説明

動力伝達装置

【課題】オイルポンプの漏れ油により潤滑対象を良好に潤滑しつつ、当該漏れ油がブリーザ機構を介してケース外に排出されるのを良好に抑制する。
【解決手段】動力伝達装置20では、変速装置30と対向する開口を有すると共にブリーザプラグ60のケース側開口60oと連通する通気穴42oと、オイルポンプ40の漏れ油を潤滑対象であるスラスト軸受76へと案内する作動油排出孔42aとがオイルポンプ40の構成部材であるポンプカバー42に形成されており、通気穴42oの開口は、トランスミッションケース22の内部と通気穴42oの内部とを連通させる連通孔51bを有するカバー部材50に覆われ、カバー部材50により作動油排出孔42aから変速装置30に向けた作動油の吹き出しが規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルポンプと、当該オイルポンプに並設される変速機構と、オイルポンプと変速機構とを収容するケースと、当該ケース内の空間を外気に連通させるブリーザ機構とを含む動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の動力伝達装置として、変速機ケースに固定されたポンプボデーおよびポンプカバーと、ポンプボデーとポンプカバーとにより形成されたオイルポンプ収容室内に収容されるオイルポンプと、ポンプボデーとポンプカバーとの合わせ面かつポンプボデーのオイルポンプ収容室の外周に形成されると共に連通孔を介して変速機ケース内部と連通するブリーザ通路と、ブリーザ通路から外部へ通じるブリーザ穴と、ポンプボデーとポンプカバーとの合わせ面かつオイルポンプ収容室の外周壁とブリーザ穴との間に形成され、オイルポンプからのリークオイルを捕集するリークオイル捕集室と、当該リークオイル捕集室と変速機ケース内部との間に形成され、リークオイル捕集室に捕集されたオイルを変速機ケース内部に戻すドレーン穴とを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この動力伝達装置において、リークオイル捕集室に捕集されたオイルは、ドレーン穴や変速機ケースの内部を介してオイルパンへと戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−273621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような動力伝達装置では、オイルパンやケース内の下部にオイルが滞留することから、動力伝達装置の姿勢が変化したときにケース内のオイルがブリーザ通路内に入り込まないよう、ケース内部とブリーザ通路とを連通させる連通孔をできるだけ上方に配置することが好ましい。また、上記従来の動力伝達装置のように、オイルポンプのリークオイル(漏れ油)をオイルパンへと戻す代わりに、当該リークオイルを潤滑油として用いれば、その分だけ動力伝達装置におけるオイルの総量を減らすことができる。そして、オイルポンプのリークオイルを潤滑対象に良好に供給するためには、リークオイルの排出孔をできるだけ上方に配置し、リークオイルを潤滑対象へと重力により流下させると好ましい。しかしながら、ケース内部とブリーザ通路とを連通させる連通孔と、リークオイルの排出孔との双方をできるだけ上方に配置すると、両者が近接してしまい、オイルポンプからのリークオイルが連通孔を介してブリーザ通路内に入り込み、空気と共にケース外部に排出されてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の動力伝達装置は、オイルポンプの漏れ油により潤滑対象を良好に潤滑しつつ、当該漏れ油がブリーザ機構を介してケース外に排出されるのを良好に抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による動力伝達装置は、上記主目的を達成するために以下の手段を採っている。
【0007】
本発明の動力伝達装置は、オイルポンプと、前記オイルポンプに並設される変速機構と、前記オイルポンプと前記変速機構とを収容するケースと、該ケース内の空間を外気に連通させるブリーザ機構とを含む動力伝達装置であって、前記オイルポンプの構成部材に前記変速機構の回転部材と対向するように形成されると共に、前記ブリーザ機構と連通する通気用の通気穴と、前記通気穴を含む前記構成部材と同一または異なる前記オイルポンプの構成部材に形成されており、前記オイルポンプから圧送される際に漏れる漏れ油を該オイルポンプよりも前記変速機構側に配置された潤滑対象へと案内する漏れ油排出孔と、前記漏れ油排出孔から排出された前記漏れ油が前記回転部材に向けて吹き出すのを規制する規制部材とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の動力伝達装置では、ブリーザ機構と連通する通気用の通気穴が変速機構の回転部材と対向するようにオイルポンプの構成部材に形成されており、オイルポンプから圧送される際に漏れる漏れ油を当該オイルポンプよりも変速機構側に配置された潤滑対象へと案内する漏れ油排出孔が通気穴を含む構成部材と同一または異なるオイルポンプの構成部材に形成されている。そして、規制部材により漏れ油排出孔から排出された漏れ油が変速機構の回転部材に向けて吹き出すことが規制される。これにより、漏れ油排出孔から排出された漏れ油が変速機構の回転部材により跳ね返されてブリーザ機構と連通する通気穴に侵入するのを良好に抑制しつつ、漏れ油を潤滑対象へと良好に供給することが可能となる。従って、本発明の動力伝達装置によれば、オイルポンプの漏れ油により潤滑対象を良好に潤滑しつつ、当該漏れ油がブリーザ機構を介してケース外に排出されるのを良好に抑制することができる。
