化学機械研磨装置の管理方法
【課題】化学機械研磨装置の研磨ヘッドのコンディショナーのハード的不具合を精度良く判定する方法を提供する。
【解決手段】同一のプラテンで使用した研磨処理後の複数枚の研磨パッドのパッドプロファイルを測定し、前記パッドプロファイルが予め定めた基準を満たしている場合には、コンディショナの機械的な状態を良と判定して研磨工程を継続し、前記パッドプロファイルが予め定めた基準を満たしておらず、不良と判定した場合には、コンディショナの機械的な不具合を修復する。
【解決手段】同一のプラテンで使用した研磨処理後の複数枚の研磨パッドのパッドプロファイルを測定し、前記パッドプロファイルが予め定めた基準を満たしている場合には、コンディショナの機械的な状態を良と判定して研磨工程を継続し、前記パッドプロファイルが予め定めた基準を満たしておらず、不良と判定した場合には、コンディショナの機械的な不具合を修復する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学機械研磨装置の管理方法に関するものであり、特に、化学機械研磨装置を構成するコンディショナのハード的不具合を精度良く判定するための構成に特徴のある化学機械研磨装置の管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体集積回路装置の高集積度化の進展に伴ってパターンサイズの微細化が進んでいるが、微細なパターンを精度良くパターニングするためには、フォトリソグラフィー工程において半導体ウェーハ(半導体基板)或いは当該半導体ウェーハ上に形成される絶縁層、導電体層の表面の平坦性が問題となる。
【0003】
即ち、表面が非平坦であれば、その上に塗布するレジストに膜厚分布が生じ、露光の際の露光量の局所的な過不足が問題になるとともに、現像時におけるパターンの局所的なムラの発生が問題となる。
【0004】
このような問題に対処するためには、CMP(化学機械研磨)法を用いて各工程毎に半導体ウェーハ或いは当該半導体ウェーハ上に形成される絶縁層、導電体層の表面を平坦化している。
【0005】
例えば、配線の形成工程においては、従来のアルミニウム(Al)系の配線に代わって、アルミニウム(Al)よりエレクトロマイグレーション耐性の大きな銅(Cu)が使用されるようになってきたが、銅(Cu)に対するドライ・エッチング工程において他に悪影響を与えずに選択エッチングが可能なエッチングガスが存在しないので、Cu配線を形成する場合には、CMP法を用いて埋込配線層として形成している。
【0006】
このように、CMP法は各種の工程或いは目的で用いられている。
ここで、図5を参照してCMP装置の構成を説明する。
図5は、従来のCMP装置の一例の概略的要部構成図であり、研磨台21、研磨台に取り付けられたプラテン22、プラテン22上に載置された研磨パッド23、コンディショナヘッド26と回転アーム25からなるコンディショナ24及び研磨ヘッド10から構成される。
なお、CMP装置にあっては、一つの研磨台に複数のプラテン22が配置されている場合が多い。
【0007】
研磨ヘッド10は、ヘッド筐体11、ヘッド筐体11に外接されるとともに半導体ウェーハ30を内周部に保持するリテーナリング12を有しており、ヘッド筐体11の内部にはその膨張・収縮によって半導体ウェーハ30を研磨ヘッド10に吸引したり、或いは、研磨パッド23側に押圧するメンブレンが内蔵されている。
【0008】
このようなCMP工程においては、研磨残渣等により研磨パッドが目詰まりを起こし、研磨速度の低下或いは研磨精度の低下を招くので、コンディショナを用いて定期的にコンディショニングを行う必要がある。
【0009】
当該コンディショニングとドレスとも称され、ダイヤモンドディスクを備えたコンディショナヘッド26により研磨パッド23の目立てを行なうものであるが、コンディショナの状態が悪いと、研磨パッド23に対する目立てが充分になされない。
この結果、半導体ウェーハ30或いはその表面に配置された導電層などの被研削耐における研磨速度の低下として現れることになる。
【0010】
そこで、研磨後の半導体ウェーハ30の測定結果によって、研削結果が不良である場合には、マイクロメーター等を用いて研磨パッド23のパッドプロファイルを測定し、その結果に基づいて、コンディショナ24によるコンディショニングプロセスの修正を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
かかるコンディショニングプロセスの修正は、レシピに沿って行われるものであり、例えば、ドレス圧、ドレス回転数等のレシピに挙げられた各種の項目にわたって行われる。
