説明

加圧濾過を用いたカルボン酸合成における母液からの不純物の除去方法

カルボン酸、典型的にはテレフタル酸の合成において生成されるオキシダイザーパージ流からの金属触媒の回収に関する方法を開示する。更に詳しくは、この方法は、加圧フィルターを用いてオキシダイザーパージ流から金属触媒を回収すること;水と母液とを合して金属触媒を回収すること;次いで、こうして形成された水性混合物を抽出溶剤による一段抽出に供して有機不純物を含む抽出物流と金属触媒を含むラフィネート流を生成することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧濾過を用いた、カルボン酸、典型的にはテレフタル酸の合成において生成するオキシダイザーパージ流からの金属触媒の回収に関する。更に詳しくは、この方法は、水と母液とを合して金属触媒を回収し、次いでこうして形成された水性混合物を抽出溶媒による一段抽出に供して有機不純物を除去することによって抽出物流と金属触媒を含むラフィネート流を生成することを含む。
【背景技術】
【0002】
テレフタル酸は商業的には、Co、Mn、Brのような触媒と溶媒の存在下におけるp−キシレンの酸化によって製造されている。ポリエステル繊維、フィルム及び樹脂の製造において使用されるテレフタル酸は、p−キシレンの酸化の結果として形成された不純物を除去するために、更に処理しなければならない。
【0003】
テレフタル酸(TPA)は、プラスチック及び繊維用のポリエステルの製造における中間体である。TPAの商業的製造方法は多くの場合、p−キシレンの、一般には酢酸溶媒中臭化物促進剤を用いた重金属触媒酸化に基づく。実際の酸化条件下では酢酸へのTPAの溶解が限られるため、通常、酸化反応器中にTPA結晶のスラリーが形成される。典型的には、反応器からTPAオキシダイザースラリーを回収し、TPA固形分が従来の固液分離法を用いてオキシダイザー母液から分離する。このオキシダイザー母液は、製造方法において用いられた触媒及び促進剤のほとんどを含み、酸化反応器に再循還される。触媒及び促進剤の他に、オキシダイザー母液流はまた、溶解されたTPA並びに多くの副生成物及び不純物を含む。これらの副生成物及び不純物は一部分は、p−キシレン供給材料流中に存在する微量の不純物に起因する。他の不純物は、部分酸化生成物を生じるp−キシレンの不完全酸化が原因で生じる。更に他の副生成物は、p−キシレンのテレフタル酸への酸化における競合副反応によって生じる。特許文献1及び2のようなテレフタル酸の製造を開示している特許を、ここに引用することによって、それらが本発明の記述に矛盾しない程度までその全体を組み入れる。
【0004】
TPA固形分は、溶媒を用いてオキシダイザー母液の液体成分の大部分が置き換えられる固液分離を受ける。オキシダイザー母液中に存在していた不純物はTPA固形分に混和し得るので、乾燥後には、TPA固形分にはオキシダイザー母液中に存在していた不純物が混入している。不純物は、TPA結晶構造への吸蔵のため、また、新鮮な溶媒での洗浄によるオキシダイザー母液の不完全な除去のために存在する。
【0005】
再循還されるオキシダイザー母液流中の不純物の多くは、更なる酸化に対しては比較的不活性である。このような不純物としては、例えばイソフタル酸、フタル酸及びトリメリット酸が挙げられる。例えば4−カルボキシベンズアルデヒド、p−トルイル酸及びp−トルアルデヒドのような、更なる酸化を受ける可能性のある不純物も存在する。酸化に対して不活性な不純物は、再循還時にオキシダイザー母液流中に蓄積しがちである。平衡に達して、TPA生成物による各不純物の除去速度と形成速度及び酸化プロセスへの添加の速度とが均衡するまで、これらの不活性不純物の濃度はオキシダイザー母液中に増加する。市販の粗製TPAは、含まれる標準的なレベルの不純物のために、ほとんどのポリマー用途において直接使用するのが不適当である。
【0006】
従来、粗製TPAは、ジメチルエステルの転化によって又は水への溶解とそれに続く、標準水素化触媒上における水素化によって精製されている。より最近では、二次酸化処理を用いて、ポリマーグレードのTPAが製造されている。母液中の不純物の濃度を最小限に抑え、それによってTPAのその後の精製を容易にすることが望ましい。場合によっては、オキシダイザー母液流からの不純物の除去手段をいくつか用いなければ、精製されたポリマーグレードのTPAを製造することは不可能である。
【0007】
化学処理工業において一般に用いられる再循還流からの不純物除去技術の1つは、再循還流の一部分の抜き取り又は「パージ」である。典型的には、パージ流は単に廃棄されるか、又は経済的に見合うならば、有用成分を回収しながら不望の不純物を除去する種々の処理に供される。1つの例は、特許文献3であり、それを本明細書で引用することによって本発明の記述に矛盾しない程度までその全体を組み入れる。不純物の制御に必要なパージの量は、プロセスによって異なるが、商業的ポリマー製造用の供給原料として適したTPAを生成するには、通常は総オキシダイザー母液流の10〜40%に相当するパージ量で充分である。TPAの製造において、許容され得る不純物濃度を維持するのに必要なオキシダイザー母液流パージのパージ率は、オキシダイザーパージ流中の金属触媒及び溶媒成分の経済的価値と相まって、オキシダイザーパージ流の単なる廃棄を経済的に望ましくないものとする。従って、オキシダイザーパージ流中に存在する不純物の大部分を除去しながら、オキシダイザーパージ流中に含まれる有用な金属触媒及び酢酸の本質的に全てを回収する方法が必要とされている。金属触媒は、p−キシレン酸化工程に直接再循還することによって再使用に適当な活性型で回収することができる。
