説明

加熱装置

【課題】 高品質で作業コストを低減しつつ、シェルの積層間に形成される隙間の気密性を維持することの可能な加熱装置を提供すること。
【解決手段】複数の筒状のシェルユニット51を積層することにより形成したシェル50の中に基板を処理する処理室を設ける。このシェル50の内周に支持されると共に基板を加熱するヒーター20を備える。これらシェルユニット51の積層間に形成される隙間50sを変形可能な封止部材52で封止する。封止部材52は帯状であるとともにシェル50の外周側から隙間50sを覆うように巻き付ける。この封止部材52の外側から帯状の固定部材53を巻き付けることにより封止部材52を締め付け固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置、特に、半導体製造における被処理基板を処理室に収容して発熱体により加熱した状態で処理を施す熱処理用の加熱装置に関する。さらに詳しくは、複数の筒状のシェルユニットを積層することにより形成したシェルの中に基板を処理する処理室を設け、このシェルの内周に支持されると共に前記基板を加熱するヒーターを備え、これらシェルユニットの積層間に形成される隙間を変形可能な封止部材で封止した加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述の如き加熱装置として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この加熱装置は、図6に示すように複数の筒状のシェルユニット51’を積層してなるインナーシェル50’の内に、基板を処理する処理室と発熱体20’とが配置されている。これらのシェルユニット51’の積層間には、熱膨張による伸びを吸収するために隙間50s’が設けられている。
【0003】
隙間50s’の上方にフランジ50t’、下方に水冷管59’を設け、それらで断熱ブランケット50a’を挟んでいる。これにより、断熱材としての断熱ブランケット50a’で隙間50s’を塞ぎ、隙間50s’から冷却ガスが加熱空間18’内部に漏洩することを防止している。
【0004】
フランジ50t’は筒状のシェルユニット51’に取り付けられるため扇形に加工せねばならず、フランジ50t’は断熱ブランケット50a’を挟むため肉厚であることを要し、部品コストが嵩むものとなっていた。また、フランジ50t’を荷重に耐えるべくシェルユニット51’に強固に取り付ける必要があるため、全周溶接する必要があり、作業効率が悪く、この点でもコストが嵩んでいた。
【0005】
また、肉厚の断熱ブランケット50a’はヒーターの昇降温に伴って伸縮を繰り返すので、隙間50s’の封止が不十分となりやすく、シェルの気密性を確保することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−33117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、高品質で作業コストを低減しつつ、シェルの積層間に形成される隙間の気密性を維持することの可能な加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る加熱装置の特徴は、数の筒状のシェルユニットを積層することにより形成したシェルの中に基板を処理する処理室を設け、このシェルの内周に支持されると共に前記基板を加熱するヒーターを備え、これらシェルユニットの積層間に形成される隙間を変形可能な封止部材で封止した構成において、前記封止部材は帯状であるとともに前記シェルの外周側から前記隙間を覆うように巻き付けてあり、この封止部材の外側から帯状の固定部材を巻き付けることにより前記封止部材を締め付け固定していることにある。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明に係る加熱装置の特徴によれば、作業コストや材料ロスを減少させ、シェルに設けられる隙間は、シェルの膨張・伸縮を吸収しつつ気密性を維持できる。
【0010】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明における加熱装置の概略を示す縦断面図である。