【特許文献1】特開2001−129754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、この様な従来の技術では、研磨後の半導体ウェーハの測定結果によってパッドプロファイルのコンディショニングプロセスの修正を行なっているので、コンディショナ自体に不具合があっても検知できないという問題を生じていた。
【0013】
即ち、コンディショナに不具合がある場合は、何度もコンディショニングプロセスの修正を行なってもパッドプロファイルが不安定となり、コンディショニングプロセスの修正を繰り返さなければならないという問題点を生じていた。
【0014】
本発明は、コンディショナのハード的不具合を精度良く判定し、もって当該コンディショナのハード的不具合を効率的良く除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
ここで図1を参照して、本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
上記課題を解決するために、本発明は、化学機械研磨装置の管理方法において、同一のプラテンで使用した研磨処理後の複数枚の研磨パッドのパッドプロファイルを測定し、前記パッドプロファイルが予め定めた基準を満たしている場合には、コンディショナの機械的な状態を良と判定して研磨工程を継続し、前記パッドプロファイルが予め定めた基準を満たしておらず、不良と判定した場合には、コンディショナの機械的な不具合を修復することを特徴とする。
【0016】
このように、同一のプラテンで使用した研磨処理後の複数枚の研磨パッドのパッドプロファイルを調べることによって、パッドプロファイルの良否からコンディショニングプロセスの修正では補えない各プラテンに付属するコンディショナのハード的不具合を把握することができる。
【0017】
この場合、コンディショナの機械的な状態を不良と判定した場合に、上記コンディショナの機械的な不具合を修復する前に、上記化学機械研磨装置を暫定使用して研磨を継続し、該暫定使用研磨処理後に同一のプラテンで使用した複数枚の研磨パッドのパッドプロファイルを測定し、前記パッドプロファイルが予め定めた基準を満たしている場合には、コンディショナの機械的な状態を良と判定して研磨工程を継続し、不良と判定した場合には、コンディショナの機械的な不具合を修復することが望ましく、それによって、コンディショナの機械的な不具合の修復回数を軽減することができる。
【0018】
また、この場合のコンディショナの機械的な状態の良否の判定は、測定したパッドプロファイルの測定値の比較により行っても良いし、或いは、測定したパッドプロファイルの測定値の統計的処理により得た標準偏差が予め定めた数値より大きな場合に不良と判定しても良い。
【0019】
この場合の統計的処理に用いる研磨パッドの数は5〜15枚が好適であり、5枚未満では統計処理のためのデータ数が少なすぎて、精度の高い良否判定が困難になり、一方、15枚を超えるとそれらのデータを取得するまで研磨作業に時間が長くなり過ぎ、コンディショナのハード的不良に迅速に対応できなくなる。
なお、300mmの研磨パッドの場合には、パッド面積が広いのでパッドコンディショニングが不安定になるため、大口径半導体ウェーハ対応の装置になるほど効果的になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コンディショニングプロセスの修正では補えない各プラテンのコンディショナのハード的不具合の判定が可能になり、判定結果に基づいてコンディショナのハード的不具合を修復することにより、CMP研磨工程において不良品の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
ここで、再び図1を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1参照
図1は、本発明の実施の形態を示すフローチャートである。
即ち、
a.CMP装置を用いて所定の研磨を行う。次いで、
b.同一のプラテンで使用した研磨処理後の複数枚の研磨パッドのパッドプロファイル を、例えば、マイクロメーターを用いて測定する。次いで、
c.測定結果に基づいて、パッドプロファイルの良否を判定する。この時、パッドプロ ファイルの良否の判定は、
c1 .測定したパッドプロファイルの測定値の比較により行なう。
この場合、測定値の比較は経験的な判断で良いし、或いは、研磨パッドにお ける予め定めた特定の複数の箇所における測定値に重みをつけて、機械的に数 値を判定するよにしても良い。或いは、
c2 .同一プラテンのパッドプロファイルを5〜15枚測定し、統計的手法を用いて コンディショナの良し悪しを判断する。
