説明

動画像およびオーディオ再生装置およびオーディオ再生方法

【課題】受信機器が再生可能なオーディオフォーマットのオーディオストリームを含むコンテンツに適用された複数のコーデックから受信機器に最良のコーデックを選択して受信機器に出力する。
【解決手段】 この発明の実施の形態により実現される動画像およびオーディオ再生装置は、コンテンツに含まれるオーディオストリームのエレメンタリストリーム(Elementary Stream)の構成及びそのエレメンタリストリームの設定を抽出するブロック(9)と、抽出ブロックによって抽出したオーディオストリームにおけるエレメンタリストリーム(Elementary Stream)の構成及びエレメンタリストリームの設定に従い、オーディオストリームを再生する信号処理部(11)と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のコーデック(圧縮方法)により圧縮された任意のストリームを再生する際に、接続される受信機器に対して最良のコーデックの構成および設定を出力できる動画像およびオーディオ再生装置およびオーディオ再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体に保持(記録)される動画(映像)情報や音声(音楽/オーディオ)情報は、多くの場合、記録容量を低減する目的により、さまざまな方式(コーデック)により圧縮され、再生時に伸長(デコード)される。
【0003】
光ディスクを記録媒体として提供されるコンテンツは、複数のストリームからなり、各ストリームにおいて異なるコーデックにより圧縮されることもある。
【0004】
記録媒体として広く利用される光ディスクとしては、主として音楽データの記録に利用されるCD規格や、CD規格に比較して6倍を超える記録容量が与えられ、主として映像(動画)および音声(オーディオ)の記録に利用されるDVD規格の光ディスクが、広く普及している。
【0005】
なお、DVD規格を発展させ、DVD規格に比較してさらに5倍程度の記録容量が与えられたHD(High−Definition) DVD規格の光ディスクも既に実用化されている。
【0006】
一方で、光ディスクに記録されている情報を再生する再生装置すなわちプレーヤー装置としては、例えばHDMI(High−Definition Multimedia Interface)に代表される双方向通信インタフェースが搭載されて、光ディスクに収容されているコンテンツ(プログラムやプレイリストを含む)から映像(動画)情報および音声(オーディオ)情報を再生する際に、プレーヤー装置と接続された受信機器、例えばAVコントローラ(およびそれに接続されたスピーカー)やテレビ受像機(モニタ装置)の接続の有無や、接続された受信機器の再生能力を検出できるものが実用化されている。
【0007】
特許文献1には、コンテンツに含まれる複数のオーディオストリームにおける複数のオーディオコーデックの構成および各オーディオコーデックの設定を抽出し、その抽出した複数のオーディオストリームにおける複数のオーディオコーデックの構成および各オーディオコーデックの設定を一覧表示するための表示信号を、ビデオ出力する動画像再生装置が示されている。
【特許文献1】特開2007−180612
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された動画像再生装置は、コンテンツに含まれる複数のオーディオストリームにおける複数のオーディオコーデックの構成および各オーディオコーデックの設定を抽出した結果すなわち抽出した複数のオーディオストリームにおける複数のオーディオコーデックの構成および各オーディオコーデックの設定を一覧表示するのみであり、再生装置に接続されている受信機器すなわちAVコントローラやテレビ受像機の再生能力を確認した後、一覧表示された再生の能力に合わせてオーディオコーデックを設定することが要求される。
【0009】
従って、設定されているコーデックによっては、
a)希望する(コーデックの)オーディオが再生できない
b)より上位のコーデックを選択できるにも拘らず、余力を残した状態でオーディオが再生される(もう少しビットレートの高い音質でオーディオが再生可能)
等の問題が残る。
【0010】
また、
c)受信機器の再生能力を把握し、プレーヤー装置(動画像音声再生装置)の設定を変えることが必要になる
等の問題がある。
【0011】
