加速度センサ
【課題】ウエハレベルパッケージを用いて、電極パッド近傍の信頼性を向上させることができる加速度センサを提供する。
【解決手段】加速度センサ100は、加速度検出素子と枠111に形成された電極パッド115(115a〜115d)とを接続するAl配線116とからなるセンサ部110と、枠111上に形成されたAl配線116と電極パッド115(115a〜115d)の一部に積層される保護膜117と、センサ部110を覆って、センサ部110を密閉空間に収容するキャップ部118と、保護膜117上に積層され、センサ部110とキャップ部118とを接合する接着層119とを有する。
【解決手段】加速度センサ100は、加速度検出素子と枠111に形成された電極パッド115(115a〜115d)とを接続するAl配線116とからなるセンサ部110と、枠111上に形成されたAl配線116と電極パッド115(115a〜115d)の一部に積層される保護膜117と、センサ部110を覆って、センサ部110を密閉空間に収容するキャップ部118と、保護膜117上に積層され、センサ部110とキャップ部118とを接合する接着層119とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピエゾ抵抗素子を用いてX、Y及びZ軸方向の加速度を検出する加速度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車や家電製品など様々な分野において、半導体加速度センサが用いられる。従来、この種の半導体加速度センサとして、例えば特許文献1乃至3で開示されているものがある。
【0003】
図1は、特許文献1に記載の半導体加速度センサの平面図である。
【0004】
図1に示すように、半導体加速度センサ10は、シリコン基板を加工して形成されるセンサ基板11とその上下面に配置される上部ガラスキャップと下部ガラスキャップとを備える。図1では、上部ガラスキャップを取り除いた状態を示している。
【0005】
センサ基板11は、矩形枠状のフレーム14、フレーム14の内側に配設された矩形板状の錘部15、及び錘部15をフレーム14の一辺に接続する一対の薄肉状のカンチレバー16を有している。錘部15は、カンチレバー16を介してフレーム14に揺動自在に支持されており、センサ基板11に加速度が作用すると錘部15が変位してカンチレバー16がフレーム14に対して撓むようになっている。
【0006】
一対のカンチレバー16には、それぞれに2個のセンシング部としてのゲージ抵抗17が設けられており、これら4つのゲージ抵抗17がブリッジ接続されている。カンチレバー16が接続されたフレーム14の一辺にはワイヤボンディングパッド18が設けられている。ゲージ抵抗17とワイヤボンディングパッド18とは、拡散層配線19、コンタクト部20及びAl配線21を介して接続されている。また、ワイヤボンディングパッド18には金やアルミニウムなどで形成されたボンディングワイヤ(図示せず)が接続されている。そして、このボンディングワイヤを外部に接続することによりセンサ基板11と外部との電気的接続がなされている。
【0007】
上部ガラスキャップ及び下部ガラスキャップは、フレーム14の上下面にそれぞれ陽極接合されている。上部ガラスキャップは、錘部15及びカンチレバー16を覆うとともにワイヤボンディングパッド18を上部ガラスキャップ外に露出させるようにフレーム14に陽極接合されている。
【0008】
カンチレバー16が接続されている一辺に隣接する二辺に沿ったフレーム14上には、厚さ約1〜2μmのアルミニウム製の金属薄膜23が帯状に形成されている。金属薄膜23が形成されていない部分には金属薄膜23とほぼ同じ高さの凸部24が形成されており、金属薄膜23と凸部24とで矩形枠状部25が形成されている。
【0009】
上部ガラスキャップとフレーム14とは、上部ガラスキャップ14の輪郭を矩形枠状部25の輪郭に位置合わせした状態で金属薄膜23を介して陽極接合されている。
【0010】
図2は、特許文献2に記載の加速度センサ基板の図であり、図2(b)は加速度センサ基板のピエゾ抵抗素子側の平面図、図2(a)は図2(b)のA−A’断面図である。
【0011】
図2に示すように、加速度センサチップ30は、ピエゾ抵抗素子31と配線32、分割溝33、電極パッド34、2点鎖線で示した接合部35、梁部36、錘部37、枠部38等から構成される。
【0012】
加速度センサ基板は、加速度センサチップ30が連結部39で接合されている。一点鎖線で示した分離部41で分離し個片化される。加速度センサ基板の上下面には、キャップ基板と接合する接合材が形成された接合部35を設ける。加速度センサチップ30の外周の分離部41に設けた分割溝33は、梁部36と錘部37を形成するときに同時に形成する。
【0013】
図3は、特許文献3に記載の加速度センサの平面図である。
【0014】
図3に示すように、加速度センサ50は、基板51と、基板51の上の右側部分に設置されたセンサ素子部52と、センサ素子部52の左側に設置された電極パッド53a(53a1〜53a4)とを備える。電極パッド53a1〜53a4は、それぞれ配線LNa、LNb、LNc、LNdを介してセンサ素子部52と接続されている。
【0015】
センサ素子部52には、加速度を検出するための質量体54、質量体54を支持する支持部55、質量体54と支持部55とを接続する梁部56が設けられている。配線LNaには固定電極57aが接続され、配線LNdには固定電極57dが接続されている。質量体54の両翼には、固定電極57a,57dと対向するように、可動電極58が櫛状に設けられている。質量体54及び可動電極58は、梁部56及び支持部55により中空保持されている。
【0016】
上記加速度センサ50に加速度が加わると、梁部56が撓んで質量体54が変位する。すると、可動電極58と固定電極57a,57dとの間の電極間距離が変動し、電極間の静電容量が変化する。この静電容量の変化により、加速度が検出される。
【0017】