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,158,738号
【特許文献2】米国特許第3,996,271号
【特許文献3】米国特許第4,939,297号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、典型的なパージ方法に比べて著しい改良である。利点をいくつか挙げると、以下の通りである。
1)プラギングの可能性の減少による操作性及び信頼性の増加
2)全体的なエネルギー利用の減少;
3)溶媒抽出工程への水の量の減少。
【0010】
本発明は、既存の方法に比べて、プロセスの不純物除去効果を増大させ且つプロセスの操作性を向上させる。更に、本発明は粗製TPAプロセスだけでなく、金属触媒の回収が必要なオキシダイザー(oxidizer)パージ流を製造する任意のプロセスも対象とすることに留意されたい。
【0011】
本発明は、カルボン酸、典型的にはテレフタル酸の合成において生成されたオキシダイザーパージ流からの不純物の除去及び金属触媒の回収に関する。更に詳しくは、この方法は、水と母液とを合して金属触媒を回収し、次いでこうして形成された水性混合物を抽出溶媒による一段抽出に供して、抽出物流と金属触媒を含んでなるラフィネート流を生成することを含む。
【0012】
本発明は、加圧フィルターを用いたオキシダイザーパージ流からの金属触媒流の回収方法を提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、加圧フィルターの使用を組み込んだ、カルボン酸の合成において生成されたオキシダイザーパージ流からの不純物の除去及び金属触媒流の回収のための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の実施態様においては、方法が提供される。この方法は、
(a)少なくとも1つの加圧濾過装置を含む固液分離ゾーン中で、超濃縮パージ流を濾過して、濾過ケークと母液を形成し;
(b)前記固液分離ゾーン中で前記濾過ケークを洗浄液供給材料で洗浄して、洗浄されたケーク及び洗浄濾液を形成し;更に場合によっては、前記固液分離ゾーン中で前記洗浄濾過ケークを脱水する;
ことを含んでなる。
【0015】
本発明の別の実施態様においては、方法が提供される。この方法は、
(a)カルボン酸、金属触媒、不純物、水及び溶媒を含んでなるオキシダイザーパージ流を第1蒸発器ゾーン中において蒸発に供して、蒸気流及び濃縮パージスラリーを生成し;そして
(b)約20℃〜約70℃の温度で運転される蒸発器ゾーンを含む第2蒸発器ゾーン中において、前記濃縮パージスラリーを蒸発に供して、溶媒高含有流と超濃縮パージスラリーを生成し;
(c)少なくとも1つの加圧濾過装置を含む固液分離ゾーン中で、前記超濃縮パージスラリーを濾過して、濾過ケーク及び母液を形成し;
(d)前記固液分離ゾーン中で前記濾過ケークを洗浄液供給材料で洗浄して、洗浄されたケーク及び洗浄濾液を形成し;更に場合によっては、洗浄されたケークを前記固液分離ゾーン中で脱水して、脱水ケークを形成する;
ことを含んでなる。
【0016】
本発明の別の実施態様においては、オキシダイザーパージ流からの金属触媒の回収方法が提供される。この方法は、
(a)カルボン酸、前記金属触媒、不純物、水及び溶媒を含むオキシダイザーパージ流を第1蒸発器ゾーン中において蒸発に供して、蒸気流及び濃縮パージスラリーを生成し;
(b)第2蒸発器ゾーン中において、前記濃縮パージスラリーを蒸発に供して、溶媒高含有流と超濃縮パージスラリーを生成し;
(c)少なくとも1つの加圧濾過装置を含む固液分離ゾーン中で、前記超濃縮パージスラリーを濾過して、濾過ケーク及び母液を形成し;
(d)前記固液分離ゾーン中で前記濾過ケークを洗浄液供給材料で洗浄して、洗浄されたケーク及び洗浄濾液を形成し;更に場合によっては、洗浄されたケークを前記固液分離ゾーン中で脱水して、脱水ケークを形成し;
(e)混合ゾーン中で、水及び場合によっては抽出溶媒を前記母液及び前記洗浄濾液の全て又は一部と混合して、水性混合物を形成し;
(f)抽出ゾーン中で、抽出溶媒を前記水性混合物と接触させて、抽出物流及びラフィネート流を形成し;そして
(g)分離ゾーン中で、前記抽出物流を分離して、高沸点有機不純物流及び回収抽出溶媒流を形成する
ことを含む。
【0017】
これらの目的及び他の目的は、本明細書の開示に接すれば、当業者により明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図3は、回転式ドラム加圧フィルターを固液分離ゾーン中に用いる本発明の一実施態様を示す。
【0019】
本発明の一実施態様においては、図1及び図2に示すような、オキシダイザーパージ流101からの金属触媒の回収方法が提供される。この方法は以下の工程を含む。
【0020】
工程(a)は、第1蒸発器ゾーン121中でオキシダイザーパージ流101を蒸発に供して、蒸気流104及び濃縮パージスラリー105を生成することを含む。
【0021】
オキシダイザーパージ流101は、カルボン酸の酸化合成プロセスから回収される。オキシダイザーパージ流101は、この方法への供給材料流となる。オキシダイザーパージ流101は、カルボン酸、水、溶媒、金属触媒及び不純物を含む。不純物は有機臭化物、腐蝕金属、p−キシレン酸化副生成物及びp−キシレン中の不純物から生じた不純物を含む。有機臭化物は、酸化反応において促進剤として使用される場合がある。腐蝕金属の例は、金属触媒の活性を阻害、低下又は完全に破壊する鉄及びクロム化合物である。触媒及び促進剤の他に、オキシダイザー母液流は、副生成物及び不純物も含む。これらの副生成物及び不純物は一部分は、p−キシレン供給材料流中に存在する微量不純物に起因する。他の不純物は、部分酸化生成物を生じるp−キシレンの不完全な酸化によって生じる。更に他の副生成物が、p−キシレンのテレフタル酸への酸化における競合副反応によって生じる。
