説明

動力伝達体の取り付け構造およびトナー搬送装置

【課題】回転軸を破損させることなく、回転軸に対してギアを確実に抜け止めする。
【解決手段】回転軸23Aのギア装着部23cは、断面D形状のギア24の連結部24e内に嵌合された断面D形状の断面を有する軸部23eと、軸方向に沿った可撓性を有する1本の撓み部23fと、撓み部23fの先端部に設けられた抜け止め部23fとを有し、抜け止め部23fは、軸部23eに対して外側に突出した状態になっており、軸部23eは、抜け止め部23fが中空軸24aの第2孔部24yを通過した後に連結部24eに嵌合されるようになっている。撓み部23fは、抜け止め部が中空軸24ak第2孔部24yを通過するまでは撓んだ状態を維持し、軸部23eが連結部24eの第1孔部24xに嵌合されると撓んだ状態を解消してギア24に係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸に動力を伝達するためのギア、プーリ等の動力伝達体の回転体に対する取り付け構造、および、そのような取り付け構造を有するトナー搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置では、感光体ドラムの表面上に形成されたトナー画像を、中間転写ベルト、記録シート等に転写した後に、感光体ドラムの表面に残留するトナーをクリーニング装置によって回収する構成とされることがある。
このようなクリーニング装置では、感光体ドラムの表面に残留するトナーを掻き落すブレードがハウジング内に設けられており、感光体ドラムの表面から掻き落とされたトナーが、トナー搬送スクリューによってハウジング内を所定方向に搬送されて、ハウジング外に排出されることによって回収される。
【0003】
トナー搬送スクリューは、回転軸の周囲に、螺旋状の搬送羽根が設けられた構成になっており、回転軸が回転されることによって、搬送羽根も一体となって回転する。これにより、トナーが搬送羽根によって搬送される。
トナー搬送スクリューにおける回転軸の一方の端部は、ハウジングの側板に設けられた貫通孔を貫通して、ハウジングの外部に突出しており、突出した回転軸の端部に、軸孔を有するギアが装着されている。ギアは、回転軸と一体となって回転することができるように、回転軸の一方の端部に取り付けられた状態で、ハウジングの側板に設けられた貫通孔内において回転可能に支持されている。ギアには、モーター等の回転力が伝達されるようになっており、ギアが回転することによって回転軸が回転する。
【0004】
また、回転軸には、ハウジングの内部から貫通孔をシールするシール部材が設けられている。シール部材は、弾性を有するスポンジ等によって構成されており、回転軸に嵌合された状態で、回転軸に設けられたフランジ部によって、貫通孔の周囲の側板部分に圧接される。
この場合、シール部材の反力によって、ハウジングの外側では、回転軸に対して抜け止めされたギアがハウジングの側板に圧接されている。従って、ハウジングの側板にギアを押し付ける回転軸の抜け止め部分に大きな力が加わるおそれがある。このために、回転軸の抜け止め部分に大きな力が加わっても、抜け止めが容易に解消されない構成とする必要がある。
【0005】
回転軸に装着されたギアを抜け止めするために、Eリングを使用することが知られている。しかしながら、Eリングは、回転軸の端部に形成された溝内に取り付けられるために、回転軸の端部に回転軸の周方向に沿った溝を全周にわたって形成する必要がある。トナー搬送スクリューは、通常、3〜5mm程度の小径の回転軸と搬送羽根とが合成樹脂による一体成形によって形成されており、3〜5mm程度の小径になった回転軸に周方向の全周にわたって溝を形成すると、回転軸の強度が著しく低下する。
【0006】
このために、回転軸に取り付けられたギアにより、側板から離れる方向に軸方向に沿った大きな力がEリングに加わると、回転軸が容易に破損し、回転軸に対してギアを抜け止めすることができなくなるおそれがある。
ギアを抜け止めするために、Eリングとは別に、先端部の外径が縮小可能になったスナップフィット部材を用いる方法も知られている。
【0007】
特許文献1には、揺動ギアを抜け止めされた状態で回転可能に支持する合成樹脂製のスナップフィット部材が開示されている。特許文献1に開示されたスナップフィット部材は、円錐形状の先端部を有している。先端部は、揺動ギアを指示する軸部の外径よりも大きな外径を有している。円錐形状の先端部の軸心部には穴が形成されており、外部からの圧力によって穴が収縮されることにより先端部の外径は縮小される。
【0008】
スナップフィット部材の先端部は、外部からの圧力によって外径を縮小すると、揺動ギアの軸心部に設けられたギア穴を通過することができる。外部からの圧力を解除すると先端部の外径はギア穴よりも大きくなり、先端部は、揺動ギアにおけるギア穴の周囲の部分に係合する。これにより、ギアはスナップフィット部材から抜け止めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−135522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に開示されたスナップフィット部材では、揺動ギアがスナップフィット部材から抜け出すことを確実に防止するためには、揺動ギアに係合する先端部の面積が大きくなるように、先端部の外径を大きくすればよい。しかし、この場合には、先端部が揺動ギアのギア穴を通過するためには、先端部の外径が大きく収縮できるように、軸心部に設けられた穴の径を大きくする必要がある。
【0011】
しかし、軸心部の穴の径を大きくすると、先端部全体の強度が低下するために、先端部の外径を小さく収縮させることには限界がある。このように、特許文献1に開示されたスナップフィット部材では、フィット部材の先端部とギアとの係合部分の面積を大きくとることができず、前述したクリーニング部材に設けられたトナー搬送スクリューの回転軸のように、回転軸の軸方向に沿って大きな力が加わるギアを、確実に抜け止めできるように構成することができないおそれがある。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転軸に装着された動力伝達体に軸方向に沿って回転軸から抜ける方向に力が作用した場合にも、回転軸を破損させることなく、動力伝達体を確実に抜け止めすることができる動力伝達体の取り付け構造を提供することにある。本発明の他の目的は、そのような取り付け構造を有するトナー搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る動力伝達体の取り付け構造は、回転軸の一方の端部に、断面が非円形状になった第1孔部と、当該第1孔部よりも前記回転軸の一方の端部における先端側に位置する第2孔部を有する軸孔が設けられた動力伝達体を取り付けた動力伝達体の取り付け構造であって、前記回転軸は、前記動力伝達体と一体回転するように前記軸孔の第1孔部内に嵌合された断面非円形状の軸部と、前記軸部と前記回転軸の先端部との間に設けられた、可撓性を有する1本の撓み部と、前記動力伝達体の軸孔を通過することが可能な断面形状であって、前記先端部に、前記軸部よりも軸方向とは直交する方向の外側に突出した状態で設けられて、前記軸孔の端部の周囲に係合した抜け止め部と、を備え、前記軸部は、前記回転軸への前記動力伝達体の取り付け時に、前記抜け止め部が前記第2孔部を通過すると、前記第1孔部と嵌合状態になり、前記撓み部は、前記抜け止め部が前記第2孔部を通っている間は、当該第2孔部の内面に当接して撓んだ状態を維持し、前記抜け止め部が前記軸孔を通過すると撓んだ状態を解消して前記抜け止め部が係合状態になることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るトナー搬送装置は、トナーが収容されるハウジングと、当該ハウジング内のトナーを搬送させる搬送羽根が回転軸に設けられたトナー搬送スクリューと、前記回転軸に動力を伝達するための動力伝達体と、前記動力伝達体の取り付け構造と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の動力伝達体の取り付け構造では、抜け止め部と軸部との間に撓み部が1本だけしか設けられていないために、撓み部の先端に設けられた抜け止め部が、動力伝達体の軸孔を通過する間、撓み部を大きく撓んだ状態とすることができる。これにより、動力伝達体の軸孔を通過した抜け止め部は、軸部に対して外側に大きく突出させることができ、抜け止め部と動力伝達体との係合部分の面積を大きくすることができる。従って、抜け止め部により動力伝達体を確実に回転軸から抜け止めすることができる。