図4は、特許文献1乃至3に記載の加速度センサにおいて、共通して用いられている加速度センサの配線及びコンタクト部の構造を示す図である。
【0018】
図4に示すように、加速度センサ60は、センサ基板61と、センサ基板61の側面に設置された電極パッド62と、センサ基板61と電極パッド62とを接続するAl配線63とを備える。センサ基板61の上部は、接着剤樹脂層64により上部ガラスキャップ(図示略)に樹脂接合される。このような半導体センサの製造方法において、樹脂接合によるウエハレベルパッケージは、一般的な封止方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2008−185355号公報
【特許文献2】特開2008−091845号公報
【特許文献3】特開2008−089327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、このような従来の加速度センサの製造方法にあっては、以下の課題があった。
【0021】
(1)樹脂接合によるウエハレベルパッケージでは、電極パッド62近傍のAl配線63のことを考慮せずに封止していたため、Al配線63が保護されず、信頼性を確保することができない。例えば、図4では、電極パッド62近傍のAl配線63の上部65が保護されていない。
【0022】
特許文献1乃至3に記載の加速度センサについてみてみると、図1では、ワイヤボンディングパッド18及びAl配線21、図2では、配線32及び電極パッド34、図3では、電極パッド53及び配線LNa、LNb、LNc、LNdであり、いずれも電極パッド近傍のAl配線が保護されていない。パッド近傍のAl配線が保護されておらず、ウエハ接合によってAl配線の信頼性が確保できない。
【0023】
(2)Al配線の信頼性を確保するためには、ダイシングによるセンサチップ個片化後にAl配線に保護膜を施す必要があり生産性が悪化してしまう。
【0024】
本発明は、かかる点を考慮してなされたものであり、ウエハレベルパッケージを用いて、電極パッド近傍の信頼性を向上させることができる加速度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の加速度センサは、枠部と、錘部と、前記枠部と前記錘部とを連結する梁部と、前記梁部上に形成された加速度検出素子と前記枠部に形成された電極パッドとを接続する金属配線とからなるセンサ部と、前記センサ部上に配置され、該センサ部に密閉空間を形成するキャップ部と、前記枠部上に形成された金属配線と前記電極パッドの一部に積層される保護膜と、前記保護膜上に積層され、前記センサ部と前記キャップ部とを接合する接着層と、を備える構成を採る。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ウエハレベルパッケージを用いて、電極パッド近傍の信頼性を向上させることができる加速度センサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】特許文献1に記載の半導体加速度センサの平面図
【図2】特許文献2に記載の加速度センサ基板の図
【図3】特許文献3に記載の加速度センサの平面図
【図4】従来の加速度センサの配線及びコンタクト部の構造を示す図
【図5】本発明の実施の形態に係る加速度センサの外観構成を示す図
【図6】上記実施の形態に係る加速度センサのピエゾ抵抗素子の十字梁での概略配置を示す平面図
【図7】上記実施の形態に係る加速度センサの要部を示す上視図
【図8】図7のA−A’矢視断面図
【図9】上記実施の形態に係る加速度センサの製造工程図
【図10】上記実施の形態に係る加速度センサの保護膜形成方法の一例を示す上視図
【図11】上記実施の形態に係る加速度センサの保護膜の機能を説明する図
【図12】上記実施の形態に係る加速度センサのSi基板上のAl配線と接着層との状態を模式的に示す図
【図13】上記実施の形態に係る加速度センサの要部を示す断面図
【図14】他の実施の形態に係る加速度センサの要部を示す上視図
【図15】他の実施の形態に係る加速度センサの要部を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
(実施の形態)
図5は、本発明の実施の形態に係る加速度センサの外観構成を示す図である。図6は、ピエゾ抵抗素子の十字梁での概略配置を示す平面図である。図7は、加速度センサの要部を示す上視図である。図8は、図7のA−A’矢視断面図である。本実施の形態は、3軸加速度センサに適用した例である。
【0030】
図5乃至図8に示すように、加速度センサ100は、枠111と、枠111内に設けられた錘112(112a〜112d)と、枠111と錘112とを連結する十字梁113(113a〜113d)と、十字梁113上に形成された加速度検出素子と、加速度検出素子と枠111に形成された電極パッド115(115a〜115d)とを接続するAl配線116とからなるセンサ部110を備える。
【0031】
また、加速度センサ100は、枠111上に形成されたAl配線116と電極パッド115(115a〜115d)の一部に積層される保護膜117と、センサ部110を覆って、センサ部110を密閉空間に収容するキャップ部118と、センサ部110とキャップ部118とを接合する、保護膜117上に積層された接着層119とを有する。
【0032】
十字梁113を構成する各梁113a〜113dは、ピエゾ抵抗素子を有する肉薄の可撓性部材となっている。十字梁113は、中心部分でクローバ状の錘112と連結されている。この十字梁113の中心部分は、肉薄で可撓性の十字梁113が加速度に応じて撓むのに対して、加速度が加わっても錘112を支持して撓まないため、中心非可動部114と呼ぶことにする。
【0033】
Al配線116は、ピエゾ抵抗素子と電極パッド115(115a〜115d)とを接続する。電極パッド115(115a〜115d)は、当該ピエゾ抵抗素子に電圧を印加し及びピエゾ抵抗素子からの出力を取り出すための端子部である。