【0022】
カルボン酸は、有機基質の制御酸化によって生成された芳香族カルボン酸を含む。このような芳香族カルボン酸としては、好ましくは炭素数が6の芳香環の一部である炭素原子に結合した少なくとも1個のカルボン酸基を有する化合物が挙げられる。このような芳香環の適当な例としては、ベンゼン、ビフェニル、テルフェニル、ナフタレン及び他の炭素系縮合芳香環が挙げられるが、これらに限定するものではない。適当なカルボン酸の例としては、テレフタル酸、安息香酸、p−トルイル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、2,5−ジフェニル−テレフタル酸及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0023】
適当な溶媒としては、炭素数が好ましくは2〜6の脂肪族モノカルボン酸、又は安息香酸及びそれらの混合物並びにこれらの化合物と水との混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。溶媒は、約5:1〜約25:1、好ましくは約8:1〜約20:1の比で水と混合された酢酸であるのが望ましい。本明細書全体を通して、酢酸を溶媒と称するものとする。しかし、前に開示したような他の適当な触媒も使用できることは理解されたい。
【0024】
本プロセスの第1工程において、オキシダイザーパージ流101は、蒸発器を含む第1蒸発器ゾーン121において常法によって濃縮して、蒸気流104及び濃縮パージスラリー105を生成する。蒸発器は大気圧又は大気圧よりわずかに高い圧力条件で、一般には約1気圧〜約10気圧において操作する。蒸気流104は、水及び溶媒の大部分を含み、濃縮パージスラリー105は、オキシダイザーパージ流101から除去されなかった水及び溶媒の残りを含む。蒸発は、オキシダイザーパージ流101中に存在する溶媒及び水、典型的には酢酸及び水の約50重量%〜約80重量%を除去する。
【0025】
工程(b)は、第2蒸発器ゾーン150中で前記濃縮パージスラリー105を蒸発に供して、溶媒高含有流144及び前記超濃縮パージスラリー145を生成する。
【0026】
第2蒸発器ゾーン150は、真空条件において操作される少なくとも1つの蒸発器を含む。蒸発は約20℃〜約70℃の温度において実施でき;別の範囲は約30℃〜約50℃である。蒸発器121と150との組合せは、流れ101で表されるオキシダイザーパージ流を、溶媒及び水、典型的には酢酸及び水の約75重量%〜約99重量%が除去された状態まで濃縮されるように操作する。流れ101で表されるオキシダイザーパージ流を濃縮するための、蒸発器121と150との組合せの別の操作範囲は、溶媒及び水、典型的には酢酸及び水の約85重量%〜約99重量%が除去された状態へのオキシダイザーパージ流の濃縮である。更に、この開示及び添付した「特許請求の範囲」に記載した範囲は、端点だけでなく、範囲全体を具体的に開示するものと理解されたい。例えば、範囲0〜10の開示は、端点0及び10だけでなく、2、2.5、3.17及び包含される全ての数を具体的に開示するものと理解されたい。
【0027】
本発明の一実施態様において、超濃縮パージスラリー145は、ポンプ圧送性を与えるのに充分なだけの溶媒を含む固液混合物の状態であることができる。
【0028】
工程(c)は、少なくとも1つの加圧濾過装置を含む固液分離ゾーン151中で超濃縮パージスラリー145を濾過して、濾過ケーク154及び母液147を形成することを含んでなり;そして
工程(d)は、前記固液分離ゾーン151中で前記濾過ケーク154を洗浄液供給材料流149で洗浄して、洗浄されたケーク146及び洗浄濾液148を形成し;そして場合によっては、洗浄されたケーク146を前記固液分離ゾーン151中で脱水して、脱水ケーク159を形成することを含む。
【0029】
超濃縮パージスラリー145は、図2に示すように、濾過ゾーン153及び洗浄ゾーン155並びに場合によっては乾燥ゾーン157を含む固液分離ゾーン151に投入する。濾過ゾーン153は、フィルターケーク154をフィルターセルの領域全体に分布させて、洗浄液供給材料149がフィルターケーク154を素通り(チャンネリング)するのを妨げるか又は防止するように物理的に配置された1つのフィルターセル又は一連の複数のフィルターセルを含む。
【0030】
適当には、深さが少なくとも0.25インチ〜約8インチ、好ましくは少なくとも0.5インチ、好ましくは少なくとも1インチ、更に好ましくは約2インチ〜約4インチの濾過ケーク154をフィルターセルの領域全体に分布させる。洗浄されたケーク146は、回収され又は更に処理し、再循還し且つ/又は廃棄物処理施設に送ることができる。
【0031】
約0.5インチ〜4インチの適当な又は好ましい高さの濾過ケーク154が得られた後、濾過ケーク154は、フィルター又は一連のフィルターを含む濾過ゾーン153から出て、洗浄ゾーン155に入り、そこで濾過ケーク154が洗浄液供給材料149と接触させる。濾過ケーク154全体を覆う、適当な深さまでの、好ましくは最小深さ約0.25インチまでの洗浄液供給材料149の溜め又は蓄積を可能にする充分な圧力が濾過ケーク154を横切って存在する。濾過ケーク154及び洗浄液供給材料149の溜めを横切って少なくとも0.5psi、好ましくは約5psi〜約65psiの圧力勾配を適用して、濾過ケーク154中の任意の溶質は洗浄液供給材料149と置き換える。
【0032】
