説明

化合物

本発明は、アミノピラジン誘導体、それを含む組成物および医薬品、ならびにそのような化合物、組成物、医薬品の製造および使用方法に関するものである。当該アミノピラジン誘導体は不適切なチロシンキナーゼ活性および/またはセリン/トレオニンキナーゼ活性と関連した疾患の治療において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノピラジン誘導体、それを含む組成物および医薬品、ならびにそのような化合物、組成物、医薬品の製造および使用方法に関するものである。かかるアミノピラジン誘導体は不適切なチロシンキナーゼ活性および/またはセリン/トレオニンキナーゼ活性と関連した疾患の治療において有用である。
【背景技術】
【0002】
酵素の重要な大ファミリーはプロテインキナーゼ酵素のファミリーである。現在、約400種類のプロテインキナーゼが知られている。しかしながら、ヒトゲノムの3〜4パーセントはプロテインキナーゼを生成するためのコードであるので、ヒトには何千もの異なる別個のキナーゼが存在すると考えられる。プロテインキナーゼは種々のタンパク質のアミノ酸側鎖のリン酸化を触媒するように作用し、ATP-Mg2+複合体のγ-リン酸基を前記アミノ酸の側鎖に導入する。これらの酵素はタンパク質中のセリン、トレオニンおよびチロシンのヒドロキシル基の可逆的リン酸化を介して細胞内の大多数のシグナリングプロセスを制御しており、それにより細胞の機能、増殖、分化および破壊(アポトーシス)を支配している。これまでの研究により、プロテインキナーゼはシグナル伝達、転写調節、細胞運動、細胞分裂を含めて、様々な細胞機能のきわめて重要な調節因子であることが示されている。いくつかのオンコジーンもプロテインキナーゼをコードしていることが分かっており、このことからキナーゼが腫瘍形成にも一役を担っていることが示唆される。これらのプロセスは、多くの場合、それぞれのキナーゼ自体が1以上の他のキナーゼによって調節されるという複雑にかみ合った経路により、高度に調節されている。その結果、異常なまたは不適切なプロテインキナーゼ活性は、そうした異常なキナーゼ活性と関連した病的状態の発生の一因となりうる。それらの生理的関連性、多様性および遍在性ゆえに、プロテインキナーゼは生化学的および医学的研究において最も重要かつ広範に研究されている酵素ファミリーのいとつとなっている。
【0003】
酵素のプロテインキナーゼファミリーは、一般的に、2つの主なサブファミリーに分類される。すなわち、それらがリン酸化するアミノ酸残基に基づいて、プロテインチロシンキナーゼとプロテインセリン/トレオニンキナーゼである。セリン/トレオニンキナーゼ(PSTK)には、サイクリックAMPおよびサイクリックGMP依存性プロテインキナーゼ、カルシウムおよびリン脂質依存性プロテインキナーゼ、カルシウムおよびカルモジュリン依存性プロテインキナーゼ、カゼインキナーゼ、細胞分裂周期プロテインキナーゼなどが含まれる。これらのキナーゼは通常、細胞質にあるか、または、おそらくアンカータンパク質によって細胞の粒子状画分と結合している。異常なプロテインセリン/トレオニンキナーゼ活性は、慢性関節リウマチ、乾癬、敗血症性ショック、骨の喪失、多くの癌、その他の増殖性疾患のような、いくつかの病理に関係しているか、または関係していることが疑われている。したがって、セリン/トレオニンキナーゼおよびそれらが一部を構成するシグナル伝達経路は、創薬の重要な標的となる。チロシンキナーゼはチロシン残基をリン酸化する。チロシンキナーゼは細胞の調節において同様に重要な役割を担っている。これらのキナーゼには増殖因子やホルモンといった分子の受容体が含まれ、例えば、上皮増殖因子受容体、インスリン受容体、血小板由来増殖因子受容体などが挙げられる。これまでの研究により、多くのチロシンキナーゼは膜貫通タンパク質であって、それらの受容体ドメインは細胞の外側にあり、それらのキナーゼドメインは内側にあることが示されている。チロシンキナーゼのモジュレーターを同定するための研究も進行中である。
【0004】
細胞により利用される主なシグナル伝達系はRhoAシグナリング経路である。RhoAはいくつかの細胞外刺激、例えば増殖因子、ホルモン、機械的ストレス、浸透圧の変化、高濃度の代謝産物(グルコースなど)によって活性化され得る低分子量GTP結合タンパク質である。RhoAの活性化には、GTP結合、立体構造の変化、翻訳後修飾(ゲラニルゲラニル化とファルネシル化)およびその固有のGTPアーゼ活性の活性化が必要である。活性化されたRhoAは、ROCKをはじめとするいくつかのエフェクタータンパク質と相互作用して、細胞質および核にシグナルを伝達することができる。
【0005】
ROCK1および2は、物理的結合を介してRhoA-GTP複合体により活性され得るキナーゼのファミリーを構成している。活性化されたROCKはいくつかの基質をリン酸化し、中枢的な細胞機能において重要な役割を果たしている。ROCKの基質としては、ミオシン軽鎖ホスファターゼのミオシン結合サブユニット(MBS、MYPT1とも呼ばれる)、アデューシン、モエシン、ミオシン軽鎖(MLC)、LIMキナーゼ、および転写因子FHLが挙げられる。これらの基質がリン酸化されると、そのタンパク質の生物学的活性がモジュレートされるので、外的刺激に対する細胞応答を改変する手段が得られる。十分に実証された一つの例として、平滑筋収縮におけるROCKの関与がある。フェニレフリンで刺激すると、血管の平滑筋が収縮する。フェニレフリンはβアドレナリン受容体を刺激して、RhoAの活性化をもたらすことが以前の研究で示されている。活性化されたRhoAはその後ROCK1のキナーゼ活性を刺激し、続いてそのROCK1がMBSをリン酸化する。このようなリン酸化はミオシン軽鎖ホスファターゼの酵素活性を阻害し、かつカルシウム依存性ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)によるミオシン軽鎖それ自体のリン酸化を増大させ、結果的にミオシン-アクチン束の収縮性を高めて平滑筋を収縮させる。この現象はカルシウム増感とも呼ばれることがある。平滑筋の収縮に加えて、ROCKはアポトーシス、細胞移動、転写活性化、線維症、細胞質分裂、炎症、細胞増殖といった細胞機能にも関係していることが分かってきた。さらに、ニューロンでは、ROCKはミエリン結合糖タンパク質(MAG)のようなミエリン結合阻害因子による軸索成長の阻害においてきわめて重要な役割を担っている。また、ROCK活性は発達しつつあるニューロンにおける成長円錐(growth cones)の崩壊を媒介する。両方のプロセスとも、LIMキナーゼやミオシン軽鎖ホスファターゼのような基質のROCK誘導リン酸化によって媒介され、結果的にニューロンのアクチン-ミオシン系の収縮性を増大させると考えられる。
【0006】
ROCKの阻害剤は各種疾患の治療への使用が提案されてきた。そうした疾患には、心血管疾患、例えば高血圧、慢性およびうっ血性心不全、心臓肥大、再狭窄、慢性腎不全、およびアテローム性動脈硬化が含まれる。さらに、その筋弛緩作用のため、前記阻害剤は喘息、男性の勃起機能障害、女性の性機能障害、および過活動膀胱症候群にも適している。ROCK阻害剤は抗炎症作用をもつことが明らかにされている。かくして、それらは神経炎症性疾患、例えば発作、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、および炎症性疼痛、ならびに他の炎症性疾患、例えば慢性関節リウマチ、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患の治療薬として使用することができる。加えて、神経突起伸長を誘発するそれらの作用に基づいて、ROCK阻害剤はニューロンの再生、新しい軸索伸長の誘発、およびCNS内の傷害にわたる軸索の再接続に有用な薬剤であると考えられる。したがって、ROCK阻害剤はCNS障害、例えば脊髄損傷、急性ニューロン損傷(発作、外傷性脳損傷)、パーキンソン病、アルツハイマー病、その他の神経変性障害の再生(回復)治療に有用であると思われる。ROCK阻害剤は細胞増殖および細胞移動を低下させるので、それらは癌や腫瘍の転移を治療する際にも有用であろう。さらにまた、ROCK阻害剤はウイルス侵入の際の細胞骨格の再配列を抑制することを示唆する証拠があるので、それらは抗ウイルスおよび抗菌用途において治療的価値をもつ可能性がある。ROCK阻害剤はさらに、インスリン耐性および糖尿病の治療にも有用である。
【0007】
本発明者らは、ROCK活性の阻害剤である新規なアミノピラジン化合物を見いだした。そのような誘導体は不適切なROCK活性と関連した障害の治療に有用である。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
本発明の第1の態様においては、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体を提供する:
【化1】

【0009】
[式中、
Aは、アリール、ヘテロアリール、C1-C6アルケニル、C1-C6アルキニル、-CN、ハロ、-COOH、-C(O)NR4R5、-NRR'、-N(R')S(O)2R、-N(R')C(O)R、または-N(R')C(O)NR4R5であり、
Rは、-H、C1-C6アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
R’は、-HまたはC1-C3アルキルであり、
Dは、下記の群から選択され、
【化2】

【0010】
R2は、-H、ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、-S(O)2NR4R5、-COOH、-C(O)OR6、-C(O)NR4R5、NRR'、-N(H)C(O)NRR'、-N(H)C(O)R、または-N(H)S(O)2Rであり、
qは、1、2、3、または4であり、
R3は、-H、C1-C3アルキル、アリール、アラルキル、またはヘテロアリールであり、
R4は、-HまたはC1-C3アルキルであり、
R5は、-HまたはC1-C3アルキルであるか、または
R4とR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環を形成し、該環は1または2個の追加の酸素、S(O)m、または窒素原子を含んでいてもよく、該窒素原子はC1-C3アルキル基で置換されていてもよく、
mは、0、1、または2であり、
R6は、C1-C6アルキルである]。
【0011】
本発明の第2の態様においては、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体を提供する:
【化3】

【0012】
[式中、
Aは、アリール(少なくとも1個のR1基で置換されていてもよい)、ヘテロアリール(少なくとも1個のR1基で置換されていてもよい)、C1-C6アルケニル、C1-C6アルキニル、-CN、ハロ、-COOH、-C(O)NR4R5、-NRR'、-N(R')S(O)2R、-N(R')C(O)R、または-N(R')C(O)NR4R5であり、
Rは、-H、C1-C6アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
R’は、-HまたはC1-C3アルキルであり、
R1は、C1-C6アルキル、アリール、C1-C6アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、-COOH、-CN、-S(O)2NR4R5、-S(O)2R、-C(O)NR4R5、-NRR'、-N(H)C(O)NR4R5、-O(CH2)nCOOH、-(CH2)nCOOH、-C(O)O(CH2)nR、-(CH2)nN(H)C(O)OR、または-N(R')S(O)2Rであり、
nは、1、2、3、または4であり、
Dは、下記の群から選択され、
【化4】

【0013】
R2は、-H、ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヘテロアリール、-S(O)2NR4R5、-COOH、-C(O)OR6、-C(O)NR4R5、NRR'、-N(H)C(O)NRR'、-N(H)C(O)R、または-N(H)S(O)2Rであり、
qは、1、2、3、または4であり、
R3は、-H、C1-C3アルキル、アリール、アラルキル、またはヘテロアリールであり、
R4は、-HまたはC1-C3アルキルであり、
R5は、-HまたはC1-C3アルキルであるか、または
R4とR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環を形成し、該環は1または2個の追加の酸素、S(O)m、または窒素原子を含んでいてもよく、該窒素原子はC1-C3アルキル基で置換されていてもよく、
mは、0、1、または2であり、
R6は、C1-C6アルキルである]。
【0014】
本発明の第3の態様においては、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体を提供する:
【化5】

【0015】
[式中、
Aは、アリール(少なくとも1個のR1基で置換されていてもよい)、またはヘテロアリール(少なくとも1個のR1基で置換されていてもよい)であり、
Rは、-H、C1-C6アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
R’は、-HまたはC1-C3アルキルであり、
R1は、C1-C6アルキル、アリール、C1-C6アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、-COOH、-CN、-S(O)2NR4R5、-S(O)2R、-C(O)NR4R5、-NRR'、-N(H)C(O)NR4R5、-O(CH2)nCOOH、-(CH2)nCOOH、-C(O)O(CH2)nR、-(CH2)nN(H)C(O)OR、または-N(R')S(O)2Rであり、
Dは、下記の群から選択され、
【化6】

【0016】
R2は、-H、ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヘテロアリール、-S(O)2NR4R5、-COOH、-C(O)OR6、-C(O)NR4R5、NRR'、-N(H)C(O)NRR'、-N(H)C(O)R、または-N(H)S(O)2Rであり、
qは、1、2、3、または4であり、
R3は、-H、C1-C3アルキル、アリール、アラルキル、またはヘテロアリールであり、
R4は、-HまたはC1-C3アルキルであり、
R5は、-HまたはC1-C3アルキルであるか、または
R4とR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環を形成し、該環は1または2個の追加の酸素、S(O)m、または窒素原子を含んでいてもよく、該窒素原子はC1-C3アルキル基で置換されていてもよく、
mは、0、1、または2であり、
R6は、C1-C6アルキルである]。
【0017】
本発明の第4の態様においては、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体を提供する:
【化7】

【0018】
[式中、
Aは、C1-C6アルケニルまたはC1-C6アルキニルであり、
Rは、-H、C1-C6アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
R’は、-HまたはC1-C3アルキルであり、
Dは、下記の群から選択され、
【化8】

【0019】
R2は、-H、ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヘテロアリール、-S(O)2NR4R5、-COOH、-C(O)OR6、-C(O)NR4R5、NRR'、-N(H)C(O)NRR'、-N(H)C(O)R、または-N(H)S(O)2Rであり、
qは、1、2、3、または4であり、
R3は、-H、C1-C3アルキル、アリール、アラルキル、またはヘテロアリールであり、
R4は、-HまたはC1-C3アルキルであり、
R5は、-HまたはC1-C3アルキルであるか、または
R4とR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環を形成し、該環は1または2個の追加の酸素、S(O)m、または窒素原子を含んでいてもよく、該窒素原子はC1-C3アルキル基で置換されていてもよく、
mは、0、1、または2であり、
R6は、C1-C6アルキルである]。
【0020】
本発明の第5の態様においては、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体を提供する:
【化9】