【0034】
保護膜117は、SiO2、SiN、ポリイミド等の保護膜材料からなる。保護膜117は、樹脂接合によるウエハレベルパッケージの際にキャップウエハ外側のAl配線116を保護する。保護膜117は、Al配線116を保護し、また枠111に接着層119と重なる、パターン形状を有する。図7に示すように、保護膜117は、枠111全体に等幅になるように積層する。また、保護膜117は、Al配線116を覆いかつAl配線116の保護膜117とその他枠111の膜の高さが同じになるように設ける。具体的には、図8に示すように、保護膜117は、Al配線116とセンサ素子基板の段差(0.1μm〜1.0μm)の段差を埋め、平坦になるように設ける。
【0035】
キャップ部118は、保護膜117上に積層された接着層119を介してセンサ部110を密閉空間に収容するシリコンウエハ又はガラス基板である。図7に示すように、保護膜117の外側幅Lと接着層119の外側幅lは、外側幅Lのほうが外側幅lよりも20〜30μm大きくなるように設定しなければならない。キャップウエハがパッド電極を妨害しないようにするためである。
【0036】
本実施の形態では、ピエゾ抵抗素子がある梁部にかかる応力を均等にするために各梁端部から等距離になるように離し、等幅にする。以下、具体的に説明する。
【0037】
図6に、X軸、Y軸、Z軸方向用のピエゾ抵抗素子が、十字梁113上のどの位置に配置されているかの概略を示す。
【0038】
梁113aには、X軸方向用及びZ軸方向用のピエゾ抵抗素子x1,x2,z1,z2が形成されている。同様に、梁113cには、X軸方向用及びZ軸方向用のピエゾ抵抗素子x3,x4,z3,z4が形成されている。
【0039】
X軸方向用のピエゾ抵抗素子x1〜x4とZ軸方向用のピエゾ抵抗素子z1〜z4は、梁113a,113cの長手方向(X方向)の同位置に並列に配置されている。よって、その対称性が確保されている。
【0040】
梁113d,113bには、Y軸方向用のピエゾ抵抗素子y1〜y4が形成されている。ここで各ピエゾ抵抗素子x1〜x4,y1〜y4,z1〜z4は、梁113における、枠111の近傍位置と、中心非可動部114の近傍位置に形成されている。つまり、ピエゾ抵抗素子x1〜x4,y1〜y4,z1〜z4は、加速度によって梁113が撓み易い、梁113の付け根部分に形成されている。
【0041】
なお、本実施の形態では、X軸方向用のピエゾ抵抗素子x1〜x4と、Z軸方向用のピエゾ抵抗素子z1〜z4を同一の梁上に形成したが、本実施の形態の3軸加速度センサ100は構造上、X軸とY軸は等価なので、Y軸方向用のピエゾ抵抗素子y1〜y4とZ軸方向用のピエゾ抵抗素子z1〜z4を同一梁上の同位置に並列に配置してもよい。
【0042】
次に、加速度センサ100の製造方法について説明する。
【0043】
図9は、加速度センサ100の製造工程図である。図中、Sは各工程を示す。
【0044】
Si基板を材料として、半導体プロセスにより製造する。
【0045】
S1:Siウエハ上に熱酸化膜(ここではSiO2酸化膜)を形成する。
【0046】
S2:ピエゾ抵抗素子x1〜x4,y1〜y4,z1〜z4を形成する。ピエゾ抵抗素子x1〜x4,y1〜y4,z1〜z4は、B(ボロン)又はP(リン)といった不純物を、イオン・インプランテーションによってSi基板中に注入することで形成する。
【0047】
S3:ピエゾ抵抗素子を形成したSiウエハ表面上にLPCVD等の方法でTEOS(tetra-ethyl-ortho-silicate)膜を形成する。
【0048】
S4:TEOS膜の上にスパッタリング等の方法でAl配線を形成する。
【0049】
S5:Al配線形成後、Al配線を保護する保護膜を形成する。Alは導電率が高く加工し易いので金属配線材料として多用される。しかし、柔らかく腐食し易いので、Al配線形成後、Alを保護するとともに、外部からの汚染を防止するためにチップ表面を保護膜で被覆保護する。保護膜117(図8)は、SiO2、SiN、ポリイミド等の保護膜材料からなる。本実施の形態は、Al配線116(図8)上に保護膜117を形成することに特徴がある。すなわち、Al配線116上の全面に保護膜117を形成することを基本とし、図7に示すように枠111に接着層119と重なる、パターン形状を有する。また、保護膜117とその他枠111の膜の高さが同じになるように、Al配線116とセンサ素子基板の段差(0.1μm〜1.0μm)の段差を埋め、平坦になるように形成する。詳細については、図10により後述する。
【0050】
S6:Al配線保護膜形成後のSiウエハに、ドライエッチングによって可撓部など構造体を形成する。
【0051】
S7:接着層(接合樹脂)をパターニングした基板とセンサ基板の表裏面を接合する。
【0052】
S8:ダイシング・封止・検査などの後工程を施して加速度センサの製造工程を終了する。
【0053】
図10は、加速度センサ100の保護膜形成方法の一例を示す上視図である。
【0054】
保護膜形成方法は、以下の通りである。
【0055】
Al配線形成後、LPCVDによりSi3N4を製膜(エッチングストッパ層)し、TEOS膜を製膜する。
【0056】
化学機械研磨(CMP)法により、製膜したTEOS膜を研磨して平坦化する。
【0057】
その後、図10ハッチングに示す部分を、ドライエッチングによってパターニングする。又は、Al配線形成後、スピンコート等の方法により感光性ポリイミドを塗布する。
【0058】
その後、露光・現像により図10のパターンを形成する。
【0059】
図11乃至図13は、本実施の形態の効果を説明する図である。
【0060】
図11は、保護膜117の機能を説明する図である。
【0061】
加速度センサ100は、Al配線116上の全面に保護膜117が形成されている。また、保護膜117上に積層された接着層119を介して、キャップ部118が樹脂接合される。
【0062】
