説明

加熱調理器

【課題】 加熱調理器のロースター部を構成するグリルドアをシステムキッチンの引き出しパネル等と調和させ、システムキッチンにさりげなく溶け込むことができるようにする。
【解決手段】 本体の上面に設けられたプレートと、前記プレートの下方設けられた加熱コイル部と、前記加熱コイル部の下方であって前記本体の一側に設けられ、前記本体の前面に設けられたドア部と共に前記本体の奥行き方向に移動する皿とを有する加熱調理庫と、前記加熱調理庫とは反対側の前面に設けられた操作部パネル部と、を備え、前記ドア部は、前記加熱調理庫の前面開口部全体を塞ぐガラス板と、少なくとも前記ガラス板の上面及び左右側面を支持するガラス支持枠と、前記ガラス板に設けられた貫通穴を通して前記ガラス支持枠と係合する取付け軸を有するガラス板係止部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱コイル部と、この加熱部の下方であって本体の左右いずれか一側に設けられた加熱調理庫とを備えた誘導加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の加熱調理器を図5に従って説明する。
【0003】
図5は従来の組込式誘導加熱調理器の外観図を示す。
【0004】
図において、1は加熱調理器を組み込むためのシステムキッチンである。
【0005】
2は加熱調理器の本体で、システムキッチン1の天板開口穴(図示せず)の中に上面から挿入され、該システムキッチン1の天板部にその外周縁部が吊り下がる様に設置されており、設置後は前面の左右に配置した後記するロースター部4の前面及び操作部パネル5がシステムキッチン1の前面開口穴1aに臨み、本体2の前面から操作できるようになっている。
【0006】
3は耐熱ガラス等からなるプレートで、本体2の上面に配置され、調理用の容器(図示せず)を載置する。
【0007】
6は加熱コイル等よりなる加熱部で、本体2内の上部左右に配置され、プレート3によって覆われている。
【0008】
4はロースター部で、加熱部6の下方で本体2の左側(右側でもよい)に配置され、内部にロースターヒータや受け皿、受け皿内に載置される焼網(いずれも図示せず)等を備え、前面開口部に上部がガラス板4a1で構成され、下部がハンドル4a2で構成されたロースタードア4aを備えている。
【0009】
5は下部を支点として開閉自在の操作部パネルで、ロースター部4の横で本体2の右側(左側でもよい)前面に配置され、加熱部6及びロースター部4の電源の入り切りや加熱の設定等を行うものである。
【0010】
上記のような構成の従来例として、特許文献1に開示された例がある。
【0011】
【特許文献1】特開平2003−190024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述したように、従来の加熱調理器は、本体2の前面にロースター部4のロースタードア4aと、開閉自在の操作部パネル5を左右に並べて配置する構成となっている。
【0013】
このため、システムキッチン1を正面から見た場合、操作部パネル5は、その操作面が本体2内に収納されて前面がフラットな面となり、スッキリした外観となっているが、ロースタードア4aは上部がガラス板4a1で構成され、下部がロースターハンドル4a2で構成される二分割構成であるため、スッキリとした外観にならず、キッチントータルの美観を損ねるものとなっていた。
【0014】
特に、近年は、上記した加熱調理器を設置するシステムキッチンが、会話を楽しみながら調理する等の住環境の変化から、システムキッチンをオープンにして見せるようになり、システムキッチンとクッキングヒータの調和が求められるようになってきており、上記したように、ロースタードア4aが上部のガラス4a1と下部のロースターハンドル4a2で構成される二分割構成では、操作部パネル5やシステムキッチンの引き出しパネル(図示せず)との調和が取りづらいものであった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、本体の上面に設けられたプレートと、前記プレートの下方設けられた加熱コイル部と、前記加熱コイル部の下方であって前記本体の一側に設けられ、前記本体の前面に設けられたドア部と共に前記本体の奥行き方向に移動する皿とを有する加熱調理庫と、前記加熱調理庫とは反対側の前面に設けられた操作部パネル部と、を備え、前記ドア部は、前記加熱調理庫の前面開口部全体を塞ぐガラス板と、少なくとも前記ガラス板の上面及び左右側面を支持するガラス支持枠と、前記ガラス板に設けられた貫通穴を通して前記ガラス支持枠と係合する取付け軸を有するガラス板係止部と、を有するものである。
【0016】
