説明

加速度センサー素子およびこれを有する加速度センサー

【課題】外力に対して出力が変化しにくく、高い感度と耐衝撃性を両立できる加速度センサーを実現する。
【解決手段】錘部と、錘部を取り囲む支持枠部と、錘部を支持枠部に接続して保持する可撓性を有する複数の梁部と、梁部上に設けられたピエゾ抵抗素子とそれらをつなぐ配線を有し、支持枠部とともに錘部の周囲を囲む上蓋と下蓋が支持枠部の表裏面に接合され、ピエゾ抵抗素子の抵抗変化から、接合厚さ方向の第1軸と、それに垂直な平面内の第2軸および前記平面内で第2軸に垂直な第3軸の3つの軸方向、あるいはそれらのいずれかの軸方向の加速度を検出する蓋付き加速度センサー素子であって、支持枠部は分離溝によって内枠と外枠とに分離され、上蓋および下蓋は外枠に接合され、内枠は可撓性を有する複数の内枠支持部により外枠に接続され、前記梁部は第2軸と第3軸に沿って錘部の両側に接続し、内枠支持部は第2軸と第3軸から略45度回転した方向で内枠の両側に接続する蓋付き加速度センサー素子を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、航空機、携帯端末機器、玩具等に用いられる加速度検出用の半導体加速度センサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
加速度センサーは、自動車のエアーバッグ作動用センサーに多く用いられ、自動車が衝突した衝撃を加速度として検知する。自動車ではX軸、Y軸の加速度を測定するため1軸もしくは2軸検出機能で充分であった。また、測定する加速度が非常に大きかった。最近では、加速度センサーが携帯端末機器やロボット等にも使用されることが多くなり、空間の動きを検出するためX、Y、Z軸の加速度を測定する3軸加速度センサーが要求されてきている。また、微小な加速度を検出するために高分解能で、小型であることが要求されている。
【0003】
多くの加速度センサーは錘部や可撓部の動きを電気信号に変換する構成を採用している。これらには、錘部の動きを錘部と連結した可撓部に設けたピエゾ抵抗素子の抵抗変化から検出するピエゾ抵抗素子型、錘部の動きを固定電極との間の静電容量変化で検出する静電容量型などがある。
【0004】
特許文献1及び特許文献2に示す従来の3軸加速度センサーについて、以下に説明する。図11、図12において、3軸加速度センサー101は、セラミック製のケース102内に3軸加速度センサー素子103と、センサー素子信号の増幅や温度補償等を行う制御用のIC104を積層して固定し、蓋105とケース102を接合してケース102内に密封する。図12に示すように、3軸加速度センサー素子103は樹脂接着材106を用いてケース102に固着され、IC104は樹脂接着材107を用いて3軸加速度センサー素子103上に固着される。
【0005】
3軸加速度センサー素子103はセンサー端子108、IC104はIC端子109、ケース102はケース端子110をそれぞれ有する。センサー端子108とIC端子109、およびIC端子109とケース端子110の間がワイヤー111で接続され、センサーの信号はケース102に設けたケース端子110と接続する出力端子112から外部に取り出される。蓋105は例えばAuSn半田などの接着材102aでケース102に固着される。
【0006】
図13に示す平面図において、3軸加速度センサー素子103は方形の支持枠部113と錘部114と、錘部114を挟んで対を成す梁部115とを有し、錘部114が2対の梁部115で支持枠部113の中央に保持されている。梁部115にはピエゾ抵抗素子が設けられている。
【0007】
一対の梁部115にはX軸ピエゾ抵抗素子116とZ軸ピエゾ抵抗素子118が設けられ、他の一対の梁部115にはY軸ピエゾ抵抗素子117が設けられている。一対の梁部115の各付根部4ヶ所にピエゾ抵抗素子を配し、これらを配線でつないでブリッジ回路を構成してピエゾ抵抗素子の均一な抵抗変化をキャンセルし、またブリッジ回路の接続の仕方を変えてXおよびY軸とZ軸の加速度を分離して検出する。また、支持枠部113上にはセンサー端子108が配列されている。
【0008】
ブリッジ回路による加速度検出の原理について図14A〜14Dを用いて説明する。図14A、図14Bはそれぞれ、X方向とZ方向に加速度がかかったときの錘部114の動きをXZ断面で示している。例えば図14AのようにX方向に加速度が与えられたとき、錘部114は上端中央近傍を中心に回転し、梁部115が変形する。梁部115の変形に伴って、梁部115上面に設けられた4つのX軸ピエゾ抵抗素子X1〜X4に加わる応力が変化し、抵抗も変化する。この場合、X1、X3に引張応力、X2、X4に圧縮応力が加わり、図14Cに示すX軸検出用ブリッジ回路の中点電位に差が生じ、加速度の大きさに応じた出力が得られる。一方、図14Bに示すようにZ方向の加速度が掛かった場合には、ピエゾ抵抗素子Z2、Z3に引張応力、Z1、Z4に圧縮応力が加わり、図14DのZ軸検出用ブリッジ回路により出力が得られる。
【0009】
X軸ピエゾ抵抗素子X1〜X4と、Z軸ピエゾ抵抗素子Z1〜Z4は同じ梁部115上に形成されるが、ブリッジ回路の構成が異なるため例えばX方向加速度に対して図14Aのように梁部115が変形しても、図14DのZ軸検出用ブリッジ回路では抵抗変化がキャンセルされ、出力は変化しない。これにより、X軸加速度とZ軸加速度を分離して検出することができる。Y軸加速度の検出は、X軸と同様にX軸と直交するもう一対の梁部115に形成したピエゾ抵抗素子で行う。