図11に示すように、樹脂接合材の被着部に、SiO2やSiNのような層が存在すると、樹脂(例えばポリイミド)とそれらの層が水素結合により化学結合し、接合強度が強くなる。さらに、接合強度が強くなると、センサチップのストッパとしての機能も果たすキャップウエハが、急激な加速度(例えば、10000G)に対しても剥離することなく、加速度センサ100の耐衝撃性が向上する効果がある。
【0063】
図12(a)は、保護膜117がない場合のSi基板上のAl配線116と接着層119との状態を模式的に示す図、図12(b)は、保護膜117がある場合のSi基板上のAl配線116と接着層119との状態を模式的に示す図である。
【0064】
図12(a)に示すように、保護膜117無しでのAl配線116とSi基板の段差の場合、接合時に樹脂が十分に段差を埋めることができないので、ボイド121が発生する。ボイド121が発生すると外気が侵入し、パッケージの気密性が損なわれ、Al配線116の信頼性が確保できない。
【0065】
本実施の形態では、枠111(図7)にストッパ層120を介して保護膜117を塗布し、Al配線116の段差を平坦化している。図12(b)に示すように、段差が解消され、ボイドが発生することなくセンサ素子の封止が可能となる。
【0066】
図13は、加速度センサの要部を示す断面図である。
【0067】
また、本実施の形態では、図13に示すように、ウエハ接合したときにキャップウエハがセンサウエハに対して平行に接合されるように、接着層119の被着部を平坦化させている。これにより、応力が均等にかかるようになるため、そりがなくなり、BG(バックグラインディング)で薄厚化する際に破損することがなくなる。その後の加工プロセスの歩留まり向上につながると考えられる。
【0068】
以上詳細に説明したように、本実施の形態の加速度センサ100は、加速度検出素子と枠111に形成された電極パッド115(115a〜115d)とを接続するAl配線116とからなるセンサ部110と、枠111上に形成されたAl配線116と電極パッド115(115a〜115d)の一部に積層される保護膜117と、センサ部110を覆って、センサ部110を密閉空間に収容するキャップ部118と、保護膜117上に積層され、センサ部110とキャップ部118とを接合する接着層119とを有する。加速度センサチップの枠111に保護膜117を設けることにより、Al配線116の信頼性を向上させることができ、ウエハレベルパッケージの接合強度及び気密性を向上させることができる。
【0069】
(他の実施の形態)
図14及び図15は、他の実施の形態を説明する図である。
【0070】
図14は、他の実施の形態の加速度センサの要部を示す上視図である。
【0071】
図14に示すように、加速度センサの保護膜117Aを、電極パッド115以外の枠111全体に塗布する態様でもよい。
【0072】
図15は、他の実施の形態の加速度センサの要部を示す断面図であり、図15(a)はその断面図、図15(b)はそのSi基板上のAl配線116と接着層119との状態を模式的に示す図である。
【0073】
図15(a)(b)に示すように、Al配線116の段差は、As depo状態の保護膜117Bで解消する態様でもよい。保護膜117Bは、CMP加工無しの段差でも接合時にボイドは発生しない。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について述べたが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変更が可能であり、本発明がこれらに及ぶことは当然である。
【0075】
上記実施の形態では、3軸加速度センサに適用した例であるが、同様の構成により、半導体加速度センサ全般に適用することができる。
【0076】
また、上記実施の形態では、加速度センサという名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、3軸加速度センサ、半導体センサ等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の加速度センサは、例えばゲームコントローラ等の玩具や、自動車の衝撃検出装置、ハードディスクの落下検知装置、携帯電話機の入力装置等の種々の装置に広く適用し得る。
【符号の説明】
【0078】
100 加速度センサ
110 センサ部
111 枠
112a〜112d 錘
111,113a〜113d 梁
115,115a〜115d 電極パッド
116 Al配線
117,117A,117B 保護膜
118 キャップ部
119 接着層
x1〜x4 X軸方向用のピエゾ抵抗素子
y1〜y4 Y軸方向用のピエゾ抵抗素子
z1〜z4 Z軸方向用のピエゾ抵抗素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピエゾ抵抗素子を用いてX、Y及びZ軸方向の加速度を検出する加速度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車や家電製品など様々な分野において、半導体加速度センサが用いられる。従来、この種の半導体加速度センサとして、例えば特許文献1乃至3で開示されているものがある。
【0003】
図1は、特許文献1に記載の半導体加速度センサの平面図である。
【0004】
図1に示すように、半導体加速度センサ10は、シリコン基板を加工して形成されるセンサ基板11とその上下面に配置される上部ガラスキャップと下部ガラスキャップとを備える。図1では、上部ガラスキャップを取り除いた状態を示している。
【0005】
センサ基板11は、矩形枠状のフレーム14、フレーム14の内側に配設された矩形板状の錘部15、及び錘部15をフレーム14の一辺に接続する一対の薄肉状のカンチレバー16を有している。錘部15は、カンチレバー16を介してフレーム14に揺動自在に支持されており、センサ基板11に加速度が作用すると錘部15が変位してカンチレバー16がフレーム14に対して撓むようになっている。