【0009】
また、前記規制部材は、前記通気穴の前記変速機構側を覆うと共に、前記ケースの内部と前記通気穴とを連通させる連通孔を有してもよい。これにより、規制部材の連通孔を介してケースの内部と通気穴、すなわちブリーザ機構との間で空気の流通を可能としつつ、当該規制部材により漏れ油排出孔から排出された漏れ油が通気穴に侵入するのをより良好に抑制して、漏れ油がブリーザ機構を介してケース外に排出されるのをより良好に抑制することができる。
【0010】
更に、前記漏れ油排出孔は、前記規制部材の前記連通孔よりも前記オイルポンプの径方向における内側に配置されてもよい。これにより、漏れ油排出孔から排出された漏れ油が規制部材の連通孔を介して通気穴に侵入するのをより良好に抑制することができる。
【0011】
また、前記オイルポンプは、ポンプボディと、該ポンプボディよりも前記変速機構側に配置されるポンプカバーとを有してもよく、前記通気穴と前記漏れ油排出孔とは、前記ポンプカバーに形成されてもよい。このように、ポンプボディよりも変速機構側に配置されるオイルポンプの構成部材であるポンプカバーに通気穴と漏れ油排出孔とを形成することにより、通気穴を介してケースの内部とブリーザ機構とを容易に連通させると共に、漏れ油排出孔を介してオイルポンプの漏れ油をケース内の潤滑対象へと容易に供給することができる。
【0012】
更に、前記漏れ油排出孔は、前記ポンプカバーの軸方向に延びると共に前記変速機構に向けて開口してもよく、前記ポンプカバーには、前記漏れ油排出孔の下部と連通すると共に該ポンプカバーの前記変速機構側の面まで前記潤滑対象に向けて延びる漏れ油排出溝が形成されてもよい。これにより、ポンプカバーの軸方向に延びる漏れ油排出孔から排出された漏れ油は、規制部材により変速装置の回転部材に向けて吹き出すのを規制されて漏れ油排出孔の下部へと流下し、当該漏れ油排出孔の下部と連通する漏れ油排出溝により潤滑対象へと案内される。この結果、漏れ油排出孔および漏れ油排出溝を介してオイルポンプの漏れ油を潤滑対象へとより良好に供給することができる。
【0013】
また、前記規制部材は、外周部から前記変速機構に向けて延出された油受部を有してもよい。これにより、ケース内の潤滑油が規制部材の外周側から当該規制部材に向けて流下してきたとしても、規制部材の油受部により潤滑油を受け止めることができるため、ケース内の潤滑油が規制部材の連通孔を介して通気穴に侵入することを良好に抑制することができる。
【0014】
更に、前記規制部材の前記油受部は、幅方向における中央部から両端部に向けて傾斜するように形成されてもよい。これにより、油受部により受け止めた潤滑油をケース下部へとスムースに流下させて、当該潤滑油が規制部材の連通孔を介して通気穴の内部に侵入することを良好に抑制することができる。
【0015】
また、前記変速機構は、前記オイルポンプと対向する回転要素を有してもよく、前記潤滑対象は、前記オイルポンプと前記回転要素との間に配置されるベアリングであってもよい。このようにオイルポンプと対向する回転要素と当該オイルポンプとの間に配置されたベアリングに漏れ油排出孔からの漏れ油を供給する場合に、漏れ油排出孔から変速機構の回転要素に向けて漏れ油が吹き出すのを規制部材により規制することで、漏れ油が回転要素により跳ね飛ばされて規制部材の連通孔を介して通気穴に侵入するのをより良好に抑制しつつ、漏れ油をベアリングへと良好に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例に係る動力伝達装置20を搭載した車両である自動車10の概略構成図である。
【図2】動力伝達装置20の概略構成図である。
【図3】変速装置30の各変速段とクラッチおよびブレーキの作動状態との関係を表す作動表である。
【図4】変速装置30を構成する回転要素間における回転数の関係を例示する共線図である。
【図5】動力伝達装置20の要部を示す拡大断面図である。
【図6】オイルポンプ40を示す斜視図である。
【図7】カバー部材50を示す斜視図である。
【図8】カバー部材50を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明の一実施例に係る動力伝達装置20を搭載した車両である自動車10の概略構成図である。同図に示す自動車10は、後輪駆動車両として構成されており、ガソリンや軽油といった炭化水素系の燃料と空気との混合気の爆発燃焼により動力を出力する内燃機関である原動機としてのエンジン12と、エンジン12を制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)14と、図示しない電子制御式油圧ブレーキユニットを制御するブレーキ用電子制御ユニット(以下、「ブレーキECU」という)15と、流体伝動装置(発進装置)23や有段の変速装置(自動変速機)30、これらに作動油(作動流体)を給排する油圧制御装置70、これらを制御する変速用電子制御ユニット(以下、「変速ECU」という)21等を有し、エンジン12のクランクシャフト16に接続されると共にエンジン12からの動力をデファレンシャルギヤ80を介して左右の駆動輪(後輪)DWに伝達する動力伝達装置20とを備える。
【0019】
図2に示すように、動力伝達装置20は、流体伝動装置23や、変速装置30、油圧発生源としてのオイルポンプ40等を収容するトランスミッションケース22を有する。流体伝動装置23は、流体式トルクコンバータとして構成されており、フロントカバー18を介してエンジン12のクランクシャフト16に接続されるポンプインペラ24や、タービンハブを介して変速装置30のインプットシャフト(入力軸)34に固定されるタービンランナ25、ポンプインペラ24およびタービンランナ25の内側に配置されてタービンランナ25からポンプインペラ24への作動油(ATF)の流れを整流するステータ26、ステータ26の回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ26a、ロックアップクラッチ28等を含む。
