説明

加熱調理器

【課題】庫内温度検知手段が正常に取り付けられているかを検知することで、より安全に調理を行うことができるグリル装置を備えた加熱調理器を提供すること。
【解決手段】グリル装置のグリル庫内に収容する焼網8と、油や水分を受ける受皿6と、前記焼網と受皿の間に設置された加熱手段4,5と、グリル庫内の温度を検知する庫内温度検知手段11と、加熱手段の出力を制御する加熱制御手段13とを備え、所定出力により加熱手段を駆動し、庫内温度検知手段の温度変化により庫内温度検知手段が正常に取り付けられているかを検知する庫内温度検知手段異常検知手段18aを備え、庫内温度検知手段異常検知手段が異常を検知するとその旨を報知する報知手段21を備えることにより、組立工程上で庫内温度検知手段が異常な状態で取り付けられた場合に、異常であることを検知し、作業者に報知することで、再度点検・修正を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般家庭で使用するグリル装置を有する加熱調理器において、温度検知手段の取り付けが正常に行われているかを検出する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理器は、魚などの調理物を加熱調理するグリル装置と、グリル装置のグリル庫内に収容する調理物を載置する焼網と、調理物から滴下する油などを受ける受皿と、調理物を加熱する熱源と、グリル装置の開口を開閉する扉などから構成され、グリル庫内の温度を検知する温度検知手段の温度情報に基づき加熱を制御している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は、特許文献1に記載された従来の加熱調理器を示すものである。図5に示すようにグリル装置101は前面を開口したグリル庫102を有し、グリル庫102内部に調理物103を上方より加熱する上方加熱手段104と、下方より加熱する下方加熱手段105が取り付けられている。
【0004】
受皿106は、下方加熱手段105の下方に配置され、グリル庫102の開口を覆う扉107の開閉と連動してグリル庫102内に着脱される。調理物を載置するための焼網108は受皿106に設置され、調理物103の載置面を下方加熱手段105の上方に配置し、受皿106と共にグリル庫102内に対し着脱される。
【0005】
操作部109は、加熱調理器の前面に設けられ、調理法及び調理物を選択するための選択スイッチ、加熱スタート/ストップを行う切入スイッチ、及び表示手段を備えている。グリル庫102内の温度を検知する庫内温度検出手段110により庫内温度を検出し、庫内温度が所定温度になったときに上方加熱手段104、下方加熱手段105の通電を制御手段111により制御する。
【0006】
記憶手段113は、調理法及び調理物の種類に対応する加熱出力パターンを記憶し、操作部109により選択された調理法および調理物に応じた加熱出力パターンを制御手段111へ伝達する。
【0007】
計時手段114は、時間を計時するものであり、制御手段111は選択された加熱出力パターンと計時手段114の計時結果に応じて上方加熱手段104及び下方加熱手段105の出力を制御する構成としている。
【0008】
庫内温度検知手段110の検知温度により、上方加熱手段104及び下方加熱手段105の制御を行うため、庫内温度検知性能が調理物の出来栄えに大きく寄与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−74250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の構成では、加熱調理器は庫内温度検知手段110の取り付け状態が正常に取り付けられているかどうかを確認するのは目視による確認しかできていないため、庫内温度検知手段110が脱落している状態で調理を行うと、実際の庫内温度と