【0006】
一対のカンチレバー16には、それぞれに2個のセンシング部としてのゲージ抵抗17が設けられており、これら4つのゲージ抵抗17がブリッジ接続されている。カンチレバー16が接続されたフレーム14の一辺にはワイヤボンディングパッド18が設けられている。ゲージ抵抗17とワイヤボンディングパッド18とは、拡散層配線19、コンタクト部20及びAl配線21を介して接続されている。また、ワイヤボンディングパッド18には金やアルミニウムなどで形成されたボンディングワイヤ(図示せず)が接続されている。そして、このボンディングワイヤを外部に接続することによりセンサ基板11と外部との電気的接続がなされている。
【0007】
上部ガラスキャップ及び下部ガラスキャップは、フレーム14の上下面にそれぞれ陽極接合されている。上部ガラスキャップは、錘部15及びカンチレバー16を覆うとともにワイヤボンディングパッド18を上部ガラスキャップ外に露出させるようにフレーム14に陽極接合されている。
【0008】
カンチレバー16が接続されている一辺に隣接する二辺に沿ったフレーム14上には、厚さ約1〜2μmのアルミニウム製の金属薄膜23が帯状に形成されている。金属薄膜23が形成されていない部分には金属薄膜23とほぼ同じ高さの凸部24が形成されており、金属薄膜23と凸部24とで矩形枠状部25が形成されている。
【0009】
上部ガラスキャップとフレーム14とは、上部ガラスキャップ14の輪郭を矩形枠状部25の輪郭に位置合わせした状態で金属薄膜23を介して陽極接合されている。
【0010】
図2は、特許文献2に記載の加速度センサ基板の図であり、図2(b)は加速度センサ基板のピエゾ抵抗素子側の平面図、図2(a)は図2(b)のA−A’断面図である。
【0011】
図2に示すように、加速度センサチップ30は、ピエゾ抵抗素子31と配線32、分割溝33、電極パッド34、2点鎖線で示した接合部35、梁部36、錘部37、枠部38等から構成される。
【0012】
加速度センサ基板は、加速度センサチップ30が連結部39で接合されている。一点鎖線で示した分離部41で分離し個片化される。加速度センサ基板の上下面には、キャップ基板と接合する接合材が形成された接合部35を設ける。加速度センサチップ30の外周の分離部41に設けた分割溝33は、梁部36と錘部37を形成するときに同時に形成する。
【0013】
図3は、特許文献3に記載の加速度センサの平面図である。
【0014】
図3に示すように、加速度センサ50は、基板51と、基板51の上の右側部分に設置されたセンサ素子部52と、センサ素子部52の左側に設置された電極パッド53a(53a1〜53a4)とを備える。電極パッド53a1〜53a4は、それぞれ配線LNa、LNb、LNc、LNdを介してセンサ素子部52と接続されている。
【0015】
センサ素子部52には、加速度を検出するための質量体54、質量体54を支持する支持部55、質量体54と支持部55とを接続する梁部56が設けられている。配線LNaには固定電極57aが接続され、配線LNdには固定電極57dが接続されている。質量体54の両翼には、固定電極57a,57dと対向するように、可動電極58が櫛状に設けられている。質量体54及び可動電極58は、梁部56及び支持部55により中空保持されている。
【0016】
上記加速度センサ50に加速度が加わると、梁部56が撓んで質量体54が変位する。すると、可動電極58と固定電極57a,57dとの間の電極間距離が変動し、電極間の静電容量が変化する。この静電容量の変化により、加速度が検出される。
【0017】
図4は、特許文献1乃至3に記載の加速度センサにおいて、共通して用いられている加速度センサの配線及びコンタクト部の構造を示す図である。
【0018】
図4に示すように、加速度センサ60は、センサ基板61と、センサ基板61の側面に設置された電極パッド62と、センサ基板61と電極パッド62とを接続するAl配線63とを備える。センサ基板61の上部は、接着剤樹脂層64により上部ガラスキャップ(図示略)に樹脂接合される。このような半導体センサの製造方法において、樹脂接合によるウエハレベルパッケージは、一般的な封止方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2008−185355号公報
【特許文献2】特開2008−091845号公報
【特許文献3】特開2008−089327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、このような従来の加速度センサの製造方法にあっては、以下の課題があった。
【0021】
(1)樹脂接合によるウエハレベルパッケージでは、電極パッド62近傍のAl配線63のことを考慮せずに封止していたため、Al配線63が保護されず、信頼性を確保することができない。例えば、図4では、電極パッド62近傍のAl配線63の上部65が保護されていない。
【0022】
特許文献1乃至3に記載の加速度センサについてみてみると、図1では、ワイヤボンディングパッド18及びAl配線21、図2では、配線32及び電極パッド34、図3では、電極パッド53及び配線LNa、LNb、LNc、LNdであり、いずれも電極パッド近傍のAl配線が保護されていない。パッド近傍のAl配線が保護されておらず、ウエハ接合によってAl配線の信頼性が確保できない。
【0023】
(2)Al配線の信頼性を確保するためには、ダイシングによるセンサチップ個片化後にAl配線に保護膜を施す必要があり生産性が悪化してしまう。
【0024】