【図2】図1の天井部近傍における横断面図である。
【図3】図1におけるA部拡大図である。
【図4】図2におけるB部拡大図である。
【図5】図1におけるC部拡大図である。
【図6】従来技術に係る図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、適宜添付図面を参照しながら、本発明を実施する為の最良の形態としての第一の実施形態を説明する。
【0013】
図1〜5に示すように、基板処理装置1は、大略、処理室308を形成する反応容器309と、この反応容器の外周に配置された加熱装置3と、主制御装置4とを備えている。
【0014】
加熱装置3は、大略、天井部10、円筒状の中間部11、下部12及び端子ケース13を有し、中間部11には発熱体20が支持されている。天井部10には下面と側面に開口するエルボ状の排気導路81が形成され、さらにその下部に反射装置90を有している。中間部11は、発熱体20を支持するインナシェル50を絶縁状態でアウタシェル60により包囲し、さらに外周を化粧パネル70で包囲している。インナシェル50とアウタシェル60とは導電性の材料から構成されており、例えば、ステンレス材等の金属材から構成されている。
【0015】
中間部11の上部と吸気アタッチメント7xとの間には冷却ガス導入ダクト7yが取り付けられる。吸気アタッチメント7xの開口には開閉バルブ7aとして例えばバタフライバルブが装着され、流路が開閉できるようになっている。吸気アタッチメント7xは冷却ガス供給ライン7に接続される。インナシェル50及びアウタシェル60の間に円筒状の冷却媒体流通通路としての気道14が形成される。冷却ガス導入ダクト7yは環状に略均等に配置された複数のパイプ61により気道14と連通している。一方、排気導路81には強制排気を行う排気ブロア8aを備えた強制排気ライン8が接続され、加熱装置3の内部空間である加熱空間の強制排気が行われる。そして、冷却ガス供給ライン7から導入された空気若しくは不活性ガス等のガスは気道14及び後述の複数の碍子孔から加熱空間18に冷却ガスとして供給され、強制排気ライン8から排気される。
【0016】
反応容器309は、加熱空間18に順次同心に配置される均熱管315及び反応管310を備え、この反応管310内に処理室308が形成される。この処理室308にはウェーハ305を水平多段に保持するボート300が収納される。このボート300は図示しないボートエレベータにより、処理室内308へ装入、引出し可能である。
【0017】
反応管310内には反応ガス導入管5x及び排気管6xが連通される。反応ガス導入管5xには流量制御器5aが設けられ、排気管6xには圧力制御器6aが設けられる。反応ガスが所定流量で導入されると共に前記反応管310内が所定圧力に維持される様に、排出口6yから内部ガスが排気され、排気管6xを通じて処理室外に排出される。
【0018】
他の冷却ガス供給ライン5yは、均熱管315と反応管310との間に形成される均熱管内空間317に連通される。前記冷却ガス供給ライン5yには流量制御器5bが設けられる。また、吸気アタッチメント7xには開閉バルブ7aが設けられる。強制排気ライン8には排気装置としての排気ブロア8aが設けられる。すなわち、均熱管内空間317と加熱空間18の双方に対して冷却ガスを適宜導入・調整することが可能である。
【0019】
発熱体20は中間部11の円筒の軸心方向に対し、所要のゾーンZ1〜Z5に複数段に区分けされ、ゾーン制御が可能となっている。各ゾーンには各ゾーンの加熱温度を検出する温度検出器が設けられている。なお、発熱体20は各ゾーンそれぞれの成形パターンを同じにすることにより、発熱量を各ゾーンとも均一にする様にしてもよい。
【0020】
基板処理装置1の各部は主制御装置4によって制御され、例えば、反応管310内で処理されるウェーハ305の処理状態は、主制御装置4によって制御される。この主制御装置4は、温度モニタ部4a、加熱制御部(加熱制御装置)4b、反射制御部4c、第一流量制御部4d、反応管310内の圧力を制御する圧力制御部4e、第二流量制御部4f、排気制御部4g及び前記ボートエレベータ等の機構部を制御する駆動制御部4hを備えている。
