説明

動力源補給制御装置、動力源補給制御方法および動力源補給制御プログラム

【課題】利用者毎に変動し得る走行予定に対応して動力源を利用する際のコストを抑えることができなかった。
【解決手段】自車両の走行予定を示す走行予定情報を取得し、前記自車両を駆動するための動力源を補給する際の時刻毎の補給単価を示す補給単価情報を取得し、前記動力源の残量を示す残量情報を取得し、前記走行予定情報に基づいて前記走行予定を走行するために必要な動力源の量を特定し、前記残量情報と前記補給単価情報とに基づいて最も低コストで前記必要な動力源の量を確保するように前記動力源の補給タイミングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻や動力源の種類によって補給単価が異なり得る動力源を利用する車両において動力源の補給タイミングを制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電力など、商用のエネルギーにおいては、時刻毎にその取得単価が異なる場合がある。このため、深夜の所定時刻になるまで充電を行わず、当該所定時刻に達した段階で充電を行うことによって電力コストを削減する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−120857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術においては、利用者毎に変動し得る走行予定に対応して動力源を利用する際のコストを抑えることができなかった。
すなわち、自車両における走行予定によっては、動力源の取得コストが安価な時刻に達する前に動力源を補給する必要が生じる場合がある。しかし、従来の技術は単に深夜の所定時刻に動力源を補給する構成であるため深夜時間帯にならないと充電を行うことができず、走行予定を走行する間に動力源が不足することもある。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、利用者毎に変動し得る走行予定に対応して動力源を利用する際のコストを抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するため、本発明においては、走行予定情報と残量情報と補給単価情報とに基づいて走行予定を走行するために必要な動力源を補給する補給タイミングを制御する。すなわち、自車両における走行予定は当該走行予定を走行する際に必要な動力源の使用量に一対一に対応しているので、当該走行予定を走行するために必要な動力源の量を特定する。また、動力源の補給コストは時刻毎が異なるので、その補給コストを抑えられる補給タイミングを特定し、補給タイミングを制御する。
【0005】
走行予定取得手段においては、少なくとも自車両における現在時刻以降の走行予定を示す走行予定情報を取得することができればよく、この走行予定は予測であってもよいし、確定的な予定であってもよい。例えば、前者は自車両における走行履歴の統計に基づいて特定することができるし、後者は利用者によって入力された情報を取得したり、経路探索の結果得られた走行予定を示す情報を取得することによって特定することができる。
【0006】
なお、動力源は自車両に対して当該自車両を駆動するためのエネルギーを供給することができればよく、例えば、モータによって駆動する自車両における電力や内燃機関によって駆動する自車両における液体燃料等が挙げられる。この場合、電力と液体燃料とのそれぞれについて、単位走行距離を走行するために必要な量の補給単価を示す情報を含むように前記補給単価情報を構成する。この構成によれば、両者の補給単価を時刻毎に比較することが可能となり、最も低コストで必要な動力源の量を確保するように動力源の補給タイミングを制御することが可能になる。むろん、補給単価情報は、動力源毎,時刻毎の補給単価を比較する情報であればよく、補給単価自体の他、補給単価の比を示す情報等であってもよい。
【0007】
また、走行予定を走行するために必要な動力源の量は、各種の形態によって定義することが可能である。例えば、ある走行予定における走行距離と当該走行距離を走行するために必要な動力源の量とが一対一に対応していると考えて、各走行予定における走行距離をその走行距離を走行するための動力源の量と定義することが可能である。また、ある走行予定を走行する際に消費する動力源の量を直接的に(例えば、電力量や燃料の体積や各動力源の消費エネルギー等)規定してもよい。
【0008】
むろん、走行予定に含まれる高低差やカーブの数等の要素によって動力源の量が変動し得る場合に、これらの要素に応じて走行予定を走行するために必要な動力源の量を変動させてもよいし、これらの要素による影響が軽微であるとして無視することも可能である。さらに、動力源の量はある単位量(例えば、単位走行距離)について規定しておき、当該単位量に基づいて走行予定を走行するために必要な動力源の量を特定してもよいし、走行予定に向けて走行した場合に使用した動力源の履歴等に基づいて特定してもよく、種々の構成を採用可能である。
【0009】
補給単価情報取得手段は、自車両を駆動するための動力源を補給する際の補給単価を時刻毎に定義した補給単価情報を取得することができればよい。すなわち、商用の動力源を自車両に補給する際にはその取得コストを単価として定義することができるが、時刻毎にその単価が異なる場合があり得るので、この場合には当該時刻毎に異なる単価として補給単価を定義する。
【0010】
なお、動力源は時刻毎に補給単価を定義し得る状況にあればよいので、自車両において時刻毎に補給単価を定義し得る動力源が1種類以上使用可能であればよいが、むろん、2種類以上の動力源を使用可能な状況であってもよい。むろん、動力源が複数種類ある場合には各種類について補給単価を特定するが、時刻によって補給単価が変動しない動力源が存在する場合には、その動力源については全時刻についての補給単価を特定して補給単価情報とすればよい。
【0011】
残量情報は、自車両における動力源の残量を示す情報であればよく、少なくとも補給タイミングを調整して動力源の補給コストを変動させ得る動力源についての残量を含む。すなわち、時刻毎に補給単価が定義された動力源についての残量を示す情報を含む。また、残量を示す情報は、走行予定を走行する際に必要な動力源の量と比較し得る形態で定義されていればよく、残量を直接的に示す情報の他、その残量で走行可能な走行距離であってもよい。
【0012】
補給タイミング制御手段は、走行予定情報と残量情報と補給単価情報とに基づいて、走行予定を走行するために必要な動力源を補給する補給タイミングを制御することによって、利用者毎に変動し得る走行予定に対応して動力源を利用する際のコストを抑えることができればよい。従って、走行予定情報と残量情報と補給単価情報とに基づいて特定した任意のタイミングにて動力源の補給部(例えば、動力源が電力である場合の充電器)を制御することができればよい。
【0013】
