説明

動力伝達装置

【課題】 駆動制御を行っているソレノイドによる衝撃音を防止し、騒音ピーク値を低減することで、聴感上の不快音を抑制する目的。
【解決手段】 フラッパの吸引及び吸引解除の動作により、欠け歯ギアへの回転力の付与を一時的に停止させる制御手段であるフラッパ型ソレノイドと、欠け歯ギアの回転を停止させる際にフラッパと係合する、欠け歯ギアの側面に設けられた係止部位とを有する動力伝達装置において、フラッパ着磁解除直後のフラッパとフラッパ係止部位ととの衝突衝撃音を回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機・レーザービームプリンタ等の事務機製品、VTRやDVD等のオーディオビジュアル製品など、幅広く製品一般に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下に、従来の動力伝達手段を用いたレーザービームプリンタの構成について説明するが、はじめに、動力伝達装置以外の説明をする。
【0003】
図5は従来例に係るレーザービームプリンタ本体の断面図である。113は給送手段、114はシート積載板、115はシート積載板114を給送手段113方向に付勢する積載板付勢バネ、107はレーザービームプリンタ本体、116は分離手段、117は給紙された用紙Pを搬送する搬送手段、118は感光ドラム、119は画像情報に応じた光像を感光ドラム118に照射するためのレーザ走査光学手段、120は感光ドラム118を有するプロセスカートリッジ、121は感光ドラム118上で現像材(以下、トナーと称す)によって現像されたトナー像を用紙に転写するための転写ローラ、122は用紙上の未定着トナー画像を定着する定着ローラ、123は加圧ローラ、124は定着画像をプリンタ本体の外に排出するための排紙ローラ対、125は排出された用紙を積載する排紙受け部をそれぞれ示している。
【0004】
次に、従来の動力伝達装置の構成について説明するが、その代表例として、従来の動力伝達装置を用いた給紙構成について説明する。
【0005】
図6は従来の動力伝達装置を用いた給紙装置周辺を示した斜視図であり、図7は、従来の動力伝達装置の動作説明図であり(a)〜(d)を動作順にそれぞれ示している。112はレーザービームプリンタ本体枠体に設けられ、各ギアの駆動源となる駆動モータ、111、110、109、108は駆動モータからの駆動源を伝えるためのアイドラギア、101は駆動モータ112からアイドラギアによって伝えられた駆動伝達を遮断するために円周上で歯の一部を欠如させた欠け歯部を有する欠け歯ギア、101aは欠け歯ギア101の側面に設けられたカム面、101bは欠け歯ギア101の回転を制御しカム部101aに設けられた係止部位、102は欠け歯ギアの回転を制御するソレノイド、103はソレノイド102上に設けられたフラッパ、103aは欠け歯ギア係止部位101bに係合するフラッパ係合部位、113は給紙手段、126は給紙手段113を保持し、欠け歯ギア101と勘合して設けられ、欠け歯ギア101の回転を給紙手段113に伝達する給紙軸をそれぞれ示している。
【0006】
以下に、上記動力伝達装置を用いた従来のレーザービームプリンタの動作について説明するが、まず従来の動力伝達機構以外の説明をする。
【0007】
図5に示すように、レーザービームプリンタ本体107のシート積載板114上に積載された用紙Pは、付勢バネ115により給紙手段113方向に押圧され、給送手段113ならびに分離手段116により1枚ずつに分離され、給紙される。給紙された用紙Pは、搬送手段117により記録手段となるプロセスカートリッジ120内に配置された電子写真感光体としての感光体ドラム118に搬送され、転写ローラ121により用紙P上に感光体ドラム118上のトナー像が転写される。その後、用紙Pは定着ローラ122および加圧ローラ123のローラ対により加熱、加圧されて用紙P上のトナー像が永久像として定着される。その後、用紙Pは、排紙ローラ対124により排紙受け部125上に排出される。
【0008】
次に、上述した従来の動力伝達装置について説明するが、その代表例として、従来の動力伝達装置を用いた給紙構成について説明する。
【0009】