【0021】
温度モニタ部4aは第一〜第三温度検出器TC1〜TC3の温度を検出する。ここで、第一温度検出器TC1は発熱体20近傍で各ゾーンZ1〜Z5毎に設けられる。第二温度検出器TC2は反応管310内の周部における前記各ゾーンZ1〜Z5毎に設けられる。さらに、第3温度検出器TC3は反応管310より上方若しくは反応管310の上部中央を含む範囲に設けられている。
【0022】
加熱制御部4bは、温度モニタ部4aの検出結果に基づき各ゾーンZ1〜Z5の発熱体20の発熱量を制御する。また、反射制御部4cは、温度モニタ部4aの検出結果に基づき反射装置90の駆動装置としてのアクチュエータ99を制御する。そして、下面が鏡面仕上げされた反射体(リフレクタ)91を適宜傾斜させて発熱体20から反応管310の上部中央に対する集光度を変更し、同部分の温度制御を行う。
【0023】
第一流量制御部4dは流量制御器5aを制御し、圧力制御部4eは圧力制御器6aを制御し、反応ガスの導入と圧力を制御する。また、第二流量制御部4fは流量制御器5bを制御し、排気制御部4gは開閉バルブ7a及び排気ブロア8aを制御し、冷却ガスの導入と排出とを制御する。
【0024】
発熱体(ヒータ素線)20は、アルミナ等の絶縁素材としての吊り碍子30によりインナシェル50に固定されている。前記発熱体20には急速加熱が可能である発熱材料、例えばFe−Al−Cr合金が用いられ、発熱表面積が大きくなる様に、断面は平板形状等の形状が採用され、面状発熱体として構成されている。発熱体20は上下に蛇行状の折返部21,22を有しており、中間部は上折返部21と下折返部22とをそれぞれ半ピッチずらして接続する素線部23と、各素線部23間に位置する隙間24から構成されている。また、発熱体20の上部は吊り碍子30に保持される折曲部20aとして折り曲げ加工がなされている。インナシェル50内面は鏡面仕上げされており、発熱体の素線部23裏面から輻射される熱線を前記内面で反射させ、隙間24から加熱空間18に向かって放射する。
【0025】
絶縁材料としての吊り碍子30はアルミナ等の耐熱絶縁材料よりなる上碍子31及び下碍子32からなり、上金具33と下金具34で発熱体20の上部における折曲部20aを挟んで、ピン35で溶着固定されている。下金具34は二カ所の折曲部においてボルト36によりカラー54を介してシェルユニット51に取り付けられる。
【0026】
インナシェル50には中央に貫通孔40aを有し気道14内の冷却ガスをインナシェル50内部に供給する複数の急冷パイプ40がインナシェル50の内壁から加熱空間18側に向かって突出するように設けられている。急冷パイプ40はアルミナ等の絶縁耐熱材料により形成されている。この急冷パイプ40は、隙間24において発熱体20を貫通する貫通部40dと、この貫通部40dが発熱体20を貫通する貫通方向Vに交差する方向にこの貫通部40dよりも突出する突出部としての略円形の鍔40b、40cにより発熱体20の中腹の動きを制限する。すなわち、一対の鍔40b、40c間の貫通部40dに溝を形成する。さらに発熱体20の下端を下段の吊り碍子30の上端位置に重なる位置に設け、発熱体20の下端の急冷パイプ40の貫通方向に対する動きを制限する。
【0027】
インナシェル50の外側には複数の接続碍子58aを介して絶縁状態でアウタシェル60が取り付けられる。接続碍子58aは絶縁性と耐熱性を有するアルミナ材で製作されているため、不測に発熱体20とインナシェル50とが接触し、インナシェル50に電流が伝わる等により例えば短絡しても、接続碍子58aにより電流がアウタシェル60に伝わることはない。
【0028】
接続碍子58aの内側はインナシェル50に対し第一のボルト58bで固定される。一方、接続碍子58aの外側はアウタシェル60に対し絶縁耐熱材料としての環状中空状のカラー58cを介して第二のボルト58dで固定される。カラーカラー58cはアウタシェルの取付孔を貫通して設けられ、アウタシェル60の肉厚よりも厚く形成され、第二のボルト58dの頭部下面と接続碍子58a外面との間にクリアランス(隙間)を設けている。インナシェル50が熱膨張によって膨らんでも、その変形分をこのクリアランスにより吸収し、アウタシェル60に熱応力が作用することを防ぎ、アウタシェル60の変形を防止している。