また、補給タイミングを制御することによって動力源の補給コストを抑えるための構成例として、走行予定情報に基づいて前記走行予定を走行するために必要な動力源の量を特定し、残量情報と補給単価情報とに基づいて最も低コストで必要な動力源の量を確保するように動力源の補給タイミングを制御する構成を採用してもよい。すなわち、自車両における走行予定は当該走行予定を走行する際に必要な動力源の使用量に一対一に対応しているので、当該走行予定を走行するために必要な動力源の量を特定すれば、残量情報に基づいて、自車両にて走行予定を走行する際の動力源の過不足を特定することができる。従って、自車両における動力源の残量が充分であれば、走行予定を走行するために必要な動力源を確保するために現在は動力源を補給する必要がないと判断することができる。
【0014】
また、自車両における動力源の残量が不足している場合には、補給単価情報に基づいて、最も低コストで前記必要な動力源を確保するための動力源の補給タイミングを特定することができる。従って、自車両の走行予定がどのように変動したとしても、その走行予定に応じて最適な、すなわち、最も低コストで必要な動力源の量を確保するように動力源の補給タイミングを制御することができる。この結果、利用者毎に変動し得る走行予定に対応して動力源を利用する際のコストを抑えることができる。
【0015】
例えば、必要な動力源の量を確保するために動力源を補給する必要があれば、現在の時刻において最も低コストの動力源を補給するべきであると判定し、必要な動力源の量を確保済であればその時点で補給は行わないこととし、最も低コストで動力源を補給可能な時刻で当該動力源を補給することとする。この結果、最も低コストで動力源を確保することが可能である。
【0016】
より具体的には、走行予定を走行するために必要な動力源の量が前記残量より少ない場合、全時刻において最も補給単価の低い動力源を選択し、当該最も補給単価の低い時刻において当該動力源を補給するための制御を行う。すなわち、自車両における動力源の残量が走行予定を走行するために充分な量である場合には、直近の走行予定を走行しても動力源が不足することはないので、その走行予定に関わらず最も補給単価の低い時刻にて動力源を補給する。この結果、最も低コストで動力源を補給することができる。
【0017】
また、走行予定を走行するために必要な動力源の量が前記残量より多い場合には、現在時刻において最も前記補給単価の低い動力源を選択し、当該動力源を前記走行予定を走行するために必要最小限の量だけ補給する。すなわち、自車両における動力源の残量が走行予定を走行するための量として不足している場合には、動力源を補給することによって走行予定を走行するために必要な動力源の量を確保する。
【0018】
ただし、ここで選択される動力源は現在の時刻において最も補給単価の低い動力源であり、他の時刻においてより補給単価が低い動力源が存在し得る。そこで、必要な動力源の量を確保するものの、走行予定を走行するために必要最小限の量だけ補給することとする。この結果、最も低コストで必要な動力源の量を確保するように動力源の補給タイミングを制御することが可能になる。
【0019】
さらに、本発明を継続した動力源補給の際の低コスト化に利用する構成としてもよい。例えば、所定の基準時刻までに動力源を所定の残量とするように動力源の補給タイミングを制御する構成を採用可能である。この構成によれば、所定の基準時刻において動力源を所定の残量とするための補給タイミング制御を行うことになるので、所定の基準時刻より後には常に自車両の動力源が所定の残量となる。従って、基準時刻における動力源の残量をある一定の残量に維持するように運用することができる。
【0020】
むろん、基準時刻までに動力源を所定の残量とする際に、補給単価情報に基づいて最も低コストで動力源を補給するように制御してもよい。この構成によれば、基準時刻における動力源の残量をある一定の残量に維持するように運用する構成において、その動力の補給コストを抑えることが可能である。
【0021】
なお、基準時刻は予め決められた時刻であればよく、例えば、自車両を利用して通勤する利用者において出勤前の時刻を基準時刻に設定すれば、出勤前に所定の残量となるように動力源を補給しておくことができる。また、所定の残量は、予め決められた残量であればよく、例えば、通常の使用範囲内の動力源使用量を超える量や自車両における動力源の最大蓄積量を残量として設定することができる。
【0022】
さらに、走行予定情報は、動力源の使用量を特定できるように定義されていればよく、その構成例として、自車両における各目的地への走行頻度によって各目的地への走行確率を表現して走行予定情報とする構成を採用可能である。すなわち、自車両の走行履歴を参照すれば、各目的地への走行頻度を取得することができ、当該走行頻度によって当該自車両の走行予定を予測することができる。例えば、ある特定期間における走行履歴を参照し、ある目的地に向けて走行した頻度が多い場合には再びその目的地に向けて走行する可能性が高いと言える。
【0023】
そこで、ある目的地に対する走行頻度によってその目的地に向けて走行する確率を表現することとすれば、当該発生頻度による重み付けによって走行予定を予測することができる。また、このとき、走行予定と動力源の使用量を対応づけるため、各目的地へ走行する際の動力源の補給コストを試算し、走行頻度に応じた重みと試算とを乗じることによって自車両の走行予定に対応した動力源の補給コストを予測することができる。むろん、走行予定を特定するための構成は上述の構成に限られず、利用者による入力を受け付け、当該入力によって走行予定を特定してもよい。
【0024】
さらに、本発明のように自車両の走行予定に応じて最も低コストとなるように補給タイミングを制御する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のような動力源補給制御装置、プログラム、方法は、単独の動力源補給制御装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような動力源補給制御装置を備えたナビゲーション装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、動力源補給制御装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)動力源補給制御装置の構成:
(2)動力源補給制御処理:
(2−1)履歴情報取得処理:
(2−2)充電タイミング制御処理:
(3)他の実施形態:
【0026】
(1)動力源補給制御装置の構成:
図1は、本発明にかかる動力源補給制御装置を含むナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記憶媒体30とを備えており、記憶媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラム21を実施可能であり、当該ナビゲーションプログラム21はその機能の一つとして自車両を駆動する動力源の補給タイミングを制御する動力源補給制御処理を実施する機能を備えている。
【0027】
また、自車両(ナビゲーション装置10が搭載された車両)は液体燃料であるガソリンを蓄積する図示しないタンクとバッテリー50とを備えており、ガソリンによって自車両を駆動する内燃機関とバッテリー50によって自車両を駆動するモータとを備えている。すなわち、本実施形態における自車両はガソリンとバッテリー50とのいずれかまたは組み合わせを動力源として走行可能なハイブリッド車である。