【0016】
前記動力伝達体の取り付け構造において、好ましくは、前記撓み部と前記軸部との間には、当該軸部を前記第1孔部内に案内する案内面が設けられていることを特徴とする。
前記動力伝達体の取り付け構造において、好ましくは、前記軸孔の第1孔部は、前記回転軸と同軸状態の軸心を中心とした内周面と、前記軸心を挟んで前記内周面に対向する平坦な対向面とによって囲まれており、前記軸部は、前記内周面に対向する第1外周面と、前記対向面に対向する平坦な第1平坦面と、を有することを特徴とする。
【0017】
前記動力伝達体の取り付け構造において、好ましくは、前記抜け止め部は、前記軸部の断面形状に一致した断面形状を有することを特徴とする。
前記動力伝達体の取り付け構造において、好ましくは、前記撓み部は、前記軸部の前記第1平坦面よりも前記第1外周面側に近接した位置において前記第1平坦面と平行に配置された第2平坦面と、前記第1外周面に連続する第2外周面とを有し、前記案内面は、前記撓み部の第2平坦面と、前記軸部の第1平坦面との間に、前記第2平坦面から軸方向に沿って前記第1平坦面に接近するに従って、順次、半径方向に沿って前記第2外周面から離れるように傾斜していることを特徴とする。
【0018】
前記動力伝達体の取り付け構造において、好ましくは、前記軸部には、前記回転軸の軸心の両側に、前記第1外周面および前記第1平坦面に連続する平坦な第1側面部が設けられており、前記撓み部には、前記第1側面部のそれぞれと同一面上に位置する第2側面部が設けられていることを特徴とする。
前記動力伝達体の取り付け構造において、好ましくは、前記抜け止め部には、前記撓み部の第2平坦面と同一面上に位置する第3平坦面を有し、前記軸部から前記抜け止め部の先端までの軸方向に沿った長さが、前記軸部の軸方向に沿った長さよりも長くなっていることを特徴とする。
【0019】
前記動力伝達体の取り付け構造において、好ましくは、前記抜け止め部における前記撓み部とは反対側の端部に、前記撓み部から軸方向に沿って離れるに従って、順次、半径方向に沿って前記第3平坦面に接近するように傾斜したガイド面が設けられていることを特徴とする。
前記動力伝達体の取り付け構造において、好ましくは、前記軸孔の第2孔部は、前記第1孔部よりも半径方向の外側に広がっていることを特徴とする。
【0020】
前記動力伝達体の取り付け構造において、好ましくは、前記軸孔の第2孔部には、前記第1孔部の内周面と同一半径の内周面が全周にわたって設けられていることを特徴とする。
前記動力伝達体の取り付け構造において、好ましくは、前記回転軸には、前記軸孔に対して当該回転軸が軸方向に沿って移動することを規制するフランジ部が、前記軸部を挟んで前記撓み部とは反対側に設けられていることを特徴とする。
【0021】
また、前記トナー搬送装置において、好ましくは、前記回転軸が、前記動力伝達体を支持するために前記ハウジングに設けられた貫通孔内を通過しており、前記回転軸には、前記貫通孔に対して当該回転軸が軸方向に沿って移動することを規制するフランジ部が前記抜け止め部とは前記貫通孔を挟んで設けられていることを特徴とする。
前記トナー搬送装置において、好ましくは、前記フランジ部と前記ハウジングとの間には、前記貫通孔をシールするシール部材が前記回転軸に嵌合されていることを特徴とする。
【0022】
前記トナー搬送装置において、好ましくは、前記貫通孔内において前記動力伝達体が支持された部分と、前記軸部とが、軸方向とは直交する方向に相互に重なる位置関係で配置されていることを特徴とする。
前記トナー搬送装置において、好ましくは、前記抜け止め部と前記動力伝達体との係合状態が外れた場合に、前記ハウジングの貫通孔に対する前記動力伝達体の軸方向への移動可能な範囲が予め設定されており、前記軸部と前記第1孔部との嵌合部分における軸方向長さが、前記動力伝達体の移動可能な範囲よりも長くなっていることを特徴とする。
【0023】
前記トナー搬送装置において、好ましくは、前記抜け止め部が前記動力伝達体との係合状態が外れた場合に前記ハウジングの貫通孔に対する前記回転軸の軸方向への移動可能な範囲が予め設定されており、前記軸部と前記第1孔部との嵌合部分の軸方向長さが、前記回転軸の移動可能な範囲よりも長くなっていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る動力伝達体の取り付け構造を有するトナー搬送スクリューが設けられた画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンターの構成を説明するための模式図である。
【図2】図1のタンデム型カラープリンターに設けられたクリーニング装置の横断面図である。
【図3】図2におけるA−A線に沿った断面図である。
【図4】トナー搬送スクリューにおける正面側部分の構成を説明するために、その正面側部分を模式的に示した断面図である。
【図5】クリーニング装置から取り外されたトナー搬送スクリューにおける正面側部分を、ギアを取り外した状態で示す側面図である。
【図6】図5におけるB−B線に沿った断面図である。
【図7】図5におけるC−C線に沿った断面図である。
【図8】図5におけるD−D線に沿った断面図である。
【図9】図5におけるE−E線に沿った断面図である。
【図10】ギア装着部の軸部にギアの中空軸が嵌合された状態の横断面図である。
【図11】(a)〜(d)のそれぞれは、トナー搬送スクリューの回転軸に対してギアを取り付ける場合の動作説明のための断面模式図である。
【図12】図11(a)におけるF−F線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態に係る動力伝達体の取り付け構造を有するトナー搬送スクリューが設けられた画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンターについて説明する。
<画像形成装置の構成>
図1は、タンデム型カラープリンター(以下、単に「プリンター」という)の構成を説明するためのプリンターを正面側から見た場合の模式図である。このプリンターは、プリント(印刷)ジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいて、周知の電子写真方式により、フルカラーあるいはモノクロの画像を記録用紙、OHPシート等の記録シートに形成する。
【0026】
プリンターは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーによるトナー画像を記録シート上に形成する画像形成部Aと、画像形成部Aの下方に配置された給紙部Bとを備えている。給紙部Bは、記録シートSが内部に収容された給紙カセット51を有し、給紙カセット51内の記録シートSが画像形成部Aに供給される。
【0027】
画像形成部Aは、プリンターのほぼ中央部において水平方向に沿って配置された中間転写ベルト41を備えている。中間転写ベルト41は、一対のベルト周回ローラー42および43に巻き掛けられており、図示しないモーターによって、矢印Xで示す方向に周回移動するようになっている。
中間転写ベルト41の下方には、それぞれが画像形成部Aを有する装置本体に対して着脱可能になったY用、M用、C用、K用のプロセスユニット10Y、10M、10C、10Kが設けられている。各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kは、中間転写ベルト41における下側部分の周回移動方向に沿ってその順番で配置されている。