【0010】
一方、特許文献3に示すように、半導体実装技術でよく用いられている樹脂製の保護パッケージ技術を用いて、小型かつ安価な加速度センサーを実現する方法が知られている。その方法では、可動部を有する3軸加速度センサー素子103をモールド樹脂から保護するため、3軸加速度センサー素子の上下に蓋を接合して封止する技術が用いられる。
【0011】
図15Aは、この方法で上下に蓋を接合した3軸加速度センサー素子の組み立て構造の断面図を、図15Bは3軸加速度センサー素子120の平面図を示す。3軸加速度センサー素子120の上下に上蓋121および下蓋122を接合し、3軸加速度センサー素子120の可動部を密閉空間内に封止する。3軸加速度センサー素子120と上蓋121および下蓋122との接合は、金属接合や陽極接合など様々な方法があるが、ここでは一例として金属接合を示す。
【0012】
図15Bに示すような接合金属領域123を3軸加速度センサー素子120の表裏両面に形成しておく。上蓋121および下蓋122にも接合金属領域を形成し、これらを重ねあわせ、加圧、加熱して接合する。この接合工程は、シリコンウエハから3軸加速度センサー素子120を個片化する前に、3軸加速度センサー素子120が多数形成されたシリコンウエハと、同じピッチで上蓋122を多数形成した上蓋シリコンウエハ、下蓋123を多数形成した下蓋シリコンウエハとを接合する。この行程をウエハレベルパッケージ(Wafer Level Package:以後WLPと表記する)と称する。WLPで密閉空間を形成後、ダイシングによって個々のチップに個片化する。以後、WLPにより封止した後に個片化したチップを蓋付き加速度センサー素子124と表記する。
【0013】
次いで、樹脂でパッケージに組み立てられた3軸加速度センサー125について図16の断面図を用いて説明する。リードフレーム126上に、制御用のIC127を、IC127の上に蓋付き加速度センサー素子124をそれぞれ接着材128、129で固定する。蓋付き加速度センサー素子124のセンサー端子130とIC127のIC端子131をワイヤー132を用いて接続し、同じくIC端子131とリードフレーム126の端子間をワイヤーで接続する。蓋付き加速度センサー素子124とIC127、リードフレーム126が組み立てられた構造体を、トランスファーモールド法を用いモールド樹脂133でモールドする。金型内で樹脂を硬化させた後、金型から取り出し3軸加速度センサー125が得られる。複数の3軸加速度センサーを樹脂モールドまで一括して処理し、金型から離型後にダイシングして個々の3軸加速度センサーに分離する方法も取られる。
【0014】
上記のWLPと樹脂モールドパッケージを用いた加速度センサーでは、シリコンウエハの段階で、3軸加速度センサー素子120の可動部を保護することができるので、以後の工程において取り扱いが容易であり、厳しい異物管理を必要としない。また、3軸加速度センサー素子120の可動部が守られているため、トランスファーモールド法により周囲を封止することができる。こうして高価なセラミックパッケージを用いることなく、従来のICチップによく用いられる樹脂モールドパッケージの技術でパッケージ組み立てができ、小型で安価な3軸加速度センサーを実現できる。
【0015】
しかしながら、図16に示す3軸加速度センサー125には、図12に示す3軸加速度センサー101と比べて、以下の課題がある。
【0016】
3軸加速度センサー125に用いられるモールド樹脂やリードフレームは、蓋付き加速度センサー素子の材料であるシリコンと熱膨脹係数が異なるため、温度変化により熱応力が発生し蓋付き加速度センサー素子に外力が加わり、ピエゾ抵抗を変化させてしまう。また、3軸加速度センサー125を、センサーを実装する対象製品の製品基板に半田接合して搭載すると、製品基板の熱膨脹の影響が半田接合部を介して3軸加速度センサー125および蓋付き加速度センサー素子へと伝わる。
【0017】
図12に示したセラミックパッケージの3軸加速度センサー101では、パッケージ内部の空間内に3軸加速度センサー素子103が保持されているので、樹脂107を柔軟な材料とすることで、製品基板からの力が3軸加速度センサー素子103に伝わりにくくすることができた。
【0018】
一方、図16に示した樹脂でパッケージされた3軸加速度センサー125では、蓋付き加速度センサー素子124がモールド樹脂133に周囲を覆われているため、製品基板からの力が3軸加速度センサー素子120に伝わりやすい。3軸加速度センサー素子120に外部から力が加わったとき、各軸の4つのピエゾ抵抗素子に均一でない応力変化がもたらされると、出力のゼロレベルが変動してセンサーの出力が変化してしまう(以後、このゼロレベルの変動をオフセット変化と表記する)。
【0019】
加速度センサーの温度変化に対するオフセット変化は、製品基板への搭載前には検出用ICにより補正が可能である。しかし、製品実装時に製品基板からの力の影響を受けると、様々な対象製品の製品基板に搭載された場合に、温度に対する変化の特性が変わってしまうという結果をもたらす。
【0020】
配線基板や保護パッケージからの外力が蓋付き加速度センサー素子124に加わる場合、蓋付き加速度センサー素子124がパッケージの中心付近に配置されていれば、外力による変形はほぼ左右対称になり、X軸およびY軸の出力は変化しない。