【0021】
[式中、
Aは、-CN、-COOH、または-C(O)NR4R5であり、
Rは、-H、C1-C6アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
R’は、-HまたはC1-C3アルキルであり、
Dは、下記の群から選択され、
【化10】

【0022】
R2は、-H、ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヘテロアリール、-S(O)2NR4R5、-COOH、-C(O)OR6、-C(O)NR4R5、NRR'、-N(H)C(O)NRR'、-N(H)C(O)R、または-N(H)S(O)2Rであり、
qは、1、2、3、または4であり、
R3は、-H、C1-C3アルキル、アリール、アラルキル、またはヘテロアリールであり、
R4は、-HまたはC1-C3アルキルであり、
R5は、-HまたはC1-C3アルキルであるか、または
R4とR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環を形成し、該環は1または2個の追加の酸素、S(O)m、または窒素原子を含んでいてもよく、該窒素原子はC1-C3アルキル基で置換されていてもよく、
mは、0、1、または2であり、
R6は、C1-C6アルキルである]。
【0023】
本発明の第6の態様においては、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体を提供する:
【化11】

【0024】
[式中、
Aは、-NRR’、-N(R')S(O)2R、-N(R')C(O)R、または-N(R')C(O)NR4R5であり、
Rは、-H、C1-C6アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
R’は、-HまたはC1-C3アルキルであり、
Dは、下記の群から選択され、
【化12】

【0025】
R2は、-H、ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヘテロアリール、-S(O)2NR4R5、-COOH、-C(O)OR6、-C(O)NR4R5、NRR'、-N(H)C(O)NRR'、-N(H)C(O)R、または-N(H)S(O)2Rであり、
qは、1、2、3、または4であり、
R3は、-H、C1-C3アルキル、アリール、アラルキル、またはヘテロアリールであり、
R4は、-HまたはC1-C3アルキルであり、
R5は、-HまたはC1-C3アルキルであるか、または
R4とR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環を形成し、該環は1または2個の追加の酸素、S(O)m、または窒素原子を含んでいてもよく、該窒素原子はC1-C3アルキル基で置換されていてもよく、
mは、0、1、または2であり、
R6は、C1-C6アルキルである]。
【0026】
本発明の第7の態様においては、治療に有効な量の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体、ならびに1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤を含有する医薬組成物を提供する。
【0027】
本発明の第8の態様においては、哺乳動物の不適切なROCK-1活性により媒介される障害を治療する方法を提供し、この方法は、該哺乳動物に、治療に有効な量の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体を投与することを含んでなる。
【0028】
本発明の第9の態様においては、治療に使用するための式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体を提供する。
【0029】
本発明の第10の態様においては、不適切なROCK-1活性により媒介される障害の治療に用いる医薬の製造における、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体の使用を提供する。
【0030】
発明の詳細な説明
本明細書中で用いる「有効量」とは、例えば研究者や医師が求めている組織、系、動物またはヒトの生物学的もしくは医学的応答を引き出しうる薬物または薬剤の量を意味する。さらに、「治療に有効な量」とは、そのような量を投与されていない被験者と比較して、疾患、障害もしくは副作用の改善された治療、治癒、予防または軽減をもたらすか、あるいは疾患もしくは障害の進行速度の低下をもたらす量を意味する。この用語はまた、その範囲内に、正常な生理的機能を増強するのに有効な量をも包含する。
【0031】
本明細書中で用いる「アルキル」とは、1〜12個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基をさし、該炭化水素基は、C1-C6アルキル、C1-C6ヒドロキシアルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキルスルファニル、C1-C6アルキルスルフェニル、C1-C6アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキルで置換されていてもよい)、カルボキシ、カルバモイル(アルキルで置換されていてもよい)、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アミノスルホニル(アルキルで置換されていてもよい)、ニトロ、シアノ、ハロ、およびC1-C6パーフルオロアルキルからなる群より選択される置換基で置換されていてもよく、複数の置換度が許容される。本明細書中で用いる「アルキル」の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチルなどが挙げられる。
【0032】
本明細書中で用いる「C1-C3アルキル」および「C1-C6アルキル」とは、少なくとも1個、多くても3個または6個の炭素原子をそれぞれ含む、先に定義したアルキル基をさす。本発明において有用な、そのような直鎖または分枝鎖アルキル基の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、およびn-ヘキシルが挙げられる。
【0033】
本明細書中で用いる「アルキレン」とは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の2価炭化水素基をさし、該炭化水素基は、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキルスルファニル、C1-C6アルキルスルフェニル、C1-C6アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキルで置換されていてもよい)、カルボキシ、カルバモイル(アルキルで置換されていてもよい)、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アミノスルホニル(アルキルで置換されていてもよい)、ニトロ、シアノ、ハロ、およびC1-C6パーフルオロアルキルからなる群より選択される置換基で置換されていてもよく、複数の置換度が許容される。本明細書中で用いる「アルキレン」の例としては、限定するものではないが、メチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレンなどが挙げられる。
【0034】
本明細書中で用いる「C1-C3アルキレン」および「C1-C6アルキレン」とは、少なくとも1個、多くても3個または6個の炭素原子をそれぞれ含む、先に定義したアルキレン基をさす。本発明において有用な「C1-C3アルキレン」および「C1-C6アルキレン」基の例としては、限定するものではないが、メチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、イソペンチレンなどが挙げられる。
【0035】
本明細書中で用いる「ハロゲン」とは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I)をさし、「ハロ」はハロゲンラジカル、すなわち、フルオロ(-F)、クロロ(-Cl)、ブロモ(-Br)およびヨード(-I)をさす。
【0036】
本明細書中で用いる「C1-C6ハロアルキル」とは、少なくとも1個のハロ基(ハロは先に定義したとおり)で置換された少なくとも1個、多くても6個の炭素原子を含む、先に定義したアルキル基をさす。本発明において有用な、そのような直鎖または分枝鎖ハロアルキル基の例としては、限定するものではないが、1個以上のハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード)で独立に置換されたメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチルおよびn-ブチルが挙げられる。
【0037】
本明細書中で用いる「シクロアルキル」とは、3〜10個の炭素原子を含む非芳香族環式炭化水素をさし、場合によりC1-C6アルキルリンカー(これを介して炭化水素環が結合される)を含んでいてもよい。同様に、「C3-C7シクロアルキル」とは、3〜7個の炭素原子を有する非芳香族環式炭化水素をさし、場合によりC1-C6アルキルリンカー(これを介して炭化水素環が結合される)を含んでいてもよい。C1-C6アルキル基は先に定義したとおりである。本発明において有用な「C3-C7シクロアルキル」の例としては、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。
【0038】
本明細書中で用いる「複素環式」または「ヘテロシクリル」とは、S、S(O)、S(O)2、OまたはNから選択される1以上のヘテロ原子置換を含む、飽和されているかまたは1以上の不飽和度を有する3〜12員の非芳香族複素環をさし、場合により、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキルスルファニル、C1-C6アルキルスルフェニル、C1-C6アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキルで置換されていてもよい)、カルボキシ、カルバモイル(アルキルで置換されていてもよい)、アミノスルホニル(アルキルで置換されていてもよい)、ニトロ、シアノ、ハロ、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、およびC1-C6パーフルオロアルキルからなる群より選択される置換基で置換されていてもよく、複数の置換度が許容される。このような環は1個以上の他の「複素環式」環またはシクロアルキル環に縮合されていてもよい。「複素環式」部分の例としては、限定するものではないが、テトラヒドロフラン、ピラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、ピペリジン、ピペラジン、2,4-ピペラジンジオン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、モルホリン、チオモルホリン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロチオフェンなどが含まれる。
【0039】
本明細書中で用いる「アリール」とは、置換されていてもよいベンゼン環、または、例えばアントラセン、フェナントレンもしくはナフタレン環系を形成するために、1個以上の置換されていてもよいベンゼン環に縮合された、置換されていてもよいベンゼン環系を意味する。任意の置換基の例としては、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6アルキルスルファニル、C1-C6アルキルスルフェニル、C1-C6アルキルスルホニル、C1-C6アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホノアミノ、アルキルカルボキシ、アルキルカルボキシアミド、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキル、アリール、もしくはヘテロアリールで置換されていてもよい)、カルボキシ、テトラゾリル、カルボキサミド、カルバモイル(アルキル、アリール、もしくはヘテロアリールで置換されていてもよい)、アミノスルホニル、アシル、アロイル、アロイルアミノ、ヘテロアロイル、アシルオキシ、アロイルオキシ、ヘテロアロイルオキシ、アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、ハロ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール、ウレイド、アリール尿素、アルキル尿素、シクロアルキル尿素、アルキルチオ尿素、アリールオキシ、アラルコキシ、または-O(CH2)nCOOH、-(CH2)nCOOH、-C(O)O(CH2)nR、-(CH2)nN(H)C(O)OR、もしくは-N(R')S(O)2R(ここで、nは1〜4、Rは-H、アルキル、アリールまたはヘテロアリール)が挙げられ、複数の置換度が許容される。「アリール」基の例には、フェニル、2-ナフチル、1-ナフチル、ビフェニル、ならびにそれらの置換誘導体が含まれ、これらに限定されない。
【0040】
本明細書中で用いる「アラルキル」とは、C1-C3アルキレンリンカー(C1-C3アルキレンは本明細書で定義したとおり)を介して結合されるアリールまたはヘテロアリール基をさす。「アラルキル」の例としては、限定するものではないが、ベンジル、フェニルプロピル、2-ピリジルメチル、3-イソキサゾリルメチル、5-メチル-3-イソキサゾリルメチル、および2-イミダゾリルエチルが挙げられる。
【0041】