【0028】
各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーによって中間転写ベルト41上にトナー画像を形成する。
各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kは、使用されるトナーの色が異なること以外は、同様の構成になっているために、以下においては、主として、プロセスユニット10Yの構成について説明する。
【0029】
プロセスユニット10Yは、中間転写ベルト41の下側の表面に対向して回転可能に配置された感光体ドラム11をそれぞれ有している。感光体ドラム11の表面には、全周にわたって感光層が設けられており、それぞれが、矢印Eで示す方向に回転するようになっている。
感光体ドラム11は、軸方向が、中間転写ベルト41の幅方向(プリンターにおける正面側から背面側)に沿って配置されており、プリンターにおける正面側の端部から背面側の端部にわたって直線状に延びている。
【0030】
なお、以下においては、プリンターにおける正面側および背面側を、それぞれ、単に、正面側および背面側と称する。
中間転写ベルト41に対向する感光体ドラム11の上部に対して、感光体ドラム11の回転方向下流側には、感光体ドラム11の表面をクリーニングするクリーニング装置20が設けられている。クリーニング装置20の詳細な構成については後述する。
【0031】
クリーニング装置20に対して感光体ドラム11の回転方向下流側には、感光体ドラム11の感光層を所定の帯電電位に一様に帯電するための帯電ローラー12が設けられている。帯電ローラー12は、電圧が印加されることによって感光体ドラム11の感光層を帯電させる。なお、クリーニング装置20と帯電ローラー12とは一体的に構成されている。
【0032】
全てのプロセスユニット10Y、10M、10C、10Kの下方には、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれの感光体ドラム11の表面おける感光層にレーザ光を照射して静電潜像を形成する露光装置17が設けられている。露光装置17は、画像形成部Aに取り付けられている。
帯電装置12にて帯電された感光体ドラム11の表面には、露光装置17からレーザ光が照射されることによって静電潜像が形成される。
【0033】
感光体ドラム11の表面おけるレーザ光の照射位置に対して感光体ドラム11の回転方向の下流側には、現像装置18が配置されている。現像装置18は、感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像をトナーによって現像する。
現像装置18に対して感光体ドラム11の回転方向の下流側(感光体ドラム11の上方)には、中間転写ベルト41を挟んで感光体ドラム11に対向する1次転写ローラー15が設けられている。現像装置18にて現像された感光体ドラム11上のトナー画像は、1次転写ローラー15によって中間転写ベルト41の外周面(下側の表面)上に転写される。なお、1次転写ローラー15は、画像形成部Aに取り付けられている。
【0034】
他のプロセスユニット10M、10C、10Kにおける感光体ドラム11の上方にも、それぞれの感光体ドラム11上に形成された画像を中間転写ベルト41に転写する1次転写ローラー15が、中間転写ベルト41の下側の周回移動域を挟んで設けられており、各1次転写ローラー15のそれぞれが画像形成部Aに取り付けられている。それぞれの感光体ドラム11上に形成されたトナー画像は、各1次転写ローラー15によって、中間転写ベルト41上の同一領域上にそれぞれ転写される。
【0035】
なお、トナー画像が中間転写ベルト41上に転写された後の感光体ドラム11の表面に残留するトナー等は、前述したクリーニング装置20によってクリーニングされる。
トナー画像が転写された中間転写ベルト41は、トナー画像を、K色のトナー用のプロセスユニット10Kに近接して配置された一方のベルト周回ローラー42にまで搬送する。このベルト周回ローラー42には、中間転写ベルト41を介して2次転写ローラー54が対向して配置されている。2次転写ローラー54は中間転写ベルト41に接しており、両者の接触部分に、トナー画像を記録シートに転写する転写ニップが形成されている。
【0036】
転写ニップには、下側の給紙部Bに設けられた給紙カセット51内の記録シートSが、給紙ローラー52によって搬送される。記録シートSは、タイミングローラ対53によって、中間転写ベルト41上に形成されたトナー画像が転写ニップに搬送されるタイミングに同期して搬送される。中間転写ベルト41上に形成されたトナー画像は、転写ニップを通過する記録シートSに圧接されると、2次転写ローラー54によって形成される電界の静電力によって記録シートS上に転写される。
【0037】
なお、中間転写ベルト41上のトナー画像を形成するトナーは、2次転写ローラー54の静電力によっては完全に記録シート上に転写されず、一部が中間転写ベルト41上に残留する場合がある。この場合の中間転写ベルト41上の残留トナーは、プロセスユニット10Yに近接して配置されたベルト周回ローラー43にまで搬送される。このベルト周回ローラー43には、中間転写ベルト41を介して残留トナー除去装置57が対向して配置されており、この残留トナー除去装置57によって、中間転写ベルト41上の残留トナーが電気的および機械的に除去される。除去されたトナーは、廃トナーとして廃トナーボトル58に貯留される。
【0038】
転写ニップを通過した記録シートSは、画像形成部Aの上部に設けられた定着部60へ搬送される。定着部60には、相互に圧接された加熱ローラー61および加圧ローラー62を備えており、加熱ローラー61および加圧ローラー62の間には、両者が相互に圧接されていることによって定着ニップが形成されている。加熱ローラー61の軸心部にはヒータランプ63が配置されており、ヒータランプ63によって加熱ローラー61が加熱される。
【0039】
定着部60に搬送される記録シートSのトナー画像は、記録シートSが定着ニップを通過する間に加熱および加圧されて記録シートS上に定着される。定着部60においてトナー画像が定着された記録シートSは、トナー画像が形成された面を下方に向けた状態で、プリンターの上部に設けられた排紙トレイ56上に排出される。
<クリーニング装置>
図2は、クリーニング装置20の横断面図である。クリーニング装置20は、感光体ドラム11の表面上に残留するトナーを掻き落すクリーニングブレード22と、クリーニングブレード22にて掻き落とされたトナーを搬送するトナー搬送スクリュー23とを有している。
【0040】
クリーニングブレード22は、感光体ドラム11の軸方向に沿って延びる帯板状をしており、クリーニングブレード22の長手方向に沿った一方の側縁部が、他方の側縁部に対して上側に位置した状態で、感光体ドラム11の外周面の全域にわたって接した状態になっている。従って、クリーニングブレード22は、回転する感光体ドラム11の表面に摺接し、感光体ドラム11の表面に残留するトナーを掻き落す。
【0041】
トナー搬送スクリュー23は、ハウジング21内において、クリーニングブレード22に対して感光体ドラム11とは反対側に、感光体ドラム11の軸方向に沿って配置されている。トナー搬送スクリュー23は、ハウジング21に対して回転可能に設けられており、所定方向に回転されることにより、クリーニングブレード22によって掻き落とされたトナーを、感光体ドラム11の軸方向に沿って、プリンターの正面側から背面側へ搬送する。
【0042】
図3は、図2におけるA−A線に沿った断面図、図4は、トナー搬送スクリュー23における正面側部分の構成を説明するためにその正面側部分を拡大して模式的に示した断面図である。