なお、統計的手法としては、5〜15枚のパットプロファイルの厚さの値を オーバーオールで標準偏差(STD)を求め、その標準偏差が予め定めた基準 値を超えた場合に不良と判定する。
d.判定結果が良(OK)の場合には、当該研磨装置を継続して使用して、予め定めた 所定回数の研磨終了後に、再び、パッドプロファイルの良否を判定する。一方、
e.判定結果が不良(NG)の場合には、当該研磨装置を継続して暫定的に使用して、 予め定めた所定回数の研磨終了後に、再び、
f.5〜15枚の研磨パッドのパッドプロファイルの測定を行い、
g.測定結果に基づいて、パッドプロファイルの良否を判定する。
h.判定結果が良(OK)の場合には、当該研磨装置のコンディショナに問題なしとし て継続使用し、予め定めた所定回数の研磨終了後に、再び、パッドプロファイルの 否を判定する。一方、
i.判定結果が不良(NG)の場合には、当該研磨装置のコンディショナにハード的不 具合があると判定して、そのハード的不具合、例えば、ダイヤフラムの圧力状態等 を修理する。
j.コンディショナのハード的不具合を修復した後に、正常な研磨装置として研磨工程 を再開する。
【実施例1】
【0022】
次に、図2を参照し、本発明の実施例1であるCMP装置の管理方法を説明する。
ここでは、研磨装置Aとしてプラテン上に1ヘッドを有する研磨装置を用い、研磨パットとしてはポリウレタン独立発泡タイプの単層パッドを用い、スラリーはヒュウームドシリカ系スラリーを1:1に希釈したILD−CMP、即ち、層間絶縁膜の酸化膜系研磨の場合の結果を示している。
【0023】
また、研磨条件としては、
プラテン回転数:80〜100rpm(回転/分)
研磨ヘッド回転数:70〜100rpm
コンディション圧:3.0〜7.0bf(重量ポンド)
コンディション回転数:80〜100rpm
として行った。
図2は、当該本発明の実施例1におけるパッドプロファイルの測定結果を示す。
当該図2は、研磨パットの厚さをパット直径方向に測定を行なったパッドプロファイルを示している。
【0024】
ここでは、第1のプラテンP1 で用いた6枚の研磨パッドのパッドプロファイルを示している。
この本発明の実施例1にあっては、全てのパッドプロファイルの形状がほぼ一定であり、良い場合を示している。
【0025】
なお、これらのパッドプロファイルの良否判定は、経験的なものであるが、研磨パッドにおける判定箇所を予め複数箇所定めておき、この複数箇所における測定値が予め定めた基準値の範囲内であるか否かを判定して、不良の場合に、上述のコンディショナのハード的不具合の修復を行う。
【実施例2】
【0026】
次に、図3を参照し、本発明の実施例2のCMP装置の管理方法を説明する。
図3は、本発明の実施例2におけるパッドプロファイルの測定結果の説明図である。
ここでは、研磨装置Bとしてプラテン上に1ヘッドを有する研磨装置を用い、研磨パットとしてはポリウレタン独立発泡タイプの積層パッドを用い、スラリーはヒュウームドシリカ系スラリーを1:1に希釈したILD−CMPの場合を示している。
【0027】
また、研磨条件としては、
プラテン回転数:80〜100rpm
研磨ヘッド回転数:70〜100rpm
コンディション圧:3.0〜7.0bf
コンディション回転数:80〜100rpm
として行った。
図3は、当該本発明の実施例2におけるパッドプロファイルの測定結果を示す。
図3は、研磨パットの厚さをパット直径方向に測定を行なったパッドプロファイルを示している。
【0028】
ここでは、第3のプラテンP3 で用いた7枚の研磨パッドのパッドプロファイルを示している。
この場合、パッドプロファイルの形状にバラツキがあり、5枚の研磨パッドのパッドプロファイルの形状は「お椀型」をしているので、経験的に良い場合と判断する。
【0029】
一方、他の2枚の研磨パッドのパッドプロファイルの形状は「山型」をなしているので、経験的に悪い場合と判断する。
このような場合、前記コンディショナのハード的不具合の修復を行う。
【0030】
なお、実施例2においても、パッドプロファイルの良否判定は経験的なものであるが、研磨パッドにおける判定箇所を予め複数箇所定めておき、この複数箇所における測定値が予め定めた基準値の範囲内であるか否かを判定しても良い。
【実施例3】
【0031】
次に、図4を参照して本発明の実施例3のCMP装置の管理方法を説明する。
この実施例3は、上述の実施例1及び実施例2における測定結果を統計処理して良否を判定するものである。
図4は、実施例1及び実施例2における測定値の統計処理結果の説明図である。
ここでは、標準偏差(STD)を判定基準に用いている。