【0020】
変速装置30は、6段変速式の変速機として構成されており、図2および図3に示すように、何れもシングルピニオン式遊星歯車である第1遊星歯車機構31、第2遊星歯車機構32、および第3遊星歯車機構33と、インプットシャフト34と、アウトプットシャフト(出力軸)35と、インプットシャフト34からアウトプットシャフト35までの動力伝達経路を変更するための2つのクラッチC1およびC2と3つのブレーキB1,B2およびB3とワンウェイクラッチF1とを含む。第1〜第3遊星歯車機構31〜33とクラッチC1,C2とブレーキB1〜B3とワンウェイクラッチF1とは、図示するように、トランスミッションケース22の内部に収容される。また、変速装置30のインプットシャフト34は、流体伝動装置23を介してエンジン12のクランクシャフトに連結され、アウトプットシャフト35は、デファレンシャルギヤ80(図1参照)を介して駆動輪DWに連結される。
【0021】
第1、第2および第3遊星歯車機構31〜33の中で最もエンジン12側(車両前方)すなわち最もインプットシャフト34に近接して配置されて後段の第2遊星歯車機構32と共に変速ギヤ機構を構成する第1遊星歯車機構31は、外歯歯車である第1サンギヤ31sと、第1サンギヤ31sと同心円上に配置される内歯歯車である固定可能要素としての第1リングギヤ31rと、第1サンギヤ31sと噛合すると共に第1リングギヤ31rと噛合する複数の第1ピニオンギヤ31pを自転かつ公転自在に保持する第1キャリア31cとを有する。第1遊星歯車機構31の第1サンギヤ31sは、インプットシャフト34と一体に回転可能なクラッチC1のクラッチドラムに連結(スプライン嵌合)される環状の連結ドラム36に固定される。
【0022】
また、第1遊星歯車機構31のアウトプットシャフト35側(車両後方側)に並設される第2遊星歯車機構32は、外歯歯車である第2サンギヤ32sと、第2サンギヤ32sと同心円上に配置される内歯歯車である固定可能要素としての第2リングギヤ32rと、第2サンギヤ32sと噛合すると共に第2リングギヤ32rと噛合する複数の第2ピニオンギヤ32pを自転かつ公転自在に保持する第2キャリア32cとを有する。第2遊星歯車機構32の第2サンギヤ32sは、インプットシャフト34とアウトプットシャフト35との間に両者に対して回転自在に配置される中間シャフト37に固定される。第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rは、第1遊星歯車機構31の第1キャリア31cに連結される。第2遊星歯車機構32の第2キャリア32cは、中間シャフト37により同軸かつ回転自在に支持されるスリーブ38に固定される。
【0023】
更に、第1〜第3遊星歯車機構31〜33の中で最もアウトプットシャフト35に近接して(車両後方に)配置される減速ギヤ機構としての第3遊星歯車機構33は、外歯歯車である第3サンギヤ33sと、第3サンギヤ33sと同心円上に配置される内歯歯車である固定可能要素としての第3リングギヤ33rと、第3サンギヤ33sと噛合すると共に第3リングギヤ33rと噛合する複数の第3ピニオンギヤ33pを自転かつ公転自在に保持する第3キャリア33cとを有する。第3遊星歯車機構33の第3サンギヤ33sは、中間シャフト37に固定されて第2遊星歯車機構32の第2サンギヤ32sと連結され、第3遊星歯車機構33の第3リングギヤ33rは、第2遊星歯車機構32の第2キャリア32cに連結され、第3遊星歯車機構33の第3キャリア33cは、アウトプットシャフト35に連結される。
【0024】
クラッチC1は、インプットシャフト34と中間シャフト37すなわち第2遊星歯車機構32の第2サンギヤ32sおよび第3遊星歯車機構33の第3サンギヤ33sとを連結すると共に両者の連結を解除することができる多板式油圧クラッチである。クラッチC2は、インプットシャフト34とスリーブ38すなわち第2遊星歯車機構32の第2キャリア32cとを連結すると共に両者の連結を解除することができる多板式油圧クラッチである。ワンウェイクラッチF1は、第2遊星歯車機構32の第2キャリア32cおよび第3遊星歯車機構33の第3リングギヤ33rの正転のみを許容して逆転を規制するものである。
【0025】
ブレーキB1は、第1遊星歯車機構31の第1リングギヤ31rをトランスミッションケース22に対して固定すると共に第1リングギヤ31rのトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる多板式油圧ブレーキである。ブレーキB2は、第1遊星歯車機構31の第1キャリア31cをトランスミッションケース22に対して固定することで第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rをトランスミッションケース22に対して固定すると共に、第1キャリア31cおよび第2リングギヤ32rのトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる多板式油圧ブレーキである。ブレーキB3は、第2遊星歯車機構32の第2キャリア32cと第3遊星歯車機構33の第3リングギヤ33rとをトランスミッションケース22に対して固定すると共に第2キャリア32cおよび第3リングギヤ33rのトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる多板式油圧ブレーキである。