【0021】
しかしながら、枠部に近いピエゾ抵抗素子(以降は枠側ピエゾ抵抗素子と表記する)と、錘部に近いピエゾ抵抗素子(以降は錘部側ピエゾ抵抗素子と表記する)の間で差が生じると、Z軸の出力が変化してしまう。
【0022】
外力の影響に対し出力を変化しにくくする加速度センサーについて特許文献4に記載がある。フレーム体に応力分離溝を形成して外フレームと内フレームに分離し、両者を可撓性を有する応力緩和梁で接続する。外フレームは支持基板に接続され、内フレームは部分的な接合部により支持基板に接合される。支持基板、外フレームとともに内フレームおよび錘部を包囲する蓋体が外フレームに接合される。内フレームの支持基板との接合面積を比較的小さく抑え、外フレームとは応力緩和梁で接続しているので、外フレームや支持基板に熱応力が発生しても、内フレームを変形させにくく、出力のばらつきを生じにくくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2003−172745号公報
【特許文献2】特開2006−098321号公報
【特許文献3】特開平10−170380号公報
【特許文献4】特開2005−337874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
一般に、感度のよい加速度センサーを実現するために錘部の重量に対して梁部の剛性を低く設計しているため、梁部は衝撃などに対して破壊しやすくなる。前記WLPにて封止した蓋付き加速度センサー素子においては、上蓋および下蓋が錘部の過度な変位を規制するストッパーの役割を果たしている。高い耐衝撃性を得るには、錘部と上蓋および下蓋との間のギャップを非常に小さくすると、錘部が加速する前に蓋に衝突するため衝突時の発生応力を小さくすることができる。また、ギャップが小さいほど空気ダンピング作用を大きくできる。空気ダンピング作用の増加は、センサーの共振によるノイズを低減する効果もある。
【0025】
特許文献4の加速度センサーにおいては、内フレームが1点で支持基板に接合されているため、支持基板が反り変形すると内フレームが接合部を基点に変位し、支持基板あるいは蓋体と接触しやすくなるという課題がある。近年、加速度センサー全体の厚さを薄くする顧客要求が強いが、そのために支持基板を薄くすると反り変形しやすくなるので、上記課題の影響が大きくなる。本発明の目的は、外力に対して出力が変化しにくく、高い感度と耐衝撃性を両立できる加速度センサーを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、錘部と、錘部を取り囲む支持枠部と、錘部を支持枠部に接続して保持する可撓性を有する複数の梁部13と、梁部13上に設けられたピエゾ抵抗素子とそれらをつなぐ配線を有し、支持枠部とともに錘部の周囲を囲む上蓋と下蓋が支持枠部の表裏面に接合され、ピエゾ抵抗素子の抵抗変化から、上蓋、支持枠、下蓋が積層する厚さ方向の第1軸方向の加速度と、それに垂直な平面内の第2軸および前記平面内で第2軸に垂直な第3軸の少なくとも一つの軸方向の加速度を検出する蓋付き加速度センサー素子において、
前記支持枠部は分離溝によって内枠と内枠の周囲を囲む外枠とに分離され、前記上蓋および下蓋は前記外枠に接合されており、前記内枠は可撓性を有する複数の内枠支持部により前記外枠に接続して保持され、前記梁部は、前記第2軸と第3軸の少なくとも一方に沿って錘部の両側に接続され、内枠支持部は前記第2軸と第3軸の少なくとも一方から、外枠の変形の影響を梁部に伝えにくい方向に所定角度回転して内枠の両側に接続されたことを特徴とする。
【0027】
上記の構成により、内枠が外枠および上蓋、下蓋から分離しており、可撓性を有する内枠支持部により支持されているので、樹脂パッケージに組み立てた際の熱応力、および製品基板に実装した際の熱応力などで、外枠および上蓋、下蓋に外力が加わって変形しても、その変形が内枠に伝わりにくく、出力変化を起こしにくい。外枠の変形は、内枠支持部を通して内枠に多少は伝わるが、内枠支持部は、梁部に対して影響を伝えにくい方向に配置されているため、内枠支持部付近の内枠の変形は、梁部上のピエゾ抵抗素子の応力に変化を及ぼしにくい。
【0028】
また、内枠が周囲四方から支持された場合は、対称性がよいので外枠が変形した際に内枠の上蓋および下蓋との相対変位を小さく抑えられ、錘部と上蓋および下蓋とのギャップを小さくできる。そのため、加速度センサーに衝撃が加わったとき、錘部が上蓋あるいは下蓋に衝突するまでの距離が短く加速しにくい効果と、空気ダンピングを大きくできる効果とで、梁に発生する応力を小さくすることができ、耐衝撃性を高くできる。また、空気ダンピングを大きくできることで、高周波の振動を抑えることができ、錘部の共振の振動を抑えられ、ノイズを小さくできる効果もある。
【0029】
前記梁部は、第2軸に沿って錘部の両側に接続し、第1軸と第2軸の2つの軸方向を検出する蓋付き加速度センサー素子とし、内枠支持部は第2軸から略45度回転した方向に内枠15の両側に接続する構成としてもよい。梁部を第2軸方向のみに有する2軸検出の加速度センサー素子においても、同様の効果が得られる。
【0030】
