説明

化学気相堆積用前駆体としての低不純物有機ケイ素生成物

【課題】他の有機ケイ素前駆体材料との混合などで塩化物塩を沈殿させる可能性が実質的に無い有機ケイ素前駆体組成物を提供すること。
【解決手段】ジエトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシランを含む別の組成物と混合した場合に、好ましからざる塩化物塩沈殿を与えないある濃度の溶解残留塩化物およびある濃度の溶解残留塩化物捕集剤を含む有機ケイ素組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、先に出願した米国特許出願第60/813,087号、出願日:2006年6月13日、該出願の開示を引用することにより、全体を本明細書の内容とする35U.S.C119(e)の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、電子デバイス中で絶縁層として働く化学気相堆積(CVD)法によって調製される低誘電率材料に関する。特に、本発明は、そうした不純物の沈殿に関連する工程の問題を除くように、ある不純物の予め決められた濃度限界を有する低誘電率材料に前駆体として使用するための組成物を対象とする。
【0003】
電子産業は、回路と集積回路(IC)の構成部分と関連する電子デバイスとの間で、絶縁層として誘電体材料を利用する。
線幅は、マイクロエレクトロニクスデバイス(例えば、コンピューターチップ)の速度および記憶装置能力を増加させるために、減少しなければならない。線幅が減少するにつれて、中間層誘電体(ILD)ための絶縁条件は、さらに厳しくなる。寸法を減少させることは、(Rが、導電線の抵抗であり、そしてCが、絶縁誘電体層の静電容量である)RC時間を一定にするためにより低い誘電率を必要とする。Cは、間隔に逆比例し、且つ中間層誘電体の誘電率(k)に比例する。
【0004】
SiH4またはTEOS(テトラエチルオルトシリケート)および酸素から製造された従来のシリカ(SiO2)化学気相堆積誘電体膜は、4.0超の誘電率(k)を有する。
低誘電率を有するシリカ系の化学気相堆積膜を生産する幾つかの方法があり、最も成功しているものは、絶縁膜を炭素原子、フッ素原子、または炭素およびフッ素を含有する有機基でドープすることである。シリカを炭素原子または有機基でドープすると、幾つかの理由で生成する誘電体膜のkが下がる。メチル等の有機基は、疎水性であり;従って、メチルまたは他の有機基を組成物に加えると、結果として生じる化学気相堆積膜を湿気での汚染から保護するように機能できる。そうした有機基の取り込みもシリカの"気孔(open up)"構造に役立ち、嵩高いCHX結合で空間を充填してより低い密度にする。いくつかの機能が有機シリケートガラス(OSG)に取り込まれ、そして次に"燃え切って(burned out)"または酸化されて、本来的により低い誘電率を有するであろう多孔性材料を生成することができるため、有機基も有用である。
【0005】
炭素は、プラズマ化学気相堆積反応中でシリコン源材料として有機シランを使用することによって中間層誘電体中に取り込むことができる。そうした例は米国特許第6,054,379号明細書に開示されているメチルシラン(CH3xSiH(4-X)の使用であろう。(本明細書中でシリルエーテルともいう)アルコキシシランが、有機部分を中間層誘電体に導入するために効果的な前駆体として開示された。特に有用なアルコキシシランは、米国特許第6,583,048号明細書に開示されている。そうしたアルコキシシランの中で、ジエトキシメチルシラン(DEMS)が有効な商業用途を見出された。
【0006】
しかし、有機シランまたはアルコキシシランの製造は、例えば、クロロシランまたは有機クロロシラン等のハロシラン化学出発材料の使用を典型的に必要とする。そうした反応でアルコキシ基がハロゲンと置換し、所望のアルコキシシランを形成する。例えば、ジメチルジメトキシシラン(DMDMOS)は、下に示すようにジメチルジクロロシランとメタノールとの化学反応を利用して商業的に製造される:
【0007】
(i)(CH32SiCl2+2CH3OH→(CH3)2Si(OCH32+2HCl
【0008】
類似の方法で、ジエトキシメチルシランは、典型的には2つの合成経路の1つ、ジクロロメチルシランとエタノールとの反応を含む次式(ii)によって示される"直接"合成、およびジクロロメチルシランとオルトギ酸トリエチルとの反応を含む次式(iii)によって示される"オルトギ酸エステル"合成によって主に調製される:
【0009】
(ii)CH3SiCl2H+2CH3CH2OH→CH3Si(OCH2CH32H+2HCl
【0010】
(iii)CH3SiCl2H+2(CH3CH2O)3CH→CH3Si(OCH2CH32H+2CH3CH2Cl+2CH3CH2OC(O)H
【0011】
上記の全ケースでは、所望のアルコキシシランの合成は、反応(i)および(ii)の場合のように塩酸(HCI)等の副生成物を含む化学量論量の塩化物、または後者の反応の場合のように、エチル塩化物(CH3CH2Cl)の生成を伴う。粗生成混合物も、典型的には、いくらかの量の非転化クロロメチルシランを含む。これは、ジエトキシメチルシランの合成では特にそうであり、反応を定量的に転化させるためにジクロロメチルシラン出発材料を実質的なモル過剰の反応物で処理することは実際的ではない。ジクロロメチルシラン中のSi−Hの存在は、実質的に過剰エタノール(CH3CH2OH)またはオルトギ酸トリエチル((CH3CH2O)3CH)のいずれかにさらされると、望ましくない副反応物を生成する攻撃に弱い。これらの制約により、粗ジエトキシメチルシラン生成物は、有効量の酸塩化物(HCI)および/又は複雑なシリコン塩化物の不純物を典型的に有する。蒸留は、塩化物不純物の大部分を除去するために効果的であるが、化学気相堆積前駆体原料化学品(例えば、<10重量ppm)に必要な低レベルに減少させるためには有効性が限られる。これらの低塩化物レベルを達成するために、生成物は、錯体形成または吸着を通して塩化物を除去するであろう塩基性捕集剤で処理できる。塩基性捕集剤は、有機アミンの場合、固体吸着性材料の充てん層における等の樹脂材料の形で、または、例えば、ガス状アンモニア等のガスの形等の純粋な液体または固体の形であることができる。
【0012】
中間層誘電体原料物質の業界基準は、低レベルの残留塩化物および窒素を含有する成分のための厳しい条件を有する。残留塩化物は、その潜在的移動性および高反応性による集積化上の問題点を示す。その潜在的拡散性により、窒素も最少化されることが必要であり、レジスト汚染問題を生じる恐れがある。したがって、化学気相堆積供給材料中の受け入れ難い高レベルのハロゲンまたは窒素は、結果として生じる中間層誘電体膜に望ましくない性能上の問題を起こす場合がある。
【0013】
上記のように、ジエトキシメチルシランの調製ための2つの通常の経路が例示され、その各々は、未反応の出発材料、酸塩化物または複雑な塩化物副生成物により粗生成物中に、受け入れ難い高レベルの塩化物汚染を与える場合がある。蒸留は、粗生成物を精製するために普通に用いられるが、塩化物を許容レベルまで低下させる効果的な手段ではない。典型的には、蒸留したジエトキシメチルシラン生成物は、対応する不溶性の塩として塩化物が錯体となるように適当な量のハロゲン化物捕集剤材料で処理される。このハロゲン化物捕集剤は、多くの場合本、来塩基性であり、それらの例は、アミン、イミド、アルカリ金属アルコレート、金属アルコキシド、または活性炭素、アルカリ処理された活性炭素または他の塩基処理された吸着性基材等の固体吸着性もしくは樹脂材料を含む。このように形成された捕集剤塩化物塩は、ろ過等の従来の手段によって分離され、または10重量ppm塩化物未満のジエトキシメチルシラン生成物を生成するためにさらに蒸留されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、残留塩化物捕集剤の使用と関連する重大な欠点がある。例えば、化学気相堆積処理中に、部分的に空のコンテナが前駆体の第2の供給元コンテナで満たされた場合、または2つの異なる前駆体供給元コンテナが共通のマニホールドで供給される場合等で、例えばジエトキシメチルシラン等の異なるロットの有機ケイ素前駆体が混合されることは珍しいことではない。実質的な量の溶解残留塩化物を含有する前駆体のサンプルが、実質的な量の第2の供給元の溶解残留塩基性捕集剤を含有する前駆体と混合される場合、固体沈殿物が生じる場合がある。固体沈殿物は、典型的には液体前駆体の流れを制限または妨害し、液体搬送または堆積装置を汚染するため、このような固体形成は生産の問題、および堆積low−k膜と関連する多数の潜在的な性能および/または品質の問題となる。従って、他の有機ケイ素前駆体材料との混合で塩化物塩を沈殿させる可能性が実質的に無い有機ケイ素前駆体組成物への技術的なニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、混合物において、塩化物塩と他の有機ケイ素前駆体材料とを沈殿させる可能性が実質的に無い有機ケイ素前駆体組成物へのニーズを満たす。本発明は、例えば、ジエトキシメチルシラン等の有機ケイ素中の塩化物および塩化物捕集剤の濃度の上限を規定することによってこのニーズを満たし、そうした有機ケイ素生成物が同一供給元からの別のロットの生成物または異なる供給元からの別の生成物のいずれかと混合される場合に、塩化物が沈殿しないことを確かにするためにこの上限を満たすことが好ましい。
【0016】
一つの形態では、本発明は、
アルコキシシランおよびカルボキシシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素:
第1濃度の溶解残留塩化物;および
第1濃度の溶解残留塩化物捕集剤、
を含む有機ケイ素組成物であって:
該有機ケイ素組成物は、[百万分の一重量部での溶解残留塩化物の第1濃度]x(ここで、Xは1、2、3、または4)と[百万分の一重量部での溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度]との積として規定される第1のKsp(os)を有し
該溶解残留塩化物の第1濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満であり、そして該溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満である
組成物を提供する。
【0017】
別の形態では、本発明は、化学気相堆積工程で用いられる有機ケイ素材料中で固体の形成を防ぐ方法であって、該方法が以下のステップ:
アルコキシシランおよびカルボキシシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素:
第1濃度の溶解残留塩化物;および
第1濃度の溶解残留塩化物捕集剤、
を含む有機ケイ素組成物を用意すること:
該有機ケイ素組成物は、[百万分の一重量部での溶解残留塩化物の第1濃度]x(ここで、Xは1、2、3、または4)と[百万分の一重量部での溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度]との積として規定される第1のKsp(os)を有し、
該溶解残留塩化物の第1濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満であり、そして該溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満であり;並びに
アルコキシシランおよびカルボキシシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素を含む第2の有機ケイ素、第2の濃度の溶解残留塩化物、および第2の濃度の溶解残留塩化物捕集剤を用意すること、
該第2の有機ケイ素組成物は、[百万分の一重量部での溶解残留塩化物の第2濃度]x(ここで、Xは1、2、3、または4)と[百万分の一重量部での溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度]との積として規定される第2のKsp(os)を有し、
各々の溶解残留塩化物第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満である、
を含む、方法を提供する。
【0018】
また別の形態では、本発明は、アルコキシシランおよびカルボキシシランの少なくとも1種、ならびに溶解残留塩化物を含む有機ケイ素組成物を精製するための方法であって、該方法が、以下のステップ:
有機ケイ素組成物と、化学量論的過剰の塩基性塩化物捕集剤とを接触させて溶解残留塩化物の少なくとも一部を塩化物塩として沈殿させること;
沈殿した塩化物塩を有機ケイ素組成物から除去すること;
有機ケイ素組成物と酸ガスとを接触させて、過剰塩基性塩化物捕集剤との反応による酸ガスの塩を含む沈殿を生成させること;