図7(a)は動力伝達装置動作図のイニシャル状態を示したものである。このとき、図6記載の駆動モータ112からアイドラギア111、110、109に伝わった駆動により、駆動伝達ギア108は矢印方向に回転している。欠け歯ギア101は、不図示の付勢手段により点線矢印方向に回転しようとするが、フラッパ103の係合部位103aが欠け歯ギア101の側面に設けられたカム係止部101bに係合されることで図の位置にとどまっている。従って、このとき、欠け歯ギア101の欠け歯部がちょうど駆動伝達ギア108のピッチ円上に位置し、駆動伝達ギア108からの駆動力を受けることがない。
【0010】
次に、本体ファームウェアからの信号により、ソレノイド102に信号が送られ、ソレノイド102が着磁すると、フラッパ103は図7(b)が示すように矢印方向に回動する。すると、図7(a)のイニシャル状態では係合していたフラッパ103の係合部位103aとカム係止部101bが解除され、不図示の付勢手段により欠け歯ギア101が矢印方向に回動する。このとき、欠け歯ギア101の有歯部が、駆動伝達ギア108のピッチ円上に飛び込んでくるため、欠け歯ギア101は駆動伝達ギア108からの駆動力をうけ、矢印方向に回動をはじめる。このとき、欠け歯ギア101は給紙軸126と勘合されており、欠け歯ギア101が回転することで給紙軸126を介して給紙手段113も回転し、給紙動作が始まる。
【0011】
欠け歯ギア101の回転が軌道に乗った後、ソレノイド102の着磁は解除され、図7(c)が示すように、フラッパ103は付勢バネ102aの付勢力により矢印方向に回動し、フラッパ103の係合部位103aが欠け歯ギア101のカム部101aに着地する。この時点では、欠け歯ギア101は駆動伝達ギア108からの駆動力をうけていて矢印方向に回動し続けるため、係合部位103aはカム部101a上を摺動することになる。
【0012】
そして、欠け歯ギア101が回動を続け、図7(d)が示すように、欠け歯ギア101の有歯部最後の1歯が駆動伝達ギア108のピッチ円から離れると、駆動力が絶たれるが、不図示の付勢手段により欠け歯ギア101が回動することで、図7(a)が示すように、フラッパ103の係合部位103aが欠け歯ギア101の側面に設けられたカム係止部101bに係合することで、イニシャル状態に戻る。そして、欠け歯ギア101の回転は止まり、給紙軸126によって伝えられていた給紙手段113の回転も停止することとなり、給紙動作が終了することになる。
【0013】
従来例としては、例えば特許文献1と特許文献2をあげることが出来る。
【特許文献1】特開平10-148984号公報
【特許文献2】特開2004-124988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来の構成では以下の課題があった。
【0015】
図7(c)が示すように、ソレノイド102の着磁が解除され、付勢バネ102aの付勢力によりフラッパ係合部位103aがカム面101a上に着地する際に、金属部材で形成されたフラッパ係合部位103aと樹脂材で形成されたカム面101aとの接触衝撃音が欠け歯ギア101が回転する度(駆動伝達手段が給紙手段に用いられた場合は、給紙の度)に常に発生していた。この衝撃音は、昨今のスループットが急速に上昇しているレーザービームプリンタにおいて、ユーザーに非常に不快感を与えると同時に、Blue Angel規格等の騒音測定値を悪化させる要因でもあった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係る第一の発明は、カム面の一部を凹形状にし、ソレノイドの着磁が解除されフラッパ係合部位が付勢バネの付勢力により移動した直後は、フラッパ係合部位がカム面上に着地させず、接触衝撃音を発生させないことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る第二の発明は、欠け歯ギアカム面を係止部位のみを残して排除し、フラッパが吸引解除された直後、フラッパと当接する部材がないことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る第三の発明は、欠け歯ギアの係止部位に回動可能に軸支されたコロを設け、フラッパが吸引解除した後、フラッパとコロを当接させ、コロが回転することで摺動音の発生を抑制することを特徴とする。
【0019】
上記構成において、第一の発明では、フラッパ先端部とカム面との衝撃音の発生を防止することが可能となり、衝撃音による騒音ピーク値の低減効果に加え、聴感上の不快音抑制効果に優れた動力伝達装置の提供が可能となる。
【0020】
第二の発明では、カム面を排除し係止部のみの形状としたことにより、第一の発明の効果に加え、摺動抵抗の低減を図ることが可能となる。