下側の線は、前記実施例1における研磨装置Aの3個のプラテンにおける結果を示し、また、上側の線は実施例2における研磨装置Bの3個のプラテンにおける結果を示す。
【0032】
かかるパッドプロファイルの標準偏差(STD)の算出方法は、同一プラテンで使用した7枚の研磨パッドの厚分布、即ち、パットプロファイルの値をオーバーオール、即ち、測定した全ての点でのデータで標準偏差をとったものに100を掛けた値として示している。
【0033】
この場合、判定基準値として15%を採用したので、前記実施例2における研磨装置BのプラテンP3 で使用した研磨パッドの膜厚分布にバラツキが大きいことが示されている。
即ち、コンディショナにハード的不具合があるため、コンディショニングが不安定で研磨を安定した状態で行えないことを意味している。
したがって、この研磨装置を暫定使用して再びパッドプロファイルの標準偏差(STD)をチェックしてもSTDが15%を超えている場合には、コンディショナの修復を行う。
【0034】
このように、本発明の実施例3においては、経験に頼らず統計的手法によってコンディショナにハード的不具合を判定しているので、コンディショナのハード的不具合を客観的に且つ精度良く判定することが可能になる。
【0035】
特に、研磨パッドのサイズが300mm等の大口径の場合には、パッド面積が広いのでパッドコンディショニングが不安定になりやすく、大口径半導体ウェーハ対応の装置になるほど効果的になる。
【0036】
以上、本発明の各実施例を説明してきたが、本発明は各実施例に記載された構成・条件等に限られるものではなく各種の変更が可能であり、例えば、上記実施例1及び実施例2においては、特定のメーカのCMP装置についての結果を示しているが、上述の特定のメーカのCMP装置に限られるものではなく、各社のCMP装置の管理方法としても適用されるものである。
【0037】
また、上記の実施例3においては、判定基準としてSTDの15%の値としているが、このような数値は絶対的ではなく、半導体集積回路装置の集積度が向上するほど、即ち、パターンの微細化に進むほど表面平坦性は重要になるので、この基準値を下げて良否の判定を厳しくする必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の活用例としては、半導体ウェーハの研磨用に用いるCMP装置の管理方法が典型的なものであるが、半導体ウェーハの研磨用に用いるCMP装置に限られるものではなく、CMP装置であればその研磨対象によらず適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態のフローチャートである。
【図2】本発明の実施例1におけるパッドプロファイルの測定結果の説明図である。
【図3】本発明の実施例2におけるパッドプロファイルの測定結果の説明図である。
【図4】実施例1及び実施例2における測定値の統計処理結果の説明図である。
【図5】従来のCMP装置の一例の概略的要部構成図である。
【符号の説明】
【0040】
10 研磨ヘッド
11 ヘッド筐体
12 リテーナリング
21 研磨台
22 プラテン
23 研磨パッド
24 コンディショナ
25 回転アーム
26 コンディショナヘッド
30 半導体ウェーハ
【技術分野】
【0001】
本発明は化学機械研磨装置の管理方法に関するものであり、特に、化学機械研磨装置を構成するコンディショナのハード的不具合を精度良く判定するための構成に特徴のある化学機械研磨装置の管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体集積回路装置の高集積度化の進展に伴ってパターンサイズの微細化が進んでいるが、微細なパターンを精度良くパターニングするためには、フォトリソグラフィー工程において半導体ウェーハ(半導体基板)或いは当該半導体ウェーハ上に形成される絶縁層、導電体層の表面の平坦性が問題となる。
【0003】
即ち、表面が非平坦であれば、その上に塗布するレジストに膜厚分布が生じ、露光の際の露光量の局所的な過不足が問題になるとともに、現像時におけるパターンの局所的なムラの発生が問題となる。
【0004】
このような問題に対処するためには、CMP(化学機械研磨)法を用いて各工程毎に半導体ウェーハ或いは当該半導体ウェーハ上に形成される絶縁層、導電体層の表面を平坦化している。
【0005】
例えば、配線の形成工程においては、従来のアルミニウム(Al)系の配線に代わって、アルミニウム(Al)よりエレクトロマイグレーション耐性の大きな銅(Cu)が使用されるようになってきたが、銅(Cu)に対するドライ・エッチング工程において他に悪影響を与えずに選択エッチングが可能なエッチングガスが存在しないので、Cu配線を形成する場合には、CMP法を用いて埋込配線層として形成している。