本明細書中で用いる「ヘテロアリール」とは、単環式の5〜7員芳香環、またはそのような単環式5〜7員芳香環を2個含む縮合二環式もしくは三環式芳香環系をさす。これらのヘテロアリール環は、1個以上の窒素、硫黄および/または酸素へテロ原子を含み(N-オキシド、硫黄の酸化物および二酸化物が許容されるヘテロ原子置換である)、場合により、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6アルキルスルファニル、C1-C6アルキルスルフェニル、C1-C6アルキルスルホニル、C1-C6アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホノアミノ、アルキルカルボキシ、アルキルカルボキシアミド、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキル、アリール、もしくはヘテロアリールで置換されていてもよい)、カルボキシ、テトラゾリル、カルボキサミド、カルバモイル(アルキル、アリール、もしくはヘテロアリールで置換されていてもよい)、アミノスルホニル、アシル、アロイル、アロイルアミノ、ヘテロアロイル、アシルオキシ、アロイルオキシ、ヘテロアロイルオキシ、アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、ハロ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール、ウレイド、アリール尿素、アルキル尿素、シクロアルキル尿素、アルキルチオ尿素、アリールオキシ、アラルコキシ、または-O(CH2)nCOOH、-(CH2)nCOOH、-C(O)O(CH2)nR、-(CH2)nN(H)C(O)OR、もしくは-N(R')S(O)2R(ここで、nは1〜4、Rは-H、アルキル、アリールまたはヘテロアリール)からなる群より選択される3個までの置換基で置換されていてもよく、複数の置換度が許容される。本明細書中で用いる「ヘテロアリール」基の例には、フラニル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、オキソピリジル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジル、ピラジニル、ピリミジル、キナゾリニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、インダゾリル、およびこれらの置換誘導体が含まれる。
【0042】
本明細書中で用いる「アルコキシ」とは、基RaO-(ここでRaは先に定義したアルキル)をさし、「C1-C3アルコキシ」および「C1-C6アルコキシ」は、アルキル部分が少なくとも1個、多くても3または6個の炭素原子を含む先に定義したアルコキシ基をさす。本発明において有用な「C1-C3アルコキシ」および「C1-C6アルコキシ」基の例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、およびt-ブトキシであるが、これらに限らない。
【0043】
本明細書中で用いる「アミノ」とは、基-NH2をさす。
【0044】
本明細書中で用いる「アルキルアミノ」とは、基-NHRa(ここでRaは先に定義したアルキル)をさす。
【0045】
本明細書中で用いる「アリールアミノ」とは、基-NHRa(ここでRaは先に定義したアリール)をさす。
【0046】
本明細書中で用いる「アラルキルアミノ」とは、基-NHRa(ここでRaは先に定義したアラルキル基)をさす。
【0047】
本明細書中で用いる「アラルコキシ」とは、基RbRaO-(ここでRaは先に定義したアルキレン、Rbは先に定義したアリールまたはヘテロアリール)をさす。
【0048】
本明細書中で用いる「アリールオキシ」とは、基RaO-(ここでRaは先に定義したアリールまたはヘテロアリール)をさす。
【0049】
本明細書中で用いる「ウレイド」とは、基-NHC(O)NH2をさす。
【0050】
本明細書中で用いる「アリール尿素」とは、基-NHC(O)NRaRb(ここでRaは先に定義したアリールまたはヘテロアリール、Rbは-H、または先に定義したアルキルもしくはアリール)をさす。
【0051】
本明細書中で用いる「アリールチオ尿素」とは、基-NHC(S)NHRa(ここでRaは先に定義したアリール)をさす。
【0052】
本明細書中で用いる「アルキル尿素」とは、基-NHC(O)NRaRb(ここでRaは先に定義したアルキル、Rbは-Hまたは先に定義したアルキル)をさす。
【0053】
本明細書中で用いる「シクロアルキル尿素」とは、基-NHC(O)NHRa(ここでRaは先に定義したシクロアルキル)をさす。
【0054】
本明細書中で用いる「C3-C7シクロアルコキシ」とは、基RaO-(ここでRaは先に定義したC3-C7シクロアルキル)をさす。本発明において有用なC3-C7シクロアルコキシの例は、シクロブトキシおよびシクロペントキシであるが、これらに限らない。
【0055】
本明細書中で用いる「ハロアルコキシ」とは、基RaO-(ここでRaは先に定義したハロアルキル)をさし、「C1-C6ハロアルコキシ」とは、ハロアルキル部分が少なくとも1個、多くても6個の炭素原子を含む、ここで定義したハロアルコキシ基をさす。本発明において有用なC1-C6ハロアルコキシ基の例はトリフルオロメトキシであるが、これに限らない。
【0056】
本明細書中で用いる「アルキルスルファニル」とは、基RaS-(ここでRaは先に定義したアルキル)をさし、「C1-C6アルキルスルファニル」とは、アルキル部分が少なくとも1個、多くても6個の炭素原子を含む、ここで定義したアルキルスルファニル基をさす。
【0057】
本明細書中で用いる「ハロアルキルスルファニル」とは、基RaS-(ここでRaは先に定義したハロアルキル)をさし、「C1-C6ハロアルキルスルファニル」とは、アルキル部分が少なくとも1個、多くても6個の炭素原子を含む、ここで定義したハロアルキルスルファニル基をさす。
【0058】
本明細書中で用いる「アルキルスルフェニル」とは、基RaS(O)-(ここでRaは先に定義したアルキル)をさし、「C1-C6アルキルスルフェニル」とは、アルキル部分が少なくとも1個、多くても6個の炭素原子を含む、ここで定義したアルキルスルフェニル基をさす。
【0059】
本明細書中で用いる「アルキルスルホニル」とは、基RaS(O)2-(ここでRaは先に定義したアルキル)をさし、「C1-C6アルキルスルホニル」とは、アルキル部分が少なくとも1個、多くても6個の炭素原子を含む、ここで定義したアルキルスルホニル基をさす。
【0060】
本明細書中で用いる「アルキルスルホニルアミノ」とは、基-NRbS(O)2Ra(ここでRaは先に定義したアルキル、Rbは-Hまたは先に定義したC1-C6アルキル)をさし、「C1-C6アルキルスルホニルアミノ」とは、アルキル部分が少なくとも1個、多くても6個の炭素原子を含む、ここで定義したアルキルスルホニルアミノ基をさす。
【0061】
本明細書中で用いる「アリールスルホニルアミノ」とは、基-NRbS(O)2Ra(ここでRaは先に定義したアリールまたはヘテロアリール、Rbは-Hまたは先に定義したC1-C6アルキル)をさす。
【0062】
本明細書中で用いる「アルキルカルボキシアミド」とは、基-NHC(O)Ra(ここでRaは先に定義したアルキル、アミノ、またはアルキル、アリールもしくはヘテロアリールで置換されたアミノ)をさす。
【0063】
本明細書中で用いる「アルキルカルボキシ」とは、基-C(O)Ra(ここでRaは先に定義したアルキル)をさす。
【0064】
本明細書中で用いる「オキソ」とは、基=Oをさす。
【0065】
本明細書中で用いる「メルカプト」とは、基-SHをさす。
【0066】
本明細書中で用いる「カルボキシ」とは、基-C(O)ORa(ここでRaは-Hまたは先に定義したアルキル)をさす。
【0067】
本明細書中で用いる「シアノ」とは、基-CNをさす。
【0068】
本明細書中で用いる「シアノアルキル」とは、基-RaCN(ここでRaは先に定義したアルキル)をさす。本発明において有用な「シアノアルキル」基の例としては、限定するものではないが、シアノメチル、シアノエチル、およびシアノイソプロピルが挙げられる。
【0069】
本明細書中で用いる「アミノスルホニル」とは、基-S(O)2NRaRb(ここでRaおよびRbは独立してH、C1-C6アルキル、アリール、アラルキル、またはヘテロアリール)をさす。
【0070】
本明細書中で用いる「カルバモイル」とは、基-OC(O)NHRa(ここでRaは水素または先に定義したアルキル)をさす。
【0071】
本明細書中で用いる「カルボキサミド」とは、基-C(O)NRaRb(ここでRaおよびRbは独立してH、C1-C6アルキル、アリール、アラルキル、またはヘテロアリール)をさす。
【0072】
本明細書中で用いる「スルファニル」とは、基-S-をさすものとする。
【0073】
本明細書中で用いる「スルフェニル」とは、基-S(O)-をさすものとする。
【0074】
本明細書中で用いる「スルホニル」とは、基-S(O)2-または-SO2-をさすものとする。
【0075】
本明細書中で用いる「アシル」とは、基RaC(O)-(ここでRaは先に定義したアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリル)をさす。
【0076】
本明細書中で用いる「アロイル」とは、基RaC(O)-(ここでRaは先に定義したアリール)をさす。
【0077】
本明細書中で用いる「アロイルアミノ」とは、基RaC(O)NH-(ここでRaは先に定義したアリール)をさす。
【0078】
本明細書中で用いる「ヘテロアロイル」とは、基RaC(O)-(ここでRaは先に定義したヘテロアリール)をさす。
【0079】
本明細書中で用いる「アルコキシカルボニル」とは、基RaOC(O)-(ここでRaは先に定義したアルキル)をさす。
【0080】
本明細書中で用いる「アシルオキシ」とは、基RaC(O)O-(ここでRaは先に定義したアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリル)をさす。
【0081】
本明細書中で用いる「アロイルオキシ」とは、基RaC(O)O-(ここでRaは先に定義したアリール)をさす。
【0082】
本明細書中で用いる「ヘテロアロイルオキシ」とは、基RaC(O)O-(ここでRaは先に定義したヘテロアリール)をさす。
【0083】
本明細書中で用いる「場合により」とは、その後に記載した現象が起こっても起こらなくてもよいことを意味し、起こる現象と起こらない現象の両方を含む。
【0084】
本明細書中で用いる「生理的に機能性の誘導体」とは、本発明の化合物の医薬として許容される誘導体を意味し、例えば、哺乳動物に投与したとき、本発明の化合物またはその活性代謝産物を(直接的または間接的に)与えることができるエステルまたはアミドをさす。このような誘導体は過度の実験を要せずとも当業者には明白であり、Burger's Medicinal Chemistry And Drug Discovery,第5版,第1巻: Principles and Practiceの教示内容を参照されたい(前記刊行物を参照により本明細書に組み入れる)。
【0085】
本明細書中で用いる「溶媒和物」とは、溶質(本発明では、式(I)の化合物またはその塩もしくは生理的に機能性の誘導体)と溶媒により形成される様々な化学量論の複合体をさす。本発明の目的にかなうそうした溶媒は溶質の生物学的活性を妨げてはならない。適当な溶媒の例としては、水、メタノール、エタノール、および酢酸が挙げられるが、これらに限らない。好ましくは、製薬上許容される溶媒を用いる。適当な製薬上許容される溶媒の例には、水、エタノール、および酢酸が含まれる。最も好ましくは、上記溶媒として水を用いる。
【0086】
本明細書で用いる「置換(された)」とは、名を挙げた1個以上の置換基による置換をさし、特に断らないかぎり、複数の置換度が可能である。
【0087】
本明細書に記載する化合物のいくつかは、1個以上のキラル原子を含むことが可能であり、また、2種のエナンチオマーとして存在できる可能性がある。本発明の化合物には、エナンチオマーの混合物ならびに精製されたエナンチオマーまたはエナンチオマー的に富化された混合物が含まれる。さらに、上記式(I)で表される化合物の個々の異性体、ならびに全体的にまたは部分的に平衡化されたその混合物も本発明の範囲内に含まれる。本発明はまた、上記式で表される化合物の個々の異性体を、1以上のキラル中心が逆になっているその異性体との混合物としても包含する。さらに、式(I)の化合物の互変異性体および互変異性体混合物も式(I)の化合物の範囲内に含まれることが理解されよう。
【0088】
上記式(I)の化合物への言及は、以後、特にほかで限定しないかぎり、A、D、q、m、n、R、R’、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6に関して先に定義した式(I)の範囲内の化合物をさす、ことを理解すべきである。
【0089】
上述したように、Aなどの各種置換基はアリールまたはヘテロアリールでありうる。そのようなアリールまたはヘテロアリール基は、「アリール」および「ヘテロアリール」の定義において先に示したように置換可能であることが理解される。あるいはまた、アリールまたはヘテロアリール基は少なくとも1個のR1(ここでR1は先に定義したとおり)で置換されていてもよい。
【0090】
1つの実施形態において、Aは少なくとも1個のR1基で置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールである。1つの実施形態において、Aは少なくとも1個のR1基で置換されていてもよいアリールであり、好ましくはAはフェニルまたは少なくとも1個のR1基で置換されたフェニルであり、さらに好ましくはAは少なくとも1個のR1基で置換されたフェニルである。別の実施形態では、Aは少なくとも1個のR1基で置換されていてもよいヘテロアリールである。ここでR1は先に定義したとおりである。
【0091】
1つの実施形態において、AはC1-C6アルケニルまたはC1-C6アルキニルである。別の実施形態では、Aは-CN、-COOH、または-C(O)NR4R5である。さらに別の実施形態では、Aは-NRR'、-N(R')S(O)2R、-N(R')C(O)R、または-N(R')C(O)NR4R5である。ここでR、R'、R4およびR5は先に定義したとおりである。
【0092】
1つの実施形態において、Dは
【化13】