および酸ガスの塩を除去して、精製した有機ケイ素生成物を生成すること、
を含む、方法を提供する。
【0019】
本発明の好ましい態様では、有機ケイ素組成物は、ジエトキシメチルシラン(DEMS)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明を具体的に説明する流れ図である;
【0021】
【図2】図2は、本発明による組成物の相平衡状態図である;
【0022】
【図3】図3は、さらに本発明の好ましい態様を図示する図2の相平衡状態図であり;そして
【0023】
【図4】図4は、本発明の特徴を具体的に示す比較クロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、
アルコキシシランおよびカルボキシシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素:
第1濃度の溶解残留塩化物;および
第1濃度の溶解残留塩化物捕集剤、
を含む有機ケイ素組成物を提供し:
該有機ケイ素組成物は、[百万分の一重量部での溶解残留塩化物の第1濃度]x(ここで、Xは1、2、3、または4)と[百万分の一重量部での溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度]との積として規定される第1のKsp(os)を有し、
該溶解残留塩化物の第1濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満であり、そして該溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満である。
【0025】
図1は、本発明の組成物を得るために用いることができる例示的工程を具体的に示す。図1を参照すると、ステップ110は、"租(crude)"有機ケイ素組成物、すなわち、その製造が、典型的にはその意図した使用の前に有機ケイ素生成物を精製するために除去される必要がある副生成物を含む化学量論量の塩化物を有する、有機ケイ素組成物の製造を示す。本発明による有機ケイ素組成物は、典型的には、例えば、プラズマ化学気相堆積(PECVD)または熱化学気相堆積等の化学気相堆積(CVD)によって3.5以下および、好ましくは、3以下の誘電率を有する中間層誘電体(ILD)膜を製造する際に使用するための有機ケイ素前駆体として用いられる。好ましい本発明による有機ケイ素は、アルコキシシランおよびカルボキシシランからなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【0026】
本発明の好ましい態様では、アルコキシシランは、式R1n(R2O)3-nSiHの化合物である。ここで、R1は、独立して、H、C1〜C10、直鎖または分枝鎖、飽和、単数または複数不飽和、環状、部分的または完全フッ素化であることができ;R2は、独立して、C1〜C10、直鎖または分枝鎖、飽和、単数または複数不飽和、環状、芳香族、部分的または完全フッ素化であることができ、nは、0,1または2である。
そうしたアルコキシシランの例は、ジエトキシメチルシラン、メチルジメトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジイソプロポキシメチルシラン、ジtert−ブトキシメチルシラン、トリエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジtert−ブチルエトキシシラン、およびそれらの混合物を含む。
【0027】
本発明の別の好ましい態様では、アルコキシシランは、式R1n(R2O)2-nHSi−O−SiHR3m(OR42-mの化合物である。ここで、R1およびR3は独立して、H、C1〜C10、直鎖または分枝鎖、飽和、単数または複数不飽和、環状、部分的または完全フッ素化であることができ;R2およびR4は、独立してC1〜C10、直鎖または分枝鎖、飽和、単数または複数不飽和、環状、芳香族、部分的または完全フッ素化であることができ、nは0または1であり、そしてmは0,1または2である。1,3−ジメチル−1,3−ジエトキシジシロキサンは、そうしたアルコキシシランの例である。
【0028】
本発明のまた別の態様では、アルコキシシランは、式R1n(R2O)2-nHSi−SiHR3m(OR42-mの化合物である。ここで、R1およびR3は、独立して、H、C1〜C10、直鎖または分枝鎖、飽和、単数または複数不飽和、環状、部分的または完全フッ素化であり;R2およびR4は、独立して、C1〜C10、直鎖または分枝鎖、飽和、単数または複数不飽和、環状、芳香族、部分的または完全フッ化素であることができ、nは、0,1または2である。1,2−ジメチル−1,2−ジエトキシジシランはそうしたアルコキシシランの例である。
【0029】
本発明のまた別の態様では、アルコキシシランは、式R1n(R2O)2-nHSi−R5−SiHR3m(OR42-mの化合物である。ここで、R1およびR3は独立して、H、C1〜C10、直鎖または分枝鎖、飽和、単数または複数不飽和、環状、部分的または完全フッ素化であることができ;R2およびR4は、独立してC1〜C10、直鎖または分枝鎖、飽和、単数または複数不飽和、環状、芳香族、部分的または完全フッ素化であることができ、nは0または1であり、そしてmは0,1または2である。例は、1、3−ジメチル−1、3−ジエトキシジシラメタンおよび1、3−ジエチル−1、3−ジエトキシジシラメタンを含む。
【0030】
好ましいアルコキシシランは、アルコキシシランダイマーおよびオリゴマーと同様に、例えば、米国特許第6,583,048号明細書中に開示されており、参照によりその全体が本明細書中に取り込まれる。ジエトキシメチルシランは最も好ましいアルコキシシランである。
【0031】
本発明による好ましい有機ケイ素は、カルボキシシランを含む。例えば、カルボキシシランは、式R1n(R2C(O)O)3-nSiHの化合物であることができる、ここで、R1は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;R2は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、芳香族の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;そしてnは、0、1または2である。メチルジアセトキシシランはそうしたカルボキシシランの例である。
【0032】
本発明の別の態様では、カルボキシシランは、式R1n(R2C(O)O)2-nHSi−O−SiHR3m(O(O)CR42-mの化合物である。ここで、R1およびR3は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;R2およびR4は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、芳香族の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり、nは、0または1であり;mは、0、1または2である。1,3−ジメチル−1,3−ジアセトキシジシロキサンは、そうしたカルボキシシランの例である。
【0033】
本発明のまた別の態様では、カルボキシシランは、式R1n(R2C(O)O)2-nHSi−SiHR3m(O(O)CR42-m)の化合物である。ここで、R1およびR3は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;R2およびR4は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、芳香族の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;nは、0または1であり;mは、0、1または2である。1,2−ジメチル−1,2−ジアセトキシジシランは、そうしたカルボキシシランの例である。
【0034】
本発明のまた別の態様、カルボキシシランは、式R1n(R2C(O)O)2-nHSi−R5−SiHR3m(O(O)CR42-mの化合物である。ここで、R1およびR3は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;R2およびR4は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、芳香族の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;R5は、独立して、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、芳香族の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;nは1〜3であり;そしてmは、0、1または2である。例は、1,3−ジメチル−1、3−ジプロピオノキシジシラメタンおよび1、3−ジエチル−1、3−ジアセトキシジシラメタンを含む。
【0035】
上記の詳細のように、例えば、アルコキシシランおよびカルボキシシラン等の有機ケイ素は、典型的にはクロロシランから適当なアルコールまたはカルボン酸との反応によって合成され、それぞれ、所望のアルコキシシランを生成するため、本発明による有機ケイ素組成物は、典型的にはある濃度の溶解残留塩化物を含む。この合成アプローチも化学量論の副生成物として塩化水素を生成する。アルコキシシランまたはカルボキシシラン組成物は、典型的には、例えば、副生成物、HCl、溶解した塩化物塩および合成工程からの塩化物沈殿等の塩化物を含有する成分の除去によって精製される。上記のようにクロロシラン出発化学材料の使用から結果として生じる溶解残留塩化物の除去と関係して本発明は記載されるにも関わらず、本発明の使用は、例えば、ブロモ、フルオロ、またはヨードシランが、有機ケイ素組成物の製造のために出発材料として用いられるかどうかによって、任意の溶解残留ハロゲンを含有する副生成物の除去へのより広い適用性を有することが、当業者には理解されるべきである。
【0036】
図1のステップ120を参照すると、塩化物を含有する成分の大部分は、蒸留を通して租アルコキシシランまたはカルボキシシラン組成物から除去され、25〜2000重量ppmの塩化物を有するアルコキシシランまたはカルボキシシランとなることができる。従って、さらに処理が、溶解残留塩化物を、例えば、化学気相堆積工程中の前駆体としての使用に必要なレベルまで、さらに減少させるために典型的には必要である。
【0037】
図1のステップ130を参照すると、溶解残留塩化物がさらに除去されて、第1濃度の溶解残留塩化物を得た。本明細書中で使用されるように、"溶解残留塩化物の第1濃度"の用語は、図1のさらなる除去ステップ130後の溶解残留塩化物のレベルを示す。従来技術は、塩基性塩化物捕集剤を用いて、溶解残留塩化物をさらに低い濃度にする種々の精製技術を備えている。1種のそうした方法が、欧州特許第282486A2号明細書および欧州特許第741137A1号明細書に開示されており、そしてアルカリ金属アルコレートとの中和、続いて生じる塩の分離を含む。過剰の酸ハロゲン化物を中和するためのアンモニアおよびアルコレートの使用は、米国特許第6,150,552号明細書および第6,242,628号明細書中に開示されている。アルカリ処理された活性炭素および塩基性イオン交換樹脂もアルコキシシランから微量塩化物を除去するために使用されてきた(Chem.Abstracts、Vol.117(1992);p.713、2515554)。アルコキシシラン系の材料から残留ハロゲンを捕集するための活性炭素の使用は、米国特許第6,100,418号明細書に開示されている。酸ハロゲン化物を中和させるための金属塩の使用を含む米国特許第5,084,588号明細書等のアルコキシシランの酸ハロゲン化物含有量を減少させる他の種々のアプローチが開示されてきた。米国特許第5,210,254号明細書は、酸ハロゲン化物を中和するための金属アルコキシド種の添加を記載する。アミド、イミド、オキサゾリジノン、アミンおよびスルホンアミド等のアルカリ金属塩の使用が、有機シラン化合物から酸性ハロゲン化物を除去するために米国特許出願公開第2005/0059835号明細書中に提案されている。
【0038】
本発明の好ましい態様では、溶解残留塩化物が有機ケイ素組成物と、化学量論的過剰の塩基性塩化物捕集剤とを接触させることによって除去され、溶解残留塩化物の少なくとも一部を塩化物塩として沈殿させる。本明細書中で使用されるように、"塩基性塩化物捕集剤"の用語は、水素イオンを結合させるために有用な自由電子対を有し、したがって塩化水素塩として溶解した塩化物と結合し、これにより固体塩沈殿を生成することによって"捕集剤"として機能するであろう化学物質をいう。本明細書中で使用されるように"塩基性不純物"の用語は、溶解残留塩化物を除去するために必要な塩基性塩化物捕集剤の量を超えている組成物中の塩基性塩化物捕集剤の存在をいう。