本発明は、かかる点を考慮してなされたものであり、ウエハレベルパッケージを用いて、電極パッド近傍の信頼性を向上させることができる加速度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の加速度センサは、枠部と、錘部と、前記枠部と前記錘部とを連結する梁部と、前記梁部上に形成された加速度検出素子と前記枠部に形成された電極パッドとを接続する金属配線とからなるセンサ部と、前記センサ部上に配置され、該センサ部に密閉空間を形成するキャップ部と、前記枠部上に形成された金属配線と前記電極パッドの一部に積層される保護膜と、前記保護膜上に積層され、前記センサ部と前記キャップ部とを接合する接着層と、を備える構成を採る。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ウエハレベルパッケージを用いて、電極パッド近傍の信頼性を向上させることができる加速度センサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】特許文献1に記載の半導体加速度センサの平面図
【図2】特許文献2に記載の加速度センサ基板の図
【図3】特許文献3に記載の加速度センサの平面図
【図4】従来の加速度センサの配線及びコンタクト部の構造を示す図
【図5】本発明の実施の形態に係る加速度センサの外観構成を示す図
【図6】上記実施の形態に係る加速度センサのピエゾ抵抗素子の十字梁での概略配置を示す平面図
【図7】上記実施の形態に係る加速度センサの要部を示す上視図
【図8】図7のA−A’矢視断面図
【図9】上記実施の形態に係る加速度センサの製造工程図
【図10】上記実施の形態に係る加速度センサの保護膜形成方法の一例を示す上視図
【図11】上記実施の形態に係る加速度センサの保護膜の機能を説明する図
【図12】上記実施の形態に係る加速度センサのSi基板上のAl配線と接着層との状態を模式的に示す図
【図13】上記実施の形態に係る加速度センサの要部を示す断面図
【図14】他の実施の形態に係る加速度センサの要部を示す上視図
【図15】他の実施の形態に係る加速度センサの要部を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
(実施の形態)
図5は、本発明の実施の形態に係る加速度センサの外観構成を示す図である。図6は、ピエゾ抵抗素子の十字梁での概略配置を示す平面図である。図7は、加速度センサの要部を示す上視図である。図8は、図7のA−A’矢視断面図である。本実施の形態は、3軸加速度センサに適用した例である。
【0030】
図5乃至図8に示すように、加速度センサ100は、枠111と、枠111内に設けられた錘112(112a〜112d)と、枠111と錘112とを連結する十字梁113(113a〜113d)と、十字梁113上に形成された加速度検出素子と、加速度検出素子と枠111に形成された電極パッド115(115a〜115d)とを接続するAl配線116とからなるセンサ部110を備える。
【0031】
また、加速度センサ100は、枠111上に形成されたAl配線116と電極パッド115(115a〜115d)の一部に積層される保護膜117と、センサ部110を覆って、センサ部110を密閉空間に収容するキャップ部118と、センサ部110とキャップ部118とを接合する、保護膜117上に積層された接着層119とを有する。
【0032】
十字梁113を構成する各梁113a〜113dは、ピエゾ抵抗素子を有する肉薄の可撓性部材となっている。十字梁113は、中心部分でクローバ状の錘112と連結されている。この十字梁113の中心部分は、肉薄で可撓性の十字梁113が加速度に応じて撓むのに対して、加速度が加わっても錘112を支持して撓まないため、中心非可動部114と呼ぶことにする。
【0033】
Al配線116は、ピエゾ抵抗素子と電極パッド115(115a〜115d)とを接続する。電極パッド115(115a〜115d)は、当該ピエゾ抵抗素子に電圧を印加し及びピエゾ抵抗素子からの出力を取り出すための端子部である。
【0034】
保護膜117は、SiO2、SiN、ポリイミド等の保護膜材料からなる。保護膜117は、樹脂接合によるウエハレベルパッケージの際にキャップウエハ外側のAl配線116を保護する。保護膜117は、Al配線116を保護し、また枠111に接着層119と重なる、パターン形状を有する。図7に示すように、保護膜117は、枠111全体に等幅になるように積層する。また、保護膜117は、Al配線116を覆いかつAl配線116の保護膜117とその他枠111の膜の高さが同じになるように設ける。具体的には、図8に示すように、保護膜117は、Al配線116とセンサ素子基板の段差(0.1μm〜1.0μm)の段差を埋め、平坦になるように設ける。
【0035】
キャップ部118は、保護膜117上に積層された接着層119を介してセンサ部110を密閉空間に収容するシリコンウエハ又はガラス基板である。図7に示すように、保護膜117の外側幅Lと接着層119の外側幅lは、外側幅Lのほうが外側幅lよりも20〜30μm大きくなるように設定しなければならない。キャップウエハがパッド電極を妨害しないようにするためである。
【0036】
本実施の形態では、ピエゾ抵抗素子がある梁部にかかる応力を均等にするために各梁端部から等距離になるように離し、等幅にする。以下、具体的に説明する。
【0037】
図6に、X軸、Y軸、Z軸方向用のピエゾ抵抗素子が、十字梁113上のどの位置に配置されているかの概略を示す。
【0038】
梁113aには、X軸方向用及びZ軸方向用のピエゾ抵抗素子x1,x2,z1,z2が形成されている。同様に、梁113cには、X軸方向用及びZ軸方向用のピエゾ抵抗素子x3,x4,z3,z4が形成されている。
【0039】
X軸方向用のピエゾ抵抗素子x1〜x4とZ軸方向用のピエゾ抵抗素子z1〜z4は、梁113a,113cの長手方向(X方向)の同位置に並列に配置されている。よって、その対称性が確保されている。
【0040】
梁113d,113bには、Y軸方向用のピエゾ抵抗素子y1〜y4が形成されている。ここで各ピエゾ抵抗素子x1〜x4,y1〜y4,z1〜z4は、梁113における、枠111の近傍位置と、中心非可動部114の近傍位置に形成されている。つまり、ピエゾ抵抗素子x1〜x4,y1〜y4,z1〜z4は、加速度によって梁113が撓み易い、梁113の付け根部分に形成されている。
【0041】
