説明

動体検出装置及びその制御方法、プログラム

【課題】 振動のある環境下においても、振動が終了するのを待たずに、かつ、少ない計算機資源を用いて、動体検出を行うことである。
【解決手段】 撮像画像から動体を検出するための動体検出処理を実行する。撮像画像に基づいて、前記撮像装置に起因する振動を検出する。振動を検出した場合、動体検出可能な位置までワイド側に現在のズーム位置を移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理によって動体の存在を検出する監視カメラ等の撮像装置に関するものである。特に、高層ビルや橋梁等の振動の生じやすい構造物を設置場所とする監視カメラ等の撮像装置における、動体検出技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
監視カメラにおいて、画像の変動から異常状態を検出する技術がある。また、画像中の動体を検出してその動きを解析することにより、検出線の通過や、領域への侵入を検出する技術がある。監視カメラには、橋梁やビル建物屋上等の振動の発生しやすい環境に設置されるものがある。画像の変動に基づく異常検出や動体通過検出技術は、画像上で同一位置ないしは領域の画像情報を時間軸で比較するため、カメラの振動に伴う画像のブレに弱いという問題がある。
【0003】
これに対して、特許文献1は背景差分による変化検出において、動きが収まるのを待ってから背景画像を作成する技術である。特許文献2は、複数枚の画像から振動ブレの情報を検出し、位置合わせを行ってブレを補正した後に、背景画像を生成する背景差分技術である。また、特許文献3は、画像特徴量の統計的分布から、本来の検出目的である人物や物体の侵入による画像変化と、環境条件の変動やカメラの振動による画像変化とを判別し、誤検出を減少する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−284086号公報
【特許文献2】特開平10−320535号公報
【特許文献3】特開2001−169270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、振動による画面ブレの収束を待ってから画像処理を行う方式は、振動が継続する間は動体検出ができない。また、特許文献2や3のように、画像の位置合わせや画像の統計量分析を用いる手法は、演算装置における演算量及びメモリ使用量が増加する。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、振動のある環境下においても、振動が終了するのを待たずに、かつ、少ない計算機資源を用いて、動体検出を行うことができる動体検出装置及びその制御方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明による動体検出装置は以下の構成を備える。即ち、
撮像装置による撮像画像から動体を検出する動体検出装置であって、
前記撮像装置による撮像画像を取得する取得手段と、
前記撮像装置のズーム制御を行う制御手段と、
前記撮像画像から動体を検出するための動体検出処理を実行する動体検出処理手段と、
前記撮像画像に基づいて、前記撮像装置に起因する振動を検出する振動検出手段とを有し、
前記振動検出手段が振動を検出した場合、前記制御手段は、前記動体検出処理手段によって動体検出可能な位置までワイド側に現在のズーム位置を移動する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、振動のある環境下においても、振動が終了するのを待たずに、かつ、少ない計算機資源を用いて、動体検出を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】撮像装置の構成を示す図である。
【図2】振動が動体検出処理に与える影響を説明する図である。
【図3】ズーム倍率と振動量の相関図である。
【図4】ズーム倍率と振動レベルの相関図である。
【図5】動体検出処理を示すフローチャートである。
【図6】防振機構がある場合の撮像装置の構成を示す図である。
【図7】防振機構がある場合のズーム倍率と振動レベルの相関図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
<実施形態1>