庫内温度検知手段110の検知温度の差が大きくなり、調理物が焦げすぎるといった課題を有していた。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、所定出力により加熱手段を駆動し、庫内温度検知手段の温度変化により庫内温度検知手段が正常に取り付けられているかを検知することにより、異常時にはグリルを使用禁止とし、より安全に調理を行うことができるグリル装置を備えた加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、外郭を構成する本体と、本体内に設けた魚などの調理物を加熱調理するグリル装置と、前記グリル装置のグリル庫内に収容する前記調理物を載置するための焼網と、前記調理物から滴下する油や水分を受ける受皿と、グリル庫内の空気をグリル装置外に排出するための排気ダクトと、前記焼網と前記受皿の間に設置され前記調理物を加熱する加熱手段と、前記グリル庫内の温度を検知する庫内温度検知手段と、前記加熱手段の出力を制御する加熱制御手段とを備え、所定出力により加熱手段を駆動し、庫内温度検知手段の温度変化により庫内温度検知手段が正常に取り付けられているかを検知する庫内温度検知手段異常検知手段を備え、前記庫内温度検知手段異常検知手段が異常を検知するとその旨を報知する報知手段を備えることにより、組立工程上で庫内温度検知手段が異常な状態で取り付けられた場合に、異常であることを検知し、作業者に報知することができる。
【0013】
これによって、再度点検・修正を行うことができ、より安全に調理を行うことができるグリル装置を備えた加熱調理器を提供することができる。
【0014】
また、使用者宅において、グリル装置の点検・修理・付け替え等が行われた際にも正常であることを確認することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の加熱装置は、内温度検知手段の温度変化により庫内温度検知手段が正常に取り付けられているかを検知することにより、組立工程上で庫内温度検知手段が異常な状態で取り付けられた場合に、異常であることを検知し、作業者に報知することで、再度点検・修正を行うことができ、より安全に調理を行うことができるグリル装置を備えた加熱調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱調理器のグリル装置を示すブロック図
【図2】(a)本発明の実施の形態1における加熱調理器の操作部を表す図(b)本発明の実施の形態1における加熱調理器のメニューSW15cが押され、生・姿焼が選択された図(c)本発明の実施の形態1における加熱調理器の液晶表示部の初期モードの図(d)本発明の実施の形態1における加熱調理器の液晶表示部の異常検出モードの図
【図3】(a)本発明の実施の形態1における加熱調理器の庫内温度検知手段異常検知手段の動作を説明するグラフ(b)本発明の実施の形態1における加熱調理器の受皿温度検知手段異常検知手段の動作を説明するグラフ
【図4】本発明の実施の形態1における加熱調理器の操作部を表す図
【図5】従来のグリル装置を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の発明は、外郭を構成する本体と、本体内に設けた魚などの調理物を加熱調理するグリル装置と、前記グリル装置のグリル庫内に収容する前記調理物を載置するための焼網と、前記調理物から滴下する油や水分を受ける受皿と、グリル庫内の空気をグリル装置外
に排出するための排気ダクトと、前記焼網と前記受皿の間に設置され前記調理物を加熱する加熱手段と、前記グリル庫内の温度を検知する庫内温度検知手段と、前記加熱手段の出力を制御する加熱制御手段とを備え、所定出力により加熱手段を駆動し、庫内温度検知手段の温度変化により庫内温度検知手段が正常に取り付けられているかを検知する庫内温度検知手段異常検知手段を備え、前記庫内温度検知手段異常検知手段が異常を検知するとその旨を報知する報知手段を備えることにより、組立工程上で庫内温度検知手段が異常な状態で取り付けられた場合に、異常であることを検知し、作業者に報知することで、再度点検・修正を行うことができ、より安全に調理を行うことができる。
【0018】
第2の発明は、特に、第1の発明の加熱調理器に、使用者による操作を受付け、加熱調理器の状態を表示する操作・表示手段を備え、庫内温度検知手段の異常を検知するための制御を行うための異常検出モードに所定の操作により移行することにより、特殊な工具及び器具を必要とせず、使用者宅において、グリル装置の点検・修理・付け替え等が行われた際にも正常であることを確認することができる。
【0019】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の加熱調理器に、受皿の下方に設置され前記受皿の温度を検知する受皿温度検知手段を備え、受皿温度検知手段異常検知手段は所定出力により加熱手段を駆動し、受皿温度検知手段の温度変化により受皿温度検知手段が正常に取り付けられているかを検知することにより、組立工程上で庫内温度検知手段が異常な状態で取り付けられた場合に、異常であることを検知し、作業者に報知することで、再度点検・修正を行うことができ、より安全に調理を行うことができるグリル装置を備えた加熱調理器を提供することができる。