少なくとも約0.5インチの濾過ケーク154の深さが、洗浄ビヒクルを供給するのに充分な稠密度の濾過ケーク154、即ち濾過ケーク154からの溶質を含む洗浄濾液148が置換洗浄によって効率的に除去され得る濾過ケーク154を得るのに適当である。濾過ケーク154の深さが約0.25インチ未満であるならば、濾過ケーク154における洗浄液供給材料149のチャンネリングが起こり、濾過ケーク154の不均一な洗浄が引き起こされるおそれがある。
【0033】
濾過ケーク154の置換洗浄における効率の低下のため、精製テレフタル酸については、濾過ケーク154の最小深さは少なくとも0.25インチであるのが好ましい。
【0034】
濾過ケーク154表面より上の最小液体高さは、置換洗浄が確実に起こるようにするのに必要である。この高さは、濾過ケーク154の表面が洗浄液供給材料149で完全に覆われるのを保証するのに充分でなければならない。濾過ケーク154の表面が洗浄液供給材料149で覆われないと、洗浄液供給材料149の迂回が起こって、濾過ケーク154中の溶質の充分な置換が行われないおそれがある。濾過ケーク154の表面の凹凸のため、濾過ケーク154の表面の上には、約0.25インチの最小液体高さが好ましい。
【0035】
高圧で洗浄液供給材料149を用いて濾過ケーク154から溶質を置換すると、濾過ケーク154から触媒金属を効率的に分離できることが判明した。高圧の別の利点は、実施例中に示したように、コバルトを回収するのに必要な洗浄液供給材料149の減少である。
【0036】
固液分離ゾーン151において追加の段階を使用すると、濾過ケーク154中に保持される金属触媒の総量を減少させるのに必要な洗浄液供給材料149の量を減少させることができる。従って、置換洗浄に使用される総洗浄液供給材料149を最小にするのに適当な数の容積式(positive displacement)洗浄段階を用いて、下流の廃棄物処理施設の必要性を減らすことができることは都合良い。
【0037】
多段階の置換洗浄操作は、洗浄液供給材料149の量が超濃縮スラリー145から母液147及び洗浄濾液148へ少なくとも80%の金属触媒を回収するのに充分である一段置換洗浄操作に取って代わることができることがわかる。更に、洗浄液供給材料149の量の減少が有利であると判断される場合には、多段階の向流洗浄を用いる操作も有用であり得る。
【0038】
本発明の方法において、超濃縮パージスラリー145は、必要な厚さの濾過ケーク154を生成できるように物理的に配置された1つ又はそれ以上の一連のフィルターセル中に投入される。
【0039】
約0.25〜約4インチの最小高さの濾過ケーク154が得られた後、濾過ケーク154は、フィルター又は一連のフィルターから出て、洗浄ゾーン155に入り、そこで濾過ケーク154は洗浄液供給材料149で洗浄する。次いで、洗浄液供給材料149に圧力が加えられ、洗浄液供給材料149が濾過ケーク154の溶質(即ち、液体と濾過ケーク中の金属触媒のような任意の溶解化合物)と置き換わる。洗浄液供給材料による溶質の置換後、濾過ケーク154は濾過ゾーン155から任意の適当な手段によって排出され、このサイクルを繰り返すことができる。本発明の一実施態様において、濾過ケーク中の金属触媒のレベルを95%超減少させるには、洗浄液供給材料149対濾過ケーク154の置換比は約1:20〜約20:1の範囲内である。
【0040】
必要な洗浄サイクルを実施する装置は、洗浄液供給材料149がフィルターセル上に溢れることができるような適当な位置に保持された一連のフィルターセルを含むことができる。本発明の一実施態様において、適当な装置は、洗浄されたケーク146をフィルターセルから排出するための手段が装着された、複数のフィルターセルを有する回転式ドラム加圧フィルターを含むことができる。濾過ケーク154は、回転式ドラムフィルターからの洗浄ケーク146の排出前に、洗浄ケーク146中に最小金属触媒濃度を生じるのに必要な回数洗浄することができる。
【0041】
本発明の方法の要求に適合できる適当な加圧フィルターは、BHS−FEST(登録商標)回転式ドラム加圧フィルター(BHS−WERK,Sonthofen,D−8972,Sonthofen,West Germany)であるが、必要な操作を実施できる他の加圧フィルターも使用できる。固液分離ゾーン151中に使用できる他の装置の例としては、加圧ベルトフィルター、フィルタープレス、遠心分離機、加圧リーフフィルター及びクロスフローフィルターが挙げられるが、これらに限定するものではない。加圧フィルターは、母液147の溶質から少なくとも80%の金属触媒を回収するのに充分な温度及び圧力で操作することができる。好ましくは、加圧フィルターは、約25℃〜約160℃の温度及び1気圧〜50気圧の圧力において操作することができる。
【0042】
BHS−FEEST(登録商標)フィルターの操作において、回転式ドラムは、回転しているドラムの周辺に配置された一連のフィルターセルを含む。ドラムが回転するにつれて、フィルターセルは超濃縮パージスラリー145を受け、濾過ケーク154が必要な深さまで増える。母液147は、超濃縮パージスラリー145の濾過によって生成する。ドラムの回転時に、濾過ケーク154は洗浄ゾーン155に入り、そこで濾過ケーク154全体を覆って洗浄液供給材料149の溜めが必要な深さまで蓄積される。洗浄液供給材料の溜めに加えられた圧力が、濾過ケーク154に水を強制的に通して、超濃縮パージスラリー145中に保持された溶質(溶解された金属触媒を含む)を置換して、洗浄されたケーク146を生成する。ドラムが更に回転された後、洗浄サイクルは必要ならば向流式で少なくとも更に3回繰り返すことができる。その後、システムの圧力を開放し、付随して温度が周囲条件まで低下する。場合によっては、洗浄されたケーク146が、導管152を経た蒸気によって脱水ゾーン157中で脱水されて、脱水されたケーク159と湿った蒸気160を生成することができる。得られた脱水ケーク159は次に、任意の常法によってドラムから排出することができる。