【0006】
このように、CMP法は各種の工程或いは目的で用いられている。
ここで、図5を参照してCMP装置の構成を説明する。
図5は、従来のCMP装置の一例の概略的要部構成図であり、研磨台21、研磨台に取り付けられたプラテン22、プラテン22上に載置された研磨パッド23、コンディショナヘッド26と回転アーム25からなるコンディショナ24及び研磨ヘッド10から構成される。
なお、CMP装置にあっては、一つの研磨台に複数のプラテン22が配置されている場合が多い。
【0007】
研磨ヘッド10は、ヘッド筐体11、ヘッド筐体11に外接されるとともに半導体ウェーハ30を内周部に保持するリテーナリング12を有しており、ヘッド筐体11の内部にはその膨張・収縮によって半導体ウェーハ30を研磨ヘッド10に吸引したり、或いは、研磨パッド23側に押圧するメンブレンが内蔵されている。
【0008】
このようなCMP工程においては、研磨残渣等により研磨パッドが目詰まりを起こし、研磨速度の低下或いは研磨精度の低下を招くので、コンディショナを用いて定期的にコンディショニングを行う必要がある。
【0009】
当該コンディショニングとドレスとも称され、ダイヤモンドディスクを備えたコンディショナヘッド26により研磨パッド23の目立てを行なうものであるが、コンディショナの状態が悪いと、研磨パッド23に対する目立てが充分になされない。
この結果、半導体ウェーハ30或いはその表面に配置された導電層などの被研削耐における研磨速度の低下として現れることになる。
【0010】
そこで、研磨後の半導体ウェーハ30の測定結果によって、研削結果が不良である場合には、マイクロメーター等を用いて研磨パッド23のパッドプロファイルを測定し、その結果に基づいて、コンディショナ24によるコンディショニングプロセスの修正を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
かかるコンディショニングプロセスの修正は、レシピに沿って行われるものであり、例えば、ドレス圧、ドレス回転数等のレシピに挙げられた各種の項目にわたって行われる。
【特許文献1】特開2001−129754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、この様な従来の技術では、研磨後の半導体ウェーハの測定結果によってパッドプロファイルのコンディショニングプロセスの修正を行なっているので、コンディショナ自体に不具合があっても検知できないという問題を生じていた。
【0013】
即ち、コンディショナに不具合がある場合は、何度もコンディショニングプロセスの修正を行なってもパッドプロファイルが不安定となり、コンディショニングプロセスの修正を繰り返さなければならないという問題点を生じていた。
【0014】
本発明は、コンディショナのハード的不具合を精度良く判定し、もって当該コンディショナのハード的不具合を効率的良く除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
ここで図1を参照して、本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
上記課題を解決するために、本発明は、化学機械研磨装置の管理方法において、同一のプラテンで使用した研磨処理後の複数枚の研磨パッドのパッドプロファイルを測定し、前記パッドプロファイルが予め定めた基準を満たしている場合には、コンディショナの機械的な状態を良と判定して研磨工程を継続し、前記パッドプロファイルが予め定めた基準を満たしておらず、不良と判定した場合には、コンディショナの機械的な不具合を修復することを特徴とする。
【0016】
このように、同一のプラテンで使用した研磨処理後の複数枚の研磨パッドのパッドプロファイルを調べることによって、パッドプロファイルの良否からコンディショニングプロセスの修正では補えない各プラテンに付属するコンディショナのハード的不具合を把握することができる。
【0017】
この場合、コンディショナの機械的な状態を不良と判定した場合に、上記コンディショナの機械的な不具合を修復する前に、上記化学機械研磨装置を暫定使用して研磨を継続し、該暫定使用研磨処理後に同一のプラテンで使用した複数枚の研磨パッドのパッドプロファイルを測定し、前記パッドプロファイルが予め定めた基準を満たしている場合には、コンディショナの機械的な状態を良と判定して研磨工程を継続し、不良と判定した場合には、コンディショナの機械的な不具合を修復することが望ましく、それによって、コンディショナの機械的な不具合の修復回数を軽減することができる。
【0018】