また、上記構成に加えて、本発明の加熱調理器は、前記ガラス支持枠の上面と下面を樹脂製のガラス上カバーとガラス下カバーで覆うようにしてもよい。
【0017】
さらにまた、上記構成に加えて、本発明の加熱調理器は、前記ガラス板係止部にハンドル部を有するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1によれば、加熱調理庫の前面開口部を塞ぐドア部全体をガラス板で構成し、ガラス板にガラス板を貫通する取付け部を有するガラス板係止部を備えた構成とすることにより、加熱調理部の前面がスッキリとした外観になり、操作パネルやシステムキッチンの引き出しパネルとの調和を図ることができ、システムキッチンの美観を向上させ、近年の住環境の変化に対応した製品を提供することができる。
【0019】
また、ガラス板の少なくとも上面及び左右側面をガラス支持枠で支持し、取付け軸をガラス板に設けた貫通穴を貫通してガラス支持枠に一体的に固定する構造であるため、ガラス板の上面、左右側面及び貫通穴部の割れを防止することができ、これによって、ガラス板の面積拡大を可能にすることができる。
【0020】
また、請求項2によれば、加熱調理庫の受け皿を加熱室内に出し入れする際に、使用者の手が触れやすいガラス支持枠の上面と下面を樹脂製のカバーで覆うため、火傷等することがなくなり、安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施例を添付図面に従って説明する。
【0022】
図面は、本発明の一実施例を示すものであり、図1は加熱調理器の組み込み要領図、図2はロースター部の正面図、図3はロースタードア部の分解斜視図、図4はロースター部の主要部品の斜視図である。
【0023】
図において、1は加熱調理器を組み込むためのシステムキッチンである。
【0024】
2は加熱調理器の本体で、システムキッチン1の天板開口穴(図示せず)の中に上面から挿入され、該システムキッチン1の天板部にその外周縁部が吊り下がる様に設置されており、設置後は前面の左右に配置した後記するロースター部4の前面及び操作部パネル5がシステムキッチン1の前面開口穴1aに臨み、本体2の前面から操作できるようになっている。
【0025】
耐熱ガラス等からなるプレート3は、本体2の上面に配置され、調理用の容器(図示せず)を載置する。
【0026】
加熱コイル等よりなる加熱部6は、本体2内の上部左右に配置され、プレート3によって覆われている。
【0027】
加熱調理庫として利用されるロースター部4はで、加熱部6の下方で本体2の左側(右側でもよい)に配置されており、内部にロースター庫(図示せず)を形成し、その上下又は上部にロースターヒータ(図示せず)他を備えている。
【0028】
さらに、このロースター部4の詳細な構成を図2、図3及び図4により説明すると、7は受け皿、8は受け皿7内に載置される魚等の調理物を載せる焼き網、9はロースター部4の前面開口部を塞ぐロースタードアである。
【0029】
このロースタードア9は、図3に示すようにロースター部4の前面開口部全体を塞ぐ透明なガラス板10と、このガラス板10の背面にロースター庫内の覗き窓部11を除いて貼り付けた化粧シール12と、ガラス板10の上下面及び左右側面を背面側から支持する金属製のガラス支持枠13と、ガラス板10の前面下部に直接取り付けられガラス板10を係止する係止部である横長の樹脂製ハンドル14とで構成されている。
【0030】
そして、ハンドル14の背面中央及び左右には、ガラス支持枠13と係合する契合部となる取付け軸15を一体に突出成形し、この取付け軸15と対向したガラス板10の下部には貫通穴16を設け、この貫通穴16と対向したガラス支持枠13には中央に螺子穴17aを有する台座部17を形成しており、ハンドル14の取付け軸15をガラス板10の貫通穴16を貫通してガラス支持枠13の台座部17に当接し、ガラス支持枠13の背面側の螺子穴17aと取付け軸15に螺子18をねじ込み、ハンドル14とガラス板14とガラス支持枠13とを一体的に固定している。
【0031】
樹脂製のガラス上カバー19は、ガラス支持枠13の上面に凹凸による嵌合等によって取り付けられ、使用者がガラス支持枠13の上面に手を触れて火傷しないようにしている。
【0032】
同じく樹脂製のガラス下カバー20は、略中間部に受け皿7側に延びる火傷防止板部20aを一体成形しており、使用者がガラス支持枠13の下面やその下面から受け皿7側に手を差し込んで火傷するのを防止している。なお、このガラス下カバー20はガラス板10の下面を支持することもでき、この場合には、ガラス支持枠13の下面でガラス板10を支持する必要はない。
【0033】
ガラス支持枠13の背面下部側に設けられた連結具21、22は、図4に示すように、この連結具21、22を介してロースタードア9は受け皿7に連結されている。なお、このロースタードア9と受け皿7の連結は、凹凸の組み合わせや取り付け部材と螺子の組み合わせ等公知の手段により連結することができる。