実施形態1は、ズーム制御可能な監視カメラ(撮像装置)において、画像処理によって動体検出を行う場合に、振動を検出した場合は動体検出を可能な位置までズームをワイド(広域)側に移動する。これにより、振動のある環境下でも動体検出機能を実現する。
【0011】
本発明の監視カメラを一例とする撮像装置の構成例を図1に示す。撮像装置100はネットワークに画像の配信が可能なネットワークカメラを想定する。撮像装置100は光学系と撮像素子を有する撮像系110、撮像系110のパンチルト駆動を行うパンチルト駆動系120、及び制御装置130を有する。
【0012】
制御装置130は、撮像素子を制御して画像を取得する画像取得部131、取得した画像を符号化する符号化部133を有する。また、制御装置130は、符号化した画像をネットワーク10に配信する画像配信制御部134を有する。配信した画像は、ビューワー端末、設定用端末や、録画サーバー等のクライアント端末(不図示)によって受信される。ここで、画像符号化方式には、モーションJPEG、MPEG−4、H.264等があるが、本発明は特定の符号化方式に依存しない。
【0013】
画像取得部131によって得られた画像は、制御装置130内の、振動検出部132、動体検出処理部135及びイベント配信制御部136を通過して通信部140より配信される。動体検出処理としては、例えば、対象領域に対して画素単位の隣接フレーム間差分を算出し、対応する画素の差分和が所定の閾値以上であれば検出状態とする手法がある。また、基準画像と現在の画像の差分から動体の領域を算出する背景差分による手法がある。イベント配信制御部136は、動体検出処理部135の処理結果を、イベント情報として配信するかどうかを判定し、配信する場合はイベント情報を生成する。
【0014】
制御装置130は、更に、パンチルト制御部138を有する。画像及びイベント情報は、通信部140を通じてネットワーク経由でビューワー端末や録画サーバー等のクライアント端末(不図示)に送信される。一方で、通信部140は、設定端末(不図示)から設定情報を受信し、設定制御部139を通じて各種設定制御を行う。この設定制御には、例えば、パンチルト制御部138に対するパンチルト制御、撮像系制御部137に対するズーム・フォーカス制御、動体検出処理部135に対する検出感度設定がある。
【0015】
以上のような構成により、制御装置130は、撮像画像から動体を検出する動体検出装置として機能する。
【0016】
図2を用いて、振動が動体検出処理に与える影響を説明する。図2の横軸は時刻t、縦軸は差分値Dを示し、振動の有無による差分値Dの推移を模式的に比較して示している。ここで、差分値Dは画面全体におけるフレーム間差分や背景差分処理の出力結果である。背景差分の場合、差分値Dは以下の式で表される。
【0017】
D=Σ|I(x,y,t)−Ib(x,y)| (式1)
ここで、Ibは背景画像である。(式1)は画像全体にわたって、背景画素と前景画素の差分和を算出するものである。背景画像Ibは、例えば、物体が存在しない区間における複数枚の画像の平均により作成する。
【0018】
最初に振動がない場合の差分値の推移210に注目する。動体が存在しない区間T1では、シーン中の背景、及び、撮像系に起因する雑音が観測される。動体が存在する区間T2では、動体が存在しない区間T1に加えて動体の出現による差分値が追加される。
【0019】
次に、振動がある場合の差分値の推移220に注目する。振動による雑音は動体の有無に関わらず観測される。その結果、通常の雑音と振動に起因する雑音が合成され、動体が存在しない区間T1において周期的に差分値Dが変動し、推移220のような曲線となる。
【0020】
ここで、差分値Dに対して適当な閾値を設けることにより、画像中で動体の有無を判定することを考える。振動がない場合の差分値の推移(変動)210において、閾値Th1(212)によって背景と前景の分離が可能である。また、振動がある場合の差分値の推移(変動)220では、閾値Th2(222)によって判定が可能である。
【0021】
しかしながら、振動が大きい場合は、動体による差分値に対して、雑音による差分値が相対的に大きくなるため、動体の有無を判定することは困難となる。このため、動体が存在する区間T2の差分値の平均値Df_avrと、動体が存在しない区間T1の差分値の最大値Db_maxとの比率が、
Df_avr/Db_max≧Rfb (式2)
の時に動体が検出可能であるとする。
【0022】