この発明の目的は、受信機器(オーディオ再生装置)が再生可能なオーディオフォーマットのオーディオストリームを含むコンテンツに適用された複数のコーデックから、受信機器に最良のコーデックを選択して受信機器に出力する動画像およびオーディオ再生装置およびオーディオ再生方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、コンテンツに含まれるオーディオストリームのエレメンタリストリーム(Elementary Stream)の構成及びそのエレメンタリストリームの設定を抽出する手段と、前記抽出する手段によって抽出したオーディオストリームにおけるエレメンタリストリーム(Elementary Stream)の構成及びエレメンタリストリームの設定に従い、オーディオストリームを再生する手段と、を有することを特徴とする動画像およびオーディオ再生装置である。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、動画像再生装置(または記録も可能なレコーダー装置)において、ビットストリーム出力であるHBRオーディオ(High−Bits Rate Audio)出力を、HDMI インターフェースを用いてテレビ装置やオーディオアンプ等の受信機器に供給(出力)する場合、Dolby社が推奨する[Dolby Digital plus(DD+)]やDTS社が推奨する[DTS−HD High Resolution Audio(DTS−HD HI RES)]/[DTS−HD Master Audio(DTS−HD MSTR)]等に代表されるHBRオーディオ出力フォーマットを、本来のフォーマットに基づいて、適正に再生可能となる。すなわち、オーディオストリーム情報をエレメンタリストリーム(Elementary Stream)もしくはエレメンタリストリームのヘッダー(Header)E情報から取得し、取得した情報を利用して、受信機器に送信/出力するオーディオフォーマットを、ストリームに応じてできる。なお、オーディオフォーマットは、ユーザが任意に変更することもできる。
【0014】
また、例えばAVレシーバー(オーディオアンプ)に、オーディオストリームの名称が表示可能な表示領域、あるいはLED等のマーカー類が用意されている場合には、正確なオーディオストリームの名称を表示できる。
【0015】
さらに、接続された機器の音声再生能力に合わせて、音声仕様(音声フォーマット)を設定する必要がなくなり、にコンテンツに含まれる最良のオーディオ出力が再生される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の一例について説明する。
【0017】
図1は、この発明の実施の形態が適用可能な動画像およびオーディオ再生装置(プレーヤー装置)の一例を示す。なお、本発明による動画像およびオーディオ再生装置は、プレーヤー装置に限定されるものではなく、映像及び音声が記録可能なレコーダー装置やビデオカメラ等も含まれる。もちろん、パーソナルコンピュータ(PC)もしくはPCに接続可能なディスクドライブ装置や自動車等に搭載されるナビゲーション装置であってもよいことはいうまでもない。また、動画像およびオーディオ再生装置は、接続されるTV(テレビジョン)受信機やTV放送等を表示可能なモニタ装置、もしくはAV(Audio−Video)アンプ(コントローラ)に対しては、信号伝送装置(送信装置)としての機能を提供することから、単に送信装置(または送受信装置)と呼ばれることもある。
【0018】
図1に示す映像音声再生装置(動画像およびオーディオ再生装置)1は、記録媒体、例えばHD規格のDVDディスク(High Definition Digital Versatile Disc,以下、HD DVDと略称する)規格の光ディスク(HD DVDディスク)Mがセットされることで光ディスクMに収容されている情報を再生するディスクドライブユニット3、図示しないが、例えば無線式や赤外線式のリモート端末によりユーザから指示される操作信号を受け入れるユーザ操作入力部5、映像音声再生装置1に接続される受信機器との間で双方向の通信(信号の受け渡し)が可能なHDMI(High Definition Multimedia Interface)インタフェース部(HDMI Tx)7、および上述したディスクドライブユニット3、ユーザ操作入力部5ならびにHDMI Tx7の少なくとも1の動作とそれら相互間の信号の受け渡しを制御する制御ブロック9を含む。
【0019】
なお、ディスクドライブユニット3は、HD DVD規格のディスクに加え、現在広く利用されているDVD規格の光ディスクやCD規格の光ディスクからも、記録されている情報(コンテンツ)が再生可能であることはいうまでもない。また、ディスクドライブユニット3は、任意の規格の光ディスクに情報(コンテンツ)を記録できる記録再生タイプであってもよいことはいうまでもない。
【0020】
ディスクドライブユニット3は、光ディスクに記録されているデータ(プリピット(エンボスピット)または記録マーク列)を光の明暗または反射率の違いとして検出して符号化(2値化)し、光ディスクに記録されているコンテンツとして再生するデジタル信号処理部(DSP)11を介して制御ブロック9と接続されている。なお、ディスクドライブユニット3は、セットされた光ディスクに対してデータを書き込むことのできる記録再生タイプである場合、記録すべきデータに基づいて2値化された書き込み信号が供給されることで、光ディスクに情報を記録する(書き込む)ことができる。