【0043】
図3は、プロセスの濾過装置として回転式ドラム加圧フィルターを使用する本発明の一実施態様を示す。本発明の一実施態様において、回転式ドラム加圧フィルターは、濾過ゾーン153、洗浄ゾーン155、場合によっては脱水ゾーン157、排出ゾーン164及びクロス洗浄ゾーン162を含む。図3に示されるクロス洗浄ゾーンは、回転式ドラム加圧フィルターが、脱水ケーク159の排出後にフィルターを洗浄するクロス洗浄ゾーン162を含む本発明の一実施態様である。
【0044】
洗浄濾液148は、洗浄液供給材料149による濾過ケークの置換洗浄によって生成される。固液分離ゾーン151内の濾過ケーク154は、洗浄液供給材料149の投入によって金属触媒の抽出を受けて、洗浄濾液148が形成され、本発明の一実施態様においては金属触媒の少なくとも80%が洗浄濾液及び母液147中に回収される。本発明の一実施態様において、金属触媒の少なくとも90%が洗浄濾液148及び母液147中に回収される。母液147及び洗浄濾液148は場合によっては、固液分離ゾーン151から出る前に合せることができる。
【0045】
洗浄液供給材料149は水及び場合によっては追加の酸化溶媒を含む。
【0046】
おそらく最も意外なことは、約20℃〜約70℃、好ましくは約30℃〜約50℃の範囲の温度において洗浄液供給材料149として水を用いることによって、他の手段による腐蝕金属の除去の必要性がない量の腐蝕金属が脱水ケーク159中に保持されることである。金属触媒が取り除かれた固形分である脱水ケーク159は、システムから廃棄することができる。
【0047】
工程(e)は、混合ゾーン122において水106及び場合によっては抽出溶媒108と母液147及び洗浄濾液148とを混合して、水性混合物107を形成することを含んでなる。本発明の一実施態様において、混合ゾーン122は従来の混合機を含んでなる。必要ならば、水106が混合ゾーン122に、水性混合物流107中に金属触媒を溶解させるのに充分な量で添加することができる。
【0048】
一般に、合せられた母液147及び洗浄濾液148の1部当たり約0.1〜1.0部の水が、触媒を溶解させるのに充分であり、好ましくは水は約0.5〜1重量部である。水性混合物107は外部循環ループによって循環させ続けるのが望ましい。容器の壁への固形分の付着を減少させることによってスラリーの取り扱いを改良するために、少量の、一般には約1〜約10重量%の、好ましくは5重量%未満の抽出溶媒108を混合ゾーン122に添加することができる。これは、図1において流れ108からの破線矢印によって示される。抽出前に水性混合物107を約60℃〜約95℃の加熱処理に供することが必要ではないが望ましい。別の範囲は、約80℃〜約90℃において約0.5〜約4時間、好ましくは約1〜約2時間である。この処理によって、有機臭化物は反応して、無機臭化物を生成し、これはラフィネート流110中に優先的に保持される。これによって、不要な不純物と共にシステムからパージされる臭化物含有化合物の量は最小限に抑えられる。加熱処理は臭化物を保存し、有機不純物の廃棄を単純にする。
【0049】
工程(f)は、抽出ゾーン123において抽出溶媒108を水性混合物107と接触させて、抽出物流109及びラフィネート流110を形成することを含む。
【0050】
水性混合物107は抽出ゾーン123に供給し、抽出ゾーン123において水性混合物107と抽出溶媒108とを接触させる。水性混合物107と抽出溶媒108とは混合して、溶媒、水、有機不純物及抽出溶媒を含む、軽い方の相を形成する抽出物流109と、金属触媒、腐蝕金属及び水を含むラフィネート流110が形成される。抽出機ゾーン123において、抽出物流109はオーバーヘッド流として回収し、ラフィネート流110は抽出機の底部から回収する。本発明において、抽出ゾーン123の一実施態様は一段抽出機である。
【0051】
抽出機において使用される抽出溶媒108は、水性画分に溶解される有機溶媒の量を最小にするために実質的に水不混和性でなければならない。更に、抽出溶媒108は好ましくは、有機抽出物からの溶媒の回収を補助する働きをする共沸剤である。特に有用であることがわかっている溶媒は、C1〜C6アルキル酢酸エステル、特に酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸エチル及び酢酸n−ブチルであるが、適当な密度及び充分に低い沸点を有する他の実質的に水不混和性の有機溶媒、例えば、p−キシレンも使用できる。酢酸n−プロピル及び酢酸イソプロピルは、比較的低い水混和性及び優れた共沸挙動のために特に好ましい。
【0052】
抽出は、水性混合物1部当たり約1〜4重量部の抽出溶媒の溶媒比を用いて行うことができる。抽出は周囲温度及び圧力で、溶媒及び抽出機を約30℃〜約70℃に加熱して操作することができるが、約40℃〜約60℃の別の範囲も使用できる。抽出物流109は少量の金属触媒及び腐蝕金属を含むが、本質的に全ての金属触媒及び残りの腐蝕金属の大部分は重い方の相であるラフィネート流110中に含まれる。
【0053】
工程(g)は、分離ゾーン124において抽出物流109を分離して、高沸点有機不純物流115及び回収抽出溶媒流117を形成することを含む。
【0054】
抽出物流109は、有機溶媒及び有機不純物を含む。抽出物流109は更に酢酸及び水を、多くの場合には微量で含むことができる。抽出物流109は、従来の蒸留装置を含む分離ゾーン124中で蒸留させることができる。従来の蒸留装置としては、例えば蒸留カラムが挙げられる。