図3および図4に示すように、トナー搬送スクリュー23は、感光体ドラム11の軸方向に沿って配置された回転軸23Aと、ハウジング21内において、回転軸23Aにおける正面側の端部を除いた全域にわたって設けられた搬送羽根23Bとを有している。
【0043】
回転軸23Aは、搬送羽根23Bが設けられていない正面側の端部を除いて、一定の直径(3mm程度)の断面円形状になった軸本体部23aを有しており、軸本体部23aの軸方向の全域にわたって、搬送羽根23Bが設けられている。搬送羽根23Bは、軸本体部23aにおける軸方向の全域にわたって、一定のピッチおよび一定の外径の螺旋状になっている。
【0044】
回転軸23Aには、搬送羽根23Bが設けられた軸本体部23aの正面側に隣接してフランジ部23bが設けられており、回転軸23Aにおけるフランジ部23bよりも正面側の部分は、回転軸23Aに回転力を伝達するためのギア24が装着されるギア装着部23cになっている。回転軸23Aおよび搬送羽根23Bは、合成樹脂によって一体的に成形されている。
【0045】
図4に示すように、ギア装着部23cは、ハウジング21の正面側に位置する側板(指示部材)21cに、ギアを支持するために水平状態で設けられた貫通孔21d内を貫通した状態で配置されている。ギア装着部23cに装着されたギア24は、ギア装着部23cに嵌合される中空軸24aと、中空軸24aの正面側端部に設けられた歯車部24bとを有している。中空軸24aおよび歯車部24bは合成樹脂によって一体的に成形されている。
【0046】
ギア24の中空軸24aは、ギア装着部23cに一体となって回転可能に取り付けられた状態で、ハウジング21の側板21cに設けられた貫通孔21d内にハウジング21の外側から挿入されている。ギア24の中空軸24aは、貫通孔21d内に回転可能に支持されており、従って、貫通孔21dが設けられた側面21cが、ギア24の中空軸24aの軸受けになっている。
【0047】
歯車部24bは、中空軸24aよりも大径の円筒形状をしており、中空軸24aの一方の端部における外周部分に、歯車部24bが同軸状態で設けられている。中空軸24aには、軸心部を貫通する軸孔24kが設けられており、この軸孔24kの正面側の端面が、歯車部24b内に位置している。歯車部24bの外周部分には、周方向に所定のピッチで複数の歯部24cが設けられている。歯車部24bは、ハウジング21における正面側の側板21cの外側に配置されている。
【0048】
ギア装着部23cの正面側の端部は、歯車部24bの内部に位置する軸孔24kの正面側の端部の周囲に係合している。これにより、ギア24は、貫通孔21d内に回転可能に支持された状態で、ギア装着部23cから抜け止めされている。また、このような状態では、ギア装着部23cと一体となって回転するギア24を、ハウジング21における側板21cの貫通孔21dに対して回転可能な状態で抜け止めするようになっている。ギア24およびギア装着部23cの詳細な構成については後述する。
【0049】
ギア24の歯車部24bに回転力が伝達されると、ギア24の回転は、トナー搬送スクリュー23の回転軸23Aに伝達される。これにより、回転軸23Aが回転されて、搬送羽根23Bが回転軸23Aと一体となって回転する。その結果、クリーニングブレード22によって感光体ドラム11の表面から掻き落とされたトナーが、搬送羽根23Bによって、ハウジング21内を正面側から背面へ搬送される。
【0050】
なお、図3に示すように、歯車部24bは、ハウジング21における正面側の側板21cに取り付けられたカバー26によって覆われている。カバー26は、ハウジング21における側板21cの貫通孔21d内に支持されたギア24が、ギア装着部23cとの係合を解除した場合に、貫通孔21dから完全に抜け出ないように、ギア24と所定の間隔をあけた状態で配置されている。
【0051】
従って、ギア24は、ギア装着部23cとの係合が解除された場合にも、カバー26によって、ハウジング21の側板21cに設けられた貫通孔21dに対する正面側への移動範囲が制限されており、貫通孔21dから完全に抜け出ることがなく、ギア24の中空軸24aは、貫通孔21dに対して回転可能に支持された状態を維持する。なお、この場合には、ギア24に対する回転力の伝達が可能であり、従って、このような状態でも、ギア24は、回転力が伝達されることによって回転する。
【0052】
図3に示すように、ハウジング21における背面側部分には、水平状態で背面側に突出する円筒形状のトナー排出部21aが設けられている。トナー排出部21aの背面側(トナー搬送方向下流側)の端面21bは閉鎖された状態になっている。
トナー排出部21a内には、トナー搬送スクリュー23の背面側の端部における回転軸23Aおよび搬送羽根23Bが収容されている。回転軸23Aにおける背面側の端部は、ハウジング21の正面側の側板21cにトナー搬送スクリュー23が取り付けられた状態では、トナー排出部21aの背面側の端面21bとは適当な間隔が形成された状態になっている。
【0053】
トナー排出部21aにおける背面側の端部の下側の周面部には、トナー排出部21a内に搬送されたトナーを下方に排出するトナー排出口21eが設けられている。トナー排出口21eには、トナー排出部21a内に収容された回転軸23Aおよび搬送羽根23Bの背面側の端部が対向している。
トナー排出口21eの下方には、トナー排出口21eから排出されるトナーを収容するトナー容器(図示せず)が設けられている。トナー排出部21a内に収容されたトナー搬送スクリュー23における搬送羽根23Bの背面側端部は、トナー排出口21eに対向しており、搬送羽根23Bによって搬送されるトナーは、トナー排出口21eを通って下方に排出され、トナー容器内に回収される。
【0054】
なお、トナー搬送スクリュー23の回転軸23Aにおける背面側の端部は、正面側のギア装着部23cがハウジング21の正面側の側板21cに取り付けられた状態では、トナー排出部21aの背面側の端面21bと所定の間隔が形成されているために、ギア装着部23cとギア24との係合が解除された場合には、回転軸23Aは、トナー排出部21aの背面側の端面21bとの間隔に相当する範囲にわたって軸方向に沿って移動することができる。
【0055】
図5は、クリーニング装置20から取り外されたトナー搬送スクリュー23の回転軸23Aにおけるギア装着部23cおよびその周辺部を、ギア24を取り外した状態で示す側面図である。また、図6、図7、図8、図9のそれぞれは、図5のB−B線、C−C線、D−D線、E−E線に沿った断面図である。
フランジ部23bは、図5に示すように、軸本体部23aよりも大きい直径を有する円板形状になっており、軸本体部23aとは同軸状態になっている。
【0056】
図5に示すように、回転軸23Aにおけるフランジ部23bよりも正面側に設けられたギア装着部23cには、フランジ部23bの正面側に隣接して配置された基端部23dと、基端部23dの正面側に隣接して配置された軸部23eと、軸部23eのさらに正面側に隣接して配置された可撓性を有する1つの撓み部23fと、撓み部23fのさらに正面側の先端部に設けられた抜け止め部23gとが設けられている。
【0057】
図4に示すように、ギア装着部23cにおける基端部23dおよび軸部23eは、ハウジング21の側板21cに設けられた貫通孔21d内に位置している。また、撓み部23fは、軸部23eに近接した部分が貫通孔21d内に位置しており、撓み部23fに連続して設けられた抜け止め部23gが貫通孔21dから突出している。
ギア装着部23cの軸部23eは、10mm程度の軸方向長さになっており、基端部23dの軸方向長さは、軸部23eよりも若干短くなっている。軸部23eから抜け止め部23gの先端までの軸方向長さは、軸部23eの軸方向長さよりも若干長く、12mm程度になっている。
【0058】
なお、図4に示すように、ギア装着部23cの基端部23dには、フランジ部23bと、ハウジング21の正面側に位置する側板21cとの間に、リング状のシール部材25が嵌合されている。シール部材25は、スポンジ等の弾性部材によって、ハウジング21の側板21cに設けられた貫通孔21dの内径よりも大きな外径に構成されており、基端部23dの外周面に圧接されている。