【0021】
第三の発明では、係止部に回動可能に軸支されたコロを設け、欠け歯ギアの回転中にフラッパとの摺動音を発生させない構成とすることにより、第二の発明よりも更に摺動抵抗の低減を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、カム面の一部凹形状にし、ソレノイドの着磁が解除されフラッパ係合部位が付勢バネの付勢力により移動した直後は、フラッパ係合部位がカム面上に着地させないため、カムとフラッパの接触衝撃音を発生させないことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(実施例1)
図1は、第1実施形態を示す動力伝達装置を示した図で、図1(a)は側面図、図1(b)は図1(a)の斜視図を示している。図2は、第1実施形態を示す動力伝達装置の動作説明図であり、(a)〜(d)を動作順にそれぞれ示している。図1、2において、1は欠け歯ギア、1aは欠け歯ギア側面に設けられたカム部、1bは欠け歯ギアの回転を制御しカム部1aに設けられた係止部、1cはフラッパの衝撃音防止用にカム面に設けられた凹部、2は欠け歯ギア1を制御するフラッパ型ソレノイド、3はフラッパ型ソレノイドに設けられたフラッパ、3aは係止部1bとの係合部位、102aはフラッパ3を片側方向に付勢する付勢バネ、108は不図示の駆動源からの駆動を欠け歯ギアに伝達する駆動伝達ギアをそれぞれ示している。
【0024】
次に、本実施例に係る動力伝達装置の動作及び効果について説明する。
【0025】
図1及び図2(a)は動力伝達装置動作図のイニシャル状態を示したものである。このとき、不図示の駆動手段により駆動伝達ギア108は矢印方向に回転している。欠け歯ギア1は、不図示の付勢手段により点線矢印方向に回転しようとするが、フラッパ3の係合部位3aが欠け歯ギア1の側面に設けられた係止部1bに係合されることで図の位置にとどまっている。従って、欠け歯ギア1の欠け歯部がちょうど駆動伝達ギア108のピッチ円上に位置し、駆動伝達ギア108からの駆動力を受けることがない。
【0026】
次に、本体ファームウェアからの信号により、ソレノイド2に信号が送られ、ソレノイド2が着磁すると、フラッパ3は図2(b)が示すように矢印方向に回転する。すると、図2(a)のイニシャル状態では係合していたフラッパ3の係合部位3aと係止部1bが解除され、不図示の付勢手段により欠け歯ギア1が矢印方向に回転する。このとき、欠け歯ギア1の有歯部が、駆動伝達ギア108のピッチ円上に飛び込んでくるため、欠け歯ギア1は駆動伝達ギア108からの駆動力をうけ、矢印方向に回転をはじめる。
【0027】
欠け歯ギア1の回転が軌道に乗った後、ソレノイド2の着磁は解除され、図2(c)が示すように、フラッパ3は付勢バネ102aの付勢力により矢印方向に回転し、フラッパ3の係合部位3aが欠け歯ギア1に設けられた凹部1cへ移動する。このとき、凹部1cによって係合部位3aとカム面1aとの衝突が防げるため、従来発生していた衝撃音のない非常に静かな動作となる。この時点で、欠け歯ギア1は駆動伝達ギア108からの駆動力を受け続けているため矢印方向に回転し続け、係合部位3aは凹部1cに沿ってカム面1aに当接し、カム部1a上を摺動することになる。このとき、凹部1cは図が示すように緩やかな弧を描いているため、凹部1cからカム面1aへの当接は従来よりも緩やかで当接圧を低く抑えることができるため、摺動音を抑えることが可能となる。
【0028】
そして、欠け歯ギア1が回転を続け、図2(d)が示すように、欠け歯ギア1の有歯部最後の1歯が駆動伝達ギア108のピッチ円から離れると駆動力が絶たれ、不図示の付勢手段により欠け歯ギア1が回転することで、図2(a)が示すように、フラッパ3の係合部位3aが欠け歯ギア1の側面に設けられた係止部1bに係合することで、イニシャル状態に戻る。
【0029】
以上のように、本実施例では、フラッパ衝撃音防止用にカム面に凹部を設けることにより、フラッパ吸引解除時に従来発生していたフラッパ先端部とカム面との衝撃音の発生を防止することが可能となり、衝撃音による騒音ピーク値の低減効果に加え、聴感上の不快音抑制効果に優れた動力伝達装置の提供が可能となる。また、カム面の一部を凹形状とすることにより、凹部からカム面までの一部分においてはカム面とフラッパ先端との接触抵抗を従来よりも低減でき、従来よりも低トルク化が図れた駆動伝達装置の提供が可能となる。