【0039】
本発明の方法における使用に好適な好ましい塩基性塩化物捕集剤は、アンモニア、アミン化合物、アルコレート、金属アルコキシド、アルカリ金属塩、テトラエチレングリコールジ(2−エチルヘキソエート)を含む、有機酸の金属塩、エポキシドを含有する化合物、およびそれらの混合物を含む。好ましいエポキシド含有化合物は、例えば、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油、エポキシ化オレフィン、エポキシ化エステル、グリシジルエーテル、およびそれらの混合物を含む。ある態様では、塩基性塩化物捕集剤は、アミド、イミド、オキサゾリジノン、またはスルホンアミドのアルカリ金属塩である。他の態様では、塩基性塩化物捕集剤は、例えば、ナトリウムクエン酸等の有機酸の塩を含む。
【0040】
本発明のさらに好ましい態様では、塩基性塩化物捕集剤は、アンモニアまたはアミンである。本発明の方法での使用に好適な好ましいアミンは、アンモニア、ウレア、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、ピリジン、トリエチレンジアミン(TEDA)、ジエタノールアミン(DELA)、トリエタノールアミン(TELA)、アミノプロピルジエタノールアミン(APDEA)、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、キヌクリジン(QUIN)、3−キヌクリジノール、トリメチルアミン(TMA)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、テトラメチル−1、3−プロパンジアミン(TMPDA)、トリメチルアミンオキサイド(TMAO)、N,N,N−トリス(N',N'−ジメチル−S−アミノプロピル)アミン、3,3'−ビス(ジメチルアミノ)−N−メチルジプロピルアミン、コリンヒドロキシド、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ジフェニルアミン(DPA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、およびそれらの混合物を含む。本発明の最も好ましい態様では、塩基性塩化物捕集剤は、エチレンジアミン、ウレア、アンモニア、またはそれらの混合物である。
【0041】
図1のステップ130は、反応が開始して塩化物塩沈殿物を生成するように、溶解残留塩化物と塩基性塩化物捕集剤との間の接触を有効にする当業者に公知の任意の方法によって実行できる。そうした方法の例は、その場反応の塩化物捕集工程を含み、塩基性塩化物捕集剤が合成ステップ中に存在し、そしてそれ自体が合成中に生成される対応する塩化物塩の沈殿を通して塩化物または塩化水素を捕集できる。この方法は、反応生成物の1種の急速な除去を通して増加した生成物の生成に有利に平衡を動かすことによって、合成反応の前進ステップを促進するさらなる潜在的恩恵を有する。いったん合成が完了すると、混合物は、典型的には溶解塩化物の定量的な沈殿が確かになるように、加熱されおよび/または攪拌/混合される。このように生成された塩化物塩沈殿物は、次に続いて、例えば、ろ過、デカンテーション、遠心分離、またはそうした技術の組み合わせ等の種々の固体分離技術の任意の1つによって除去されることができる。当業者によって普通に行われる別の方法は、最初の合成反応完了後に、別個のステップで、塩基性塩化物捕集剤を用いることである。この場合、塩化物塩として沈殿を生成することによって所望の生成物から溶解した塩化物を除去する目的で、合成反応に続く別個のステップで、初期の合成混合物は、典型的には塩基性塩化物捕集剤と接触させられる。混合物は次に適当な時間の間攪拌/混合されて、確実に塩化物塩の沈殿を完了させるであろう。このように生成された塩化物塩沈殿物は、好ましくは次にろ過、デカンテーション、遠心分離、またはそうした技術の組み合わせ等の種々の固体分離技術の任意の1つによって除去される。
【0042】
図1のステップ140を参照すると、溶解塩基性塩化物捕集剤は、好ましくは少なくとも部分的に除去され、第1濃度の溶解塩基性塩化物捕集剤を有する組成物を得る。本明細書中で使用されるように、"溶解塩基性塩化物捕集剤の第1濃度"の用語は、反応させそして溶解残留塩化物を除去するために加えられた有機ケイ素組成物中の塩基性塩化物捕集剤の濃度、および/又は少なくともその一部が除去された後で組成物中に残留する有機ケイ素組成物中の塩基性塩化物捕集剤の濃度を意味する。塩基性塩化物捕集剤は、溶解塩化物を含有する材料に加えられた後は除去が困難となる場合があるため、低レベルの塩基性塩化物捕集剤は、多くの場合、塩基性不純物として溶液中に溶解したままである。
【0043】
本発明の一実施態様では、蒸留は、溶解残留塩化物捕集剤の濃度をさらに低下させるために用いることができ。例えば、本発明による塩化物捕集剤は、任意の残留する使用されない捕集剤またはそれらの汚染物質が、従来の蒸留手段によって直ちに分離されることができるように、その揮発性に部分的に基づいて選択されてもよい。例えば、本発明による塩化物捕集剤は、残留捕集剤が蒸留によって直ちに分離されることができるように、例えば、捕集剤の標準沸点がジエトキシメチルシランの標準沸点と充分に異なるものであることができる。例えば、ジエチレントリアミン(DETA)またはトリエチレンテトラミン(TETA)等の化合物は、それぞれ207℃および277℃の標準沸点を有する。これらの沸点は、ジエトキシメチルシラン(95℃)の標準沸点より実質的に高く、そしてしたがって、蒸留による合理的に効率的な分離を可能にする。別の適当な塩化物捕集剤は、例えば、217℃の標準沸点を有する3,5−ジメチルアニリン、または他の同ように高い沸騰アミン等のアルキル置換アニリンである。
【0044】
あるいは、例えば、任意の使用されない残留捕集剤材料が、ろ過、遠心分離など等の典型的な固体分離技術によってジエトキシメチルシランから直ちに分離されることできるように、ジエトキシメチルシラン中で不溶性である固体捕集剤材料が、使用できる。別の例は、充填された吸着性床の形で用いることができるペレット化した、または樹脂ビーズ材料等のプレフォームド捕集剤材料である。後者の場合でさえ、除去されない場合にジエトキシメチルシラン材料の品質に悪影響を及ぼす場合がある固体吸着性または樹脂材料から溶脱した任意の汚染物質を除去するための、最終の蒸留またはろ過ステップがある。そうした使用上の注意は、処理されたジエトキシメチルシランが、非常に低レベルの塩化物および残留塩化物捕集剤の両者を含むことを確実にする。
【0045】
本発明の好ましい態様では、溶解残留塩化物捕集剤を含有する不純物有機ケイ素組成物は、酸ガスで処理されて、塩基性である塩化物捕集剤を除去する。この工程は、2007年5月24日に出願された米国特許出願公開第11/753,073号明細書に詳細に記載されており、参照により本明細書中に取り込まれる。この方法は、例えば、ジエトキシメチルシランを含む有機ケイ素組成物等の有機ケイ素組成物、過剰の塩基性塩化物捕集剤で処理して(すなわち接触させて)、塩化物の最適な除去を確実にする。塩基性塩化物捕集剤それ自身は、そこで次に、例えば、対応する炭酸塩の沈殿を発生させるCO2等の過剰の酸ガスとの接触によって除去できる。任意の残留する溶解したCO2は、次に組成物に、例えば、Ar、N2またはHe等の不活性ガスを大量に流すことによってきれいに除去され、実質的に塩化物、窒素を含有する捕集剤およびCO2がなく、そしてそれ故に、集積回路ための低誘電率材料の製造用原料としての使用に好適である最終生成物を生成する。
【0046】
有機ケイ素組成物を酸ガスと接触させて、酸ガスの塩を含む沈殿物を生成させることは、当業者に公知の任意の手段によって実施でき、塩基性塩化物溶液の少なくとも一部分と酸ガスとの反応を確実に行い、対応する不溶性の塩(例えば、酸ガスが二酸化炭素である場合、炭酸塩)を生成させる。酸ガスと塩化物捕集剤との間で高いレベルの接触が達成されるように、そうした手段は、有機ケイ素組成物が攪拌される間、反応器または他の容器の底からの酸ガスのバブリングを含む。
【0047】
本発明によれば、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度は、好ましくは有機ケイ素組成物中の各々の成分の溶解度積、またはKsp(os)に基づいて決定される。本明細書中で使用されるように"Ksp(os)"は、わずかに可溶性の化合物の溶出に適用される平衡定数として規定される。溶解度積Kspは、典型的には水溶液系と関係があるにもかかわらず、一般的な概念は、例えば、有機ケイ素溶媒系等の非水溶液系にも適用される。従って、本発明の目的では、溶解度積Ksp(os)は、有機ケイ素媒体内の溶解度積、すなわち有機ケイ素溶媒系中のわずかに可溶性な化合物の溶出に適用される平衡定数をいう。
【0048】
本発明によって、したがって、第1のKsp(os)は、[百万分の一重量部での溶解残留塩化物の第1濃度]x(Xは1、2、3、または4)と[百万分の一重量部での溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度]との積として規定される。Xは、溶解残留塩化物捕集剤がモノ、ジ、トリ、またはテトラ塩酸塩、それぞれ形成するか否かによって1、2、3、または4のいずれかであることができる。
【0049】
本発明による溶解残留塩化物および溶解残留塩化物捕集剤の相平衡状態図を決定することによって、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の上限は、上記に詳細に記載した方法を用いることにより得ることができる。固体塩化物塩沈殿物の沈殿が生じないことを確かにするために、これらの上限を避けることが必要である。相平衡状態図は、当業者に公知のあらゆる手段によって得ることができる。好ましくは、本発明によるそうした相平衡状態図は、滴定によって得られる。典型的な滴定方法は、例えば、ジエトキシメチルシラン等の有機ケイ素中に塩化物および捕集剤の公知の濃度の調製標準を含み、そして沈殿物が現れるまで滴定してもよい。溶解残留塩化物捕集剤としてエチレンジアミン(EDA)を用いるそうした手順は、下記に例示される。
【0050】
上限、すなわち、固体塩化物沈殿物が現れる上限および第1のKsp(os)の理解によって、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度が、決定できる。本発明による有機ケイ素組成物が、固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満であり、そして該溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満である。
【0051】
さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の95%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の95%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の95%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の95%未満である。
またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の90%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の90%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の90%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の90%未満である。またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の85%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の85%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の85%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の85%未満である。またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の80%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の80%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の80%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の80%未満である。またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の75%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の75%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の75%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の75%未満である。またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の70%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の70%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の70%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の70%未満である。またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の65%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の65%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の65%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の65%未満である。またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の60%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の60%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の60%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の60%未満である。またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の55%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の55%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の55%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の55%未満である。またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の50%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の50%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の50%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の50%未満である。またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の45%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の45%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の45%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の45%未満である。またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の40%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の40%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の40%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の40%未満である。またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の35%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の35%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の35%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の35%未満である。またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の30%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の30%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の30%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の30%未満である。またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の25%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の25%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の25%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の25%未満である。またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の20%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の20%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の20%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の20%未満である。またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の15%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の15%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の15%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の15%未満である。またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の10%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の10%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の10%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の10%未満である。またさらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の5%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の5%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の5%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の5%未満である。本明細書中で使用されるように、Z%が例えば、5%、10%、15%、20%など等の数値パーセントを表す、"のZ%未満”の用語は、数値Z%および数値Z未満の全ての数を含む。
【0052】
本発明の好ましい態様では、本発明による有機ケイ素組成物は、20ppm未満である第1濃度の溶解残留塩化物を有する。本発明のさらに好ましい態様では、本発明による有機ケイ素組成物は、10ppm未満である第1濃度の溶解残留塩化物を有する。なお一層さらに好ましい態様において、本発明による有機ケイ素組成物は、5ppm未満である第1濃度の溶解残留塩化物を有する。本発明のもっとも好ましい態様において、本発明による有機ケイ素組成物は、2ppm未満である第1濃度の溶解残留塩化物を有する。
【0053】
本発明の好ましい態様において、本発明による有機ケイ素組成物は、20ppm未満である第1濃度の溶解残留塩化物捕集剤を有する。本発明のさらに好ましい態様において、本発明による有機ケイ素組成物は、10ppm未満である第1濃度の溶解残留塩化物捕集剤を有する。なお一層さらに好ましい態様において、本発明による有機ケイ素組成物は、5ppm未満である第1濃度の溶解残留塩化物捕集剤を有する。本発明の最も好ましい態様において、本発明による有機ケイ素組成物は、2ppm未満である第1濃度の溶解残留塩化物捕集剤を有する。
【0054】
本発明の特に好ましい態様において、本発明による有機ケイ素組成物は、2ppm未満である第1濃度の溶解残留塩化物および5ppm未満である第1濃度の溶解残留塩化物捕集剤を有する。
【0055】
それぞれが第2の濃度の溶解残留塩化物、および第2の濃度の溶解残留塩化物捕集剤を有することができる、同一メーカーによる第2ロットの有機ケイ素生成物、または別のメーカーの有機ケイ素生成物のいずれかと混合した場合、本発明によるそうした有機ケイ素組成物は、固体塩化物塩沈殿物を生成しない。化学気相堆積処理中に、部分的に空のコンテナが第2の供給元コンテナの有機ケイ素前駆体で満たされた場合、または2つの異なる有機ケイ素前駆体の供給元コンテナが共通のマニホールドで供給される場合等、ジエトキシメチルシラン等の異なるロットの有機ケイ素前駆体が混合されることは珍しいことではないため、これは大いに重要である。この理由から、異なるロットの有機ケイ素前駆体が混合しても相互に混合可能であることは非常に重要である。例えば、実質的な量の溶解残留塩化物を含有する前駆体のサンプルが、実質的な量の第2の供給元の溶解残留塩基性塩化物捕集剤を含有する有機ケイ素前駆体と混合される場合、固体沈殿物を生じる場合がある。このような固体形成は、液体前駆体の流れの制限またはブロック、液体搬送または蒸着装置の固体による汚染、および堆積低誘電体膜と関係する多数の潜在的な性能および/または品質問題等の潜在的な問題を引き起こすであろう。
【0056】
本発明中に従って、第1の有機ケイ素材料と異なる(すなわち、異なる製造ロット、異なる供給元)であるにもかかわらず、第2の有機ケイ素は、第1の有機ケイ素材料と実質的に同じ成分を含む有機ケイ素である。例えば、ジエトキシメチルシランを含む第2の有機ケイ素は、また本発明によって第2の濃度の溶解残留塩化物、および第2の濃度の溶解残留塩化物捕集剤を含む。従って、第2の有機ケイ素組成物は、[百万分の一重量部での溶解残留塩化物の第2濃度]x(ここで、Xは1、2、3、または4)と[百万分の一重量部での溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度]との積として規定される第2のKsp(os)を有する。
【0057】
本発明による第2の有機ケイ素は、例えば、第1の有機ケイ素と同じ有機ケイ素であるが異なる製造ロットであってもよく、または第1の有機ケイ素と同じ有機ケイ素であるが異なるメーカー製であってもよい。
【0058】
例えば、ジエトキシメチルシランを含む第1の有機ケイ素、第1濃度の溶解残留塩化物、および第1濃度の溶解残留塩化物捕集剤と、ジエトキシメチルシランを含む第2の有機ケイ素、第2の濃度の溶解残留塩化物、および第2の濃度の溶解残留塩化物捕集剤とを混合した場合に、固体塩化物塩が沈殿しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満である。
【0059】
さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の95%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の95%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の95%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の95%未満である。さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の90%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の90%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の90%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の90%未満である。
さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の85%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の85%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の85%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の85%未満である。さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の80%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の80%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の80%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の80%未満である。さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の75%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の75%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の75%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の75%未満である。さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の70%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の70%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の70%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の70%未満である。さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の65%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の65%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の65%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の65%未満である。さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の60%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の60%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の60%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の60%未満である。さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の55%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の55%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の55%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の55%未満である。さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の50%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の50%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の50%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の50%未満である。さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の45%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の45%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の45%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の45%未満である。さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の40%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の40%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の40%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の40%未満である。さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の35%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の35%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の35%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の35%未満である。さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の30%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の30%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の30%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の30%未満である。さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の25%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の25%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の25%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の25%未満である。さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の20%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の20%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の20%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の20%未満である。さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の15%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の15%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の15%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の15%未満である。さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の10%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の10%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の10%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の10%未満である。さらに好ましくは、本発明による有機ケイ素組成物が固体塩化物塩を生成しないことを確かにするために、溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の5%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の5%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の5%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の5%未満である。
【0060】
本発明の好ましい態様において、本発明による有機ケイ素組成物は、20ppm未満である第2の濃度の溶解残留塩化物を有する。本発明のさらに好ましい態様において、本発明による有機ケイ素組成物は、10ppm未満である第2の濃度の溶解残留塩化物を有する。なお一層さらに好ましい態様において、本発明による有機ケイ素組成物は、5ppm未満である第2の濃度の溶解残留塩化物を有する。本発明の最も好ましい態様において、本発明による有機ケイ素組成物は、2ppm未満である第2の濃度の溶解残留塩化物を有する。
【0061】
本発明の好ましい態様において、本発明による有機ケイ素組成物は、20ppm未満である第2の濃度の溶解残留塩化物捕集剤を有する。本発明のさらに好ましい態様において、本発明による有機ケイ素組成物は、10ppm未満である第2の濃度の溶解残留塩化物捕集剤を有する。なお一層さらに好ましい態様において、本発明による有機ケイ素組成物は、5ppm未満である第2の濃度の溶解残留塩化物捕集剤を有する。本発明の最も好ましい態様において、本発明による有機ケイ素組成物は、2ppm未満である第2の濃度の溶解残留塩化物捕集剤を有する。
【0062】
本発明の特に好ましい態様において、本発明による有機ケイ素組成物は、2ppm未満である第2の濃度の溶解残留塩化物および5ppm未満である第2の濃度の溶解残留塩化物捕集剤を有する。
【0063】
本発明による、溶解残留塩化物の第2の濃度は、溶解残留塩化物の第1濃度と同一または異なることができ、そして各々のそれぞれの濃度は、第1のKsp(os)の平方根未満である限り、溶解残留塩化物捕集剤の第2の濃度は、溶解残留塩化物の第1濃度と同一または異なることができる。本発明によるそうした組成物は、混合物が塩化物および上限溶解度より上の捕集剤濃度を有する組成物を生成しないことを確かにするであろう。
【0064】
本発明は、化学気相堆積工程で用いられる有機ケイ素材料中で固体の形成を防ぐ方法であって、該方法が以下のステップ:
アルコキシシランおよびカルボキシシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素:
第1濃度の溶解残留塩化物;および
第1濃度の溶解残留塩化物捕集剤、
を含む有機ケイ素組成物を用意すること:
該有機ケイ素組成物は、[百万分の一重量部での溶解残留塩化物の第1濃度]x(ここで、Xは1、2、3、または4)と[百万分の一重量部での溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度]との積として規定される第1のKsp(os)を有し、
該溶解残留塩化物の第1濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満であり、そして該溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満であり;および
アルコキシシランおよびカルボキシシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素を含む第2の有機ケイ素、第2の濃度の溶解残留塩化物、および第2の濃度の溶解残留塩化物捕集剤を用意すること