【0020】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明の加熱調理器の庫内温度検知手段は温度検知素子を一方が閉じられた管状の筒に封入し、他方から配線を引き出す構成とし、調理物を出し入れするグリル扉と反対側の面に対しグリル庫の外から挿入され、外から取り付ける取り付け構成とし、前記庫内温度検知手段異常検知手段は前記庫内温度検知手段の取り付けが、所定の位置に正常に取り付けられていない場合に異常を検知することにより、組立工程上で庫内温度検知手段が正しい位置まで挿入されていない場合や、脱落している場合に、異常であることを検知し、作業者に報知することで、再度点検・修正を行うことができ、より安全に調理を行うことができるグリル装置を備えた加熱調理器を提供することができる。
【0021】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明の加熱調理器の庫内温度検知手段異常検知手段は一旦異常を検知すると、操作・表示手段に異常がわかるように表示し、再度異常検出モードにより正常を検知するまでは異常を表示することにより、一旦異常になった場合は再度点検・修正を行い、再検査を行うことを義務づけることができ、より安全に調理を行うことができるグリル装置を備えた加熱調理器を提供することができる。
【0022】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明の加熱調理器の受皿温度検知手段異常検知手段は一旦異常を検知すると、操作・表示手段に異常がわかるように表示し、再度異常検出モードにより正常を検知するまでは異常を表示することにより、一旦異常になった場合は再度点検・修正を行い、再検査を行うことを義務づけることができ、より安全に調理を行うことができるグリル装置を備えた加熱調理器を提供することができる。
【0023】
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか1つの発明の加熱調理器が異常検出モード移行時に、庫内温度検知手段の検知温度が所定温度以上である場合は、庫内温度検知手段異常検知が正常に行うことができない旨を報知する報知手段を備えることにより、所定温度以上では温度上昇の傾きによる変化が少なくなり、検知性能が悪くなることがあるため一旦冷却期間を設け、異常検知をやり直してもらうことを報知することができる。
【0024】
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか1つの発明の加熱調理器が異常検出モード移行時に、受皿温度検知手段の検知温度が所定温度以上である場合は、受皿温度検知手段異常検知が正常に行うことができない旨を報知する報知手段を備えることにより、所定温度以上では温度上昇の傾きによる変化が少なくなり、検知性能が悪くなることがあるため一旦冷却期間を設け、異常検知をやり直してもらうことを報知することができる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器のグリル装置を示すブロック図である。グリル装置1は前面を開口したグリル庫2を有し、グリル庫2内部に調理物3を上方より加熱する上方加熱手段4と、下方より加熱する下方加熱手段5が取り付けられている。
【0027】
上方加熱手段4、および下方加熱手段5はシーズヒーターにより構成され商用電源電圧を印加されると発熱し、調理物3を加熱調理することができる。また、本実施の形態では上方加熱手段4を800W、下方加熱手段5を1000Wのヒーターとする。
【0028】
なお、本実施の形態では上方加熱手段4、および下方加熱手段5をシーズヒーターにより構成するとしたが、ハロゲンヒーターや、他の熱源を使用してもよい。また、本実施の形態では上方加熱手段4、下方加熱手段5のワットをそれぞれ800W、1000Wとしたが、ヒーターのワットは庫内の広さおよびヒーター形状に応じて変更する必要があり、これに限られるものではない。
【0029】