【0059】
シール部材25は、フランジ部23bと、ハウジング21の正面側に位置する側板21cとの間で圧縮状態とされて、ハウジング21の内部側における貫通孔21dの周囲の側板21cに圧接されている。これにより、シール部材25は、ハウジング21の内部のトナーが貫通孔21dを通って外部に漏出しないように、貫通孔21dの端面をシールする。
【0060】
前述したように、ギア24は、中空軸24aが貫通孔21dに支持された状態で、抜け止め部23gによってギア装着部23cから抜け止めされた状態になっている。
抜け止め部23gによりギア24が抜け止めされた状態では、フランジ部23bが、ギア装着部23cの基端部23dに嵌合されたシール部材25をハウジング21の内部から側板21cに押し付けて、シール部材25を圧縮状態としている。従って、回転軸23Aのフランジ部23bと抜け止め部23gとのそれぞれには、圧縮されたシール部材25による反力が、相互に離れる方向への力として加わる。
【0061】
この力の作用により、ギア24に係合された抜け止め部23gが歯車部24bをハウジング21の内部から側板21cに押し付けた状態になる。これにより、抜け止め部23gは、ギア24の中空軸24aに係合された状態を維持して、ギア24の中空軸24aが貫通孔21dから抜け出すことを防止している。
回転軸23Aにおけるギア装着部23cに設けられた基端部23dは、図6に示すように、回転軸23Aの軸心(回転中心軸)Opと同軸状態に配置された軸体であり、軸本体部23aよりも若干大きい直径(4mm)の円柱体を、回転中心軸Opの両側において相互に平行な状態でそれぞれが軸方向に沿って延びる平坦面な一対の基端部側面部23mと、各基端部側面部23mのそれぞれとは垂直な状態で軸方向に沿って延びる基端部平坦面23kとによって切り欠かれた断面形状を有している。
【0062】
各基端部側面部23mは、回転中心軸Opから等しい距離だけ離れており、また、基端部平坦面23kは、基端部23dの回転中心軸Opと各基端部側面部23mとの距離に同程度の距離だけ回転中心軸Opから離れて配置されている。従って、基端部平坦面23kと、各基端部側面部23mのそれぞれとの間には、回転中心軸Opを中心とした一定の半径の外周面が設けられている。
【0063】
基端部平坦面23kに対して回転中心軸Opとは反対側には、回転中心軸Opを中心とした一定の半径(2mm)の基端部外周面23pになっている。この外周面23pは、両側の基端部側面部23m間にわたって形成されており、基端部平坦面23kとは回転中心軸Opを挟んで対向している。
基端部23dの正面側に隣接して設けられた軸部23eは、図7に示すように、基端部23dの回転中心軸Opと同軸状態で配置された軸体であり、基端部23dを、基端部平坦面23kよりも回転中心軸Opに近接した位置において、基端部平坦面23kとは平行な第1平坦面23sによって切り欠かれた断面D形状になっている。
【0064】
従って、軸部23eにも、基端部23dに設けられた各基端部側面部23mのそれぞれと同一面上に位置する第1側面部23nが、回転中心軸Opの両側に形成されている。各第1側面部23nは、第1平坦面23sとは直角を形成しており、基端部側面部23mのそれぞれに対して、軸方向とは直交する幅方向長さが短くなっている。
第1平坦面23sに対して回転中心軸Opとは反対側は、基端部の外周面23pに連続する第1外周面23jになっており、第1平坦面23sとは回転中心軸Opを挟んで対向した状態になっている。回転中心軸Opから第1平坦面23sまでの距離は、外周面23pの半径よりも短くなっている。
【0065】
軸部23eの正面側に隣接して設けられた撓み部23fは、図8に示すように、軸部23eを、回転中心軸Opに対して第1平坦面23sとは反対側の位置において、第1平坦面23sとは平行になった第2平坦面23wによって切り欠かれた断面D形状になっている。
撓み部23fにも、軸部23eに設けられた各第1側面部23nのそれぞれと同一面上に位置する第2側面部23rが、回転中心軸Opの両側に形成されている。各第2側面部23rは、第1側面部23nのそれぞれに対して、軸方向とは直交する方向の長さ(幅方向長さ)が短くなっている。
【0066】
撓み部23fにおける第2平坦面23wに対向する部分は、軸部23eの第1外周面23jが連続した第2外周面23qになっている。第2外周面23qは、両側の第2側面部23rの間にわたって設けられている。第2側面部23rのそれぞれと第2平坦面23wの幅方向の両側の側縁部との間には、面取り加工によって形成された平坦面23vがそれぞれ形成されている。
【0067】
撓み部23fは、第2平坦面23wが、回転中心軸Opよりも第2外周面23qに近接していることによって、第2平坦面23wと直交する方向の厚さが、軸方向の全体にわたって、軸部23eにおける同方向の厚さよりも短くなっており、撓み部23fの断面積が、軸部23eの断面積よりも小さくなっている。これにより、撓み部23fの断面2次モーメントが軸部23eよりも小さくなっている。
【0068】
なお、撓み部23fの第2平坦面23wと、軸部23eの第1平坦面23sとの間には、軸方向に沿って第1平坦面23sに接近するに従って、順次、半径方向に沿って第2外周面23qから離れるように傾斜した案内面23tが設けられている。この案内面23tは、第2平坦面23wおよび第1平坦面23sのそれぞれに連続している。
撓み部23fにおける正面側の先端部に設けられた抜け止め部23gは、図9に示すように、軸部23eの断面形状にほぼ一致した軸体によって構成されているが、軸部23eに対して、半径方向に沿って、撓み部23fの第2外周面23q側にずれた状態になっている。従って、抜け止め部23gの軸心Ogは、回転中心軸Opに対して、半径方向に沿って撓み部23fの第2外周面23q側に偏心している。
【0069】
抜け止め部23gは、軸部23eにおける第1平坦面23sに対応する第3平坦面23xと、軸部23eにおける第1外周面23jに対応する第3外周面23yと、軸部23eにおける各第1側面部23nのそれぞれに対応する第3側面部23uとをそれぞれ有しており、第3平坦面23xが、撓み部23fにおける第2平坦面23wと同一面上に位置している。
【0070】
なお、図4に示すように、抜け止め部23gにおける第3外周面23yの正面側(先端側)の端部は、正面側になるに従って、順次、回転中心軸Opに接近するように傾斜したガイド面23zになっている。
図4に示すように、ギア24の中空軸24aは、ギア装着部23cの軸部23eが嵌合される第1孔部24xが設けられた連結部24eと、軸部23eから正面側に延出した撓み部23gが収容される第2孔部24yが設けられた筒状部24fとを有している。筒状部24fは、連結部24eの正面側に隣接して設けられている。これら第1孔部24xおよび第2孔部24yによって、中空軸24aの軸孔24kが構成されている。
【0071】
図10は、ギア装着部23cの軸部23eにギア24の中空軸24aが嵌合した状態の横断面図である。図10に示すように、ギア24の中空軸24aにおける連結部24eの第1孔部24xの断面は、非円形状である断面D形状になっている。従って、連結部24eの第1孔部24xは、軸部23eの外周面23pと同一の曲率で対向する内周面24pと、内周面24pとは軸心を挟んだ反対側において軸部23eの第1平坦面23sに平行な状態で対向した平坦な対向面24sとによって囲まれている。
【0072】
なお、中空軸24aの正面側部分に隣接する筒状部24fの第2孔部24yは、連結部24eの内周面24pの半径に等しい半径の内周面を全周にわたって有している。従って、筒状部24fの第2孔部24yは、連結部24eの第1孔部24xに対して、対向面24sよりも外側に広がった状態になっている。