【0029】
アウタシェル60のさらに外側には柱62を介して最外殻である側壁外層としての化粧パネル70が設けられている。この化粧パネル70はフランジを有する柱62を介してアウタシェル60と例えば金属製のリべット62aにより固定アウタシェル60の上部には円筒状の前記気道14に連通する開口61aが設けられ、この開口61aにパイプ61の一端が溶接される。パイプ61は化粧パネル70を貫通し、その他端が冷却ガス導入ダクト7yに連通している。なお、柱62、化粧パネル70は導電性を有する材料から構成されており、例えば、ステンレス材料等の金属材料から構成されている。このため、化粧パネル70とアウタシェル60とは柱62を介して導電する状態で接続されている。なお、アウタシェル60や化粧パネル70に対する導電を上述の如く防ぐことで基板処理装置全体への導電を防止し、作業時の感電等や基板処理装置内の電装品が破損することを防いでいる。
【0030】
次に、図3〜5を参照しながら、発熱体20とその保持構造ないし支持構造について説明する。
【0031】
前記急冷パイプ40は、インナシェル50の内面に対する直交方向であり前記発熱体20を貫通する方向である貫通方向Vに突出する。よって、急冷パイプ40で上下方向中腹の発熱体20の加熱装置径方向ヘの凸変形と凹変形を制限し、吊り碍子30で素線下端の凹変形を制限している。側壁材としてのインナシェル50は熱容量の小さなステンレス鋼等の金属製材料で構成され、大気雰囲気で使用できる発熱体20を絶縁した状態で固定することができる。
【0032】
吊り碍子30の上金具33及び下金具34は剛性の点では上記円弧方向Rに連続していることが望ましい。しかし、発熱体20の加熱時の熱膨張による熱変形を防ぐため、分断の必要もある。そこで、適宜個数の吊り碍子30毎に上金具33及び下金具34を分断することで、捻り剛性を保ちつつ熱膨張による下金具34間の隙間34aを最小限に留めている。また、各下金具34間に各上金具33を跨らせることで、さらに捻り剛性を向上させている。
【0033】
図1,3に示すように、本実施形態では、上下方向に9段の発熱体20が設けられ、各発熱体20はインナシェル50内に保持される。インナシェル50は、筒状で複数積層し、その積層間に隙間50sを有するシェルユニット51と、隙間50sを塞ぐ封止部材52と、この封止部材52の外側から巻き付け固定される固定部材53とを備えている。隙間50sは、シェルユニット51の熱膨張による伸びを吸収するために設けられている。
【0034】
封止部材52は帯状であり、シェルユニット51の外周側から隙間50sを覆うように巻き付けられる。この封止部材52は、例えばアルミナ等の耐熱絶縁材料よりなる繊維を編んだ柔軟性のあるものを使用している。シェルユニット51の熱変形による膨張や伸縮を隙間50sで吸収しつつ、その隙間50sを封止部材52で塞ぐことができる。よって、冷却ガスが加熱空間18内部に漏洩せず、インナシェル50の気密性は確保される。
【0035】
固定部材53は、封止部材52を外側から巻き付けて封止部材52を締め付け固定している。固定部材53には、例えばSUS製のベルト状部材が用いられる。封止部材52及び固定部材53は、シェルユニット51に密着するため、シェルユニット51と同様に温度変化に追随する。よって、封止部材52及び固定部材53は、シェルユニット51と共に熱膨張するため、緩みを防止できる。
【0036】
固定部材53を封止部材52上で固定するには、固定部材53の重なり部分を溶接留めするだけでよいため、点溶接ですむ。よって、溶接工数を減らすことができ、作業効率を向上させることが可能である。さらに、固定部材53は帯形状であるため、材料ロスを少なくすることができる。固定部材53の巻き付け性を考えると、肉厚は薄い方が作業効率がよいため、部品コストを削減することも可能である。さらに、従来技術の如き水冷管59’を使用する必要がないため、省エネ性能を向上させることができる。
【0037】