また、この場合のコンディショナの機械的な状態の良否の判定は、測定したパッドプロファイルの測定値の比較により行っても良いし、或いは、測定したパッドプロファイルの測定値の統計的処理により得た標準偏差が予め定めた数値より大きな場合に不良と判定しても良い。
【0019】
この場合の統計的処理に用いる研磨パッドの数は5〜15枚が好適であり、5枚未満では統計処理のためのデータ数が少なすぎて、精度の高い良否判定が困難になり、一方、15枚を超えるとそれらのデータを取得するまで研磨作業に時間が長くなり過ぎ、コンディショナのハード的不良に迅速に対応できなくなる。
なお、300mmの研磨パッドの場合には、パッド面積が広いのでパッドコンディショニングが不安定になるため、大口径半導体ウェーハ対応の装置になるほど効果的になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コンディショニングプロセスの修正では補えない各プラテンのコンディショナのハード的不具合の判定が可能になり、判定結果に基づいてコンディショナのハード的不具合を修復することにより、CMP研磨工程において不良品の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
ここで、再び図1を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1参照
図1は、本発明の実施の形態を示すフローチャートである。
即ち、
a.CMP装置を用いて所定の研磨を行う。次いで、
b.同一のプラテンで使用した研磨処理後の複数枚の研磨パッドのパッドプロファイル を、例えば、マイクロメーターを用いて測定する。次いで、
c.測定結果に基づいて、パッドプロファイルの良否を判定する。この時、パッドプロ ファイルの良否の判定は、
c1 .測定したパッドプロファイルの測定値の比較により行なう。
この場合、測定値の比較は経験的な判断で良いし、或いは、研磨パッドにお ける予め定めた特定の複数の箇所における測定値に重みをつけて、機械的に数 値を判定するよにしても良い。或いは、
c2 .同一プラテンのパッドプロファイルを5〜15枚測定し、統計的手法を用いて コンディショナの良し悪しを判断する。
なお、統計的手法としては、5〜15枚のパットプロファイルの厚さの値を オーバーオールで標準偏差(STD)を求め、その標準偏差が予め定めた基準 値を超えた場合に不良と判定する。
d.判定結果が良(OK)の場合には、当該研磨装置を継続して使用して、予め定めた 所定回数の研磨終了後に、再び、パッドプロファイルの良否を判定する。一方、
e.判定結果が不良(NG)の場合には、当該研磨装置を継続して暫定的に使用して、 予め定めた所定回数の研磨終了後に、再び、
f.5〜15枚の研磨パッドのパッドプロファイルの測定を行い、
g.測定結果に基づいて、パッドプロファイルの良否を判定する。
h.判定結果が良(OK)の場合には、当該研磨装置のコンディショナに問題なしとし て継続使用し、予め定めた所定回数の研磨終了後に、再び、パッドプロファイルの 否を判定する。一方、
i.判定結果が不良(NG)の場合には、当該研磨装置のコンディショナにハード的不 具合があると判定して、そのハード的不具合、例えば、ダイヤフラムの圧力状態等 を修理する。
j.コンディショナのハード的不具合を修復した後に、正常な研磨装置として研磨工程 を再開する。
【実施例1】
【0022】
次に、図2を参照し、本発明の実施例1であるCMP装置の管理方法を説明する。
ここでは、研磨装置Aとしてプラテン上に1ヘッドを有する研磨装置を用い、研磨パットとしてはポリウレタン独立発泡タイプの単層パッドを用い、スラリーはヒュウームドシリカ系スラリーを1:1に希釈したILD−CMP、即ち、層間絶縁膜の酸化膜系研磨の場合の結果を示している。
【0023】
また、研磨条件としては、
プラテン回転数:80〜100rpm(回転/分)
研磨ヘッド回転数:70〜100rpm
コンディション圧:3.0〜7.0bf(重量ポンド)
コンディション回転数:80〜100rpm
として行った。
図2は、当該本発明の実施例1におけるパッドプロファイルの測定結果を示す。
当該図2は、研磨パットの厚さをパット直径方向に測定を行なったパッドプロファイルを示している。
【0024】
ここでは、第1のプラテンP1 で用いた6枚の研磨パッドのパッドプロファイルを示している。
この本発明の実施例1にあっては、全てのパッドプロファイルの形状がほぼ一定であり、良い場合を示している。
【0025】
なお、これらのパッドプロファイルの良否判定は、経験的なものであるが、研磨パッドにおける判定箇所を予め複数箇所定めておき、この複数箇所における測定値が予め定めた基準値の範囲内であるか否かを判定して、不良の場合に、上述のコンディショナのハード的不具合の修復を行う。