図4に示すように、ギア24の中空軸24aの外径は、歯車部24bとは反対側に位置する端部を除いて、貫通孔21dの内径にほぼ等しくなっているが、歯車部24bとは反対側(背面側)に位置する端部では、貫通孔21dの内径よりも若干小径になっている。ギア24の中空軸24aは、歯車部24bとは反対側に位置する小径になった端部を除いて、ハウジング21の側板21cに設けられた貫通孔21dの内周面に、周方向および軸方向に沿って摺動可能な状態で、貫通孔21d内に嵌合されている。
【0073】
従って、ギア24の中空軸24aに対応する外周面が、貫通孔21d内において摺動可能に支持されており、中空軸24aにおける貫通孔21d内において摺動可能に支持された部分は、中空軸24aの第1孔部24xにおける対向面24sと、中空軸24a内に嵌合された軸部23eの第1平坦面23sとの対向部分に対して、軸方向とは直交する方向に重なった位置関係になっている。
【0074】
このような構成により、貫通孔21dにおいて回転されるギア24の中空軸24aが、貫通孔21d内において安定的に支持された部分において、ギア24の連結部24eから軸部23eに動力が伝達される。従って、回転軸23Aの軸部23eが振動しても、ギア24の連結部24eが、貫通孔21d内において振動することが抑制され、ギア24の回転が回転軸23Aへ安定的に伝達される。
【0075】
なお、ギア24の連結部24eに嵌合された軸部23eの断面2次モーメントが撓み部23fよりも大きくなっているために、軸部23eは、撓み部23fよりも高剛性になっている。従って、軸部23eは、連結部24eから半径方向に力が加わった場合に撓むことが抑制される。これに対して、撓み部23fの断面2次モーメントが軸部23eよりも小さく、しかも、撓み部23fの軸方向長さが軸部23eの軸方向長さよりも長くなっているために、高剛性の軸部23eが撓むことなく、撓み部23fのみが撓む。
【0076】
貫通孔21dとは摺動可能に嵌合された中空軸24aにおける連結部24eの軸方向長さは、ハウジング21の側板21cに取り付けられたカバー26によって規定されるギア24の軸方向の移動範囲よりも長くなっている。また、中空軸24aにおける対向面24s(図10参照)と、中空軸24a内に嵌合された軸部23eの第1平坦面23sとの対向部分の軸方向に沿った長さは、ハウジング21の側板21cに取り付けられたカバー26によって規定されるギア24の軸方向の移動範囲よりも長くなっている。
【0077】
これにより、ギア24の歯車部24bがハウジング21の側板21cから離れる方向に移動しても、中空軸24aの連結部24eは、ギア装着部23cにおける軸部23eとの嵌合状態を維持する。従って、中空軸24aにおける対向面24sと、中空軸24a内に嵌合された軸部23eの第1平坦面23sとの対向状態が維持され、ギア24の回転が回転軸23Aに伝達される。
【0078】
また、中空軸24aにおける連結部24eの軸方向長さは、トナー搬送スクリュー23の背面側の端部と、トナー排出部21aの背面側の端面21bとの間隔よりも長くなっている。従って、ハウジング21の側板21cに支持されたギア24と、トナー搬送スクリュー23の回転軸23Aにおけるギア装着部23cの抜け止め部23gとの係合が解除された場合にも、回転軸23Aは、トナー搬送スクリュー23の背面側の端部と、トナー排出部21aの背面側の端面21bとの間隔の範囲でしか、背面側に移動することができない。
【0079】
これにより、ギア24と抜け止め部23gとの係合が解除されても、ギア24の歯車部24bがハウジング21の側板21cにおける貫通孔21d内に支持されていれば、中空軸24aの連結部24eとギア装着部23cにおける軸部23eとの嵌合状態は解消されない。この場合、中空軸24aにおける対向面24sと、中空軸24a内に嵌合された軸部23eの第1平坦面23sとの対向状態が維持され、ギア24の回転が回転軸23Aに伝達される。
【0080】
このような構成のクリーニング装置20において、トナー搬送スクリュー23の回転軸23Aにおけるギア装着部23cにギア24を取り付ける場合の動作を、図11(a)〜(d)に基づいて説明する。
まず、トナー搬送スクリュー23の回転軸23Aにおけるギア装着部23cの基端部23dに、シール部材25を嵌合させる。シール部材25は、フランジ部23bに接するように配置される。
【0081】
このような状態で、トナー搬送スクリュー23の正面側に設けられたギア装着部23cの先端の抜け止め部23gを、図11(a)に示すように、ハウジング21の正面側に設けられた側板21cの貫通孔21d内に挿入する。抜け止め部23gは、貫通孔21dを通過してハウジング21の側板21cから外部に突出した状態とされる。
この場合、シール部材25は、ハウジング21の側板21cとフランジ部23bとによって挟まれた状態になる。
【0082】
次いで、ギア装着部23cにおける抜け止め部23gに、ギア24の中空軸24aにおける連結部24eの背面側(歯車部24bとは反対側)に位置する第1孔部24xの端部を嵌合させる。
抜け止め部23gは、中空軸24aにおける連結部24eの第1孔部24xと同様の断面形状になっているが、抜け止め部23gにおける第3外周面23yの正面側の先端部には、回転中心軸Opに接近するように傾斜したガイド面23zが設けられているために、抜け止め部23gは、ガイド面23zによって案内されて、円滑に連結部24eの第1孔部24x内に挿入される。
【0083】
図12は、図11(a)のF−F線における断面図である。図12に示すように、ギア24の中空軸24aにおける連結部24eの第1孔部24xは、抜け止め部23gの断面と同様の断面D形状になっており、抜け止め部23gは、連結部24eの第1孔部24x内に同軸状態で嵌合される。
このような状態で、図11(b)に示すように、ギア24の中空軸24aにおける外周面が小径となった背面側の端部を、ハウジング21の側板21cに設けられた貫通孔21d内に挿入する。これにより、抜け止め部23gは、連結部24eの第1孔部24x内から筒状部24fの第2孔部24y内へ移動する。
【0084】
また、ギア装着部23cにおける案内面23t(撓み部23gにおける第2平坦面23wと軸部23eにおける第1平坦面23sとの間に設けられている)が、中空軸24aの連結部24eに設けられた対向面24sの背面側に連続する端部に接触した状態になる。
次いで、ギア24の中空軸24aを貫通孔21dの内部にさらに挿入すると、中空軸24aにおける外周面の小径部分に連続した大径部分が貫通孔21d内に挿入される。これにより、中空軸24aと貫通孔21dとが同軸状態になる。このとき、ギア装着部23cの正面側先端部に設けられた抜け止め部23gは、筒状部24fの第2孔部24yにおける内周面の上側部分に接した状態になる。
【0085】
その後、さらに、ギア24の中空軸24aを、ハウジング21の側板21cに設けられた貫通孔21d内において背面側に向って移動させると、案内面23tが連結部24eにおける第1孔部24x内に案内されて、軸部23eが、徐々に、連結部24eにおける断面D形状の第1孔部24x内に進入する。
この場合、撓み部23fおよび軸部23eのそれぞれには、回転中心軸Opの両側に、第2側面部23r、第1側面部23nのそれぞれが同一平面上に形成されているために、軸部23eを、案内面23tによって半径方向に沿って移動させながら、連結部24eの第1孔部24x内に嵌合させることができる。従って、非円形断面になった軸部23eを、非円形断面になった連結部24eの第1孔部24x内に円滑に嵌合させることができる。
【0086】
なお、撓み部23fおよび軸部23eのそれぞれに、第2側面部23rおよび第1側面部23nが設けられずに、連結部24eの第1孔部24xとほぼ同一の断面D形状になっている場合には、軸部23eを半径方向に移動させつつ、第1孔部24x内に嵌合させることができず、軸部23eと連結部24eの第1孔部24xとは、同軸状態で対向しなければ嵌合させることができない。このために、案内面23tによって軸部23eを半径方向に沿って案内しつつ、連結部24eの第1孔部24x内に嵌合させる構成とすることはできない。
【0087】