【0028】
なお、本実施形態において、バッテリー50は自車両に搭載された充電器51に接続されており、充電器51の制御によってバッテリー50を充電することができる。すなわち、充電器51は、図示しない商用電源から電力の供給を受け、当該電力のバッテリー50に対する供給を制御することができ、所望の時刻に充電を開始または停止することができる。
【0029】
充電器51は任意の位置に設けられた商用電源から電力の供給を受けてバッテリー50を充電することが可能であるが、本実施形態においては、自車両の利用者の自宅において商用電源からバッテリー50に充電する例を示している。また、充電器51は、図示しないインタフェースを介して制御部20と情報を授受することが可能であり、バッテリー50の残量を示す情報を制御部20に対して受け渡し、バッテリー50の充電タイミングを示す信号を受け付けて当該充電タイミングにて充電を開始することが可能である。
【0030】
さらに、自車両には、ナビゲーションプログラム21を実現するためにGPS受信部40と車速センサ41とジャイロセンサ42と図示しないスピーカーと表示部とが備えられており、これらの各部と制御部20との信号の授受は図示しないインタフェースによって実現されている。GPS受信部40は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して自車両の現在位置を算出するための情報を出力する。制御部20は、この信号を取得して自車両の現在位置を取得する。
【0031】
車速センサ41は、自車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、自車両の速度を取得する。ジャイロセンサ42は、車両の角速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車両の向きを示す情報を取得する。車速センサ41とジャイロセンサ42とは、GPS受信部40の出力信号から特定される自車両の現在位置を補正するなどのために利用される。
【0032】
さらに、制御部20は、ナビゲーションプログラム21を実行することにより、上述のようにして取得した各種情報に基づいて自車両の経路を探索する処理を行い、当該探索した経路を案内するための信号を図示しないインタフェースにて出力し、スピーカーと表示部とによって経路案内を行うことが可能である。この経路案内を行うため、本実施形態においては、ナビゲーションプログラム21がナビゲーション処理部21aを備えている。また、ナビゲーション装置10は、地図情報30aが記録された記憶媒体30を備えている。
【0033】
すなわち、地図情報30aは、道路上に設定されたノードを示すノードデータやノード同士の連結を示すリンクデータ、路面の周囲の施設を示すデータ等を含み、ナビゲーション処理部21aは、当該地図情報30aを参照するとともにGPS受信部40と車速センサ41とジャイロセンサ42との出力信号を取得して自車両の位置を特定する。そして、ナビゲーション処理部21aは、予め設定された経路に従って走行するように自車両を案内するための信号をスピーカーや表示部に出力し、経路案内を行う。
【0034】
なお、ナビゲーション処理部21aは、以上のようにして自車両の位置を特定しており、当該自車両の位置の変移、すなわち、自車両の走行履歴を記録するように構成されている。本実施形態においては、予め自宅として登録されている位置から走行を開始してある目的地を訪問し、自宅へ戻るまでの走行履歴を記録するように構成されており、曜日毎にこの走行の走行距離を特定し、履歴情報30bとして記憶媒体30に記録する。
【0035】
さらに、本実施形態においては、予め上述のガソリンとバッテリー50に蓄積する電力との補給単価が特定されており、補給単価情報30cとして記憶媒体30に記録されている。なお、本実施形態においては、電力の補給単価が時刻毎に異なり(夜間電力料金<昼間電力料金)、ガソリンの補給単価は時刻によって変動せず、ガソリンの補給単価:昼間電力の補給単価:夜間電力の補給単価=13:3:1の例を想定している。また、本実施形態においては、走行距離と当該走行距離を走行するために必要な動力源の量とが一対一に対応していると考えて、自車両において単位走行距離を走行する場合に必要なガソリンの量および電力の量を補給単価情報30cとしている。
【0036】
すなわち、自車両における単位走行距離(例えば1kmあたり)の走行に必要なガソリンの量を補給する際の価格をガソリンの補給単価とし、自車両における単位走行距離(例えば1kmあたり)の走行に必要な電力量を補給する際の価格を時刻毎(予め決められた夜間時間帯と昼間時間帯)に定義して電力の補給単価とし、補給単価情報30cとして記録している。なお、本実施形態において、補給単価が時刻に依存する動力源は電力のみであるため、動力源の補給コストを変動させ得る動力源は電力のみである。そこで、本実施形態においては、自車両における電力の残量を示す情報を残量情報として取得し、この残量情報に基づいて補給タイミングを特定し、低コストで動力源を補給可能なタイミングを特定する。
【0037】
ナビゲーションプログラム21は、以上の履歴情報30bと補給単価情報30cとバッテリー50の残量情報とを利用して動力源の補給タイミングを制御する処理を行うために、走行予定情報取得部21bと補給単価情報取得部21cと残量情報取得部21dと補給タイミング制御部21eとを備えている。走行予定情報取得部21bは、現在の曜日における現在時刻以降の走行予定を取得するモジュールであり、履歴情報30bを参照して当該現在時刻以降の走行予定を予測する。予測された走行予定を示す走行予定情報は、補給タイミング制御部21eに受け渡される。なお、本実施形態において、走行予定情報は、現在の曜日において過去に走行した目的地とその走行距離を含み、各目的地への走行頻度に応じた重みによって各目的地への走行確率表現した情報を含む。
【0038】
補給単価情報取得部21cは、記憶媒体30から補給単価情報30cを取得し、補給タイミング制御部21eに受け渡す処理を行う。残量情報取得部21dは、バッテリー50の残量を示す情報を取得し、補給タイミング制御部21eに受け渡す処理を行う。すなわち、残量情報取得部21dは、充電器51に対してバッテリー50の残量(充電状態)を通知させるための制御信号を出力し、当該制御信号に応じて充電器51が出力するバッテリー50の残量を示す残量情報を取得し、補給タイミング制御部21eに受け渡す。
【0039】
補給タイミング制御部21eは、以上のようにして受け渡された走行予定情報と補給単価情報と残量情報とに基づいて、走行予定を走行するために必要な電力を補給する補給タイミングを制御する。なお、本実施形態においては、この制御にあたり、走行予定情報に基づいて走行予定を走行するために必要な動力源の量を特定し、残量情報と補給単価情報とに基づいて最も低コストで必要な動力源の量を確保するように動力源の補給タイミングを制御する。
【0040】