【0093】
であり、ここでq、R2およびR3は先に定義したとおりである。
【0094】
別の実施形態において、Dは
【化14】

【0095】
であり、ここでq、R2およびR3は先に定義したとおりである。
【0096】
さらに別の実施形態において、Dは
【化15】

【0097】
であり、ここでq、R2およびR3は先に定義したとおりである。
【0098】
代わりの実施形態において、Dは
【化16】

【0099】
であり、ここでq、R2およびR3は先に定義したとおりである。
【0100】
別の実施形態において、Dは
【化17】

【0101】
であり、ここでq、R2およびR3は先に定義したとおりである。
【0102】
さらに別の実施形態において、Dは
【化18】

【0103】
であり、ここでq、R2およびR3は先に定義したとおりである。
【0104】
本発明の化合物の具体例には、以下のものが含まれる:
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン;
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン;
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-フェニルピラジン-2-アミン;
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ピラジン-2-アミン;
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-アミン;
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-チエン-2-イルピラジン-2-アミン;
5-(4-アミノフェニル)-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン;
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-ピリジン-3-イルピラジン-2-アミン;
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(1H-インドール-5-イル)ピラジン-2-アミン;
3-[1-(2-メトキシエチル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]-5-チエン-2-イルピラジン-2-アミン;
3-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)-5-(3-フルオロフェニル)ピラジン-2-アミン;
3-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)-5-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-アミン;
4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]-N,N-ジメチルベンゼンスルホンアミド;
3-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-[3-(メチルスルホニル)フェニル]ピラジン-2-アミン;
3-{4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]フェニル}プロパン酸;
{4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]フェノキシ}酢酸;
{3-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]フェノキシ}酢酸;
N-{4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]フェニル}メタンスルホンアミド;
4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]安息香酸ベンジル;
5-[4-(ベンジルオキシ)フェニル]-3-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン;
5-[1,1’-ビフェニル-3-イル)-3-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン;
4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル安息香酸;
3-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]ベンジルカルバミン酸t-ブチル;
3 (1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(1H-ピロール-2-イル)ピラジン-2-アミン;
3 (1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(1H-インドール-2-イル)ピラジン-2-アミン; および
5-[(4-アミノフェニル)エチニル]-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン;
またはその塩、溶媒和物もしくは生理的に機能性の誘導体。
【0105】
一般的に、本発明の塩は製薬上許容される塩である。「製薬上許容される塩」なる語に包含される塩は、本発明の化合物の無毒性の塩のことである。本発明の化合物の塩は、式(I)の化合物の置換基上の窒素から誘導される酸付加塩を含む。代表的な塩には以下のものが含まれる:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム塩、カルシン酸塩(camsylate)、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシラート(edisylate)、エストラート(estolate)、エシラート(esylate)、フマル酸塩、グルセプタート(gluceptate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニラート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシナート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン(hydrabamine)、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシラート(mesylate)、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、マレイン酸一カリウム塩、ムカート(mucate)、ナプシラート(napsylate)、硝酸塩、N-メチルグルカミン、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボナート(embonate))、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム、サリチル酸塩、ナトリウム、ステアリン酸塩、スバセタート(subacetate)、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシラート(tosylate)、トリエチオジド(triethiodide)、トリメチルアンモニウム、および吉草酸塩。製薬上許容されないその他の塩も本発明の化合物を製造する際に有用であり、これらも本発明のさらに別の態様を構成する。
【0106】
治療に用いるために、治療に有効な量の式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物もしくは生理的に機能性の誘導体を未加工の化学薬品として投与することが考えられるが、活性成分を医薬組成物として提示することも可能である。したがって、本発明はさらに、治療に有効な量の式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物もしくは生理的に機能性の誘導体、および1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤を含有する医薬組成物を提供する。式(I)の化合物およびその塩、溶媒和物もしくは生理的に機能性の誘導体は先に記載したとおりである。担体、希釈剤または賦形剤は、製剤の他の成分と適合しうるものでありかつそのレシピエントに対して有害ではないという意味で、許容されるものでなければならない。本発明の別の態様によれば、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物もしくは生理的に機能性の誘導体を1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤と混合することを含む医薬製剤の調製方法も提供される。
【0107】
医薬製剤は単位用量あたり予め決められた量の活性成分を含有する単位用量剤形として提示することができる。そのような単位は、治療すべき症状、投与経路、患者の年齢、体重および健康状態に応じて、例えば、0.5mg〜1g、好ましくは1mg〜700mg、さらに好ましくは5mg〜100mgの式(I)の化合物を含むことができる。好ましい単位用量製剤は、活性成分の、上記のような1日量またはそれより少ない量、つまりその適切な分割量を含むものである。さらに、そのような医薬製剤は製薬分野で周知の方法のいずれかを用いて調製することができる。
【0108】
医薬製剤は適切な経路で投与するように適合させることができ、かかる経路としては、例えば、経口(バッカルまたは舌下を含む)、直腸、鼻腔、局所(バッカル、舌下または経皮を含む)、膣内、または非経口(皮下、筋内、静脈内または皮内を含む)経路がある。この種の製剤は、例えば活性成分を1種以上の担体または賦形剤と一緒にすることにより、製薬分野で周知の方法のいずれかを用いて調製することができる。
【0109】
経口投与用の医薬製剤は、カプセル剤または錠剤;粉末剤または顆粒剤;水性または非水性液体中の溶液剤または懸濁液剤;食用フォーム剤またはホイップ剤;あるいは水中油型の液状エマルジョンまたは油中水型の液状エマルジョンといった個別の単位として提示することができる。
【0110】
例えば、錠剤またはカプセル剤の形で経口投与する場合には、活性薬物成分を経口用の無毒性の製薬上許容される不活性担体(例えば、エタノール、グリセロール、水など)と混合する。粉末剤は、化合物を適切な微細なサイズに粉砕し、同様に粉砕した製薬上の担体(例えば、デンプンやマンニトールのような食用炭水化物)と混合することにより調製する。さらに、風味剤、防腐剤、分散化剤、着色剤が存在してもよい。
【0111】
カプセル剤は、上記のような粉末混合物を調製し、予め形作られたゼラチンカプセルに充填することにより製造する。充填作業の前に、コロイドシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、または固体のポリエチレングリコールのような滑沢剤および潤滑剤を粉末混合物に添加してもよい。また、カプセル剤を摂取したときの医薬のアベイラビリティーを改善するために、カンテン、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムのような崩壊剤または可溶化剤を添加してもよい。
【0112】
さらに、所望により、または必要に応じて、適当な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤を混合物に添加することができる。適当な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖、例えばグルコースまたはβ-ラクトース、コーン甘味料、天然および合成ガム、例えばアラビアゴム、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。これらの剤形中で用いられる滑沢剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、限定するものではないが、デンプン、メチルセルロース、カンテン、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。錠剤は、例えば粉末混合物を調製し、顆粒またはスラッグを形成し、滑沢剤と崩壊剤を添加して、錠剤に圧縮することにより製造する。粉末混合物は、適当に粉砕した化合物を、上記のような希釈剤または基剤と、場合により結合剤(カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなど)、溶解遅延剤(パラフィンなど)、再吸収促進剤(四級塩など)、および/または吸収剤(ベントナイト、カオリン、リン酸二カルシウムなど)と、混合することにより製造する。粉末混合物は、シロップ、デンプンペースト、アラビアゴム粘液、またはセルロースもしくは高分子材料の溶液を用いて湿らせ、強制的にふるいを通すことにより顆粒化することができる。顆粒化に代わるものとして、粉末混合物を錠剤機にかけて、不完全にスラッグを形成させ、スラッグを砕いて顆粒とすることができる。顆粒は、錠剤形成用のダイにくっつくのを防止するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたはミネラルオイルを添加することによって滑らかにしてもよい。滑らかにした混合物をその後圧縮して錠剤とする。本発明の化合物は、自由流動性の不活性担体と混合して、顆粒またはスラッグ形成工程を通ることなく、直接錠剤に圧縮することもできる。シェラックのシーリングコート、糖または高分子材料のコーティング、およびワックスの光沢コーティングからなる透明または不透明の保護コーティングを施してもよい。これらのコーティングに染料を添加して、異なる単位用量を区別することができる。
【0113】
溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤などの経口液剤は、所与の量が予め決められた量の化合物を含むように単位用量剤形として調製することができる。シロップ剤を調製するには、適当に風味をつけた溶液に化合物を溶解する。一方エリキシル剤を調製するには、無毒性のアルコール性ビヒクルを用いて行なう。懸濁液剤を調製するには、無毒性のビヒクルに化合物を分散させる。可溶化剤および乳化剤(エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエーテルなど)、防腐剤、フレーバー添加剤(ペパーミント油など)、または天然甘味料またはサッカリンもしくは他の人工甘味料などを添加してもよい。
【0114】
適宜に、経口投与用の単位用量製剤はマイクロカプセル化することができる。また、例えばコーティングを施したり、粒状物質をポリマー、ワックスなどの内部に埋め込むことによって、放出を長期化または持続させるように製剤を調製してもよい。
【0115】
式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物および生理的に機能性の誘導体は、リポソーム送達系、例えば小さな1枚膜リポソーム、大きな1枚膜リポソーム、および多重膜リポソームの形で投与することも可能である。リポソームはコレステロール、ステアリルアミン、ホスファチジルコリンなどの種々のリン脂質から形成することができる。
【0116】
式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物および生理的に機能性の誘導体はまた、化合物を結合させるための個々のキャリアーとしてモノクローナル抗体を用いて送達することも可能である。化合物はまた、標的化可能な薬物キャリアーとしての可溶性ポリマーと結合させてもよい。そのようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンが含まれる。さらに、化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用なクラスの生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリεカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋されたまたは両親媒性のブロックコポリマーに結合させてもよい。
【0117】
経皮投与用の医薬製剤は、長期間にわたりレシピエントの表皮に緊密に接触させておくことを目的とした個別のパッチ剤として提示することができる。例えば、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に一般的に記載されるイオントフォレシス(iontophoresis)によってパッチ剤から活性成分を送達することが可能である。
【0118】
局所投与用の医薬製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、粉剤、溶液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エーロゾル剤またはオイル剤として製剤化することができる。
【0119】
眼または外部組織(口、皮膚など)の治療の場合は、外用軟膏剤またはクリーム剤として製剤を適用することが好ましい。軟膏剤として製剤化する場合は、活性成分をパラフィン性または水混和性のいずれかの軟膏基剤と共に使用する。あるいはまた、活性成分を水中油型クリーム基剤または油中水型基剤と共にクリーム剤として製剤化することもできる。
【0120】
眼への局所投与用の医薬製剤には点眼剤が含まれるが、この場合には活性成分を適当な担体(特に、水性溶媒)中に溶解または懸濁する。
【0121】
口への局所投与用の医薬製剤にはロゼンジ剤、パスティユ剤、および洗口剤が含まれる。
【0122】
直腸投与用の医薬製剤は座剤または浣腸剤として提示することができる。
【0123】
鼻腔投与用の医薬製剤には、担体が固体である場合は、特定のサイズ(例えば、20〜500ミクロンの範囲)を有する粗粉末剤が含まれ、これは吹き入れ方式(すなわち、鼻に接近して保持された粉末の容器から鼻通路を通って速やかに吸入することによる)で投与される。担体が液体であって、鼻スプレー剤または点鼻剤として投与するのに適した製剤には、活性成分の水性または油性溶液が含まれる。
【0124】
吸入による投与に適した医薬製剤には、微粒子ダストまたはミストが含まれるが、これらは様々なタイプの計量加圧エアロゾル、ネブライザーまたはインサフレーターを使って発生させることができる。
【0125】
膣投与用の医薬製剤は、ペッサリー剤、タンポン剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤、またはスプレー剤として提示することができる。
【0126】
非経口投与用の医薬製剤には、水性および非水性の無菌注射液(酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、製剤をレシピエントの血液と等張にする溶質を含みうる)、ならびに水性および非水性の無菌懸濁液(懸濁化剤および増粘剤を含みうる)が含まれる。かかる製剤は、1回使用容器または複数回使用容器(例えば、密閉したアンプルおよびバイアル)で提示して、使用直前に注射用水のような無菌液状担体の添加のみを必要とする凍結乾燥状態で保存することができる。現場での注射溶液および懸濁液は無菌の粉末剤、顆粒剤および錠剤から調製してもよい。
【0127】
特に上述した成分に加えて、製剤は、対象となる製剤のタイプを考慮して、当技術分野で慣用の他の作用剤を含んでいてもよいことを理解すべきであり、例えば、経口投与用の製剤は風味剤を含むことができる。
【0128】
本発明の化合物の治療に有効な量は、いくつかの要因に左右され、例えば、ヒトや他の動物の年齢および体重、治療を必要とする症状およびその重症度、製剤の性質、投与経路などによって決まるが、最終的には、医師や獣医師の判断に任される。しかし、新生物増殖(例えば、結腸癌、乳癌)を治療する場合の式(I)の化合物の有効量は、一般には0.1〜100 mg/kg(レシピエント(哺乳動物)の体重)/日、通常は1〜10 mg/kg(体重)/日の範囲である。したがって、70kgの成体哺乳動物の場合、1日あたりの実際の量は通常70〜700 mgとなり、この量は1日1回で投与してもよいし、より一般的には、1日の総量がその量となるように複数回(例えば、2、3、4、5または6回)に分割した量で投与する。塩、溶媒和物、または生理的に機能性の誘導体の有効量は、式(I)の化合物それ自体の有効量の比例として決定することができる。他の症状の治療にも同様の投与量が妥当であると考えられる。
【0129】
本発明の化合物は、標準的な化学を含めて、様々な方法で製造することができる。先に定義した可変記号はいずれも、特に断らないかぎり、先に定義した意味を有するものとする。一般的な合成法の例を以下に記載し、本発明の具体的な化合物の合成を以下の実施例に示す。
【0130】
一般式(I)の化合物は、以下の合成スキームにより一部説明されるような、有機合成の分野で知られた方法を用いて製造することができる。下記の全てのスキームでは、感受性または反応性の基の保護基が、一般的な化学原理に従って、必要に応じて使用されることが理解されよう。保護基は標準的な有機合成法(T.W. GreenおよびP.G.M. Wuts (1991) Protecting Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons)に従って操作しうる。これらの保護基は、当業者には周知の方法を用いて、都合のよい化合物合成段階で除去される。方法だけでなく反応条件およびそれらの実施順序の選択は、式(I)の化合物の製造と一致するものである。
【0131】
一般式(I)の化合物は、スキーム1〜6に示した合成順序(以下の実施例でさらに詳しく説明する)に従って製造することができる。
【化19】

【0132】
スキーム1に示すように、一般式(I)の化合物は、化合物Aつまり3-アミノピラジン-2-カルボン酸エチルから出発して合成することができる。化合物Aは、適当な試薬(DIBALHまたはLAHなど)により還元して、アルデヒドBまたはアルコールCのいずれかに変換する。これらの中間体BおよびCを中間体Dに変換しうる一つの方法は、適当な溶媒中30〜250℃の温度で、多くの場合は適当な添加剤の存在下に、置換フェニレンジアミンまたは複素環式オルトジアミン(例えば、以下のスキーム5における中間体OおよびR)と縮合させることによるものである。例えば、アルデヒドBまたはアルコールC、適当な置換されたまたは複素環式のフェニレンジアミンOまたはR、およびNaHSO3をジメチルアセトアミド中でマイクロウエーブ合成機にて200℃、10分間加熱すると、式Dの化合物が得られる。
【0133】
式Eの化合物は、適当な溶媒中で化合物Dを適当な臭素化剤と反応させることにより合成することができる。芳香環をハロゲン化するのに有用な各種条件は化学文献より公知である。例えば、THF中でN-ブロモスクシンイミドを利用することが可能である。
【0134】
一般式(I)の化合物は、一般式Eの化合物から、当業者には周知である各種の金属媒介カップリング反応を介して合成することができる。例えば、化合物Eのようなハロゲン化アリールとアリール錫種またはアリールボロン酸種との反応は、適当な溶媒中で適当な触媒および塩基の存在下に30〜250℃の温度にて実施することができる。これらの反応(アリールボロン酸を用いるSuzuki反応およびアリール錫試薬を用いるStille反応)は文献に十分に記載されており、いくつかの触媒、塩基、溶媒および温度の組合せが有用であると分かっている。例えば、一般式Eの化合物をアリールボロン酸、炭酸ナトリウム水溶液、およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)と共にジメトキシエタン中で、SmithSynthesizerマイクロウエーブ合成機にて150℃、10分間加熱する方法は、一般式(I)の生成物の合成に有効な一方法である。その他の十分に記載された反応、例えば、化合物Eの臭素を異なる官能基(例えば、置換オレフィン、置換アセチレン、置換アミド、カルボン酸、またはニトリル)で置換するHeck反応、Sonogashira反応、カルボニル化反応、シアノ化反応などを用いて、他の一般式(I)の化合物を生成することができる。SuzukiおよびStille反応と同様に、いくつかの触媒、塩基、溶媒および温度の組合せがSonogashira反応、Heck反応、カルボニル化反応、およびシアノ化を実施するのに有効であることが判明している。
【化20】

【0135】
一般式(I)の化合物はまた、スキーム2に示すとおりに合成することができる。適当な溶媒中で化合物Aすなわち3-アミノピラジン-2-カルボン酸エチルを適当な臭素化剤と反応させて式Fの化合物を合成する。芳香環をハロゲン化するのに有用な各種条件は化学文献より公知である。例えば、THF中でN-ブロモスクシンイミドを利用することが可能である。一般式Gの化合物は、文献に十分に記載された当業者に周知の各種の金属媒介カップリング反応により合成することができる。こうした反応には、限定するものではないが、Heck反応、Suzuki反応、Stille反応、Sonogashira反応、カルボニル化反応、およびシアノ化反応が含まれる。これらのタイプの反応ではすべて、いくつかの触媒、塩基、溶媒および温度の組合せが検討されており、目的の変換を行なうのに有用であることが証明されている。一般式(I)の化合物は、一般式Gの化合物から、適当な溶媒中30〜250℃の温度で、多くの場合は適当な添加剤の存在下に、置換フェニレンジアミンまたは複素環式オルトジアミン(例えば、以下のスキーム5における中間体OおよびR)と反応させることにより合成することができる。例えば、一般式Gの化合物、適当に置換されたまたは複素環式フェニレンジアミンOまたはR、シアノホスホン酸ジエチル、およびトリエチルアミンをジメトキシエタン溶媒中でSmithSynthesizerマイクロウエーブ合成機にて200℃で10分間反応させると、一般式(I)の化合物が得られる。
【化21】

【0136】
スキーム3は、一般式(I)の化合物を合成するための代替法を示す。適当な溶媒中で化合物Bを適当な臭素化剤と適切な温度にて反応させて化合物Hを合成する。芳香環をハロゲン化するのに有用な各種条件は化学文献より公知である。例えば、THF中でN-ブロモスクシンイミドを利用することが可能である。その後、化合物Hを、文献に十分に記載された当業者に周知の各種カップリング反応に供する。こうした反応には、限定するものではないが、Heck反応、Suzuki反応、Stille反応、Sonogashira反応、カルボニル化反応、およびシアノ化反応が含まれる。これらのタイプの反応ではすべて、いくつかの触媒、塩基、溶媒および温度の組合せが検討されており、目的の変換を行なうのに有用であることが証明されている。上述したような、また、以下の実施例でさらに詳しく述べるような、これらのタイプの条件を適用すると、一般式Jの化合物が得られる。一般式Jの化合物は、適当な溶媒中30〜250℃の温度で、多くの場合は適当な添加剤の存在下に、置換フェニレンジアミンまたは複素環式オルトジアミン(例えば、以下のスキーム5における中間体OおよびR)と縮合させることにより、一般式(I)の化合物に変換することができる。
【0137】
スキーム1、2および3で用いる中間体は、市販されているか、または当業者が合成することができる。一部の中間体は、例えば、スキーム4、5および6に示した合成順序に従って合成することが可能であり、以下の実験の項で詳しく説明する。
【化22】