【0026】
上述のクラッチC1およびC2並びにブレーキB1〜B3は、油圧制御装置70による作動油の給排を受けて動作する。図3に変速装置30の各変速段とクラッチC1およびC2並びにブレーキB1〜B3の作動状態との関係を表す作動表を示し、図4に変速装置30を構成する回転要素間における回転数の関係を例示する共線図を示す。変速装置30は、クラッチC1およびC2並びにブレーキB1〜B3を図3の作動表に示す状態とすることで図4に示すように前進第1速〜第6速の変速段と後進1段の変速段とを提供する。
【0027】
図5は、動力伝達装置20の要部を示す拡大断面図であり、図6は、オイルポンプ40を示す斜視図である。これらの図面に示すように、油圧発生源としてのオイルポンプ40は、ポンプボディ41とポンプカバー42とからなるポンプアッセンブリと、円筒状のハブ29を介して流体伝動装置23のポンプインペラ24に接続された外歯ギヤ43と、外歯ギヤ43の外側に配置された内歯ギヤ44とを備えたギヤポンプとして構成されており、図示しない油路を介して油圧制御装置70に接続される。
【0028】
オイルポンプ40のポンプボディ41は、略円環形状を有し、ハブ29の内周部に挿通される内周部411と、当該内周部411から径方向外側に向けて延びる外周部412とを含む。ポンプボディ41の内周部411は、ラジアル軸受75を介してハブ29により支持される。また、内周部411には、周方向に間隔をおいて複数の締結孔411aが形成されている。ポンプボディ41の外周部412には、変速装置30側で径方向に延びる当接面412aが形成されており、外周部412は、当接面412aがトランスミッションケース22に形成された段部22aと当接するようにトランスミッションケース22の内周に嵌合される。そして、外周部412には、周方向に間隔をおいて複数の締結孔412bが形成されており、ポンプボディ41は、当該複数の締結孔412bに挿通されるボルトを介してトランスミッションケース22に締結される。また、ポンプボディ41は、内周部411の内周面から径方向外側に向けて延びる第1凹部41aと、当該第1凹部41aの外周よりも径方向外側に向けて延びる第2凹部41bとを有する。
【0029】
ポンプカバー42は、円筒状に形成された内周部421と、当該内周部421の一端側(図5に示す左側)から径方向外側に向けて延出された外周部422とを含む。ポンプカバー42の内周部421は、インプットシャフト34と一体回転可能となるようにスリーブ74を介して当該インプットシャフト34に固定される。また、ポンプカバー42の外周部422は、流体伝動装置23側の面がポンプボディ41の変速装置30側の面と当接するようにポンプボディ41の第2凹部41bに嵌合される。そして、ポンプカバー42の外周部422には、ポンプボディ41の内周部411に形成された複数の締結孔411aと対応するように複数の締結孔422aが形成されており、ポンプカバー42は、締結孔422aおよび締結孔411aに挿通される図示しないボルトを介してポンプボディ41に締結される。また、ポンプカバー42の内周部421は、クラッチC2のクラッチドラム90が連結されたスリーブ81を回転自在に支持しており、当該スリーブ81とポンプカバー42の外周部422との間には、スラスト軸受76が配置される。
【0030】
外歯ギヤ43は、ポンプボディ41の第1凹部41a内に配置され、ポンプボディ41とポンプカバー42とにより回転自在に保持される。外歯ギヤ43の内周部は、上述のように、ハブ29を介して流体伝動装置23のポンプインペラ24に接続される。内歯ギヤ44は、外歯ギヤ43と噛合うようにポンプボディ41の第1凹部41a内に配置され、ポンプボディ41とポンプカバー42とにより回転自在に保持される。
【0031】
また、ポンプボディ41の内周部411の流体伝動装置23側の端部とハブ29との間に画成された空間410には、シール部材77が配置される。そして、ポンプボディ41の内部には、シール部材77が配置された空間410から内周部411の内部を斜めに延びると共に、軸方向に延びて変速装置30に向けて開口するボディ内油路41cが形成されている。更に、ポンプカバー42には、ポンプボディ41のボディ内油路41cと連通すると共に軸方向に延びて変速装置30に向けて開口する作動油排出孔42aと、当該作動油排出孔42aの下部と連通すると共にポンプカバー42の変速装置30側の面までスラスト軸受76に向けて延びる作動油排出溝42bが形成されている。
【0032】
更に、実施例の動力伝達装置20では、トランスミッションケース22内の圧力を調整するブリーザプラグ60が当該トランスミッションケース22に装着されている。ブリーザプラグ60は、トランスミッションケース22を貫通するように配置され、図示しない通気管を介して一端が大気解放される通気路60aを内部に有する。通気路60aの他端には、トランスミッションケース22に形成されたケース内通気路22oの内側で開口するケース側開口60oが形成されている。トランスミッションケース22に形成されたケース内通気路22oは、軸方向に延びると共に、オイルポンプ40のポンプボディ41の外周部412の当接面412aと当接する段部22aで開口する。そして、オイルポンプ40を構成するポンプボディ41およびポンプカバー42には、ケース内通気路22oを介してブリーザプラグ60のケース側開口60oとトランスミッションケース22の内部とを連通させるボディ内通気路41oおよび通気穴42oが形成されている。ここで、少なくともブリーザプラグ60、ケース内通気路22oおよびボディ内通気路41oは、トランスミッションケース22内の空間を外気に連通させるブリーザ機構を構成する。