また、本実施形態における自車両では、昼間時間帯に自車両を利用することが多いことを想定しており、早朝の基準時刻(例えば、自車両を利用した利用者が出勤する以前の朝4時)までにバッテリー50の充電を完了する(100%充電する)ように継続して運用する際の低コスト化を図っている。このため、本実施形態においては、基準時刻までに充電を完了するために最も低コストになる補給タイミングを特定する。なお、基準時刻におけるバッテリー50の残量は、予め決められた残量に設定してあればよく、100%充電する構成の他、通常の使用範囲内の動力源使用量を超える量を残量として設定する構成等を採用してもよい。
【0041】
(2)動力源補給制御処理:
次に、以上の構成においてナビゲーション装置10が実施する動力源補給制御処理を説明する。
(2−1)履歴情報取得処理:
図2は、ナビゲーション処理部21aが、経路案内の過程で実施する処理を示すフローチャートである。
【0042】
ナビゲーション処理部21aは、上述のように経路案内を行うにあたり図2に示す処理を一定期間(例えば100ms)毎に実施しており、この処理においてはまず自車両の位置を取得する(ステップS100)。すなわち、ナビゲーション処理部21aは、GPS受信部40や車速センサ41,ジャイロセンサ42の出力信号に基づいて自車両の現在位置を特定する。
【0043】
次にナビゲーション処理部21aは、自宅登録位置を取得する(ステップS110)。すなわち、本実施形態において、自宅は走行履歴の起点であるとともにバッテリー50の充電位置であるため、登録内容が変更された場合に走行履歴や充電位置を当該変更に追従させるため、ここで自宅登録位置を取得する。次にナビゲーション処理部21aは、図示しない計時回路の出力信号を参照し、現在時刻および現在の曜日を取得する(ステップS120)。
【0044】
次にナビゲーション処理部21aは、曜日毎、目的地毎の走行頻度を取得する(ステップS130)。すなわち、本実施形態においては、曜日毎、目的地毎に走行頻度を累積して所定の記録媒体に記録する構成を採用しており、自車両において任意の目的地へ走行した場合には現在の曜日においてその目的地へ走行した頻度を"1"増加させる。なお、自車両における走行開始は、自車両の位置と自宅登録位置とが一致しているか否かを判別することによって検出することができる。
【0045】
次にナビゲーション処理部21aは、曜日毎、目的地毎の走行距離を取得する(ステップS140)。本実施形態においては、曜日毎、目的地毎に走行距離を累積して所定の記録媒体に記録する構成を採用しており、自車両において任意の目的地へ走行した場合に、自宅登録地点を出発し、戻るまで逐次自車両の移動距離を累積していく。すなわち、自宅を出発後、戻るまでの自車両の移動距離を累積することで各目的地に走行する際の走行距離を取得する。以上のステップS130,S140においては、取得した走行頻度と走行距離とを曜日および目的地に対応づけ、履歴情報30bとして記憶媒体30に記録する。
【0046】
(2−2)充電タイミング制御処理:
図3および図4は、補給タイミング制御部21eによる充電タイミング制御処理を示すフローチャートである。本実施形態において補給タイミング制御部21eは、バッテリー50に対する充電を制御するために、図3および図4に示す処理を一定期間(例えば100ms)毎に実施している。また、本実施形態においては、フラグによって充電の実施/不実施(以下、充電の実施/不実施を充電の可否と呼ぶ)を制御し、充電を実施する場合には図3および図4に示す処理によってその充電量を決定することにしている。そして、後述する図5に示す処理を一定期間毎に実施することによってフラグや充電量に応じた充電を実施する。従って、当該図3および図4においてフラグを設定する処理が実質的に充電タイミングを制御する処理であるといえる。
【0047】
当該充電タイミング制御処理において、補給タイミング制御部21eは、まず、充電プラグが商用電源に接続されているか否かを判別する(ステップS200)。すなわち、補給タイミング制御部21eは、充電器51に対して充電プラグの接続状態を問い合わせる信号を出力する。充電器51が当該信号を取得すると、充電器51はこの信号に応じて充電プラグの接続状態を特定し、当該接続状態を示す信号を出力する。補給タイミング制御部21eは、この信号を取得して充電プラグの接続状態を取得し、接続状態を判別する。
【0048】
ステップS200にて、充電プラグが商用電源に接続されていると判別されない場合、充電することは不可能であるため、上述の充電可否を示すフラグを「否」、充電量を「0」に設定し(ステップS205)、処理を終了する。ステップS200にて、充電プラグが商用電源に接続されていると判別された場合、補給タイミング制御部21eは現在時刻が最も低コストで動力源の補給を実施可能な時間帯であるか否かを判定する(ステップS210)。
【0049】
すなわち、補給タイミング制御部21eは、補給単価情報取得部21cが取得する補給単価情報30cを参照し、すべての時間帯に渡って最も補給単価が安価な動力源および時間帯を抽出し、現在時刻が当該時間帯であるか否かを判別する。本実施形態においては、上述のように、電力およびガソリンのうち、夜間電力料金が最も安価であるため、現在の時刻が夜間であれば現在時刻において充電を開始すれば、最も低コストで動力源を補給することになる。従って、本例においてはステップS210にて、現在時刻が所定の夜間時間帯であるか否かを判別すればよい。ステップS210において現在時刻が最も低コストで動力源の補給を実施可能な時間帯であると判別されたときには、上述の充電可否を示すフラグを「可」、充電量を「最大」に設定する(ステップS215)。
【0050】
ステップS210において現在時刻が最も低コストで動力源の補給を実施可能な時間帯であると判別されない場合、補給タイミング制御部21eは、走行頻度が予め決められた基準未満であるか否かを判別する(ステップS220)。すなわち、本実施形態においては、現在時刻の属する曜日における走行頻度が極めて少ない場合に、その曜日における走行予定はないと予測することにしている。補給タイミング制御部21eは、この予測に応じた処理を行うため、走行予定情報取得部21bから受け渡される走行頻度を示す情報を取得し、現在の曜日における走行頻度の総和が全曜日における走行頻度の総和に対して占める割合を取得する。そして、当該割合が予め決められた所定の基準値(例えば、5%)未満であるとき、現在の曜日には外出しないと予測する。
【0051】
ステップS220にて、走行頻度が予め決められた基準未満であると判別されたときには、上述の充電可否を示すフラグを「否」、充電量を「0」に設定する(ステップS225)。図3および図4を一定時間毎に実施していく過程でこの状態が維持されていれば、時間の経過とともに最も低コストで動力源の補給を実施可能な時間帯となるので、当該時間帯となればステップS215にて最も低コストで動力源を確保することができる。すなわち、現在の曜日において走行予定がないと予測される場合には、最も安価に動力源を補給可能な時間帯まで待って充電を行うことで最も低コストに動力源を補給することができる。
【0052】
ステップS220にて、走行頻度が予め決められた基準未満であると判別されないとき、補給タイミング制御部21eは、さらに、走行予定を走行するために電力の残量が充分であるか否かを判別する(ステップS230)。すなわち、補給タイミング制御部21eは、走行予定情報取得部21bから受け渡される現在の曜日における各目的地への走行距離を取得する。そして、予め規定された単位走行距離を走行するために必要な電力量と残量情報取得部21dから受け渡されるバッテリー50の残量とに基づいて、現在の曜日に走行し得るすべての目的地について当該残量で走行することができるか否かを判別する。