【0021】
信号処理部(DSP)11は、ビデオデコーダー部13、オーディオデコーダー部15および、例えばHDMI1.3およびIEC61937に準拠したHBRオーディオ処理部17を介してHDMI Tx7と接続されている。また、オーディオデコーダー部15およびHBRオーディオ処理部17のそれぞれとHDMI Tx7との間には、セレクター(切換器)19が設けられ、HDMI Tx7とは、切換器19の切り換えにより、いずれか一方のみが接続される(2つのオーディオデコーダー部が同時にHDMI Tx7と接続されることはない)。なお、切換器19として、説明のため、ハード的な要素としてブロックで示しているが、制御ユニット9のソフトウエアとして実現されてもよいことはいうまでもない。なお、HDMI Tx7は、接続されるTV(テレビジョン)受信機(テレビ装置)や、TV放送等を表示可能なモニタ装置および同時に利用されることの多いAV(Audio−Video)アンプ(コントローラ)に対して、送信装置としての機能の他に、EDID(Extended Display Identification Data)に基づいて、受信機器のオーディオ(映像)再生能力に関する情報を取得できる。
【0022】
制御ブロック9は、詳述しないがCPUまたはMPU(主制御ユニット)を含み、CPUまたはMPUにより制御されるオーディオストリーム選択処理部9−1、オーディオストリーム設定抽出処理部9−3、エレメンタリストリーム(Elementary Stream)設定抽出処理部9−5、オーディオフォーマット切換処理部9−7、およびオーディオストリーム設定とエレメンタリストリーム設定とを比較する比較処理部9−9を、少なくとも含む。なお、制御ブロック9には、ワークメモリとして機能するメインメモリ(SDRAM)21、図示しないチューナ部もしくは外部入力を経由して入力される地上および衛星からのデジタル放送波等の任意の番組やコンテンツ群、図示しないネットワークコントローラを介して外部のネットワークから供給されるデータ群(コンテンツ(プレイリストと関連づけられた任意数のシーンやストリーム群))を記憶する図示しないHDD(ハードディスクメモリドライブ)等も接続されている。
【0023】
DSP(信号処理部)11は、制御ブロック9の制御の下で、周知のパケタイズドストリーム(Packetized stream,以降“PS”と称する)と呼ばれるデータ形式の映像データおよびオーディオデータと、TS(Transport stream,以降“TS”と称する)形式であるデジタル放送波の映像データおよびオーディオデータを処理できる。
【0024】
PSには、映像(ビデオ)と音声(オーディオ)およびその他の制御データが、時分割多重されている。さらに、映像(ビデオ)と音声(オーディオ)は、それぞれ送信すべきデータ量を低減する目的で圧縮された形態で送られてきている。また、データの多くは、ビデオデータであり、例えばH.264、VC−1、MPEG2、MPEG4 AVC(単に、AVCと称されることも多い)と呼ばれる規格により圧縮されている。
【0025】
オーディオ信号としては、上述のデータ形式に加え、デコード(復号)を伴わず、HDMI Tx7から受信機器すなわちテレビ受信装置やAVアンプに供給されるハイビットレートオーディオ(High−Bits Rate Audio,以下HBRオーディオと示す)がある。
【0026】
上述した映像音声再生装置1においては、ビデオ信号すなわち映像は、HDMI Tx7を経由して、AV(Audio Video)レシーバーや一般的なTV(テレビ)装置(スピーカーあり)、あるいは液晶ディスプレイやCRTに代表されるモニタ装置に出力される。
【0027】
これに対し、オーディオ信号は、復号なしでHBRオーディオ変換処理部17を通ったHBRオーディオ信号と、オーディオでコーダ部15でデコードされたオーディオ信号の2種類であり、切換器19によりいずれか一方がHDMI Tx7に供給される。なお、HBRオーディオ変換処理部17を経由して直接HDMI Tx7に出力されるオーディオストリームは、例えばDolby社が推奨する「Dolby Digital plus(DD+)」や「Dolby TrueHD」、DTS社が推奨する「DTS−HD High Resolution Audio(DTS−HD HI RES)」、「DTS−HD Master Audio(DTS−HD MSTR)」等に代表されるストリームであって、ビットストリーム出力である。
【0028】
これらのビットストリーム出力(HBRオーディオ)は、それぞれHDMI Tx7に伝送する際のオーディオ出力フォーマットが規定されているが、図2に概略を示す通り、HD DVD規格Ver1.0では、HD DVDのVMGI(Video Manegement Information,ビデオマネジメントインフォメーション)/VTSI(Video Title Set Information,ビデオタイトルセットインフォメーション(図9参照))のAudio Stream Attribute(Audio Stream Attribute,オーディオストリームアトリビュート)に、