【0138】
スキーム4は、適当なR3基によるベンズイミダゾールのアルキル化を示す。この変換反応は、適当な溶媒中でKのような化合物を適当な塩基および適切なアルキル化剤と適当な温度にて反応させることにより行なう。例えば、化合物Kを2-ブロモエチルメチルエーテルおよび炭酸セシウムとDMF溶媒中で周囲温度にて反応させると、R3がメトキシエチル基である化合物Lが得られる。様々なアルキル化剤が市販されており、また、それらは当業者が容易に合成することもできる。スキーム4は特にベンズイミダゾール環のアルキル化を示す。先に示したように、一般式(I)の「D」基には、置換されたベンズイミダゾールだけでなく他の複素環系も含まれる。当業者であれば、ベンズイミダゾールの場合についてスキーム4に示した方法と同様にして、こうした他の環系をアルキル化してR3基を導入しうることが理解されよう。
【化23】

【0139】
スキーム1、2および3に示した変換反応では、置換オルト-フェニレンジアミンおよび複素環式オルト-ジアミンを用いる。これらの化合物のいくつかは市販されている。他のものは、スキーム5に示した方法を含めて、公知の方法で合成することができる。このスキームでは、一般構造OおよびRの分子を、一般式NおよびQの化合物のニトロ基の還元により製造する。ニトロ基を還元するには、種々の方法を用いることができ、例えば、パラジウム/炭素のような適当な触媒の存在下に適切な溶媒中で水素化するか、または適切な溶媒中で塩化錫(II)を用いて水素化する。その他のニトロ基の還元方法は、Richard LaRockによるComprehensive Organic Transformationsに見いだすことができる。一般式NおよびQの化合物は、適当な置換アミン(R3-NH2)をMおよびPのような化合物と反応させることにより合成できる。一般構造MおよびP中の「LG」は、離脱基を意味し、例えばフルオロ、クロロ、ブロモ、メトキシ、または適当な溶媒中で適当な温度にて求核試薬により置換されうる他の基を表す。
【化24】

【0140】
いくつかの場合に、一般式(I)の化合物の合成を記載するスキーム1、2および3に示した化学は、ボロン酸またはボロン酸エステルを利用する。多くのボロン酸およびボロン酸エステルが市販されている。市販されていない場合には、ボロン酸とボロン酸エステルを、スキーム6に示す方法を含めた標準方法により合成することができる。ヘテロアリールまたはアリールボロン酸エステルを合成するには、適当な添加剤を含む適当な溶媒中でアリールまたはヘテロアリールハロゲン化物をビス(ピナコラート)ジボロンおよび適当なパラジウム触媒と反応させる。例えば、アリールハロゲン化物およびビス(ピナコラート)ジボロンをPdCl2(dppf)2および酢酸カリウムとDMF溶媒中で80℃にて90分間反応させると、一般式Rのボロン酸エステルが得られる。ヘテロアリールまたはアリールボロン酸を合成するには、THFまたはジオキサンなどの溶媒中の適当なアリールまたはヘテロアリールハロゲン化物をn-BuLiまたはt-BuLiのような強塩基で処理し、続いて中間体の有機金属種をボロン導入試薬と反応させる。例えば、THF中のアリールハロゲン化物をn-ブチルリチウムと-70℃で反応させた後にトリ-イソプロピルボラートを添加すると、標準的な後処理の後に、一般式Tのアリールボロン酸が得られる。
【0141】
以下に、本発明のいくつかの実施形態を実施例により説明することにする。例示した化合物について示した物理的データは、それらの化合物の所定の構造と一致する。
【実施例】
【0142】
これらの方法、スキームおよび実施例で用いる記号および記法は、同時代の科学文献、例えばJournal of the American Chemical SocietyまたはJournal of Biological Chemistryで用いられているものと一致する。標準的な一文字または三文字表記を用いてアミノ酸残基を表すことにするが、特に断らないかぎり、これらのアミノ酸残基はL-配置であると仮定する。すべての出発物質は、特に断らないかぎり、市販している提供業者から入手したものであり、それ以上精製することなく使用した。特に、実施例および本明細書全体を通して以下の略号を使用することができる:
g (グラム); mg (ミリグラム); L (リットル); mL (ミリリットル);
μL (マイクロリットル); psi (ポンド/平方インチ); M (モル);
mM (ミリモル); i.v. (静脈内); Hz (ヘルツ); MHz (メガヘルツ);
mol (モル); mmol (ミリモル); rt (室温); min (分); h (時間);
mp (融点); TLC (薄層クロマトグラフィー); Tr (保持時間); RP (逆相);
MeOH (メタノール); i-PrOH (isopropanol); TEA (トリエチルアミン);
TFA (トリフルオロ酢酸); TFAA (無水トリフルオロ酢酸);
THF (テトラヒドロフラン); DMSO (ジメチルスルホキシド);
AcOEt (酢酸エチル); DME (1,2-ジメトキシエタン);
DCM (ジクロロメタン); DCE (ジクロロエタン);
DMF (N,N-ジメチルホルムアミド); DMPU (N,N'-ジメチルプロピレン尿素);
CDI (1,1'-カルボニルジイミダゾール);
IBCF (イソブチルクロロホルメート); HOAc (酢酸);
HOSu (N-ヒドロキシスクシンイミド);
HOBT (1-ヒドロキシベンゾトリアゾール); mCPBA (m-クロロ過安息香酸);
EDC (1-[(3-ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩);
BOC (t-ブチルオキシカルボニル);
FMOC (9-フルオレニルメトキシカルボニル);
DCC (ジシクロヘキシルカルボジイミド); CBZ (ベンジルオキシカルボニル);
Ac (アセチル); atm (気圧); TMSE (2-(トリメチルシリル)エチル);
TMS (トリメチルシリル); TIPS (トリイソプロピルシリル);
TBS (t-ブチルジメチルシリル); DMAP (4-ジメチルアミノピリジン);
BSA (ウシ血清アルブミン) ; ATP (アデノシン三リン酸);
HRP (西洋ワサビペルオキシダーゼ); DMEM (ダルベッコ変法イーグル培地);
HPLC (高圧液体クロマトグラフィー);
BOP (ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸塩化物);
TBAF (フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム);
HBTU(O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート);
HEPES (4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸);
DPPA (ジフェニルホスホリルアジド); fHNO3 (発煙HNO3); および
EDTA (エチレンジアミン四酢酸)。
【0143】
エーテルはすべてジエチルエーテルをさし、ブラインはNaClの飽和水溶液をさす。特に指示しないかぎり、温度はすべて℃(摂氏)で表す。反応はすべて、特に指定しないかぎり、不活性雰囲気下に室温で行うこととする。
【0144】
1H NMRスペクトルはVarian VXR-300、Varian Unity-300、Varian Unity-400装置、Brucker AVANCE-400、またはGeneral Electric QE-300で記録した。化学シフトはppm(δ単位)で表す。結合定数はヘルツ(Hz)の単位で表す。分割パターンは見かけの多重度を記載し、s (一重線)、d (二重線)、t (三重線)、q (四重線)、quint (五重線)、m (多重線)、br (幅広)として指定する。
【0145】
HPLCはGilson HPLCまたはShimadzu HPLCシステムを用いて以下の条件で記録した。カラム: 5μmのPhenomenex Luna C-18を充填した50 X 4.6mm (内径)ステンレススチール製カラム; 流速: 2.0 mL/min; 移動層: A相 = 50mM 酢酸アンモニウム(pH 7.4)、B相 = アセトニトリル、0〜0.5分 (A: 100%, B: 0%)、0.5〜3.0分 (A:100-0%, B:0-100%)、3.0〜3.5分 (A: 0%, B: 100%)、3.5〜3.7分 (A: 0-100%, B: 100-0%)、3.7-4.5分 (A: 100%, B: 0%); 検出: UV 254nm; 注入量: 3μL。
【0146】
低分解能質量スペクトル(MS)は、JOEL JMS-AX505HA、JOEL SX-102、またはSCIEX-APIiii分光計で記録した; LC-MSはMicromass 2MDおよびWaters 2690で記録した; 高分解能MSはJOEL SX-102A分光計を使って入手した。すべての質量スペクトルは、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、化学イオン化(CI)、電子衝撃(EI)のもとで、または高速原子衝撃(FAB)法により得た。赤外線(IR)スペクトルは、1-mm NaClセルを用いてNicolet 510 FT-IR分光計で記録した。ほとんどの反応を0.25 mmのE. Merckシリカゲルプレート(60F-254)上での薄層クロマトグラフィーによりモニターし、UV光、5% エタノール性ホスホモリブデン酸、またはp-アニスアルデヒド溶液で可視化した。フラッシュカラムクロマトグラフィーはシリカゲル(230〜400メッシュ、Merck)上で行った。
【0147】
実施例1
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン
【化25】

【0148】
(a) エチル-(3-ニトロピリジン-4-イル)アミンの製造
【化26】

【0149】
エタノール(75ml)中の4-メトキシ-3-ニトロピリジン塩酸塩(11.2g, 58.9mmol)を、水(64ml)中の70%エチルアミン溶液で処理し、還流下で2時間加熱した。室温に冷却した後、溶媒を真空下で除去し、残留物を酢酸エチルと水に溶解した。この混合物を酢酸エチルで3回抽出し、水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄してから、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を蒸発させると、表題化合物が得られた(11.7g, 96%)。
NMR 1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δppm 1.18 (t, J=7.14 Hz,3H), 3.41 (m, 2H), 6.98 (d, J=6.32 Hz, 1H), 8.24 (d, J=6.32 Hz, 1H), 8.39 (br, 1H), 9.00 (s, 1H)。MS m/z 168 (M+1)+
【0150】
(b) N4-エチルピリジン-3,4-ジアミンの製造
【化27】

【0151】
エタノール(150ml)中のエチル-(3-ニトロピリジン-4-イル)アミン(8.7g, 52.0mmol)を、10%パラジウム/炭素の存在下で18時間水素化した。触媒をセライトで濾過した後、濾液を真空濃縮して表題化合物を得た(6.7g, 94%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.19 (m, 3H), 3.09 (m, 2H), 4.53 (br, 2H), 5.21 (br, 1H), 6.31 (d, J=5.22 Hz, 1H), 7.57 (d, J=5.36 Hz, 1H), 7.62 (s, 1H)。MS (ES+) m/e 138 [M+H]+
【0152】
(c) 3-アミノピラジン-2-カルボアルデヒドの製造
【化28】

【0153】
3-アミノピラジン-2-カルボン酸メチル(11g)をTHFに溶解し、-78℃に冷却した。水素化ジイソブチルアルミニウム (ヘキサン中1M、250mL)を添加し、この反応混合物を-78℃で4時間撹拌した。その後0℃へと1時間温めてから、1M塩酸を徐々に添加して反応を止めた。酢酸エチルを添加して、層を分離させた。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮した。残留物をヘキサン中で細かくすり砕いて表題化合物を得た(3.0g, 34%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 7.73 (br, 2H), 8.07 (d, J=2.25 Hz, 1H), 8.36 (d, J=2.11 Hz, 1H), 9.95 (s, 1H)。
【0154】
(d) 3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミンの製造
【化29】

【0155】
3-アミノピラジン-2-カルボアルデヒド(実施例1(c)で製造) (0.30g, 2.4mmol)、N4-エチルピリジン-3,4-ジアミン(実施例1(b)で製造) (0.36g, 2.6mmol)、および亜硫酸水素ナトリウム(0.30g)を3mLのジメチルアセトアミド中で一緒にして、SmithSynthesizerマイクロウエーブで200℃にて10分間加熱した。この反応混合物を酢酸エチルと水とに分配した。これを酢酸エチルで3回抽出し、有機層を合わせて水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄してから、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、有機物を真空濃縮した。ジエチルエーテルで細かくすり砕くと、表題化合物が黄褐色の固体として得られた(0.46g, 80%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.37 (t, J=7.14 Hz, 3H), 4.82 (q, J=6.87 Hz, 2H), 7.76 (d, J=6.18 Hz, 1H), 8.01 (d, J=2.06 Hz, 1H) 8.07 (br, 2H), 8.17 (d, J=2.34 Hz, 1H), 8.42 (d, J=5.50, 1H) 9.05 (s, 1H) MS m/z 241 (M+1)+
【0156】
実施例1の代替製法
(a) (3-アミノ-ピラジン-2-イル)-メタノールの製造
【化30】

【0157】
3-アミノピラジン-2-カルボン酸メチル(14.22g, 93mmol)をテトラヒドロフラン(1L)中に懸濁させ、窒素雰囲気下にメタノール/氷浴中で冷却した。水素化アルミニウムリチウム(100ml, 1M ジエチルエーテル溶液, 100mmol)を、8〜10℃の温度に保つような速度で添加した。添加が完了したら、この反応混合物を室温で3時間撹拌し、その後還流下で20分間加熱した。ついで反応混合物を0℃に冷却し、温度を8℃より低く保ちながら水(100mLテトラヒドロフラン中に30mL)を加えて反応を停止させた。その後、室温で30分間撹拌してから濾過した。残留物を加温した酢酸エチル(250mL x 2)で洗浄し、濾過した。2つの濾液を一緒にして蒸発乾固させた。これにより(3-アミノ-ピラジン-2-イル)-メタノール(7.38g)が淡橙色固体として得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 4.47 (d, J=5.27 Hz, 2 H) 5.29 (t, J=5.52 Hz, 1 H) 6.18 (brs, 2 H) 7.66 (d, J=2.76 Hz, 1 H) 7.85 (d, J=0.76 Hz, 1 H)。
【0158】
(b) 3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミンの製造
【化31】