【0053】
ステップS230にて、走行予定を走行するために電力の残量が充分であると判別されたときには、走行予定を走行するために必要な動力源を確保するために現在は動力源を補給する必要がないと判断し、上述の充電可否を示すフラグを「否」、充電量を「0」に設定する(ステップS235)。この場合においても、図3および図4を一定時間毎に実施していく過程でこの状態が維持されていれば、時間の経過とともに最も低コストで動力源の補給を実施可能な時間帯となるので、当該時間帯となればステップS215にて最も低コストで動力源を確保することができる。すなわち、走行予定を走行するために電力の残量が充分である場合、現在のバッテリー50の残量が不足することはないと予測されるため、最も安価に動力源を補給可能な時間帯まで待って充電を行うことで最も低コストに動力源を補給することができる。
【0054】
ステップS230にて、走行予定を走行するために電力の残量が充分であると判別されないときには、現在の時刻において充電すべきか否かの判定、および充電量の判定を行うため、充電判定処理を行う(ステップS240)。図4は、ステップS240における充電判定処理を示すフローチャートである。
【0055】
このフローチャートにおいては、走行予定情報と補給単価情報と残量情報とに基づいて、補給コストを試算して現在時刻において動力源を補給する場合に低コストで動力源を補給可能な動力源を選択し、その充電タイミングと充電量とを特定する。このために、補給タイミング制御部21eは、補給コストの試算を行うための記憶領域(補給コストの試算式を代入する記憶領域)を初期化する(ステップS300)。次に、補給タイミング制御部21eは補給単価情報取得部21cが受け渡す補給単価情報30cを取得する(ステップS305)。
【0056】
次に、補給タイミング制御部21eは、各目的地へ向けた走行頻度に基づいて走行予定を特定して補給コストを試算するため、現在の曜日において過去に訪問したことがある目的地について逐次補給コストを試算する処理を行う。このため、補給タイミング制御部21eは、走行予定情報取得部21bから受け渡される走行予定情報に基づいて目的地毎の重み係数と走行距離とを取得する(ステップS310)。すなわち、走行予定情報に記録されている任意の目的地のいずれかを選択し、その目的地について重み係数と走行距離とを取得する。
【0057】
ここで、重み係数は各目的地への走行頻度に応じた重みとなる係数であり、補給タイミング制御部21eは、走行予定情報取得部21bから受け渡される目的地毎の走行頻度を示す情報を取得し、現在の曜日における前記選択された目的地への走行頻度が現在の曜日における走行頻度の総和に対して占める割合を取得する。この重み係数は前記選択された目的地へ走行するために必要な動力源の補給コストを試算する試算式に乗じられる係数となる。すなわち、すべての目的地についての総コストを試算する際に、各目的地に向けて走行するために必要な動力源の補給コストは、当該補給コストに重み係数分の重みを乗じた分だけ総コストに対して寄与すると考える。また、このとき、各走行予定へ走行するための動力源の使用量を特定するため、各目的地に走行する際の走行距離を取得する。
【0058】
以上のようにして前記選択された目的地への重み係数と走行距離とを取得すると、補給タイミング制御部21eは、残量情報取得部21dが受け渡す残量情報を参照し、バッテリー50に対する充電で目的地へ走行するため(自宅から目的地へ往復するため)に充分な電力を確保できるか否かを判別する(ステップS315)。すなわち、本実施形態において、現在時刻において0を含む任意量の充電を行った場合に電力のみで走行予定を走行可能であるか否かを判別する。
【0059】
より具体的には、単位電力量における走行距離は予め特定されているので、上述のようにして選択した目的地への走行距離がバッテリー50における電力の残量あるいは任意量の充電を行った後の電力量によって走行可能な距離であるか否かを判定する。なお、ここで、バッテリー50に最大限充電可能な最大充電量は予め決められた量であるため、当該最大充電量を確保するために最大充電量を超える電力が必要な場合には、目的地へ走行するために充分な電力を確保できないと判別することができる。
【0060】
ステップS315にて、目的地へ走行するために充分な電力を確保できると判別されたときには、本実施形態において最も高価な動力源であるガソリンを使用する必要がないため、ガソリンを使用しない場合の補給コストの試算式を取得する(ステップS320)。この試算は、例えば、以下の式(1)によって行うことができる。
補給コスト試算式=x×昼間補給単価+(バッテリー50の最大充電量−(バッテリー50の残量+x)−目的地への走行で消費する電力量)×夜間補給単価 …(1)
【0061】
なお、ここでxは現在時刻における充電量であり、ステップS315はステップS210の判別の後に実施されるため、現在時刻は昼間時間帯である。また、目的地への走行で消費する電力は、(自宅と目的地とを往復する際の走行距離/単位電力量における走行距離)×単位電力量である。すなわち、式(1)の第1項は現在時刻において電力xを補給した場合の補給コストであり、第2項は夜間時間帯において走行予定を走行後のバッテリー50の状態から最大充電量まで充電した場合の補給コストである。
【0062】
以上のように、ガソリンを使用しない場合の補給コストを試算する条件は、上述のステップS315において、目的地へ走行するために充分な電力を確保できると判別されたときであるため、現在時刻における充電量xには値域が設定される。すなわち、目的地へ走行するために必要最小限の電力を確保するための充電量をxの最小値(x≠0)とする。むろん、バッテリー50の容量を超えて充電することはできないため、バッテリー50を最大限充電する際の充電量をxの最大値とする。
【0063】
一方、ステップS315にて、目的地へ走行するために充分な電力を確保できると判別されないとき、目的地へ走行するためにはガソリンを使用する必要があるため、ガソリンを使用する場合の補給コストの試算式を取得する(ステップS325)。この試算は、例えば、以下の式(2)によって行うことができる。
補給コスト試算式=x×昼間補給単価+(自宅と目的地とを往復する際の走行距離−バッテリー50の残量で走行可能な距離−充電量xで走行可能な距離)×ガソリン単価+バッテリー50の蓄電容量×夜間補給単価 …(2)
【0064】
なお、ここでもxは現在時刻における充電量であり、現在時刻は昼間時間帯である。また、バッテリー50の残量や充電量xで走行可能な距離は、当該残量や充電量xを単位電力量で除して当該単位電力量における走行距離を乗じた値である。バッテリー50の蓄電容量は、充電量100%における電力量である。すなわち、式(2)の第1項は現在時刻において電力xを補給した場合の補給コストであり、第2項はバッテリー50の電力を消費した後のガソリン走行分のコストであり、第3項はバッテリー50の電力を消費した後に夜間時間帯においてバッテリー50を最大充電量まで充電した場合の補給コストである。以上のように、ガソリンを使用する場合の補給コストを試算する場合には、現在時刻における充電量xの値域は最小値が「0」、最大値がバッテリー50を最大限充電する際の充電量となる。