【0055】
有機不純物のほとんどは、抽出ゾーン123中で有機溶媒によって抽出する。これは、有機不純物が有機溶媒に対して高い溶解度を示すが、酢酸に対してはより小さい溶解度を示すためである。抽出機から軽い方の相を蒸留することによって、有機溶媒が蒸発され、有機不純物をラムアンダーフロー中に濃縮する。
【0056】
回収抽出溶媒流117は、抽出ゾーン123において抽出機に再循還することができる。高沸点有機不純物流115は、廃棄のために蒸留カラムの底部からスラッジとして除去する。
【実施例】
【0057】
本発明を、他の実施態様についての以下の実施例によって更に説明するが、これらの実施例は、単に説明のために記載するのであって、特に断らない限り、本発明の範囲を限定するものではない。
【0058】
例1
これらの例の目的は、最低限の洗浄液供給材料149を用いた超濃縮パージスラリー145からのコバルト触媒の回収を説明することである。以下の例は、実験室規模のブフナー型漏斗を用いた真空濾過の能力を説明する。以下で得られたデータは、回分又は連続フィルターに適用できる。
【0059】
実験室規模の濾過装置は、4リットルの真空フラスコの上部に置かれたフィルター面積が100cm2のブフナー漏斗からなる。この真空系は、濾過面積m2当たり約150m3/hのフラックス速度において0.6バールの真空を提供する。この真空系をオンにし、固形分20%の超濃縮パージスラリー145を含む40℃のスラリー600gを漏斗上に載せる。濾過ケーク154が最初に出現する時間(ドライトップ時間)を記録する。濾過ケーク154を更に10秒間脱水する。次いで、水を含む一定量の40℃の洗浄液供給材料(wash feed)149を、濾過ケーク154の上部に注ぐ。洗浄液供給材料149の添加後に濾過ケーク154が出現する時間を記録する。濾過ケーク154を更に20秒間脱水させる。濾過ケーク154の高さ、濾過ケーク154の質量、濾過ケーク154の水分率、母液147の質量、及び洗浄濾液148の質量を記録する。脱水されたケークのサンプルを、コバルトの重量%分析に供する。
【0060】
前記の操作概略を、0〜5の範囲の洗浄比で6回繰り返した。「洗浄比」は、濾過ケーク154中の乾燥固体g当たりの洗浄液供給材料149のg数と定義する。対応する洗浄比を用いて洗浄されたケーク中のコバルトの重量%を以下の表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
各実験においてドライトップに達した直後に、濾過ケーク154のひどい亀裂が観察され、それが、ドライトップに達した後の目に見えない濾過ケーク154の脱水をもたらした。得られたケークは56%の平均水分を有していた。
【0063】
例2
以下の例は、1リットルの実験室規模BHS−FEST(登録商標)加圧フィルターを用いた加圧濾過の可能性を説明する。
【0064】
この実験室規模装置は、フィルター面積が20cm2の1リットルの実験室規模BHS−FEST(登録商標)加圧フィルターから成る。はかり上の1リットルのビーカーを、母液及び洗浄濾液を受けるように加圧フィルターの下に配置する。超濃縮パージスラリー145の添加後に、2バールで供給された加圧窒素がフィルターに流れ込む。
【0065】
固形分20%の超濃縮パージスラリー145を89g、フィルターに加える。母液を1リットルビーカー中に回収する。7秒後、窒素の漏出が起こる。窒素流を停止し、フィルターを開け、40℃の洗浄液供給材料149を39g添加する。フィルターをシールし、窒素流を開始する。30秒後、気体の漏出が起こり、洗浄されたケーク146の脱水のために更に30秒間、窒素流を流入させる。脱水されたケーク159をフィルターから取り出す。得られたケークの水分率%は40%である。加圧濾過の結果を以下に示す。
【0066】
【表2】

【0067】
対比すると、例1からの真空濾過は、0.13重量%のケークコバルトレベルを達成するのに3.75の洗浄比を必要とするのに対し、例2からの加圧濾過は約2の洗浄比しか必要としない。真空濾過は加圧濾過よりも87%多い洗浄水を必要とする。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】オキシダイザーパージ流101からの金属触媒の回収方法及び超濃縮パージスラリー145からの有機不純物の分離方法を示す、本発明の種々の実施態様を示している。
【図2】濾過ゾーン153、洗浄ゾーン155及び場合によっては脱水ゾーン157を含んでなる固液分離ゾーン151中で行われる方法である本発明の一実施態様を示す。
【図3】回転式ドラム加圧フィルターを固液分離ゾーン中に用いる本発明の一実施態様を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つの加圧濾過装置を含む固液分離ゾーン中で、超濃縮パージスラリーを濾過して、濾過ケークと母液を形成し;
(b)前記固液分離ゾーン中で前記濾過ケークを洗浄液供給材料で洗浄して、洗浄されたケーク及び洗浄濾液を形成し;更に場合によっては、前記固液分離ゾーン中で前記洗浄濾液を脱水する;
ことを含んでなる方法。
【請求項2】