なお、本実施の形態では、X軸方向用のピエゾ抵抗素子x1〜x4と、Z軸方向用のピエゾ抵抗素子z1〜z4を同一の梁上に形成したが、本実施の形態の3軸加速度センサ100は構造上、X軸とY軸は等価なので、Y軸方向用のピエゾ抵抗素子y1〜y4とZ軸方向用のピエゾ抵抗素子z1〜z4を同一梁上の同位置に並列に配置してもよい。
【0042】
次に、加速度センサ100の製造方法について説明する。
【0043】
図9は、加速度センサ100の製造工程図である。図中、Sは各工程を示す。
【0044】
Si基板を材料として、半導体プロセスにより製造する。
【0045】
S1:Siウエハ上に熱酸化膜(ここではSiO2酸化膜)を形成する。
【0046】
S2:ピエゾ抵抗素子x1〜x4,y1〜y4,z1〜z4を形成する。ピエゾ抵抗素子x1〜x4,y1〜y4,z1〜z4は、B(ボロン)又はP(リン)といった不純物を、イオン・インプランテーションによってSi基板中に注入することで形成する。
【0047】
S3:ピエゾ抵抗素子を形成したSiウエハ表面上にLPCVD等の方法でTEOS(tetra-ethyl-ortho-silicate)膜を形成する。
【0048】
S4:TEOS膜の上にスパッタリング等の方法でAl配線を形成する。
【0049】
S5:Al配線形成後、Al配線を保護する保護膜を形成する。Alは導電率が高く加工し易いので金属配線材料として多用される。しかし、柔らかく腐食し易いので、Al配線形成後、Alを保護するとともに、外部からの汚染を防止するためにチップ表面を保護膜で被覆保護する。保護膜117(図8)は、SiO2、SiN、ポリイミド等の保護膜材料からなる。本実施の形態は、Al配線116(図8)上に保護膜117を形成することに特徴がある。すなわち、Al配線116上の全面に保護膜117を形成することを基本とし、図7に示すように枠111に接着層119と重なる、パターン形状を有する。また、保護膜117とその他枠111の膜の高さが同じになるように、Al配線116とセンサ素子基板の段差(0.1μm〜1.0μm)の段差を埋め、平坦になるように形成する。詳細については、図10により後述する。
【0050】
S6:Al配線保護膜形成後のSiウエハに、ドライエッチングによって可撓部など構造体を形成する。
【0051】
S7:接着層(接合樹脂)をパターニングした基板とセンサ基板の表裏面を接合する。
【0052】
S8:ダイシング・封止・検査などの後工程を施して加速度センサの製造工程を終了する。
【0053】
図10は、加速度センサ100の保護膜形成方法の一例を示す上視図である。
【0054】
保護膜形成方法は、以下の通りである。
【0055】
Al配線形成後、LPCVDによりSi3N4を製膜(エッチングストッパ層)し、TEOS膜を製膜する。
【0056】
化学機械研磨(CMP)法により、製膜したTEOS膜を研磨して平坦化する。
【0057】
その後、図10ハッチングに示す部分を、ドライエッチングによってパターニングする。又は、Al配線形成後、スピンコート等の方法により感光性ポリイミドを塗布する。
【0058】
その後、露光・現像により図10のパターンを形成する。
【0059】
図11乃至図13は、本実施の形態の効果を説明する図である。
【0060】
図11は、保護膜117の機能を説明する図である。
【0061】
加速度センサ100は、Al配線116上の全面に保護膜117が形成されている。また、保護膜117上に積層された接着層119を介して、キャップ部118が樹脂接合される。
【0062】
図11に示すように、樹脂接合材の被着部に、SiO2やSiNのような層が存在すると、樹脂(例えばポリイミド)とそれらの層が水素結合により化学結合し、接合強度が強くなる。さらに、接合強度が強くなると、センサチップのストッパとしての機能も果たすキャップウエハが、急激な加速度(例えば、10000G)に対しても剥離することなく、加速度センサ100の耐衝撃性が向上する効果がある。
【0063】
図12(a)は、保護膜117がない場合のSi基板上のAl配線116と接着層119との状態を模式的に示す図、図12(b)は、保護膜117がある場合のSi基板上のAl配線116と接着層119との状態を模式的に示す図である。
【0064】
図12(a)に示すように、保護膜117無しでのAl配線116とSi基板の段差の場合、接合時に樹脂が十分に段差を埋めることができないので、ボイド121が発生する。ボイド121が発生すると外気が侵入し、パッケージの気密性が損なわれ、Al配線116の信頼性が確保できない。
【0065】
本実施の形態では、枠111(図7)にストッパ層120を介して保護膜117を塗布し、Al配線116の段差を平坦化している。図12(b)に示すように、段差が解消され、ボイドが発生することなくセンサ素子の封止が可能となる。
【0066】
図13は、加速度センサの要部を示す断面図である。
【0067】
また、本実施の形態では、図13に示すように、ウエハ接合したときにキャップウエハがセンサウエハに対して平行に接合されるように、接着層119の被着部を平坦化させている。これにより、応力が均等にかかるようになるため、そりがなくなり、BG(バックグラインディング)で薄厚化する際に破損することがなくなる。その後の加工プロセスの歩留まり向上につながると考えられる。
【0068】
以上詳細に説明したように、本実施の形態の加速度センサ100は、加速度検出素子と枠111に形成された電極パッド115(115a〜115d)とを接続するAl配線116とからなるセンサ部110と、枠111上に形成されたAl配線116と電極パッド115(115a〜115d)の一部に積層される保護膜117と、センサ部110を覆って、センサ部110を密閉空間に収容するキャップ部118と、保護膜117上に積層され、センサ部110とキャップ部118とを接合する接着層119とを有する。加速度センサチップの枠111に保護膜117を設けることにより、Al配線116の信頼性を向上させることができ、ウエハレベルパッケージの接合強度及び気密性を向上させることができる。