【0033】
ボディ内通気路41oは、ポンプボディ41の外周部412から径方向内側に向けて延びるように当該ポンプボディ41の内部に形成され、外周部412の当接面412aで変速装置30側に向けて開口すると共に、ポンプボディ41の第2凹部41bの外周面よりも内周側かつボディ内油路41cの開口部よりも外周側で変速装置30側に向けて開口する。これにより、ボディ内通気路41oは、トランスミッションケース22に形成されたケース内通気路22oと連通する。また、通気穴42oは、作動油排出孔42aや作動油排出溝42bから少なくとも周方向に間隔をおいてポンプカバー42の外周部422の変速装置30側に形成された凹部であり、ポンプカバー42に形成された連通孔420oを介してポンプボディ41のボディ内通気路41oと連通する。
【0034】
そして、ポンプカバー42には、通気穴42oの開口を覆うように、カバー部材50が固定される。図7および図8は、カバー部材50を示す斜視図である。図4〜図8に示すように、カバー部材50は、略扇形状に形成されると共にポンプカバー42と共にポンプボディ41に締結される基部51と、当該基部51の上縁部から概ね垂直に延出された油受部52とからなる。カバー部材50は、基部51がポンプカバー42の外周部422の変速装置30側の面に当接するように配置される。そして、基部51には、ポンプカバー42の複数の締結孔422a、ポンプボディ41の複数の締結孔411aに対応した位置に複数の締結孔51aが形成されており、複数の締結孔51a,422aおよび411aに挿通されるボルトを介してポンプカバー42と共にポンプボディ41に締結される。また、カバー部材50の基部51は、カバー部材50をポンプボディ41およびポンプカバー42に締結したときに、ポンプカバー42の作動油排出孔42aの少なくとも一部(上部)を覆うことができるように形成される。
【0035】
更に、カバー部材50の基部51には、図6〜図8に示すように、連通孔51bが形成されている。そして、基部51のオイルポンプ40側と反対側の面には、連通孔51bを覆うように作動油侵入規制壁51cが形成されている。作動油侵入規制壁51cは、図5における右側からみて、動力伝達装置20の作動時におけるクラッチC2のクラッチドラム90の回転方向に概ね沿った方向に開口する。これにより、ポンプカバー42に形成された通気穴42oがカバー部材50の連通孔51bを介してトランスミッションケース22の内部と連通する。カバー部材50がポンプカバー42に固定された際に、連通孔51bは、ポンプカバー42の作動油排出孔42aよりもオイルポンプ40の径方向における外側に位置する。
【0036】
この結果、トランスミッションケース22のケース内通気路22o、ポンプボディ41のボディ内通気路41o、ポンプカバー42の連通孔420o、通気穴42oおよびカバー部材50の連通孔51bを介してトランスミッションケース22の内部とブリーザプラグ60のケース側開口60oとを連通させることができる。従って、カバー部材50の連通孔51bを介してトランスミッションケース22の内部と通気穴42oの内部、すなわちブリーザプラグ60のケース側開口60oとの間で空気の流通を可能とし、一端が大気開放されたブリーザプラグ60の通気路60aを介してトランスミッションケース22内の圧力を良好に調整することが可能となる。
【0037】
また、カバー部材50の油受部52は、略扇形状の基部51の上縁部から概ね垂直に延出されることから、幅方向における中央部から両端部に向けて傾斜するような形状を有する。そして、油受部52は、基部51と反対側の端部に径方向外側に向けて延びる延出部52aを有する。これにより、油受部52は、トランスミッションケース22の上側(図5における上側)の内周面を伝ってポンプカバー42とクラッチC2のクラッチドラム90との間に滴下する作動油を良好に受け止めることができる。
【0038】
次に、上述のように構成された動力伝達装置20の動作について説明する。
【0039】
実施例の動力伝達装置20において、エンジン12の運転に伴って流体伝動装置23のポンプインペラ24が回転すると、ポンプインペラ24に連結されたハブ29も回転し、オイルポンプ40の外歯ギヤ43が回転する。これにより、外歯ギヤ43と噛合する内歯ギヤ44も回転することになり、オイルポンプ40は、当該外歯ギヤ43および内歯ギヤ44の回転により例えばポンプカバー42に形成された吸入油路、ストレーナ等を介してオイルパン(作動油貯留部)に貯留された作動油を吸引すると共に、昇圧した作動油を図示しない吐出口から吐出し、例えばポンプカバー42に形成された吐出油路を介して油圧制御装置70に供給する。
【0040】
この際、外歯ギヤ43および内歯ギヤ44の回転により圧送される作動油の一部がオイルポンプ40の漏れ油としてポンプボディ41の内周部411とハブ29との隙間へと流れ込み、ラジアル軸受75の隙間を介して空間410へと流入することがある。また、流体伝動装置23の流体伝動室からの作動油がハブ29とスリーブ74との隙間を介してオイルポンプ40の外歯ギヤ43の内周へと流れ込むことがあり、このように外歯ギヤ43の内周へと流れ込んだ作動油も、オイルポンプ40の漏れ油と同様にポンプボディ41の内周部411とハブ29との隙間へと流れ、ラジアル軸受75の隙間を介して空間410へと流入する。
【0041】