前記加圧濾過装置を約25℃〜約160℃で操作する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加圧濾過装置を約1気圧〜約50気圧の圧力において操作する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記加圧濾過装置が少なくとも1つのフィルターセルを含み且つ少なくとも1つのフィルターセルが深さが少なくとも0.25インチの濾過ケークを蓄積する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記加圧濾過装置が少なくとも1つのフィルターセルを含み且つ少なくとも1つのフィルターセルが深さが少なくとも0.5インチの濾過ケークを蓄積する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記加圧濾過装置が少なくとも1つのフィルターセルを含み且つ少なくとも1つのフィルターセルが深さが少なくとも1インチの濾過ケークを蓄積する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記洗浄液供給材料が深さが少なくとも0.25インチの濾過ケーク全体を覆って溜めを形成する請求項4、5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記加圧濾過装置を約25℃〜約160℃の温度において操作する請求項4、5又は6に記載の方法。
【請求項9】
前記加圧濾過装置を約1気圧〜約50気圧の圧力において操作する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記脱水が約10%〜約50%の水分率を有する脱水濾過ケークを生じる請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記加圧濾過装置が回転式ドラム加圧フィルターである請求項1、2、3又は4に記載の方法。
【請求項12】
(a)カルボン酸、金属触媒、不純物、水及び溶媒を含むオキシダイザーパージ流を第1蒸発器ゾーン中において蒸発に供して、蒸気流及び濃縮パージスラリーを生成し;そして
(b)前記濃縮パージスラリーを、約20℃〜約70℃の温度で運転する蒸発器を含む第2蒸発器ゾーン中において蒸発に供して、溶媒高含有流と超濃縮パージスラリーを生成し;
(c)少なくとも1つの加圧濾過装置を含む固液分離ゾーン中で、前記超濃縮パージスラリーを濾過して、濾過ケーク及び母液を形成し;
(d)前記固液分離ゾーン中で前記濾過ケークを洗浄液供給材料で洗浄して、洗浄されたケーク及び洗浄濾液を形成し;更に場合によっては、洗浄濾液を前記固液分離ゾーン中で脱水して、脱水ケークを形成する;
ことを含んでなる方法。
【請求項13】
工程(a)において前記溶媒及び水の約50重量%〜約80重量%をオキシダイザーパージ流から蒸発によって除去する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程(a)及び工程(b)を合わせて、前記溶媒及び水の約75重量%〜約99重量%をオキシダイザーパージ流から蒸発によって除去する請求項12に記載の方法。
【請求項15】
工程(a)及び工程(b)を合わせて、前記溶媒及び水の約85重量%〜約99重量%をオキシダイザーパージ流から蒸発によって除去する請求項12に記載の方法。
【請求項16】
工程(a)及び工程(b)を合わせて、前記溶媒及び水の約90重量%〜約99重量%をオキシダイザーパージ流から蒸発によって除去する請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第2蒸発器ゾーンが、真空条件で操作される蒸発器を含む請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記加圧濾過装置を約25℃〜約160℃の温度で操作する請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記加圧濾過装置を約1気圧〜約50気圧の圧力で操作する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記加圧濾過装置が少なくとも1つのフィルターセルを含み且つ少なくとも1つのフィルターセルが、深さが少なくとも0.25インチの濾過ケークを蓄積する請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記加圧濾過装置が少なくとも1つのフィルターセルを含み且つ少なくとも1つのフィルターセルが深さが少なくとも0.5インチの濾過ケークを蓄積する請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記加圧濾過装置が少なくとも1つのフィルターセルを含み且つ少なくとも1つのフィルターセルが深さが少なくとも1インチの濾過ケークを蓄積する請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記洗浄液供給材料が深さが少なくとも0.25インチの濾過ケーク全体を覆って溜めを形成する請求項20、21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記回転式加圧濾過装置を約25℃〜約160℃の温度で操作する請求項20、21又は22に記載の方法。
【請求項25】
前記加圧濾過装置を約1気圧〜約50気圧の圧力において操作する請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記脱水が約10%〜約50%の水分率を有する脱水濾過ケークを生じる請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記加圧濾過装置が回転式ドラム加圧フィルターである請求項18、19、20又は21に記載の方法。
【請求項28】
(a)カルボン酸、金属触媒、不純物、水及び溶媒を含むオキシダイザーパージ流を第1蒸発器ゾーン中において蒸発に供して、蒸気流及び濃縮パージスラリーを生成し;