【実施例2】
【0026】
次に、図3を参照し、本発明の実施例2のCMP装置の管理方法を説明する。
図3は、本発明の実施例2におけるパッドプロファイルの測定結果の説明図である。
ここでは、研磨装置Bとしてプラテン上に1ヘッドを有する研磨装置を用い、研磨パットとしてはポリウレタン独立発泡タイプの積層パッドを用い、スラリーはヒュウームドシリカ系スラリーを1:1に希釈したILD−CMPの場合を示している。
【0027】
また、研磨条件としては、
プラテン回転数:80〜100rpm
研磨ヘッド回転数:70〜100rpm
コンディション圧:3.0〜7.0bf
コンディション回転数:80〜100rpm
として行った。
図3は、当該本発明の実施例2におけるパッドプロファイルの測定結果を示す。
図3は、研磨パットの厚さをパット直径方向に測定を行なったパッドプロファイルを示している。
【0028】
ここでは、第3のプラテンP3 で用いた7枚の研磨パッドのパッドプロファイルを示している。
この場合、パッドプロファイルの形状にバラツキがあり、5枚の研磨パッドのパッドプロファイルの形状は「お椀型」をしているので、経験的に良い場合と判断する。
【0029】
一方、他の2枚の研磨パッドのパッドプロファイルの形状は「山型」をなしているので、経験的に悪い場合と判断する。
このような場合、前記コンディショナのハード的不具合の修復を行う。
【0030】
なお、実施例2においても、パッドプロファイルの良否判定は経験的なものであるが、研磨パッドにおける判定箇所を予め複数箇所定めておき、この複数箇所における測定値が予め定めた基準値の範囲内であるか否かを判定しても良い。
【実施例3】
【0031】
次に、図4を参照して本発明の実施例3のCMP装置の管理方法を説明する。
この実施例3は、上述の実施例1及び実施例2における測定結果を統計処理して良否を判定するものである。
図4は、実施例1及び実施例2における測定値の統計処理結果の説明図である。
ここでは、標準偏差(STD)を判定基準に用いている。
下側の線は、前記実施例1における研磨装置Aの3個のプラテンにおける結果を示し、また、上側の線は実施例2における研磨装置Bの3個のプラテンにおける結果を示す。
【0032】
かかるパッドプロファイルの標準偏差(STD)の算出方法は、同一プラテンで使用した7枚の研磨パッドの厚分布、即ち、パットプロファイルの値をオーバーオール、即ち、測定した全ての点でのデータで標準偏差をとったものに100を掛けた値として示している。
【0033】
この場合、判定基準値として15%を採用したので、前記実施例2における研磨装置BのプラテンP3 で使用した研磨パッドの膜厚分布にバラツキが大きいことが示されている。
即ち、コンディショナにハード的不具合があるため、コンディショニングが不安定で研磨を安定した状態で行えないことを意味している。
したがって、この研磨装置を暫定使用して再びパッドプロファイルの標準偏差(STD)をチェックしてもSTDが15%を超えている場合には、コンディショナの修復を行う。
【0034】
このように、本発明の実施例3においては、経験に頼らず統計的手法によってコンディショナにハード的不具合を判定しているので、コンディショナのハード的不具合を客観的に且つ精度良く判定することが可能になる。
【0035】
特に、研磨パッドのサイズが300mm等の大口径の場合には、パッド面積が広いのでパッドコンディショニングが不安定になりやすく、大口径半導体ウェーハ対応の装置になるほど効果的になる。
【0036】
以上、本発明の各実施例を説明してきたが、本発明は各実施例に記載された構成・条件等に限られるものではなく各種の変更が可能であり、例えば、上記実施例1及び実施例2においては、特定のメーカのCMP装置についての結果を示しているが、上述の特定のメーカのCMP装置に限られるものではなく、各社のCMP装置の管理方法としても適用されるものである。
【0037】
また、上記の実施例3においては、判定基準としてSTDの15%の値としているが、このような数値は絶対的ではなく、半導体集積回路装置の集積度が向上するほど、即ち、パターンの微細化に進むほど表面平坦性は重要になるので、この基準値を下げて良否の判定を厳しくする必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の活用例としては、半導体ウェーハの研磨用に用いるCMP装置の管理方法が典型的なものであるが、半導体ウェーハの研磨用に用いるCMP装置に限られるものではなく、CMP装置であればその研磨対象によらず適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態のフローチャートである。