このため、実施例の動力伝達装置20では、当該空間410を画成するポンプボディ41の内周部411の端部とハブ29との間にシール部材77が配置される。これにより、空間410へと流れ込んだ作動油がポンプボディ41の外側へと漏れ出すのを良好に抑制することができる。そして、空間410へと流れ込んだ作動油は、それ自体の圧力により、図5における白抜き矢印に示すように、ポンプボディ41のボディ内油路41cを介してポンプカバー42の作動油排出孔42aへと流入する。これにより、空間410内に多量の作動油が留まらないようにして、ポンプボディ41の外部へと作動油が漏れ出すのを良好に抑制することができる。また、このようなオイルポンプ40からの漏れ油を潤滑油として用いれば、その分だけ動力伝達装置20における作動油の総量を減らすことができる。
【0042】
そして、ポンプカバー42の通気穴42oの開口を覆うカバー部材50が作動油排出孔42aの少なくとも一部(上部)を覆うように配置されることから、作動油排出孔42aに流入した作動油は、図5における白抜き矢印に示すように、カバー部材50の基部51により変速装置30側、すなわちクラッチC2のクラッチドラム90側へと噴出するのが規制され、下方の作動油排出溝42bに流下してスラスト軸受76へと案内されることになる。これにより、オイルポンプ40の漏れ油によりスラスト軸受76を良好に潤滑しつつ、回転体であるクラッチC2のクラッチドラム90により作動油がポンプカバー42側へと跳ね返されないようにして、作動油がポンプカバー42の通気穴42o内に侵入するのを良好に抑制することができる。
【0043】
また、作動油排出孔42aや作動油排出溝42bからの作動油や、トランスミッションケース22の上側(図5中の上側)の内周面を伝ってクラッチドラム90に向けて流下した作動油がポンプカバー42側に向けてクラッチドラム90により跳ね飛ばされたとしても、ポンプカバー42の通気穴42oの開口をカバー部材50により覆うことで、通気穴42o内への作動油の侵入を抑制することが可能となる。更に、カバー部材50の基部51のオイルポンプ40側と反対側の面に、カバー部材50に形成された連通孔51bを覆うように作動油侵入規制壁51cを形成すると共に、当該作動油侵入規制壁51cを動力伝達装置20の作動時におけるクラッチC2のクラッチドラム90の回転方向に概ね沿った方向に開口させることで、クラッチドラム90の回転により跳ね飛ばされる作動油が連通孔51bを介して通気穴42o内に侵入するのをより良好に抑制することができる。
【0044】
また、トランスミッションケース22の上側(図5中の上側)の内周面を伝ってクラッチドラム90に向けて流下した作動油は、カバー部材50に形成された油受部52に受け止められ、油受部52の表面に沿ってトランスミッションケース22の下部へと流れる。これにより、作動油がクラッチC2のクラッチドラム90側へと流下するのを抑制し、回転体であるクラッチC2のクラッチドラム90により作動油がポンプカバー42側へと跳ね飛ばされないようにして、作動油がポンプカバー42の通気穴42o内に侵入するのを良好に抑制することができる。
【0045】
以上説明したように、実施例の動力伝達装置20では、ケース内通気路22oおよびボディ内通気路41oを介してブリーザプラグ60のケース側開口60oと連通する通気用の通気穴42oがオイルポンプ40の構成部材であるポンプカバー42に変速装置30の回転部材であるクラッチドラム90に対向するように形成されており、少なくともオイルポンプ40から圧送される際に漏れる漏れ油を当該オイルポンプ40よりも変速装置30側に配置された潤滑対象であるスラスト軸受76へと案内する作動油排出孔42aが通気穴42oを含むポンプカバー42に形成されている。そして、規制部材としてのカバー部材50(規制部材)により作動油排出孔42aから排出された漏れ油が変速機構30のクラッチドラム90に向けて吹き出すことが規制される。これにより、作動油排出孔42aから排出された漏れ油が変速機構30のクラッチドラム90により跳ね返されてブリーザプラグ60のケース側開口60oと連通する通気穴42oに侵入するのを良好に抑制しつつ、漏れ油をスラスト軸受76へと良好に供給することが可能となる。この結果、オイルポンプ40の漏れ油により潤滑対象を良好に潤滑しつつ、当該漏れ油がブリーザプラグ60、ケース内通気路22oおよびボディ内通気路41oを含むブリーザ機構を介してトランスミッションケース22の外に排出されるのを良好に抑制することができる。
【0046】
また、上記実施例では、カバー部材50は、通気穴42oの変速機構30側の開口を覆うと共に、トランスミッションケース22の内部と通気穴42oとを連通させる連通孔51bを有する。これにより、カバー部材50の連通孔51bを介してトランスミッションケース22の内部と通気穴42o、すなわちブリーザプラグ60のケース側開口60oとの間で空気の流通を可能としつつ、当該カバー部材50により作動油排出孔42aから排出された漏れ油が通気穴42oに侵入するのをより良好に抑制して、漏れ油がブリーザプラグ60を含むブリーザ機構を介してトランスミッションケース22の外部に排出されるのをより良好に抑制することができる。ただし、通気穴42oの開口を覆うカバー部材と、作動油排出孔42aから変速装置30に向けた作動油の吹き出しを規制する部材とを別体化してもよい。
【0047】
更に、上記実施例では、作動油排出孔42aがカバー部材50の連通孔51bよりもオイルポンプ40の径方向における内側に配置される。これにより、作動油排出孔42aから排出された作動油がカバー部材50の連通孔51bを介して通気穴42oに侵入するのをより良好に抑制することができる。
【0048】