前記梁部は、第2軸に沿って錘部の両側に接続し、第1軸と第2軸の2つの軸方向を検出する蓋付き加速度センサー素子とし、内枠支持部は第2軸と垂直な第3軸に沿って内枠の両側に接続する構成としてもよい。梁部を第2軸方向のみに有する2軸検出の加速度センサー素子においては、内枠支持部は第3軸に沿って配置することで、最も遠い配置となり、外枠の変形の影響を梁部により伝えにくくすることができる。
【0031】
また望ましくは、梁部および内枠支持部は同じ厚さで、錘部および支持枠部よりも薄くする。加速度センサーの感度を高くするには、錘部を重くし、梁部の剛性を低くすることが望ましい。薄いシリコン層と厚いシリコン層から構成し、梁部を薄いシリコン層のみに、錘部を薄いシリコン層と厚いシリコン層に渡って形成することで、そうした構成を実現しやすい。支持枠部は十分な剛性が必要なので錘部と同様にし、内枠支持部は可撓性が必要なので、梁部と同様に形成するとよい。
【0032】
また望ましくは、内枠支持部の曲げ剛性は、梁部よりも高くする。梁部の剛性と錘部の重量とから決まる錘部共振周波数と、内枠支持部の剛性と内枠および錘部の合計した重量とから決まる内枠共振周波数を比較したとき、内枠共振周波数が錘部共振周波数と比べて十分に高いことが望ましい。そうでなければ、比較的早い加速度変化に対して、内枠が錘部と一緒に変位して梁部の変形が妨げられ、正しい感度が得られない恐れがある。少なくとも内枠の共振周波数が錘部の共振周波数よりも高くなるように内枠支持部の形状を決めるのがよい。
【0033】
また上記の蓋付き加速度センサー素子を、制御用のICチップとともにリードフレーム上に接着し、金属ワイヤーによりリードフレームと、ICチップの電極と、蓋付き加速度センサー素子の電極の間を接続し、モールド樹脂により封止した加速度センサーを構成する。加速度センサーの下面に露出したリードフレーム表面に半田を形成し、製品基板に半田リフローで容易に実装できる加速度センサーを構成できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の加速度センサーによれば、梁部の内枠との接続部からなるべく遠い位置に内枠支持部の内枠との接続部を配置することによって、加速度センサーを樹脂パッケージに組み立てた際の熱応力、および製品基板に実装した際の熱応力などの外力の影響による出力変化を抑えることができる。また、錘部と蓋との間のギャップが上記応力により狭まるのを抑えることができ、ギャップを小さくできるため、耐衝撃強度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施例における加速度センサー素子の構造を示す平面図である。
【図2】蓋付き加速度センサー素子の構造を示す図1のk−k線断面図である。
【図3】蓋付き加速度センサー素子の構造を示す図1のm−m線断面図である。
【図4】樹脂パッケージに組み立てた加速度センサーを製品基板に実装した状態を示す模式図である。
【図5】リング形状梁部を有する加速度センサー素子を示す平面図である。
【図6】リング形状内枠支持部を有する加速度センサー素子を示す平面図である。
【図7】支持枠部に対して梁部および内枠支持部を略45度回転した加速度センサー素子を示す平面図である。
【図8】内枠支持部を1方向のみに配置した加速度センサー素子を示す平面図である。
【図9】梁部を1方向のみに配置した加速度センサー素子を示す平面図である。
【図10】梁部と内枠支持部を互いに垂直な方向に配置した加速度センサー素子を示す平面図である。
【図11】従来の3軸加速度センサーを説明する分解斜視図である。
【図12】従来の3軸加速度センサーを説明する断面図である。
【図13】従来の3軸加速度センサー素子構造の一例を示す平面図である。
【図14A】従来の3軸加速度センサー素子の検出原理の説明図である。
【図14B】従来の3軸加速度センサー素子の検出原理の説明図である。
【図14C】従来の3軸加速度センサー素子の検出原理の説明図である。
【図14D】従来の3軸加速度センサー素子の検出原理の説明図である。
【図15A】蓋で封止した従来の3軸加速度センサー素子を示する断面図である。
【図15B】蓋で封止した従来の3軸加速度センサー素子を示する平面図である。
【図16】従来の3軸加速度センサーの保護パッケージを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しながら発明の一実施例における加速度センサーについて説明する。
【実施例1】
【0037】
図1は、実施例1の蓋付き加速度センサー素子30における加速度センサー素子10の構造を示す平面図である。図2および図3は実施例1の蓋付き加速度センサー素子30の断面図で、図2は図1のk−k断面図、図3は図1のm−m断面図である。
【0038】
実施例1の蓋付き加速度センサー素子10は、例えば従来例の図16に示した樹脂製の保護パッケージに組み立てられる加速度センサーなどに適用できる。そこで実施例1では特に蓋付き加速度センサー素子30を中心に詳細に説明する。
<基本構造>
実施例1の加速度センサー素子10は、支持枠部11内に、錘部12が、可撓性を有する4本の梁部13によって四方から支持されている。支持枠部11は第1分離溝14により内枠15とそれを取り囲む外枠16に分離されており、梁部13は内枠15に接続している。内枠15は内枠支持部17により四方から外枠16に保持されている。錘部12は、第2分離溝29により内枠15から分離され、4つの本体部と、本体部および梁部13と接続する中間部とからなる。