【0159】
(3-アミノ-ピラジン-2-イル)-メタノール(180mg, 1.44mmol)、N-4-エチル-ピリジン-3,4-ジアミン(296mg, 2.16mmol)、亜硫酸水素ナトリウム(360mg, 3.45mmol)およびN,N-ジメチルアセトアミド(4 mL)を一緒にして20秒間撹拌し、マイクロウエーブで加熱した(200℃で600秒間)。残留物を水(20mL)にとり、酢酸エチル(3 x 20mL)で抽出した。酢酸エチル層を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過後に溶媒を真空下で除去した。残留物をメタノール(50mL)に溶解し、シリカ(1g)に吸着させた。生成物を精製するためにISCO combiflash SQ16Xを用いてジクロロメタンとエタノールとアンモニアの混合溶媒(100% ジクロロメタンから20% エタノール 79% ジクロロメタン 1% アンモニアまで)で溶出した。所望の画分を合わせ、溶媒を真空下で除去して3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン(171mg)を淡黄色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.38 (t, J=7.03 Hz, 3 H) 4.83 (q, J=7.02 Hz, 2 H) 7.77 (d, J=5.53 Hz, 1 H) 8.02 (d, J=2.26 Hz, 1 H) 8.19 (d, J=2.26 Hz, 1 H) 8.44 (d, J=5.53 Hz, 1 H) 9.07 (s, 1H) MS m/z 241 (M+1)+
【0160】
実施例2
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン
【化32】

【0161】
THF中の3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン(0.45g, 1.8mmol) (実施例1参照)の溶液にN-ブロモスクシンイミド(0.37g, 2.1mmol)を添加した。この反応混合物を周囲温度で4時間撹拌した。亜硫酸ナトリウム(過剰)を加え、激しく30分間撹拌した。その後、この混合物を濃縮乾固し、水で処理した。音波処理後、固体をフィルター上に集めた。ジエチルエーテルで2回洗浄して、5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン (0.47g, 79%)を黄褐色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.45 (t, J=7.16 Hz, 3H) 4.79 (q, J=7.02 Hz, 2H) 7.82 (dd, J=5.62 0.84 Hz, 1H), 8.38 (s, 1H), 8.49 (d, J=5.76 Hz, 1H) 9.12 (d, J=0.56 Hz, 1H) MS m/z 318/320 (M+1)+
【0162】
実施例3
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-フェニルピラジン-2-アミン
【化33】

【0163】
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン(0.038g, 0.12mmol) (実施例2参照)、フェニルボロン酸(0.034g, 0.27mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) (0.009g, 0.012mmol)、炭酸カリウム(0.045g, 0.32mmol)、およびアセトニトリルと水の8:1混合物(3 mL)を一緒にして、SmithSynthesizerマイクロウエーブで150℃にて5分間加熱した。生じた不均質な黒色混合物をセライト床で濾過し、次いで酢酸エチルと水で洗浄した。この混合物を酢酸エチルで3回抽出し、水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗った。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過後に濃縮した。残留物をシリカに吸着させ、クロロホルム中の2.5% メタノールで溶出して精製すると、表題化合物が得られた(0.009g, 23%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.51 (t, J=6.77 Hz, 3H), 4.99 (q, J=6.96 Hz, 2H), 7.42 (m, 1H), 7.54 (m, 2H), 7.83 (dd, J=5.68 Hz, 1.10 Hz, 1H), 8.02 (m, 2H), 8.47 (d, J=5.68 Hz, 1H), 8.84 (s, 1H), 9.11 (d, J=0.92 Hz, 1H) MS m/z 317 (M+1)+
【0164】
実施例4
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ピラジン-2-アミン
【化34】

【0165】
2,3,4-トリメトキシフェニルボロン酸を利用した以外は、実施例3に記載の一般的なSuzuki反応の手順を用いて、表題化合物を合成した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.51 (t, J=7.42 Hz, 3 H), 3.71(s, 3 H), 3.89 (s, 6H), 4.99 (q, J=7.28 Hz, 2H), 7.28 (s, 2H), 7.79 (t, J=6.05 Hz, 1H), 8.45 (t, J=6.05 Hz, 1H), 8.87 (s, 1H), 9.09 (s, 1H) MS m/z 407 (M+1)+
【0166】
実施例5
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-アミン
【化35】

【0167】
4-フルオロフェニルボロン酸を利用した以外は、実施例3に記載の手順を用いて表題化合物を合成した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.48 (t, J=7.42 Hz, 3 H), 4.94 (q, J=7.69 Hz, 2H), 7.35 (m, 2H), 7.81 (d, J= 5.63 Hz, 1H), 8.04 (m, 2H), 8.45 (d, J=5.63 Hz, 1H) 8.80 (s, 1H) 9.09 (s, 1H)。
【0168】
実施例6
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-チエン-2-イルピラジン-2-アミン
【化36】

【0169】
2-チオフェンボロン酸を利用した以外は、実施例3に記載の手順を用いて表題化合物を合成した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.51 (t, J=6.96 Hz, 3H), 4.98 (q, J=7.14 Hz, 2H), 7.19 (dd, J=4.94 3.48 Hz, 1H), 7.61 (dd, J=6.04 1.10 Hz, 1H) 7.76 (dd, J=3.66 1.10 Hz, 1H) 7.82 (dd, J=5.49 0.73 Hz, 1H), 8.47 (d, J=5.49 Hz, 1H), 8.84 (s, 1H) 9.10 (br, 1H) MS m/z 323 (M+1)+
【0170】
実施例7
5-(4-アミノフェニル)-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン
【化37】

【0171】
4-アミノフェニルボロン酸を利用した以外は、実施例3に記載の手順を用いて表題化合物を合成した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.09 (t, J=6.96 Hz, 3H) 3.39 (q, J=7.14 Hz, 2H) 5.36 (br, 2H) 6.68 (d, J=8.61 Hz, 2H) 7.69 (d, J=8.61 Hz, 2H) 7.80 (d, J=5.68 Hz, 1H) 8.0 (br, 2H), 8.45 (d, J=5.68 Hz, 1H) 8.65 (s, 1H) 9.08 (s, 1H) MS m/z 332 (M+1)+
【0172】
実施例8
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-ピリジン-3-イルピラジン-2-アミン
【化38】

【0173】
ピリジン-3-ボロン酸を利用した以外は、実施例3に記載の手順を用いて表題化合物を合成した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.50 (t, J=6.96 Hz, 3H) 4.96 (q, J=7.14 Hz, 2H) 7.56 (ddd, J=8.06 4.76 0.92 Hz, 1H) 7.83 (dd, J=5.68 1.10 Hz, 1H) 8.36 (m, 1H), 8.45 (d, J=5.68 Hz, 1H), 8.61 (dd, J=4.58 1.46 Hz, 1H) 8.90 (s, 1H), 9.11 (d, J=0.92 Hz, 1H) 9.23 (dd, J=2.20 0.73 Hz, 1H) MS m/z 318 (M+1)+
【0174】
実施例9
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(1H-インドール-5-イル)ピラジン-2-アミン
【化39】

【0175】
5-インドリルボロン酸を利用した以外は、実施例3に記載の手順を用いて表題化合物を合成した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.54 (t, J=7.14 Hz, 3H) 5.03 (q, J=6.77 Hz, 2H) 6.53 (s, 1H), 7.41 (m, 1H) 7.54 (d, J=6.59 Hz, 1H), 7.77 (d, J=8.42 Hz, 1H) 7.83 (d, J=5.86 Hz, 1H) 8.10 (br, 2H), 8.19 (s, 1H), 8.47 (d, J=5.68 Hz, 1H), 8.82 (s, 1H), 9.10 (s, 1H), 11.22 (br, 1H) MS m/z 356 (M+1)+
【0176】
実施例10
3-[1-(2-メトキシエチル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]-5-チエン-2-イルピラジン-2-アミン
【化40】

【0177】
(a) 3-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)ピラジン-2-アミンの製造
【化41】

【0178】
o-フェニレンジアミンを利用した以外は、実施例1(d)に記載の手順を用いて表題化合物を合成した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 7.24 (m, 2H), 7.53 (d, J=6.73 Hz, 1H), 7.73 (d, J=7.01 Hz, 1H) 7.95 (d, J=2.47 Hz, 1H), 8.14 (d, J=2.47 Hz, 1H) 13.12 (br, 1H)。
【0179】
(b) 3-[1-(メトキシエチル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]ピラジン-2-アミンの製造
【化42】

【0180】
3-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)ピラジン-2-アミン(0.302g, 0.14mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、2-ブロモエチルメチルエーテル(0.15mL, 0.16mmol)および炭酸セシウム(0.475g, 1.4mmol)で処理した。この混合物を周囲温度で20時間撹拌し、その後セライトで濾過した。濾液を濃縮して、酢酸エチルと水とに分配した。この混合物を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機層を水で、次に飽和塩化ナトリウムで洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過後に濃縮した。ジエチルエーテルで細かくすり砕くと、表題化合物が黄褐色固体として得られた(0.275g, 0.10mmol)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 3.17 (s, 3H) 3.74 (t, J=5.49 Hz, 2H), 4.98 (t, J=5.49 Hz, 2H), 7.33 (m, 2H), 7.69 (d, J=8.06 Hz, 1H) 7.77 (d, J=8.79 Hz, 1H) 7.97 (d, J=2.38 Hz, 1H), 8.13 (d, J=2.38 Hz, 1H) MS m/z 270 (M+1)+
【0181】
(c) 5-ブロモ-3-[1-(メトキシエチル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]ピラジン-2-アミンの製造
【化43】

【0182】
実施例2に記載の手順を用いて表題化合物を合成した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 3.21 (s, 3H), 3.78 (t, J=5.86 Hz, 2H), 4.90 (t, J=5.86 Hz, 2H), 7.35 (m, 2H), 7.70 (d, J=8.42 Hz, 1H) 7.78 (d, J=7.69 Hz, 1H), 8.26 (s, 1H) MS m/z 347/349 (M+1)+
【0183】
(d) 3-[1-(2-メトキシエチル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]-5-チエン-2-イルピラジン-2-アミンの製造
【化44】

【0184】
2-チオフェンボロン酸を利用した以外は、実施例3に記載の手順を用いて表題化合物を合成した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 3.17 (s, 3H), 3.87 (d, J=5.13 Hz, 2H), 5.11 (d, J=5.13 Hz, 2H) 7.18 (m, 1H), 7.34 (m, 2H) 7.59 (dd, J=5.13 1.10 Hz, 1H) 7.73 (m, 2H) 7.78 (d, J=7.69 Hz, 1H) 8.76 (s, 1H) MS m/z 352 (M+1)+
【0185】
実施例11
3-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)-5-(3-フルオロフェニル)ピラジン-2-アミン
【化45】

【0186】
(a) 3-アミノ-6-ブロモピラジン-2-カルボン酸メチルの製造
【化46】

【0187】
2-アミノピラジン-3-カルボン酸メチル(5.0g, 32.65mmol)を100mLのTHFに溶解し、N-ブロモスクシンイミド(6.9g, 39.18mmol)を一度に全部用いて処理した。この混合物を室温で1.5時間撹拌し、その後さらに0.5当量のN-ブロモスクシンイミドを添加して撹拌を1時間続けた。10gの硫酸ナトリウムを添加し、この混合物を激しく15分間撹拌し、溶媒を真空下で除去した。得られた残留物を250mLの水に懸濁させ、急速に撹拌した。濾過後に、表題化合物の3-アミノ-6-ブロモピラジン-2-カルボン酸メチルを黄褐色固体として得た(6.33g)。
1H NMR (300 MHz, DMSO-D6) δ ppm 3.84 (s, 3 H), 7.54 (bs, 2H), 8.41 (s, 1 H) MS m/z 232, 234 (M+1)+ 臭素の同位元素。
【0188】
(b) 3-アミノ-6-(3-フルオロフェニル)ピラジン-2-カルボン酸の製造
【化47】

【0189】
3-アミノ-6-ブロモピラジン-2-カルボン酸メチル(0.116g, 0.5mmol)、3-フルオロフェニルボロン酸(0.14g, 1.0mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) (0.018g, 0.02mmol)、およびK2CO3(0.14g, 1.0mmol)を3mLのCH3CN:H2O(4:1混合溶媒)中で一緒にし、SmithSynthesizerマイクロウエーブで150℃にて10分間加熱した。冷却後、反応混合物をMeOHとH2Oで希釈し、触媒以外の全てを溶解した。この混合物を濾過し、2N HClを用いてpH6に調整した。この溶液を真空濃縮し、固体を集めて、3-アミノ-6-(3-フルオロフェニル)ピラジン-2-カルボン酸(96mg)を黄色の固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 7.20 (m, 1 H), 7.50 (td, J=8.06, 6.23 Hz, 1 H), 7.59 (s, 2 H), 7.94 (d, J=7.87 Hz, 1 H), 7.98 (m, 1 H), 8.95 (s, 1 H), 13.02 (s, 1 H) MS m/z 234 (M+1)+
【0190】
(c) 3-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)-5-(3-フルオロフェニル)ピラジン-2-アミンの製造
【化48】

【0191】
3-アミノ-6-(3-フルオロフェニル)ピラジン-2-カルボン酸(0.096g, 0.41mmol)、o-フェニレンジアミン(0.049g, 0.45mmol)、シアノホスホン酸ジエチル(0.07g, 0.45mmol)、およびトリエチルアミン(0.083g, 0.82mmol)を5mLのジメトキシエタン中で一緒に合わせた。この混合物をSmithSynthesizerマイクロウエーブで200℃にて10分間加熱した。冷却した混合物を30mLのH2Oに注ぎ、この混合物を濾過して3-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)-5-(3-フルオロフェニル)ピラジン-2-アミン(23mg)を黄色の固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 7.26 (m, 3 H), 8.85 (s, 1 H), 8.23 (m, 1 H), 8.08 (d, J=8.24 Hz, 1 H), 8.0 - 7.4 (bs, 2H), 7.77 (d, J=8.06 Hz, 1 H), 7.64 (d, J=7.87 Hz, 1 H), 7.52 (td, J=8.01, 6.32 Hz, 1 H), 13.08 (s, 1 H), MS m/z 306 (M+1)+
【0192】
実施例12
3-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)-5-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-アミン
【化49】

【0193】
(a) 3-アミノ-6-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-カルボン酸の製造
【化50】

【0194】
4-フルオロフェニルボロン酸を利用した以外は、実施例11bに記載の手順を用いて表題化合物を合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-D6) δ ppm 7.28 (t, J=9.00 Hz, 2 H), 7.48 (bs, 2 H), 8.12 (m, 2H), 8.88 (s, 1 H), 13.00 (s, 1 H) MS m/z 234 (M+1)+
【0195】
(a) 3-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)-5-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-アミンの製造
【化51】