受皿6は下方加熱手段5の下方に配置され、グリル庫2の開口を覆う扉7の開閉と連動してグリル庫2内に着脱される。調理物を載置するための焼網8は、受皿6に設置され、調理物3の載置面を下方加熱手段5の上方に配置し、受皿6と共にグリル庫2内に対し着脱される。
【0030】
グリル庫2内の空気をグリル庫2外へ排出するための排気ダクト9はグリル庫2天板の中央からグリル装置奥の上方へ配置される。排気中の煙を除去する除煙フィルター10はグリル庫2天板の中央に配置される。本実施の形態では除煙フィルター10を白金触媒とする。除煙フィルター10の除煙性能は、自身の温度が高いほど性能が上がるため除煙フィルター10の下方に配置される上方加熱手段4のヒーターパターンを除煙フィルター10の温度を上昇させることが出来るパターンとする。
【0031】
グリル庫2内の温度を検知する庫内温度検出手段11は、サーミスタにより構成され庫内温度を検出することができる。また、受皿6の温度を検知する受皿温度検知手段12はサーミスタにより構成されグリル庫の下面を介して受皿6の温度を検知することができる。
【0032】
なお、本実施の形態では庫内温度検知手段11、および受皿温度検知手段12をサーミスタにより構成するとしたが、白金センサや赤外線センサなどの温度検知素子を使用してもよい。
【0033】
加熱制御手段13は、商用電源とヒーター間に接続されたリレーにより構成し、制御手段14の信号により上方加熱手段4、および下方加熱手段5をオン・オフする。なお、本実施の形態では加熱制御手段13をリレーにより構成するとしたが、トライアックやサイ
リスタといった半導体スイッチを使用してもよい。
【0034】
制御手段14はマイコンにより構成し、庫内温度検知手段11や受皿温度検知手段12により温度を検知し、操作部15により使用者が選択した動作モードに応じて加熱制御手段13を介して上方、下方加熱手段のオン・オフを制御する。
【0035】
記憶手段16は各種動作モード、調理シーケンスを記憶している。動作モードには水有無に応じて一定ワットを出力し続ける手動モードと、庫内の温度を一定に保つ温調モード、ならびに食材に応じた加熱パターン(一定ワット出力を一定時間保つ制御と庫内温度を一定に保つ温調を一定時間保つ制御の組み合わせ)により調理を行うオート調理モードを備え、操作部15により使用者が選択したモードに応じて加熱制御手段13を制御し調理を行う。
【0036】
制御手段14は、計時手段17により計時された時間を用い一定周期(本実施の形態では16秒とする)内のオン・オフ比率を変更することで上方、下方加熱手段の出力を制御する。たとえば、上方加熱手段4のオン時の出力を800Wとしたとき、平均電力を400Wに制御するためには8秒間オンし、残りの8秒間をオフする制御を行う。
【0037】
庫内温度検知手段異常検知手段18aは、加熱開始から所定時間内の庫内温度検知手段の温度変化値により庫内温度検知手段が正常に取り付けられているかを検知する。
【0038】
庫内温度検知手段異常検知手段18aは所定時間a(本実施の形態では30秒とする)から所定時間b(本実施の形態では45秒とする)の間の庫内温度検知手段11の温度上昇値を算出し、前記温度上昇値が所定値(本実施の形態では3Kとする)以上であれば庫内温度検知手段は正常に取り付けられていると判別し、前記温度上昇が所定値未満であれば取り付け状態が異常であると判別する。
【0039】
なお、本実施の形態では庫内温度検知手段異常検知手段18aを所定時間aから所定時間bの間の庫内温度検知手段11の温度上昇値を基に庫内温度検知手段が正常に取り付けられているかを検知するとしたが、庫内温度検知手段の検知温度が所定温度c(本実施の形態では35℃とする)から所定温度d(本実施の形態では40℃とする)まで上昇するのにかかる時間を基に水有無を検知し、所定時間c(本実施の形態では20秒とする)より短ければ正常、所定時間c以上であれば異常と検知する構成としても良い。
【0040】
受皿温度検知手段異常検知手段18bは、加熱開始から所定時間内の受皿温度検知手段の温度変化値により受皿温度検知手段が正常に取り付けられているかを検知する。
【0041】
受皿温度検知手段異常検知手段18bは、所定時間d(本実施の形態では30秒とする)から所定時間e(本実施の形態では45秒とする)の間の受皿温度検知手段12の温度上昇値を算出し、前記温度上昇値が所定値(本実施の形態では2Kとする)以上であれば受皿温度検知手段は、正常に取り付けられていると判別し、前記温度上昇値が所定値未満であれば取り付け状態が異常であると判別する。
【0042】