【0065】
以上のようにして、バッテリー50の残量および走行予定に応じて補給コストの試算式を取得すると、補給タイミング制御部21eは、総コストの試算式を特定するため、処理対象となっている目的地の補給コストをそれ以前に算出済の補給コストに加える処理を行う(ステップS330)。すなわち、式(1)あるいは式(2)はxの関数からなる試算式であり、当該試算式と上述の重み係数との積を算出済の補給コスト(補給コストの試算を行うための記憶領域に記録されていた関数)に加算し、加算後の式で前記記憶領域内の補給コストを更新する。
【0066】
以上の処理によって、ある目的地へ走行する場合の補給コストの試算式を考慮したことになるので、補給タイミング制御部21eは、現在の曜日の走行履歴に含まれるすべての目的地について試算式の特定が終了したか否かを判別し(ステップS335)、すべての目的地について試算式の特定が終了したと判別されない場合には、目的地を変更してステップS310以降の処理を繰り返す。
【0067】
ステップS335にて、すべての目的地について試算が終了したと判別されたときには、目的地の走行頻度に応じた重み付けがなされた状態で走行予定の補給コストの試算式(総コストの試算式)が特定されていることになる。なお、本実施形態においては、すべての時刻においてガソリンの補給単価は一定であり、電力においてのみ時刻によって補給単価が変動する。このために、すべての目的地を考慮した試算式は現在の充電量xの1次式になる。
【0068】
そこで、本実施形態において、補給タイミング制御部21eは、当該試算式の傾きに基づいて最も低コストで動力源を確保するための充電量xを特定する。このために、まず、補給タイミング制御部21eは、試算式の傾きが右上がり(xの係数が正)であるか否かを判別する(ステップS340)。ステップS340にて試算式の傾きが右上がりであると判別されるとき、補給コストはxに対して単調増加になるため、現在時刻で充電を行わないことによりコストを抑えることができる。そこで、この場合、上述の充電可否を示すフラグを「否」、充電量をxの最小値に設定する(ステップS345)。
【0069】
すなわち、任意の目的地の充電量xに最小値が設定されている場合には、各目的地における充電量の最小値の中で最も大きな値が充電量の設定値となり、最小値が設定されていない場合には「0」が充電量の設定値となる。例えば、バッテリー50の充電量が70%であって、20%の充電によって目的地Aへの走行が可能であり、25%の充電によって目的地Bへの走行が可能である場合を想定する。
【0070】
この場合、目的地Aについての試算式においては、充電量xの最小値が20%の充電に相当する電力量であり、充電量xの上限値は30%の充電に相当する電力量である。また、目的地Bについての試算式においては、充電量xの最小値が25%の充電に相当する電力量であり、充電量xの上限値は30%の充電に相当する電力量である。従って、目的地Aと目的地Bとについて重みづけを行った試算式において、充電量xの最小値は25%の充電に相当する電力量となり、充電量xの最小値は25%となる。従って、この試算式についてステップS345の処理を行うと、当該25%の充電に相当する電力量が充電量として設定される。また、いずれの目的地についても充電量xについて「0」以外の最小値が設定されていない場合には充電量「0」が最小値であるため、充電量xを「0」とする。
【0071】
一方、ステップS340にて試算式の傾きが右上がりであると判別されないとき、補給タイミング制御部21eは、試算式の傾きが右下がり(xの係数が負)であるか否かを判別する(ステップS350)。ステップS350にて試算式の傾きが右下がりであると判別されるとき、補給コストはxに対して単調減少になるため、現在時刻で最大限充電することによりコストを抑えることができる。そこで、この場合、上述の充電可否を示すフラグを「可」、充電量を「最大」に設定する(ステップS355)。
【0072】
ステップS350にて試算式の傾きが右下がりであると判別されないときには、試算式は右上がり、右下がりのいずれでもなく、現在の充電量を調整することによって補給コストは変動しないため、充電可否を設定せずに図4に示すフローを終了し、図3に示すフローに復帰する。この場合、補給タイミングが規定されないため、充電が開始されないまま図3および図4に示すフローが繰り返され、やがて、現在時刻が最も低コストで動力源の補給を実施可能な時間帯となり、ステップS210を経て最も低コストで動力源を補給することになる。
【0073】
補給タイミング制御部21eは、以上の図3および図4に示す処理を一定期間毎に繰り返しながら、図5に示す充電制御処理も一定期間(例えば、100ms)毎に繰り返し実施している。すなわち、補給タイミング制御部21eは、充電可否または充電量が変化したか否かを判別する(ステップS400)。すなわち、補給タイミング制御部21eは、上述の充電可否を示すフラグおよび充電量を示す情報を参照してそれ以前の充電可否あるいは充電量が変化したか否かを判別する。
【0074】
ステップS400において、充電可否または充電量が変化したと判別されたときには、充電器51による充電状態を変化させる必要があるため、充電可否を示すフラグと充電量とに従った充電を実施し、あるいは充電を停止するための指示を充電器51に対して出力する(ステップS410)。この結果、充電器51においては、充電可否を示すフラグと充電量とに従った充電を実施し、あるいは充電を停止する。この充電可否を示すフラグと充電量とは上述のように、走行予定情報,補給単価情報,残量情報に基づいて最も低コストに走行予定を走行するために必要な動力源を確保するように定義される。従って、以上の処理により、自車両の走行予定がどのように変動したとしても、その走行予定に応じて最適な、すなわち、最も低コストで必要な動力源の量を確保するように動力源の補給タイミングを制御することができる。この結果、利用者毎に変動し得る走行予定に対応して動力源を利用する際のコストを抑えることができる。
【0075】
以上の構成においては、現在時刻におけるバッテリー50の残量と現在時刻における充電量xとを利用してガソリンを使用せずに目的地への走行が可能である場合には、充電量xとして必要最小限の充電を行うことになる。すなわち、本実施形態にて示す例では、ガソリンの補給単価>昼間電力の補給単価>夜間電力の補給単価であるため、現在時刻におけるバッテリー50の残量によって走行予定を走行するために必要な動力源の量を確保できない場合には、必要な動力源の量を確保するためにできるだけ昼間電力を利用して必要最小限の動力源を確保すればよい。そして、走行予定を走行した後に、夜間電力によってバッテリー50の充電を完了すれば、最も低コストに動力源を確保することができる。
【0076】
