説明

加工ヘッド、加工機械及び加工方法

【課題】微細気泡を含有する液剤を被加工物の表面の加工に有効に利用することのできる加工ヘッドを提供することである。
【解決手段】回転する工作具10を被加工物Wの表面に接触させて当該被加工物Wの表面を加工する加工ヘッド100であって、前記工作具10の内部に設けられ、供給される液体を導いて被加工物Wの工作具10が接触する部位の近傍に向けて吐出する少なくとも1つの流路25を備え、前記流路25には絞り部255a〜255hが形成された構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砥石等の工作具を回転させて被加工物の表面を加工する加工ヘッド、該加工ヘッドを用いた加工機械、及び加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1記載の研磨装置(加工機械)が知られている。この研磨装置は、平板状の被研磨物(被加工物)が回転するキャリア(支持体)に弾性体のパッドを介して取り付けられ、その被研磨物が、別途回転する研磨定盤のパッド(研磨布)に所定の圧力で押し付けられる構造となっている。そして、研磨を促進させる砥粒がキャリア近傍のノズルから研磨定盤のパッド上へ供給される。また、パッドを介して被研磨物が取り付けられたキャリアは、研磨定盤のパッド表面上で往復運動(搖動)も行っており、研磨定盤のパッドによる被研磨物に対する研磨の均一性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−315850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような加工機械では、外部から供給される砥粒の混ざった液体やスラリ等の加工を補助する液体を被加工物の表面の加工に有効に利用することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明の課題は、微細気泡を含有する液体を被加工物の表面の加工に有効に利用することのできる加工ヘッド、その加工ヘッドを用いた加工機械及び加工方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加工機械は、回転する工作具を被加工物の表面に接触させて当該被加工部物の表面を加工する加工ヘッドであって、前記工作具の内部に設けられ、供給される液体を導いて前記被加工物の前記工作具が接触する部位の近傍に向けて吐出する少なくとも1つの流路を備え、前記流路には絞り部が形成された構成となる。
【0007】
このような構成により、気体が多く溶解された気体溶存液を流路に供給すると、該気体溶存液が流路を流れて絞り部を通る際の加圧及び圧力解放によって、液中に微細気泡が発生する。そして、その微細気泡を含有した液体が当該流路から被加工物の工作具が接触する部位の近傍に向けて吐出される。この状態で、微細気泡含有の液体が回転する工作具と被加工物の表面に供給され、微細気泡含有の液体の存在のもとで回転する工作具による被加工物の表面の加工がなされる。
【0008】
本発明に係る加工機械は、前記加工ヘッドと、気体を液体に溶解させて気体溶存液を生成し、前記気体溶存液を前記加工ヘッドの前記流路に供給する気体溶存液生成機構とを備えた構成となる。
【0009】
このような構成により、気体溶存液生成機構から供給される気体溶存液が加工ヘッドの流路を流れて絞り部を通過する際の加圧及び圧力解放によって、液中に微細気泡が発生する。そして、その微細気泡を含有した液体が当該流路から被加工物の工作具が接触する部位の近傍に向けて吐出される。この状態で、微細気泡含有の液体が回転する工作具と被加工物の表面に供給され、微細気泡含有の液体の存在のもとで回転する工作具による被加工物の表面の加工がなされる。
【0010】
また、本発明に係る加工方法は、前記加工ヘッドを用い、前記加工ヘッドの前記流路に気体溶存液を供給するステップと、前記気体溶存液が前記流路の絞り部を通過する際に発生する微細気泡を含有する液体を前記工作具の内側から前記被加工物の当該工作具が接触する部位の近傍に向けて吐出しつつ、前記工作具の回転によって前記被加工物の表面を加工するステップとを有する構成となる。
【0011】
このような構成により、加工ヘッドの流路に気体溶存液が供給されると、該気体溶存液が前記流路を流れて絞り部を通過する際の加圧及び圧力解放によって、液中に微細気泡が発生する。そして、その微細気泡を含有した液体が当該流路から被加工物の工作具が接触する部位の近傍に向けて吐出される。この状態で、微細気泡含有の液体が回転する工作具と被加工物の表面に供給され、微細気泡含有の液体の存在のもとで回転する工作具による被加工物の表面の加工がなされる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る加工ヘッド、加工機械及び加工方法によれば、工作具の内部に設けられた流路で微細気泡が発生するので、発生から間もない、当該気泡発生時の粒径が維持された多量の微細気泡を含有する液体を被加工物の表面の工作具が接触する部位に供することができる。よって、微細気泡を含有する液体を被加工物の表面の加工に有効に利用することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態にかかる加工機械の構成を示す図である。