【0039】
4本の梁部13をそれぞれ第1梁部13a、第2梁部13b、第3梁部13c、第4梁部13dと表記する。図1における加速度センサー素子10では、図13で説明したように、梁部13の付根付近にピエゾ抵抗素子Pを形成した。X軸方向に伸びる第1梁部13aと第2梁部13bにX軸とZ軸方向の加速度を検知するためのピエゾ抵抗素子Pを配置し、Y軸方向に伸びる第3梁部13cと第4梁部13dにY軸方向の加速度を検知するためのピエゾ抵抗素子Pを配置した。Z軸用は第3梁部13cと第4梁部13dに配置しても構わない。各ピエゾ抵抗素子Pは、図14に示したブリッジ回路を形成するように、図示していない配線により接続した。配線は内枠支持部17上を通して外枠16上へ引き出され、外枠16上に形成された電極パッド18に接続する。
【0040】
加速度センサー素子10のピエゾ抵抗素子Pを形成した側の面には、上蓋19が接合される。外枠16上の上蓋接合領域20に合わせて、接合部材21を用いて接合する。同様に、反対側の面には下蓋22が接合材23を用いて接合される。上蓋19および下蓋22は外枠16のみに接合されており、外枠16、上蓋19、下蓋22で内枠15の周囲を取り囲むようになっている。
<製造方法>
加速度センサー素子10の製造方法を、図2を参照しながら簡単に説明する。加速度センサー素子10は、約400μm厚のシリコン層に約1μmのシリコン酸化層を挟んで約6μmのシリコン層を有するSOIウエハを使用して加工した。シリコン酸化膜層はドライエッチングのエッチングストップ層として用い、構造体は2層のシリコン層に形成した。以下、薄い方の第1シリコン層を第1層24、厚い方の第2シリコン層を第2層25と称し、シリコン酸化膜層と接合していない第1層の表面を第1面26、第2層の表面を第2面27、シリコン酸化膜層を介した接続面を第3面28と称す。
【0041】
半導体ピエゾ抵抗素子の形状をフォトレジストでパターニングし、第1面26にボロンを1〜3x1018原子/cmの濃度で打ち込み、半導体ピエゾ抵抗素子を形成した。同様に、ピエゾ抵抗素子よりも高濃度でボロンを打ち込んだP型配線をピエゾ抵抗素子に接続するように形成した。さらに、第1面26にシリコン酸化膜を形成しピエゾ抵抗素子を保護した。シリコン酸化膜上にアルミニウム系金属をスパッタリングして金属配線を形成し、シリコン酸化膜に形成したスルーホールを介して、P型配線と接続した。ピエゾ抵抗素子上に形成したシリコン酸化膜は、第1層24のシリコンと金属配線間の絶縁膜としても働く。さらにその上に、金属配線上の保護膜として、窒化シリコン膜を化学気相蒸着により形成した。シリコン酸化膜、金属配線、窒化シリコン膜はフォトリソグラフィにより所望の形状に加工した。
【0042】
次に、第1面26にフォトレジストパターンを形成した後、ドライエッチングにより図1に示した形状、すなわち梁部13と内枠支持部17を残して、内枠15と外枠16を分離する第1分離溝14と、錘部と内枠15を分離する第2分離溝29を加工した。さらに、第2面27にフォトレジストパターンを形成した後、ドライエッチングにより第1分離溝14と第2分離溝29を加工した。第1層24と第2層25との間に残ったシリコン酸化膜層の露出した部分をウェットエッチングで除去し、第1分離溝14と第2分離溝29はSOIウエハを貫通する。以上の製造工程により、錘部12と内枠15、外枠16は、第1層24から第2層25にかけて形成される。また、梁部13と内枠支持部17は第1層24に形成される。
【0043】
次に、WLP技術によって加速度センサー素子10の表裏面に、シリコンからなる上蓋19および下蓋22を金属接合で接合して封止した。そのため、加速度センサー素子には、上記ドライエッチング工程の前に、金属接合に用いる金属薄膜をウエハの第1面26および第2面27に形成しておき、蓋となるウエハ2枚には同様の金属薄膜と金属半田を設けておき、3枚のウエハを重ねて加圧、加熱して接合した。金属半田には金−錫合金を用いた。
【0044】
次に上蓋19および下蓋22を研削して全体を薄くした。上蓋19には、加速度センサー素子10と接合される面側に、研削後の上蓋の厚さより深く溝を形成しておき、研削後に加速度センサー素子10の電極パッド18が露出するようにする。下蓋22側には上記溝は不要だが、上蓋19と同じ構造に合わせてもよい。また、上蓋19および下蓋22には、加速度センサー素子10と接合される面側の錘部12と向かい合う部分に、キャビティを形成しておく。錘部12と上蓋19および下蓋22との間のギャップ31は、上記キャビティの深さ(キャビティ深さ32)と接合材の厚さ(接合材厚さ33)の和となる。接合材厚さ33をそのままギャップ31にしてよい場合は、上記キャビティを形成する必要はない。
【0045】
以上の研削工程までをウエハの状態で行い、最後にダイシングして、個々の蓋付き加速度センサー素子30に分離した。以上の製造工程により、外枠16および上蓋19、下蓋22によって構成される気密容器の中に、内枠15および錘部12が支持された蓋付き加速度センサー素子30を得た。
<樹脂パッケージ構造>