「Dolby Digital(DD)」と
「Dolby Digital Plus(DD+)」は、
いずれも「DD+」と記載されており、
「DTS core」、
「DTS−HD High Resolution Audio」および
「DTS−HD MSTR」は、
いずれも「DTS−HD」
と記載されている。
【0029】
このため、「DD+」と「DTS−HD」と記載されたオーディオストリームについては、HBRオーディオの出力フォーマットが必ずしも、適切に切り換えることができないことがある。
【0030】
例えば、図3に概略を示すように、「DTS−HD」のうち「DTS−HD High Resolution Audio」については、『DTS core』と同一と判断され、オーディオストリームのオーディオフォーマットが、本来のフォーマットと異なるフォーマットでHDMI Tx7に送信されることがある。
【0031】
この場合、HDMI Tx7に接続される受信機器、例えばAVレシーバーに、オーディオストリームの名称が表示可能な表示領域、あるいはLED等のマーカー類が用意されている場合、オーディオストリームの名称が正しく表示できないことがある。
【0032】
これを解決するため、図4および図5(「Dolby Digital」)、ならびに図6および図7(「DTS−HD」)を用いて以下に説明するが、オーディオストリームのフォーマットを、エレメンタリストリーム(Elementary Stream)のヘッダー情報から判断することで、確実に切り替えることができる。
【0033】
図4に示すように、選択されたオーディオストリームにおけるデータ構造内のヘッダー情報のうちの<Playerアプリケーション>が「Dolby Digital Plus」である場合に、実際の<Elementary Stream>が「Dolby Digital」であるか「Dolby Digital Plus」であるかを検出することで、オーディオストリームのフォーマットを、確実に切り換えることが可能となる。
図4に示すように、第1に、光ディスク内のデータ領域内のVTSI(Video Title Set Information)のVTSI_MAT(Video Title Set Information Manegement Table,図9)が参照され、さらにVTSI_MAT内のAudio stream attribute table of VTS(オーディオストリームアトリビュートテーブル,図10)が参照される。なお、図11は、図10に示したオーディオストリームアトリビュートテーブルの記載例を詳細に説明している。
【0034】
VTSI_MAT内のオーディオストリームアトリビュートテーブルには、図2に示したエレメンタリストリーム(Elementary Stream)が記載されており、Audio Stream Attribute(オーディオストリームアトリビュート)が「Dolby Digital Plus」と記載されているオーディオストリームであっても、「Dolby Digital」と「Dolby Digital Plus」とを、容易に識別できる。
【0035】
すなわち、図4に示すように、ディスク内のデータ領域から「Elementary Stream」のbsi(図5参照)を参照し、bsi内にbsidが存在する場合、その大きさ(記載された数値)を取得する(S11)。
【0036】
取得したbsidの数値(大きさ)が、「Dolby Digital Plus」を示す『more than “01010”(=10) and less than “10000”(=16)』である場合(図5(b)参照)には(S11−YES)、コンテンツのオーディオストリームのオーディオフォーマットが、『Dolby Digital Plus』であることから、HDMI Tx7に出力するオーディオフォーマットは、『Dolby Digital Plus』に設定される(S12)。
【0037】
これに対し、bsiが「Dolby Digital」を示す『less than “01000”(=8)』である場合(図5(a)参照)には(S11−NO)、HDMI Tx7に出力するオーディオフォーマットを、「Dolby Digital」に切り換えることできる(S13)。
【0038】
このように、HD DVDディスク内のデータ領域内のVTSI_MAT内のオーディオストリームアトリビュートテーブル内のエレメンタリストリーム(Elementary Stream)の記載を参照することで、オーディオストリームのオーディオフォーマットが、本来のフォーマットと異なるフォーマットでHDMI Tx7に送信(出力)されることが防止できる。
【0039】
