、配管から成ることを特徴とする加圧ガス導入装置。
【請求項13】
加圧ガス計量部は、1本の配管から成ることを特徴とする請求項12に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項14】
加圧ガス計量部は、M本(但し、M≧2)の配管から成り、
各配管の間には接続制御弁が配設されていることを特徴とする請求項12に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項15】
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法において使用される加圧ガス導入装置であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源に接続された第1加圧ガス供給路と、
(D)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該加圧ガス供給源から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第2加圧ガス供給路と、
(E)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該第2加圧ガス供給路と連通し、各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第3加圧ガス供給路と、
(F)第1加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス供給弁と、
(G)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給・排出制御弁と、
(H)第3加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス排出弁、
から構成され、
各加圧ガス計量部は、配管から成ることを特徴とする加圧ガス導入装置。
【請求項16】
各加圧ガス計量部は、1本の配管から成ることを特徴とする請求項15に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項17】
各加圧ガス計量部は、M本(但し、M≧2)の配管から成り、
各配管の間には接続制御弁が配設されていることを特徴とする請求項15に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項18】
成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを決定し、かかる決定に基づき各加圧ガス供給・排出制御弁の開閉を制御することを特徴とする請求項15に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項19】
加圧ガス供給弁と加圧ガス供給源との間の第1加圧ガス供給路には、加圧ガス計量部の合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンクが配置されていることを特徴とする請求項15に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項20】
各第2加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されていることを特徴とする請求項15又は請求項19に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項21】
各第2加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に流量調整弁が配置されていることを特徴とする請求項15又は請求項19に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項22】
加圧ガスは、加圧窒素ガス、加圧二酸化炭素ガス、又は、加圧空気であることを特徴とする請求項1乃至請求項21のいずれか1項に記載の加圧ガス導入装置。
【請求項23】
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路と、
(D)各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路と、
(E)各加圧ガス計量部と各第1加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給弁と、
(F)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス排出制御弁、
から構成され、
加圧ガス計量部が配管から成る加圧ガス導入装置を使用し、
成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを予め決定しておき、
加圧ガス排出制御弁を閉状態とし、加圧ガス供給弁を開状態として、該組合わされた各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給した後、若しくは、加圧ガスの供給途中で、加圧ガス供給弁を閉状態とし、
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、
前記決定に基づき各加圧ガス排出制御弁を開状態として、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を形成することを特徴とする、中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項24】
各加圧ガス排出制御弁を同時に開状態とすることを特徴とする請求項23に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項25】
各加圧ガス排出制御弁を、同時には開状態としないことを特徴とする請求項23に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項26】
加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間、若しくは、第1加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することを特徴とする請求項23乃至請求項25のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項27】
加圧ガス供給弁と加圧ガス供給源との間の第1加圧ガス供給路には、加圧ガス計量部の合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンクが配置されている加圧ガス導入装置を使用することを特徴とする請求項23乃至請求項25のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項28】
加圧ガス供給弁と加圧ガス計量部との間、若しくは、加圧ガス蓄積タンクと加圧ガス計量部との間の第1加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することを特徴とする請求項27に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項29】
各第2加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に流量調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することを特徴とする請求項23乃至請求項28のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項30】
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する射出成形方法であって、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の加圧ガス計量部と、
(C)該加圧ガス供給源に接続された第1加圧ガス供給路と、
(D)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該加圧ガス供給源から各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給するための第2加圧ガス供給路と、
(E)該第1加圧ガス供給路の末端に接続され、該第2加圧ガス供給路と連通し、各加圧ガス計量部から前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第3加圧ガス供給路と、
(F)第1加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス供給弁と、
(G)各加圧ガス計量部と各第2加圧ガス供給路との間に配置された加圧ガス供給・排出制御弁と、
(H)第3加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス排出弁、
から構成され、
加圧ガス計量部が配管から成る加圧ガス導入装置を使用し、
成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき加圧ガス計量部の組合せを予め決定しておき、
加圧ガス排出弁を閉状態とし、加圧ガス供給・排出制御弁及び加圧ガス供給弁を開状態として、該組合わされた各加圧ガス計量部に加圧ガスを供給した後、若しくは、加圧ガスの供給途中で、加圧ガス供給・排出制御弁及び加圧ガス供給弁を閉状態とし、
金型に設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、
前記決定に基づき各加圧ガス供給・排出制御弁を開状態とし、且つ、加圧ガス排出弁を開状態として、該キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を形成することを特徴とする、中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項31】
各加圧ガス供給・排出制御弁を、同時に開状態とすることを特徴とする請求項30に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項32】
各加圧ガス供給・排出制御弁を、同時には開状態としないことを特徴とする請求項30に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項33】
加圧ガス供給弁と加圧ガス供給源との間の第1加圧ガス供給路には、加圧ガス計量部の合計容量よりも大きな容量を有する加圧ガス蓄積タンクが配置されている加圧ガス導入装置を使用することを特徴とする請求項30乃至請求項32のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項34】
各第2加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に圧力調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することを特徴とする請求項30乃至請求項33のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項35】
各第2加圧ガス供給路の途中には、更に、各加圧ガス計量部毎に流量調整弁が配置されている加圧ガス導入装置を使用することを特徴とする請求項30乃至請求項33のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【請求項36】
加圧ガスは、加圧窒素ガス、加圧二酸化炭素ガス、又は、加圧空気であることを特徴とする請求項23乃至請求項35のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2007−106018(P2007−106018A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300134(P2005−300134)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(594137579)三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 (609)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(594137579)三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 (609)
【Fターム(参考)】
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