また、上記実施例において、オイルポンプ40は、ポンプボディ41と、当該ポンプボディ41よりも変速装置30側に配置されるポンプカバー42とを有し、通気穴42oと作動油排出孔42aとがポンプカバー42に形成される。このように、ポンプボディ41よりも変速装置30側に配置されるオイルポンプ40の構成部材であるポンプカバー42に通気穴42oと作動油排出孔42aとを形成することで、通気穴42oを介してトランスミッションケース22の内部とブリーザ機構すなわちブリーザプラグ60のケース側開口60oとを容易に連通させると共に、作動油排出孔42aを介してオイルポンプ40の漏れ油をスラスト軸受76といったトランスミッションケース22内の潤滑対象へと容易に供給することができる。ただし、オイルポンプの構成によっては、通気凹部および漏れ油排出孔の少なくとも何れか一方がポンプボディに形成されてもよく、通気凹部が形成されるオイルポンプの構成部材と、漏れ油排出孔が形成されるオイルポンプの構成部材とが同一である必要はない。
【0049】
更に、作動油排出孔42aは、ポンプカバー42の軸方向に延びると共に変速装置30に向けて開口し、ポンプカバー42には、作動油排出孔42aの下部と連通すると共に当該ポンプカバー42の変速装置30側の面まで潤滑対象であるスラスト軸受76に向けて延びる作動油排出溝42bが形成される。これにより、作動油排出孔42aから排出された作動油は、カバー部材50により変速装置30のクラッチドラム90に向けて吹き出すのを規制された後、作動油排出孔42aの下部と連通する作動油排出溝42bによりスラスト軸受76へと案内される。この結果、作動油排出孔42aおよび作動油排出溝42bを介してオイルポンプ40の漏れ油を潤滑対象であるスラスト軸受76へとより良好に供給することができる。
【0050】
また、上記実施例において、カバー部材50が上縁部(外周部)から変速装置30に向けて延出された油受部52を有しているので、トランスミッションケース22内の作動油がカバー部材50の外周側から当該カバー部材50に向けて流下してきたとしても、カバー部材50の油受部52により作動油を受け止めることができるため、トランスミッションケース22内の作動油がカバー部材50の連通孔51bを介して通気穴42oに侵入することを良好に抑制することができる。また、カバー部材50の油受部52を幅方向における中央部から両端部に向けて傾斜するように形成すれば、油受部52により受け止めた作動油をトランスミッションケース22内の下部へとスムースに流下させて、当該作動油がカバー部材50の連通孔51bを介して通気穴42oに侵入することを良好に抑制することができる。
【0051】
更に、変速装置30は、オイルポンプ40と対向する回転要素としてクラッチC2のクラッチドラム90を有しており、クラッチドラム90が連結されるスリーブ81とポンプカバー42(外周部422)との間に配置されるスラスト軸受76には、オイルポンプ40からの漏れ油が潤滑油として供給される。このようにオイルポンプ40と対向するクラッチドラム90と当該オイルポンプ40との間に配置されたスラスト軸受76に作動油排出孔42aからの漏れ油を供給する場合に、作動油排出孔42aから変速装置30のクラッチドラム90に向けて作動油が吹き出すのを規制部材としてのカバー部材50により規制することで、作動油がクラッチドラム90により跳ね飛ばされてカバー部材50の連通孔51bを介して通気穴42o内に侵入するのをより良好に抑制しつつ、漏れ油をスラスト軸受76へと良好に供給することができる。
【0052】
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。すなわち、上記実施例では、オイルポンプ40が「オイルポンプ」に相当し、オイルポンプ40に並設される変速装置30が「変速機構」に相当し、オイルポンプ40と変速装置30とを収容するトランスミッションケース22が「ケース」に相当し、トランスミッションケース22に装着されてトランスミッションケース22内の空間を外気に連通させるブリーザプラグ60、ブリーザプラグ60のケース側開口60oと連通するケース内通気路22o、およびボディ内通気路41oが「ブリーザ機構」に相当し、オイルポンプ40の構成部材であるポンプカバー42に変速装置30の回転部材であるクラッチドラム90と対向して形成されると共に、ケース内通気路22oおよびボディ内通気路42oを介してブリーザプラグ60のケース側開口60oと連通する通気用の通気穴42oが「通気穴」に相当し、通気穴42oを含むポンプカバー42に形成されており、オイルポンプ40から圧送される際に漏れる漏れ油をオイルポンプ40よりも変速装置30側に配置された潤滑対象であるスラスト軸受76へと案内する作動油排出孔42aが「漏れ油排出孔」に相当し、作動油排出孔42aから排出された漏れ油がクラッチドラム90に向けて吹き出すのを規制すると共に、通気穴42oの変速機構30側を覆うと共に、トランスミッションケース22の内部と通気穴42oとを連通させる連通孔51bを有するカバー部材50が「規制部材」に相当し、作動油排出孔42aの下部と連通すると共にポンプカバー42の変速装置30側の面までスラスト軸受76に向けて延びるようにポンプカバー42に形成された作動油排出溝42bが「漏れ油排出溝」に相当する。
【0053】
ただし、上記実施例や変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例等が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であって、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。すなわち、実施例はあくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一例に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の解釈は、その欄の記載に基づいて行なわれるべきものである。