図4に実施例1の蓋付き加速度センサー素子30を樹脂パッケージに組み立てた加速度センサー40を、製品基板49に実装した加速度センサー実装構造体41の断面模式図を示す。制御用のICチップ42をリードフレーム43上に接着材44で接着し、ICチップ42の上に蓋付き加速度センサー素子30を接着材45で接着し、蓋付き加速度センサー素子30の電極パッド18とICチップ42の電極パッド46間、およびICチップ42の電極パッド46とリードフレーム43間をワイヤーボンディングにより金属ワイヤー47で接続した後、全体をモールド樹脂48で封止して加速度センサー40を得た。接着材44および45には、ダイシングテープと接着材を兼ねたダイアタッチフィルム(DAF)が利用できる。加速度センサー40の下面に露出したリードフレーム表面に半田めっきを施し、製品基板49に半田50で接合し、加速度センサー実装構造体41を得た。
<内枠支持部>
本発明の蓋付き加速度センサー素子30は、図2に示すように、内枠15が外枠16および上蓋19、下蓋22から分離しており、図1に示すように、可撓性を有する内枠支持部17により対角方向の4箇所で外枠16に支持されているのみである。そのため、樹脂パッケージに組み立てた際の熱応力、および製品基板に実装した際の熱応力などで、外枠16および上蓋19、下蓋22に外力が加わって変形しても、その変形が内枠15に伝わりにくく、出力変化を起こしにくい。外枠16の変形は、内枠支持部17を通して内枠15に多少は伝わるが、内枠支持部17は、梁部13に対して対角の方向に配置しているため、内枠支持部17付近の内枠15の変形は、梁部13上のピエゾ抵抗素子の応力に変化を及ぼしにくい。
【0046】
図1において、外力によるピエゾ抵抗素子の応力変化は、梁部13に長手方向に圧縮・引張がかかったり、梁部13が反らされたりすることで発生しやすい。また、梁部13の接続部付近で内枠15の応力が変化すると、内枠15に近い側のピエゾ抵抗素子のみが変化して、錘部に近い側のピエゾ抵抗素子があまり変化しないので、Z軸のオフセット変化を発生しやすい。実施例1では、内枠支持部17の接続部は梁部13の接続部から離れており、外力により内枠15にもたらされる応力変化は梁部13に直接影響を及ぼすものではないので、出力変化を非常に小さくできる。
<内枠支持部の剛性>
加速度センサーの応答性を確保するため、内枠支持部17は梁部13と比べて剛性を高くすることが望ましい。梁部13の剛性と錘部12の重量とから決まる錘部共振周波数と、内枠支持部17の剛性と内枠15および錘部12の合計した重量とから決まる内枠共振周波数を比較したとき、内枠共振周波数が錘部共振周波数と比べて十分に高いことが望ましい。そうでなければ、比較的早い加速度変化に対して、内枠15が錘部と一緒に変位して梁部13の変形が妨げられ、正しい感度が得られなくなる。周波数特性の位相特性とゲイン特性が、互いに連成しない程度に離れるように、内枠支持部17の形状を決めることが望ましい。
<内枠の対称支持>
また、実施例1は内枠15が周囲四方から支持されているので対称性がよい。内枠15が、例えば1つの内枠支持部17で支持されていたり、内枠15の一点で下蓋22に接続されていたりすると、外枠16および下蓋22の変形に対して、内枠15が片持ちで変位するため、上蓋19および下蓋22との相対変位が大きくなりやすい。すると内枠15および錘部12が上蓋19および下蓋22と接触してしまわないように、ギャップを大きくする必要がある。本実施例では、内枠15が周囲四方から支持されているので、上蓋19および下蓋22との相対変位を小さく抑えられ、上記ギャップを小さくできる。そのため、加速度センサーに衝撃が加わったとき、錘部12が上蓋19あるいは下蓋22に衝突するまでの距離が短く加速しにくい効果と、空気ダンピングを大きくできる効果とで、梁部13に発生する応力を小さくすることができ、耐衝撃性を高くできる。また、空気ダンピングを大きくできることで、高周波の振動を抑えることができ、錘部12の共振の振動を抑えられ、ノイズを小さくできる効果もある。
<蓋体の接合>
さらに、実施例1は内枠15を下蓋22に接合する場合と比べて製造工程が容易である。上記のように、上蓋19と下蓋22を金属半田で接合する際には、加圧しながら加熱する必要があるが、内枠15を下蓋22のみと接合しようとすると、内枠15は外枠16に柔軟に接続されているため、内枠15の接合部に十分な加圧力を与えることができない。そのため、まず加速度センサー素子10と下蓋22を接合し、その後上蓋19を接合というように2段階にせざるを得ず、加速度センサー素子10と下蓋22の接合の際には、壊れやすい加速度センサー素子10の表面を直接加圧しなくてはならなくなる。実施例1のように、接合部が外枠16のみにあり、上蓋19の接合部と下蓋22の接合部の位置が重なっていれば、接合部に十分な加圧力を与えることができる。
【実施例2】
【0047】
図5は実施例2の加速度センサー素子10の構造を示す平面模式図である。梁部13の中央に、圧縮応力吸収部としてリング部51を設けた形状とした。加速度センサー素子10の表面に形成するシリコン酸化膜などはシリコンよりも熱膨張係数が小さく、また成膜時に例えば950℃程度の高温でアニールを行うため、常温まで冷却される際に熱応力を発生する。錘部12と内枠15は第1層24から第2層25にかけて形成され、第2層25は厚いためほぼシリコンの熱膨脹係数で収縮するが、梁部13は第1層24のみからなるので、シリコン酸化膜の比率が高く、熱収縮が小さくなる。そのため梁部13は内枠15と錘部12の間で圧縮を受ける。センサーの感度を高くするため梁部13を薄くすると、上記圧縮力により梁部13が座屈して、感度の不安定増大や、大きなオフセット変化を発生する恐れがある。