図6は、選択されたオーディオストリームにおけるデータ構造内のヘッダー情報の<Playerアプリケーション>が「DTS−HD」である場合に、実際の<Elementary Stream>のヘッダー情報が「DTS core」、「DTS−HD High Resolution Audio」および「DTS−HD MSTR」のいずれであるか、を特定する方法の一例を示す。
【0040】
図6に示すように、選択されたオーディオストリームにおけるデータ構造内のヘッダー情報の<Playerアプリケーション>が「DTS−HD」である場合、第1に、光ディスク内のデータ領域内のVTSI(Video Title Set Information)のVTSI_MAT(Video Title Set Information Manegement Table,図9参照)が参照され、個々の「DTS−HD」オーディオストリームのオーディオフォーマット(図7参照)がチェック(参照)される。
【0041】
第1に、HD DVDディスク内のデータ領域から「Elementary Stream」のヘッダー内のCore Extension Mask(図7参照、ストリーム内にどのような拡張データが収録されているかを示すフラグ)がチェックされ、内部に「XLL(XLLは、variable bit−rate lossless extension)」が存在するか否かが判定される(S21)。
【0042】
Core Extension Mask内部に「XLL」が存在する場合(S21−YES)、オーディオストリームのオーディオフォーマットが『DTS−HD Master Audio(DTS−HD MSTR)』であるので、HDMI Tx7に出力するオーディオフォーマットは、『DTS−HD MSTR (DTS−HD Master Audio)』に設定される(S22)。
【0043】
Core Extension Mask内部に「XLL」が存在しない場合(S21−NO)、Core Extension Mask内部に「XXCH(XXCHは、6.1チャンネルを越えるサラウンドであることを示す)」、「X96(96は、サンプリングレートfsが48kHZ×2であることを示す)」、または「XBR(Resolution enhancement extension,Xの示す数値がビットレートを著し、ハイビットレートオーディオであることを示す」が存在するか否かが判定される(S23)。
【0044】
ステップS23において、Core Extension Mask内部に「XXCH」、「X96」あるいは「XBR」のいずれかが存在する場合(S23−YES)、オーディオストリームのオーディオフォーマットが『DTS−HD High Resolution Audio(DTS−HD HI RES)』であるので、HDMI Tx7に出力するオーディオフォーマットは、『DTS−HD HI RES(DTS−HD High Resolution Audio)』に設定される(S24)。
【0045】
ステップS23において、Core Extension Mask内部に「XXCH」、「X96」および「XBR」のいずれも存在しない場合(S23−NO)、オーディオストリームのオーディオフォーマットが(通常の)『DTS core』であることになるので、HDMI Tx7に出力するオーディオフォーマットは、『DTS core』に設定される(S25)。
【0046】
このように、HD DVDディスク内のデータ構造内のヘッダー情報の実際の<Elementary Stream>のヘッダー情報を参照することで、オーディオストリームのオーディオフォーマットが、本来のフォーマットと異なるフォーマットでHDMI Tx7に送信(出力)されることが防止できる。
【0047】
次に、図8を用いて、図4および図5あるいは図6および図7に示した選択されたオーディオストリームについて、実際に映像音声再生装置にセットされたHD DVDディスクを再生する際に、受信機器に対して出力するオーディオストリームのオーディオフォーマットを設定する方法の一例を示す。なお、図8は、オーディオストリームアトリビュート(Audio Stream Attribute)内にサブアトリビュート(Sub Attribute)が規定されている場合において、サブアトリビュート内に規定されているオーディオフォーマットと図4〜図7を用いて説明した方法により取得したオーディオフォーマットとが一致しない(異なる)場合のオーディオフォーマットの設定についても説明している。
【0048】
映像音声再生装置にHD DVDディスクがセットされ、図示しないリモート端末を介して(ユーザから)、コンテンツの再生が指示されると、VTSI(Video Title Set Information,ビデオタイトルセットインフォメーション(図9参照))/VTS内のオーディオストリームアトリビュート(Audio Stream Attribute)に、サブアトリビュート(Sub Attribute)が存在するか否かがチェックされる(S31)。