【0030】
(実施例2)
図3は、第2実施形態を示す動力伝達装置を示した図であり、(a)〜(c)は動作順に示した動作説明図、(d)は斜視図を示しており、同図において係止部1dの形状は本発明の特徴を最も表している。
【0031】
本実施例においても、前記第1の実施例と同様に1は欠け歯ギア、2はフラッパ型ソレノイド、3はフラッパ、102aは付勢バネ、108は駆動伝達ギアをそれぞれ示している。1dは欠け歯ギアの回転を制御し欠け歯ギア1に設けられた係止部である。
【0032】
第一の実施例ではフラッパ衝撃音防止用にカム面に凹部を設けることにより、衝撃音の発生を防止していたが、フラッパ先端が凹部を過ぎてからカム面とフラッパ先端との接触抵抗は発生していた。本実施例ではこれを改善し、カム面を排除し、係止部1dのみとすることで、欠け歯ギア1の回転中に摺動音を発生させない構成としている。
【0033】
次に、本実施例に係る動力伝達装置の動作及び効果について説明する。
【0034】
図3(a)は動力伝達装置動作図のイニシャル状態を示したものである。このとき、不図示の駆動手段により駆動伝達ギア108は矢印方向に回転している。欠け歯ギア1は、不図示の付勢手段により点線矢印方向に回転しようとするが、フラッパ3の係合部位3aが欠け歯ギア1の側面に設けられた係止部1dに係合されることで図の位置にとどまっている。従って、欠け歯ギア1の欠け歯部がちょうど駆動伝達ギア108のピッチ円上に位置し、駆動伝達ギア108からの駆動力を受けることがない。
【0035】
次に、本体ファームウェアからの信号により、ソレノイド2に信号が送られ、ソレノイド2が着磁すると、フラッパ3は図3(b)が示すように矢印方向に回転する。すると、図3(a)のイニシャル状態では係合していたフラッパ3の係合部位3aと係止部1dが解除され、不図示の付勢手段により欠け歯ギア1が矢印方向に回転する。このとき、欠け歯ギア1の有歯部が、駆動伝達ギア108のピッチ円上に飛び込んでくるため、欠け歯ギア1は駆動伝達ギア108からの駆動力をうけ、矢印方向に回転をはじめる。
【0036】
欠け歯ギア1の回転が軌道に乗った後、ソレノイド2の着磁は解除され、図3(c)が示すように、フラッパ3は付勢バネ102aの付勢力により矢印方向に回転する。このとき、フラッパ係合部位3aと当接する部材はなく、従来発生していた衝撃音のない非常に静かな動作となる。
【0037】
また、この時点で、欠け歯ギア1は駆動伝達ギア108からの駆動力を受け続けているため、欠け歯ギア1は矢印方向に回転を続ける。このとき、従来係合部位3aと当接していたカム面はないため、摺動音のない非常に静かな動作となる。
【0038】
その後、上記駆動伝達装置がイニシャル状態へ戻る動作については第1実施形態と同様なため説明を省略する。
【0039】
以上のように、本実施例ではカム面を排除し、係止部のみとした形状とすることにより、第一の実施形態の効果に加え、摺動抵抗の低減を図ることが可能となる。
【0040】
(実施例3)
図4は、第3実施形態を示す動力伝達装置を示した図であり、(a)〜(b)は動作順に示した動作説明図、(c)は斜視図を示しており、係止部に消音コロ部材を設けたコロ径止部1eは本発明の特徴を最も表している。
【0041】
本実施例においても、前記第1の実施例と同様に1は欠け歯ギア、2はフラッパ型ソレノイド、3はフラッパ、102aは付勢バネ、108は駆動伝達ギアをそれぞれ示している。1eは欠け歯ギア1に設けられ回動可能に軸支され、コロ部材をエラストマ等の弾性部材で形成されたコロ径止部で、欠け歯ギアの回転を制御している。
【0042】
第二の実施例では、カム面を排除し、係止部のみとした形状とすることにより、カム面と係止部での摺動音を抑制していが、イニシャル状態に戻る際に発生するフラッパと係止部の摺動音は抑制できていなかった。本実施例ではこれを改善し、係止部に回動可能に軸支されたエラストマ等の弾性部材で形成されたコロを設け、欠け歯ギア1の回転中にフラッパとの摺動音を発生させない構成としている。
【0043】
次に、本実施例に係る動力伝達装置の動作及び効果について説明する。
【0044】
図4(a)は動力伝達装置動作図のイニシャル状態を示したものである。このとき、不図示の駆動手段により駆動伝達ギア108は矢印方向に回転している。欠け歯ギア1は、不図示の付勢手段により点線矢印方向に回転しようとするが、フラッパ3の係合部位3aが欠け歯ギア1の側面に設けられたコロ係止部1eに係合されることで図の位置にとどまっている。従って、欠け歯ギア1の欠け歯部がちょうど駆動伝達ギア108のピッチ円上に位置し、駆動伝達ギア108からの駆動力を受けることがない。