最大値Db_maxは、動体が存在しない区間T1の差分値をガウス分布で近似した結果から、
Db_max=Db_avr+K1σ (式3)
により算出する。ここで、Db_avrは平均値、σは標準偏差である。K1は定数であり、例えば、3を用いる。Rfbは1より大きな値をシーンによって調整する。このときの背景と前景を判定するための閾値Thは、例えば、
Th=Db_avr+K2σ 但し K2>K1 (式4)
とする。振動が大きいと最大値Db_maxが大きくなるため、(式2)の条件を満たさない場合がある。従って、
Df_avr/Db_max=Rfb (式5)
となる差分値Dに対応する振動を算出すれば、これが検出限界となる。
【0023】
ここで、振動検出部132が検出可能な撮像装置に起因する振動の種類として画像振動とカメラ振動を定義する。カメラ振動は、カメラ(撮像装置)の物理的な振動である。画像振動は画面全体に渡って均一に発生する画素の変位である。画像振動はカメラ振動に、ズーム倍率の影響を加えたものとなる。同じカメラ振動でも、ズーム倍率が高い程、画像振動、即ち、画像上の物体の変動が激しいため、差分値D、即ち、動体検出への影響が大きい。
【0024】
次に、図3を用いて、カメラ振動、画像振動、及び、ズーム倍率の関係を説明する。監視カメラである撮像装置100は、支柱や建物に固定されることが通常であるため、振動は並行成分が主となる。また、被写体までの距離Distが焦点距離fに対して十分大きいと仮定した場合、撮像面に対して垂直方向の変位は無視できる。以上のことから、撮像面に対して水平方向に動く単振動として、振動をモデル化する。
【0025】
図3において、撮像装置100はピンホールカメラでモデル化され、視点P(P1/P2)、焦点距離f、高さ2Lの撮像面から構成される。視点Pから距離Distの場所に高さHの物体があり、その頂点が撮像面上Y1の位置に投影されている。ここで、カメラ振動が生じ、撮像装置100が幅Swだけ上下に振動した場合、物体の頂点Y1はY2に移動する。Y1とY2の関係は以下のように示される。
【0026】
Y1=f*H/Dist (式6)
Y2=f*(H−ΔPc)/Dist (式7)
従って、画像振動は、カメラ振動ΔPc(=P2−P1)に伴う画面上における物体位置の変位ΔYからY2−Y1として表される。
【0027】
ΔY=Y2−Y1=f*ΔPc/Dist (式8)
(式8)により、画像振動ΔYは焦点距離fとカメラ振動ΔPcに比例し、被写体までの距離Distに反比例する。被写体までの距離Distは、撮像装置100の設置位置によって定まり、また、カメラ振動ΔPcは強風や車両の通行によって生じるため、制御できない。唯一、焦点距離fがズーム倍率として制御可能である。
【0028】
そこで、振動が生じた場合に、焦点距離fを短く、即ち、ズームを広角(ワイド)側に制御することによって、画像振動ΔYを減少させて、有効な動体検出結果を得ることを考える。そのためには、動体検出が有効に機能する限界画像振動ΔY_limを、(式5)を利用して事前に算出しておく。そして、画像振動ΔYが限界画像振動ΔY_limを超えた場合に、ズーム制御により焦点距離fを調整して、画像振動ΔYを限界画像振動ΔY_limに収める。
【0029】
画像振動ΔYと差分量Dとの関係は、(式1)により、
D=Σ|I(x+Δx,y+Δy,t)−Ib(x,y)|
、ΔY=(Δx,Δy) (式9)
であることから、当該シーンおいて動体が存在する時と存在しない時、各々で画像があれば、任意の画像振動における差分量データを生成できる。即ち、(式5)のDf_avr、Db_maxを生成可能である。次に、画像振動ΔYは、(式8)から焦点距離fに比例し、焦点距離fはズーム制御量の関数であることから、ズーム制御量と画像振動ΔYの関係を算出することが可能である。
【0030】
図4を用いて、画像振動ΔYとズーム位置の関係を説明する。図4は(式8)を元にズーム位置と画像振動ΔYとの関係をグラフ化したものである。ズーム位置とはズーム制御を行う際のカメラ制御量の一つであり、焦点距離fやズーム倍率と相関関係にある。焦点距離fが長い程、ズーム位置も大きい。ズーム位置はワイド端Z_wからテレ端Z_tまで変化する。図4で横軸をズーム位置(ズーム値)Z、縦軸を画像振動ΔYとすると、ズーム位置に伴う振動量の変化は相関曲線410で表される。
【0031】