【図2】図1に示す加工機械における加工ヘッドの断面構造を拡大して示す図である。
【図3】加工ヘッドの平面構造を拡大して示す図である。
【図4】加工ヘッドにおける液体供給ヘッドの断面構造を拡大して示す図である。
【図5】加工ヘッドにおける研磨ヘッドの他の構成例における平面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0015】
本発明の実施の形態に係る加工機械は、図1に示すように構成される。この加工機械は、半導体ウェーハ(被加工物)の表面を研磨する研磨装置(精密研磨装置)である。また、この加工機械における加工ヘッドは、図2乃至図4に示すように構成される。なお、図2は、前記研磨装置における加工ヘッドの研磨面側から見た平面構造を拡大して示し、図3は、前記加工ヘッドの断面構造を拡大して示し、更に、図4は、加工ヘッドにおける液体供給ヘッドの断面構造を拡大して示す。
【0016】
図1において、この研磨装置(加工機械)は、回転軸201に固定されて回転可能なテーブル200に載置固定された半導体ウェーハW(被加工物)の表面の研磨(加工)を行う加工ヘッド100と、加工ヘッド100に気体溶存液を供給する気体溶存液生成機構50とを備えている。加工ヘッド100は、研磨ヘッド10の内部に液体供給ヘッド20が設けられた構造となっている。
【0017】
図1とともに、図2に拡大して示すように、研磨ヘッド10は、円筒状の研磨ヘッド本体11と研磨ヘッド本体11の径より小さい径となる円筒状の軸支持部13とが連結して一体となった構造を有している。研磨ヘッド本体11の円筒内部が被加工物(半導体ウェーハW)に対して開口する凹部11aとなって、その凹部11aの開口を囲むリング状の先端面に砥石等の研磨部12(加工部)が設けられている。研磨部12には、図3に拡大して示すように、研磨ヘッド本体11の凹部11a側とその外側(当該研磨部12の内側と外側)とを連通する複数の切欠き部121a〜121pが所定間隔をもって形成されている。これにより、研磨部12は、複数の研磨体がリング状に配列された構造となる。
【0018】
軸保持部13の内部にはすべり軸受け14が固定されており、軸保持部13の端部には固定部材15を介して回転軸16が固定されている。駆動機構(図示略)が回転軸16を回転させることにより研磨ヘッド10の全体が回転する。そして、この回転する研磨ヘッド10の研磨部12を、回転するステージ200に載置固定された半導体ウェーハWの表面に接触させることにより当該変動体ウェーハWの表面が研磨(加工)される。
【0019】
研磨ヘッド10の内部には液体供給ヘッド20が設けられている。液体供給ヘッド20は、円柱状の液体供給ヘッド本体21の一方の円形端面の中心から回転軸22が突出する構造となっている。液体供給ヘッド本体21が研磨ヘッド本体11の凹部11a内に配置されるとともに回転軸22が研磨ヘッド10の軸保持部13に固定されたすべり軸受け14に抜け止めされた状態で回転自在に支持されている。これにより、回転軸16の回転に伴って研磨ヘッド10が回転する際に、液体供給ヘッド20が、研磨ヘッド10の回転と同方向に研磨ヘッド10の回転速度より遅い速度にて回転する。具体的な構成については後述するが、液体供給ヘッド20には、回転軸22の軸心を通る縦流路251を含む流路網25が設けられている。なお、縦流路251は、研磨ヘッド10の固定部材15および回転軸16の軸心を所定の遊びをもって貫通している。
【0020】
更に、この研磨装置は、気体溶存液生成機構50を備えている。気体溶存液生成機構50は、純水や処理薬液等の液体を貯めた貯液槽51、ポンプ52、窒素、空気、酸素等の気体を収納したボンベ53、及び加圧槽55を有している。貯液槽51から加圧槽55に延びる送通管58aにポンプ52が設けられ、送通管58aの貯液槽51とポンプ52との間の部位にボンベ53からの気体が開閉弁54の設けられた送通管58bを介して供給されるようになっている。ポンプ52の動作によって、貯液槽51からの液体にボンベ53からの気体が混ざった気体混合液が送通管58aを通って加圧槽55に圧送される。加圧槽55では、ポンプ52によって圧送されることにより気体混合液が加圧されて、気体が液中に溶解し、気体の溶解濃度の高い気体溶存液が生成される。なお、圧力調整器56によって加圧槽55内の圧力を調整することができる。