なお、本実施の形態では受皿温度検知手段異常検知手段18bを所定時間dから所定時間eの間の受皿温度検知手段12の温度上昇値を基に受皿温度検知手段が正常に取り付けられているかを検知するとしたが、庫内温度検知手段の検知温度が所定温度e(本実施の形態では35℃とする)から所定温度f(本実施の形態では38℃とする)まで上昇するのにかかる時間を基に水有無を検知し、所定時間f(本実施の形態では20秒とする)より短ければ正常、所定時間f以上であれば異常と検知する構成としても良い。
【0043】
各動作モードは水有用の加熱パターンと水無用の加熱パターンを有し、水有無検知手段の検知結果に応じて制御手段14は加熱パターンを変更することができる。水有無検知手段により受皿6に水が無いと検知されると、制御手段14は下方加熱手段5の温度を所定温度a(本実施の形態では500℃とする)以下に保つように平均出力を所定出力1(本実施の形態では450Wとする)以下に制御する。平均出力の所定出力1はグリル庫の体積、下方加熱手段5の表面積、グリル庫内の温度などから決まる。
【0044】
下方加熱手段5の温度が500℃以上にならないように制御することにより、調理物からでる油分が下方加熱手段5に滴下しても油分が発火することを抑制することができ、調理中に受皿にたまった油への引火を抑制することができ、受皿に水がないときにも発火の危険性を抑制し調理を行うことができる。
【0045】
報知手段21はブザーにより構成し、ON/OFFの周期及び回数を変化させることで各種報知を行う。なお、本実施の形態では報知手段21をブザーにより構成するとしたが、音声ICとスピーカーにより音声により報知を行う構成としても良い。
【0046】
次に、図2を用いて操作・表示手段15の説明を行う。図2(a)は本発明の第1の実施の形態における操作部15を表す図であり、液晶表示部15aの表示画素を全点灯した図である。
【0047】
15bはポインタでありメニューSW15cを押す毎に生・姿焼、切り身、浸け焼き、鶏肉、グラタン、焼きなす、温度調節、お手入れと移動し、メニューを選択することができる。
【0048】
図2(b)は本発明の第1の実施の形態における加熱調理器のメニューSW15cが押され、生・姿焼が選択された図である。メニューSW15cによりメニューを選択し切/入SW15dを押すことで、選択されたメニューの調理を開始することができる。
【0049】
また、アップ/ダウンSWである15e、15fにより設定火力を選択することができ、焼加減を選択することができる。調理中に再度切/入SW15dを押すことで加熱を停止することができる。
【0050】
メニューSW15cにより温度調節を選択したときにはアップ/ダウンSWである15e、15fにより温度を選択することができる。
【0051】
図2(c)は本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の液晶表示部の初期モードの図であり、この状態で切/入SW15dを押すことで、手動モードにて加熱を開始することができる。加熱開始後アップ/ダウンSWである15e、15fにより、強、中、弱の火力を選択することができる。
【0052】
また、初期モードにてメニューSW15cを押すことで図2(b)にて説明したメニュー選択モードへ移行する。
【0053】
図2(d)は本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の液晶表示部の異常検出モードの図であり、異常検出モードへ移行した場合の液晶表示部15aの表示であり、テストモードであることがわかるような表示としている。
【0054】
異常検出モードへ移行するには、メニューSW15cとダウンSW15fを同時に押しながら切/入SW15dを3秒以上長押しすることで移行することができる。
【0055】
異常検出モードへ移行すると、残り時間を表示し、図2(d)にて表示しているポインタ15bを1秒ON/1秒OFFにて点滅させる。
【0056】
以上のように構成された加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0057】
図3(a)は本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の庫内温度検知手段異常検知手段の動作を説明するグラフ(b)は本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の受皿温度検知手段異常検知手段の動作を説明するグラフである。