事前の計測によって動体検出可能な画像振動ΔYの限界が分かっているものとする。この値を限界振動量ΔY_limと定義すると、ここからズーム制御量の限界位置Z_limを算出することができる。動体検出可能な画像振動(振動レベル)の範囲は0からΔY_lim(431)、同じく動体検出可能なズーム範囲はワイド端Z_wから限界位置Z_lim(432)となる。よって、現在のズーム位置Zが動体検出可能な範囲を超えて、テレ側にある場合、限界位置Z_limまで現在のズーム位置Zをワイド側に戻す(移動する)ことによって、再び動体検出が可能となる。
【0032】
動体検出処理の処理フローの例を図5に示す。これは撮像装置100の動作手順の一部である。動体検出処理としては画面内で動体を検出した場合に、動体検出イベントを発行する。動体検出処理としては背景差分を行うものとする。
【0033】
開始後、ステップS501で、振動検出部132は、振動量を示す振動レベル情報を取得する。これは、カメラ振動ΔPcまたは画像振動ΔYである。カメラ振動ΔPcを計測する場合は、これを画像振動ΔYに変換する。次に、ステップS502で、動体検出処理部135は、処理対象の画像から動体検出が可能であるか否かを判定する。これは、図4の相関曲線410から、
Z≦Z_lim (式10)
であるか否かを判定する。
【0034】
動体検出が可能である場合(ステップS502でYES)、ステップS503に進み、動体検出処理部135は、動体検出処理を行う。次に、ステップS504で、動体検出処理部135は、動体の有無を判定する。所定の条件に合致する動体を検出する場合、つまり、動体ありと判定する場合(ステップS504でYES)、ステップS505に進み、イベント配信制御部136は、クライアント端末に対して動体検出イベントを通知する。
【0035】
一方、ステップS504において、動体を検出できない場合、つまり、動体なしと判定する場合(ステップS504でNO)、ステップS506に進み、動体検出処理部135は、背景を更新する。
【0036】
一方、ステップS502において、現在のズーム位置での動体検出が不可能である場合(ステップS502でNO)、ステップS510に進む。そして、ステップS510で、動体検出処理部135は、ズーム位置をワイド側に制御(移動)する際の動体検出可能な位置(ズーム制御目標位置)を算出する。これは、図4において、例えば、Z_lim−Z_offsetの値をズーム制御目標位置に設定する。
【0037】
尚、原理的には、限界位置Z_limよりもテレ側にある現在のズーム位置を、限界位置Z_limまでに戻せ(移動すれ)ば、つまり、ズーム制御目標位置を限界位置Z_limとすれば、動体検出が可能である。但し、動体検出の確実性を高めるためには、動体検出可能なズーム範囲の限界位置Z_limよりも更に内側にオフセットさせた任意の位置にズーム制御目標位置を設定することが好ましい。そのため、図4の例で設定するズーム制御目標位置は、限界位置Z_limをオフセットさせるためのオフセット値Z_offsetを用いる。
【0038】
次に、ステップS511で、動体検出処理部135は、現在のズーム位置からズーム制御目標位置へズーム制御させるための距離がズーム可動範囲(つまり、ズーム機構の物理的及び機能的な動作範囲)内であるか否かを判定する。ズーム可動範囲内であると判定する場合(ステップS511でYES)、ステップS512に進み、撮像系制御部137は、設定したズーム制御目標位置までズーム制御を行い、ズーム変更動作終了後、ステップS503以下を実行する。
【0039】
一方、ステップS511において、ズーム可動範囲内でないと判定する場合(ステップS511でNO)、ステップS513に進む。そして、ステップS513で、イベント配信制御部136は、現在動体検出処理が無効となっていることを示す動体検出処理無効イベントを、クライアント端末に出力する。
【0040】
以上説明しように、実施形態1によれば、振動によって動体検出処理に支障がある場合に、ズームをワイド側に制御することによって、動体検出処理を行うことができる。また、制御不可能な場合には、動体検出処理が無効であることを通知する。
<実施形態2>
実施形態2では、図6において撮像系110に防振機構111を有する場合、振動に伴う動体検出処理への影響を低減する構成について説明する。その結果、図4に示す動体検出可能なズーム範囲を拡大できる。防振機構には撮像素子を振動に合わせてシフトする電子式防振機構や、バリアングルレンズを用いる光学式防振機構があるが、本発明は防振機構の種別に依存するものではない。