下金具34をシェルユニット51に固定するためのボルト36には、カラー54が取り付けられている。このカラー54は、封止部材52及び固定部材53の重力による落下を防止するためのものである。
【0038】
ここで、急冷パイプ40の貫通孔40aは、反応容器309、延いては、その中のウエハを急速に冷却する。しかし、隙間50sは、急冷パイプ40に比べるとコンダクタンスも少ないため、冷却ガスの大部分は隙間50sから加熱空間に漏洩する。しかも、隙間50sはインナシェル50の分割体同士の間に位置し、急冷パイプ40の出口よりも反応容器309と隔たっている。特に反応容器309の手前には発熱体が存在するため、反応容器309への冷却が非効率となってしまう。これを防ぐために上記隙間50sを塞ぐ構造が必要である。
【0039】
次に、上記基板処理装置1の動作について説明する。
【0040】
ウェーハ305の処理は、このウェーハ305が装填された前記ボート300がボートエレベータにより前記反応管310に装入され、前記加熱装置3の加熱により所定温度迄急速加熱される。この加熱装置3により前記ウェーハ305を所定温度に加熱した状態で前記反応ガス導入管5xより反応ガスが導入され、前記排気管6xを介して排気ガスが排出され、前記ウェーハ305に所要の熱処理がなされる。
【0041】
発熱体20を発熱させると、シェルユニット51は熱膨張により熱変形し、シェルユニット51の熱膨張による伸びは、隙間50sに吸収される。この隙間50sを覆う封止部材52及び固定部材53は、熱膨張率がシェルユニット51とおおよそ同程度であることから、シェルユニット51と同様に熱膨張する。そして、発熱体20が発熱されなくなり冷却すると、シェルユニット51は同様に冷却される。封止部材52は、固定部材53の巻き付けによりシェルユニット51に密着しているので、シェルユニット51の温度に追随し冷却され収縮される。よって、封止部材52及び固定部材53の巻き付けの緩みを防止できるため、隙間50sの気密性を確保することができる。
【0042】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0043】
上記実施形態において、封止部材52及び固定部材53の重力による落下を防止するためにボルト36とカラー54を用いた。しかし、固定部材53の重力落下を防止できるものであれば足り、例えばインナシェル50の径方向内側に向かって数カ所ピンを突出させたり、封止部材52及び固定部材53自体の端部にねじを貫通させたり、固定部材53の一部をシェルユニット51に溶着してもよい。但し、他の目的の部材との兼用、組立の容易さから、上記実施形態が優れている。
【0044】
上記実施形態において、封止部材52としてアルミナ繊維を編んだものを用いたが、シリカクロス、ガラス繊維又はセラミック繊維等の柔軟性及び気密性の確保される素材であればよい。また、固定部材53としてSUSベルトを用いたが、固定部材53としては熱膨張率がシェルユニット51とおおよそ同程度の他の材料を用いてもよい。
【0045】
反応容器は、均熱管及び反応管の双方を備えるように説明したが、均熱管を備えずに反応管のみであってもよい。その他、2重管のみならず、1管や3重管以上の管数に構成されていてもよい。
【0046】
上記熱処理は酸化処理や拡散処理及び拡散だけでなくイオン打ち込み後のキャリア活性化や平坦化のためのリフローおよびアニール処理等に限らず、成膜処理等の熱処理であってもよい。基板はウエハに限らず、ホトマスクやプリント配線基板、液晶パネル、光ディスクおよび磁気ディスク等であってもよい。バッチ式熱処理装置および枚葉式熱処理装置に限らず、ヒータユニットを備えた半導体製造装置全般に適用することができる。上記インナシェル50及び反射体91の鏡面仕上げ部は、ステンレス鋼の研磨により鏡面とする他、金、白金等の貴金属によるメッキを施しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、例えば、半導体集積回路装置(半導体デバイス)が作り込まれる半導体ウエハに酸化処理や拡散処理、イオン打ち込み後のキャリア活性化や平坦化のためのリフローやアニール及び熱CVD反応による成膜処理などに使用される基板処理用加熱装置に利用することができる。本発明は、このような基板処理用加熱装置のうち、特に低温領域でプロセスに対して有効なものである。