このようにして、ギア装着部23cにおける軸部23eの軸心が、中空軸24aの軸心と同軸状態になると、軸部23eは、中空軸24aと同軸状態になった貫通孔21dとも同軸状態になる。従って、ギア装着部23cの軸部23eとは偏心状態になった抜け止め部23gは、中空軸24aにおける筒状部24fの内周面に強く押し付けられた状態になる。これにより、撓み部23fは、上方に突出した湾曲状態に撓む。
【0088】
このような状態で、中空軸24aを貫通孔21d内においてさらに背面側に移動させると、断面形状が非円形状になった軸部23eと、断面形状が非円形状になった連結部24eの第1孔部24xとが同軸状態で嵌合しているために、連結部24eの第1孔部24x内を、第1孔部24xに対して回転することなく、第1孔部24xの内部を軸方向に沿って進む。この場合、抜け止め部23gは、筒状部24fにおける第2孔部24yの内周面に押し付けられた状態を維持する。
【0089】
抜け止め部23gが正面側に移動すると、筒状部24fの第2孔部24y内に進入した撓み部23fの長さが順次長くなる。これにより、第2孔部24yの内周面から抜け止め部23gに加わる力が順次大きくなり、軸部23eに対して片持ち状態になった撓み部23fの撓み量も順次増加する。なお、撓み部23fは、抜け止め部23gが、第2孔部24yの内部を通過する間は、撓んだ状態を維持する。
【0090】
その後、ギア装着部23cにおける抜け止め部23gは、第2孔部24yを通過することによって、ギア24の軸孔24kを通過して、歯車部24b内に位置する軸孔24kの端部から抜け出る。これにより、第3外周面23yは、筒状部24fにおける第2孔部24yの内周面による押圧状態が解除され、撓み部23fの撓みが解消される。その結果、図11(d)に示すように、抜け止め部23gは、ギア24の軸孔24kにおける端部の周囲に係合した状態になる。
【0091】
抜け止め部23gがギア24に係合した状態では、ギア24の歯車部24bがハウジング21の正面側の側板21cに押し付けられるとともに、回転軸23Aに設けられたフランジ部23bが、ハウジング21の側板21cに接近する方向に牽引される。これにより、フランジ部23bとハウジング21の側板21cとの間のシール部材25が圧縮された状態になり、シール部材25によって、側板21cに設けられた貫通孔21dのハウジング21内の端面がシールされる。
【0092】
また、抜け止め部23gが係合したギア24の中空軸24aは、側板21cに設けられた貫通孔21d内に挿入されており、貫通孔21dに回転可能な状態で支持されている。この場合、ギア24の中空軸24aは、断面D形状の連結部24eにおける第1孔部24xが、ギア装着部23cにおける概略断面D形状の軸部23eと整合状態で嵌合しているために、ギア24の中空軸24aと軸部23eとが一体となって回転できるようになっている。
【0093】
従って、ギア24の歯車部24bに回転が伝達されて歯車部24bが回転されると、ハウジング21の側板21cに回転可能に支持されたギア24の中空軸24aも一体となって回転する。これにより、中空軸24aと一体となって連結されたトナー搬送スクリュー23の回転軸23Aにおける軸部23eが一体となって回転し、回転軸23A全体が回転する。
【0094】
このようにして、トナー搬送スクリュー23の回転軸23Aが回転すると、トナー搬送スクリュー23の搬送羽根23Bが回転軸23Aと一体となって回転する。これにより、ハウジング21内のトナーが正面側から背面側に搬送され、トナー排出部21aに設けられたトナー排出口21eを通って下方に排出され、トナー排出口21eの下側に配置されたトナー容器によって回収される。
【0095】
本実施形態では、抜け止め部23gの断面形状が、軸部23eの断面形状と同一であって、軸部23eの断面形状を半径方向に沿って外側に偏心させた状態になっている。従って、抜け止め部23gの第3外周面23yは、軸部23eの第2外周面23qの最大半径と同一の半径になっている。
このような断面形状を有する抜け止め部23gは、軸部23eとは偏心状態になっていても、撓み部23fによって連結されていることにより、軸部23eが中空軸24aの連結部24eにおける第1孔部24x内に挿入される際に、中空軸24aにおける筒状部24fの第2孔部24y内を撓んだ状態で通過することができる。
【0096】
従って、抜け止め部23gは、軸部23eとの偏心状態が大きくなっても、撓み部23fの撓みによって筒状部24f内を通過し、その後に、撓み部23fの撓みが解消することによって、抜け止め部23gは、ギア24に係合される。この場合、軸部23eとは偏心状態になった抜け止め部23gの第3外周面23yが、軸部23eの第2外周面23qと同一の最大半径になっていることにより、軸部23eに対して外側に大きく突出した状態とすることができる。その結果、抜け止め部23gは、ギア24との係合面積が大きくなり、抜け止め部23gとギア24とを確実に係合させることができる。これにより、抜け止め部23gとギア24との係合状態が容易に外れるおそれはない。
【0097】
また、抜け止め部23gは、軸部23eと同様の断面形状を有する軸体によって構成されているために、抜け止め部23g自体が軸部23eと同様の剛性および強度を有している。このために、抜け止め部23gに、ギア24から大きな力が加わっても、抜け止め部23gが破損するおそれがない。従って、抜け止め部23gは、ギア24が回転軸23Aおよびハウジング21の側板21cに設けられた貫通孔21dのそれぞれから抜け出すことを確実に防止することができる。
【0098】
以上のように、本実施形態では、抜け止め部23gは、ギア24が回転軸23Aおよび貫通孔21dそれぞれから抜け出すことを確実に防止している。しかし、ギア24による動力伝達時に、万が一、抜け止め部23gがギア24との係合状態を解消した場合には、ギア24は、貫通孔21dから抜け出る方向に移動可能になる。
この場合、ギア24は、ハウジング21の側板21cに取り付けられたカバー26によって、貫通孔21dから抜け出るおそれがなく、貫通孔21d内において回転可能な状態で支持されている。しかも、ギア24における中空軸24aの連結部24eは、軸部23eとの嵌合状態を維持するために、ギア24の歯車部24bに伝達された回転が、中空軸24aの連結部24eからギア装着部23cにおける軸部23eに伝達される。これにより、回転軸23Aを回転させることができる。
【0099】
また、抜け止め部23gがギア24との係合状態を解消すると、回転軸23Aは背面側に移動可能になる。この場合、回転軸23Aが背面側に移動しても、中空軸24aの連結部24eは、ギア装着部23cにおける軸部23eとの嵌合状態を解消しないために、ギア24の歯車部24bに伝達された回転が、ギア装着部23cを介して回転軸23Aに伝達される。
【0100】
以上のように、万が一、抜け止め部23gとギア24との係合状態が解消された場合にも、ギア24に回転が伝達された状態になっていると、貫通孔21d内におけるギア24の支持状態が維持されるとともに、ギア24の回転が回転軸23Aに伝達されることも維持される。従って、ハウジング21内において、トナースクリュー23によるトナー搬送を継続して実行することができる。
【0101】
<変形例>
なお、上記の実施形態では、ギア24の中空軸24aにおける連結部24eの第1孔部24xは、内周面24pと対向面24sとによって囲まれた断面D形状になっており、また、ギア装着部23cの軸部23eも、外周面23jと第1平坦面23sとを有する構成であったが、それぞれ、このような構成に限るものではなく、ギア24の中空軸24aとギア装着部23cの軸部23eとの間で回転力が伝達される断面形状であればよい。従って、中空軸24aにおける連結部24eの第1孔部24xの内部空間および軸部23eのそれぞれの断面形状は楕円形状等であってもよい。
【0102】
また、前記実施の形態では、回転軸に対するギアの取り付け構造に説明したが、プーリ等の動力伝達体にも本発明は適用できる。