【0021】
気体溶存液生成機構50にて生成される気体溶存液が加圧状態を維持しつつ送通管58cを通って液体供給ヘッド20に供給される。前述した気体供給ヘッド20に設けられた縦流路251と気体溶存液生成機構50から延びる送通管58cとはロータリージョイント30にて接続され、液体供給ヘッド20の回転とともに回転する縦流路251に送通管58aからの気体溶存液が供給できるようになっている。
【0022】
液体供給ヘッド20に設けられた流路網25の構成について、特に、図2、図3及び図4を参照して説明する。
【0023】
液体供給ヘッド20の回転軸22の軸心を通って液体供給ヘッド本体21の中央を上部から下方に延びる縦流路251に続いて、8つの横流路252a、252b、252c、252d、252e、252f、252g、252hが液体供給ヘッド本体21の周辺部に向けて放射状に延びている。そして、各横流路252a、252b、252c、252d、252e、252f、252g、252hに続いて、吐出流路253a、253b、253c、253d、253e、253f、253g、253hが、液体供給ヘッド本体21の研磨ヘッド本体11の開口から露出する円形端面で開口する吐出口254a、254b、254c、254d、254e、254f、254g、254hまで延びている。各吐出流路253a、253b、253c、253d、253e(図示されていないが、吐出流路254f、254g、254hについても同じ)は、図4に示すように、対応する横流路252a、252b、252c、252d、252eから直下方に延びる直流路253aa、253ba、253ca、253da、253eaと、それに続いて斜め下方(例えば、半導体ウェーハWの表面に対する角度が30度以下の角度)に延びて吐出口254a、254b、254c、254d、254eに至る傾斜流路253ab、253bb、253cb、253db、253ebとから構成されている。各傾斜流路253ab、253bb、253cb、253db、253ebは、対応する直流路253aa、253ba、253ca、253da、253eaから研磨ヘッド10の回転方向(図3における方向A)と逆方向に向いて斜め下方に傾斜している。また、各傾斜経路253ab、253bb、253cb、253db、253ebの吐出口254a、254b、254c、254d、254eの近傍位置に絞り部255a、255b、255c、255d、255eが形成されている。
【0024】
上述したような構成の研磨装置では、テーブル200の回転に伴って回転する半導体ウェーハWの表面に研磨部12が接触した状態で研磨ヘッド10が回転する。このとき、研磨ヘッド10の内部においてすべり軸受け14に回転軸22が支持される液体供給ヘッド20が研磨ヘッド10と同じ方向に、研磨ヘッド10の回転速度より遅い速度にて回転する。この状態で、気体溶存液生成機構50から液体供給ヘッド20の縦流路251に供給される気体溶存液が、縦流路251から8つの横流路252a、252b、252c、252d、252e、252f、252g、252hに分岐して流れる。そして、各横流路252a、252b、252c、252d、252e、252f、252g、252hを流れる気体溶存液が、各吐出流路253a、253b、253c、253d、253e、253f、253g、253hを流れて吐出口254a、254b、254c、254d、254e、254f、254g、254hから後述する微細気泡を含有する液体となって半導体ウェーハWの研磨ヘッド10の研磨部12が接触する部位の近傍に向けて吐出する。
【0025】
気体溶存液が、各吐出流路253a、253b、253c、253d、253e(吐出流路253f、253g、253hについても同じ)における傾斜流路253ab、253bb、253cb、253db、253ebの絞り部255a、255b、255c、255d、255eを通過する際の加圧及び、通過後の圧力解放によって、液中に溶解していた気体が微細気泡(例えば、マイクロバブル、マイクロナノバブル、ナノバブル)として顕在化し、各吐出口254a、254b、254c、254d、254eから多数の微細気泡を含有する液体が吐出する。このようにして、微細気泡を含有する液体が回転する研磨ヘッド10の研磨部12及び半導体ウェーハWの表面に供給され、微細気泡を含有する液体の存在のもとで回転する研磨ヘッド10の研磨部12による半導体ウェーハWの研磨(加工)がなされる。
【0026】
このように微細気泡を含有する気体の存在のもとで回転する研磨ヘッド10の研磨部12による半導体ウェーハWの研磨がなされるので、微細気泡が、研磨部12と半導体ウェーハWの隙間や、研磨部12の表面の隣接する砥粒間に入り込んで両者の摩擦を低減させる作用、微細気泡の異物(研磨部12から離脱した砥粒や研磨屑等)への吸着、微細気泡の成長による異物を浮揚させる作用等の微細気泡の特徴を利用して研磨部位からの異物の効果的な除去を行いつつ半導体ウェーハWの表面をより安定的に研磨することができるようになる。