【0196】
実施例11cに記載の手順を用いて表題化合物を合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-D6) δ ppm 7.31 (m, 6 H), 7.64 (d, J=8.11 Hz, 1 H), 7.77 (d, J=8.11 Hz, 1 H), 8.33 (dd, J=8.79, 5.50 Hz, 2 H), 8.79 (s, 1 H), 13.04 (s, 1 H) MS m/z 306 (M+1)+
【0197】
実施例13
4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]-N,N-ジメチルベンゼンスルホンアミド
【化52】

【0198】
(a) 4-ジメチルアミノスルホニルフェニルボロン酸の製造
【化53】

【0199】
N,N-ジメチル-4-ブロモベンゼンスルホンアミド(8.0g, 30.3mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(40mL)中に溶解し、窒素雰囲気下に-70℃で撹拌した。n-ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M,19mL,30.4mmol)を-65℃より低い温度に保ちながら慎重に添加し、この混合物を30分間撹拌した。この反応混合物をカニューレで乾燥テトラヒドロフラン(40mL)中のホウ酸トリイソプロピル(14mL, 60.7mmol)の溶液に移して、窒素雰囲気下に-70℃で1時間撹拌した。さらに1時間かけて混合物を室温まで温めた。2M 塩酸(50mL)を添加し、この混合物を80分間撹拌した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。真空濃縮により油状の半固体(7.9g)を得た。粗生成物を酢酸エチル/シクロヘキサンから再結晶し、真空濾過により集めて2.5gの4-ジメチルアミノスルホニルフェニルボロン酸を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) ppm 2.59 (s, 6 H) 7.70 (d, J=8.28 Hz, 2 H) 8.01 (d, J=8.28 Hz, 2 H) 8.39 (s, 2 H) MS m/z 230 (M+1)+
【0200】
(b) 4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]-N,N-ジメチルベンゼンスルホンアミドの合成
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン(0.032g, 0.10mmol) (実施例2で製造したもの)、4-ジメチルアミノスルホニルフェニルボロン酸(0.046g, 0.20mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (0.0035g, 0.005mmol)およびK2CO3 (0.050g, 0.36mmol)を0.5mLのN,N-ジメチルホルムアミド中で一緒に合わせ、SmithSynthesizerマイクロウエーブで200℃に8分間加熱し、その後250℃でさらに8分間加熱した。この反応混合物を真空濃縮し、残留物をHPLCで精製すると、0.0079gの表題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.53 (t, J=7.03 Hz, 3 H) 2.66 (s, 6 H) 4.97 (q, J=6.95 Hz, 2 H) 7.88 (m, 3 H) 8.27 (d, J=8.28 Hz, 2 H) 8.48 (d, J=5.77 Hz, 1 H) 8.96 (s, 1 H) 9.13 (s, 1 H) MS m/z 424 (M+1)+
【0201】
実施例14
3-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-[3-(メチルスルホニル)フェニル]ピラジン-2-アミン
【化54】

【0202】
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン(0.032g, 0.10mmol) (実施例2で製造したもの)、3-(メチルスルホニル)フェニルボロン酸(0.040g, 0.20mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (0.0035g, 0.005mmol)およびK2CO3 (0.050g, 0.36mmol)を0.5mLのN,N-ジメチルホルムアミド中で一緒に合わせ、SmithSynthesizerマイクロウエーブで200℃に8分間加熱した。この反応混合物を真空濃縮し、残留物を質量特異的HPLCで精製すると、0.0012gの表題化合物が得られた。MS m/z 395 (M+1)+
【0203】
実施例15
3-{4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]フェニル}プロパン酸
【化55】

【0204】
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン(0.032g, 0.10mmol) (実施例2で製造したもの)、4-(2-カルボキシエチル)ベンゼンボロン酸(0.039g, 0.20mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (0.0035g, 0.005mmol)およびK2CO3 (0.050g, 0.36mmol)を0.5mLのN,N-ジメチルホルムアミド中で一緒に合わせ、SmithSynthesizerマイクロウエーブで200℃に8分間加熱した。この反応混合物を真空濃縮し、残留物をHPLCで精製すると、0.0084gの表題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.49 (t, J=6.91 Hz, 3 H) 2.59 (t, J=7.53 Hz, 2 H) 2.88 (t, J=7.53 Hz, 2 H) 4.97 (q, J=6.28 Hz, 2 H) 7.38 (d, J=8.03 Hz, 2 H) 7.81 (d, J=5.52 Hz, 1 H) 7.92 (d, J=8.03 Hz, 2 H) 8-8.4 (bs, 2 H) 8.46 (d, J=5.52 Hz, 1 H) 8.8 (s, 1 H) 9.1 (s, 1 H) 12-12.3 (bs, 1 H) MS m/z 389 (M+1)+
【0205】
実施例16
{4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]フェノキシ}酢酸
【化56】

【0206】
(a) (4-ブロモフェノキシ)酢酸t-ブチルの合成
【化57】

【0207】
乾燥N,N-ジメチルホルムアミド中に溶解した4-ブロモフェノール(20.4g, 118mmol)を水素化ナトリウム(4g, 167mmol)で慎重に処理した。ブロモ酢酸t-ブチル(23g, 118mmol)を加えて、この混合物を75℃で90分間加熱した。この反応混合物を真空濃縮し、残留物を酢酸エチルと水とに分配した。有機層を飽和酢酸アンモニウムで洗浄して真空濃縮すると、28.1gの(4-ブロモフェノキシ)酢酸t-ブチルが得られた。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 1.47 (s, 9 H) 4.47 (s, 2 H) 6.78 (d, J=9.04 Hz, 2 H) 7.37 (d, J=9.04 Hz, 2 H)。
【0208】
(b) [4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボララン-2-イル)フェノキシ]酢酸t-ブチルの合成
【化58】

【0209】
(4-ブロモフェノキシ)酢酸t-ブチル(4.3g, 15mmol)、酢酸カリウム(2.94g, 30mmol)、PdCl2(dppf)2 (167mg, 1.5mmol)およびピナコールジボラン(3.81g, 15mmol)を乾燥N,N-ジメチルホルムアミド中で一緒に合わせ、80℃で90分間加熱した。真空濃縮し、続いてシリカSPEクロマトグラフィーにかけると、[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボララン-2-イル)フェノキシ]酢酸t-ブチル(4.62g)が得られた。
1H NMR (400 MHz, MeOH-D4) δ ppm 1.32 (s, 12H), 1.48 (s, 9 H) 4.6 (s, 2 H) 6.88 (d, J=8.53 Hz, 2 H) 7.67 (d, J=8.53 Hz, 2 H)。
【0210】
(c) {4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]フェノキシ}酢酸の合成
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン(0.032g, 0.10mmol) (実施例2で製造したもの)、[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボララン-2-イル)フェノキシ]酢酸t-ブチル(0.067g, 0.20mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (0.0035g, 0.005mmol)およびK2CO3 (0.050g, 0.36mmol)を0.5mLのN,N-ジメチルホルムアミド中で一緒に合わせ、SmithSynthesizerマイクロウエーブで200℃に8分間加熱し、その後250℃でさらに8分間加熱した。この反応混合物を真空濃縮し、残留物を質量特異的HPLCで精製すると、0.0038gの表題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.49 (t, J=7.03 Hz, 3 H) 4.69 (s, 2 H) 4.96 (q, J=6.95 Hz, 2 H) 7.04 (d, J=8.78 Hz, 2 H) 7.81 (d, J=5.52 Hz, 1 H) 7.93 (d, J=8.78 Hz, 2 H) 8-8.3 (bs, 2 H) 8.45 (d, J=5.52 Hz, 1 H) 8.75 (s, 1 H) 9.08 (s, 1 H) MS m/z 391 (M+1)+
【0211】
実施例17
{3-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]フェノキシ}酢酸
【化59】

【0212】
(a) (3-ブロモフェノキシ)酢酸t-ブチル
【化60】

【0213】
乾燥N,N-ジメチルホルムアミド中に溶解した3-ブロモフェノール(20.4g, 118mmol)を水素化ナトリウム(4g, 167mmol)で慎重に処理した。ブロモ酢酸t-ブチル(23g, 118mmol)を加えて、この混合物を75℃で90分間加熱した。この反応混合物を真空濃縮し、残留物を酢酸エチルと水とに分配した。有機層を飽和酢酸アンモニウムで洗浄して真空濃縮すると、28.9gの(3-ブロモフェノキシ)酢酸t-ブチルが得られた。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 1.48 (s, 9 H) 4.49 (s, 2 H) 6.83 (m, 1 H) 7.04 (t, J=2.01 Hz, 1 H) 7.11 (d, J=1.51, 1H) 7.12 (s, 1 H) MS rt=3.55分。
【0214】
(b) [3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボララン-2-イル)フェノキシ]酢酸t-ブチルの合成
【化61】

【0215】
(4-ブロモフェノキシ)酢酸t-ブチル(4.3g, 15mmol)、酢酸カリウム(2.94g, 30mmol)、PdCl2(dppf)2 (167mg, 1.5mmol)およびピナコールジボラン(3.81g, 15mmol)を乾燥N,N-ジメチルホルムアミド中で一緒に合わせ、80℃で90分間加熱した。真空濃縮し、続いてシリカSPEクロマトグラフィーにかけると、[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボララン-2-イル)フェノキシ]酢酸t-ブチル(3.83g)が得られた。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 1.33 (s, 12 H) 1.48 (s, 9 H) 4.56 (s, 2 H) 7.02 (ddd, J=1.00, 3.01, 8.03, Hz, I H) 7.23 (d, J=3.0 Hz, 1 H) 7.28 (t, J=7.8 Hz, 1 H) 7.35 (d, J=6.02 Hz, 1 H)。
【0216】
(c) {3-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-yl)ピラジン-2-イル]フェノキシ}酢酸の合成
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン(0.032g, 0.10mmol) (実施例2で製造したもの)、[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボララン-2-イル)フェノキシ]酢酸t-ブチル(0.067g, 0.20mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (0.0035g, 0.005mmol)およびK2CO3 (0.050g, 0.36mmol)を0.5mLのN,N-ジメチルホルムアミド中で一緒に合わせ、SmithSynthesizerマイクロウエーブで200℃に8分間加熱し、その後250℃でさらに8分間加熱した。この反応混合物を真空濃縮し、残留物を質量特異的HPLCで精製すると、0.0048gの表題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.49 (t, J=7.03 Hz, 3 H) 4.77 (s, 2 H) 4.98 (q, J=7.03 Hz, 2 H) 6.95 (dd, J=8.03, 2.01 Hz, 1 H) 7.42 (t, J=7.91 Hz, 1 H) 7.52 (s, 1 H) 7.61 (d, J=7.53, 1 H) 7.8 (d, J=5.77, 1 H) 8.1-8.5 (bs, 2 H) 8.46 (d, J=5.52 Hz, 1 H) 8.83 (s, 1 H) 9.09 (s, 1 H) MS m/z 391 (M+1)+
【0217】
実施例18
N-{4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]フェニル}メタンスルホンアミド
【化62】

【0218】
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン(0.032g, 0.10mmol) (実施例2で製造したもの)、4-(メチルスルホニル)フェニルボロン酸(0.043g, 0.20mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (0.0035g, 0.005mmol)およびK2CO3 (0.050g, 0.36mmol)を0.5mLのN,N-ジメチルホルムアミド中で一緒に合わせ、SmithSynthesizerマイクロウエーブで200℃に8分間加熱した。この反応混合物を真空濃縮し、残留物を質量特異的HPLCで精製すると、0.0014gの表題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.5 (t, J=7.03 Hz, 3 H) 3.05 (s, 3H) 4.96 (q, J=7.03 Hz, 2 H), 7.35 (d, J=8.78 Hz, 2 H) 7.82 (d, J=5.77 Hz, 1 H) 7.98 (d, J=8.78 Hz, 2 H) 8.1-8.4 (bs, 2 H) 8.46 (d, J=5.52 Hz, 1 H) 8.79 (s, 1 H) 9.10 (s, 1 H) 9.93 (s, 1 H) MS m/z 410 (M+1)+
【0219】
実施例19
4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]安息香酸ベンジル
【化63】

【0220】
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン(0.032g, 0.10mmol) (実施例2で製造したもの)、4-[(ベンジルオキシ)カルボニル]フェニルボロン酸(0.051g, 0.20mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (0.0035g, 0.005mmol)およびK2CO3 (0.050g, 0.36mmol)を0.5mLのN,N-ジメチルホルムアミド中で一緒に合わせ、SmithSynthesizerマイクロウエーブで200℃に8分間加熱した。この反応混合物を真空濃縮し、残留物を質量特異的HPLCで精製すると、0.0038gの表題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.51 (t, J=7.03 Hz, 3 H) 4.97 (q, J=6.9 Hz, 2 H), 5.38 (s, 2H) 7.38 (d, J=7.03 Hz, 1 H) 7.43 (t, J=7.2 Hz, 2 H) 7.51 (d, J=7.03 Hz, 2H) 7.9 (d, J=5.52 Hz, 2 H) 8.14 (dd, J=8.53, 8.78 Hz, 4 H) 8.5 (d, J=5.27 Hz, 1 H) 8.93 (s, 1 H) 9.15 (s, 1 H) MS m/z 451 (M+1)+
【0221】
実施例20
5-[4-(ベンジルオキシ)フェニル]-3-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン
【化64】

【0222】
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン(0.032g, 0.10mmol) (実施例2で製造したもの)、4-ベンジルオキシ-フェニルボロン酸(0.046g, 0.20mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (0.0035g, 0.005mmol)およびK2CO3 (0.050g, 0.36mmol)を0.5mLのN,N-ジメチルホルムアミド中で一緒に合わせ、SmithSynthesizerマイクロウエーブで200℃に8分間加熱した。この反応混合物を真空濃縮し、残留物をHPLCで精製すると、0.0099gの表題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.51 (t, J=6.9 Hz, 3 H) 5.0 (q, J=6.8 Hz, 2 H), 5.19(s, 2H) 7.17 (d, J=8.78 Hz, 2 H) 7.35 (d, J=7.28 Hz, 1 H) 7.41 (t, J=7.28 Hz, 2 H) 7.48 (d, J=7.28 Hz, 2 H) 7.95 (d, J=8.78 Hz, 2 H) 8.0 (s, 1 H) 8.0-8.3 (bs, 2H) 8.55 (d, J=3.5 Hz, 1 H) 8.8 (s, 1 H) 9.23 (s, 1 H) MS m/z 423 (M+1)+
【0223】
実施例21
5-[1,1’-ビフェニル-3-イル)-3-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン
【化65】