【0048】
実施例2のように梁部13にリング部51を設けることで、上記圧縮力を吸収し、座屈を防ぐことができ、感度の高い加速度センサー素子を設計できる。リング部51の形状は、例えば3つのリングをつなげた形状などさまざま考えられる。圧縮力を変形により吸収できるように、またリングのR部などに応力集中しないように形状を決めるとよい。
<設計例の解析結果>
図5の実施例2における設計例を示す。加速度センサー素子10のサイズはX方向1.32mm、Y方向1.18mmで、錘部のXY寸法560μm、梁部13は長さ240μm、ピエゾ抵抗形成部の幅28μm、内枠支持部17は長さ50μm、外枠16側の接続幅160μm、内枠15側の接続幅150μmとした。また、第1層の厚さ4μm、第2層の厚さ400μmとした。内枠15の幅は70μmとした。
【0049】
この加速度センサー素子10を用いて樹脂パッケージに組み立てた加速度センサー40について、厚さ0.6mmの製品基板49に実装したときの、実装前後の特性変化をFEM解析を用いて評価した。加速度センサー素子のサイズが同じで、支持枠部が外枠と内枠に分離していない従来の構造例では、実装前後のZ軸出力変化がZ軸感度に対する比で約23%だったのに対して、上記の加速度センサーの設計例では約4%に抑えることができた。本設計例での錘部共振周波数はX、Y方向2.0kHz、Z方向3.2kHzに対して、内枠共振周波数は約46kHzとなり、内枠共振周波数が十分高く、センサー感度に影響を与えることはない。
【実施例3】
【0050】
図6は実施例3の加速度センサー素子10の構造を示す平面模式図である。内枠支持部17に圧縮応力吸収部としてリング部52を設けた形状とした。実施例2と同様に内枠支持部17が座屈するのを防ぐ効果がある。内枠支持部17が座屈すると、内枠15が変位して上蓋19あるいは下蓋22に近づくので、ギャップ31を小さくしにくい。内枠支持部17にリング部52を形成することで、座屈を防ぐことができる。また、外枠16の変形の影響を吸収する効果があり、より出力変化しにくくすることができる。
【実施例4】
【0051】
図7は実施例4の加速度センサー素子10の構造を示す平面模式図である。梁部13と内枠支持部17の配置を略45度回転したものである。内枠支持部17がX、Y軸の方向に配置され、梁部13が内枠支持部17に対し略45度の方向に配置され、内枠支持部17と梁部13の相対的な関係は維持されている。方形状の加速度センサー素子10の対角線方向に梁部13を配置することで、梁部13を長くすることができ、センサーの感度を高くしやすい。
【0052】
また、実施例4の構造において、内枠支持部17を2つとしてもよい。Y方向の2箇所のみに内枠支持部17を形成した例を図8に示す。本例のように、電極パッドをY軸に沿った1辺に沿って配置した場合、その辺のみが飛び出した形状となるので、Y軸に対する対称性が悪くなっている。図4の樹脂パッケージに組み立てる際にも上記辺のみワイヤーボンディングを行うため、上記辺の側を広くとるようにシフトして配置される。以上のように、実施例4の場合、X軸に対しては対称だが、Y軸に対する対称性は悪化する。そこで、内枠15をY軸方向のみで外枠16と接続することで、対称性の悪いX方向の変形の影響を内枠15に伝えにくくして、梁部13に伝わる外力の影響の対称性を向上することができる。X軸およびY軸に対称な変形はX軸出力、Y軸出力には影響しないので、特にX軸、Y軸の出力変化の抑制に効果がある。
【実施例5】
【0053】
図9は実施例5の加速度センサー素子10の構造を示す平面模式図である。実施例1〜4までは梁部13を4本持つ例を示したが、梁部13を1方向2本のみとした2軸検出の加速度センサー素子にも本発明を適用できる。実施例5では、梁部13をY軸方向の2本とし、Y軸方向とZ軸方向の加速度を検出できるようにした。同様にX方向の2本のみとし、X軸方向とZ軸方向を検出できるようにしてもよい。
【0054】
また、梁部13が2本の加速度センサー素子10については、図10に示すように内枠支持部17を梁部13に対して略90度の方向に配置してもよい。本発明の主要な効果は、梁部13の内枠15との接続部からなるべく遠い位置に内枠支持部17の内枠15との接続部を配置することによって得られるものである。従って実施例5のように梁部13がY方向の2本の場合には、内枠支持部17はX方向の2つとすることで、最も遠い配置となり、外枠16の変形の影響を梁部13により伝えにくくすることができる。
<変形実施例>
本発明において、内枠支持部17を梁部13と略45度の方向、あるいは略90度の方向に配置するとしたが、正確に45度、および90度でなくても、梁部13の内枠15部との接続部から、内枠支持部17の内枠15との接続部が十分に離れるように配置することで同様の効果が得られる。例えば両者を45度の方向に配置する場合、45度±15度の角度の範囲に対称に配置しても一定の効果がある。45度±5度の範囲に対称に配置した場合には、要求される仕様特性によっては45度の場合と同等に使用することができる。
【0055】
また、第1実施例から第5実施例までで示した内枠支持部17の配置やリング部の付加の特徴は、それぞれ組み合わせて使用できるものである。
【符号の説明】
【0056】