【0041】
本発明に関わる振動量とズーム倍率の関係を図7に示す。図7は図4に対応するものであり、防振機構が有効である場合に、同じ振動レベルであっても動体検出可能なズーム範囲が広がる。即ち、防振機構無しの場合の第1の曲線310に対して、防振機構ありの場合は第2の曲線610に変化する。第1の曲線310(F1(z))と第2の曲線610(f2(z))の関係は、防振により振動量が一定値減ることから
F2(z)=max(a*F1(z)−c,0) (式11)
と表現することが可能である。こで、a及びcは、任意の定数である。この場合、防振前の画像振動限界ΔY_limに対する、ズーム制御量の限界位置はZ_limからZ_lim2に変更できる。
【0042】
尚、実施形態2に関わる動作手順は、実施形態1と基本的に同一である。実施形態1の図5において、ステップS510で、ズーム制御目標位置を算出する際に、防振機構をONにすることで、ズーム制御量の限界位置を変更できる。換言すれば、動体検出可能なズーム範囲を、第1のズーム範囲(Z_W〜Z_lim)から第2のズーム範囲(Z_W〜Z_lim2)に変更できる。また、ステップS512のズーム制御において、防振機構も同時に有効化する。
【0043】
以上説明したように、実施形態2によれば、実施形態1の効果に加えて、防振機構を利用することで、ズーム制御量の限界位置をより大きくすることができる。
<実施形態3>
ズーム倍率変更によって、検出対象物体の最小サイズを維持できない場合がある。換言すれば、ズーム倍率変更によって検出対象物体の最小サイズが検出限界を下回る場合である。これは、ズーム位置をワイド側に移動することによって、視野角が広がり、同一物理サイズの物体が画面内で小さくなるためである。そこで、実施形態3では、動体検出における検出可能な最小物体サイズを、ズーム制御量に応じて自動的に変更する(引き上げる)ことで、検出対象物体の最小サイズを維持する。尚、実施形態3は、実施形態1の構成にも、実施形態2の構成のいずれにも適用することができる。
【0044】
この場合、ユーザーが当初予定していた検出とは検出感度が異なるため、設定画面や設定ツールにおいて事前にユーザーの許可を得る。これは、設定制御部139に対する設定を行うための設定端末の設定画面に、「振動に伴う自動ズーム倍率変動を許可する」等の設定項目を設ければよい。更に、実際にズームを自動的に変更する場合には、接続中のクライアント端末に対して、振動に伴いズーム倍率を変更したことを通知する。これは、例えば、録画装置に対してイベントを発行することに相当する。
【0045】
また、ズーム制御によって検出対象物体の最小サイズを保証できない場合、そのズーム制御を中止するようにしても良いし、また、その旨を通知するイベントを出力しても良い。
【0046】
以上説明したように、実施形態3によれば、実施形態1や実施形態2の効果に加えて、動体検出における検出可能な最小物体サイズを、ズーム制御量に応じて自動的に引き上げる。
<実施形態4>
実施形態4としては、振動によって動体検出を行うことができない場合、ズーム制御を行わずに動体検出結果を無効とする。この場合でもユーザーに対して、動体検出結果無効時にイベントを発行する等の処理を行う。
【0047】
尚、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置による撮像画像から動体を検出する動体検出装置であって、
前記撮像装置による撮像画像を取得する取得手段と、
前記撮像装置のズーム制御を行う制御手段と、
前記撮像画像から動体を検出するための動体検出処理を実行する動体検出処理手段と、
前記撮像画像に基づいて、前記撮像装置に起因する振動を検出する振動検出手段とを有し、
前記振動検出手段が振動を検出した場合、前記制御手段は、前記動体検出処理手段によって動体検出可能な位置までワイド側に現在のズーム位置を移動する
ことを特徴とする動体検出装置。
【請求項2】
前記振動検出手段が検出する振動の振動レベルに対する前記動体検出処理手段によって動体検出可能な振動レベルの範囲に基づいて算出される、前記動体検出処理手段によって動体検出可能なズーム範囲を超えてテレ側に前記現在のズーム位置がある場合、前記制御手段は、前記現在のズーム位置を前記動体検出可能なズーム範囲のテレ側の限界位置までワイド側に少なくとも移動する