該第2の有機ケイ素組成物は、[百万分の一重量部での溶解残留塩化物の第2濃度]x(Xは1、2、3、または4)と[百万分の一重量部での溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度]との積として規定される第2のKsp(os)を有し、
各々の溶解残留塩化物第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満である、
を含む、方法を提供する。
【0065】
本発明の方法に従うステップの提供は、本発明による組成物の販売および/又は搬送を含む。
【0066】
図1を再び参照すると、例えば、本発明はまた、アルコキシシランおよびカルボキシシランの少なくとも1種、および溶解残留塩化物を含む有機ケイ素組成物を生成するための方法であって、有機ケイ素組成物と化学量論的過剰の塩基性塩化物捕集剤とを接触させて、溶解残留塩化物の少なくとも一部を塩化物塩として沈殿物にすること;有機ケイ素組成物から沈殿した塩化物塩を除去すること;有機ケイ素組成物と酸ガスとを接触させて、過剰塩基性塩化物捕集剤との反応で酸ガスの塩を含む沈殿物を生成させること;そして酸ガスの塩を除去して、精製した有機ケイ素生成物を生成させること、を含む方法を提供する。
【0067】
この発明のさらなる目的、利点、および新規な特徴は、限定されることを意図しない、以下のこれらの例の試験で当業者に明らかになるであろう。
【実施例】
【0068】
例1:ジエトキシメチルシラン中エチレンジアミンおよびHCIの相平衡状態図決定のための標準の調製。
ジエトキシメチルシランの5サンプルを、本願中に記載された実験の標準を提供するために、標準としてまたは成分として調製した。(1)1−1:798ppmエチレンジアミンおよび2.0ppm塩化物を有する100gのジエトキシメチルシラン;(2)1−2:エチレンジアミンがなく2.0ppm塩化物を有する500gのジエトキシメチルシラン;(3)1−3:エチレンジアミンがなく24ppm塩化物を有する150gのジエトキシメチルシラン;(4)1−4:エチレンジアミンがなく1.4ppmClを有する300gのジエトキシメチルシラン;および(5)1−5:310ppmのエチレンジアミンと2.1ppmの塩化物を有する200gのジエトキシメチルシラン。
【0069】
30.08gの1−1と421.01gの1−2とを混合することによって、ジエトキシメチルシラン標準中53.2ppmエチレンジアミンを作製した。202ppmのエチレンジアミンを有するジエトキシメチルシランのサンプルが、次に202ppmのエチレンジアミンを有する約400gのサンプルを生成させるために、53.2ppmエチレンジアミンを有する320gのサンプルと、80.28gの1−1とを混合した。ジエトキシメチルシラン中17.0ppm塩化物を31.21gの1−4と69.45gの1−3とを混合することによって調製した。ジエトキシメチルシラン中12.0ppm塩化物を53.19gの1−4と47.35gの1−3とを混合することによって調製した。ジエトキシメチルシラン中9.0ppm塩化物を66.70gの1−4と34.00gの1−3とを混合することによって調製した。
【0070】
例2:沈殿実験。
例1中に記載された標準を、幾つかの沈殿実験を行うために使用し、ジエトキシメチルシラン中エチレンジアミンおよびHClの相平衡状態図を規定した。各々のこれらの実験のために、エチレンジアミンを含有するジエトキシメチルシランを、持続性の可視濁りの第1の目印が明らかになるまで、塩化物を含有するジエトキシメチルシランに滴下した。実験は視認性を改善するために、充分に照らされたドライボックスを使用して行った。一旦終点に到達すると、濁度計を溶液の濁りを確認するために使用した。結果の要約を表1に示す。これらの実験によって作られた相平衡状態図を図2に示す。
【0071】
塩化物レベル#1。この実験の意図は、塩酸塩を沈殿させるために、9.0ppm塩化物を含有するジエトキシメチルシラン溶液に、加える必要があるエチレンジアミンの最小量を決定することである。このテストのために、9.0ppmの塩化物を含有する100.61gのジエトキシメチルシランを500ml丸底フラスコ内に配置した。202ppmのエチレンジアミンおよび3.1ppmの塩化物を含有するジエトキシメチルシランの第2サンプルを、均一性を確かにするために急速に攪拌しながら、この第1のジエトキシメチルシランサンプルに一滴ずつ加えた。持続性の濁りが、12.2gのエチレンジアミンを含有する溶液を加えた後で観察された。複合物溶液の純塩化物含有量およびエチレンジアミン含有量は、それぞれ、8.4ppmおよび21.8ppmであった。
【0072】
塩化物レベル#2。この実験の意図は、塩酸塩を沈殿させるために、12.0ppm塩化物を含有するジエトキシメチルシラン溶液に、加える必要があるエチレンジアミンの最小量を決定することである。このテストのために、12.0ppmの塩化物を含有する100.59gのジエトキシメチルシランを500ml丸底フラスコ内に配置した。202ppmのエチレンジアミンおよび3.1ppmの塩化物を含有するジエトキシメチルシランの第2サンプルを、均一性を確かにするために急速に攪拌しながら、この第1のジエトキシメチルシランサンプルに一滴ずつ加えた。持続的な濁りが、10.9gのエチレンジアミンを含有する溶液を加えた後で観察された。複合物溶液の純塩化物含有量およびエチレンジアミン含有量は、それぞれ、11.1ppmおよび19.8ppmであった。
【0073】
塩化物レベル#3。この実験の意図は、塩酸塩を沈殿させるために、17.0ppm塩化物を含有するジエトキシメチルシラン溶液に、加える必要があるエチレンジアミンの最小量を決定することである。このテストのために、17.0ppmの塩化物を含有する100.28gのジエトキシメチルシランを500ml丸底フラスコ内に配置した。202ppmのエチレンジアミンおよび3.1ppmの塩化物を含有するジエトキシメチルシランの第2サンプルを、均一性を確かにするために急速に攪拌しながら、この第1のジエトキシメチルシランサンプルに一滴ずつ加えた。持続的な濁りが、8.9gのエチレンジアミンを含有する溶液を加えた後で観察された。複合物溶液の純塩化物含有量およびエチレンジアミン含有量は、それぞれ、15.9ppmおよび16.5ppmであった。
【0074】
塩化物レベル#4。この実験の意図は、塩酸塩を沈殿させるために、24.0ppm塩化物を含有するジエトキシメチルシラン溶液に、加える必要があるエチレンジアミンの最小量を決定することである。このテストのために、24.0ppmの塩化物を含有する99.83gのジエトキシメチルシランを500ml丸底フラスコ内に配置した。310ppmのエチレンジアミンおよび2.2ppmの塩化物を含有するジエトキシメチルシランの第2サンプルを、均一性を確かにするために急速に攪拌しながら、この第1のジエトキシメチルシランサンプルに一滴ずつ加えた。持続的な濁りが、3.4gのエチレンジアミンを含有する溶液を加えた後で観察された。複合物溶液の純塩化物含有量およびエチレンジアミン含有量は、それぞれ、23.3ppmおよび10.2ppmであった。
【0075】
表1.ジエトキシメチルシラン中エチレンジアミンおよびHClの相平衡状態図の決定のための実験結果の要約。
【表1】

【0076】
図2を参照すると、複合物ジエトキシメチルシランサンプルの塩化物追加の結果をプロットした。図2に描かれた相平衡状態図を作るために、4つのデータ点を集めた。ここのデータ点は、沈殿物を生成するために必要な特定のエチレンジアミン濃度および塩化物濃度示す。各々のデータ点を作るために、予め決められた濃度の塩化物およびエチレンジアミンと第1のジエトキシメチルシランサンプル("エチレンジアミンを含有するジエトキシメチルシラン"として表1に示される)を、また予め決められた濃度の塩化物およびエチレンジアミンを有する第2のジエトキシメチルシランサンプル("塩化物を含有するジエトキシメチルシラン"として表1中に示される)に一滴ずつ加えた。一滴ずつの追加を、持続的な可視濁りの第1の目印で停止する。エチレンジアミンおよび塩化物濃度は、表1の"複合物ジエトキシメチルシランサンプル"セクション中に記載される図2中の4つのデータ点に相当する。これらのエチレンジアミンおよび塩化物濃度は、各々の組成ジエトキシメチルシランサンプルのエチレンジアミンおよび塩化物濃度の重量平均を示す。
【0077】
相平衡状態図を作るために使用されるデータが、下記表2の実験セクション。2つの異なる溶解度積を、エチレンジアミンおよび塩化物濃度の各々のデータについて計算した:K'spおよびK"sp。K'spおよびK"spはそれぞれ、エチレンジアミンモノ塩酸(monohydrochloride)塩およびエチレンジアミンジ塩酸(dihydrochloride)塩の溶解度積として次のように規定される:
【0078】
K'sp=[エチレンジアミン][HCI]
【0079】
K"sp=[エチレンジアミン][HCI]2
【0080】
これらの4つのデータから、K'spおよびK"spの平均値を計算した。下記表2の第2部において、計算されたエチレンジアミン濃度を、所与の塩化物濃度を仮定して、モノ塩酸塩およびジ塩酸塩の平均溶解度積を使って示した。これらのデータを、図2のプロットに描かれた、K'spおよびK"spの計算曲線を作るために使用した。
表2.図2中のプロットを作り出すために使用した実験および計算溶解度積のデータ
【表2】

【0081】
図3は、本発明による好ましい態様をさらに示す図2の相平衡状態図である。図3は、例えば、溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々がX=1の場合、第1のKsp(os)の平方根の90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、および10%未満等の態様を具体的に示す。
【0082】
例3
ジエトキシメチルシラン(DEMS)の16Lサンプルが、368ppmのエチレンジアミン(エチレンジアミン)を含むことをガスクロマトグラフィーによって分析した。エチレンジアミンを捕集剤として使用し、ジエトキシメチルシランの合成に続き残留塩化物を除去した。塩化物種の最適な除去を確かにするために、化学量論的過剰を使用したため、サンプル中に残留エチレンジアミンが存在した。16Lサンプルを不活性ガス状態下の20Lフラスコに移した。ジエトキシメチルシラン液体を分当たり約2〜3リッターの速度で90分間CO2ガスをあふれさせた。CO2とジエトキシメチルシラン液体との初期接触により、乳白色固体の沈殿を直ちに観察した。20LフラスコをN2ガスでバージして液体より上部にできた空間を不活性雰囲気とした。不活性ガス状態下0.2μmフィルターを通して生成物ろ過することによって、翌日固体をジエトキシメチルシラン液体から分離した。濾過された液体を排気し、そして圧力N2雰囲気で充填した。このステップをさらに2回繰り返して、ジエトキシメチルシランから溶解したCO2を除去した。CO2接触の前後のジエトキシメチルシランを比較するガスクロマトグラフィーデータを図4中に示す。CO2と接触したサンプルのクロマトグラムに明らかなエチレンジアミンピークがないことに注目する。エチレンジアミン濃度は、368ppmの初期値からCO2接触後に<2ppmエチレンジアミンに下がった。CO2を除くN2排気/充填ステップの前に図4に示されたGC分析を行ったため、このサンプル中には明らかなCO2がある。N2処理サンプルの類似のGC分析は、最終のサンプル中にCO2を示さなかった。データを表3中にまとめる。
【0083】
例4
28ppmのエチレンジアミンを含有するジエトキシメチルシランの31L(26kg)サンプルを20Lフラスコ内に配置した。ジエトキシメチルシランをろ過したCO2であふれさせ、そして次に先の例に記載されたのと類似の方式で、N2ガスであふれさせた。最終の生成物は、GCによって分析で検出不可能量のエチレンジアミン(<2ppm)を有した。データを表3中にまとめる。
【0084】
例5
573ppmのエチレンジアミンを含有するジエトキシメチルシランの100gサンプルを500mlの石英バブラー(bubler)に移した。バブラーは、ガスパージができる入り口および出口ラインを備える。ディップ管からなる入り口ラインは、バブラーの底1/8”以内まで降りている。バブラーをドライボックスから除去し、そしてベンチフードのベンチ上に配置した。ジエトキシメチルシラン溶液に、300sccmのCO2を60分間注いだ。ジエトキシメチルシラン溶液とCO2との初期の接触で、曇った沈殿物が直ちに現れた。処理された溶液を一晩放置し、底に白色沈殿物とわずかに不透明の溶液が結果として生じる。0.20マイクロメーターのシリンジフィルターを通して溶液を迂回させて、固体を除去した。ろ過した溶液を清潔なバブラー内に配置した。バブラーを手短に10〜15秒間排気し、続いて大気圧の窒素で満たした。最適なCO2除去を確かにするために、この排気充填手順を2回繰り返した。