【0058】
次に、図3(a)を用いて庫内温度検知手段異常検知手段18aの動作について説明する。図3の(a)は庫内温度検知手段が正常に取り付けられた場合と、異常な場合の庫内温度検知手段11の検知温度θと上方加熱手段4と下方加熱手段5の平均出力をプロットしたグラフである。
【0059】
制御手段14は作業者により異常検出モードへの移行SW操作が行われると、まず庫内温度検知手段11の検知温度を確認し、所定温度(本実施の形態では70℃とする)以上であれば、エラー表示及び報知と共に異常検出モードエラーモードへ移行する。
【0060】
本実施の形態における異常検出モードエラー表示は図4(a)に示すとおり、エラーコード“U50”を表示し、ブザーを10回0.2秒ON0.2秒OFFすることで、高温状態からのスタートにより正常に異常検出ができない旨を報知する。
【0061】
庫内温度検知手段11の検知温度が70℃未満であれば、上方加熱手段4と下方加熱手段5の加熱を開始する。庫内温度検知手段異常検知手段18aは加熱開始から所定時間at1(30秒)時点の庫内温度検知手段11の温度Θ1と所定時間bt2(45秒)時点の温度Θ2の差△Θ1を計算し、閾値a3K以上であれば正常、未満であれば異常と判別する。
【0062】
庫内温度検知手段異常検知手段18aが正常であった場合は、加熱を停止し、図2(c)の表示とし、初期モードへ移行する。
【0063】
また、庫内温度検知手段異常検知手段18aが異常を検知した場合は、図4(b)のようにエラーコード“H50”を表示し、ブザーを15回0.3秒ON0.3秒OFFすることで、温度検知手段が正常に取り付けられていない旨を報知する。
【0064】
次に、図3(b)を用いて受皿温度検知手段異常検知手段18bの動作について説明する。図3の(b)は受皿温度検知手段12が正常に取り付けられた場合と、異常な場合の受皿温度検知手段12の検知温度φと上方加熱手段4と下方加熱手段5の平均出力をプロットしたグラフである。
【0065】
制御手段14は作業者により異常検出モードへの移行SW操作が行われると、まず受皿温度検知手段12の検知温度を確認し、所定温度(本実施の形態では70℃とする)以上であれば、エラー表示及び報知と共に異常検出モードエラーモードへ移行する。本実施の形態における異常検出モードエラー表示は図4(c)に示すとおり、エラーコード“U51”を表示し、ブザーを10回0.2秒ON0.2秒OFFすることで、高温状態からのスタートにより正常に異常検出ができない旨を報知する。
【0066】
受皿温度検知手段12の検知温度が70℃未満であれば、上方加熱手段4と下方加熱手段5の加熱を開始する。受皿温度検知手段異常検知手段18bは加熱開始から所定時間dt1(30秒)時点の庫内温度検知手段11の温度Φ1と所定時間et2(45秒)時点
の温度Φ2の差△Φを計算し、閾値b2K以上であれば正常、未満であれば異常と判別する。受皿温度検知手段異常検知手段18bが正常であった場合は、加熱を停止し、図2(c)の表示とし、初期モードへ移行する。
【0067】
また、受皿温度検知手段異常検知手段18bが異常を検知した場合は、図4(d)のようにエラーコード“H51”を表示し、ブザーを15回0.3秒ON0.3秒OFFすることで、温度検知手段が正常に取り付けられていない旨を報知する。
【0068】
庫内温度検知手段異常検知手段18aと受皿温度検知手段異常検知手段18bの報知は同じ動作で説明し、表示を異なる表示とする説明をおこなったが、いずれの温度検知手段も異常であった場合は、庫内温度検知手段11の異常表示を優先させる。
【0069】
なお、本実施の形態では庫内温度検知手段11の異常表示を優先させるとしたが、いずれの温度検知手段も異常であった場合は、別途表示を設け、別表示としてもよい。
【0070】
庫内温度検知手段異常検知手段18aと受皿温度検知手段異常検知手段18bのいずれかが異常であった場合は、不揮発性メモリに保存しておき、次回電源ON時に再表示を行う。
【0071】
異常表示の状態から、異常検出モードへの移行SW操作が行われ、正常を検知すると不揮発性メモリに保存しておいたフラグをクリアする。
【0072】