【0054】
以上、実施例を用いて本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、動力伝達装置の製造産業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
10 自動車、12 エンジン、16 クランクシャフト、18 フロントカバー、20 動力伝達装置、22 トランスミッションケース、22a 段部、22o ケース内通気路、23 流体伝動装置、24 ポンプインペラ、25 タービンランナ、26 ステータ、26a ワンウェイクラッチ、28 ロックアップクラッチ、29 ハブ、30 変速装置、31 第1遊星歯車機構、31c 第1キャリア、31p 第1ピニオンギヤ、31r 第1リングギヤ、31s 第1サンギヤ、32 第2遊星歯車機構、32c 第2キャリア、32p 第2ピニオンギヤ、32r 第2リングギヤ、32s 第2サンギヤ、33 第3遊星歯車機構、33c 第3キャリア、33p 第3ピニオンギヤ、33r 第3リングギヤ、33s 第3サンギヤ、34 インプットシャフト、35 アウトプットシャフト、36 連結ドラム、37 中間シャフト、38 スリーブ、40 オイルポンプ、41 ポンプボディ、41a 第1凹部、41b 第2凹部、41c ボディ内油路、41o ボディ内通気路、42 ポンプカバー、42a 作動油排出孔、42b 作動油排出溝、42o 通気穴、43 外歯ギヤ、44 内歯ギヤ、50 カバー部材、51 基部、51a 締結孔、51b 連通孔、51c 作動油侵入規制壁、52 油受部、52a 延出部、60 ブリーザプラグ、60a 通気路、60o ケース側開口、70 油圧制御装置、74 スリーブ、75 ラジアル軸受、76 スラスト軸受、77 シール部材、80 デファレンシャルギヤ、81 スリーブ、90 クラッチドラム、410 空間、411 内周部、411a 締結孔、412 外周部、412a 当接面、412b 締結孔、420o 連通孔、421 内周部、422 外周部、422a 締結孔、B1,B2,B3 ブレーキ、C1,C2 クラッチ、F1 ワンウェイクラッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルポンプと、前記オイルポンプに並設される変速機構と、前記オイルポンプと前記変速機構とを収容するケースと、該ケース内の空間を外気に連通させるブリーザ機構とを含む動力伝達装置であって、
前記オイルポンプの構成部材に前記変速機構の回転部材と対向するように形成されると共に、前記ブリーザ機構と連通する通気用の通気穴と、
前記通気穴を含む前記構成部材と同一または異なる前記オイルポンプの構成部材に形成されており、前記オイルポンプから圧送される際に漏れる漏れ油を該オイルポンプよりも前記変速機構側に配置された潤滑対象へと案内する漏れ油排出孔と、
前記漏れ油排出孔から排出された前記漏れ油が前記回転部材に向けて吹き出すのを規制する規制部材と、
を備えることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の動力伝達装置において、
前記規制部材は、前記通気穴の前記変速機構側を覆うと共に、前記ケースの内部と前記通気穴とを連通させる連通孔を有することを特徴とする動力伝達装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の動力伝達装置において、
前記漏れ油排出孔は、前記規制部材の前記連通孔よりも前記オイルポンプの径方向における内側に配置されることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の動力伝達装置において、
前記オイルポンプは、ポンプボディと、該ポンプボディよりも前記変速機構側に配置されるポンプカバーとを有し、
前記通気穴と前記漏れ油排出孔とは、前記ポンプカバーに形成されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項5】
請求項4に記載の動力伝達装置において、
前記漏れ油排出孔は、前記ポンプカバーの軸方向に延びると共に前記変速機構に向けて開口し、
前記ポンプカバーには、前記漏れ油排出孔の下部と連通すると共に該ポンプカバーの前記変速機構側の面まで前記潤滑対象に向けて延びる漏れ油排出溝が形成されることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の動力伝達装置において、
前記規制部材は、外周部から前記変速機構に向けて延出された油受部を有することを特徴とする動力伝達装置。
【請求項7】
請求項6に記載の動力伝達装置において、
前記規制部材の前記油受部は、幅方向における中央部から両端部に向けて傾斜するように形成されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載の動力伝達装置において、
前記変速機構は、前記オイルポンプと対向する回転要素を有し、
前記潤滑対象は、前記オイルポンプと前記回転要素との間に配置されるベアリングであることを特徴とする動力伝達装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−96560(P2013−96560A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242900(P2011−242900)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】