10:加速度センサー素子、 11:支持枠部、12:錘部、 13 梁部、 13a 第1梁部、 13b 第2梁部、 13c 第3梁部、 13d 第4梁部、 14 第1溝部、15 内枠、 16 外枠、17 内枠支持部、 19 上蓋、22 下蓋、29 第2分離溝、 30 蓋付き加速度センサー素子、 31 ギャップ、 32 キャビティ深さ、40 加速度センサー、 41 加速度センサー実装構造体、 42 ICチップ、 43 リードフレーム、 44 接着材、 45 接着材、47 金属ワイヤー、 48 モールド樹脂、 49 製品基板、51 リング部、 52 リング部、
101 3軸加速度センサー、 102 ケース、 103 加速度センサー素子、 104 IC、 105 蓋、 106 樹脂接着材、 107 樹脂接着材、111 ワイヤー、113 支持枠部、 114 錘部、 115 梁部13、 116 X軸ピエゾ抵抗、 117 Y軸ピエゾ抵抗、 118 Z軸ピエゾ抵抗、 120 3軸加速度センサー素子、 121 上蓋、 122 下蓋、 123 接合金属領域、 124 蓋付き加速度センサー素子、 125 3軸加速度センサー、 126 リードフレーム、 127 IC、132 ワイヤー、 133 モールド樹脂、134 製品基板、P ピエゾ抵抗素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錘部と、錘部を取り囲む支持枠部と、錘部を支持枠部に接続して保持する可撓性を有する複数の梁部と、梁部上に設けられたピエゾ抵抗素子とそれらをつなぐ配線を有し、支持枠部とともに錘部の周囲を囲む上蓋と下蓋が支持枠部の表裏面に接合され、ピエゾ抵抗素子の抵抗変化から、上蓋、支持枠、下蓋が積層する厚さ方向の第1軸方向の加速度と、それに垂直な平面内の第2軸および前記平面内で第2軸に垂直な第3軸の少なくとも一つの軸方向の加速度を検出する蓋付き加速度センサー素子において、
前記支持枠部は分離溝によって内枠と内枠の周囲を囲む外枠とに分離され、前記上蓋および下蓋は前記外枠に接合されており、前記内枠は可撓性を有する複数の内枠支持部により前記外枠に接続して保持され、
前記梁部は、前記第2軸と第3軸の少なくとも一方に沿って錘部の両側に接続され、内枠支持部は前記第2軸と第3軸の少なくとも一方から、外枠の変形の影響を梁部に伝えにくい方向に所定角度回転して内枠の両側に接続されたことを特徴とする蓋付き加速度センサー素子。
【請求項2】
請求項1に記載された蓋付き加速度センサー素子において、前記梁部は、前記第2軸と第3軸の両方に沿って各々錘部の両側に接続され、内枠支持部は前記第2軸と第3軸の両方から、外枠の変形の影響を梁部に伝えにくい方向に所定角度回転して内枠の両側に接続されたことを特徴とする蓋付き加速度センサー素子。
【請求項3】
請求項2に記載された蓋付き加速度センサー素子において、前記梁部は、前記第2軸と第3軸の両方に沿って各々錘部の両側に接続され、内枠支持部は前記第2軸と第3軸の両方から、略45度回転して内枠の両側に接続されたことを特徴とする蓋付き加速度センサー素子。
【請求項4】
請求項1に記載された蓋付き加速度センサー素子において、前記第1軸と第2軸の加速度を検出するとともに、前記梁部は、第2軸に沿って錘部の両側に接続し、内枠支持部は前記平面内で第2軸から略45度回転した方向で内枠の両側に接続することを特徴とする蓋付き加速度センサー素子。
【請求項5】
請求項1に記載された蓋付き加速度センサー素子において、前記第1軸と第2軸の加速度を検出するとともに、前記梁部は、第2軸に沿って錘部の両側に接続し、内枠支持部は前記平面内で第2軸と垂直な第3軸の方向で内枠の両側に接続することを特徴とする蓋付き加速度センサー素子。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載された蓋付き加速度センサー素子において、前記内枠支持部または梁部の少なくとも一方に、圧縮応力吸収部を設けたことを特徴とする蓋付き加速度センサー素子。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載された蓋付き加速度センサー素子において、前記梁部および内枠支持部は同じ厚さを有し、かつその厚さは前記錘部および支持枠部よりも薄いことを特徴とする蓋付き加速度センサー素子。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載された蓋付き加速度センサー素子において、前記内枠支持部の曲げ剛性が、前記梁部よりも高いことを特徴とする蓋付き加速度センサー素子。
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載された蓋付き加速度センサー素子と、制御用のICチップをリードフレーム上に接着し、金属ワイヤーによりリードフレームと、ICチップの電極と、蓋付き加速度センサー素子の電極の間を接続し、モールド樹脂により封止したことを特徴とする加速度センサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−276508(P2010−276508A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130264(P2009−130264)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(506334171)トレックス・セミコンダクター株式会社 (19)
【Fターム(参考)】