【0045】
次に、本体ファームウェアからの信号により、ソレノイド2に信号が送られ、ソレノイド2が着磁すると、フラッパ3は図4(b)が示すように矢印方向に回転する。すると、図4(a)のイニシャル状態では係合していたフラッパ3の係合部位3aとコロ係止部1eが解除され、不図示の付勢手段により欠け歯ギア1が矢印方向に回転する。このとき、欠け歯ギア1の有歯部が、駆動伝達ギア108のピッチ円上に飛び込んでくるため、欠け歯ギア1は駆動伝達ギア108からの駆動力をうけ、矢印方向に回転をはじめる。
【0046】
図4(c)に示すように、ソレノイド2の着磁が解除された時点で、欠け歯ギア1は駆動伝達ギア108からの駆動力を受け続けているため、欠け歯ギア1が矢印方向に回転を続ける。その後、欠け歯ギア1に回動可能に軸支されたコロ係止部1eがフラッパ3に着地する。このとき、従来発生していた摺動音は、コロ係止部1eに設けられたにコロ部材に吸収されるため、摺動音の発生はほとんどなく、非常に静かな動作となる。
【0047】
そして、欠け歯ギア1が回転を続け、欠け歯ギア1の有歯部最後の1歯が駆動伝達ギア108のピッチ円から離れると駆動力が絶たれ、不図示の付勢手段により欠け歯ギア1が回転することで、図4(a)が示すように、フラッパ3の係合部位3aが欠け歯ギア1の側面に設けられたコロ係止部1eに係合することで、イニシャル状態に戻る。
【0048】
以上のように、本実施例では係止部に回動可能に軸支されたコロを設け、欠け歯ギア1の回転中にフラッパとの摺動音を発生させない構成とすることにより、第二の実施形態の効果に加え、摺動抵抗の低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1実施例の側面図及び斜視図
【図2】本発明の第1実施例の動作説明側面図
【図3】本発明の第2実施例の動作説明側面図及び斜視図
【図4】本発明の第3実施例の動作説明側面図及び斜視図
【図5】従来のレーザープリンタ断面図
【図6】従来の駆動伝達装置斜視図
【図7】従来の駆動伝達装置動作説明側面図
【符号の説明】
【0050】
1 欠け歯ギア
2 フラッパ型ソレノイド
3 フラッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段と、
前記駆動手段による駆動を伝達する駆動伝達ギアと、
前記駆動伝達ギアと対向するとともに、前記駆動伝達ギアの回転を伝達する有歯部及び、前記駆動伝達ギアの回転の伝達を遮断するために円周上で歯の一部を欠如させた欠け歯部とを有する欠け歯ギアと、
前記欠け歯ギアを前記駆動伝達ギアに噛合させるために前記欠け歯ギアを前記欠け歯部から有歯部へ回転させるように付勢する付勢手段と、
フラッパの吸引及び吸引解除の動作により、前記付勢手段による前記欠け歯ギアへの回転力の付与を一時的に停止させる制御手段であるフラッパ型ソレノイドと、
前記欠け歯ギアの回転を停止させる際に前記フラッパと係合する、前記欠け歯ギアの側面に設けられた係止部位と、
前記係止部位を形成し、吸引解除された前記フラッパが当接摺動するために設けられたカム面とを有する動力伝達装置において、
前記フラッパが吸引解除された直後に前記カム面との衝撃衝突音を防ぐために、前記フラッパが当接する面を凹形状とすることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
前記カム面を前記係止部位のみを残して排除し、前記フラッパが吸引解除された直後、フラッパと当接する部材がないことを特徴とする請求項1記載の動力伝達装置。
【請求項3】
前記係止部位に回動可能に軸支されたコロを有し、
前記フラッパが吸引解除した後、前記フラッパと前記コロが当接し、前記コロが回転することで摺動音の発生を抑制することを特徴とする請求項2記載の動力伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−157326(P2008−157326A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345257(P2006−345257)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】