なお、以上のステップS345,S355における充電可否や充電量の決定は試算式の傾きに基づいて行われる極めて単純な処理であるが、この傾きは、自車両の走行予定、自車両における動力源の残量、各動力源の補給単価によって変動し得る。従って、総コストの試算式として得られた関数が極めて単純になるとしても、その傾きは自車両の走行予定、自車両における動力源の残量、各動力源の補給単価によって複雑に変動し得る。このため、本実施形態のように試算をすることによって利用者毎に変動し得る走行予定や自車両の状態に応じて的確に動力源の補給コストを低減することができる。また、各動力源の補給単価が値上げ等によって変動する場合には、その変動に応じて補給単価情報30cを更新することが好ましい。
【0077】
むろん、以上のようなコストの試算は、ガソリンの補給単価>昼間電力の補給単価>夜間電力の補給単価という前提に基づいて行ったものであるため、補給単価がこの関係を満たさない場合、例えば、ガソリンの補給単価が電力より安い場合やガソリンの補給単価に時刻依存性がある場合などにおいては、上述の式と異なる式に基づいてコストを計算することが可能である。
【0078】
すなわち、必要な動力源の量を確保するために動力源を補給する必要があれば、現在の時刻において最も低コストの動力源を補給するべきであると判定し、必要な動力源の量を確保済であればその時点で補給は行わないこととし、最も低コストで動力源を補給可能なタイミングで当該動力源を補給することとする。この結果、最も低コストで動力源を確保することが可能である。
【0079】
より具体的には、走行予定を走行するために必要な動力源の量が自車両における動力源の残量より少ない場合には、全時刻において最も補給単価の低い動力源を選択し、当該最も補給単価の低い時刻において当該動力源を補給するための制御を行えばよい。すなわち、自車両における動力源の残量が走行予定を走行するために充分な量である場合には、直近の走行予定を走行しても動力源が不足することはないので、その走行予定に関わらず最も補給単価の低い事項にて動力源を補給する。この結果、最も低コストで動力源を補給することができる。
【0080】
また、走行予定を走行するために必要な動力源の量が自車両における動力源の残量より多い場合には、現在時刻において最も補給単価の低い動力源を選択し、当該動力源を走行予定を走行するために必要最小限の量だけ補給するための制御を行えばよい。すなわち、自車両における動力源の残量が走行予定を走行するための量として不足している場合には、動力源を補給することによって走行予定を走行するために必要な動力源の量を確保する。
【0081】
ただし、ここで選択される動力源は現在の時刻において最も補給単価の低い動力源であり、他の時刻においてより補給単価が低い動力源が存在し得る。そこで、必要な動力源の量を確保するものの、走行予定を走行するために必要最小限の量だけ補給することとする。この結果、最も低コストで必要な動力源の量を確保するように動力源の補給タイミングを制御することが可能になる。
【0082】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、走行予定情報と残量情報と補給単価情報とに基づいて走行予定を走行するために必要な動力源を補給する補給タイミングを制御することができる限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、走行予定を走行するために必要な動力源の量を見積もるために利用する情報は、走行予定を走行するための走行距離に限定されず、走行予定を走行する際の消費エネルギーを考慮してもよい。
【0083】
すなわち、自宅から目的地まで走行し、さらに目的地から自宅まで戻る経路において、道路に高低差が存在したり、カーブが多く存在したりする場合など、距離以外の要素に起因して動力源の消費量が変動する場合も多い。上述の実施形態においては、これらの要素による影響は軽微であるとして無視する構成としていたが、各目的地へ走行し、戻るまでに動力源を消費する量、すなわち、消費エネルギーを対応づければ、各種の要素によって変動する動力源の使用量に応じて適切に必要な動力源の量を見積もることができる。
【0084】
なお、消費エネルギーは目的地毎に予め定義されていればよく、例えば、走行履歴を取得する際に動力源の使用量を計測することによって各目的地への走行予定を走行するために必要な動力源の量を特定することができる。図6は、目的地毎の消費エネルギーを計測するための処理を示すフローチャートである。この処理は上述の図1に示す構成と同様の構成において、ナビゲーション処理部21aが経路案内を行っているときに一定期間(例えば100ms)毎に実施される。
【0085】
この処理において、ナビゲーション処理部21aは、まず、自車両が自宅から移動を開始したか否かを判定する(ステップS500)。すなわち、ナビゲーション処理部21aは、GPS受信部40や車速センサ41,ジャイロセンサ42の出力信号に基づいて自車両の現在位置が移動しているか否かを判定するとともに、当該移動の起点が予め登録されている自宅位置であるか否かを判定する。当該ステップS500において、自車両が自宅から移動を開始したと判定されたときには、消費エネルギーを計測するための変数を初期化する(ステップS510)。
【0086】
一方、ステップS500において、自車両が自宅から移動を開始したと判定されないとき、ナビゲーション処理部21aは、さらに、自車両が自宅に到着したか否かを判定する(ステップS520)。すなわち、ナビゲーション処理部21aは、GPS受信部40や車速センサ41,ジャイロセンサ42の出力信号に基づいて自車両の現在位置の移動が終了し、移動終了地点が予め登録されている自宅位置であるか否かを判定する。
【0087】
当該ステップS520において自車両が自宅に到着したと判別されないときには、自宅からの移動を開始してから現在に至るまでの消費エネルギーの履歴を記録する(ステップS530)。すなわち、ナビゲーション処理部21aは、充電器51からの出力信号に基づいて、自宅からの移動を開始してから現在に至るまでの累積的なバッテリー50の消費量を取得し、前記消費エネルギーを計測するための変数を更新する。
【0088】
一方、ステップS520において自車両が自宅に到着したと判別されたときには、目的地に走行するための消費エネルギーを現在の曜日に対応づけて記録する(ステップS540)。すなわち、自車両が自宅に到着することをもってある目的地への走行が終了したこととし、消費エネルギーを計測するための変数に記録されている消費エネルギー量をその目的地に走行する際の消費エネルギー量とする。また、このとき、現在の曜日と消費エネルギーとを対応づけるとともに、当該現在の曜日における走行頻度を加算して履歴情報30bとして記憶媒体30に記録する。
【0089】
以上の処理によれば、各目的地へ走行する際に自車両で消費する消費エネルギーを特定することができるので、上述の実施形態における走行距離の代わりに当該目的地毎の消費エネルギーを利用すれば、走行距離以外の要素によって動力源の使用量が変動する状況においても、正確に動力源の使用量を見積もることができる。従って、最も低コストに必要な動力源を補給する補給タイミングを正確に決定することが可能である。むろん、以上の構成も本発明の一例であり、走行距離によって表現する場合に動力源の使用量を道路種別毎に見積もる構成や、消費エネルギーの表現として電力や燃料の体積を使用する構成など、種々の構成を採用可能である。
【0090】