【0027】
そして、研磨ヘッド10の内部に配置された液体供給ヘッド20内で生成された微細気泡を含有する液体、具体的には、吐出流路253a〜253h(傾斜流路253ab〜253eb等)の吐出口254a〜254hの近傍に形成された絞り部255a〜255e等にて生成された微細気泡を含有する液体が回転する研磨ヘッド10の研磨部12と半導体ウェーハWの表面に供給されるので、発生から間もないことで微細な大きさを維持したより多くの微細気泡を含有する液体を研磨ヘッド10の研磨部12及び半導体ウェーハWに供することができる。よって、切削屑や砥粒等のゴミを微細気泡に吸着させて効果的に取り除くことができるとともに、その発生当時の気泡の径が保たれたまま供給される微細気泡が研磨部12表面の隣接する砥粒間により多く入り込んで効果的な摩擦低減を図れる等、微細気泡を含有する液体を半導体ウェーハW(被加工物)の表面の研磨(加工)に有効に利用することができるようになる。
【0028】
また、研磨ヘッド10の内側において、液体供給ヘッド20における傾斜流路253ab〜253eb等の吐出口254a〜254hから半導体ウェーハWの研磨ヘッド10の研磨部12が接触する部位の近傍に向けて液剤が吐出するので、当該液剤が半導体ウェーハWの表面に斜め上方から吹き付けられる。そして、研磨ヘッド10のリング状の研磨部12に複数の切欠き部121a〜121pが形成されていることと相まって、研磨屑や砥粒を効率的に研磨ヘッド10の外側に流し出すことができ、微細気泡を多数含有する液体の置換性が向上して、半導体ウェーハWを効率的に清浄にすることができる。
【0029】
更に、液体供給ヘッド20の回転軸22が研磨ヘッド10のすべり軸受け14に支持されることにより、液体供給ヘッド20が研磨ヘッド10と同一方向で、研磨ヘッド10の回転速度より遅い速度で回転した状態で、各吐出口254a〜254hから液体が吐出する。このため、研磨ヘッド10が液体供給ヘッド20に対して相対的に比較的低速にて回転するようになり、各吐出口254a〜254hから吐出する液剤が研磨ヘッド10の研磨部12の各部分にむらなく供給することができる。
【0030】
また、液体供給ヘッド20に設けられた流路網25における各吐出流路253a〜253hを構成する各傾斜流路253ab〜253eb等は、対応する直流路253aa〜253eaから研磨ヘッド10の回転方向(図2における方向A)と逆方向に向いて斜め下方に傾斜しているので、各吐出流路253a〜253hを通って各吐出口254a〜254hから研磨ヘッド10の回転に逆らう方向に液体が吐出するようなる。このため、液体が比較的高い相対速度にて研磨ヘッド10の内側から供給されるので、砥粒や研磨屑等の異物をより効率的に研磨ヘッド10の外側に流し出すことができるようになる。
【0031】
なお、液体供給ヘッド20に設けられる流路網25は、前述したもの(図2及び図3参照)に限られず、絞り部の形成された単一または複数の流路にて構成することができる。
【0032】
また、研磨ヘッド10の研磨部12は、切欠き部121a〜121pによって分割される複数の研磨体にて構成されるものでなく、例えば、図5に示すように、リング状の研磨部12の全体が研磨体にて構成されるものであってもよい。
【0033】
流路網25における各吐出流路253a〜253hは、半導体ウェーハWの回転方向と同方向に液体を吐出するように形成されるものであってもよい。ただし、研磨が行われれば問題ないが、半導体ウェーハWの回転方向と異なる方向に液体が吐出されるほうが、半導体ウェーハWに供給される液体の置換性が良くなり、好ましい。
【0034】
流路網25における各流路は、吐出口254a〜254hに向けて傾斜するものであったが、これに限られない。傾斜しているほうが、液体の流れが良くなり、置換性が向上するので好ましいが、必ずしも傾斜している必要はなく、研磨部12の半導体ウェーハW(被加工物)との接触部の近傍に微細気泡を含有した液体を供給できるものであればよい。また、傾斜させる場合であっても、その傾斜角度は30度以下に限定されるものではない。
【0035】
研磨ヘッド10の回転速度と液体供給ヘッド20との回転速度は、研磨部12に微細気泡含有の液体が当たる機会が多くなるという観点から、異なるほうが好ましいが、同じであってもよいし、研磨ヘッド10の回転速度が液体供給ヘッド20の回転速度より遅くてもよい。
【0036】
テーブル200の回転方向と、加工ヘッド100の回転方向とは、同方向でもよいが、相対速度が大きくなるという観点から、異なることが好ましい。
【0037】