【0224】
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン(0.032g, 0.10mmol) (実施例2で製造したもの)、3-フェニルベンゼンボロン酸(0.040g, 0.20mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (0.0035g, 0.005mmol)およびK2CO3 (0.050g, 0.36mmol)を0.5mLのN,N-ジメチルホルムアミド中で一緒に合わせ、SmithSynthesizerマイクロウエーブで200℃に8分間加熱した。この反応混合物を真空濃縮し、残留物を質量特異的HPLCで精製すると、0.0021gの表題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.55 (t, J=6.91 Hz, 3 H) 5.13 (q, J=6.95 Hz, 2 H), 7.43 (d, J=7.53 Hz, 1 H) 7.52 (d, J=7.66 Hz, 2 H) 7.64 (d, J=7.53 Hz, 1 H) 7.72 (d, J=7.78 Hz, 1 H) 8.03 (d, J=8.03, 1 H) 8.25-8.4 (bs, 2H) 8.28 (s, 1 H) 8.38 (d, J=6.78 Hz, 1 H) 8.74 (d, J=6.27 Hz, 1 H) 9.07 (s, 1 H) 9.53 (s, 1H) MS m/z 393 (M+1)+
【0225】
実施例22
4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル安息香酸
【化66】

【0226】
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン(0.032g, 0.10mmol) (実施例2で製造したもの)、4-ボロノ安息香酸(0.033g, 0.20mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (0.0035g, 0.005mmol)およびK2CO3(0.050g, 0.36mmol)を0.5mLのN,N-ジメチルホルムアミド中で一緒に合わせ、SmithSynthesizerマイクロウエーブで200℃に8分間加熱し、さらに250℃で8分間加熱した。この反応混合物を真空濃縮し、残留物を質量特異的HPLCで精製すると、0.0032gの表題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.51 (t, J=7.03 Hz, 3 H) 4.97 (q, J=7.03 Hz, 2 H), 7.84 (d, J=5.52 Hz, 1 H) 8.07 (d, J=8.53 Hz, 2 H) 8.13 (d, J=8.53 Hz, 2H) 8.0-8.8 (bs, 2H) 8.47 (d, J=5.52 Hz, 1 H) 8.91 (s, 1 H) 9.11 (s, 1 H) MS m/z 361 (M+1)+
【0227】
実施例23
3-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]ベンジルカルバミン酸t-ブチル
【化67】

【0228】
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン(0.032g, 0.10mmol) (実施例2で製造したもの)、3-((t-ブトキシカルボニル)アミノメチル)フェニルボロン酸(0.050g, 0.20mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (0.0035g, 0.005mmol)およびK2CO3 (0.050g, 0.36mmol)を0.5mLのN,N-ジメチルホルムアミド中で一緒に合わせ、SmithSynthesizerマイクロウエーブで200℃に8分間加熱し、さらに250℃で8分間加熱した。この反応混合物を真空濃縮し、残留物をHPLCで精製すると、0.0037gの表題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.40 (s, 9H) 1.53 (t, J=6.95 Hz, 3 H) 4.23 (d, J=6.04 Hz, 2 H) 4.98 (q, J=6.85 Hz, 2 H), 6.54 (s, 1H) 7.28 (d, J=7.5 Hz, 1 H) 7.47 (t, J=7.5 Hz, 2 H) 7.89 (s, 1 H) 7.95 (d, J=5.59 Hz, 1 H) 8.2-8.4 (bs, 2 H) 8.52 (d, J=5.67 Hz, 1 H) 8.81 (s, 1 H) 9.19 (s, 1 H) MS m/z 446 (M+1)+
【0229】
実施例24
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(1H-ピロール-2-イル)ピラジン-2-アミン ホルメート
【化68】

【0230】
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン(0.020g, 0.063mmol) (実施例2で製造したもの)、1-(t-ブトキシカルボニル)ピロール-2-ボロン酸(0.052g, 0.25mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (0.004g, 0.0057mmol)およびK2CO3 (0.050g, 0.25mmol)を0.5mLのN,N-ジメチルホルムアミド中で一緒に合わせ、SmithSynthesizerマイクロウエーブで200℃に8分間加熱した。この反応混合物を真空濃縮し、残留物をHPLCで精製すると、0.0027gの表題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.42 (t, J=7.0 Hz, 3 H) 4.95 (q, J=6.90 Hz, 2 H), 6.18 (d, J=2.4 Hz, 1H) 6.65 (s, 1H) 6.92 (s, 1 H) 7.8 (d, J=5.6 Hz, 1 H) 8.0 (bs, 2 H) 8.16 (s, 1 H) 8.44 (d, J=5.6 Hz, 1 H) 8.60 (s, 1 H) 9.07 (s, 1 H) 11.19 (s, 1H) MS m/z 306 (M+1)+
【0231】
実施例25
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(1H-インドール-2-イル)ピラジン-2-アミン ホルメート
【化69】

【0232】
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン(0.020g, 0.063mmol) (実施例2で製造したもの)、2-ボロノ-1H-インドール-1-カルボン酸t-ブチル(0.062g, 0.25mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (0.004g, 0.0056mmol)およびK2CO3 (0.050g, 0.25mmol)を0.5mLのN,N-ジメチルホルムアミド中で一緒に合わせ、SmithSynthesizerマイクロウエーブで200℃に8分間加熱した。この反応混合物を真空濃縮し、残留物をHPLCで精製すると、0.008gの表題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.46 (t, J=7.0 Hz, 3 H) 5.02 (q, J=7.03 Hz, 2 H) 7.0 (s, 1 H) 7.04 (d, J=7.53 Hz, 1 H) 7.13 (t, J=7.4 Hz, 1 H) 7.46 (d, J=8.03 Hz, 1 H) 7.59 (d, J=7.78 Hz, 1 H) 7.85 (d, J=5.52 Hz, 1 H) 8.1-8.3 (bs, 2 H) 8.19 (s, 1 H) 8.47 (d, J=5.52 Hz, 1 H) 8.83 (s, 1 H) 9.10 (s, 1 H) 11.43 (s, 1H) MS m/z 356 (M+1)+
【0233】
実施例26
5-[(4-アミノフェニル)エチニル]-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン
【化70】

【0234】
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン(0.051g, 0.16mmol) (実施例2で製造したもの)、4-エチニルアニリン(0.060g, 0.51mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) (0.006g, 0.009mmol)、ヨウ化銅(0.004g, 0.02mmol)およびトリエチルアミン(3mL)を一緒に合わせ、SmithSynthesizerマイクロウエーブで180℃に1時間加熱した。得られた混合物をシリカゲルで処理し、揮発物を真空下で除去した。シリカゲルクロマトグラフィーにかけて表題化合物(0.004g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 1.56 (t, J=6.96 Hz, 3H), 3.88 (br, 2H), 4.90 (q, J=6.96 Hz, 2H), 6.66 (m, 2H), 7.40 (m, 3H), 8.29 (s, 1H), 8.50 (d, J=5.68 Hz, 1H), 9.12 (d, J=0.92 Hz, 1H) MS m/z 356 (M+1)+
【0235】
生物学的データ
ROCKキナーゼアッセイ:
ROCK阻害剤活性は、Sf9細胞において発現されたヒト組換えROCK1キナーゼドメイン(アミノ酸1-578)を用いて測定した(WO9967283参照)。この酵素をhisタグNTAカラムおよびSource15 HPLCクロマトグラフィーで精製した。Rock-1活性のアッセイは、ペプチド基質およびATP33とのインキュベーションを含み、その後のペプチドへのP33の取り込みをシンチレーション近接アッセイ(Scintillation Proximity Assay: SPA - Amersham Pharmacia)により定量した。
【0236】
IC50を決定するために、一般的には、試験化合物を100% DMSO中に10mMの濃度で溶解し、その後10% DMSOへの連続希釈を行なった。典型的には、10μMから3nMまでのアッセイ濃度で11ポイント希釈範囲にわたって、2回反復で化合物をアッセイした。IC50値は特注の曲線フィッティングソフトウェアにより算出し、pIC50に変換した。
【0237】
アッセイは、底が透明で壁面が白色の96ウェルプレートで全アッセイ量40μLにて行なった。このアッセイは以下のものを含んでいた:1nM hROCK11; 1μM ビオチン化ペプチド(ビオチン-Ahx-AKRRRLSSLRA-CONH2); 1μM ATP; 25Bq per pmole ATP33; 12.5mM Hepes pH7.4; 7.5mM MgCl2; 0.015% BSA。反応混合物を20℃で120分間インキュベートし、その後10μLの200mM EDTAを添加することにより反応を終結させた。
【0238】
ストレプトアビジンPVT SPAビーズを0.4mg/ウェルの濃度で添加した。プレートを10分間振とうし、その後2500rpmで10分間遠心分離した。Wallac TriluxでのシンチレーションカウントによりP33取り込みを定量した。
【0239】
全ての実施例1〜26を上記のアッセイで試験したところ、5.0以上のpIC50でRock-1に対して阻害活性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体。
【化1】

[式中、
Aは、アリール、ヘテロアリール、C1-C6アルケニル、C1-C6アルキニル、-CN、ハロ、-COOH、-C(O)NR4R5、-NRR'、-N(R')S(O)2R、-N(R')C(O)R、または-N(R')C(O)NR4R5であり、
Rは、-H、C1-C6アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
R’は、-HまたはC1-C3アルキルであり、
Dは、下記の群から選択され、
【化2】

R2は、-H、ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、-S(O)2NR4R5、-COOH、-C(O)OR6、-C(O)NR4R5、NRR'、-N(H)C(O)NRR'、-N(H)C(O)R、または-N(H)S(O)2Rであり、
qは、1、2、3、または4であり、
R3は、-H、C1-C3アルキル、アリール、アラルキル、またはヘテロアリールであり、
R4は、-HまたはC1-C3アルキルであり、
R5は、-HまたはC1-C3アルキルであるか、または
R4とR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環を形成し、該環は1または2個の追加の酸素、S(O)m、または窒素原子を含んでいてもよく、該窒素原子はC1-C3アルキル基で置換されていてもよく、
mは、0、1、または2であり、
R6は、C1-C6アルキルである。]
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体。
【化1】

[式中、
Aは、アリール、ヘテロアリール、C1-C6アルケニル、C1-C6アルキニル、またはハロであり、
Dは、下記の群から選択され、
【化2】

R2は、-Hであり、
qは、1または2であり、
R3は、-HまたはC1-C3アルキルである。]
【請求項2】
Aが、少なくとも1個のR1基で置換されていてもよいアリール、少なくとも1個のR1基で置換されていてもよいヘテロアリール、C1-C6アルキニル、またはハロであり、
R1が、アリール、C1-C6アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、-COOH、-S(O)2NR4R5、-S(O)2R、-NRR'、-O(CH2)nCOOH、-(CH2)nCOOH、-C(O)O(CH2)nR、-(CH2)nN(H)C(O)OR、または-N(R')S(O)2Rであり、
nが、1、2、3、または4であり、
Rが、-HまたはC1-C3アルキルであり、
R'が、-HまたはC1-C3アルキルであり、
Dが、下記の群から選択され、
【化3】

R2が、-Hであり、
qが、1または2であり、
R3が、-HまたはC1-C3アルキルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが、少なくとも1個のR1基で置換されていてもよいアリール、少なくとも1個のR1基で置換されていてもよいヘテロアリール、C1-C6アルキニル、またはハロであり、
R1が、アリール、C1-C6アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、-COOH、-S(O)2NR4R5、-S(O)2R、-NRR'、-O(CH2)nCOOH、-(CH2)nCOOH、-C(O)O(CH2)nR、-(CH2)nN(H)C(O)OR、または-N(R')S(O)2Rであり、
Rが、-H、C1-C6アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
R'が、-HまたはC1-C3アルキルであり、
nが、1、2、3、または4であり、
Dが、下記の群から選択され、
【化4】

R2が、-Hであり、
qが、1または2であり、
R3が、-HまたはC1-C3アルキルである、
請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
AがC1-C6アルケニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Aがハロである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Dが下記の群:
【化5】

から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Dが、
【化6】

である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Dが、
【化7】

である、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物が下記の群:
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン;
5-ブロモ-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン;
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-フェニルピラジン-2-アミン;
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ピラジン-2-アミン;
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-アミン;
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-チエン-2-イルピラジン-2-アミン;
5-(4-アミノフェニル)-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン;
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-ピリジン-3-イルピラジン-2-アミン;
3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(1H-インドール-5-イル)ピラジン-2-アミン;
3-[1-(2-メトキシエチル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]-5-チエン-2-イルピラジン-2-アミン;
3-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)-5-(3-フルオロフェニル)ピラジン-2-アミン;
3-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)-5-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-アミン;
4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]-N,N-ジメチルベンゼンスルホンアミド;
3-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-[3-(メチルスルホニル)フェニル]ピラジン-2-アミン;
3-{4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]フェニル}プロパン酸;
{4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]フェノキシ}酢酸;
{3-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]フェノキシ}酢酸;
N-{4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]フェニル}メタンスルホンアミド;
4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]安息香酸ベンジル;
5-[4-(ベンジルオキシ)フェニル]-3-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン;
5-[1,1'-ビフェニル-3-イル)-3-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン;
4-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル安息香酸;
3-[5-アミノ-6-(1-エチル-1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-イル]ベンジルカルバミン酸t-ブチル;
3 (1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(1H-ピロール-2-イル)ピラジン-2-アミン;
3 (1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(1H-インドール-2-イル)ピラジン-2-アミン; および
5-[(4-アミノフェニル)エチニル]-3-(1-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)ピラジン-2-アミン;
またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体;
からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
治療に有効な量の請求項1に記載の化合物および1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤を含有する医薬組成物。
【請求項11】
治療に使用するための請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
不適切なROCK-1活性により媒介される障害の治療に用いる医薬の製造における、請求項1に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2006−520794(P2006−520794A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507319(P2006−507319)
【出願日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/008301
【国際公開番号】WO2004/084813
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(597173680)スミスクライン ビーチャム コーポレーション (157)
【Fターム(参考)】