【0034】
次に上記の構成において、ロースター部4の魚焼き動作について簡単に説明する。
【0035】
使用者がロースター部4のハンドル14を手前に引くと、ロースター庫からロースタードア9と一体の受け皿7及び受け皿7に載置された焼き網13が手前に引き出される。
【0036】
そこで、焼き網8上に魚等の調理物を載せ、前記と逆の操作をして受け皿7及び焼き網8をロースター庫内に収納する。その後、操作部パネル5を開いて操作面を前面に露出させ、適宜操作ボタンを操作して調理を開始する。
【0037】
調理が進行すると、その調理具合をロースタードア9のガラス板10の覗き窓11を通して確認することができる。
【0038】
そして、調理が完了すると、再びロースタードア9のハンドル14を手前に引いて受け皿7及び受け皿7に載置された焼き網8を手前に引き出し、調理物を取り出す。このとき、使用者の手がハンドル14の下側から受け皿7側に入っても火傷防止板20aによって火傷することはない。
【0039】
その後、前記と逆の操作をして受け皿7及び受け皿7に載置された焼き網8をロースター庫内に収納する。
【0040】
本発明は以上の説明から明らかなように、ロースター部4の前面開口部を塞ぐロースタードア9全体をガラス板10で構成し、ガラス板10に樹脂製のハンドル14を取り付けた構成としたので、ロースター部4の前面がスッキリとした外観になり、操作部パネル5やシステムキッチン1の引き出しパネルとの調和を図ることができ、システムキッチン1の美観を向上させ、近年の住環境の変化に対応した製品を提供することができる。
【0041】
また、従来はロースタードアの前面の構成が二分割構成であったので、ガラス板の大きさがドア全体を占めるものよりも小さく、取付けに際し強度をあまり考慮しなくてよかったが、本実施例のようにガラス板10が大きくなると、従来に比べてその強度を考慮しなくてはならない。
【0042】
ガラス板10の少なくとも上面及び左右側面をガラス支持枠13で支持し、樹脂製のハンドル14に設けた取付け軸15をガラス板10に設けた貫通穴16を貫通してガラス支持枠1に一体的に固定する構造であるため、ガラス板10の上面、左右側面及び貫通穴16部の割れを防止することができ、これによって、ガラス板10の面積拡大を可能にすることができる。
【0043】
また、ロースター部4の受け皿7をロースター庫内に出し入れする際に、使用者の手が触れやすいガラス支持枠13の上面と下面を樹脂製のガラス上カバー19、ガラス下カバー20で覆うため、火傷等することがなくなり、安全である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の加熱調理器の組み込み要領図である。
【図2】同ロースタードア部の正面図である。
【図3】同ロースタードア部の分解斜視図である。
【図4】同ロースター部の主要部品の斜視図である。
【図5】従来の加熱調理器の組み込み要領図である。
【符号の説明】
【0045】
1 システムキッチン
2 本体
3 トッププレート
4 ロースター部
7 受け皿
8 焼き網
9 ロースタードア
10 ガラス板
13 ガラス支持枠
14 ハンドル
15 取り付け軸
16 貫通穴
19 ガラス上カバー
20 ガラス下カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の上面に設けられたプレートと、前記プレートの下方設けられた加熱コイル部と、前記加熱コイル部の下方に設けられ、前記本体の前面に設けられたドア部と前記本体の奥行き方向に移動する皿とを有する加熱調理庫と、を備え、前記ドア部は、前記加熱調理庫の前面に設けられたガラス板と、少なくとも前記ガラス板の上面及び左右側面を支持するガラス支持枠と、前記ガラス板に設けられた貫通穴を通して前記ガラス支持枠と係合する係合部を有するガラス板係止部と、を有する加熱調理器。
【請求項2】
請求項1記載の加熱調理器において、前記ガラス支持枠の上面と下面を樹脂製のガラス上カバーとガラス下カバーで覆う請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
請求項1記載の加熱調理器において、前記ガラス板係止部は、ハンドル部を有する加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−78296(P2007−78296A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−269378(P2005−269378)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】