図3に示すように研磨部12に形成される複数の切欠き部121a〜121pは、外方に向けて広がる形状であったが、これに限られず、等幅のものであってよい。また、各切欠き部121a〜121Pは、研磨ヘッド10の中心からの放射状ではなく、例えば、液体供給ヘッド20から微細気泡が供給される方向に沿って斜めに形成されるものであってもよい。この場合、液体の流れが良くなり、供給される液体の置換性が向上する。
【符号の説明】
【0038】
10 研磨ヘッド(工作具)
11 研磨ヘッド本体
11a 凹部
12 研磨部(加工部)
13 軸保持部
14 すべり軸受け
15 固定部材
16 回転軸
20 液体供給ヘッド
21 液体供給ヘッド本体
22 回転軸
25 流路網
30 ロータリージョイント
50 気体溶存液生成機構
51 貯液槽
52 ポンプ
53 ボンベ
54 開閉弁
55 加圧槽
56 圧力調整器
58a〜58c 送通管
121a〜121b 切欠き部
251 縦流路
252a〜252h 横流路
253a〜253h 吐出流路
253aa〜253ea 直流路
253ab〜253eb 傾斜流路
254a〜254h 吐出口
255a〜255h 絞り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する工作具を被加工物の表面に接触させて当該被加工部物の表面を加工する加工ヘッドであって、
前記工作具の内部に設けられ、供給される液体を導いて前記被加工物の前記工作具が接触する部位の近傍に向けて吐出する少なくとも1つの流路を備え、
前記流路には絞り部が形成された加工ヘッド。
【請求項2】
前記工作具は、前記被加工部に対向して開口する凹部が形成されるとともに、該凹部の開口を囲むように配置されて前記被加工物の表面に接触するリング状の加工部を有し、
前記工作具の前記凹部内に配置され、供給される液体を導いて前記被加工物の前記加工部が接触する部位の近傍に向けて吐出する前記流路を有する液体供給部を備えた請求項1記載の加工ヘッド。
【請求項3】
前記加工部には、リング状の当該加工部の内側と外側とを連通する複数の切欠き部が形成された請求項2記載の加工ヘッド。
【請求項4】
前記液体供給部は、前記工作具の前記凹部内に回転自在に支持された請求項2または3記載の加工ヘッド。
【請求項5】
前記工作具は、当該工作具と同軸となるすべり軸受けを有し、
前記液体供給部は、前記すべり軸受けに回転自在に支持される軸部を有する請求項4記載の加工ヘッド。
【請求項6】
前記流路は、前記工作具の回転に逆らう方向に液体を吐出するように前記液体供給部内に配置された請求項2乃至5のいずれかに記載の加工ヘッド。
【請求項7】
前記流路は、斜め上方から前記被加工物の前記加工部が接触する部位の近傍に向けて液剤を吐出するように前記液体供給部内に配置された請求項2乃至6のいずれかに記載の加工ヘッド。
【請求項8】
前記流路は、前記液体供給部の中央部を上部から下方に前記気体含有液を導く縦流路と、
該縦流路に続いて前記液体供給部の中央部から周辺部に延びる横流路と、
該横流路から前記液体供給部の前記被加工物に対向する面で開口する吐出口まで続く吐出流路とを有し、
前記絞り部は、前記吐出流路に形成された請求項2乃至7のいずれかに記載の加工ヘッド。
【請求項9】
前記吐出流路は、斜め上方から前記被加工物の前記加工部が接触する部位の近傍に液剤を吐出する傾斜流路を有し、
前記絞り部は、前記傾斜流路に形成された請求項8記載の加工ヘッド。
【請求項10】
前記液体供給部は、複数の流路を有し、該複数の流路から前記被加工物の前記加工部が接触する複数の部位それぞれの近傍に向けて液剤が吐出される請求項2乃至9のいずれかに記載の加工ヘッド。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の加工ヘッドと、
気体を液体に溶解させて気体溶存液を生成し、前記気体溶存液を前記加工ヘッドの前記流路に供給する気体溶存液生成機構とを備えた加工機械。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれかに記載の加工ヘッドを用い、
前記加工ヘッドの前記流路に気体溶存液を供給するステップと、
前記気体溶存液が前記流路の絞り部を通過する際に発生する微細気泡を含有する液体を前記工作具の内側から前記被加工物の当該工作具が接触する部位の近傍に向けて吐出しつつ、前記工作具の回転によって前記被加工物の表面を加工するステップとを有する加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−43239(P2013−43239A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181548(P2011−181548)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】