【0049】
なお、サブアトリビュート(Sub Attribute)が存在する場合、図12に示すように、オーディオストリームアトリビュートのオーディオコーディングモード(Audio Coding Mode)内の記載が「Dolby Digital Plus」のみであったとしても、サブアトリビュートのオーディオコーディングモード(Audio Coding Mode)には、『Dolby Digital』と『Dolby Digital Plus(DD+)』が明示されている。
【0050】
また、DTS社が推奨する「DTS」についても、図13に示すように、オーディオストリームアトリビュートのオーディオコーディングモード(Audio Coding Mode)内の記載が「DTS HD」のみであったとしても、サブアトリビュートのオーディオコーディングモード(Audio Coding Mode)には、『DTS−HD High Resolution Audio』と『DTS−HD MSTR』が明示されている。
【0051】
Sub Attribute(サブアトリビュート)は、詳細には、図15に示すデータ領域内のEVOBS(Enhanced Video Object Set)内に任意数用意されているEVO(Enhanced Video Object)のそれぞれに規定されているEVOBU(Enhanced Video Object Unit)のそれぞれに設けられる複数のオーディオパック(A_PCK)内のオーディオデータ(Audio data)領域に、それぞれ、「Audio data(DD+)」すなわちオーディオフォーマットが「Dolby Digital Plus」または「Dolby Digital」であることが示す記載(図12参照)あるいは「Audio data(DTS_HD)」すなわちオーディオフォーマットが「DTS_HD」/「DTS_HD High Resolution Audio」/「DTS−HD MSTR」のいずれかであることが示す記載(図13参照)として、規定されている。
【0052】
従って、サブアトリビュートが存在しない場合(S31−NO)、再生開始直後に、図4〜図7を用いて説明した方法により取得したオーディオフォーマットが、HDMI Tx7に出力(送信)されるオーディオフォーマットとして選択される(S32)。
【0053】
一方、サブアトリビュートが存在する場合(S31−YES)、先ず、HDMI Tx7には、サブアトリビュートに記載されているオーディオフォーマットで、オーディオ信号を出力(送信)する(S33)。
【0054】
次に、サブアトリビュートに記載されているオーディオフォーマットとElementary Streamに基づいて設定された現在HDMI Tx7に送信中のオーディオフォーマットとを比較(S34)し、両者が一致しない場合には(S34−NO)、図4および図5あるいは図6および図7により説明した方法すなわちエレメンタリストリーム(Elementary Stream)からオーディオフォーマットを設定)で取得したオーディオフォーマットで、オーディオ信号を出力する(S32)。なお、両者が一致する場合は(S34−YES)、サブアトリビュートに記載されているオーディオフォーマットによるオーディオ信号がHDMI Tx7に送信(出力)されることはいうまでもない(S35)。
【0055】
なお、サブアトリビュートに記載されるデータとしては、例えば図14に示すようなデータを含む。
【0056】
すなわち、図8に示した再生方法によれば、コンテンツの再生直前に、オーディオストリームのオーディオフォーマットが特定(設定)できるので、HDMI Tx7に出力されるオーディオストリームが遅延することが防止される。また、もし、サブアトリビュートの記載がElementary Stream(エレメンタリストリーム)に基づいて設定されたオーディオフォーマットと一致しない場合やサブアトリビュートの記載がないコンテンツであっても、既に取得済みの正しいオーディオストリーム情報に基づいて、正しいオーディオフォーマットのオーディオ信号が出力できる。
【0057】
以上説明したように、この発明の実施形態の一つを用いることで、HD DVDディスクからコンテンツを再生するプレーヤー装置(または記録も可能なレコーダー装置)において、ビットストリーム出力であるHBRオーディオ(High−Bits Rate Audio)出力を、HDMI インターフェースを用いてテレビ装置やオーディオアンプ等の受信機器に供給(出力)する場合、Dolby社が推奨する[Dolby Digital plus(DD+)]やDTS社が推奨する[DTS−HD High Resolution Audio(DTS−HD HI RES)]/[DTS−HD Master Audio(DTS−HD MSTR)]等に代表されるHBRオーディオ出力フォーマットを、本来のフォーマットに基づいて、適正に再生可能となる。