(b)前記濃縮パージスラリーを、第2蒸発器ゾーン中において蒸発に供して、溶媒高含有流と超濃縮パージスラリーを生成し;
(c)少なくとも1つの加圧濾過装置を含む固液分離ゾーン中で、前記超濃縮パージスラリーを濾過して、濾過ケーク及び母液を形成し;
(d)前記固液分離ゾーン中で前記濾過ケークを洗浄液供給材料で洗浄して、洗浄されたケーク及び洗浄濾液を形成し;更に場合によっては、洗浄濾液を前記固液分離ゾーン中で脱水して、脱水ケークを形成し;
(e)混合ゾーン中で、水及び場合によっては抽出溶媒を前記母液及び前記洗浄濾液の全て又は一部と混合して、水性混合物を形成し;
(f)抽出ゾーン中で、抽出溶媒を前記水性混合物と接触させて、抽出物流及びラフィネート流を形成し;そして
(g)分離ゾーン中で、前記抽出物流を分離して、高沸点有機不純物流及び回収抽出溶媒流を形成する
ことを含んでなる、オキシダイザーパージ流からの金属触媒の回収方法。
【請求項29】
工程(a)において前記溶媒及び水の約50重量%〜約80重量%をオキシダイザーパージ流から除去する請求項28に記載の方法。
【請求項30】
工程(a)及び工程(b)を合わせて、前記溶媒及び水の約75重量%〜約99重量%をオキシダイザーパージ流から除去する請求項28に記載の方法。
【請求項31】
工程(a)及び工程(b)を合わせて、前記溶媒及び水の約85重量%〜約99重量%をオキシダイザーパージ流から除去する請求項28に記載の方法。
【請求項32】
工程(a)及び工程(b)を合わせて、前記溶媒及び水の約90重量%〜約99重量%をオキシダイザーパージ流から除去する請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記洗浄液供給材料を約20℃〜約100℃の温度範囲において固液分離ゾーンに添加する請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記洗浄液供給材料を約30℃〜約50℃の温度範囲において固液分離ゾーンに添加する請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記抽出ゾーンが向流液液抽出機を含む請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記抽出ゾーンが一段液液抽出機を含む請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記溶媒高含有流が、p−キシレン、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸エチル及び酢酸n−ブチルからなる群から選ばれた溶媒を含む請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記第2蒸発器ゾーンを、約20℃〜約70℃の温度で操作する蒸発器を含む請求項28に記載の方法。
【請求項39】
前記蒸発器を真空条件で操作する請求項28に記載の方法。
【請求項40】
前記第2蒸発器ゾーンを真空条件で操作する蒸発器を含む請求項28に記載の方法。
【請求項41】
前記加圧濾過装置を約25℃〜約160℃の温度において操作する請求項28に記載の方法。
【請求項42】
前記加圧濾過装置を約1気圧〜約50気圧の圧力において操作する請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記加圧濾過装置が少なくとも1つのフィルターセルを含み且つ少なくとも1つのフィルターセルが深さが少なくとも0.25インチの濾過ケークを蓄積する請求項28に記載の方法。
【請求項44】
前記加圧濾過装置が少なくとも1つのフィルターセルを含み且つ少なくとも1つのフィルターセルが深さが少なくとも0.5インチの濾過ケークを蓄積する請求項28に記載の方法。
【請求項45】
前記加圧濾過装置が少なくとも1つのフィルターセルを含み且つ少なくとも1つのフィルターセルが深さが少なくとも1インチの濾過ケークを蓄積する請求項28に記載の方法。
【請求項46】
前記洗浄液供給材料が深さが少なくとも0.25インチの濾過ケーク全体を覆って溜めを形成する請求項43、44又は45に記載の方法。
【請求項47】
前記回転式加圧濾過装置を約25℃〜約160℃の温度において操作する請求項43、44又は45に記載の方法。
【請求項48】
前記加圧濾過装置を約1気圧〜約50気圧の圧力において操作する請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記乾燥が約10%〜約50%の水分率を有する脱水濾過ケークを生じる請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記加圧濾過装置が回転式ドラム加圧フィルターである請求項28、43、44又は45に記載の方法。
【請求項51】
前記回転式ドラム加圧フィルターを約1気圧〜約5気圧の圧力で操作する請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記洗浄が向流である請求項1、12又は28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−504112(P2008−504112A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518024(P2007−518024)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/038418
【国際公開番号】WO2006/009571
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】