【0069】
(他の実施の形態)
図14及び図15は、他の実施の形態を説明する図である。
【0070】
図14は、他の実施の形態の加速度センサの要部を示す上視図である。
【0071】
図14に示すように、加速度センサの保護膜117Aを、電極パッド115以外の枠111全体に塗布する態様でもよい。
【0072】
図15は、他の実施の形態の加速度センサの要部を示す断面図であり、図15(a)はその断面図、図15(b)はそのSi基板上のAl配線116と接着層119との状態を模式的に示す図である。
【0073】
図15(a)(b)に示すように、Al配線116の段差は、As depo状態の保護膜117Bで解消する態様でもよい。保護膜117Bは、CMP加工無しの段差でも接合時にボイドは発生しない。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について述べたが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変更が可能であり、本発明がこれらに及ぶことは当然である。
【0075】
上記実施の形態では、3軸加速度センサに適用した例であるが、同様の構成により、半導体加速度センサ全般に適用することができる。
【0076】
また、上記実施の形態では、加速度センサという名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、3軸加速度センサ、半導体センサ等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の加速度センサは、例えばゲームコントローラ等の玩具や、自動車の衝撃検出装置、ハードディスクの落下検知装置、携帯電話機の入力装置等の種々の装置に広く適用し得る。
【符号の説明】
【0078】
100 加速度センサ
110 センサ部
111 枠
112a〜112d 錘
111,113a〜113d 梁
115,115a〜115d 電極パッド
116 Al配線
117,117A,117B 保護膜
118 キャップ部
119 接着層
x1〜x4 X軸方向用のピエゾ抵抗素子
y1〜y4 Y軸方向用のピエゾ抵抗素子
z1〜z4 Z軸方向用のピエゾ抵抗素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠部と、
錘部と、
前記枠部と前記錘部とを連結する梁部と、
前記梁部上に形成された加速度検出素子と前記枠部に形成された電極パッドとを接続する金属配線とからなるセンサ部と、
前記センサ部上に配置され、該センサ部に密閉空間を形成するキャップ部と、
前記枠部上に形成された金属配線と前記電極パッドの一部に積層される保護膜と、
前記保護膜上に積層され、前記センサ部と前記キャップ部とを接合する接着層と、
を備える加速度センサ。
【請求項2】
前記保護膜は、SiO2、SiN、又はポリイミドの保護膜材料からなる請求項1記載の加速度センサ。
【請求項3】
前記保護膜は、樹脂接合によるウエハレベルパッケージの際にキャップウエハ外側の前記金属配線を保護する請求項1記載の加速度センサ。
【請求項4】
前記保護膜は、前記金属配線を保護し、かつ前記枠部に前記接着層と重なる、パターン形状を有する請求項1記載の加速度センサ。
【請求項5】
前記保護膜は、前記枠部全体に等幅になるように積層する請求項1記載の加速度センサ。
【請求項6】
前記保護膜は、前記金属配線を覆い、かつ前記金属配線上の前記保護膜の高さと、前記金属配線を覆わない前記保護膜の高さが同じになるように形成する請求項1記載の加速度センサ。
【請求項7】
前記保護膜は、前記金属配線とセンサ素子基板の段差の段差を埋め、かつ平坦になるように形成する請求項1記載の加速度センサ。
【請求項8】
前記保護膜の外側幅Lは、前記接着層の外側幅lより所定以上大きい請求項1記載の加速度センサ。
【請求項1】
枠部と、
錘部と、
前記枠部と前記錘部とを連結する梁部と、
前記梁部上に形成された加速度検出素子と前記枠部に形成された電極パッドとを接続する金属配線とからなるセンサ部と、
前記センサ部上に配置され、該センサ部に密閉空間を形成するキャップ部と、
前記枠部上に形成された金属配線と前記電極パッドの一部に積層される保護膜と、
前記保護膜上に積層され、前記センサ部と前記キャップ部とを接合する接着層と、
を備える加速度センサ。
【請求項2】
前記保護膜は、SiO2、SiN、又はポリイミドの保護膜材料からなる請求項1記載の加速度センサ。
【請求項3】
前記保護膜は、樹脂接合によるウエハレベルパッケージの際にキャップウエハ外側の前記金属配線を保護する請求項1記載の加速度センサ。
【請求項4】
前記保護膜は、前記金属配線を保護し、かつ前記枠部に前記接着層と重なる、パターン形状を有する請求項1記載の加速度センサ。
【請求項5】
前記保護膜は、前記枠部全体に等幅になるように積層する請求項1記載の加速度センサ。
【請求項6】
前記保護膜は、前記金属配線を覆い、かつ前記金属配線上の前記保護膜の高さと、前記金属配線を覆わない前記保護膜の高さが同じになるように形成する請求項1記載の加速度センサ。
【請求項7】
前記保護膜は、前記金属配線とセンサ素子基板の段差の段差を埋め、かつ平坦になるように形成する請求項1記載の加速度センサ。
【請求項8】
前記保護膜の外側幅Lは、前記接着層の外側幅lより所定以上大きい請求項1記載の加速度センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−7624(P2011−7624A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151323(P2009−151323)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】
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