【0058】
また、例えばAVレシーバー(オーディオアンプ)に、オーディオストリームの名称が表示可能な表示領域、あるいはLED等のマーカー類が用意されている場合には、正確なオーディオストリームの名称を表示できる。
【0059】
さらに、接続された機器の音声再生能力に合わせて、音声仕様(音声フォーマット)を設定する必要がなくなり、にコンテンツに含まれる最良のオーディオ出力が再生される。
【0060】
なお、本発明は、上述のいずれかの実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記のいずれかの実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の実施の形態の一例が適用可能な映像音声再生装置(プレーヤー装置)の一例を示す概略ブロック図。
【図2】ビットストリーム出力(HBRオーディオ(Dolby社推奨))とディスク内の表示例を説明する概略図。
【図3】ビットストリーム出力(HBRオーディオ(DTS社推奨))とディスク内の表示例を説明する概略図。
【図4】オーディオストリーム内のエレメンタリストリーム(Elementary Stream)を検出する方法の一例を示す概略図。
【図5】レメンタリストリーム(Elementary Stream)内に記載されているbsiデータの一例を示す概略図(Dolby社対応)。
【図6】オーディオストリームのデータ内のヘッダー情報からHBRオーディオのオーディオフォーマットを検出する方法の一例を説明する概略図(DTS社対応)。
【図7】オーディオストリームのデータ内のヘッダー情報に記載されているオーディオフォーマットの一例を示す概略図。
【図8】選択されたオーディオストリームについて、実際に映像音声再生装置にセットされたHD DVDディスクを再生する際に、受信機器に対して出力するオーディオストリームのオーディオフォーマットを設定する方法の一例を示す概略図。
【図9】ディスク内のデータ領域内のVTSI(Video Title Set Information)のVTSI_MAT(Video Title Set Information Manegement Table)の構成を示す概略図。
【図10】VTSI_MAT(Video Title Set Information Manegement Table)内の記載例を示す概略図。
【図11】VTSI_MAT内のオーディオストリームアトリビュートテーブル(Audio stream attribute table of VTS)の記載例の構成を示す概略図。
【図12】サブアトリビュート(Sub Attribute)内のオーディオストリームアトリビュートのオーディオコーディングモード(Audio Coding Mode)の記載例を示す概略図(Dolby社対応)。
【図13】サブアトリビュート(Sub Attribute)内のオーディオストリームアトリビュートのオーディオコーディングモード(Audio Coding Mode)の記載例を示す概略図(DTS社対応)。
【図14】サブアトリビュート(Sub Attribute)内のオーディオストリームアトリビュートのオーディオコーディングモード(Audio Coding Mode)に記載されるデータの例を示す概略図。
【図15】Sub Attribute(サブアトリビュート)を含むデータ領域内のEVOBS/EVO/EVOBUのそれぞれに設けられる複数のオーディオパック(A_PCK)内のオーディオデータ(Audio data)領域の配列を示す概略図。
【符号の説明】
【0062】
1…映像音声再生装置(プレーヤー装置)、3…ディスクドライブユニット、5…ユーザ操作入力部、7…HDMIインタフェース部(HDMI Tx)、9…主制御ブロック、11…信号処理部(DSP)13…ビデオデコーダー部、15…オーディオデコーダー部、17…HBRオーディオ処理部、19…切換器、21…メインメモリ(SDRAM)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツに含まれるオーディオストリームのエレメンタリストリーム(Elementary Stream)の構成及びそのエレメンタリストリームの設定を抽出する手段と、
前記抽出する手段によって抽出したオーディオストリームにおけるエレメンタリストリーム(Elementary Stream)の構成及びエレメンタリストリームの設定に従い、オーディオストリームを再生する手段と、
を有することを特徴とする動画像およびオーディオ再生装置。
【請求項2】
前記抽出する手段は、エレメンタリストリーム(Elementary Stream)に記載された数値に基づいて、設定されているオーディオストリームのオーディオフォーマットを検出することを特徴とする請求項1記載の動画像およびオーディオ再生装置。
【請求項3】