以上のように、所定出力により加熱手段を駆動し、庫内温度検知手段の温度変化により庫内温度検知手段が正常に取り付けられているかを検知することで、異常時にはグリルを使用禁止とし、より安全に調理を行うことができるグリル装置を備えた加熱調理器を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のように、本発明にかかるグリル装置は、温度検知手段の温度変化により庫内温度検知手段が正常に取り付けられているかを検知することで、異常時の検出をおこなうことができるため、グリル装置を備えるその他の加熱調理器等の用途に有効である。
【符号の説明】
【0074】
1 グリル装置
4 上方加熱手段
5 下方加熱手段
6 受皿
8 焼網
9 排気ダクト
11 庫内温度検知手段
12 受皿温度検知手段
13 加熱制御手段
14 制御手段
15 操作・表示手段
18a 庫内温度検知手段異常検知手段
18b 受皿温度検知手段異常検知手段
21 報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭を構成する本体と、本体内に設けた魚などの調理物を加熱調理するグリル装置と、前記グリル装置のグリル庫内に収容する前記調理物を載置するための焼網と、前記調理物から滴下する油や水分を受ける受皿と、グリル庫内の空気をグリル装置外に排出するための排気ダクトと、前記焼網と前記受皿の間に設置され前記調理物を加熱する加熱手段と、前記グリル庫内の温度を検知する庫内温度検知手段と、前記加熱手段の出力を制御する加熱制御手段とを備え、所定出力により加熱手段を駆動し、庫内温度検知手段の温度変化により庫内温度検知手段が正常に取り付けられているかを検知する庫内温度検知手段異常検知手段を備え、前記庫内温度検知手段異常検知手段が異常を検知するとその旨を報知する報知手段を備えた加熱調理器。
【請求項2】
使用者による操作を受付け、加熱調理器の状態を表示する操作・表示手段を備え、庫内温度検知手段の異常を検知するための制御を行うための異常検出モードに所定の操作により移行する請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
受皿の下方に設置され前記受皿の温度を検知する受皿温度検知手段を備え、受皿温度検知手段異常検知手段は所定出力により加熱手段を駆動し、受皿温度検知手段の温度変化により受皿温度検知手段が正常に取り付けられているかを検知する請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
庫内温度検知手段は温度検知素子を一方が閉じられた管状の筒に封入し、他方から配線を引き出す構成とし、調理物を出し入れするグリル扉と反対側の面に対しグリル庫の外から挿入され、外から取り付ける取り付け構成とし、前記庫内温度検知手段異常検知手段は前記庫内温度検知手段の取り付けが、所定の位置に正常に取り付けられていない場合に異常を検知する請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
庫内温度検知手段異常検知手段は一旦異常を検知すると、操作・表示手段に異常がわかるように表示し、再度異常検出モードにより正常を検知するまでは異常を表示する請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
受皿温度検知手段異常検知手段は一旦異常を検知すると、操作・表示手段に異常がわかるように表示し、再度異常検出モードにより正常を検知するまでは異常を表示する請求項1〜5のいずれかに1項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
異常検出モード移行時に、庫内温度検知手段の検知温度が所定温度以上である場合は、庫内温度検知手段異常検知が正常に行うことができない旨を報知する報知手段を備えた請求項1〜6のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項8】
異常検出モード移行時に、受皿温度検知手段の検知温度が所定温度以上である場合は、受皿温度検知手段異常検知が正常に行うことができない旨を報知する報知手段を備えた請求項1〜7のいずれか1項に記載の加熱調理器。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−67311(P2011−67311A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219993(P2009−219993)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】