さらに、上述の実施形態においては、走行頻度や走行距離、消費エネルギーを曜日毎に取得することにしていたが、むろん、この分類は曜日を単位とする構成に限定されず、休日と平日とによって分類したり、季節や月毎に分類するなど種々の構成を採用可能である。さらに、上述の実施形態においては、商用電源の設置場所が自宅であることに鑑みて目的地へ走行する際の起点を自宅としていたが、むろん、商用電源の設置場所やガソリンの補給場所など、動力源を補給するための任意の場所を起点とすることが可能である。
【0091】
さらに、走行予定情報は、少なくとも自車両における現在時刻以降の走行予定を示していればよく、上述のように走行履歴に基づいて走行予定を予測してもよいし、確定的な予定を走行予定としてもよい。例えば、利用者によって入力された情報を取得したり、経路探索の結果得られた走行予定を示す情報を取得してもよい。さらに、補給単価情報は、電力と液体燃料とのそれぞれについて、単位走行距離を走行するために必要な量の補給単価を示す情報を含むように構成すればよく、上述のように単価を直接的に定義する構成の他、補給単価の比を示す情報等であってもよい。
【0092】
さらに、上述の実施形態における動力源は2種類であったが、むろん動力源の種類は2種類に限定されない。すなわち、動力源は時刻毎に補給単価を定義し得る状況にあればよいので、自車両において時刻毎に補給単価を定義し得る動力源が1種類以上使用可能であればよく、2種類以上の動力源を使用可能な状況であってもよい。むろん、動力源が複数種類ある場合には各種類について補給単価を特定するが、時刻によって補給単価が変動しない動力源が存在する場合には、その動力源については全時刻についての補給単価を特定して補給単価情報とすればよい。
【0093】
さらに、残量情報は、走行予定を走行する際に必要な動力源の量と比較し得る形態で定義されていればよく、残量を電力量などによって直接的に示す情報の他、その残量で走行可能な走行距離で示してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】動力源補給制御装置を含むナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】履歴情報取得処理のフローチャートである。
【図3】充電タイミング制御処理のフローチャートである。
【図4】充電判定処理のフローチャートである。
【図5】充電制御処理のフローチャートである。
【図6】消費エネルギー取得処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
10…ナビゲーション装置、20…制御部、21…ナビゲーションプログラム、21a…ナビゲーション処理部、21b…走行予定情報取得部、21c…補給単価情報取得部、21d…残量情報取得部、21e…補給タイミング制御部、30…記憶媒体、30a…地図情報、30b…履歴情報、30c…補給単価情報、40…受信部、41…車速センサ、42…ジャイロセンサ、50…バッテリー、51…充電器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の走行予定を示す走行予定情報を取得する走行予定情報取得手段と、
前記自車両を駆動するための動力源を補給する際の時刻毎の補給単価を示す補給単価情報を取得する補給単価情報取得手段と、
前記動力源の残量を示す残量情報を取得する残量情報取得手段と、
前記走行予定情報と前記残量情報と前記補給単価情報とに基づいて、前記走行予定を走行するために必要な動力源を補給する補給タイミングを制御する補給タイミング制御手段と、
を備える動力源補給制御装置。
【請求項2】
前記補給タイミング制御手段は、前記走行予定情報に基づいて前記走行予定を走行するために必要な動力源の量を特定し、前記残量情報と前記補給単価情報とに基づいて最も低コストで前記必要な動力源の量を確保するように前記動力源の補給タイミングを制御する、
請求項1に記載の動力源補給制御装置。
【請求項3】
前記動力源には電力と液体燃料とが含まれ、前記補給単価情報は単位走行距離を走行するために必要な前記電力と前記液体燃料の補給単価を示す情報を含む、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の動力源補給制御装置。
【請求項4】
前記補給タイミング制御手段は、前記走行予定を走行するために必要な動力源の量が前記残量より少ない場合には、全時刻において最も前記補給単価の低い動力源を選択し、当該最も補給単価の低い時刻において当該動力源を補給するための制御を行う、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の動力源補給制御装置。
【請求項5】
前記補給タイミング制御手段は、前記走行予定を走行するために必要な動力源の量が前記残量より多い場合には、現在時刻において最も前記補給単価の低い動力源を選択し、当該動力源を前記走行予定を走行するために必要最小限の量だけ補給するための制御を行う、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の動力源補給制御装置。
【請求項6】
前記補給タイミング制御手段は、前記補給単価情報に基づいて、所定の基準時刻までに前記動力源を所定の残量とするように前記動力源の補給タイミングを制御する、
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の動力源補給制御装置。
【請求項7】
前記走行予定情報は、前記自車両における任意の目的地への走行確率を各目的地への走行頻度に応じた重みで表現した情報を含む、
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の動力源補給制御装置。
【請求項8】
自車両の走行予定を示す走行予定情報を取得する走行予定情報取得工程と、
前記自車両を駆動するための動力源を補給する際の時刻毎の補給単価を示す補給単価情報を取得する補給単価情報取得工程と、
前記動力源の残量を示す残量情報を取得する残量情報取得工程と、
前記走行予定情報と前記残量情報と前記補給単価情報とに基づいて、前記走行予定を走行するために必要な動力源を補給する補給タイミングを制御する補給タイミング制御工程と、
を含む動力源補給制御方法。
【請求項9】
自車両の走行予定を示す走行予定情報を取得する走行予定情報取得機能と、
前記自車両を駆動するための動力源を補給する際の時刻毎の補給単価を示す補給単価情報を取得する補給単価情報取得機能と、
前記動力源の残量を示す残量情報を取得する残量情報取得機能と、
前記走行予定情報と前記残量情報と前記補給単価情報とに基づいて、前記走行予定を走行するために必要な動力源を補給する補給タイミングを制御する補給タイミング制御機能と、
をコンピュータに実現させる動力源補給制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−304337(P2008−304337A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152129(P2007−152129)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】