前記抽出する手段は、エレメンタリストリーム(Elementary Stream)に記載されているオーディオコーディングモード(Audio coding mode)に基づいて、設定されているオーディオストリームのオーディオフォーマットを検出することを特徴とする請求項1記載の動画像およびオーディオ再生装置。
【請求項4】
前記再生する手段により再生されたオーディオストリームをデコードせずに受信機器に送信する送信機器をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の動画像およびオーディオ再生装置。
【請求項5】
前記再生する手段は、前記抽出する手段によって抽出したオーディオストリームにおけるエレメンタリストリーム(Elementary Stream)の構成及びエレメンタリストリームの設定から選択されたオーディオストリームを識別して、前記送信機器を介して出力するオーディオフォーマットを切換えることを特徴とする請求項4記載の動画像およびオーディオ再生装置。
【請求項6】
コンテンツに含まれるビデオタイトルセットインフォメーション(Video Title Set Information,VTSI)内のオーディオストリームアトリビュート(Audio Stream Attribute)に、サブアトリビュート(Sub Attribute)が存在するか否かをチェックする抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出したオーディオストリームを再生する再生手段と、
前記再生手段により再生されたオーディオストリームを受信機器に送信する送信機器と、
前記抽出手段により抽出されたサブアトリビュート(Sub Attribute)のオーディオ符号化モード(Audio Coding Mode,オーディオフォーマット)の設定からオーディオストリームを識別して、前記送信機器に出力するコンテンツのオーディオストリームのオーディオフォーマットを切換える切換手段と、
を有することを特徴とする動画像およびオーディオ再生装置。
【請求項7】
前記切換手段は、前記抽出手段により抽出されたサブアトリビュート(Sub Attribute)のオーディオ符号化モード(Audio Coding Mode,オーディオと予め取得したオーディオストリームのエレメンタリストリーム(Elementary Stream)として設定されているオーディオフォーマットの情報とを比較し、両者が一致しない場合には、エレメンタリストリーム(Elementary Stream)として設定されている情報を優先させることを特徴とする請求項6記載の動画像およびオーディオ再生装置。
【請求項8】
コンテンツに含まれるオーディオストリームのエレメンタリストリーム(Elementary Stream)の構成及びそのエレメンタリストリームの設定を抽出し、
抽出されたオーディオストリームにおけるエレメンタリストリーム(Elementary Stream)の構成及びエレメンタリストリームの設定に従い、オーディオストリームを再生するをことを特徴とする動画像およびオーディオ再生方法。
【請求項9】
エレメンタリストリーム(Elementary Stream)の構成及びそのエレメンタリストリームの設定の抽出は、エレメンタリストリーム(Elementary Stream)に記載された数値の検出である請求項8記載の動画像およびオーディオ再生方法。
【請求項10】
エレメンタリストリーム(Elementary Stream)の構成及びそのエレメンタリストリームの設定の抽出は、エレメンタリストリーム(Elementary Stream)に記載されているオーディオコーディングモード(Audio coding mode)に基づいて、設定されているオーディオストリームのオーディオフォーマットの検出である請求項8記載の動画像およびオーディオ再生方法。
【請求項11】
コンテンツに含まれるビデオタイトルセットインフォメーション(Video Title Set Information,VTSI)内のオーディオストリームアトリビュート(Audio Stream Attribute)内のサブアトリビュート(Sub Attribute)を抽出し、
抽出されたサブアトリビュート(Sub Attribute)のオーディオ符号化モード(Audio Coding Mode,オーディオフォーマット)の設定からオーディオストリームを識別して、送信機器に出力するコンテンツのオーディオストリームのオーディオフォーマットを切換えることを特徴とする動画像およびオーディオ再生方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−111882(P2009−111882A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284098(P2007−284098)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】