ことを特徴とする請求項1に記載の動体検出装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記動体検出可能な位置を設定する設定手段と、
前記現在のズーム位置から前記設定手段で設定した動体検出可能な位置へズーム制御させるための距離がズーム可動範囲内であるか否かを判定する判定手段とを有し、
前記判定手段の判定の結果、前記ズーム制御させるための距離がズーム可動範囲内であると判定する場合、前記制御手段は、前記動体検出可能な位置までワイド側に現在のズーム位置を移動する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の動体検出装置。
【請求項4】
前記判定手段の判定の結果、前記ズーム制御させるための距離がズーム可動範囲内でないと判定する場合、前記動体検出処理手段による動体検出処理が無効であることを示すイベントを出力する出力手段を更に有する
ことを特徴とする請求項3に記載の動体検出装置。
【請求項5】
前記撮像装置に起因する振動を防振する防振手段を更に有し、
前記制御手段は、
前記防振手段による防振前の前記振動検出手段が検出する振動の振動レベルの内の動体検出可能な振動レベルの範囲と前記動体検出処理手段によって動体検出可能な第1のズーム範囲との関係に基づいて、前記防振手段による防振機構が有効である場合の前記動体検出可能な第2のズーム範囲を算出する算出手段とを有し、
前記防振手段による防振機構が有効になっている場合、前記制御手段は、前記動体検出可能な第2のズーム範囲における前記動体検出処理手段によって動体検出可能な位置までワイド側に前記現在のズーム位置を移動する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の動体検出装置。
【請求項6】
前記動体検出処理手段による検出対象物体の最小サイズを設定する設定手段と、
前記制御手段によるズーム制御によって、前記設定手段で設定した最小サイズが検出限界を下回る場合、前記制御手段によるズーム制御に応じて前記最小サイズを変更する変更手段と
を更に有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の動体検出装置。
【請求項7】
前記変更手段によって変更する前記最小サイズを保証できない場合、前記制御手段によるズーム制御を中止する中止手段と、
前記制御手段による前記ズーム制御を中止することを示すイベントを通知する通知手段と
を更に有することを特徴とする請求項6に記載の動体検出装置。
【請求項8】
撮像装置による撮像画像から動体を検出する動体検出装置の制御方法であって、
取得手段が、前記撮像装置による撮像画像を取得する取得工程と、
制御手段が、前記撮像装置のズーム制御を行う制御工程と、
動体検出処理手段が、前記撮像画像から動体を検出するための動体検出処理を実行する動体検出処理工程と、
振動検出手段が、前記撮像画像に基づいて、前記撮像装置に起因する振動を検出する振動検出工程とを有し、
前記振動検出工程が振動を検出した場合、前記制御工程は、前記動体検出処理工程によって動体検出可能な位置までワイド側に現在のズーム位置を移動する
ことを特徴とする動体検出装置の制御方法。
【請求項9】
撮像装置による撮像画像から動体を検出する動体検出装置の制御をコンピュータに機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記撮像装置による撮像画像を取得する取得手段と、
前記撮像装置のズーム制御を行う制御手段と、
前記撮像画像から動体を検出するための動体検出処理を実行する動体検出処理手段と、
前記撮像画像に基づいて、前記撮像装置に起因する振動を検出する振動検出手段として機能させ、
前記振動検出手段が振動を検出した場合、前記制御手段は、前記動体検出処理手段によって動体検出可能な位置までワイド側に現在のズーム位置を移動する
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−85201(P2013−85201A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225299(P2011−225299)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】