さらに、本発明の動力伝達体の取り付け構造は、クリーニング装置におけるトナー搬送装置に限らず、画像形成装置に設けられる他のトナー搬送装置にも適用することができる。また、本発明の動力伝達体の取り付け構造は、画像形成装置に用いられるトナー搬送装置に限らず、他の回転機構においても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、回転軸と動力伝達体との取り付け構造において、回転軸から動力伝達体を抜け止めする技術として有用である。
【符号の説明】
【0104】
10Y、10M、10C、10K プロセスユニット
11 感光体ドラム
20 クリーニング装置
21 ハウジング
21a トナー排出部
21c 側板
21d 貫通孔
22 クリーニングブレード
23 トナー搬送スクリュー
23A 回転軸
23B 搬送羽根
23a 軸本体部
23b フランジ部
23c ギア装着部
23d 基端部
23e 軸部
23f 撓み部
23g 抜け止め部
23j 第1外周面
23n 第1側面部
23q 第2外周面
23r 第2側面部
23s 第1平坦面
23t 案内面
23u 第3側面部
23w 第2平坦面
23x 第3平坦面
23z ガイド面
24 ギア
24a 中空軸
24b 歯車部
24c 歯部
24e 連結部
24f 筒状部
24k 軸孔
24p 内周面
24s 対向面
24x 第1孔部
24y 第2孔部
25 シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の一方の端部に、断面が非円形状になった第1孔部と、当該第1孔部よりも前記回転軸の一方の端部における先端側に位置する第2孔部を有する軸孔が設けられた動力伝達体を取り付けた動力伝達体の取り付け構造であって、
前記回転軸は、
前記動力伝達体と一体回転するように前記軸孔の第1孔部内に嵌合された断面非円形状の軸部と、
前記軸部と前記回転軸の先端部との間に設けられた、可撓性を有する1本の撓み部と、
前記動力伝達体の軸孔を通過することが可能な断面形状であって、前記先端部に、前記軸部よりも軸方向とは直交する方向の外側に突出した状態で設けられて、前記軸孔の端部の周囲に係合した抜け止め部と、を備え、
前記軸部は、前記回転軸への前記動力伝達体の取り付け時に、前記抜け止め部が前記第2孔部を通過すると、前記第1孔部と嵌合状態になり、
前記撓み部は、前記抜け止め部が前記第2孔部を通っている間は、当該第2孔部の内面に当接して撓んだ状態を維持し、前記抜け止め部が前記軸孔を通過すると撓んだ状態を解消して前記抜け止め部が係合状態になることを特徴とする動力伝達体の取り付け構造。
【請求項2】
前記撓み部と前記軸部との間には、当該軸部を前記第1孔部内に案内する案内面が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達体の取り付け構造。
【請求項3】
前記軸孔の第1孔部は、前記回転軸と同軸状態の軸心を中心とした内周面と、前記軸心を挟んで前記内周面に対向する平坦な対向面とによって囲まれており、
前記軸部は、前記内周面に対向する第1外周面と、前記対向面に対向する平坦な第1平坦面と、を有することを特徴とする請求項2に記載の動力伝達体の取り付け構造。
【請求項4】
前記抜け止め部は、前記軸部の断面形状に一致した断面形状を有することを特徴とする請求項3に記載の動力伝達体の取り付け構造。
【請求項5】
前記撓み部は、前記軸部の前記第1平坦面よりも前記第1外周面側に近接した位置において前記第1平坦面と平行に配置された第2平坦面と、前記第1外周面に連続する第2外周面とを有し、
前記案内面は、前記撓み部の第2平坦面と、前記軸部の第1平坦面との間に、前記第2平坦面から軸方向に沿って前記第1平坦面に接近するに従って、順次、半径方向に沿って前記第2外周面から離れるように傾斜していることを特徴とする請求項4に記載の動力伝達体の取り付け構造。
【請求項6】
前記軸部には、前記回転軸の軸心の両側に、前記第1外周面および前記第1平坦面に連続する平坦な第1側面部が設けられており、
前記撓み部には、前記第1側面部のそれぞれと同一面上に位置する第2側面部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の動力伝達体の取り付け構造。
【請求項7】
前記抜け止め部には、前記撓み部の第2平坦面と同一面上に位置する第3平坦面を有し、
前記軸部から前記抜け止め部の先端までの軸方向に沿った長さが、前記軸部の軸方向に沿った長さよりも長くなっていることを特徴とする請求項5または6に記載の動力伝達体の取り付け構造。
【請求項8】
前記抜け止め部における前記撓み部とは反対側の端部に、前記撓み部から軸方向に沿って離れるに従って、順次、半径方向に沿って前記第3平坦面に接近するように傾斜したガイド面が設けられていることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の動力伝達体の取り付け構造。
【請求項9】
前記軸孔の第2孔部は、前記第1孔部よりも半径方向の外側に広がっていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の動力伝達体の取り付け構造。
【請求項10】
前記軸孔の第2孔部には、前記第1孔部の内周面と同一半径の内周面が全周にわたって設けられていることを特徴とする請求項9に記載の動力伝達体の取り付け構造。
【請求項11】
前記回転軸には、前記軸孔に対して当該回転軸が軸方向に沿って移動することを規制するフランジ部が、前記軸部を挟んで前記撓み部とは反対側に設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の動力伝達体の取り付け構造。
【請求項12】
トナーが収容されるハウジングと、
当該ハウジング内のトナーを搬送させる搬送羽根が回転軸に設けられたトナー搬送スクリューと、
前記回転軸に動力を伝達するための動力伝達体と、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の動力伝達体の取り付け構造と、
を有することを特徴とするトナー搬送装置。
【請求項13】
前記回転軸が、前記動力伝達体を支持するために前記ハウジングに設けられた貫通孔内を通過しており、
前記回転軸には、前記貫通孔に対して当該回転軸が軸方向に沿って移動することを規制するフランジ部が前記抜け止め部とは前記貫通孔を挟んで設けられていることを特徴とする請求項12に記載のトナー搬送装置。
【請求項14】
前記フランジ部と前記ハウジングとの間には、前記貫通孔をシールするシール部材が前記回転軸に嵌合されていることを特徴とする請求項13に記載のトナー搬送装置。
【請求項15】
前記貫通孔内において前記動力伝達体が支持された部分と、前記軸部とが、軸方向とは直交する方向に相互に重なる位置関係で配置されていることを特徴とする請求項13または14に記載のトナー搬送装置。
【請求項16】
前記抜け止め部と前記動力伝達体との係合状態が外れた場合に、前記ハウジングの貫通孔に対する前記動力伝達体の軸方向への移動可能な範囲が予め設定されており、
前記軸部と前記第1孔部との嵌合部分における軸方向長さが、前記動力伝達体の移動可能な範囲よりも長くなっていることを特徴とする請求項15に記載のトナー搬送装置。
【請求項17】
前記抜け止め部が前記動力伝達体との係合状態が外れた場合に前記ハウジングの貫通孔に対する前記回転軸の軸方向への移動可能な範囲が予め設定されており、
前記軸部と前記第1孔部との嵌合部分の軸方向長さが、前記回転軸の移動可能な範囲よりも長くなっていることを特徴とする請求項15または16に記載のトナー搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−76838(P2013−76838A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216649(P2011−216649)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】