【0085】
ジエトキシメチルシラン溶液の少量サンプルを、以下のエチレンジアミン分析のためにとりおいた:(1)残留エチレンジアミンを含む元(original)のジエトキシメチルシラン;および(2)CO2接触後のジエトキシメチルシラン。表3はこれらのサンプルのエチレンジアミン濃度を示す。元のジエトキシメチルシランは、573ppmのエチレンジアミンを有した。エチレンジアミンレベルは、CO2で充填後に約2桁下がって5.4ppmになった。
表3:CO2処理前後でのDEMのCO2処理のエチレンジアミン濃度の比較。
【表3】

【0086】
好ましい態様の先の例および記載は、請求項によって規定されるような本発明の限定としてよりもむしろ具体的に説明するものと取られるべきである。上記で説明した特徴の多数の変化および組み合わせは直ちに理解され、請求項中で説明される本発明を離れることなく利用できる。そうした変化は、本発明の精神と範囲から離れたものとは見なされず、そしてすべてのそうした変化は、以下の請求項の範囲内に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシシランおよびカルボキシシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素:
第1濃度の溶解残留塩化物;および
第1濃度の溶解残留塩化物捕集剤、
を含む有機ケイ素組成物であって、
該有機ケイ素組成物は、[百万分の一重量部での溶解残留塩化物の第1濃度]x(ここで、Xは1、2、3、または4)と[百万分の一重量部での溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度]との積として規定される第1のKsp(os)を有し、
該溶解残留塩化物の第1濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満であり、そして該溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満である、組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の有機ケイ素が、少なくとも1種のカルボキシシランを含む請求項1の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の有機ケイ素が、少なくとも1種のアルコキシシランを含む請求項1の組成物。
【請求項4】
該カルボキシシランが、
a)式R1n(R2C(O)O)3-nSiHの化合物であって、ここで、R1は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;R2は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、芳香族の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;そしてnは、0、1または2である化合物、
b)式R1n(R2C(O)O)2-nHSi−O−SiHR3m(O(O)CR42-mの化合物であって、ここで、R1およびR3は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;R2およびR4は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、芳香族の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;nは、0または1であり;mは、0、1または2である化合物、
c)式R1n(R2C(O)O)2-nHSi−SiHR3m(O(O)CR42-m)の化合物であって、ここで、R1およびR3は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;R2およびR4は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、芳香族の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;nは、0または1であり;mは、0、1または2である化合物、および、
d)式R1n(R2C(O)O)2-nHSi−R5−SiHR3m(O(O)CR42-mの化合物であって、ここで、R1およびR3は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;R2およびR4は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、芳香族の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;R5は、独立して、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、芳香族の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;nは1〜3であり;そしてmは、0、1または2である化合物、
からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項2の組成物。
【請求項5】
アルコキシシランが、
a)式R1n(R2O)3-nSiHの化合物であって、ここで、R1は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;R2は、独立して、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、芳香族の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;そしてnは、0、1または2である化合物、
b)式R1n(R2O)2-nHSi−O−SiHR3m(OR42-mの化合物であって、ここで、R1およびR3は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;R2およびR4は、独立して、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、芳香族の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;nは、0または1であり;mは、0、1または2である化合物、
c)式R1n(R2O)2-nHSi−SiHR3m(OR42-mの化合物であって、ここで、R1およびR3は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;R2およびR4は、独立して、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、芳香族の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;nは、0または1であり;mは、0、1または2である化合物、および、
d)式R1n(R2O)2-nHSi−R5−SiHR3m(OR42-mの化合物であって、ここで、R1およびR3は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;R2およびR4は、独立して、H、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、芳香族の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;R5は、独立して、直鎖または分枝鎖の、飽和、単数または複数不飽和の、環状の、芳香族の、部分的または完全フッ素化C1〜C10であり;nは、0または1であり;mは、0、1または2である化合物、
からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項3の組成物。
【請求項6】
該アルコキシシランが、ジエトキシメチルシランである、請求項3の組成物。
【請求項7】
溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の90%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の90%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の90%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の90%未満である、請求項6の組成物。
【請求項8】
溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の70%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の70%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の70%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の70%未満である、請求項6の組成物。
【請求項9】
溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の50%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の50%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の50%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の50%未満である、請求項6の組成物。
【請求項10】
溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の30%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の30%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の30%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の30%未満である、請求項6の組成物。
【請求項11】
溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の10%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の10%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の10%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の10%未満である、請求項6の組成物。
【請求項12】
溶解残留塩化物の第1濃度が10ppm未満であり、そして該溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度が10ppm未満である、請求項6の組成物。
【請求項13】
溶解残留塩化物の第1濃度が5ppm未満であり、そして該溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度が5ppm未満である、請求項12の組成物。
【請求項14】
溶解残留塩化物の第1濃度が2ppm未満であり、そして該溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度が5ppm未満である、請求項13の組成物。
【請求項15】
化学気相堆積工程で用いられる有機ケイ素材料中で固体の形成を防ぐ方法であって、該方法が、以下のステップ:
アルコキシシランおよびカルボキシシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素:
第1濃度の溶解残留塩化物;および
第1濃度の溶解残留塩化物捕集剤、
を含む有機ケイ素組成物を用意すること:
該有機ケイ素組成物は、[百万分の一重量部での溶解残留塩化物の第1濃度]x(ここで、Xは1、2、3、または4)と[百万分の一重量部での溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度]との積として規定される第1のKsp(os)を有し、
該溶解残留塩化物の第1濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満であり、そして該溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満であり;並びに
アルコキシシランおよびカルボキシシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素、第2の濃度の溶解残留塩化物、および第2の濃度の溶解残留塩化物捕集剤を含む第2の有機ケイ素を用意すること、
該第2の有機ケイ素組成物は、[百万分の一重量部での溶解残留塩化物の第2濃度]x(ここで、Xは1、2、3、または4)と[百万分の一重量部での溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度]との積として規定される第2のKsp(os)を有し、
各々の溶解残留塩化物第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満である、
を含む、方法。
【請求項16】
各々の第1のおよび第2の有機ケイ素が、少なくとも1種のカルボキシシランを含む請求項15の方法。
【請求項17】
各々の第1のおよび第2の有機ケイ素が、少なくとも1種のアルコキシシランを含む請求項15の方法。
【請求項18】
該アルコキシシランが、ジエトキシメチルシランである、請求項17の方法。
【請求項19】
溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の90%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の90%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の90%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の90%未満である、請求項18の方法。
【請求項20】
溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の90%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の90%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の90%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の90%未満である、請求項19の方法。
【請求項21】
溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の70%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の70%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の70%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の70%未満である、請求項18の方法。
【請求項22】
溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の70%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の70%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の70%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の70%未満である、請求項21の方法。
【請求項23】
溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の50%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の50%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の50%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の50%未満である、請求項18の方法。
【請求項24】
溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の50%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の50%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の50%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の50%未満である、請求項23の方法。
【請求項25】
溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の30%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の30%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の30%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の30%未満である、請求項18の方法。
【請求項26】
溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の30%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の30%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の30%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の30%未満である、請求項25の方法。
【請求項27】
溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の10%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の10%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の10%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の10%未満である、請求項18の方法。
【請求項28】
溶解残留塩化物の第2濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第2濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の10%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の10%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の10%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の10%未満である、請求項27の方法。
【請求項29】
アルコキシシランおよびカルボキシシランの少なくとも1種;および溶解残留塩化物を含む有機ケイ素組成物を精製するための方法であって、該方法が以下のステップ:
有機ケイ素組成物と化学量論的過剰の塩基性の塩化物捕集剤とを接触させて、溶解残留塩化物の少なくとも一部を塩化物塩として沈殿させること;
該沈殿した塩化物塩を該有機ケイ素組成物から除去すること;
該有機ケイ素組成物と酸ガスとを接触させて、過剰塩基性の塩化物捕集剤との反応による該酸ガスの塩を含む沈殿を生成させること;
そして該酸ガスの塩を除去して、精製した有機ケイ素生成物を生成させること、
を含む、方法。
【請求項30】
該有機ケイ素が、少なくとも1種のカルボキシシランを含む請求項29の方法。
【請求項31】
該有機ケイ素が、少なくとも1種のアルコキシシランを含む請求項29の方法。
【請求項32】
該アルコキシシランが、ジエトキシメチルシランである、請求項31の方法。
【請求項33】
該精製した有機ケイ素生成物が、
第1濃度の溶解残留塩化物;および
第1濃度の溶解残留塩化物捕集剤、
を含み、
該有機ケイ素組成物は、[百万分の一重量部での溶解残留塩化物の第1濃度]x(ここで、Xは1、2、3、または4)と[百万分の一重量部での溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度]との積として規定される第1のKsp(os)を有し、
該溶解残留塩化物の第1濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満であり、そして該溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度は、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根未満である、請求項32の方法。
【請求項34】
溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の90%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の90%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の90%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の90%未満である、請求項33の方法。
【請求項35】
溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の70%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の70%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の70%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の70%未満である、請求項33の方法。
【請求項36】
溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の50%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の50%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の50%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の50%未満である、請求項33の方法。
【請求項37】
溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の30%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の30%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の30%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の30%未満である、請求項33の方法。
【請求項38】
溶解残留塩化物の第1濃度および溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度の各々が、Xが1の場合、第1のKsp(os)の平方根の10%未満、Xが2の場合、第1のKsp(os)の立方根の10%未満、Xが3の場合、第1のKsp(os)の4乗根の10%未満、またはXが4の場合、第1のKsp(os)の5乗根の10%未満である、請求項33の方法。
【請求項39】
溶解残留塩化物の第1濃度が、10ppm未満であり、且つ溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度が、10ppm未満である、請求項33の方法。
【請求項40】
溶解残留塩化物の第1濃度が、5ppm未満であり、且つ溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度が、5ppm未満である、請求項39の方法。
【請求項41】
溶解残留塩化物の第1濃度が、2ppm未満であり、且つ溶解残留塩化物捕集剤の第1濃度が、5ppm未満である、請求項40の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−105748(P2011−105748A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−14918(P2011−14918)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【分割の表示】特願2007−155586(P2007−155586)の分割
【原出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】