【図2】本発明の実施例1におけるパッドプロファイルの測定結果の説明図である。
【図3】本発明の実施例2におけるパッドプロファイルの測定結果の説明図である。
【図4】実施例1及び実施例2における測定値の統計処理結果の説明図である。
【図5】従来のCMP装置の一例の概略的要部構成図である。
【符号の説明】
【0040】
10 研磨ヘッド
11 ヘッド筐体
12 リテーナリング
21 研磨台
22 プラテン
23 研磨パッド
24 コンディショナ
25 回転アーム
26 コンディショナヘッド
30 半導体ウェーハ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一のプラテンで使用した研磨処理後の複数枚の研磨パッドのパッドプロファイルを測定し、前記パッドプロファイルが予め定めた基準を満たしている場合には、コンディショナの機械的な状態を良と判定して研磨工程を継続し、前記パッドプロファイルが予め定めた基準を満たしておらず、不良と判定した場合には、コンディショナの機械的な不具合を修復することを特徴とする化学機械研磨装置の管理方法。
【請求項2】
上記コンディショナの機械的な状態を不良と判定した場合に、上記コンディショナの機械的な不具合を修復する前に、上記化学機械研磨装置を暫定使用して研磨を継続し、該暫定使用研磨処理後に同一のプラテンで使用した複数枚の研磨パッドのパッドプロファイルを測定し、前記パッドプロファイルが予め定めた基準を満たしている場合には、コンディショナの機械的な状態を良と判定して研磨工程を継続し、不良と判定した場合には、コンディショナの機械的な不具合を修復することを特徴とする請求項1記載の化学機械研磨装置の管理方法。
【請求項3】
上記コンディショナの機械的な状態の良否の判定を、測定したパッドプロファイルの測定値の比較により行うことを特徴とする請求項1または2に記載の化学機械研磨装置の管理方法。
【請求項4】
上記コンディショナの機械的な状態の良否の判定を、測定したパッドプロファイルの測定値の統計的処理により得た標準偏差が予め定めた数値より大きな場合に不良と判定することを特徴とする請求項1または2に記載の化学機械研磨装置の管理方法。
【請求項5】
上記一度の統計的処理に使用する研磨パッドの数を5〜15枚としたことを特徴とする請求項4記載の化学機械研磨装置の管理方法。
【請求項1】
同一のプラテンで使用した研磨処理後の複数枚の研磨パッドのパッドプロファイルを測定し、前記パッドプロファイルが予め定めた基準を満たしている場合には、コンディショナの機械的な状態を良と判定して研磨工程を継続し、前記パッドプロファイルが予め定めた基準を満たしておらず、不良と判定した場合には、コンディショナの機械的な不具合を修復することを特徴とする化学機械研磨装置の管理方法。
【請求項2】
上記コンディショナの機械的な状態を不良と判定した場合に、上記コンディショナの機械的な不具合を修復する前に、上記化学機械研磨装置を暫定使用して研磨を継続し、該暫定使用研磨処理後に同一のプラテンで使用した複数枚の研磨パッドのパッドプロファイルを測定し、前記パッドプロファイルが予め定めた基準を満たしている場合には、コンディショナの機械的な状態を良と判定して研磨工程を継続し、不良と判定した場合には、コンディショナの機械的な不具合を修復することを特徴とする請求項1記載の化学機械研磨装置の管理方法。
【請求項3】
上記コンディショナの機械的な状態の良否の判定を、測定したパッドプロファイルの測定値の比較により行うことを特徴とする請求項1または2に記載の化学機械研磨装置の管理方法。
【請求項4】
上記コンディショナの機械的な状態の良否の判定を、測定したパッドプロファイルの測定値の統計的処理により得た標準偏差が予め定めた数値より大きな場合に不良と判定することを特徴とする請求項1または2に記載の化学機械研磨装置の管理方法。
【請求項5】
上記一度の統計的処理に使用する研磨パッドの数を5〜15枚としたことを特徴とする請求項4記載の化学機械研磨装置の管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2008−246619(P2008−246619A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90499(P2007−90499)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
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