【符号の説明】
【0048】
1:基板処理装置,3:加熱装置,4:主制御装置,4a:温度モニタ部,4b:加熱制御部,4c:反射制御部,4d:第一流量制御部,4e:圧力制御部,4f:第二流量制御部,4g:排気制御部,4h:駆動制御部,5a:流量制御器,5b:流量制御器,5x:反応ガス導入管,5y:冷却ガス供給ライン,6a:圧力制御器,6x:反応ガス排気管,7:冷却ガス供給ライン,7a:開閉バルブ,7b:急冷パイプ,7x:吸気アタッチメント,7y:冷却ガス導入ダクト,8:強制排気ライン,8a:排気ブロア,10:天井部,11:中間部,12:下部,13:端子ケース,14:気道(冷却媒体流通通路),18:加熱空間,20:発熱体,20a:折曲部,21:上折返部,22:下折返部,23:素線部,24:隙間,30:吊り碍子,31:上碍子,32:下碍子,33:上金具,34:下金具,34a:隙間,35:ピン,36:ボルト,40:急冷パイプ,40a:貫通孔,40b:鍔,40c:鍔,40d:貫通部,42:急冷パイプ,50:インナシェル(側壁内層),50s:隙間,51:シェルユニット,52:封止部材,53:固定部材,54:カラー,55a:開口(第一の開口),55b:箱(隔壁体),55c:鍔,55x:ねじ,58a:接続碍子,58b:第一のボルト,58c:カラー,58d:第二のボルト,60:アウタシェル(側壁中層),60x:第三フランジ,60y:断熱ブランケット,61:パイプ,61a:開口,62:柱,62a:リベット,65:開口(第二の開口),65a:隙間,70:化粧パネル(側壁外層),71:ネジ,72a:底蓋,72b:コイルウケ,81:排気導路,81a:排気口,82:第一の開口,83:第二の開口,90:反射装置,91:反射体,91a:隙間,92:移動機構,93:シャフト,94:中央板,95:ボルト,99:アクチュエーター,100:取付構造,101:温度センサ(温度検出器),102:熱電対接点(温度検出体),103:保護管,103x:隙間,103y:隙間,104:碍子管,105:内鍔,106:外鍔,107:碍子,108:端子,109a:金属管,109b:止めねじ,111:第一パッキン,111a:孔,112:第二パッキン,112a:孔,120a〜c:ねじ,121:温度センサ(温度検出器),125:内鍔,126:外鍔,127:内箱,128:外箱,129:パッキン,131:温度センサ(温度検出器),132:温度センサ(温度検出器),133:保護管,135a〜c:鍔,300:ボート,305:ウエハ,308:処理室,309:反応容器,310:反応管,315:均熱管,317:均熱管内空間,320:L型温度センサ(温度検出器),321:接点(温度検出体),322:接点(温度検出体),330:温度センサ(温度検出器),Z1〜Z5:ゾーン,H1〜H3:貫通孔,R:円弧方向,V:貫通方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の筒状のシェルユニットを積層することにより形成したシェルの中に基板を処理する処理室を設け、このシェルの内周に支持されると共に前記基板を加熱するヒーターを備え、これらシェルユニットの積層間に形成される隙間を変形可能な封止部材で封止した加熱装置であって、
前記封止部材は帯状であるとともに前記シェルの外周側から前記隙間を覆うように巻き付けてあり、この封止部材の外側から帯状の固定部材を巻き付けることにより前記封止部材を締め付け固定してある加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−138936(P2011−138936A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298110(P2009−298110)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【出願人】(393000571)貞徳舎株式会社 (18)
【Fターム(参考)】